特開2018-166472(P2018-166472A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-166472(P2018-166472A)
(43)【公開日】2018年11月1日
(54)【発明の名称】散布支援システム
(51)【国際特許分類】
   A01M 7/00 20060101AFI20181005BHJP
   A01G 7/00 20060101ALI20181005BHJP
【FI】
   A01M7/00 Y
   A01G7/00 603
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-68259(P2017-68259)
(22)【出願日】2017年3月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100120341
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】外池 麻衣
(72)【発明者】
【氏名】武智 貫太
(72)【発明者】
【氏名】岡田 泰典
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121CB69
2B121CB70
2B121EA26
2B121FA20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】圃場に散布した散布剤の証明を簡単に行うことができる散布支援システムを提供する。
【解決手段】散布支援システムは、圃場に散布剤を散布可能な散布装置1と、散布装置の位置情報を検出する位置検出装置13と、散布装置に設けられ且つ、散布装置の散布時の散布情報及び位置情報を出力可能な通信装置16と、通信装置から出力された散布情報及び位置情報を取得可能な支援装置30と、を備え、支援装置は、散布情報及び位置情報に基づいて圃場における散布剤の散布証明書を作成する証明書作成部39を有している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場に散布剤を散布可能な散布装置と、
前記散布装置の位置情報を検出する位置検出装置と、
前記散布装置に設けられ且つ、前記散布装置の散布時の散布情報及び前記位置情報を出力可能な通信装置と、
前記通信装置から出力された前記散布情報及び位置情報を取得可能な支援装置と、
を備え、
前記支援装置は、前記散布情報及び位置情報に基づいて前記圃場における散布剤の散布証明書を作成する証明書作成部を有している散布支援システム。
【請求項2】
前記支援装置は、前記散布剤名及び前記散布剤を散布する圃場を示す圃場名を含む散布実績を記憶する実績記憶部を備え、
前記証明書作成部は、前記位置情報に基づいて前記散布実績で示された圃場名を特定する圃場特定部と、前記散布情報に基づいて前記圃場特定部で特定した圃場名に対応する圃場における散布量を演算する演算部と、前記圃場特定部で特定した圃場名と前記演算部で演算した散布量と対応付けて前記散布証明書として発行する発行部と、を有している請求項1に記載の散布支援システム。
【請求項3】
前記発行部は、前記散布実績で示された散布剤名、前記圃場特定部で特定した圃場名、前記演算部で演算した散布量を対応付けて前記散布証明書として発行する請求項2に記載の散布支援システム。
【請求項4】
前記実績記憶部は、前記圃場の圃場面積、前記圃場で作付する作物の品種名を前記散布実績として記憶しており、
前記発行部は、前記散布実績で示された圃場面積及び品種名を、散布剤名、前記圃場名、前記散布量に対応付けて発行する請求項3に記載の散布支援システム。
【請求項5】
前記支援装置は、少なくとも公的機関に登録された散布剤名を取得する散布剤名取得部と、散布計画を作成する計画作成部と、前記計画作成部で作成された散布計画を前記散布実績に変換する実績作成部と、
を備え、
前記計画作成部は、前記散布剤名取得部が取得した前記散布剤名を前記散布計画に適用する請求項2〜4に記載の散布支援システム。
【請求項6】
前記散布装置は、散布剤の散布量を変更可能な散布部を有している請求項1〜5のいずれかに記載の散布支援システム。
【請求項7】
前記支援装置は、前記圃場の所定領域における散布状況を前記散布情報及び前記位置情報に基づいて演算する散布状況演算部と、前記散布状態演算部で演算された所定領域における散布状況を表示する第1表示部とを備えている請求項1〜6のいずれかに記載の散布支援システム。
【請求項8】
前記支援装置は、前記所定領域における作物の生育状況を取得する生育状況取得部と、前記生育状況取得部で取得した生育状況を前記圃場に対応して表示する第2表示部とを備えている請求項7に記載の散布支援システム。
【請求項9】
前記支援装置は、前記所定領域における作物の収量状況を取得する収量状況取得部と、前記収量状況取得部で取得した収量状況を前記圃場に対応して表示する第3表示部とを備えている請求項7又は8に記載の散布支援システム。
【請求項10】
前記証明書作成部は、少なくとも散布剤を散布した散布日、散布剤名、希釈倍率、散布量、散布方法を含む散布証明書を作成することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の散布支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、散布支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、圃場に薬剤等の散布剤を散布する散布装置として、特許文献1に示すものが知られている。
特許文献1の散布装置は、機体に設けられブームと、ブームに設けられた複数の散布ノズルと、薬剤を貯留するタンクと、タンクに貯留した薬剤をノズルに送り出すポンプと、位置を検出する位置検出装置とを備えている。この散布装置では、位置を検出しながら薬剤を圃場に散布することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−163588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、散布装置によって圃場に薬剤(農薬)を散布することによって、害虫等の防除を行うことができ、農業では有効な手段として用いられている。一方で、作物に対する農薬の影響も懸念されているのが実情である。しかしながら、従来の散布装置による薬剤の散布システムでは、圃場に対する薬剤等の散布状況の証明を行う作業が大変であるいう問題がある。また、薬剤以外の肥料においても散布状況の証明をしてほしいという要望もある。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、簡単に圃場に散布した散布剤の証明を簡単に行うことができる散布支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この技術的課題を解決するための本発明の技術的手段は、以下に示す点を特徴とする。
散布支援システムは、圃場に散布剤を散布可能な散布装置と、前記散布装置の位置情報を検出する位置検出装置と、前記散布装置に設けられ且つ、前記散布装置の散布時の散布情報及び前記位置情報を出力可能な通信装置と、前記通信装置から出力された前記散布情報及び位置情報を取得可能な支援装置と、を備え、前記支援装置は、前記散布情報及び位置情報に基づいて前記圃場における散布剤の散布証明書を作成する証明書作成部を備えている。
