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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-166486(P2018-166486A)
(43)【公開日】2018年11月1日
(54)【発明の名称】トウモロコシ収穫機
(51)【国際特許分類】
   A01D 45/02 20060101AFI20181005BHJP
   B07B 1/00 20060101ALI20181005BHJP
   B07B 1/28 20060101ALI20181005BHJP
   B07B 1/46 20060101ALI20181005BHJP
【FI】
   A01D45/02
   B07B1/00 B
   B07B1/28 Z
   B07B1/46 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-69184(P2017-69184)
(22)【出願日】2017年3月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】上北 千春
(72)【発明者】
【氏名】寺坂 賢一
(72)【発明者】
【氏名】西村 俊成
(72)【発明者】
【氏名】河瀬 宗之
(72)【発明者】
【氏名】池田 太
(72)【発明者】
【氏名】福岡 義剛
【テーマコード(参考)】
2B075
4D021
【Fターム(参考)】
2B075AA10
2B075AC15
4D021AA03
4D021AB01
4D021CA04
4D021DA01
4D021DA13
4D021DB20
(57)【要約】
【課題】回収部における種子粒の貯留状態の均一化を図ることが可能なトウモロコシ収穫機が要望されている。
【解決手段】皮剥き装置9と回収部11との間に、上方から落下する案内対象物を下方に向けて流下案内する下横側案内体56が設けられ、下横側案内体56の上面に、案内対象物の流下方向を規制する前側方向規制部材58及び後側方向規制部材59が設けられている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収穫部によって収穫されたトウモロコシ房状体を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置からトウモロコシ房状体を受け入れ、受け入れたトウモロコシ房状体の包葉を剥き取る皮剥き装置と、
前記皮剥き装置の下方に設けられ、前記皮剥き装置で発生した処理物を受け入れる揺動選別体を有すると共に、前記揺動選別体によって前記処理物を一方向へ移送しながら種子粒と包葉とに選別する揺動選別装置と、
前記揺動選別体の下方に設けられ、前記揺動選別体から落下する前記種子粒を受け入れて回収する回収部と、が備えられ、
前記皮剥き装置と前記回収部との間に、上方から落下する案内対象物を下方に向けて流下案内する案内体が設けられ、
前記案内体の上面に、前記案内対象物の流下方向を規制する方向規制部材が設けられているトウモロコシ収穫機。
【請求項2】
前記案内体は、前記揺動選別体のうち前記揺動選別体の処理物移送方向に対する横方向の端側部位と前記回収部との間に設けられ、前記揺動選別体から落下する前記案内対象物としての前記種子粒を、前記回収部に向けて流下案内し、
前記方向規制部材は、前記揺動選別体から落下する前記種子粒が、前記処理物移送方向の上流側に流下するように、前記種子粒の流下方向を規制する請求項1に記載のトウモロコシ収穫機。
【請求項3】
前記案内体の上面に、複数の前記方向規制部材が前記処理物移送方向に並ぶ状態で設けられ、
前記案内体における前記処理物移送方向の中央部に、前記複数の方向規制部材のうち一の方向規制部材が設けられ、
前記案内体における前記一の方向規制部材に対して前記処理物移送方向の下流側に、前記複数の方向規制部材のうち前記一の方向規制部材を除くその他の方向規制部材が設けられている請求項2に記載のトウモロコシ収穫機。
【請求項4】
前記揺動選別体のうち前記処理物移送方向の下流側端部の底部に、前記揺動選別体から落下する前記種子粒を前記回収部に向けて流下案内する下流側案内体が設けられ、
前記下流側案内体のうち前記横方向における前記案内体側の端部は、平面視で前記案内体と重複し、かつ、前記下流側案内体は、前記底部から、前記複数の方向規制部材のうち前記処理物移送方向の最下流側に位置する方向規制部材の上端部の上方まで延びている請求項3に記載のトウモロコシ収穫機。
【請求項5】
前記下流側案内体の下端部に、垂下部材が設けられ、
前記垂下部材は、前記下流側案内体の下端部から前記方向規制部材の下端に対応する高さ位置まで延びている請求項4に記載のトウモロコシ収穫機。
【請求項6】
前記垂下部材は、前記処理物移送方向視において、前記方向規制部材と重複しない状態で設けられている請求項5に記載のトウモロコシ収穫機。
【請求項7】
前記方向規制部材は、前記案内体に沿って取り付けられる基部と、前記基部から立ち上がる作用部と、を有する略L字断面形状の部材であり、
