【解決手段】機体の後部に上下揺動自在に連結されたリンク機構3を介して機体に支持された作業装置5と、リンク機構3を昇降駆動する油圧シリンダと、油圧シリンダに作動油を給排操作する制御弁と、田面Gに接地追従する接地体9とを備える。接地体9の上下動を機械的に取り出して制御弁に伝達するように、制御弁と接地体9とに亘って感知機構85,86が接続される。機体と作業装置5との間に整地装置53が備えられて、整地装置53を昇降自在に支持する昇降機構81と、整地装置53を昇降駆動する電動アクチュエータ56とが備えられる。
予め設定された設定位置を越えての前記第2感知部の上下揺動を止めることにより、前記作業装置に対する前記接地体の下限位置を設定する下限位置設定部が備えられている請求項3に記載の植播系作業機。
前記作業装置が田面に下降操作され且つ前記作業装置が作業状態であることを検出する作業センサーが備えられている請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の植播系作業機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
植播系作業機では、作業精度の確保という面から、作業装置の昇降駆動を精度良く行う必要がある。この場合、泥や水を多く被るような作業環境において長時間の作業が行われる状態であると、作業装置に対するフロートの位置を検出するポテンショメータや、ポテンショメータから制御弁へのハーネス系統のメンテナンス作業を頻繁に行う必要があり、メンテナンス性の面で改善の余地がある。
【0008】
本発明は、整地装置を備えた植播系作業機において、作業装置の作業状態と連係して整地装置の高さを適切に設定することができる機能を確保しながら、田面から作業装置までの高さの検出系のメンテナンス性の向上を図ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の植播系作業機は、
機体の後部に上下揺動自在に連結されたリンク機構を介して前記機体に支持された作業装置と、
前記リンク機構を昇降駆動する油圧シリンダと、
前記油圧シリンダに作動油を給排操作する制御弁と、
前記作業装置の下部に上下動自在に支持されて田面に接地追従する接地体と、
前記作業装置に対する前記接地体の上下動を、機械的に取り出して前記制御弁に伝達するように、前記制御弁と前記接地体とに亘って接続された感知機構とが備えられて、
前記感知機構により前記制御弁が操作されて、前記作業装置が田面から設定高さに維持されるように、前記油圧シリンダが作動するように構成され、
前記機体と前記作業装置との間に、整地装置が備えられて、
前記整地装置は、左右方向に沿って支持されて回転駆動される駆動軸と、前記駆動軸に取り付けられて前記駆動軸と一体で回転する整地体とを有し、
前記整地装置を昇降自在に支持する昇降機構と、前記整地装置を昇降駆動する電動アクチュエータとが備えられている。
【0010】
本発明によると、作業装置の下部に接地体が上下動自在に支持されて、接地体が田面に接地追従するのであり、作業装置に対する接地体の位置(田面(接地体)から作業装置までの高さ)が、感知機構により機械的に取り出されて、制御弁に伝達される。
これにより、制御弁が機械的に操作され、作業装置を昇降駆動する油圧シリンダに、制御弁から作動油が供給されて、油圧シリンダにより作業装置が自動的に昇降駆動されるのであり、作業装置が田面から設定高さに維持される。
【0011】
本発明によると、機械的に作動する感知機構が接地体及び制御弁に亘って接続されているので、泥や水を多く被るような作業環境において長時間の作業が行われる状態であっても、作業装置の昇降駆動が安定して行われるのであり、感知機構等のメンテナンス作業も必要以上に行う必要が無くなる。
【0012】
本発明によると、機体と作業装置との間に整地装置が備えられて、整地装置を昇降自在に支持する昇降機構、及び、整地装置を昇降駆動する電動アクチュエータが備えられており、電動アクチュエータにより整地装置の高さを変更することができる。
これにより、整地装置による整地深さを調節したり、整地装置を田面から上側に離れた非作業位置に上昇させたりというように、作業装置の作業状態と連係して整地装置の高さを適切に設定することができる。
【0013】
以上のように、本発明によると、整地装置を備えた植播系作業機において、作業装置の作業状態と連係して整地装置の高さを適切に設定することができる機能を確保しながら、田面から作業装置までの高さの検出系のメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0014】
本発明において、
前記接地体が、前記整地装置の後側に配置されて、
前記感知機構が、前記接地体に接続されて前記整地装置の後側で上下方向に配置される第1感知部と、前記第1感知部の上部から前記整地装置の上側を前側に延出される第2感知部と、前記第2感知部の前部から上側に延出される第3感知部とを有していると好適である。
【0015】
感知機構を接地体及び制御弁に亘って接続する場合、本発明によると、感知機構が接地体から整地装置の上側を迂回するように配置されるので、感知機構の第1感知部の前側(第2感知部の下側)に入り込むように、整地装置を配置することができる。
これにより、作業装置と整地装置とを前後方向で互いに無理なく接近して配置することができるので、整地装置と機体の車輪との干渉を避けながら、リンク機構を短くして作業装置を機体に接近させて配置することができるようになり、植播系作業機の前後バランスを良好なものにすることができる。
【0016】
本発明において、
前記第2感知部の前後中間部の左右方向の横軸芯周りに、前記第2感知部が上下揺動自在に支持されていると好適である。
【0017】
本発明によると、接地体の上下動が第1感知部を介して第2感知部に伝達された場合、第2感知部が上下揺動して、接地体の上下動が第2感知部から第3感知部に伝達される。
これにより、整地装置と感知機構との干渉を避けながら、接地体の上下動を感知機構により無理なく制御弁に伝達することができる。
【0018】
本発明において、
予め設定された設定位置を越えての前記第2感知部の上下揺動を止めることにより、前記作業装置に対する前記接地体の下限位置を設定する下限位置設定部が備えられていると好適である。
【0019】
例えば、油圧シリンダにより作業装置を田面から離れる位置に上昇駆動した場合、接地体が自重で必要以上に下降しないように、接地体の下限位置を設定する必要がある。
本発明によると、接地体の上下動に連動して第2感知部が上下揺動することを有効に利用して、第2感知部の上下揺動を設定位置で止めることにより、接地体を下限位置で止めることができるので、構造の簡素化の面で有利なものとなる。
【0020】
本発明において、
前記接地体を前記作業装置に上下動自在に支持する接地体支持部と、
前記接地体支持部の位置を変更して前記作業装置に対する前記接地体の位置を上下に変更する作業高さレバーとが備えられ、
前記第1感知部及び前記第2感知部と前記作業高さレバーとが、前後方向に並ぶように配置されて、
正面視で前記第3感知部と前記作業高さレバーとが左右方向に並ぶように配置され、且つ、側面視で前記第3感知部と前記作業高さレバーとが重複するように配置されていると好適である。
【0021】
前述のように、油圧シリンダにより作業装置が自動的に昇降駆動されて、作業装置が田面から設定高さに維持されるように構成した場合、設定高さを任意に変更できるように構成することがある。
【0022】
本発明によると、接地体を作業装置に上下動自在に支持する接地体支持部、及び、接地体支持部の位置を変更して作業装置に対する接地体の位置を上下に変更する作業高さレバーが備えられている。
この場合、接地体支持部により接地体の位置が設定されると、この状態での接地体から作業装置までの高さが設定高さとなるので、作業高さレバーを操作して、作業装置に対する接地体の位置を上下に変更することにより、前述の設定高さを変更することができる。
【0023】