【0007】
前記支援装置は、前記散布剤名及び前記散布剤を散布する圃場を示す圃場名を含む散布実績を記憶する実績記憶部を備え、前記証明書作成部は、前記位置情報に基づいて前記散布実績で示された圃場名を特定する圃場特定部と、前記散布情報に基づいて前記圃場特定部で特定した圃場名に対応する圃場における散布量を演算する演算部と、前記圃場特定部で特定した圃場名と前記演算部で演算した散布量と対応付けて前記散布証明書として発行する発行部と、を有している。
【0008】
前記発行部は、前記散布実績で示された散布剤名、前記圃場特定部で特定した圃場名、前記演算部で演算した散布量を対応付けて前記散布証明書として発行する。
前記実績記憶部は、前記圃場の圃場面積、前記圃場で作付する作物の品種名を前記散布実績として記憶しており、前記発行部は、前記散布実績で示された圃場面積及び品種名を、散布剤名、前記圃場名、前記散布量に対応付けて発行する。
【0009】
前記支援装置は、少なくとも公的機関に登録された散布剤名を取得する散布剤名取得部と、散布計画を作成する計画作成部と、前記計画作成部で作成された散布計画を前記散布実績に変換する実績作成部と、を備え、前記計画作成部は、前記散布剤名取得部が取得した前記散布剤名を前記散布計画に適用する。
前記散布装置は、散布剤の散布量を変更可能な散布部を有している。
【0010】
前記支援装置は、前記圃場の所定領域における散布状況を前記散布情報及び前記位置情報に基づいて演算する散布状況演算部と、前記散布状態演算部で演算された所定領域における散布状況を表示する第1表示部とを備えている。
前記支援装置は、前記所定領域における作物の生育状況を取得する生育状況取得部と、前記生育状況取得部で取得した生育状況を前記圃場に対応して表示する第2表示部とを備えている。
【0011】
前記支援装置は、前記所定領域における作物の収量状況を取得する収量状況取得部と、前記収量状況取得部で取得した収量状況を前記圃場に対応して表示する第3表示部とを備えている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡単に圃場に散布した散布剤の証明を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態における作業支援システムの全体図である。
図2A】散布情報の一例を示す図である。
図2B】散布情報と位置情報とを関連付けた一例を示す図である。
図3】携帯端末の表示部に表示した画面の一例を示す図である。
図4】散布計画を設定する設定画面の一例を示す図である。
図5】携帯端末に散布作業の指令をした一例を示す図である。
図6】作付計画を設定する設定画面の一例を示す図である。10
図7】薬剤散布証明書の一例を示す図である。
図8A】散布証明書を作成する第1例を示す図である。
図8B】散布証明書を作成する第2例を示す図である。
図9】散布開始の位置と散布終了の位置とを推定する方法を説明する説明図である。
図10】第2実施形態における作業支援システムの全体図である。
図11A】圃場の所定領域Qn、所定領域の幅L1、散布装置との関係を示す図である。
図11B】散布状況の一例を示す図である。
図11C】生育状況の一例を示す図である。
図11D】収穫状況の一例を示す図である。
図12】複数の散布ノズルと流量検出装置との関係を示す図である。
図13】散布ノズル毎に散布量を求める説明図である。
図14A】散布装置の正面図である。
図14B】散布装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1は、散布支援システムを示している。散布支援システムは、散布剤の散布を支援するシステムである。散布剤とは、例えば、薬剤(農薬)、肥料等である。
まず、散布剤を散布する散布装置の全体構成について説明する。
【0015】
図14A及び図14Bに示すように、散布装置1は、機体2と、機体2に設けられ且つ散布剤を貯留するタンク3と、散布剤を送り出す(吐出する)ポンプ4と、機体2に設けられ且つ機体2の幅方向に延びるブーム5と、ポンプ4から送り出された散布剤を散布する複数の散布ノズル6とを備えている。複数の散布ノズル(散布部)6は、ブーム5の延設方向に沿って所定の間隔で取付けられている。なお、ポンプ4と散布ノズル6とを接続する配管(パイプ)は、ブーム5に取付けられていてもよいし、ブーム5自体が配管を兼用していてもよく、図14A及び図14Bに示した散布装置1に限定されない。
【0016】
また、図14A及び図14Bに示した散布装置1は、機体2に車輪7、運転席及びエンジンが設けられていて自走式であるが、トラクタ等の牽引車両に牽引される牽引式であってもよい。
図1に示すように、散布装置1は、検出装置10と、表示装置11と、制御装置12と、位置検出装置13とを備えている。検出装置10は、散布装置1に搭載された様々な機器の状態を検出する装置であってセンサ等で構成されている。検出装置10は、例えば、散布圧力を検出する散布圧力センサ、散布剤の流量を検出する流量センサ(流量検出装置)、配管に設けられた制御弁(開閉弁)の開度を検出する開度センサ、エンジンの回転数を検出するエンジン回転センサ、車速(走行速度)を検出する速度センサ等である。この実施形態では、流量センサは、複数の散布ノズル6に分岐する前の配管に接続されていて、複数の散布ノズル6の全ての散布剤の流量を「散布剤の散布量」として検出する。また、散布圧力センサも、複数の散布ノズル6に分岐する前の配管に接続されていて、複数の散布ノズル6の全てが同時に散布したときの圧力を「散布圧力」として検出する。なお、流量センサ及び散布圧力センサを、複数の散布ノズル6の1つ1つに取付けてもよいし、複数の散布ノズルをグループ化してグループ毎に、散布剤の流量及び散布剤の散布圧力を検出できるようにしてもよい。
【0017】
表示装置11は、様々な表示を行う装置であって、散布圧力、散布量等の散布状態、車速(走行速度)等を表示する。また、表示装置11は、散布圧力、散布量、車速を設定可能である。制御装置12は、散布装置1を制御する装置であって、散布に関する制御(散布制御)、走行に関する制御(走行制御)を検出装置10により検出された検出信号、表示装置11で設定された設定値(散布圧力、散布量、車速)等によって実行する。制御装置12は、例えば、散布圧力、散布量が表示装置11に設定された設定値と一致するようにポンプ4、制御弁の開度等を制御したり、走行速度が一定となるようにエンジンを制御する。散布制御を行うにあたっては、制御装置12は、車速に連動して単位時間当たりの散布量を変更する車速連動であることが好ましい。なお、制御装置12による散布制御、走行制御は一例であって、従来より行っている散布制御、走行制御を適用してもよく、限定されない。
【0018】
位置検出装置13は、衛星測位システム(Global Positioning System,Galileo、GLONASSなど)を用いて位置(緯度、経度)を検出する装置である。位置検出装置13は、機体2等に取付けられている。位置検出装置13は、測位衛星15から送信される衛星信号(電波)を受信し、受信した衛星信号に基づいて位置を算出する。なお、位置検出装置13は、衛星測位システムを用いて散布装置1(機体2)の位置を算出する装置であれば何でもよく、位置を算出する方法は限定されない。
【0019】
