特開2018-166415(P2018-166415A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ノエビアの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-166415(P2018-166415A)
(43)【公開日】2018年11月1日
(54)【発明の名称】飲料組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/38 20060101AFI20181005BHJP
   A23L 2/00 20060101ALI20181005BHJP
【FI】
   A23L2/38 R
   A23L2/38 N
   A23L2/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2017-64922(P2017-64922)
(22)【出願日】2017年3月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000135324
【氏名又は名称】株式会社ノエビア
(72)【発明者】
【氏名】鉄井 崇仁
(72)【発明者】
【氏名】前田 仁美
【テーマコード(参考)】
4B117
【Fターム(参考)】
4B117LC03
4B117LG01
4B117LG24
4B117LK11
4B117LK12
4B117LK17
4B117LK20
4B117LK26
(57)【要約】
【課題】
本発明の課題は、果実酢に基づく酢カドを低減するとともに、飲料にコク味を付与した飲料組成物及びその製造方法を提供することである。
【解決手段】
果実酢を含有する飲料に、還元水飴とはちみつを併用した飲料組成物、及びその製造方法。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
果実酢と還元水飴とはちみつを含有する飲料組成物。
【請求項2】
果実酢と還元水飴とはちみつを含有する飲料組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果実酢を含有する飲料に、還元水飴とはちみつを併用した飲料組成物、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の高齢化社会やそれに伴う健康志向によって、生活習慣病等の日常生活における改善に関する関心が高まってきている。そのため、例えば日常の食生活に特定保健用食品と称されるものや各種機能性食品が取り入れられるようになっている。その中でも、古くから食酢は民間療法としても健康に良いとされ、最近ではそのさまざまな具体的な効果が注目を集めている。例えば食酢を摂取することにより、血圧降下作用、高血圧症低減効果、コレステロール低減効果、胃酸分泌促進、疲労回復等の効果があることが判明している。
【0003】
食酢は上述のごとく、様々な効果を有している。しかし食酢は、特有の強い酸味があり飲料では飲みにくいため、酸味を気にせず飲みやすい食酢含有飲料が望まれている。かかる課題を解決するため還元水飴等の糖アルコールを用いて酢カドを低減する方法(特許文献1参照)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−89119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、還元水飴と果実酢を含有する飲料は、味にコクがなく、果実酢含有飲料として満足できるものではなかった。
【0006】
そこで、本発明においては、果実酢に基づく酢カドを低減するとともに、飲料にコク味を付与した飲料組成物及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、かかる課題について鋭意検討した結果、果実酢と還元水飴を含有する飲料にはちみつを添加することにより、酢カド低減効果と、飲料へのコク味付与効果を有することを見出し本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は以下の態様を有する。
(1) 果実酢と還元水飴とはちみつを含有する飲料組成物。
(2) 果実酢と還元水飴とはちみつを含有する飲料組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の飲料組成物及びその製造方法は、果実酢に基づく酢カドを低減する効果を有するとともに、飲料にコク味を付与効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明を実施するための形態を説明する。
【0011】
本発明に係る食酢組成物は、果実酢と還元水飴とはちみつを含有する飲料組成物であり、そのまま若しくは希釈、溶解して摂取する飲料である。
【0012】
本発明の飲料組成物に配合する果実酢としては、一般的に果実酢として用いられているものを使用することができる。果実酢は、1種又は2種以上の果実を原材料として使用した醸造酢をいう。本発明に用いる果実酢として例えば、ローズヒップ酢、マンゴー酢、ザクロ酢、シークアーサ酢、パイナップル酢、リンゴ酢、梅酢、ブドウ酢、プルーン酢、ブドウ酢、ブルーベリー酢、アプリコット酢、プラム酢、ライム酢、レモン酢等が例示される。本発明においては、コク味付与効果の点から、ローズヒップ酢、シークアーサ酢、ザクロ酢、パイナップル酢から選択される1種又は2種以上を用いることが好ましい。
【0013】
本発明の飲料組成物に配合する還元水飴は、糖アルコールの一種で、デンプンを酸や酵素等を用いて加水分解して得られた水飴を水素添加して製造するのが一般的である。還元水飴は、還元麦芽糖(マルチトール)が75%未満及びソルビトールを50%未満含む糖アルコールで、その他3糖、4糖以上の糖アルコールを含んでいるのが一般的である。還元水飴は、市販されているものを使用することができ、MU−50、MU−45(以上上野製薬社製)、スイートNT、スイートP EM、スイートOL(以上日研化成社製)、PO−30、PO−300、オリゴトースH−70(以上三菱商事フードテック株式会社製)等が例示される。