前述の状態において、本発明によると、第1感知部及び第2感知部と作業高さレバーとが前後方向に並びながら、側面視で第3感知部と作業高さレバーとが重複する状態となって、感知機構及び作業高さレバーがコンパクトに配置されており、全体の小型化の面で有利なものとなる。
【0024】
本発明において、
前記電動アクチュエータにより、前記整地装置が、田面に接地して田面を整地する作業位置、及び、田面から上側に離れた非作業位置に昇降自在であり、
前記整地装置における前記感知機構に対向する部分に、前記整地体が設けられていない非存在領域が備えられ、
前記整地装置が前記非作業位置に位置した状態で、前記感知機構が前記非存在領域に入ることにより、側面視で前記感知機構と前記整地装置とが重複すると好適である。
【0025】
整地装置を備えた場合、田面に接地して田面を整地する作業位置、及び、田面から上側に離れた非作業位置に、整地装置を昇降自在に構成することがある。
本発明によれば、整地装置を使用しない作業の場合、整地装置を非作業位置に上昇駆動すると、整地装置において整地体が存在しない非存在領域に感知機構が入るのであり、側面視で感知機構と整地装置とが重複する状態となる。
これにより、感知機構と整地装置との干渉を避けながら、側面視で感知機構と整地装置とが重複する状態となる高い非作業位置に、整地装置を上昇駆動することができるようになって、整地装置を使用しない作業での作業性の向上を図ることができる。
【0026】
本発明において、
前記作業装置が田面に下降操作され且つ前記作業装置が作業状態であることを検出する作業センサーが備えられていると好適である。
【0027】
例えば、植播系作業機の一例である乗用型田植機では、整地装置により田面の整地を行いながら、苗植付装置による苗の植え付けを行う。
このことについて言い換えると、植播系作業機において、整地装置を使用するのは、作業装置を田面に下降操作して作業装置による作業を行う場合であり、これ以外の状態では整地装置を使用しないことが多い。
【0028】
前述の状態において、本発明によると、作業装置が田面に下降操作され且つ作業装置が作業状態であることを検出する作業センサーが備えられているので、作業センサーの検出に基づいて、整地装置を使用する状態及び使用しない状態に適切に対応することができるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1〜
図15に、植播系作業機の一例である乗用型田植機が示されている。
図1〜
図15において、Fは機体の「前方向」を示し、Bは機体の「後方向」を示し、Uは機体の「上方向」を示し、Dは機体の「下方向」を示している。Rは機体の「右方向」を示し、Lは機体の「左方向」を示している。
【0031】
(乗用型田植機の全体構成)
図1及び
図2に示すように、乗用型田植機において、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2を備えた機体Kの後部に、リンク機構3が上下揺動自在に連結され、リンク機構3の後部に6条植型式の苗植付装置5(作業装置に相当)が支持されて、リンク機構3を昇降駆動する油圧シリンダ4が備えられている。
【0032】
図1,2,3に示すように、整地装置53が、機体Kと苗植付装置5との間に位置するように、苗植付装置5の右部及び左部に亘って配置されて、昇降自在に苗植付装置5に支持されている。
【0033】
(苗植付装置)
図1,2,3に示すように、苗植付装置5は、1個のフィードケース17、3個の植付伝動ケース6、植付伝動ケース6の後部に回転自在に支持された回転ケース7、回転ケース7の両端に備えられた植付アーム8、苗植付装置5の下部に上下動自在に支持されたセンターフロート9(接地体に相当)、及びサイドフロート11、6個の苗のせ面を備えた苗のせ台10、苗のせ台10の苗のせ面の各々に備えられた縦送り機構25等を備えている。
【0034】
図3及び
図4に示すように、左右方向に配置された支持フレーム18に、フィードケース17及び植付伝動ケース6が連結されており、植付伝動ケース6が支持フレーム18から後側に延出されている。フィードケース17が、リンク機構3の後部下部の前後軸芯P1(
図5参照)周りにローリング自在に支持されている。
【0035】
図4に示すように、フィードケース17から横送り軸19が延出され、横送り軸19の端部がブラケット20を介して支持フレーム18に支持されている。横送り軸19の回転に伴って往復横送り駆動される送り部材21が、横送り軸19に外嵌されており、送り部材21が苗のせ台10に接続されている。
【0036】
図2,3,4に示すように、植付伝動ケース6にガイドレール38が左右方向に支持されて、苗のせ台10の下部がガイドレール38に沿って横移動自在に支持されている。
図4,5,6に示すように、支持フレーム18の右端部及び左端部に、上下向きの縦フレーム26が連結され上側に延出されて、縦フレーム26の上部に亘って横フレーム50が連結されている。苗のせ台10の上部の前面にガイドレール27が連結され、横フレーム50に備えられたローラー51に、ガイドレール27が横移動自在に支持されている。
【0037】
図2〜
図6に示すように、苗のせ台10の下部がガイドレール38に支持され、苗のせ台10の上部が横フレーム50に支持されて、苗のせ台10が、ガイドレール38及び横フレーム50に沿って左右に往復横送り駆動される。
【0038】
図2〜
図5に示すように、支持フレーム18の右端部及び左端部に、ガード部材113がボルト連結されている。ガード部材113が支持フレーム18から外側に延出され、後側に折り曲げられている。
【0039】
図2〜
図5に示すように、右のガード部材113の後部がガイドレール38の右端部の外側近傍に位置し、左のガード部材113の後部がガイドレール38の左端部の外側近傍に位置しており、ガード部材113によりガイドレール38の右端部及び左端部が保護されている。
【0040】
図2及び
図3に示すように、苗のせ台10の6個の苗のせ面の各々に、ベルト型式の縦送り機構25が備えられている。
図4に示すように、フィードケース17から縦送り軸36が延出され、縦送り軸36の端部がブラケット37を介して支持フレーム18に支持されている。後述する入力軸28の動力により縦送り軸36が回転駆動されており、縦送り軸36に一対の駆動アーム36aが連結されている。
【0041】
図4に示すように、6個の縦送り機構25に動力を伝達する入力部(図示せず)が苗のせ台10に備えられており、入力部が縦送り軸36の駆動アーム36aの間に配置されている。苗のせ台10が往復横送り駆動の右端部又は左端部に達すると、入力部が縦送り軸36の一方の駆動アーム36aに達して、縦送り軸36の一方の駆動アーム36aにより入力部が駆動され、6個の縦送り機構25が所定ストロークだけ作動して苗のせ台10の苗が下側に送られる。
【0042】
(施肥装置)
図1,2,3に示すように、機体Kにおいて運転座席31の後側に、肥料を貯留するホッパー12、及び、2つの植付条に対応した3個の繰り出し部13が備えられており、繰り出し部13の左側にブロア14が備えられている。
【0043】
図1,2,3に示すように、センターフロート9及びサイドフロート11に2個の作溝器15が連結されて、6個の作溝器15が備えられており、繰り出し部13と作溝器15とに亘って6本のホース16が接続されている。
【0044】
(前輪及び後輪、苗植付装置、施肥装置への伝動構造)
図1に示すように、機体Kの前部に、エンジン49が支持されている。エンジン49の動力が、静油圧式無段変速装置(図示せず)からギヤ変速式の副変速装置(図示せず)を介して、前輪1及び後輪2に伝達される。
【0045】
図1及び
図4に示すように、静油圧式無段変速装置と副変速装置との間から分岐した動力が、株間変速装置(図示せず)、植付クラッチ44(
図14参照)及びPTO軸22を介して、フィードケース17に備えられた入力軸28に伝達される。
【0046】