散布装置1は、通信装置16を備えている。通信装置16は、検出装置10、表示装置11、制御装置12及び位置検出装置13に接続されている。通信装置16は、検出装置10、表示装置11、制御装置12及び位置検出装置13から検出された様々な信号(情報)を取得し、取得した信号等を外部に送信可能である。通信装置16は、計時部16Aと、データ整理部16Bと、第1記憶部16Cと、第1通信部16Dとを有している。
【0020】
計時部16A及びデータ整理部16Bは、通信装置16に設けられた電気・電子部品、電気回路、当該通信装置16に格納されたプログラム等から構成されている。計時部16Aは、タイマであって、現在の時刻を演算する。
データ整理部16Bは、通信装置16が取得した様々な信号(情報)を用いて演算処理を行う。例えば、データ整理部16Bは、総散布量(単位:L)を演算する。総散布量とは、散布ノズル6が散布開始してから現在までの合計の散布量であって、散布ノズル6の散布開始時の計時部16Aの時刻、現在の時刻、流量センサの値等に基づいて、総散布量を演算する。なお、データ整理部16Bは、制御装置12に設けてもよいし、他の装置に設けてもよい。
【0021】
第1記憶部16Cは、不揮発性のメモリであって、少なくとも散布装置1が稼働している状態の散布情報を記憶する。即ち、第1記憶部16Cは、通信装置16が取得した散布情報を記憶する。例えば、図2Aに示すように、第1記憶部16Cは、計時部16Aが算出した時刻、総散布量、速度センサで検出された車速(km/h)、流量センサで検出された瞬間散布量(L/min)、散布圧力センサで検出された散布圧力(Mpa)、警告情報を記憶する。
【0022】
警告情報は、圧力異常、制御弁の開度上限、車速の上限、制御弁異常等である。圧力異常とは、散布圧力センサで検出された散布圧力が予め設定された上限値を超えたことを示し、制御弁の開度上限とは制御弁の開度が最大値になったことを示し、車速の上限とは車速が予め設定された上限値を超えたことを示し、制御弁異常とは制御弁の何らかの異常(動作できない)を示している。第1記憶部16Cは、計時部16Aで計時した日付(月、日)を時刻と共に記憶してもよい。
【0023】
また、第1記憶部16Cは、図2Bに示すように、散布情報(時刻(日付)、総散布量、車速、瞬間散布量、散布圧力、警告情報)と位置情報(緯度、経度)とを対応付けて記憶する。したがって、第1記憶部16Cの散布情報及び位置情報を参照することで、所定位置である場合の散布情報(時刻(日付)、総散布量、車速、瞬間散布量、散布圧力、警告情報)を把握することが可能である。
【0024】
第1通信部16Dは、近距離、或いは、長距離の通信を行う装置であり、支援装置30等と接続可能である。例えば、第1通信部16Dは、通信規格であるIEEE802.11シリーズのWi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標)等により無線通信を行う装置である。なお、第1通信部16Dは、携帯電話通信網により無線通信を行う装置であっても、データ通信網により無線通信を行う装置であってもよい。第1通信部16Dは、散布装置1の散布時の散布情報及び位置情報、即ち、第1記憶部16Cに記憶した散布情報と散布情報に対応付けられた位置情報とを支援装置30等に送信する。例えば、携帯端末20を経由して支援装置30に散布情報及び位置情報を送信する。
【0025】
携帯端末20は、例えば、比較的演算能力の高いスマートフォン(多機能携帯電話)やタブレットPC等で構成されている。携帯端末20は、第2通信部20Aと、第2記憶部20Bと、表示部20Cとを備えている。携帯端末20は、散布作業を行う作業者(農作業者)が操作可能な端末である。
第2通信部20Aは、散布装置1(第1通信部16D)、支援装置30と無線通信を行う装置である。第2通信部20Aは、例えば、通信規格であるIEEE802.11シリーズのWi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標)等により無線通信を行うことができる。また、第2通信部20Aは、例えば、携帯電話通信網やデータ通信網や携帯電話通信網などにより無線通信を行うことができる。第2記憶部20Bは、不揮発性のメモリであって、散布装置1から取得した散布情報及び位置情報を記憶する。
【0026】
表示部20Cは、タッチパネル型の液晶パネル等で構成されていて、様々な情報を表示することが可能である。図3に示すように、例えば、表示部20Cに表示された収集ボタン22を作業者が選択すると、第2通信部20Aは第1通信部16Aに対して接続を要求して、当該第1通信部16A(散布装置1)と第2通信部20A(携帯端末20)との接続を確立する。その後、第2通信部20Aは、第1通信部16Aから送信された散布情報及び位置情報を取得する。第2通信部20Aが取得した散布情報及び位置情報は、第2記憶部20Bに一時的に記憶される。また、第2通信部20Aは支援装置30に対して接続要求を行った後、支援装置30との接続を確立し、携帯端末20が取得した散布情報及び位置情報を支援装置30に送信する。なお、上述した実施形態では、携帯端末20を経由して支援装置30に散布情報及び位置情報を送信していたが、これに代えて、散布装置1(通信装置16)から直接、支援装置30に散布情報及び位置情報を送信してもよい。
【0027】
次に、支援装置30について説明する。支援装置30は、少なくとも散布剤の散布を支援するコンピュータ、即ち、サーバである。サーバ30には、散布装置1(通信装置16)、携帯端末20が接続可能である。また、農作業を管理する管理コンピュータ21が接続可能である。管理コンピュータ21は、農作業を管理する管理者に割り当てられたパーソナルコンピュータ(PC)等である。
【0028】
なお、サーバ30には、携帯端末20と当該携帯端末20に割り当てられた作業者(作業者名)とが関連付けられており、携帯端末20をサーバ30にログインすることによって、サーバ30は携帯端末20に割り当てられた作業者が特定できるようになっている。また、サーバ30には、管理コンピュータ21と当該管理コンピュータ21に割り当てられた管理者とが関連付けられており、管理コンピュータ21をサーバ30にログインすることによって、サーバ30は管理コンピュータ21に割り当てられた管理者が特定できるようになっている。
【0029】
サーバ30は、散布計画を作成する計画作成部31と、散布計画を記憶する計画記憶部32とを有している。また、サーバ30は、散布剤名取得部33を有している。計画作成部31及び散布剤名取得部33は、サーバ30に設けられた電気・電子部品、電気回路、当該サーバ30に格納されたプログラム等から構成されている。散布計画とは、散布剤の名称を示す散布剤名と、散布剤を散布する対象となる圃場名とを含む計画である。
【0030】
管理コンピュータ21がサーバ30にログイン後、当該管理コンピュータ21の表示部21aに表示された散布計画作成ボタンが選択され、当該管理コンピュータ21から散布計画作成の要求を行うと、この要求に応じて計画作成部31は、図4に示すように、散布計画を立てるための設定画面M1を管理コンピュータ21に表示する。
設定画面M1は、散布作業を行う日付を設定する日付設定部40と、圃場を設定する圃場設定部41と、作業者を設定する作業者設定部42と、散布作業の時間(散布時間)を設定するための時間設定部43とを含んでいる。また、設定画面M1は、散布機械を設定する機械設定部44と、散布剤の種類、即ち、散布剤の名称を設定する散布剤設定部45と、散布剤の散布量を設定する散布量設定部46とを含んでいる。
【0031】
