【解決手段】収穫されたトウモロコシ房状体を搬送し、搬送方向下手側に設けられた排出用開口5からトウモロコシ房状体を排出する搬送部6と、搬送部6の終端部に連設され、トウモロコシ房状体と共に搬送されてきた夾雑物を受け入れて夾雑物出口から排出する夾雑物案内部37とが備えられ、夾雑物案内部37に、搬送部6の終端部と夾雑物出口とに亘る案内通路38が備えられ、案内通路38の始端部に、夾雑物の存在を検出する検出センサ50が備えられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トウモロコシ房状体と共に搬送されてくる夾雑物の量は、作物の種類や生育状況の違い等により変化することがある。そこで、上記従来構成では、夾雑物の量が多い場合には、夾雑物の排出案内を円滑に行えるように緩衝部材を下側に位置調整し、夾雑物の量が少ない場合には、トウモロコシ房状体が夾雑物案内部(排出ガイド)の案内通路内に入り難くなるように、緩衝部材を上側に位置調整することで対応している。
【0005】
上記したような構成であっても、例えば、夾雑物の量が多いにもかかわらず、誤って緩衝部材を上側に位置調整することが考えられる。この場合には、夾雑物の量に対して、緩衝部材と夾雑物案内部の案内通路の内面との間の隙間が狭くなり、夾雑物が隙間に堆積して詰まりを起すおそれがある。
【0006】
しかし、上記従来構成では、搬送部と夾雑物案内部との連通箇所は、夾雑物が外方へ漏出しないように外周部が覆われているから、夾雑物の搬送状態は外部から確認することができない。その結果、詰まっている状態で収穫作業を継続して、夾雑物案内部の内部だけでなく搬送部の内部も詰まり、搬送部が損傷する等のおそれがある。
【0007】
そこで、夾雑物案内部における夾雑物の案内状態を運転者が容易に確認できるようにすることが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るトウモロコシ収穫機の特徴構成は、
収穫されたトウモロコシ房状体を搬送し、搬送方向下手側に設けられた排出用開口からトウモロコシ房状体を排出する搬送部と、
前記搬送部の終端部に連設され、トウモロコシ房状体と共に搬送されてきた夾雑物を受け入れて夾雑物出口から排出する夾雑物案内部とが備えられ、
前記夾雑物案内部に、前記搬送部の終端部と前記夾雑物出口とに亘る案内通路が備えられ、
前記案内通路の始端部に、夾雑物の存在を検出する検出センサが備えられている点にある。
【0009】
本発明によれば、夾雑物案内部の始端部に備えられた検出センサにより、案内通路内の夾雑物の存在が検出される。例えば、収穫作業中には夾雑物の存在が検出され、非作業時には夾雑物の存在が検出されないときは、案内通路内に沿って夾雑物が良好に案内されていると判断することができる。
【0010】
又、収穫作業中だけでなく非作業時においても、夾雑物の存在が検出される場合には、夾雑物案内部の内部において、夾雑物が位置固定状態で存在している状態、すなわち、付着堆積して案内通路を塞いでいる状態であることが想定される。このような場合には、運転者に報知する等の対策を取ることができる。
【0011】
従って、夾雑物案内部における夾雑物の案内状態を運転者が容易に確認することが可能となった。
【0012】
本発明においては、
前記搬送部は、トウモロコシ房状体を後上がり方向に搬送するように構成され、
前記排出用開口を通して前記搬送部の下側から後上がり方向に選別風を吹き出す選別ファンが備えられ、
前記検出センサは、前記案内通路の始端部における上部に備えられていると好適である。
【0013】
本構成によれば、搬送部により搬送されてきたトウモロコシ房状体が排出用開口から排出される。一方、排出用開口を通して下側から吹き出された選別風により、トウモロコシ房状体から分離された夾雑物が夾雑物案内部の案内通路に向けて送風案内される。
【0014】
夾雑物は、後上がり方向の選別風によって案内通路の上部側に送風案内される。その結果、夾雑物案内部の始端部のうちの案内通路の上部に夾雑物が付着堆積するおそれがある。そこで、案内通路の上部に検出センサを備えることで、夾雑物が堆積していることを早いタイミングで検出することが可能となる。
【0015】
本発明においては、前記案内通路の幅方向において、複数の前記検出センサが分散配置されていると好適である。