図4に示すように、入力軸28の動力が、縦送り軸36に伝達されて、縦送り軸36が回転駆動され、入力軸28の動力が、横送り変速機構29を介して横送り軸19に伝達されて、横送り軸19が回転駆動される。入力軸28の動力が、伝動チェーン30、植付伝動ケース6に亘って架設された伝動軸23、植付伝動ケース6に備えられた植付伝動軸32に伝達される。
【0047】
図4に示すように、植付伝動軸32の動力が、トルクリミッター33、伝動チェーン34、少数条クラッチ24及び植付駆動軸35を介して、回転ケース7に伝達される。植付伝動ケース6に亘って円筒状の伝動軸カバー60が連結されており、伝動軸カバー60により伝動軸23が覆われている。
【0048】
図1,2,3に示すように、植付クラッチ44が伝動状態に操作されると、苗のせ台10が左右に往復横送り駆動されるのに伴って、回転ケース7が回転駆動され、苗のせ台10の下部から植付アーム8が交互に苗を取り出して田面Gに植え付ける。苗のせ台10が往復横送り駆動の右端部又は左端部に達すると、6個の縦送り機構25により苗のせ台10の苗が下側に送られる。植付クラッチ44が遮断状態に操作されると、苗のせ台10、回転ケース7及び縦送り機構25が停止する。
【0049】
図1,2,3に示すように、施肥装置において、副変速装置の動力が、施肥クラッチ45(
図14参照)を介して繰り出し部13に伝達される。施肥クラッチ45が伝動状態に操作されると、ホッパー12から肥料が所定量ずつ繰り出し部13により繰り出されて、ブロア14の送風により肥料がホース16を通って作溝器15に供給され、作溝器15を介して肥料が田面Gに供給される。施肥クラッチ45が遮断状態に操作されると、繰り出し部13が停止する。
【0050】
(昇降操作レバーによる苗植付装置の昇降構造)
作業者が操作する昇降操作レバー72による苗植付装置5の昇降操作について、以下のように説明する。
【0051】
図2及び
図14に示すように、運転座席31の右側に昇降操作レバー72が備えられており、昇降操作レバー72は上昇位置、中立位置、下降位置及び植付位置に操作自在である。油圧シリンダ4に作動油を給排操作する機械操作型式の制御弁71が機体Kに備えられており、昇降操作レバー72と、制御弁71、植付クラッチ44及び施肥クラッチ45とが、連係機構70により機械的に接続されている。
【0052】
図14に示すように、昇降操作レバー72を上昇位置、中立位置、下降位置及び植付位置に操作すると、連係機構70を介して、制御弁71、植付クラッチ44及び施肥クラッチ45が、以下のように操作される。
【0053】
図14に示すように、昇降操作レバー72を上昇位置に操作すると、植付クラッチ44及び施肥クラッチ45が遮断状態に操作され、制御弁71が上昇位置に操作され、油圧シリンダ4が収縮作動して、苗植付装置5が上昇する。
【0054】
図14に示すように、昇降操作レバー72を中立位置に操作すると、植付クラッチ44及び施肥クラッチ45が遮断状態に操作され、制御弁71が中立位置に操作され、油圧シリンダ4が停止して、苗植付装置5の昇降が停止する。
前述のように、昇降操作レバー72を上昇位置に操作した状態で、苗植付装置5がリンク機構3の上限位置に達すると、リンク機構3の動作がフィードバックリンク(図示せず)を介して、昇降操作レバー72に伝達されて、昇降操作レバー72が中立位置に操作される。
【0055】
図14に示すように、昇降操作レバー72を下降位置に操作すると、植付クラッチ44及び施肥クラッチ45が遮断状態に操作され、制御弁71が下降位置に操作され、油圧シリンダ4が伸長作動して、苗植付装置5が下降する。
【0056】
前述のように、昇降操作レバー72を下降位置に操作した状態で、センターフロート9が田面Gに接地すると、後述の(苗植付装置の昇降制御)−1,2に記載のように、苗植付装置5の昇降制御が作動する状態となる。これにより、植付アーム8による苗の植付深さが設定深さに維持されるように、制御弁71及び油圧シリンダ4が作動して、苗植付装置5が自動的に昇降駆動される状態となる。
【0057】
図14に示すように、昇降操作レバー72を植付位置に操作すると、前述の下降位置と同様に、苗植付装置5の昇降制御が作動する状態において、植付クラッチ44及び施肥クラッチ45が伝動状態に操作される。
【0058】
(苗植付装置の昇降制御の構造)−1
後述の(苗植付装置の昇降制御)−1,2に記載のように、植付アーム8による苗の植付深さが設定深さに維持されるように、苗植付装置5が自動的に昇降駆動される為の構造について、本項及び後述の(苗植付装置の昇降制御の構造)−2により説明する。
【0059】
図2及び
図7に示すように、植付伝動ケース6の下部の左右方向の横軸芯P4周りに、支持軸41が回転自在に支持されて、支持軸41に連結された支持アーム41a(接地体支持部に相当)が後側の斜め下側に延出されている。支持アーム41aの後部の左右方向の横軸芯P5周りに、センターフロート9及びサイドフロート11の後部が上下揺動自在に支持されている。
【0060】
図2及び
図7に示すように、人為的に操作可能な植付深さレバー42(作業高さレバーに相当)が、支持軸41に連結されて前側の斜め上側に延出されており、支持フレーム18に連結されたレバーガイド43に、植付深さレバー42が挿入されている。
【0061】
図2及び
図7に示すように、植付深さレバー42により支持軸41の支持アーム41aを回動操作して、横軸芯P5(センターフロート9及びサイドフロート11)の位置を上下に変更することにより、植付アーム8による苗の植付深さ((植付アームによる苗の植付深さ(設定深さ)の変更)参照)を変更することができる。
植付深さレバー42をレバーガイド43に係合させることによって、横軸芯P5(センターフロート9及びサイドフロート11)の位置を固定して、設定高さA1(設定深さ)(
図14参照)を設定することができる。
【0062】
図7,8,9に示すように、支持フレーム18におけるセンターフロート9の上側の部分に、支持ブラケット77が連結されている。支持ブラケット77の前部の左右方向の横軸芯P6周りに、支持リンク78が揺動自在に支持され、支持リンク78の下部と植付深さレバー42とに亘って、連係ロッド82が接続されている。
【0063】
図7,8,9に示すように、支持ブラケット77の上部に支持リンク79が揺動自在に支持されて、支持リンク78,79の上部に支持部材80が揺動自在に接続されている。
支持リンク78,79により平行リンクが形成されており、植付深さレバー42の操作に連動して連係ロッド82によって、支持部材80が前側の斜め下側及び後側の斜め上側に平行移動するのであり、植付深さレバー42をレバーガイド43に係合させることにより、支持部材80の位置が決まる。
【0064】
(苗植付装置の昇降制御の構造)−2
図14に示すように、苗植付装置5に対するセンターフロート9の上下動を機械的に取り出して制御弁71に伝達する感知機構88が、制御弁71とセンターフロート9とに亘って接続されている。
【0065】
感知機構88は、前述の(苗植付装置の昇降制御の構造)−1に記載の支持ブラケット77、支持リンク78,79、支持部材80、連係ロッド82を備えており、以下の説明のように、感知ロッド84、感知アーム85、感知ワイヤ86等を備えている。
【0066】
図7,8,9に示すように、センターフロート9の前部に、感知ロッド84(第1感知部に相当)が接続されて、支持部材80の左右方向の横軸芯P7周りに、感知アーム85(第2感知部に相当)が上下揺動自在に支持されている。感知アーム85の前後中間部に横軸芯P7が位置しており、感知ロッド84の上部と感知アーム85の後部とが接続されている。
【0067】
図7,8,9に示すように、支持部材80の前部にワイヤ受け部80aが連結されており、感知ワイヤ86(第3感知部に相当)のアウター86bが、支持部材80のワイヤ受け部80aに接続されている。感知ワイヤ86のインナー86aに接続部材87が接続され、接続部材87の長孔87aに、感知アーム85の前部のピン85aが挿入されて、感知アーム85の前部と感知ワイヤ86のインナー86aとが接続されている。
図14に示すように、感知ワイヤ86が機体Kに延出されて、感知ワイヤ86のインナー86aが制御弁71に接続されている。
【0068】