圃場設定部41には、管理コンピュータ21又はサーバ30に登録された圃場を示す圃場名、又は、登録されている圃場名に対応する圃場を地図上に表示される。即ち、圃場(圃場名)と圃場の位置とは関連付けられていて、地図上に示された圃場(圃場名)を選択することによって、散布作業を行う圃場(圃場名)を設定することができる。圃場(圃場名)と、圃場の位置情報とはサーバ30等が有する圃場登録データベースに保存されている。
【0032】
作業者設定部42には、予め管理コンピュータ21又はサーバ30に登録された作業者名作業者が一覧で表示され、作業を行う作業者名を一覧から選択することによって作業者を決定することができる。また、時間設定部43では、散布作業を行う時間帯が設定可能である。機械設定部44には、管理コンピュータ21又はサーバ30に登録された散布装置を示す情報(機械情報)、例えば、機械名(散布装置名)の一覧が表示され、機械名(散布装置名)を選択することによって散布作業を行う散布装置が設定可能である。なお、機械設定部44には、機械情報として、散布装置の機種、散布装置の型番の一覧を表示してもよい。
【0033】
散布剤設定部45には、予め管理コンピュータ21又はサーバ30に登録された散布剤を示す散布剤名が一覧で表示され、散布剤名を選択することによって散布作業で用いられる散布剤が設定可能である。
散布剤設定部45に表示される散布剤名は、少なくとも公的機関PUに登録された散布剤名である。散布剤が農薬である場合、図1に示すように、散布剤名取得部33は定期的に、農林水産省又は農林水産省が管轄する機関(公的機関)PUのサーバ49に接続して、サーバ49に登録されている農薬名を含む農薬情報(散布剤情報)をダウンロードによって取得し、散布剤設定部45で表示する農薬情報(農薬名)を更新する。
【0034】
なお、公的機関から農薬名を取得して農薬に関する情報提供を行っている民間機関から農薬名を取得してもよい。農薬情報は、農薬名の他に、対象作物、登録番号、用途、対象害虫名、農薬の種類等が含まれていて、これらの農薬情報はサーバ30に保存されて、ダウンロードの毎に更新される。
散布量設定部46では、所定の面積当たりの散布剤の散布量が設定可能である。設定画面M1によって設定された散布計画[日付、圃場(圃場名)、作業者名、散布時間、機械情報(機械名)、散布剤名、散布量]は、計画記憶部32に記憶させる。
【0035】
したがって、管理コンピュータ21をサーバ30に接続することにより、作業者に対応付けて散布計画を簡単に作成することができ、作成した散布計画を計画記憶部32に記憶することができる。
さて、図1に示すように、サーバ30は、作業指示部36を備えている。作業指示部36は、サーバ30に設けられた電気・電子部品、電気回路、当該サーバ30に格納されたプログラム等から構成されている。作業指示部36は、携帯端末20に散布計画を送信可能である。
【0036】
図3に示すように、作業者が携帯端末20の表示部20Cに表示された出勤ボタン23を選択すると、当該携帯端末20はサーバ30にログインする。携帯端末20がサーバ30にログイン後、当該携帯端末20は、散布計画の送信の要求をサーバ30に行う。サーバ30の作業指示部36は、携帯端末20に割り当てられた作業者名が含まれる散布計画を計画記憶部32から抽出する。そして、作業指示部36は、抽出した散布計画を携帯端末20に送信する。なお、携帯端末20に散布計画を取得したい圃場名を入力して、当該携帯端末20から散布計画を取得したい圃場(圃場名)をサーバ30に要求し、サーバ30(作業指示部36)は要求された圃場名に対応する散布計画を、携帯端末20に送信してもよい。
【0037】
図5に示すように、携帯端末20は、計画作成部31によって作成された散布計画が散布指示内容として表示部20Cに表示される。作業者は、携帯端末20の表示部20Cに表示された散布指示内容(散布計画と同一)を見て散布作業を行う。携帯端末20に表示された散布指示内容の散布作業を完了すると、作業者は、表示部20Cに表示された完了ボタン24を選択する。携帯端末20は、完了ボタン24が選択されると、表示部20Cに表示された散布指示内容が完了したことをサーバ30に通知する、即ち、散布完了通知を送信する。
【0038】
図1に示すように、サーバ30は、実績作成部34と、実績記憶部35とを有している。実績作成部34は、サーバ30に設けられた電気・電子部品、電気回路、当該サーバ30に格納されたプログラム等から構成されている。実績作成部34は、例えば、計画作成部31で作成された散布計画を散布実績に変換する。即ち、実績作成部34は、携帯端末20から送信された散布完了通知を受けて、図5に示すように、作業指示部36が指示した散布指示内容(散布計画と同一)を散布実績に変換する。散布実績は、実績記憶部35に記憶される。
【0039】
なお、携帯端末20は、完了ボタン24が選択されると、散布装置1(通信装置16)に接続して、通信装置16の第1記憶部16Cに記憶された散布情報及び位置情報を取得し、取得した散布情報及び位置情報をサーバ30に送信してもよい。サーバ30が散布情報及び位置情報を受信すると、当該サーバ30は、受信した散布情報及び位置情報を散布実績として実績記憶部35に記憶する。また、上述した実施形態では、完了ボタン24の選択の他に、収集ボタン22を選択することによって、散布情報及び位置情報をサーバ30に送信することが可能である。この場合も、サーバ30は、散布情報及び位置情報を受信すると、受信した散布情報及び位置情報を散布実績として実績記憶部35に記憶する。
【0040】
以上によれば、計画作成部31によって散布計画を作成し、作業指示部36によって散布計画に基づく散布作業の指示を作業者に行い、散布計画通りに散布作業が完了すると、実績作成部48によって、散布計画を散布実績に変換することにより、散布実績を保存することができる。また、収集ボタン22、完了ボタン24の選択によってサーバ30に送信された散布情報及び位置情報も散布実績として保存することができる。
【0041】
なお、作業者が行った散布計画(散布指示内容)が実際の散布作業と異なる場合、携帯端末20の表示部20Cに表示された散布指示内容は、当該携帯端末20を操作することによって修正することが可能である。散布指示内容を修正した場合、携帯端末20はサーバ30に散布完了通知と共に修正内容を送信する。実績作成部34は、携帯端末20から送信された修正内容に基づいて、計画作成部31で作成された散布計画の一部を修正し、一部修正された散布計画を散布実績として変換してもよい。これにより、散布計画で示された複数の項目(日付、圃場名、作業者名、散布時間、散布装置名、散布剤名、散布量)のいずれかを修正することで散布実績を作成することができる。
【0042】
また、計画作成部31によって散布計画を作成する場合、散布計画とは別にサーバ30によって作成された作付計画と連携させてもよい。作付計画とは、作付する作物に関する計画であって、管理者名、作付年度、品目名、品種名(作物名)、圃場名、各圃場の圃場面積、作付面積等を設定する計画である。作付計画は、サーバ30に設けられた作付作成部37により行う。サーバ30に設けられた電気・電子部品、電気回路、当該サーバ30に格納されたプログラム等から構成されている。
【0043】
管理コンピュータ21がサーバ30にログイン後、当該管理コンピュータ21の表示部21aに表示された作付計画作成ボタンが選択され、当該管理コンピュータ21から作付計画作成の要求を行うと、この要求に応じて作付作成部37は、図6に示すように、作付計画を立てるための設定画面M2を管理コンピュータ21に表示する。設定画面M2には、管理者名、作付年度、品目名(例えば、水稲)、品種名(コシヒカリ、あきたこまち等の作物名)、作物名に対応する作物を作付する複数の圃場名、各圃場の圃場面積を設定することができる。作付作成部37によって作成された作付計画は作付記憶部38に記憶される。