【0014】
還元水飴の配合量は、特に限定されず、直接摂取する飲料100mL当たり1,000〜9,000mgが好ましくさらには、1,500〜4,500mgが好ましい。
【0015】
本発明の飲料組成物に配合するはちみつとしては、経口で通常摂取さられているものであれば特に限定されない。はちみつには、花の種類によって、レンゲ、クローバー、アカシア、レモン、オレンジ、みかん、ラズベリー、さくらんぼ、ローズマリー、ヒマワリ、とち、菩提樹、りんご、ナタネ、ラベンダー、たんぽぽ、石楠花、そば、はぜ、もみの木等に分類することができるが、その種類は特に制限されない。なお、はちみつは、1種又は2種以上を混合して使用することもできる。
【0016】
はちみつはその精製段階により。粗はちみつ、UFはちみつ、精製はちみつい分類できる。本発明においては、粗はちみつは採取したままのはちみつ、UFはちみつは粗はちみつをUF膜を用いてろ過したもの、精製はちみつはUFはちみつをさらに色素吸着、脱イオン等の処理を行ったもの、をいう。
【0017】
本発明においては、飲料組成物にコクを付与するため、UFはちみつを用いることが好ましい。
【0018】
はちみつの含有量は、特に限定されず、直接摂取する飲料100mL当たり0.01〜0.6gであることが好ましい。0.01g未満の配合では、はちみつによる、飲料組成物のまろやかさを出すことができない場合がある。0.6gを超えて配合すると、飲料組成物の総カロリーが高くなる場合がある。
【0019】
本発明の飲料組成物には、ショ糖、果糖ブドウ糖液糖等の糖類を配合しないことが好ましい。
【0020】
本発明の飲料組成物料は、果汁又はその濃縮物を添加することが好ましい。果汁又はその濃縮物を添加することにより、風味が良好で、飲みやすい飲料を得ることができる。かかる果汁としては、特に限定されないが、ローズヒップ果汁、マンゴー果汁、ザクロ果汁、シークアーサ果汁、パイナップル果汁、リンゴ果汁、梅果汁、ブドウ果汁、プルーン果汁、ブドウ果汁、ブルーベリー果汁、アプリコット果汁、プラム果汁、ライム果汁、レモン果汁等が例示される。かかる果汁としては、果実酢と同種又は異なる種類を用いることができるが、同種の果汁を用いることが好ましい。
【0021】
本発明の食酢含有飲料には、ビタミン類を配合することができる。かかるビタミン類としては、飲料に配合し得るビタミンであれば特に限定されない。例えばアスコルビン酸若しくはその誘導体並びにそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上のビタミンC類、チアミン若しくはその誘導体並びにそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上のビタミンB類、リボフラビン若しくはその誘導体並びにそれらの塩類から選ばれる1種又は2種以上のビタミンB類、ナイアシン、パントテン酸、ピリドキシン若しくはその誘導体並びにそれらの塩から選ばれる1種または2種以上のビタミンB類などが例示される。
【0022】
本発明の飲料組成物には、アミノ酸、ペプチド、タンパク質を配合することができる。かかるアミノ酸、ペプチド、タンパク質としては保健機能食品、食品、医薬品および医薬部外品の分野に利用し得るものであれば特に限定されない。例えばアミノ酸としては、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリン、システイン、リジン、スレオニン、アスパラギン、フェニルアラニン、セリン、メチオニン、グリシン、チロシン、ヒスチジン、トリプトファン、シスチン、テアニンなどが例示される。ペプチド、タンパク質としては、例えばコラーゲン及びその加水分解物、エラスチン及びその加水分解物などが例示される。
【0023】
本発明の飲料組成物は、増粘剤を配合して、ゼリー状飲料として用いることもできる。かかる増粘剤としては保健機能食品、食品、医薬品および医薬部外品の分野に利用し得る増粘剤であれば特に限定さない。例えば寒天、ローカストビーンガム、グアーガム、カラギナン、キサンタンガム、タマリンド種子多糖類、ネイティブジェランガム、脱アシル型ジェランガム、未加工でんぷん、加工でんぷん、ペクチン、タラガム等が挙げられる。
【0024】
本発明の食酢含有飲料は、賦形剤を添加し乾燥させることにより、粉末化したものを摂取時溶解して用いることもできる。また、飲料は炭酸タイプであってもよい。また、直接摂取できる飲料組成物でも、希釈して摂取する濃縮タイプの飲料であってもよい。
【0025】
本発明の食酢含有飲料には、通常飲料に用いることが可能な成分、例えば、上記以外のビタミン類、有機酸類、無機酸類、生薬、着色料、香料、保存剤、増粘剤、オリゴ糖類、多糖類、などの他、キトサン化合物、栄養強化成分、滋養強壮成分などを適時選択して配合することがでる。
【0026】
本発明の飲料組成物は常法により製造することができる。本発明においては、果実酢と還元水飴とはちみつを併用して用いて飲料組成物を製造することにより、酢カドが低減し、かつコク味の有する飲料組成物を製造することができる。
【実施例】
【0027】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これにより本発明の範囲が限定されるものではない。
【0028】
次に、表1、表2に示した配合量で飲料組成物を定法により調製し、味の評価を行った。味の評価は飲料の味覚評価専門者3名が、実施例、比較例をそれぞれブラインドで試飲し、絶対評価で評価した結果を合議により評価結果とした。
【0029】
[酢カド]
◎:酢カドが極めて弱い
○:酢カドが弱い
×:酢カドが強い
[コク味]
◎:コク味を強く感じる
○:コク味を感じる
×:コク味が弱い
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
表1、2に示した通り、本発明の実施例は酢カドが弱く、コク味を感じる、良好な呈味の飲料組成物であった。