以上の構造により、
図14に示すように、苗植付装置5に対するセンターフロート9の上下動により、感知アーム85が上下揺動し、感知ワイヤ86のインナー86aが引き操作及び戻し操作されて、制御弁71が操作される。
【0069】
図7,8,9に示すように、苗植付装置5が上昇して、苗植付装置5に対してセンターフロート9が下降すると、感知ロッド84が下降して、感知アーム85の前部が上昇するように、感知アーム85が揺動する。
【0070】
図7,8,9に示すように、感知アーム85の前部に、下限位置ピン85b(下限位置設定部に相当)が横向きに連結されている。
苗植付装置5に対してセンターフロート9が下降した場合、感知アーム85の下限位置ピン85bが支持部材80のワイヤ受け部80aの下部に当たることにより、感知アーム85の揺動が止められて、苗植付装置5に対するセンターフロート9の下降が停止する。これにより、苗植付装置5が田面Gから離れる位置に上昇した場合、感知アーム85の下限位置ピン85bが支持部材80のワイヤ受け部80aの下部に当たる下限位置で、センターフロート9が止められて、これ以上に下降しない状態となる。
【0071】
図7及び
図8に示すように、側面視で、植付深さレバー42及びレバーガイド43が後側に位置し、支持ブラケット77、支持リンク78,79、支持部材80、連係ロッド82、感知ロッド84及び感知アーム85が前側に位置するように、植付深さレバー42及びレバーガイド43と、支持ブラケット77、支持リンク78,79、支持部材80、連係ロッド82、感知ロッド84及び感知アーム85とが、前後方向に並ぶように配置されている。
【0072】
図5に示すように、正面視で、感知ワイヤ86と植付深さレバー42とが、左右方向に並ぶように配置されている。
図7及び
図8に示すように、側面視で、感知ワイヤ86と植付深さレバー42とが、重複及び交差するように配置されている。
【0073】
(苗植付装置の昇降制御)−1
植付アーム8による苗の植付深さが設定深さに維持されるように、苗植付装置5が自動的に昇降駆動される状態について、本項及び後述の(苗植付装置の昇降制御)−2により説明する。
【0074】
図3,7,14に示す状態は、植付深さレバー42により横軸芯P5(センターフロート9及びサイドフロート11)の位置を設定した状態であり、制御弁71が中立位置に操作されて、苗植付装置5の昇降が停止した状態である。
植付アーム8は苗植付装置5に対して一定の軌跡で回転駆動されるのであり、植付アーム8による苗の植付深さが設定深さとなっている状態である。
センターフロート9は田面Gに接地追従するのであり、支持部材80(横軸芯P7)が田面Gから設定高さA1に設定された状態である。
【0075】
図7及び
図14に示す状態において、苗植付装置5が下降すると(苗植付装置5が田面Gに接近すると)、支持部材80(横軸芯P7)も一緒に設定高さA1から下降するのであり、植付アーム8による苗の植付深さが設定深さよりも深くなり、苗植付装置5に対してセンターフロート9が上昇する状態となる。
【0076】
これにより、
図7及び
図14に示すように、センターフロート9の上昇が、感知ロッド84及び感知アーム85を介して感知ワイヤ86に伝達され、感知ワイヤ86のインナー86aが苗植付装置5側に引き操作され、制御弁71が上昇位置に操作されて、苗植付装置5及び支持部材80(横軸芯P7)が上昇する。
【0077】
図7及び
図14に示すように、苗植付装置5の上昇に伴って、苗植付装置5に対してセンターフロート9が下降する状態となり、感知ワイヤ86のインナー86aが制御弁71側に戻し操作される。支持部材80(横軸芯P7)が設定高さA1に上昇すると、制御弁71が中立位置に操作されて、苗植付装置5の上昇が停止するのであり、植付アーム8による苗の植付深さが設定深さに戻る。
【0078】
この場合、制御弁71を上昇位置から下降位置に付勢する下降付勢バネ(図示せず)が備えられているので、前述のように苗植付装置5に対してセンターフロート9が下降する際に、感知ワイヤ86のインナー86aが制御弁71側に引き操作される状態となり、感知ワイヤ86のインナー86aが制御弁71側に無理なく戻し操作される。
【0079】
(苗植付装置の昇降制御)−2
図7及び
図14に示す状態において、苗植付装置5が上昇すると(苗植付装置5が田面Gから離間すると)、支持部材80(横軸芯P7)も一緒に設定高さA1から上昇するのであり、植付アーム8による苗の植付深さが設定深さよりも浅くなり、苗植付装置5に対してセンターフロート9が下降する状態となる。
【0080】
これにより、
図7及び
図14に示すように、センターフロート9の下降が感知ロッド84及び感知アーム85を介して感知ワイヤ86に伝達され、感知ワイヤ86のインナー86aが制御弁71側に戻し操作され、前述の下降付勢バネにより制御弁71が下降位置に操作されて、苗植付装置5及び支持部材80(横軸芯P7)が下降する。
【0081】
図7及び
図14に示すように、苗植付装置5の下降に伴って、苗植付装置5に対してセンターフロート9が上昇する状態となり、感知ワイヤ86のインナー86aが苗植付装置5側に引き操作される。支持部材80(横軸芯P7)が設定高さA1に下降すると、制御弁71が中立位置に操作されて、苗植付装置5の下降が停止するのであり、植付アーム8による苗の植付深さが設定深さに戻る。
【0082】
例えば田面Gの凹部にセンターフロート9が入り込んで、センターフロート9が急速に下降する状態になったとする。
この場合、
図7及び
図8に示すように、感知アーム85の前部が急速に上昇する状態となるのであるが、感知アーム85のピン85aが接続部材87の長孔87aに沿って上側に移動するだけで、感知アーム85により感知ワイヤ86のインナー86aが制御弁71側に急速に戻し操作される状態は生じない。これにより、前述の下降付勢バネによって制御弁71が少し遅れて下降位置に操作される状態となるのであり、苗植付装置5及び支持部材80(横軸芯P7)が急速に下降するような状態は生じない。
【0083】
以上のように、前述の(苗植付装置の昇降制御)−1及び本項に記載のように、苗植付装置5が自動的に昇降駆動されて、植付アーム8による苗の植付深さが設定深さに維持される。
【0084】
(植付アームによる苗の植付深さ(設定深さ)の変更)
前述の(苗植付装置の昇降制御)−1,2に記載のように、植付アーム8による苗の植付深さが設定深さに維持されている状態において、設定深さの変更について説明する。
【0085】
図7及び
図14に示す状態において植付深さレバー42を深側(下側)に操作すると、植付深さレバー42により横軸芯P5(センターフロート9及びサイドフロート11)の位置が上昇して苗植付装置5に接近する状態となる。
この場合、植付深さレバー42の深側(下側)への操作に伴って、連係ロッド82により支持リンク78,79が上側に操作されて、支持部材80が田面Gから設定高さA1に維持されるのであり、支持部材80に対して苗植付装置5の位置が下側に設定される。
【0086】
以上の状態で、前述の(苗植付装置の昇降制御)−1,2に記載のように、支持部材80が設定高さA1に維持されるように、苗植付装置5が自動的に昇降駆動されると、田面Gから低い位置に苗植付装置5が維持されて、植付アーム8による苗の植付深さ(設定深さ)が深いものとなる。
【0087】
図7及び
図14に示す状態において植付深さレバー42を浅側(上側)に操作すると、植付深さレバー42により横軸芯P5(センターフロート9及びサイドフロート11)の位置が下降して苗植付装置5から離間する状態となる。
この場合、植付深さレバー42の浅側(上側)への操作に伴って、連係ロッド82により支持リンク78,79が下側に操作されて、支持部材80が田面Gから設定高さA1に維持されるのであり、支持部材80に対して苗植付装置5の位置が上側に設定される。
【0088】
以上の状態で、前述の(苗植付装置の昇降制御)−1,2に記載のように、支持部材80が設定高さA1に維持されるように、苗植付装置5が自動的に昇降駆動されると、田面Gから高い位置に苗植付装置5が維持されて、植付アーム8による苗の植付深さ(設定深さ)が浅いものとなる。