前記方向規制部材は、前記基部が前記作用部のうち前記案内対象物に作用する作用面とは反対側に位置する状態で、前記案内体に取り付けられている請求項1から6の何れか一項に記載のトウモロコシ収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トウモロコシ収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トウモロコシ収穫機として、収穫部によって収穫されたトウモロコシ房状体を搬送する搬送装置と、搬送装置からトウモロコシ房状体を受け入れ、受け入れたトウモロコシ房状体の包葉を剥き取る皮剥き装置と、皮剥き装置の下方に設けられ、皮剥き装置で発生した処理物を受け入れる揺動選別体を有すると共に、揺動選別体によって処理物を一方向へ搬送しながら種子粒と包葉とに選別する揺動選別装置と、揺動選別体の下方に設けられ、揺動選別体から落下する種子粒を受け入れて回収する回収部と、が備えられているトウモロコシ収穫機が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に記載のトウモロコシ収穫機では、揺動選別体と回収部との間に、上方から落下する案内対象物を下方に向けて流下案内する案内体(文献では「横回収案内体」)が設けられている。これにより、揺動選別体から落下する種子粒が案内体によって回収部に向けて流下案内される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−116472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のトウモロコシ収穫機では、揺動選別体によって処理物を一方向へ搬送しながら選別を行うという構造上、回収部において、種子粒が片寄った状態(特に、処理物移送方向の下流側に片寄った状態)で溜まり易い。
【0006】
上記状況に鑑み、回収部における種子粒の貯留状態の均一化を図ることが可能なトウモロコシ収穫機が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の特徴は、
収穫部によって収穫されたトウモロコシ房状体を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置からトウモロコシ房状体を受け入れ、受け入れたトウモロコシ房状体の包葉を剥き取る皮剥き装置と、
前記皮剥き装置の下方に設けられ、前記皮剥き装置で発生した処理物を受け入れる揺動選別体を有すると共に、前記揺動選別体によって前記処理物を一方向へ移送しながら種子粒と包葉とに選別する揺動選別装置と、
前記揺動選別体の下方に設けられ、前記揺動選別体から落下する前記種子粒を受け入れて回収する回収部と、が備えられ、
前記皮剥き装置と前記回収部との間に、上方から落下する案内対象物を下方に向けて流下案内する案内体が設けられ、
前記案内体の上面に、前記案内対象物の流下方向を規制する方向規制部材が設けられていることにある。
【0008】
本特徴構成によれば、皮剥き装置と回収部との間において、上方から落下する案内対象物が案内体によって下方に向けて流下案内される。その際、案内体の上面を流れる案内対象物について、その流下方向が方向規制部材によって規制される。これにより、回収部のうち種子粒が溜まり難い箇所にも種子粒が供給され易くなるように、皮剥き装置と回収部との間における案内対象物の流下方向を適切に設定することができる。すなわち、本特徴構成によれば、回収部における種子粒の貯留状態の均一化を図ることができる。
【0009】
さらに、本発明において、
前記案内体は、前記揺動選別体のうち前記揺動選別体の処理物移送方向に対する横方向の端側部位と前記回収部との間に設けられ、前記揺動選別体から落下する前記案内対象物としての前記種子粒を、前記回収部に向けて流下案内し、
前記方向規制部材は、前記揺動選別体から落下する前記種子粒が、前記処理物移送方向の上流側に流下するように、前記種子粒の流下方向を規制すると好適である。
【0010】
本特徴構成によれば、揺動選別体から落下する種子粒が案内体によって回収部に向けて流下案内される。これにより、揺動選別体の横方向の端側部位から落下する種子粒が、回収部の横方向端部から外部にこぼれ難くなり、種子粒を回収部に確実に回収することができる。また、種子粒が処理物移送方向の上流側に流下するように、種子粒の流下方向が方向規制部材によって規制される。これにより、回収部において、種子粒が処理物移送方向の下流側に片寄った状態で溜まらないように、回収部における処理物移送方向での種子粒の貯留状態の均一化を図ることができる。
【0011】
さらに、本発明において、
前記案内体の上面に、複数の前記方向規制部材が前記処理物移送方向に並ぶ状態で設けられ、
前記案内体における前記処理物移送方向の中央部に、前記複数の方向規制部材のうち一の方向規制部材が設けられ、
前記案内体における前記一の方向規制部材に対して前記処理物移送方向の下流側に、前記複数の方向規制部材のうち前記一の方向規制部材を除くその他の方向規制部材が設けられていると好適である。
【0012】
揺動選別体によって処理物を一方向へ搬送しながら選別を行うという構造上、回収部において、種子粒が処理物移送方向の下流側に片寄った状態で溜まり易い。本特徴構成によれば、案内体における処理物移送方向の中央部に、一の方向規制部材が設けられ、かつ、案内体における一の方向規制部材に対して処理物移送方向の下流側に、その他の方向規制部材が設けられている。すなわち、回収部における種子粒が片寄り易い箇所において、揺動選別体から落下する処理物を処理物移送方向の上流側に流下させるべく、複数の方向規制部材が設けられている。これにより、回収部における処理物移送方向での種子粒の貯留状態の均一化を効果的に図ることができる。
【0013】
さらに、本発明において、
前記揺動選別体のうち前記処理物移送方向の下流側端部の底部に、前記揺動選別体から落下する前記種子粒を前記回収部に向けて流下案内する下流側案内体が設けられ、
前記下流側案内体のうち前記横方向における前記案内体側の端部は、平面視で前記案内体と重複し、かつ、前記下流側案内体は、前記底部から、前記複数の方向規制部材のうち前記処理物移送方向の最下流側に位置する方向規制部材の上端部の上方まで延びていると好適である。