【0016】
本構成によれば、夾雑物案内部の幅方向に位置が異なる複数箇所において、夾雑物の堆積状態を検出することができる。夾雑物が堆積していることを、より早いタイミングで検出することが可能であり、しかも、いずれかの検出センサが故障しても、他の検出センサにて確実に検出することができ、良好な検出状態を維持できる。
【0017】
本発明においては、
前記排出用開口は、前記搬送部の終端部における底部に設けられ、
前記案内通路の始端部における下部に、トウモロコシ房状体を受止めて前記排出用開口に案内する緩衝部材が備えられ、
前記案内通路の始端部のうち、前記緩衝部材の上方に位置する箇所に、前記検出センサが備えられていると好適である。
【0018】
本構成によれば、搬送部の終端部の排出用開口から排出されたトウモロコシ房状体は、緩衝部材によって受止められ、案内通路内に入ることが規制される。緩衝部材は、トウモロコシ房状体が案内通路内に入ることを規制するために、案内通路の底面よりも高い位置にまで延びているので、その上方箇所は狭くなっている。この狭くなっている箇所に夾雑物が堆積しやすい。そこで、このように狭くなっている箇所に検出センサを備えることで、夾雑物が堆積していることを、より早く検出することが可能である。
【0019】
本発明においては、
前記検出センサに、
前記夾雑物案内部の前記案内通路の周壁面から通路内方側に向けて突出して、周壁面側の端部を中心として夾雑物移送方向下手側に向けて揺動可能なアーム部と、
前記アーム部の揺動角度を検出する角度検出部とが備えられていると好適である。
【0020】
本構成によれば、案内通路に夾雑物が存在していると、アーム部が夾雑物に押されて夾雑物移送方向下手側に向けて揺動すると、そのときのアーム部の揺動角度が角度検出部により検出される。その検出結果に基づいて、夾雑物の状態を判別することができる。アーム部の揺動により検出する構成であるから、検出範囲が広くなり、夾雑物の量を精度よく検出することができる。
【0021】
本発明においては、
前記案内通路における夾雑物の詰まりを報知する詰まり報知部が備えられ、
前記詰まり報知部は、前記検出センサの検出値が予め設定された閾値を越える状態が、予め設定された設定時間以上継続すると、夾雑物の詰まりと判断すると好適である。
【0022】
本構成によれば、アーム部の揺動角度が案内通路内部において夾雑物の詰まりに相当する値になっており、しかも、その状態が設定時間以上継続しているときは、詰まり報知部が、詰まりと判断して報知処理を実行する。運転者はその報知処理により詰まりが発生していることを確認することができ、除去作業等の後処理を実行することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係るトウモロコシ収穫機の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0025】
〔全体構成〕
図1,2に示すように、本発明に係るトウモロコシ収穫機は、向き固定の左右一対の前輪1と操向操作可能な左右一対の後輪2とを備えて走行機体3が構成されている。そして、走行機体3には、機体走行に伴って植付作物から包葉の内部に多数の種子を備えたトウモロコシ房状体を収穫する収穫装置4と、収穫装置4にて収穫されたトウモロコシ房状体を機体後方上方に向けて搬送して搬送終端部に形成された排出用開口としての排出口5から排出する搬送部としてのフィーダ6と、排出口5から排出されたトウモロコシ房状体の包葉を剥き取る皮剥き装置7と、包葉が剥き取られた後のトウモロコシ(収穫物)を貯留する貯留タンク8と、走行機体3の下部であって前輪1と後輪2との間の前後中間部に位置する残稈処理装置9とが備えられている。
【0026】
この実施形態では、機体の前後方向及び左右方向は次のように定義する。すなわち、
図1及び
図2に符号(F)で示す方向が機体前側、
図1及び
図2に符号(B)で示す方向が機体後側である。
図2に符号(L)で示す方向が機体左側、
図2に符号(R)で示す方向が機体右側である。
【0027】
走行機体3は、車体前部に上方がキャビン10により覆われる状態で運転部11が備えられ、その運転部11の後方に原動部12が備えられている。原動部12には、各部に動力を伝達するエンジン13が備えられるとともに、それに付随する種々の装置が備えられている。