【0089】
(苗植付装置のローリング制御)
図5に示すように、フィードケース17がリンク機構3の後部下部の前後軸芯P1周りにローリング自在に支持されて、苗植付装置5の全体が前後軸芯P1周りにローリング自在に支持されている。
図14に示すように、フィードケース17に傾斜センサー48が取り付けられて、水平面(田面G)に対する苗植付装置5の左右方向の傾斜角度が傾斜センサー48によって検出されており、傾斜センサー48の検出値が後述する制御装置40に入力される。
【0090】
図5に示すように、リンク機構3の後部の上部に、ローリング機構46が連結されている。ローリング機構46は、左右方向に押し引き操作される一対のワイヤ46a、ワイヤ46aを押し引き駆動するギヤ機構(図示せず)及び電動モータ46bを備えている。
【0091】
図5に示すように、ローリング機構46のワイヤ46aと横フレーム50の右部及び左部とに亘って、バネ39が接続されている。ガイドレール27の右部及び左部にブラケット27aが連結されて、ローリング機構46に固定されたアーム部46cと、ガイドレール27のブラケット27aとに亘って、バネ47が接続されている。
【0092】
図5に示すように、苗のせ台10が往復横送り駆動されるのに伴って、右又は左のバネ47が引き延ばされるのであり、苗のせ台10が右(左)に横送り駆動されると、右(左)のバネ47が引き延ばされて、右(左)のバネ47の付勢力により苗植付装置5の右(左)への傾斜が抑えられる。
【0093】
図5及び
図14に示すように、水平面(田面G)に対する苗植付装置5の左右方向の傾斜角度が傾斜センサー48により検出されて、制御装置40によりローリング機構46の電動モータ46bが作動し、ローリング機構46のワイヤ46aが押し引き操作されて、苗植付装置5が水平に維持される。
【0094】
この場合、
図5に示すように、ローリング機構46のワイヤ46aが押し引き操作される際に、バネ39が少し伸縮する状態となるのであり、ローリング機構46のワイヤ46aの急速な押し引き操作が、少し緩和されて苗植付装置5に伝達される。
【0095】
(苗植付装置の制御系の構成)
図14に示すように、機体Kにおいて運転座席31の下側に、制御装置40が取り付けられている。機体Kにバッテリー124が搭載されており、制御装置40とバッテリー124とに亘ってハーネス125が接続されて、制御装置40に電力が供給される。
【0096】
図2及び
図14に示すように、苗のせ台10の苗のせ面において、縦送り機構25の右側及び左側に苗センサー75が備えられている。苗センサー75は、苗のせ台10の苗のせ面の苗が所定量を越えて少なくなったことを検出するのであり、苗センサー75の検出信号が制御装置40に入力される。
【0097】
図14に示すように、苗センサー75の検出信号が制御装置40に入力されると、制御装置40により報知装置76(報知ランプや報知ブザー等)が作動するので、作業者は機体Kを停止させて、苗のせ台10への苗の補給を行う。
【0098】
図14に示すように、昇降操作レバー72が下降位置又は植付位置に操作されていることを検出する下降センサー73が備えられており、下降センサー73の検出信号が制御装置40に入力される。
【0099】
図14に示すように、昇降操作レバー72が上昇位置及び中立位置に操作されると、制御装置40によりブロア14が停止し、制御装置40によりローリング機構46(電動モータ46b)が停止する。
昇降操作レバー72が下降位置及び植付位置に操作されると、制御装置40によりブロア14が作動し、制御装置40によりローリング機構46(電動モータ46b)が作動する。
【0100】
(整地装置の全体構造)
図2,3,4,5に示すように、整地装置53が、機体Kと苗植付装置5との間に位置するように、苗植付装置5の右部及び左部に亘って配置され、昇降自在に苗植付装置5に支持されている。
【0101】
図3,4,5に示すように、整地装置53の左部に整地伝動ケース81(昇降機構に相当)が備えられ、整地装置53の右部に整地支持アーム83(昇降機構に相当)が備えられている。整地伝動ケース81の後部及び整地支持アーム83の後部が、苗植付装置5の左右方向の横軸芯P2周りに上下揺動自在に支持されて、整地伝動ケース81及び整地支持アーム83が前側に延出されている。
【0102】
図4及び
図5に示すように、整地伝動ケース81の前部及び整地支持アーム83の前部に亘って、断面正方形状の駆動軸61(
図12参照)が回転自在に支持されている。合成樹脂により一体的に構成された小幅で小径の整地体62、合成樹脂により一体的に構成された小幅で大径の整地体63が備えられて、整地体62,63が駆動軸61に一体で回転するように取り付けられている。駆動軸61に取り付けられたボス部材57及びスペーサ64,68,69により、整地体62,63の位置が決められている。
【0103】
図3,4,5に示すように、整地伝動ケース81の前部の上部に取付部81aが備えられ、整地支持アーム83の前部の上部に取付部83aが備えられて、整地伝動ケース81の取付部81aと整地支持アーム83の取付部83aとに亘って、支持フレーム67が連結されている。
【0104】
図4,5,8,12に示すように、金属製のカバー65,66が、整地体62,63の後側に位置するように支持フレーム67に連結されている。整地体62,63が回転駆動されて田面Gが整地される際に、整地体62,63により田面Gの泥や水が後側に跳ね飛ばされても、カバー65,66により泥や水が止められる。
【0105】
図3,4,5に示すように、整地装置53は、整地伝動ケース81、整地支持アーム83、駆動軸61、駆動軸107(
図10及び
図11参照)、整地体62,63、カバー65,66、支持フレーム67等を備えている。
【0106】
図1〜
図5に示すように、整地装置53が、苗植付装置5(センターフロート9及びサイドフロート11)の前側で、後輪2の後側に位置するように配置されており、整地装置53が機体Kと苗植付装置5との間に配置され、苗植付装置5の右部及び左部に亘って配置されて、昇降自在に苗植付装置5に支持されている。整地伝動ケース81及び整地支持アーム83が横軸芯P2周りに上下揺動することによって、整地装置53が苗植付装置5に昇降自在に支持されている。
【0107】
(整地伝動ケースに関する構造)
図4及び
図10に示すように、苗植付装置5の左端の植付伝動ケース6において、植付伝動軸32の部分の外側に支持ケース91が設けられており、支持ケース91と植付伝動ケース6との間に、中間ケース89,92が設けられている。植付伝動ケース6における植付伝動軸32の部分に外側に、中間ケース89がボルト90により連結されており、中間ケース92を挟んで、支持ケース91と中間ケース89とがボルト93により連結されている。
【0108】
図10に示すように、中間ケース92の両端部にフランジ部92a,92bが連結されて、フランジ部92a,92bにボルト93を通す複数の開口部が開口されており、フランジ部92a,92bにおける開口部の部分にパイプ部92cが連結されている。支持ケース91のフランジ部91aに、ボルト93を通す複数の開口部が開口されている。中間ケース89のフランジ部89aに開口部が開口され、この開口部に雌ネジが形成されている。
【0109】
以上の構造により、
図10に示すように、ボルト93が、支持ケース91のフランジ部91aの開口部、中間ケース92のフランジ部92a,92bの開口部及びパイプ部92c、中間ケース89のフランジ部89aの開口部に挿入されており、ボルト93が中間ケース89のフランジ部89aの雌ネジに締め付けられて連結されている。
この場合、植付伝動軸32の軸芯方向から視た場合、ボルト90の配置とボルト93の配置とが異なるものに設定されている。
【0110】
図10に示すように、支持ケース91の左部に大径の受け部91bが形成され、整地伝動ケース81の後部に横向きの支持部81bが形成されており、支持ケース91の受け部91bに、整地伝動ケース81の支持部81bが回転自在に挿入されて取り付けられている。これにより、整地伝動ケース81の後部が、左端の植付伝動ケース6の横軸芯P2周りに上下揺動自在に支持されて、整地伝動ケース81が前側に延出されている。