【0044】
散布計画と作付計画とを連携させる場合、図5に示すように、散布計画の作成を行う時点で計画作成部31は、設定画面M1に作付記憶部38に記憶されている作付計画の一覧で表示する。作付計画の一覧から所定の作付計画を選択可能である。したがって、計画作成部31によって散布計画時に所定の作付計画を選択することにより、散布計画と作付計画とを関連付けることができる。つまり、複数の散布計画のうち、所定の散布計画を見た場合、所定の散布計画には所定の作付計画が紐づけられることになる。
【0045】
このように、散布計画と作付計画とが関連付けている場合、散布実績は、散布計画を散布実績に変換するだけでなく、散布計画に紐づけられた作付計画を抽出して抽出した作付計画に示された項目(管理者名、作付年度、品目名、品種名(作物名)、圃場面積、作付面積)を散布実績として追加することができる。
以上によれば、管理者等が散布計画を作成した後、作成した散布計画に基づく散布作業の指示を作業者に行うことができる。また、散布計画通りに散布作業が完了した場合は、散布計画を散布実績に変換することにより、散布実績をサーバ30に保存することができる。また、散布計画通りに散布作業が行われなかった場合でも、散布計画の一部を修正して変換をすれば、散布実績をサーバ30に保存することができる。一方で、携帯端末20の表示部20Cに表示した収集ボタン22、又は、完了ボタン24を選択することによって、散布情報及び位置情報をサーバ30に送信することができ、サーバ30側では受信した散布情報及び位置情報を散布実績として保存することができる。つまり、上述した散布システムでは、散布計画の作成、散布作業の指示、散布計画に基づいて作業者が行った散布実績、散布計画に基づいて散布装置1が行った散布実績をデータ化することができる。
【0046】
さて、散布システムでは、圃場における散布剤の散布証明書を作成することが可能である。
図7は、散布証明書の一例を示している。以下、散布剤は農薬とし、散布証明書は農薬散布証明書であるとして説明を続ける。農薬散布証明書は、図7の様式に限定されず、圃場における散布剤の散布が証明できるようなものであれば何でもよい。
【0047】
図7に示すように、農薬散布証明書は、「農薬散布責任者」を記載する記載部F1、「作物情報」を記載する記載部F2、「農薬散布作業履歴」を記載する記載部F3、「使用農薬」を記載する記載部F4を含んでいる。
記載部F2には、作物情報として、作付年度、圃場名、品目名、生産者名、作付面積、品種を記載する。記載部F3には、農薬散布作業履歴として、散布日、圃場名、圃場面積、作業者名、農薬名、対象害虫、希釈倍率、散布液量、散布方法(機械名)を記載する。記載部F4には、農薬名、登録番号、用途、作物名、対象害虫、農薬種類、希釈倍率、散布液量、使用時期、使用回数を記載する。なお、散布方法は、散布する方法が分かる情報であれば何でもよく、散布装置の機械情報(散布装置の機械名、散布装置の機種、散布装置の型番)であってもよいし、公的機関等で定められた散布方法を示す名称や呼称であってもよい。この実施形態では、散布方法は、図7に示したように機械名によって示すこととして説明を進める。
【0048】
図1に示すように、サーバ30は、散布証明書の作成を行う証明書作成部39を有している。証明書作成部39は、サーバ30に設けられた電気・電子部品、電気回路、当該サーバ30に格納されたプログラム等から構成されている。証明書作成部39について説明する。
管理コンピュータ21がサーバ30にログイン後、当該管理コンピュータ21の表示部21aに表示された証明書作成ボタンが選択され、当該管理コンピュータ21から証明書作成の要求を行うと、証明書作成部39による散布証明書の作成が実行される。
【0049】
散布証明書の作成を実行した場合、証明書作成部39は、散布実績(日付、圃場名、作業者名、散布時間、散布装置名、農薬名(散布剤名)、散布量、管理者名、作付年度、品目名、品種名(作物名)、圃場面積、作付面積)を参照する。また、証明書作成部39は、散布実績のデータを、農薬散布証明書の記載部F1,F2,F3、F4に示された項目に自動的に割り当てる。
【0050】
図8Aに示すように、具体的には、証明書作成部39は、散布実績の管理者名を農薬散布責任者に割り当てることで、記載部F1の各項目に対応付ける(S1:第1処理)。証明書作成部39は、散布実績の作付年度、圃場名、品目名、作業者名、作付面積、品種名(作物名)をそれぞれ、作物情報の「作付年度、「圃場名」、「品目名」、「生産者名」、「作付面積」、「品種」に割り当てることで、記載部F2の各項目に対応付ける(S2:第2処理)。
【0051】
証明書作成部39は、散布実績の日付、圃場名、圃場面積、作業者名、農薬名(散布剤名)、散布装置名をそれぞれ、農薬散布作業履歴の「散布日」、「圃場名」、「圃場面積」、「作業者名」、「農薬名」、「機械名」に割り当てることで、記載部F3の各項目に対応付ける(S3:第3処理)。また、証明書作成部39は、散布実績の農薬名(散布剤名)、品種名(作物名)をそれぞれ、使用農薬の「農薬名」、「作物名」に割りあることで、記載部F4の各項目に対応付ける(S4:第4処理)。
【0052】
証明書作成部39は、サーバ30に記憶された農薬情報を参照し、農薬名に対応する登録番号、用途、対象害虫名、農薬の種類を抽出し、農薬散布作業履歴の「対象害虫」、使用農薬の「登録番号」、「用途」、「対象害虫」、「農薬種類」に割り当て、記載部F3及び記載部F4に対応付ける(S5:第5処理)。
証明書作成部39は、位置情報から散布実績に対応する圃場(圃場名)を特定する(S6:第6処理)。特定した圃場における希釈倍率及び散布液量を演算する(S7:第7処理)。証明書作成部39は、演算した希釈倍率及び散布液量を、農薬散布作業履歴の「希釈倍率」及び「散布液量」に割り当てることで、記載部F3に対応付ける(S8:第8処理)。
【0053】
証明書作成部39は、所定の農薬名において、圃場に散布した散布液量の最大値及び最小値を求める(S9:第9処理)。証明書作成部39は、求めた最大値及び最小値の値を、使用農薬の「散布液量」に割り当てることで、記載部F4の各項目に対応付ける(S10:第10処理)。また、証明書作成部39は、所定の農薬名を使用した使用時期(使用を停止した時期)を散布実績から求める(S11:第11処理)。求めた使用時期を、使用農薬の「使用時期」に割り当てることで、記載部F4の各項目に対応付ける(S12:第12処理)。
【0054】
証明書作成部39は、所定の農薬名を使用した回数を散布情報等から求める(S13:第13処理)。使用した回数を使用農薬の「使用回数」に割り当てることで、記載部F4の各項目に対応付ける(S14:第14処理)。
証明書作成部39は、農薬散布証明書の作成が完成すると、管理コンピュータ21の表示部21aに作成した農薬散布証明書を表示する(表示処理)。管理コンピュータ21は、証明書作成部39によって作成された農薬散布証明書を受信して当該管理コンピュータ21に電子データとして保存したり、表示部21に表示された農薬散布証明書を印刷することができる。なお、証明書作成部39は、管理コンピュータ21が農薬散布証明書の送付を要求した場合に、農薬散布証明書の電子データを管理コンピュータ21に送信してもよい。これにより、管理コンピュータ21は、農薬散布証明書の電子データを保存することができる。また、管理コンピュータ21は、農薬散布証明書の電子データを公的機関等に送信することにより、農薬に関する手続きを行ってもよい。