【0028】
運転部11の左側には、運転者が乗り降りするための昇降ステップ16が備えられ、走行機体3における運転部11の左後方側には、補助作業者が搭乗可能な作業者搭乗デッキ17が備えられている。この作業者搭乗デッキ17は、フィーダ6の左横側箇所及び皮剥き装置7の左横側箇所にわたって前後方向に長く延びる状態で設けられている。
【0029】
収穫作業時には、前輪1の駆動により走行機体3を走行させ、収穫装置4で収穫したトウモロコシ房状体がフィーダ6によって機体後方上方に搬送され、皮剥き装置7によってトウモロコシ房状体から包葉が剥き取られたあとのトウモロコシが、貯留タンク8に貯留される。
【0030】
貯留タンク8は、平面視で略矩形状に形成されるとともに、上部が開放された形状となっており、その開放された領域から収穫物を受け入れるようになっている。収穫時に圃場に残された茎稈は残稈処理装置9により細断処理される。
【0031】
〔収穫装置〕
収穫装置4について説明する。
図2に示すように、収穫装置4は、横方向に並列する4列の導入経路19が形成され、各々の導入経路19を挟む位置に、左右一対の収穫ロール20及びその上部に位置する左右一対の無端搬送チェーン21を備えている。収穫ロール20は、導入経路19と平行する姿勢の回転軸芯を中心に回転自在に支持されている。周知の構成であるから詳述はしないが、前端位置に先細りのスクリュー部を備え、これより後方側の外周には複数の収穫羽根を備えている。無端搬送チェーン21は、多数の突起21Aが形成されると共に、前部位置の前部スプロケット22と後部位置の後部スプロケット23とに巻回されている。
【0032】
導入経路19に茎稈が導入されると、収穫ロール20の収穫羽根が茎稈を下方に引く力を継続的に作用させ、茎稈に房状に形成されているトウモロコシを案内プレート(図示せず)の上面に受け止めて、このトウモロコシ房状体を茎稈から引きちぎる形態で茎稈から分離する。
【0033】
図1に示すように、複数の収穫ロール20と複数の無端搬送チェーン21との後方位置には収穫物を横方向の中央位置に移送するオーガ24が備えられている。
図10に示すように、オーガ24は、下方側の外周側に搬送用樋部24Aが設けられ、外周にはスクリュー羽根体24Bが形成されており、4列の導入経路19にて夫々、植立茎稈から分離されたトウモロコシ房状体をスクリュー羽根体24Bの送り作用により横方向の中央位置に移送させる。そして、
図11に示すように、横方向中央部に備えられた送り出し羽根24Cによりトウモロコシ房状体をフィーダ6の搬送始端部に供給する。
【0034】
図10,11に示すように、オーガ24の横方向中央部の上方には飛出し防止部材25が備えられている。飛出し防止部材25は、横向きフレーム26に固定された横長の基端部25Aと、横方向に間隔をあけて基端部25Aから前方に向けて片持ち状に延設される複数の棒状の作用部25Bとを備えている。飛出し防止部材25は、トウモロコシ房状体が送り出し羽根24Cによって前方側に送り出されて飛び出すのを防止する。
【0035】
複数の無端搬送チェーン21の上方が複数の上部カバー27により覆われている。
図7,8に示すように、上部カバー27は、合成樹脂材にて一体成形され、前後方向に長く延びる状態で設けられている。上部カバー27は、車体前部側に先細状の前部側カバー部27Aと、前部側カバー部27Aの後部に連なり略同一の横幅で車体後方に延びる後部側カバー部27Bとが備えられている。
【0036】
図2に示すように、上部カバー27は、隣り合う導入経路19の間に位置する無端搬送チェーン21及び収穫ロール20の上方を覆う状態で、横幅方向中央部が上膨らみ状に形成されて下方が開放された板状の覆い部材となっている。
図2,7,8に示すように、上部カバー27の前部側には、金属材からなり先細状に形成された分草具28が設けられ、上部カバー27の先細状の前端部と、分草具28の開口状態の後端部とが嵌り合う状態で差し込み接続されている。
【0037】
そして、耐久性を向上させるために、
図7,8,9に示すように、上部カバー27のうちの後部側カバー部27Bの外周部には、鋼材からなる帯板部材29が備えられている。又、後部側カバー部27Bの後端部は、トウモロコシ房状体が繰り返し衝突することにより損傷するおそれがあるので、追加カバー27Cを被せて2層構造にして耐久性を高めている。前部側カバー部27Aにおいて、植立茎稈が接当するおそれがある箇所には、内面側に金属材からなる補強用の帯板部材30が備えられている。