【0111】
(整地支持アームに関する構造)
図4及び
図5に示すように、支持フレーム18の右端部及び左端部に、ブラケット94が溶接によって連結されている。
図4及び
図11に示すように、開放部分が下側に向くチャンネル状の部材である支持部材95が、前後方向に配置されており、支持軸97が支持部材95の後部に溶接よって連結されている。
【0112】
図11に示すように、連結部材96が支持部材95の前部に溶接よって連結されている。連結部材96は、平面視でアングル状であり、左右方向の第1部分96a及び前後方向の第2部分96bを備えて、第1部分96aにナット96cが溶接によって連結されている。
【0113】
図11に示すように、連結部材96の第1部分96aがブラケット94の後部に当て付けられて、ボルト98がブラケット94の開口部及び連結部材96のナット96cに挿入されて締め付けられている。連結部材96の第2部分96bがブラケット94の右部に当て付けられて、ボルト100がブラケット94の開口部及び連結部材96の第2部分96bに挿入されて締め付けられている。
【0114】
図11に示すように、前後方向のボルト98及び左右方向のボルト100によって、支持部材95がブラケット94に連結されており、支持軸97が
図3及び
図4に示す横軸芯P2の位置に配置される。
【0115】
図11に示すように、整地支持アーム83の後部が支持軸97(横軸芯P2周り)に上下揺動自在に支持されて、整地支持アーム83が前側に延出されている。整地支持アーム83とボルト100との干渉を避ける為に、整地支持アーム83の中間部83bが外側に張り出している。
【0116】
(整地装置への伝動構造)
図4及び
図10に示すように、苗植付装置5に伝達された動力が、左端の植付伝動ケース6の植付伝動軸32から、中間ケース89,92、支持ケース91及び整地伝動ケース81の内部に亘って設けられた伝動系により、整地装置53の駆動軸61,107に伝達される。
【0117】
図10に示すように、整地伝動ケース81及び支持ケース91の内部に亘って中継伝動軸101が回転自在に支持されている。植付伝動軸32が植付伝動ケース6から中間ケース89の内部を通り、植付伝動軸32の端部32aが中間ケース92の内部に少し入っている。
【0118】
図10に示すように、円筒状の継手部材102が、中間ケース89,92の内部に配置されており、植付伝動軸32と継手部材102とがキー103により連結されている。継手部材102が支持ケース91の内部に少し入っており、中継伝動軸101と継手部材102とがキー103により連結されている。
【0119】
図10に示すように、継手部材102の軸芯方向の位置を決めるピン状の位置決め部材104が、継手部材102における植付伝動軸32の端部32aの近傍、及び、継手部材102における中継伝動軸101の端部101aの近傍に、継手部材102の半径方向に貫通するように取り付けられている。
【0120】
図10に示すように、整地伝動ケース81の後部の内部において、中継伝動軸101の端部にスプロケット105が外嵌されて、中継伝動軸101とスプロケット105とがトルクリミッター106を介して接続されている。
【0121】
図10及び
図11に示すように、整地伝動ケース81の前部及び整地支持アーム83の前部に、駆動軸107が左右方向の横軸芯P8(
図3及び
図4参照)周りに回転自在に支持されており、駆動軸107に駆動軸61が連結されている。
図10に示すように、整地伝動ケース81の内部において、駆動軸107にスプロケット107aが連結されて、スプロケット105と駆動軸107のスプロケット107aとに亘って、伝動チェーン108が取り付けられている。
【0122】
以上の構造により、
図4及び
図10に示すように、植付伝動軸32の動力が、継手部材102、中継伝動軸101、トルクリミッター106、スプロケット105、伝動チェーン108及び駆動軸107のスプロケット107aを介して、駆動軸61,107に伝達されるのであり、駆動軸61,107及び整地体62,63が、
図3において横軸芯P8周りに反時計方向に回転駆動される。
整地装置53が石等の異物を挟み込んで、駆動軸61,107及び整地体62,63に大きな負荷が発生すると、トルクリミッター106が遮断状態となって、整地装置53の破損が防止される。
【0123】
(整地伝動ケースの前部及び整地支持アームの前部の構造)
図10に示すように、駆動軸61,107が支持される整地伝動ケース81の前部において、整地体62,63とは反対側の外側の部分に、駆動軸107を支持する為の開口部81cが形成されており、駆動軸107が整地伝動ケース81の開口部81cから外側に少し出ている。
【0124】
図10に示すように、駆動軸107における整地伝動ケース81の開口部81cの部分に、シール部材110が取り付けられており、駆動軸107の端部に、シール部材110を外側から保護する円板状の保護部材111が、ボルト112により連結されている。
【0125】
図10に示すように、整地伝動ケース81の前部において、駆動軸61,107の整地伝動ケース81側の部分に、整地伝動ケース81と整地体63との間隔を確保するスペーサ68が取り付けられている。
【0126】
図11に示すように、駆動軸61,107が支持される整地支持アーム83の前部において、整地体62,63とは反対側の外側の部分に、駆動軸107を支持する為の開口部83cが形成されており、駆動軸107が整地支持アーム83の開口部83cから外側に少し出ている。
【0127】
図11に示すように、駆動軸107における整地支持アーム83の開口部83cの部分に、シール部材110が取り付けられており、駆動軸107の端部に、シール部材110を外側から保護する円板状の保護部材111が、ボルト112により連結されている。
【0128】
図11に示すように、整地支持アーム83の前部において、駆動軸61,107の整地支持アーム83側の部分に、整地支持アーム83と整地体63との間隔を確保するスペーサ69が取り付けられている。
【0129】
(整地装置の昇降構造)
図3,5,12に示すように、リンク機構3の左隣に位置するように、支持フレーム52が支持フレーム18に連結されて、支持フレーム52の左右方向の横軸芯P3周りに、扇型の昇降ギヤ54が上下に揺動自在に支持されている。ピニオンギヤ55aを備えたギヤ機構55、及びギヤ機構55を駆動する電動モータ56(電動アクチュエータに相当)が支持フレーム52に連結されて、ギヤ機構55のピニオンギヤ55aが昇降ギヤ54に咬合している。
【0130】
図4,5,12に示すように、駆動軸61の中央部の左側において、ボス部材57がベアリング(図示せず)により相対回転自在に駆動軸61に外嵌されており、ボス部材57から上側に延出されたアーム部57aが、昇降ギヤ54に接続されている。
【0131】
図3,5,6に示すように、右及び左の縦フレーム26の上部に、取付部材109が溶接によって連結されており、取付部材58が取付部材109にボルトにより連結されている。支持フレーム67の右端部(整地支持アーム83の取付部83a)と右の取付部材58とに亘ってバネ59が接続され、支持フレーム67の左端部(整地伝動ケース81の取付部81a)と左の取付部材58とに亘ってバネ59が接続されており、バネ59の付勢力により整地装置53が上昇側に付勢されている。
【0132】
図12に示すように、電動モータ56によりギヤ機構55のピニオンギヤ55aを正逆に回転駆動して、昇降ギヤ54を横軸芯P3周りに上下に揺動駆動することによって、整地装置53を苗植付装置5に対して昇降駆動する。
図8及び
図15に示すように、田面Gに接地して田面Gを整地する作業位置A3、及び、田面Gから上側に離れた非作業位置A4の範囲において、電動モータ56により整地装置53を昇降駆動することができる。
【0133】
(感知機構と整地装置との位置関係)−1
図2及び