【0014】
本特徴構成によれば、揺動選別体から落下する種子粒が下流側案内体によって回収部に向けて流下案内される。これにより、揺動選別体のうち処理物移送方向の下流側端部から落下する種子粒が、回収部のうち処理物移送方向の下流側端部から外部にこぼれ落ち難くなり、種子粒を回収部に確実に回収することができる。また、下流側案内体のうち横方向における案内体側の端部が、平面視で案内体と重複し、かつ、下流側案内体が底部から最下流側に位置する方向規制部材の上端部の上方まで延びている。これにより、下流側案内体のうち横方向における案内体側の端部を伝って落下する種子粒が、回収部の横方向端部(特に、回収部における処理物移送方向の下流側縁部と横方向縁部との間の角部)に片寄らないように、当該種子粒を案内体上に確実に落下させた上で、当該種子粒の流下方向を最下流側に位置する方向規制部材によって適切に設定することができる。
【0015】
さらに、本発明において、
前記下流側案内体の下端部に、垂下部材が設けられ、
前記垂下部材は、前記下流側案内体の下端部から前記方向規制部材の下端に対応する高さ位置まで延びていると好適である。
【0016】
本特徴構成によれば、種子粒が下流側案内体の下端部から垂下部材を伝って方向規制部材の下端に対応する高さ位置まで流下案内されて、回収部内に落下する。これにより、下流側案内体からの種子粒を、回収部に確実に回収することができる。
【0017】
さらに、本発明において、
前記垂下部材は、前記処理物移送方向視において、前記方向規制部材と重複しない状態で設けられていると好適である。
【0018】
本特徴構成によれば、垂下部材が下流側案内体側支点で揺れ動いたとしても、方向規制部材と干渉することがない。
【0019】
さらに、本発明において、
前記方向規制部材は、前記案内体に沿って取り付けられる基部と、前記基部から立ち上がる作用部と、を有する略L字断面形状の部材であり、
前記方向規制部材は、前記基部が前記作用部のうち前記案内対象物に作用する作用面とは反対側に位置する状態で、前記案内体に取り付けられていると好適である。
【0020】
本特徴構成によれば、基部が作用部のうち作用面側に位置していないため、作用部が案内対象物の流下方向を規制することが、基部によって阻害されることがない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】トウモロコシ収穫機を示す左側面図である。
図2】トウモロコシ収穫機を示す平面図である。
図3】後処理部を示す左側面図である。
図4】後処理部を示す右側面図である。
図5】後処理部を示す左側面断面図である。
図6図3におけるVI−VI断面図である。
図7図3におけるVII−VII断面図である。
図8】揺動駆動機構を示す平面図である。
図9】回収位置に位置する状態の回収部を示す背面図である。
図10】排出位置に位置する状態の回収部を示す背面図である。
図11図3におけるXI−XI断面図である。
図12】別実施形態において、前側案内体の上面に方向規制部材が設けられた状態を示す背面断面図である。
図13】別実施形態において、前側方向規制部材及び後側方向規制部材について、各傾斜角度を可変にする構成を示す図である。
図14】別実施形態に係る前側シュートを示す左側面図である。
図15】第一の別実施形態に係る揺動選別体を示す平面図である。
図16】第一の別実施形態に係る揺動選別体を示す正面断面図である。
図17】第二の別実施形態に係る揺動選別体を示す平面図である。
図18】第二の別実施形態に係る揺動選別体を示す正面断面図である。
図19】第一の別実施形態に係る仕切板を示す左側面図である。
図20】第二の別実施形態に係る仕切板を示す左側面図である。
図21】第三の別実施形態に係る仕切板を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。なお、以下の説明では、図1及び図2に示す矢印Fの方向を「機体前側」、矢印Bの方向を「機体後側」、図2に示す矢印Lの方向を「機体左側」、矢印Rの方向を「機体右側」とする。
【0023】
〔トウモロコシ収穫機の全体構成〕
図1及び図2に示すように、本トウモロコシ収穫機には、機体フレーム1と、走行装置2と、が備えられている。機体フレーム1には、機体前後方向に延びる左右一対の主フレーム1Aが備えられている。走行装置2には、駆動可能な左右一対の前輪2Fと、操向可能な左右一対の後輪2Bと、が備えられている。機体フレーム1のうち前輪2Fと後輪2Bとの間には、エンジンEが載置されている。左側の前輪2Fと右側の前輪2Fとの間には、トランスミッションTが設けられている。エンジンEからの駆動力がトランスミッションTに伝達され、トランスミッションTからの変速動力が前輪2Fに伝達される。機体の前部には、運転者が搭乗する運転部3と、運転部3を覆うキャビン4と、が設けられている。
【0024】
機体の前方には、トウモロコシ房状体を収穫する収穫部5が設けられている。収穫部5は、機体左右方向に延びる軸心X1周りで上下揺動可能である。収穫部5を上下揺動させる油圧シリンダS1が設けられている。収穫部5には、圃場に植立するトウモロコシ茎稈が導入される導入部5a(本実施形態では、例えば、四つの導入部5a)が備えられている。圃場に植立するトウモロコシ茎稈が導入部5aに導入されることにより、当該トウモロコシ茎稈からトウモロコシ房状体が引き千切られる。
【0025】