【0055】
以上のように、例えば、作業者が散布計画に応じて、散布作業を行った後、散布時の散布情報及び位置情報をサーバ30側で送信しておけば、散布作業を行った圃場における散布証明書を管理コンピュータ22等を用いて簡単に農薬散布証明書を作成することができる。
証明書作成部39の各種動作は、当該証明書作成部39に設けられた圃場特定部39A、演算部39B及び発行部39Cにより行う。圃場特定部39A、演算部39B及び発行部39Cは、サーバ30に格納されたプログラム等から構成されている。
【0056】
圃場特定部39Aは、証明書作成において、散布実績に含まれる位置情報から圃場を特定する処理(第6処理S6)を行う。演算処理39Bは、証明書作成において、散布実績から証明書に必要な数値等の演算を行い、少なくとも圃場毎の散布液量の演算に関する処理(第7処理S7、第9処理S9、第11処理S11、第13処理S13)を行う。
発行部39Cは、散布実績のデータを、農薬散布証明書の記載部F1,F2,F3、F4に示された項目に自動的に割り当てるなどの割り当てる処理(第1処理S1〜第5処理S5、第8処理S8、第10処理S10、第12処理S12、第14処理S14)を行うことで散布証明書の発行を行う。
【0057】
次に、散布実績から圃場を特定して散布液量を算出する流れについて詳しく説明する。
圃場特定部39Aは、散布液量を算出する場合、実績記憶部35に記憶された位置情報から散布液量を算出する圃場(圃場名)を特定する(S6:第6処理)。圃場特定部39Aは、第6処理では、散布情報で示された散布量及び位置情報から散布開始の位置と、散布終了の位置とを推定する。例えば、図9に示すように、位置P1において、散布量(瞬間散布量)が零よりも大きくなっており、位置P1以降、瞬間散布量は連続した値となっているため、位置P1を散布開始の位置と推定する。また、位置P2の次の位置において、散布量(瞬間散布量)が連続して零となっているため、位置P2を散布終了の位置と推定する。
【0058】
なお、図9では、瞬間散布量と位置情報との関係を用いて、散布開始の位置、散布終了の位置とを推定しているが、例えば、散布圧力と位置情報との関係で推定してもよいし、総散布量と位置情報との関係で推定してもよいし、散布開始及び散布終了を示す信号を散布装置1から取得しておくことで推定してもよいし、その他の方法で行ってもよく限定されない。
【0059】
圃場特定部39Aは、散布開始の位置と散布終了の位置までの複数の位置情報(散布中位置情報という)を参照する。圃場特定部39Aは、散布中位置情報と地図データの位置情報とを比較し、地図データの位置情報と相関性が高い圃場を計算し、当該圃場に対応する圃場名をサーバ30の圃場登録データベースから特定する。或いは、圃場特定部39Aは、地図データで示される圃場のうち、参照した複数の位置情報が最も重なる圃場に対応する圃場名を圃場登録データベースから特定する。また、圃場特定部39Aは、散布中位置情報から重心位置を求め、求めた重心位置と、地図データ上で示される圃場の位置情報とを比較することにより、圃場名を特定してもよい。なお、なお、圃場特定部39Aによる圃場名の特定は一例であり、上述した方法に限定されない。
【0060】
演算部39Bは、圃場特定部39Aで特定した圃場名に対応する圃場における散布量を演算する(第7処理)。演算部39Bは、第7処理では、散布開始の位置から散布終了の位置までの車速、瞬間散布量、散布圧力から圃場で散布した散布量(圃場1つ当たりの散布量)を求める。車速、瞬間散布量、散布圧力の関係から散布量を求めているが、瞬間散布量を積算して圃場1つ当たりの散布量を求めてもよいし、散布終了の位置における総散布量と散布開始の位置における総散布量との差により圃場1つ当たりの散布量を求めてもよいし、その他の方法で求めてもよく、限定されない。
【0061】
発行部39Cは、圃場特定部39Aで特定した圃場名と演算部39Bで演算した散布量と対応付けて、散布証明書とする(第8処理)。例えば、図8Aに示すように、発行部39Cは、第8処理S8では、圃場特定部39Aで特定した圃場名が「圃場A」であり、圃場Aの散布量が「1000L」である場合、発行部39Cは、農薬散布作業履歴の「圃場名」が「圃場A」となっている「散布液量」の欄に、演算部39Bが演算した「1000L」を対応付ける。
【0062】
以上によれば、散布支援システムは、位置検出装置13と、通信装置16と、支援装置30とを備え、支援装置30は、散布情報及び位置情報に基づいて圃場における散布剤の散布証明書を作成する証明書作成部39を有している。そのため、散布作業を行ったときの散布情報及び位置情報によって簡単に散布証明書を作成することができる。例えば、公的機関、民間企業、個人消費者等に対して、散布剤による適正な散布を行って育成(栽培)した作物であることを散布証明書によって証明することができる。特に、散布証明書は、散布装置1によって散布作業を行った時の散布情報及び位置情報を用いている為、散布証明書の信頼性を向上させることができる。
【0063】
また、支援装置30は、散布剤名及び圃場名を含む散布実績を記憶する実績記憶部35を有し、証明書作成部39は、位置情報に基づいて散布実績で示された圃場名を特定する圃場特定部39Aと、散布情報に基づいて圃場特定部39Aで特定した圃場名に対応する圃場における散布量を演算する演算部39Bと、圃場特定部39Aで特定した圃場名と演算部39Bで演算した散布量と対応付けて散布証明書として発行する発行部39Cと、を有している。そのため、散布装置1によって散布作業を行った場合の位置情報によって、簡単に散布作業を行った圃場(圃場名)を特定し、且つ、特定した圃場名を用いて圃場名に対応する圃場における散布量を簡単に求め、圃場名及び散布量が記載された散布証明書を簡単に作成することができる。
【0064】
発行部39Cは、散布実績で示された散布剤名、圃場特定部39Aで特定した圃場名、演算部で演算した散布量を対応付けて散布証明書として発行する。そのため、散布剤名、圃場名及び散布量が記載された散布証明書を簡単に作成することができる。
実績記憶部35は、圃場の圃場面積、圃場で作付する作物の品種名を散布実績として記憶しており、発行部39Cは、散布実績で示された圃場面積及び品種名を、散布剤名、圃場名、散布量に対応付けて発行する。そのため、散布剤名、圃場名、散布量、圃場面積及び品種名が記載された散布証明書を作成することができる。
【0065】
支援装置30は、少なくとも公的機関に登録された散布剤名を取得する散布剤名取得部33と、散布計画を作成する計画作成部31と、計画作成部31で作成された散布計画を散布実績に変換する実績作成部34と、を備え、計画作成部31は、散布剤名取得部33が取得した散布剤名を散布計画に適用する。そのため、公的機関に登録された散布剤名に対応する散布剤で散布作業を行うことができるだけでなく、公的機関に登録された散布剤を使用して散布作業を行ったことを散布証明書により証明することができる。
【0066】
なお、証明書作成部39は、上述したように、圃場名と散布量とを含む散布証明書を作成してもよいし、圃場名、散布量、散布剤名を含む散布証明書を作成してもよいし、圃場名、散布量、散布剤名、圃場面積及び品種名を含む散布証明書を作成するものであってもよい。また、証明書作成部39は、散布証明書が農薬散布証明書である場合、少なくとも散布日、散布剤名(農薬名)、希釈倍率、散布量、散布方法を含む農薬散布証明書を作成することが好ましい。