図8に示すように、整地装置53の後側に、センターフロート9が配置されている。
図7及び
図8に示すように、感知機構88において、感知ロッド84が、整地装置53の後側に上下方向に配置されている。
【0134】
図7及び
図8に示すように、感知機構88において、支持ブラケット77、支持リンク78,79、支持部材80、連係ロッド82が、整地装置53の上側に配置されている。感知アーム85が、感知ロッド84の上部から整地装置53の上側を前側に延出されている。感知ワイヤ86が、感知アーム85の前部から上側に延出されている。
【0135】
図7及び
図8に示すように、感知機構88において、支持ブラケット77、支持リンク78,79、支持部材80、連係ロッド82、感知ロッド84及び感知アーム85が、センターフロート9から整地装置53の上側を迂回するように配置されており、感知ロッド84の前側及び感知アーム85等の下側に入り込むように、整地装置53が配置されている。
【0136】
(感知機構と整地装置との位置関係)−2
図4及び
図5に示すように、整地装置53において、スペーサ64及びボス部材57により、整地体62,63が設けられていない非存在領域114,115,116が設定されている。
【0137】
図4及び
図5に示すように、カバー65,66の間が開けられて、カバー65,66が設けられていない非存在領域117が設定されている。非存在領域117は、非存在領域114の後側(上側)に位置しており、整地体62,63が設けられていない非存在領域114と同じ領域である。
【0138】
図4及び
図5に示すように、カバー65において、非存在領域114,115の上側(後側)に位置する部分に、上側に開放された切り欠き部65a(非存在領域に相当),65bが形成され、非存在領域117の隣の部分に、上下方向に沿った2個の開口部65cが開口されている。この場合、カバー65の切り欠き部65a,65bは、整地体62,63が設けられていない非存在領域115,116と同じ領域である。
【0139】
図4及び
図5に示すように、支持フレーム67において、非存在領域114の上側に位置する部分が平面視で前側に大きく曲げられて、折り曲げ部67a(非存在領域に相当)が形成されており、
図8に示すように、折り曲げ部67aは、側面視で整地体62,63の外周部に沿うように山型に折り曲げられている。この場合に、支持フレーム67の折り曲げ部67aは、整地体62,63が設けられていない非存在領域114と同じ領域である。
【0140】
図4及び
図5に示すように、支持フレーム67の折り曲げ部67aの左部から斜め後側に延びる斜め部67bが形成されており、斜め部67bはカバー65の開口部65cの近傍に位置している。
【0141】
図4,5,8に示すように、感知機構88が、非存在領域114,117及び支持フレーム67の折り曲げ部67aに対向している。PTO軸22が、非存在領域115及びカバー65の切り欠き部65aに対向している。ボス部材57(アーム部57a)が、非存在領域116及びカバー65の切り欠き部65bに対向している。
【0142】
これにより、
図4,5,8に示すように、整地装置53が作業位置A3及び非作業位置A4に亘って昇降駆動された場合、感知機構88が非存在領域114,117及び支持フレーム67の折り曲げ部67aに入るような状態となって、整地装置53と感知機構88との干渉は生じない。
【0143】
図8に示すように、整地装置53が非作業位置A4に位置した状態で、感知機構88が非存在領域114,117及び支持フレーム67の折り曲げ部67aに入ることにより、側面視で、感知機構88(支持ブラケット77、支持リンク78、支持部材80、感知アーム85)と、整地装置53(支持フレーム67)とが重複する状態となる。側面視で、感知機構88(支持リンク78)と、整地装置53(整地体63、カバー65,66)とが重複する状態となる。
【0144】
図4,5,8に示すように、整地装置53が作業位置A3及び非作業位置A4に亘って昇降駆動された場合、PTO軸22が非存在領域115及びカバー65の切り欠き部65aに入り込む状態となって、整地装置53とPTO軸22との干渉は生じない。
【0145】
図4,5,8に示すように、整地装置53が作業位置A3及び非作業位置A4に亘って昇降駆動された場合、ボス部材57(アーム部57a)が非存在領域116及びカバー65の切り欠き部65bに入り込む状態となって、整地装置53とボス部材57(アーム部57a)との干渉は生じない。
【0146】
(整地装置の制御系の配置)
図5及び
図6に示すように、苗植付装置5において、正面視で横フレーム50におけるリンク機構3の右側の部分に、制御装置118及び操作ボックス119が取り付けられている。
【0147】
図6及び
図15に示すように、操作ボックス119の上面に、作動スイッチ120及び整地深さダイヤル121が備えられている。作動スイッチ120は、人為的に押し操作される押しボタン型式であり、整地深さダイヤル121は、人為的に回転操作されるダイヤルスイッチ型式である。
【0148】
図5及び
図6に示すように、苗植付装置5において、縦送り機構25の前側に、泥除けカバー123が配置されて、泥除けカバー123が支持フレーム18及び縦フレーム26に取り付けられている。泥除けカバー123の上端部123aが縦送り機構25の上端部25aよりも上側に位置しており、横フレーム50が泥除けカバー123の上端部123aよりも上側に位置している。
【0149】
これにより、
図5及び
図6に示すように、制御装置118及び操作ボックス119(作動スイッチ120及び整地深さダイヤル121)が、苗植付装置5に取り付けられた状態となり、苗植付装置5における縦送り機構25の上端部25aよりも上側の部分に取り付けられた状態となり、苗植付装置5における泥除けカバー123の上端部123aよりも上側の部分に取り付けられた状態となり、泥除けカバー123の上端部123aよりも上側の横フレーム50に取り付けられた状態となっている。
【0150】
(整地装置の制御系の構成)
図15に示すように、制御装置118と作動スイッチ120及び整地深さダイヤル121とに亘ってハーネス122が接続されて、作動スイッチ120及び整地深さダイヤル121の操作信号が制御装置118に入力される。
【0151】
図13に示すように、支持フレーム18にブラケット126がボルト連結されており、ポテンショメータ型式の設定深さセンサー127が、ブラケット126に取り付けられている。支持軸41に連結されたアーム41bが上側に延出されて、設定深さセンサー127の検出アーム127aに接続されている。
【0152】
図15に示すように、制御装置118と設定深さセンサー127とに亘ってハーネス128が接続されている。前述の(植付アームによる苗の植付深さ(設定深さ)の変更)に記載のように、植付深さレバー42により設定深さが設定及び変更されると、設定深さが設定深さセンサー127により検出されて制御装置118に入力される。
【0153】
図12及び
図15に示すように、整地装置53において、ポテンショメータ型式の高さセンサー74が、横軸芯P3に位置するように支持フレーム52に固定されて、高さセンサー74と昇降ギヤ54とが接続されている。高さセンサー74によって支持フレーム52に対する昇降ギヤ54の角度を検出することにより、苗植付装置5に対する整地装置53の高さが検出される。
【0154】
図15に示すように、制御装置118と高さセンサー74とに亘ってハーネス129が接続されて、苗植付装置5に対する整地装置53の高さが制御装置118に入力される。制御装置118と電動モータ56とに亘ってハーネス130が接続されて、制御装置118により電動モータ56が作動する。
【0155】
図1及び
図14に示すように、機体に設置されたバッテリー124からハーネス131が延出されて、リンク機構3の上部に沿ってリンク機構3の後端部に達しており、ハーネス131の延出端部にカプラ132が接続されている。
【0156】