機体の後部には、収穫部5によって収穫されたトウモロコシ房状体の後処理を行う後処理部6が設けられている。収穫部5と後処理部6とに亘って、収穫部5によって収穫されたトウモロコシ房状体を、後処理部6に向けて搬送する搬送装置7が設けられている。搬送装置7は、運転部3の下方を通り、かつ、後上がりに傾斜する状態で設けられている。後処理部6には、後処理部フレーム8と、皮剥き装置9と、揺動選別装置10と、回収部11と、が備えられている。後処理部6の後方には、皮剥き装置9によって包葉が剥き取られたトウモロコシ房状体が貯留される貯留部12が設けられている。
【0026】
機体の下側には、収穫処理後に圃場に残る残稈を細断処理する残稈処理装置13が設けられている。残稈処理装置13は、機体左右方向に延びる軸心X2周りで上下揺動可能である。残稈処理装置13を上下揺動させる油圧シリンダS2が設けられている。
【0027】
〔後処理部フレーム〕
図3から図7に示すように、後処理部フレーム8には、皮剥き装置9、揺動選別装置10及び回収部11が支持されている。後処理部フレーム8には、左右一対の前支柱14と、左右一対の中支柱15と、左右一対の後支柱16と、が備えられている。左側の前支柱14、左側の中支柱15及び左側の後支柱16は、左側の主フレーム1Aに立設されている。右側の前支柱14、右側の中支柱15及び右側の後支柱16は、右側の主フレーム1Aに立設されている。
【0028】
後処理部フレーム8における左側部及び右側部の夫々において、上支持フレーム17、前支持フレーム18、後支持フレーム19、上横カバー20及び下横カバー21が設けられている。上支持フレーム17は、前支柱14の上端部と中支柱15の上端部と後支柱16の上端部とに亘って設けられている。前支持フレーム18は、前支柱14の上下中間部と中支柱15の上下中間部とに亘って設けられている。後支持フレーム19は、中支柱15の上部と後支柱16の上部とに亘って設けられている。上横カバー20は、前支持フレーム18に対して上側において、前支柱14と中支柱15との間に設けられている。下横カバー21は、前支持フレーム18に対して下側において、前支柱14と中支柱15との間に設けられている。
【0029】
〔皮剥き装置〕
皮剥き装置9は、搬送装置7からトウモロコシ房状体を受け入れ、受け入れたトウモロコシ房状体の包葉を剥き取る。皮剥き装置9には、皮剥きケース22が備えられている。搬送装置7と皮剥き装置9との間には、搬送装置7からのトウモロコシ房状体を皮剥き装置9に向けて流下案内するシュート23が設けられている。皮剥きケース22は、左側の上支持フレーム17及び右側の上支持フレーム17に支持されている。皮剥きケース22の内部には、複数の皮剥きローラ24、複数の掻き送り回転体25、掻き込み回転体26及び掻き出し回転体27が設けられている。
【0030】
複数の皮剥きローラ24は、機体左右方向に並設されている。皮剥きローラ24は、機体前後方向に延びる軸心周りで回転駆動可能である。複数の掻き送り回転体25は、皮剥きローラ24の上方において、機体前後方向に並設されている。掻き送り回転体25は、機体左右方向に延びる軸心周りで回転駆動可能である。
【0031】
掻き込み回転体26は、複数の掻き送り回転体25のうち最も前側に位置する掻き送り回転体25の前方に位置している。掻き込み回転体26は、機体左右方向に延びる軸心周りで回転駆動可能である。掻き出し回転体27は、複数の掻き送り回転体25のうち最も後側に位置する掻き送り回転体25の後方において、皮剥きローラ24の後端部の上方に位置している。掻き出し回転体27は、機体左右方向に延びる軸心周りで回転駆動可能である。
【0032】
搬送装置7からのトウモロコシ房状体は、シュート23によって皮剥き装置9に向かって流下案内されて、掻き込み回転体26の掻き込み作用によって、皮剥きローラ24に導入される。そして、皮剥きローラ24に導入されたトウモロコシ房状体は、皮剥きローラ24と掻き送り回転体25との間において、掻き送り回転体25によって後方(トウモロコシ房状体移送方向D1)へ移送されながら、皮剥きローラ24によって包葉の剥き取り処理される。
【0033】
そして、包葉の剥き取り処理によって発生した処理物(トウモロコシ房状体から離脱した包葉や種子粒等)は、皮剥きローラ24同士の間から皮剥き装置9の下方に落下する。一方、皮剥きローラ24の後端部に到達したトウモロコシ房状体は、掻き出し回転体27によって掻き出されて、貯留部12内に落下する。
【0034】
〔揺動選別装置〕
揺動選別装置10には、揺動選別体28が備えられている。揺動選別装置10は、揺動選別体28によって皮剥き装置9で発生した処理物を前方(処理物移送方向D2)へ移送しながら種子粒と包葉とに選別する。揺動選別体28は、皮剥き装置9の下方に設けられ、皮剥き装置9で発生した処理物を受け入れる。揺動選別体28には、底板部29と、底板部29の左右両縁部から夫々立ち上がる横板部30と、底板部29の後縁部から立ち上がる後板部31と、が備えられている。底板部29には、種子粒が漏下する多数の漏下孔(図示省略)が形成されている。揺動選別体28の前端部には、包葉や塵埃等を排出する排出口28aが形成されている。排出口28aから排出された包葉や塵埃等を、残稈処理装置13前方の圃場に落下させるべく、下方に向けて流下案内する案内シート32(図1参照)が設けられている。案内シート32は、弾性変形可能な部材(例えば、ビニール製やゴム製のシート)である。
【0035】
揺動選別体28の前端部における左右両側部は、夫々、ベアリング33を介してガイドレール34にスライド可能に支持されている。揺動選別体28の後部は、左右一対の揺動リンク35を介して後支持フレーム19に支持されている。揺動リンク35の下端部は、揺動選別体28の後部に揺動可能に支持されている。揺動リンク35の上端部は、後支持フレーム19に揺動可能に支持されている。左側の揺動リンク35の下端部と右側の揺動リンク35の下端部とに亘って、左側の揺動リンク35と右側の揺動リンク35とを連動連結する連結杆36が設けられている。