【0067】
上述した実施形態では、証明書作成部39は、実績記憶部35を参照して、当該実績記憶部35に記憶された散布実績(日付、圃場名、作業者名、散布時間、散布装置名、農薬名(散布剤名)、散布量)を散布証明書に割り当てていたが、散布計画通りに散布作業を行った場合には、計画記憶部32に記憶された散布計画を散布証明書に割り当ててもよい。例えば、証明書作成部39は、散布計画のうち、日付、圃場名、作業者名、散布時間、散布装置名、農薬名(散布剤名)を、散布証明書に割り当ててもよい。また、証明書作成部39は、作付計画のうち、作付年度、品目名、品種名(作物名)、圃場面積、作付面積を、散布証明書に割り当ててもよい。この場合、少なくとも発行部39Cは、散布計画、作付計画に含まれる項目を散布証明書に割り当てる。
【0068】
図8Bは、散布計画、作付計画、散布実績のデータを用いて証明書を作成する例を示している。なお、図8Bの第5処理S5、第7処理S7〜第14処理S14は、図8Aと同様である。
散布証明書の作成を実行した場合、証明書作成部39は、作付計画(管理者名、作付年度、品目名、品種名(作物名)、圃場面積、作付面積)を参照し、作付計画の管理者名を農薬散布責任者に割り当てることで、記載部F1の各項目に対応付ける(S20:第20処理)。証明書作成部39は、作付計画の作付年度、圃場名、品目名、作業者名、作付面積、品種名(作物名)をそれぞれ、作物情報の「作付年度、「圃場名」、「品目名」、「生産者名」、「作付面積」、「品種」に割り当てることで、記載部F2の各項目に対応付ける(S21:第21処理)。
【0069】
また、証明書作成部39は、散布計画の日付、圃場名、作業者名、農薬名(散布剤名)、散布装置名をそれぞれ、農薬散布作業履歴の「散布日」、「圃場名」、「作業者名」、「農薬名」、「機械名」に割り当てることで、記載部F3の各項目に対応付ける(S22:第22処理)。また、証明書作成部39は、散布計画の農薬名(散布剤名)及び作付計画の品種名(作物名)をそれぞれ、使用農薬の「農薬名」、「作物名」に割りあることで、記載部F4の各項目に対応付ける(S23:第23処理)。
【0070】
証明書作成部39は、位置情報から散布計画に対応する圃場(圃場名)を特定する(S24:第24処理)。
なお、図8Bの場合、証明書作成部39の圃場特定部39Aは、位置情報に基づいて散布計画で示された圃場名を特定してもよい。発行部39Cは、圃場特定部39Aで特定した圃場名(散布計画で示された圃場名)と演算部39Bで演算した散布量と対応付けて散布証明書として発行する。発行部39Cは、散布計画で示された散布剤名及び圃場名、演算部28Bで演算した散布量を対応付けて散布証明書として発行する。発行部39Cは、作付計画で示された圃場面積及び品種名を、散布剤名、圃場名、散布量に対応付けて発行する。
[第2実施形態]
図10は第2実施形態における散布システムの全体図を示している。第2実施形態では第1実施形態と異なる構成について説明する。第2実施形態では、散布装置1で散布作業を行った後に、散布状況等を確認することができる実施形態である。
【0071】
散布装置1の通信装置16は、第1実施形態で示した時刻(日付)、総散布量、車速された瞬間散布量、散布圧力、警告情報の他に、散布装置1における散布剤の散布幅を取得し、取得した散布幅を散布情報として記憶及び支援装置30に送信する。なお、散布幅は、表示装置12で作業者等により設定された値であっても、散布装置1から散布幅を取得した値であっても、その他の値であってもよい。
【0072】
サーバ30は、散布状況演算部50と、第1表示部51とを有している。散布状況演算部50及び第1表示部51は、サーバ30に設けられた電気・電子部品、電気回路、当該サーバ30に格納されたプログラム等から構成されている。
管理コンピュータ21がサーバ30にログイン後、当該管理コンピュータ21の表示部21aに表示された散布情報演算ボタンが選択され、当該管理コンピュータ21から散布状況の演算の要求を行うと、散布状況演算部50による処理が実行される。
【0073】
散布状況演算部50は、圃場の所定領域における散布状況を散布情報及び位置情報に基づいて演算する。散布状況とは、所定領域における散布量等である。散布状況演算部50は、図11Aに示すように、例えば、1枚の圃場Fの所定領域Qn(Qn:n=1,2,3・・・)の幅L1を散布装置1の散布幅に一致させ、所定領域Qnの長さは管理コンピュータ21によって設定された値とし、1枚の圃場を複数の所定領域Qnに分ける。散布状況演算部50は、所定領域Qnを散布装置1が通過した場合における瞬間散布量を散布実績から抽出し、所定領域Qnにおける散布量の分布を作成する。例えば、図11Aに示すように、圃場の所定領域Qを散布装置1が通過した場合の位置情報P31、P32、P33が3個の場合、散布状況演算部50は、位置情報P31、P32、P33に対応する瞬間散布量G31、G32、G33を、所定領域Qに割り当てることで、散布量の分布(散布状況)を求める。或いは、散布状況演算部50は、位置情報P31、P32、P33に対応する瞬間散布量G31、G32、G33の合計を所定領域Qに割り当てることで、散布量の分布(散布状況)を求める。
【0074】
第1表示部51は、散布状態演算部50で演算された所定領域における散布状況を表示する。管理コンピュータ21の表示部21aに、図11Bに示すような散布量の分布を表示させる。例えば、第1表示部51は、瞬間散布量の値に応じて所定領域Qnに着色する色に対して濃淡をつけることで、濃淡を有する散布量の分布図を表示してもよいし、その他の方法で散布量の分布図を示してもよい。
【0075】
このように、散布状況演算部50及び第1表示部51をサーバ30に設けることによって、散布装置1によって散布作業を行ったあとに所定の圃場における散布量の分布(散布状況)を管理者や作業者等が確認することができる。例えば、散布剤が農薬の場合は、農薬散布量(農薬液量)の分布を圃場毎に確認することができ、散布剤が肥料の場合は、肥料散布量の分布を圃場毎に確認することができる。
【0076】
さて、散布状況を確認することができるのに加え、作物の生育状況を確認できるようにしてもよい。サーバ30は、生育状況取得部52と、第2表示部53とを有している。生育状況取得部52及び第2表示部53は、サーバ30に設けられた電気・電子部品、電気回路、当該サーバ30に格納されたプログラム等から構成されている。
生育状況取得部52は、散布装置1とは異なる管理機械等から所定領域Qnにおける作物の生育状況を取得する。管理機械は、生育検知装置を有する無人航空機(マルチコプター)60、或いは、圃場に設置され生育検知装置を有する圃場監視装置61である。生育検知装置は、例えば、所定のスペクトル光を作物に対して照射して反射光を検知する光学式センサ、カメラ等で作物を撮像する撮像装置である。管理機械(無人航空機60、圃場監視装置61)の生育検知装置で検出された生育状況は、サーバ30に送信され、サーバ30に圃場毎の生育状況が保存される。
【0077】
詳しくは、管理コンピュータ21がサーバ30にログイン後、当該管理コンピュータ21の表示部21aに表示された生育状況取得ボタンが選択され、当該管理コンピュータ21から生育状況の要求を行うと、生育状況取得部52による処理が実行される。生育状況取得部52は、例えば、管理コンピュータ21からサーバ30に送信された日付及び圃場名に対応する生育状況をサーバ30に問い合わせ、日付に一致する生育状況、又は、日付に近い生育状況の取得を実行する。