図14に示すように、昇降操作レバー72が植付位置に操作されていることを検出する植付センサー133(作業センサーに相当)が備えられている。植付センサー133からハーネス134が延出され、ハーネス134がリンク機構3の上部に沿ってリンク機構3の後端部に達して、カプラ132に接続されている。
【0157】
図6,14,15に示すように、制御装置118の下部にカプラ135が備えられて、カプラ132,135に亘ってハーネス136が接続されており、バッテリー124の電力及び植付センサー133の検出信号が制御装置118に供給及び入力される。
【0158】
(整地装置の昇降制御)
前述の(整地装置の制御系の構成)の記載に基づいて、制御装置118が電動モータ56を作動させて整地装置53を昇降駆動するのであり、制御装置118による整地装置53の昇降制御について以下に説明する。
【0159】
図15に示すように、作動スイッチ120を押し操作することにより、非作業位置A4の整地装置53を作業位置A3に下降させることができ、作動スイッチ120を押し操作することにより、作業位置A3の整地装置53を非作業位置A4に上昇させることができる。
【0160】
この場合、植付センサー133の検出により昇降操作レバー72が植付位置に操作されている状態において、前述のような作動スイッチ120の押し操作による整地装置53の昇降を行うことができる。
【0161】
つまり、
図14及び
図15に示すように、整地装置53が非作業位置A4に位置している状態で、昇降操作レバー72が植付位置に操作されていなければ、作動スイッチ120を押し操作しても、整地装置53は作業位置A3に下降せずに非作業位置A4に残る。
整地装置53が作業位置A3に位置している状態で、昇降操作レバー72が植付位置から別の位置に操作されると、作動スイッチ120を押し操作しなくても、整地装置53が非作業位置A4に自動的に上昇する。
【0162】
図15に示すように、整地装置53が作業位置A3に位置している状態において、整地体62,63が田面Gに少し入り込で回転することにより、田面Gの整地が行われる。この場合、整地体62,63が田面Gに入り込む整地深さA2において、整地深さダイヤル121を操作することにより、整地深さA2を浅側及び深側に調節することができる。
【0163】
前述の(植付アームによる苗の植付深さ(設定深さ)の変更)に記載のように、植付深さレバー42を操作して、苗の植付深さ(設定深さ)を変更すると、田面Gから苗植付装置5までの高さが変化するので、これに伴って田面Gから横軸芯P2までの高さも変化して、整地深さA2が変化する。
【0164】
図15に示すように、設定深さが設定深さセンサー127により検出されて制御装置118に入力されている。これにより、設定深さが浅側に変更されると(横軸芯P2の位置が上側に変更されると)、設定深さが浅側に変更された分だけ、整地装置53が自動的に下降して、整地深さA2が整地深さダイヤル121によって設定された値に維持される。
【0165】
図15に示すように、設定深さが深側に変更されると(横軸芯P2の位置が下側に変更されると)、設定深さが深側に変更された分だけ、整地装置53が自動的に上昇して、整地深さA2が整地深さダイヤル121によって設定された値に維持される。
【0166】
(整地装置を装備しない乗用型田植機の仕様)
図1〜
図15は、整地装置53を装備した乗用型田植機が示されている。
これに対して、整地装置53を装備しない乗用型田植機では、機体Kや苗植付装置5等がそのまま使用されて、以下の(1)〜(6)に示すような変更が施されるのであり、(1)〜(6)に示す変更以外の部分は、整地装置53を装備した乗用型田植機と同じである。
【0167】
(1)整地装置53が装備されないことによって、
図4,5,10に示す整地伝動ケース81、整地支持アーム83、中間ケース89,92、中継伝動軸101、継手部材102、キー103、ボルト93、位置決め部材104、
図4,5,11に示す支持部材95、連結部材96、支持軸97、ボルト98,100、
図5及び
図6に示す取付部材58、バネ59が装備されない。
【0168】
(2)前項(1)に記載のように中間ケース89,92が装備されないことにより、
図10に示す左端の植付伝動ケース6から植付伝動軸32が露出する。
この場合、ベアリング及びシール部材を備えたカバー部材(図示せず)が、左端の植付伝動ケース6における植付伝動軸32の部分に外側に、ボルト90により連結され、植付伝動軸32の端部にキャップ(図示せず)が取り付けられる。
【0169】
(3)
図3及び
図12に示す支持フレーム52、昇降ギヤ54、ギヤ機構55、電動モータ56、高さセンサー74、ボス部材57、
図13に示すブラケット126、設定深さセンサー127が装備されない。
【0170】
(4)
図5,6,15に示す制御装置118、操作ボックス119(作動スイッチ120及び整地深さダイヤル121)、ハーネス122,128,129,130,136が装備されない。この場合、カプラ132に蓋部(図示せず)を取り付けて、カプラ132の端子等を保護する。
【0171】
(5)
図7,8,9に示す感知機構88が装備されない。この場合、感知機構88に代えて、別の感知機構(図示せず)が、センターフロート9と制御弁71とに亘って接続される。
【0172】
前述の別の感知機構を支持するブラケット(図示せず)が支持フレーム18等に連結されており、前述のブラケットは整地装置53を装備した乗用型田植機においても残る。これにより、整地装置53を装備した乗用型田植機において、
図4に示すように、カバー65及び支持フレーム67と前述のブラケットとの干渉が、カバー65の開口部65c及び支持フレーム67の斜め部67bにより避けられる。
【0173】
(6)
図3,4,5に示すガード部材113が装備されない。この場合、ガード部材113に代えて、保護姿勢及び支持姿勢に姿勢変更自在なガード部材(図示せず)が、支持フレーム18の右部及び左部のブラケット94に取り付けられる。
【0174】
前述の保護姿勢は、ガード部材113と同じようにガイドレール38の右端部(左端部)の外側近傍に位置して、ガイドレール38の右端部(左端部)を保護する姿勢である。支持姿勢は、支持フレーム18から下向きに延出されて地面に接地して、苗植付装置5を地面に支持するスタンドとして機能する姿勢である。
【0175】
(発明の実施の別形態)
整地伝動ケース81及び整地支持アーム83に代えて、平行リンク等を備えた昇降機構(図示せず)により、整地装置53を苗植付装置5に昇降自在に支持してもよい。
この場合、整地装置53を、苗植付装置5ではなく、機体Kの後部に昇降自在に連結してもよい。苗植付装置5から整地装置53に動力を伝達するのではなく、機体Kから延出された伝動軸(図示せず)を介して、整地装置53に動力を伝達するように構成してもよい。
【0176】
センターフロート9に代えて、田面Gに接地追従するソリ状の接地体(図示せず)を備えてもよい。
感知機構88において、感知ワイヤ86に代えて、感知アーム85の前部に、第3感知部として、感知ロッド(図示せず)を接続して上側に延出するように構成してもよい。
【0177】
感知機構88において、感知アーム85の下限位置ピン85bを廃止し、支持部材80又は別の部分から、下限位置設定部としての下限位置ロッド(図示せず)を延出し、下限位置ロッドを、感知アーム85の前部の上側、又は、感知アーム85の後部の下側に配置するように構成してもよい。
これにより、センターフロート9が下降した場合、感知アーム85の前部又は後部が下限位置ロッドに当たることにより、センターフロート9が下限位置で止められる。
【0178】
前述の(整地装置を装備しない乗用型田植機の仕様)の(5)について、別の感知機構ではなく、
図7,8,9に示す感知機構88を、整地装置53を装備しない乗用型田植機に使用してもよい。
この場合、別の感知機構を支持するブラケットが不要になり、整地装置53において、カバー65の開口部65c及び支持フレーム67の斜め部67bが不要になる。
【0179】
前述の(整地装置を装備しない乗用型田植機の仕様)の(6)について、
図3,4,5に示すガード部材113を、整地装置53を装備しない乗用型田植機に使用してもよい。