【0036】
図8に示すように、揺動選別体28を揺動駆動する揺動駆動機構37が設けられている。揺動駆動機構37には、回転部38と、クランク軸39と、が備えられている。回転部38は、機体左右方向に延びる入力軸40に一体回転可能に設けられている。入力軸40には、エンジンEからの駆動力が伝達される。クランク軸39の一端部は、回転部38における偏心箇所に回転可能に連結されている。クランク軸39の他端部は、連結杆36における機体左右方向の中央部に回転可能に連結されている。回転部38が入力軸40と共に回転して、クランク軸39が前後往復動すると、連結杆36が押し引きされて、揺動リンク35が揺動する。これにより、揺動選別体28は、機体前後方向にスライドし、かつ、前支点で上下揺動する。
【0037】
〔回収部〕
図3から図7に示すように、回収部11は、揺動選別体28の下方に設けられ、揺動選別体28から落下する種子粒を受け入れて回収する。回収部11は、揺動選別体28から落下する種子粒を受け入れて回収可能な回収位置(図9参照)と、回収位置よりも機体外側(機体左側)に位置し、回収された種子粒を外部に排出可能な排出位置(図10参照)とに亘って、機体左右方向に移動可能である。
【0038】
なお、回収部11に関する以下の説明では、図3において、紙面手前側(機体左側)を「手前側」、紙面奥側(機体右側)を「奥側」とする。
【0039】
回収部11には、底板部41と、底板部41の前後両縁部から夫々立ち上がる横板部42と、底板部41の手前側縁部から立ち上がる手前側板部43と、底板部41の奥側縁部から立ち上がる奥側板部44と、が備えられている。回収された種子粒を排出口45aから排出する排出部45が、手前側板部43から手前側に突出する状態で設けられている。作業者が回収部11を移動操作する際の持ち手となるように、上側持ち手46及び下側持ち手47が設けられている。排出口45aから排出された種子粒を入れる袋を取り付け可能な袋取り付け部48が設けられている。
【0040】
回収部11の奥側端部における前後両側部は、夫々、ローラ49を介してガイドレール50にスライド可能に支持されている。前側のガイドレール50は、左側の中支柱15及び右側の中支柱15に支持されている。後側のガイドレール50は、左側の後支柱16及び右側の後支柱16に支持されている。左側の主フレーム1Aには、回収部11を支持する前後一対のローラ51が設けられている。回収部11を回収位置に位置保持するロック機構52が設けられている。
【0041】
回収部11が回収位置に位置する状態で、ロック機構52による位置保持を解除した後、上側持ち手46や下側持ち手47を持って、回収部11を手前側(機体左側)に引き出すことにより、回収部11が回収位置から排出位置まで移動する(図9参照)。回収部11を排出位置から回収位置まで移動させる際は、上側持ち手46や下側持ち手47を持って、回収部11を奥側(機体左側)に押し込むことにより、回収部11が排出位置から回収位置まで移動する(図10参照)。回収位置と排出位置との間を移動する際、回収部11は、底板部41がローラ51上を滑りながら、ローラ49がガイドレール50に沿って転動する形態で移動する。
【0042】
図3から図7に示すように、皮剥き装置9と揺動選別体28との間には、前側案内体53、後側案内体54及び左右一対の上横側案内体55が設けられている。揺動選別体28と回収部11との間には、下横側案内体56が設けられている。前側案内体53、後側案内体54、上横側案内体55及び下横側案内体56は、夫々、本発明に係る「案内体」に相当する。
【0043】
〔前側案内体〕
前側案内体53は、皮剥き装置9のうちトウモロコシ房状体移送方向D1の上流側部位の下方に、後下がりに傾斜する状態で設けられている。前側案内体53は、皮剥き装置9のうちトウモロコシ房状体移送方向D1の上流側部位から落下する処理物を、揺動選別体28のうち処理物移送方向D2の上流側部位に向けて(斜め後下方に向けて)流下案内する。前側案内体53は、左側の上支持フレーム17と右側の上支持フレーム17とに亘って設けられ、これらに支持されている。前側案内体53の横幅は、皮剥き装置9の横幅と等しい又は略等しい長さであり、かつ、揺動選別体28の横幅よりも若干長い長さに設定されている。
【0044】
〔後側案内体〕
後側案内体54は、皮剥き装置9のうちトウモロコシ房状体移送方向D1の下流側部位の下方に、前下がりに傾斜する状態で設けられている。後側案内体54は、皮剥き装置9のうちトウモロコシ房状体移送方向D1の下流側部位から落下する処理物を、揺動選別体28のうち処理物移送方向D2の上流側部位に向けて(斜め前下方に向けて)流下案内する。後側案内体54は、左側の上支持フレーム17と右側の上支持フレーム17とに亘って設けられ、これらに支持されている。後側案内体54の横幅は、皮剥き装置9の横幅と等しい又は略等しい長さであり、かつ、揺動選別体28の横幅よりも若干長い長さに設定されている。
【0045】
〔上横側案内体〕
左側の上横側案内体55は、皮剥き装置9の左側部と揺動選別体28の左側部との間に設けられている。左側の上横側案内体55は、皮剥き装置9の左側部から落下する処理物を、揺動選別体28の左側部に向けて(斜め右下方に向けて)流下案内する。左側の上横側案内体55には、縦向き板部と、傾斜板部と、が備えられている。前記縦向き板部は、皮剥き装置9の左側面に沿って延びている。前記傾斜板部は、皮剥き装置9の左側部の下方において、前記縦向き板部の下端部から右下方に向かって斜めに延びている。
【0046】