【0078】
生育状況取得部52は、サーバ30を介して管理機械から所定の圃場における生育状況(生育データ)を取得すると、生育データを所定領域Qnに分割することで、所定領域Qnにおける生育分布を作成する。第2表示部53は、生育状況取得部52で取得した生育状況を圃場に対応して表示する。第2表示部53は、管理コンピュータ21の表示部21aに、図11Cに示すような生育状況の分布を表示させる。例えば、第2表示部53は、生育状況(生育検知装置で得られた値)に応じて所定領域Qnに着色する色に対して濃淡をつけることで、濃淡を有する生育状況の分布図を表示してもよいし、その他の方法で生育状況の分布図を示してもよい。また、第2表示部53は、上述した散布量の分布図に生育状況の分布図を重ね合わせ、生育状況の分布図と散布量の分布図とを比較できるようにしてもよいし、生育状況の分布図と散布量の分布図とを同一画面に上下又は左右に並べることで両者を比較できるようにしてもよい。
【0079】
このように、生育状況取得部52及び第2表示部53をサーバ30に設けることによって、散布装置1によって散布作業を行った後の作物の生育状況を、同じ所定領域Qnで確認することができ、追肥等の検討を簡単に行うことができる。
さて、散布状況を確認することができるのに加え、作物の収穫状況を確認できるようにしてもよい。サーバ30は、収量状況取得部54と、第3表示部55とを有している。収量状況取得部54及び第3表示部55は、サーバ30に設けられた電気・電子部品、電気回路、当該サーバ30に格納されたプログラム等から構成されている。
【0080】
収量状況取得部54は、散布装置1とは異なる収穫機62等から所定領域Qnにおける作物の収量を取得する。収穫機62は、作物を収穫可能なコンバインである。収穫機62は、測定装置62aと、通信装置62bと、位置検出装置62cとを有している。測定装置62aは、収穫した作物の水分量、タンパク量、収穫量を測定する装置である。位置検出装置62cは、収穫機62の位置を検出する装置で上述した位置検出装置13と構成は同じである。
【0081】
通信装置62bは、少なくとも収穫機62で収穫した情報(収穫情報)を外部に送信する装置である。通信装置62は、作物の水分量、タンパク量、収穫量、収穫日(日付)を位置情報と共に収穫情報としてサーバ30に送信する。サーバ30は、収穫情報を受信すると、収穫情報を保存する。
詳しくは、管理コンピュータ21がサーバ30にログイン後、当該管理コンピュータ21の表示部21aに表示された収穫状況取得ボタンが選択され、当該管理コンピュータ21から収穫状況の要求を行うと、収量状況取得部54による処理が実行される。収量状況取得部54は、例えば、管理コンピュータ21からサーバ30に送信された日付及び圃場名に対応する収穫状況をサーバ30に問い合わせ、日付に一致する収穫状況、又は、日付に近い生育状況の取得を実行する。
【0082】
収量状況取得部54は、サーバ30を介して収穫機62から所定の圃場における収穫状況(収穫情報)を取得すると、収獲情報を所定領域Qnに分割することで、所定領域Qnにおける収穫分布(収穫量の分布、水分量の分布、タンパク量の分布)を作成する。第3表示部55は、収量状況取得部54で取得した収穫状況を圃場に対応して表示する。第3表示部55は、管理コンピュータ21の表示部21aに、図11Dに示すような収穫量の分布などを表示させる。例えば、第3表示部55は、収穫量に応じて所定領域Qnに着色する色に対して濃淡をつけることで、濃淡を有する収穫量の分布図を表示してもよいし、その他の方法で収穫量の分布図を示してもよい。また、第3表示部55は、上述した散布量の分布図、収穫量の分布図を重ね合わせ、収穫量の分布図と散布量の分布図とを比較できるようにしてもよいし、収穫量の分布図と散布量の分布図とを同一画面に上下又は左右に並べることで両者を比較できるようにしてもよい。また、収穫量の分布図と同様に、水分量の分布図又はタンパク量の分布図と、散布量の分布図とを比較できるようにしてもよい。
【0083】
このように、収量状況取得部54及び第3表示部55をサーバ30に設けることによって、散布装置1によって散布作業を行った後の収穫状況を、同じ所定領域Qnで確認することができ、散布作業の見直しを簡単に行うことができる。
なお、散布装置1のブーム5に設けた複数の散布ノズル6の少なくとも1つを、散布量を変更可能なノズルとして、散布量を可変にしてもよい。図12に示すように、散布装置1は、複数の流量検出装置17が設けられている。複数の流量検出装置17は、散布ノズル6と同一の個数であって、それぞれ散布ノズル6の散布量を検出可能である。複数の流量検出装置17で検出した散布ノズル6毎の散布量は、制御装置12に入力される。制御装置12は、散布ノズル6毎の散布量を通信装置16に出力し、通信装置16は、サーバ30に散布ノズル6毎の散布量を散布情報として位置情報と共に送信する。
【0084】
散布状況演算部50は、散布ノズル6毎の散布量及び位置情報に基づいて散布状況を演算する。散布状況演算部50は、図13に示すように、例えば、散布装置1が散布作業を行った場合の散布ノズル6毎の位置(緯度、経度)を演算し、散布ノズル6から散布された散布剤の散布量を散布状況とする。散布状況演算部50は、位置検出装置13の取付位置から散布ノズル6までの距離と、位置検出装置13で検出した位置情報との関係から散布ノズルの位置FPn(FPn:n=1,2,3・・・)を求める。散布状況演算部50は、散布ノズルの位置FPnと散布ノズルの散布量GPnとを関係付けることで、散布量の分布(散布状況)を求める。サーバ30は、散布量の分布を管理コンピュータ21の表示部21aに表示する。このようにすれば、散布ノズル6毎の散布量を把握することができ、散布ノズル6毎に散布量を調整することができる。
【0085】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
上述した支援装置30は、サーバであったが、スマートフォン、タブレットPC等の携帯端末20であってもよい。また、散布証明書に記載する散布方法が散布装置の機械情報(散布装置の機械名、散布装置の機種、散布装置の型番)以外である場合、例えば、公的機関等で定められた名称や呼称である場合は、散布計画を設定する設定画面M1において、散布方法は、直接入力、或いは、予め定められた散布方法の一覧から設定する。上述したように、散布方法を含む散布計画を散布実績に変換したり、散布計画を一部修正することにより散布方法を含む散布計画を散布実績とする。即ち、散布方法を、散布実績、散布計画に含めることによって、発行部29Cは、散布実績又は散布計画から散布方法を抽出することができ、散布方法を散布証明書に割り当てることができる。
【符号の説明】
【0086】
1 散布装置
10 散布装置
12 制御装置
13 位置検出装置
16 通信装置
20 携帯端末
30 支援装置
31 計画作成部
32 計画記憶部
33 散布剤名取得部
34 実績作成部
35 実績記憶部
39 証明書作成部
39A 圃場特定部
39B 演算部
39C 発行部
50 散布状況演算部
51 第1表示部
52 生育状況取得部
53 第2表示部
54 収量状況取得部
55 第3表示部
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図12
図13
図14A
図14B