右側の上横側案内体55は、皮剥き装置9の右側部と揺動選別体28の右側部との間に設けられている。右側の上横側案内体55は、皮剥き装置9の右側部から落下する処理物を、揺動選別体28の右側部に向けて(斜め左下方に向けて)流下案内する。右側の上横側案内体55には、縦向き板部と、傾斜板部と、が備えられている。前記縦向き板部は、皮剥き装置9の右側面に沿って延びている。前記傾斜板部は、皮剥き装置9の右側部の下方において、前記縦向き板部の下端部から左下方に向かって斜めに延びている。
【0047】
〔下横側案内体〕
下横側案内体56は、揺動選別体28の処理物移送方向D2に対する横方向の端側部位(右側部)と回収部11の奥側端部との間に設けられている。下横側案内体56は、揺動選別体28の右側部から落下する種子粒を、回収部11の奥側端部に向けて(斜め左下方に向けて)流下案内する。下横側案内体56は、右側の中支柱15と右側の後支柱16とに亘って設けられている。下横側案内体56は、右側の中支柱15及び右側の後支柱16に支持プレート57を介して支持されている。
【0048】
下横側案内体56には、縦向き板部56Aと、傾斜板部56Bと、が備えられている。縦向き板部56Aには、右側の揺動リンク35との干渉を避けるべく、切欠部56aが形成されている。傾斜板部56Bは、揺動選別体28の右側部の下方において、縦向き板部56Aの下端部から左下方に向かって斜めに延びている。下横側案内体56の下方は、バッテリ(図示省略)を配置するための空間となっている。
【0049】
〔方向規制部材〕
傾斜板部56Bの上面には、前側方向規制部材58及び後側方向規制部材59が処理物移送方向D2(機体前後方向)に並ぶ状態で設けられている。前側方向規制部材58及び後側方向規制部材59は、夫々、本発明に係る「方向規制部材」に相当する。前側方向規制部材58及び後側方向規制部材59は、揺動選別体28から落下する種子粒が、処理物移送方向D2の上流側に流下するように、種子粒の流下方向を規制する。
【0050】
後側方向規制部材59は、下横側案内体56における処理物移送方向D2の中央部(前後中央部)に設けられている。後側方向規制部材59は、側面視において、下端部ほど後側に位置するように傾斜する状態で、傾斜板部56Bに取り付けられている。後側方向規制部材59は、傾斜板部56Bに沿って取り付けられる後側基部59A(本発明に係る「基部」に相当)と、後側基部59Aから立ち上がる後側作用部59B(本発明に係る「作用部」に相当)と、を有する略L字断面形状の部材である。後側方向規制部材59は、後側基部59Aが後側作用部59Bのうち種子粒に作用する後側作用面59a(本発明に係る「作用面」に相当)とは反対側(前側)に位置する状態で、傾斜板部56Bに取り付けられている。後側基部59Aの下端部は、傾斜板部56Bの下端部よりも下側に出っ張っていない。後側作用部59Bの上端部は、縦向き板部56Aと傾斜板部56Bとの境界よりも上側に出っ張っている。
【0051】
前側方向規制部材58は、下横側案内体56における後側方向規制部材59に対して処理物移送方向D2の下流側(前側)に設けられている。前側方向規制部材58は、側面視において、下端部ほど後側に位置するように傾斜する状態で、傾斜板部56Bに取り付けられている。前側方向規制部材58は、傾斜板部56Bに沿って取り付けられる前側基部58A(本発明に係る「基部」に相当)と、前側基部58Aから立ち上がる前側作用部58B(本発明に係る「作用部」に相当)と、を有する略L字断面形状の部材である。前側方向規制部材58は、前側基部58Aが前側作用部58Bのうち種子粒に作用する前側作用面58a(本発明に係る「作用面」に相当)とは反対側(前側)に位置する状態で、傾斜板部56Bに取り付けられている。前側基部58Aの下端部は、傾斜板部56Bの下端部よりも下側に出っ張っていない。前側作用部58Bの上端部は、縦向き板部56Aと傾斜板部56Bとの境界よりも上側に出っ張っていない。
【0052】
前側方向規制部材58(前側作用部58B)の長手方向の長さL1は、後側方向規制部材59(後側作用部59B)の長手方向の長さL2よりも短い。前側方向規制部材58の側面視における傾斜角度と後側方向規制部材59の側面視における傾斜角度とは、同一又は略同一である。
【0053】
〔前側シュート〕
揺動選別体28のうち処理物移送方向D2の下流側端部(前端部)の底部に、揺動選別体28の前部から落下する種子粒を、回収部11の前部に向けて流下案内する前側シュート60(本発明に係る「下流側案内体」に相当)が設けられている。前側シュート60の横幅は、揺動選別体28の横幅と等しい又は略等しい長さに設定されている。前側シュート60には、底板部60Aと、底板部60Aの左右両縁部から夫々立ち上がる横板部60Bと、が備えられている。底板部60Aは、後下がりに傾斜する状態で設けられている。横板部60Bは、底板部60Aと揺動選別体28とに亘って設けられている。
【0054】
前側シュート60のうち横方向における下横側案内体56側の端部(右端部)は、平面視で下横側案内体56と重複している(図11参照)。前側シュート60は、揺動選別体28における処理物移送方向D2の下流側端部(前端部)の底部から前側方向規制部材58の上端部の上方まで延びている。
【0055】
〔前側垂下部材〕
前側シュート60の下端部には、前側垂下部材61(本発明に係る「垂下部材」に相当)が設けられている。前側垂下部材61は、弾性変形可能な部材(例えば、ビニール製やゴム製のシート)である。前側垂下部材61は、前側シュート60の下端部から前側方向規制部材58及び後側方向規制部材59の各下端に対応する高さ位置まで延びている。前側垂下部材61は、側面視において、前側方向規制部材58と重複し、かつ、処理物移送方向D2(前後方向視)視において、前側方向規制部材58と重複しない状態で設けられている。前側垂下部材61の右下角部は、下横側案内体56(傾斜板部56B)の傾斜に沿う形状の切り欠き形状に形成されている。
【0056】
〔後側シュート〕
揺動選別体28のうち処理物移送方向D2の上流側端部(後端部)の底部に、揺動選別体28の後部から落下する種子粒を、回収部11の後部に向けて流下案内する後側シュート62が設けられている。後側シュート62の横幅は、揺動選別体28の横幅と等しい又は略等しい長さに設定されている。後側シュート62には、底板部62Aと、底板部62Aの左右両縁部から夫々立ち上がる横板部62Bと、が備えられている。底板部62Aは、前下がりに傾斜する状態で設けられている。横板部62Bは、底板部62Aと揺動選別体28とに亘って設けられている。
【0057】
〔後側垂下部材〕
後側シュート62の下端部には、後側垂下部材63が設けられている。後側垂下部材63は、弾性変形可能な部材(例えば、ビニール製やゴム製のシート)である。後側垂下部材63は、後側シュート62の下端部から前側方向規制部材58及び後側方向規制部材59の各下端に対応する高さ位置まで延びている。後側垂下部材63の右下角部は、下横側案内体56(傾斜板部56B)の傾斜に沿う形状の切り欠き形状に形成されている。
【0058】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、下横側案内体56の上面に、前側方向規制部材58及び後側方向規制部材59が設けられている。しかし、これに代えてあるいはこれと共に、前側案内体53や後側案内体54、上横側案内体55の各上面に、本発明に係る「方向規制部材」が設けられていてもよい。
【0059】
例えば、図12に示すように、前側案内体53の上面に、複数(例えば、三つ)の方向規制部材64が機体左右方向に並ぶ状態で設けられていてもよい。方向規制部材64は、皮剥き装置9から落下する処理物が、揺動選別体28における左側部位に落下するように、処理物の流下方向を規制する。三つの方向規制部材64は、前側案内体53において、右側寄りに配置されている。方向規制部材64は、背面視において、左下がりに傾斜する状態で前側案内体53に取り付けられている。方向規制部材64は、前側案内体53に沿って取り付けられる基部64Aと、基部64Aから立ち上がる作用部64Bと、を有する略L字断面形状の部材である。方向規制部材64は、基部64Aが作用部64Bのうち種子粒に作用する作用面64aとは反対側(前側)に位置する状態で、前側案内体53に取り付けられている。
【0060】
なお、方向規制部材64の数は、三つに限定されるものではなく、一つ、二つ、あるいは、四つ以上であってもよい。
【0061】
(2)上記実施形態では、前側方向規制部材58及び後側方向規制部材59について、各傾斜角度が不変である。しかし、これに代えて、前側方向規制部材58及び後側方向規制部材59について、各傾斜角度を可変にしてもよい。
【0062】
例えば、図13に示すように、前側方向規制部材58及び後側方向規制部材59は、夫々、上部が下横側案内体56(傾斜板部56B)に揺動可能に支持されている。前側方向規制部材58の下部と後側方向規制部材59の下部とに亘って、これらを連動連結するリンク65が設けられている。前側方向規制部材58及び後側方向規制部材59のうち何れか一方(図13に示す例では、前側方向規制部材58)の下端部は、下横側案内体56(傾斜板部56B)に形成された長孔56bに、ピン66を介して支持されている。
【0063】
このような構成によれば、前側方向規制部材58がピン66を介して長孔56bに沿って揺動すると、リンク65を介して後側方向規制部材59が揺動する。こうして、前側方向規制部材58及び後側方向規制部材59の各傾斜角度を変更することができる。
【0064】
なお、前側方向規制部材58及び後側方向規制部材59の各傾斜角度を可変にする構成は、図13に示す構成に限定されるものではない。また、詳細な説明は省略するが、図13に示す構成を上記別実施形態(1)に係る方向規制部材64に適用して、方向規制部材64の傾斜角度を可変にしてもよい。
【0065】
(3)図14に示すように、前側シュート60について、処理物移送方向D2の長さを可変にするべく、底板部60A及び横板部60Bを、夫々、処理物移送方向D2に複数に分割して構成してもよい。
【0066】
(4)図15から図18に示すように、揺動選別体28における底板部29の下面に、案内板67が設けられていてもよい。案内板67は、前記漏下孔から下方に落下する種子粒を、回収部11における左側の部位に向けて流下案内する。図15及び図16に示す例では、案内板67は、平面視において、前端部ほど左側に位置し、かつ、底板部29に対して垂直な状態で設けられている。図17及び図18に示す例では、案内板67は、平面視において、機体前後方向(処理物移送方向D2)に直線的に延び、かつ、正面視において、下端部ほど左側に位置するように傾斜する状態で設けられている。このような構成によれば、種子粒が回収部11における右側の部位に片寄らないように、揺動選別体28から落下する種子粒を、回収部11における左側の部位に向けて流下案内することができる。
【0067】
(5)図19から図20に示すように、皮剥き装置9において、掻き送り回転体25と皮剥きローラ24との間に、掻き送り回転体25と皮剥きローラ24とを仕切る仕切板68が、着脱可能に設けられていてもよい。仕切板68の横幅は、複数の皮剥きローラ24の全体に亘る長さに設定されている。
【0068】
図19に示す例では、仕切板68の前後長さは、トウモロコシ房状体移送方向D1において、皮剥きローラ24の全体を覆う程度の長さに設定されている。図20に示す例では、仕切板68の前後長さは、トウモロコシ房状体移送方向D1において、皮剥きローラ24の上流側半部を覆う程度の長さに設定されている。
【0069】
また、図21に示すように、仕切板68を、前後二分割して、前半部と後半部とをヒンジ69によって連結する構造としてもよい。これにより、一の仕切板68を、皮剥きローラ24の全体を覆う場合と、皮剥きローラ24の上流側半部を覆うとで使い分けることができる。
【0070】
ところで、トウモロコシ房状体が低水分の場合は、皮剥き装置9において、トウモロコシ房状体から種子粒が脱粒し易くなってしまう。また、トウモロコシ房状体が高水分の場合は、皮剥き装置9において、トウモロコシ房状体から包葉が上手く剥がれず、種子粒が変形し易くなってしまう。そこで、皮剥き装置9において、掻き送り回転体25と皮剥きローラ24との間に、仕切る仕切板68を設けることにより、トウモロコシ房状体が低水分の場合は、皮剥き装置9による皮剥き作用を半分程度にして(図20参照)、皮剥き性能と脱粒性能とを両立させることができる。また、トウモロコシ房状体が高水分の場合は、皮剥き装置9による皮剥き作用を止めて(図19参照)、皮剥き装置9を房取り仕様に変更することができる。
【0071】
(6)揺動選別装置10において、揺動選別体28を、処理物移送方向D2の一方側(前側)に引っ張るバネ(図示省略)、及び処理物移送方向D2の他方側(後側)に引っ張るバネ(図示省略)が設けられていてもよい。このような構成によれば、前記両バネの引っ張り力により、揺動選別体28の揺動駆動によって発生する振動や、連結杆36(特に、クランク軸39との連結部)に作用する過負荷を低減することができる。
【0072】
(7)上記実施形態では、下横側案内体56(傾斜板部56B)の上面に、前側方向規制部材58及び後側方向規制部材59が設けられている。しかし、本発明に係る「方向規制部材」の数は、二つに限定されるものではなく、一つ、あるいは、三つ以上であってもよい。
【0073】
(8)上記実施形態では、前側方向規制部材58(前側作用部58B)の長手方向の長さL1は、後側方向規制部材59(後側作用部59B)の長手方向の長さL2よりも短い。しかし、これに代えて、前側方向規制部材58(前側作用部58B)の長手方向の長さL1は、後側方向規制部材59(後側作用部59B)の長手方向の長さL2と同じであってもよい。
【0074】
(9)上記実施形態では、前側方向規制部材58は、下横側案内体56における後側方向規制部材59に対して処理物移送方向D2の下流側(前側)に設けられている。しかし、これに代えてあるいはこれと共に、下横側案内体56における後側方向規制部材59に対して処理物移送方向D2の上流側(後側)に、本発明に係る「その他の方向規制部材」が設けられていてもよい。
【0075】
(10)上記実施形態では、前側シュート60は、処理物移送方向D2の下流側端部(前端部)の底部から前側方向規制部材58の上端部の上方まで延びている。しかし、これに代えて、前側シュート60は、処理物移送方向D2の下流側端部(前端部)の底部から前側方向規制部材58の上端部の手前側(処理物移送方向D2の下流側)までしか延びていなくてもよい。
【0076】
(11)上記実施形態では、前側垂下部材61は、前側シュート60の下端部から前側方向規制部材58及び後側方向規制部材59の各下端に対応する高さ位置まで延びている。しかし、これに代えて、前側垂下部材61は、前側シュート60の下端部から前側方向規制部材58及び後側方向規制部材59の各下端に対応する高さ位置よりも上側の高さ位置までしか延びていなくてもよい。
【0077】
(12)上記実施形態では、前側垂下部材61は、処理物移送方向D2(前後方向視)視において、前側方向規制部材58と重複しない状態で設けられている。しかし、これに代えて、前側垂下部材61は、処理物移送方向D2(前後方向視)視において、前側方向規制部材58と重複する状態で設けられていてもよい。
【0078】
(13)上記実施形態では、後側方向規制部材59は、後側基部59Aが後側作用部59Bのうち後側作用面59aとは反対側(前側)に位置する状態で、下横側案内体56(傾斜板部56B)に取り付けられている。また、前側方向規制部材58は、前側基部58Aが前側作用部58Bのうち前側作用面58aとは反対側(前側)に位置する状態で、下横側案内体56(傾斜板部56B)に取り付けられている。しかし、これらに代えて、後側方向規制部材59は、後側基部59Aが後側作用部59Bのうち後側作用面59a側(後側)に位置する状態で、下横側案内体56(傾斜板部56B)に取り付けられていてもよい。また、前側方向規制部材58は、前側基部58Aが前側作用部58Bのうち前側作用面58a側(後側)に位置する状態で、下横側案内体56(傾斜板部56B)に取り付けられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、トウモロコシ収穫機に利用可能である。
【符号の説明】
【0080】
5 収穫部
7 搬送装置
9 皮剥き装置
10 揺動選別装置
11 回収部
28 揺動選別体
53 前側案内体(案内体)
54 後側案内体(案内体)
55 上横側案内体(案内体)
56 下横側案内体(案内体)
58 前側方向規制部材(方向規制部材)
58A 前側基部(基部)
58B 前側作用部(作用部)
58a 前側作用面(作用面)
59 後側方向規制部材(方向規制部材)
59A 後側基部(基部)
59B 後側作用部(作用部)
59a 後側作用面(作用面)
60 前側シュート(下流側案内体)
61 前側垂下部材(垂下部材)
D2 処理物移送方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21