【0038】
〔フィーダ〕
フィーダ6は、
図1に示すように、角筒状のフィーダケース31の内部において、後端側の駆動スプロケット32と前端側の従動スプロケット33とに亘って搬送チェーン34が巻回されている。そして、
図3に示すように、搬送チェーン34に対して設定間隔で複数の搬送プレート35が備えられている。
【0039】
図2に示すように、フィーダ6の終端部に、トウモロコシ房状体と共に搬送されてきた夾雑物を受け入れて夾雑物出口としての排塵口36から排出する夾雑物案内部としての排出ガイド37が連設されている。
図3,4,5に示すように、この排出ガイド37に、フィーダ6の終端部と排塵口36とに亘る案内通路38が備えられている。
【0040】
フィーダ6の搬送方向下手側に、トウモロコシ房状体を排出する排出口5が設けられ、この排出口5からトウモロコシ房状体を排出するように構成されている。排出口5は、
図3に示すように、フィーダケース31における後部の底部に位置する後向き排出口部5aと、排出ガイド37における始端部の底部に位置する下向き排出口部5bとを備えている。
【0041】
説明を加えると、後向き排出口部5aは、フィーダケース31の下壁(底面)を取り除くことにより、左右の側壁と上壁とを残して後方下方側に開放する形態で形成されている。下向き排出口部5bは、排出ガイド37の下壁を取り除くことにより、左右の側壁と上壁とを残して後方下方側に開放する形態で形成されている。
【0042】
排出口5から排出されたトウモロコシ房状体は、排出口5の下方に備えられた後下がり姿勢のシュート39により、皮剥き装置7の入口部7Aに向けて案内される。詳述はしないが、皮剥き装置7の横幅がフィーダ6の横幅よりも幅広に設けられ、シュート39は、皮剥き装置7の横幅と略等しい横幅を有する幅広に形成されている。
【0043】
図1,3に示すように、フィーダケース31の下側に選別ファン40が備えられている。この選別ファン40は、排出口5を通してフィーダ6の下側から後上がり方向に選別風を吹き出し、トウモロコシ房状体と共に放出される切れ葉や茎稈屑等の夾雑物を機体外方に吹き飛ばして分離するための選別風を供給する。シュート39には、選別ファン40からの選別風を通過させてトウモロコシ房状体に供給するために通風用開口としての複数のスリット(図示せず)が形成されている。
【0044】
フィーダケース31の後端部には、搬送チェーン34による搬送方向の延長方向に連なる排出用空間が形成され、この排出用空間の内部で搬送チェーン34の搬送方向の延長上には、比較的大型の切れ葉や茎稈屑等を排出する排出装置41が備えられている。
【0045】
図3に示すように、排出装置41は、上下に並ぶ状態で配置される横向き軸芯周りで回転する搬送ローラ42を備えている。そして、一対の搬送ローラ42が互いに逆方向に回転して、一対の搬送ローラ42によって比較的大型の茎稈屑や切れ葉等を挟み込み、後方に放擲する形態で排出する機能を有している。
【0046】
〔排出ガイド〕
排出ガイド37は、
図2に示すように、前端部がフィーダケース31の終端に連通接続され、後方に向けて延びている。そして、後方側の端部が機体の横一側箇所に位置するように、平面視で略L字状に屈曲する状態で設けられている。排出ガイド37の内部に設けられた案内通路38を通して、排出装置41により排出される比較的大型の切れ葉や茎稈屑等の夾雑物、及び、選別ファン40により排出されるその他の夾雑物を案内して、後方側の端部に形成された排塵口36から機体の横側外方に吹き飛ばし放出することができる。
【0047】
図3,4,5に示すように、排出ガイド37の始端部のうちの案内通路38の下部に、トウモロコシ房状体を受止めて排出口5に案内する緩衝部材43が備えられている。この緩衝部材43は、トウモロコシ房状体を受け止める弾性変形体としてのゴム板にて構成されている。緩衝部材43は、排出ガイド37の底面37aの排出口5に臨む前端部に取り付けられて前方側に延設された支持ステー44に支持されている。
【0048】
支持ステー44は、平面視で幅方向中央部が最も突出する山形状に延設され、山形状の前縁部に沿って縦向きに縦向き面44aが形成されている。縦向き面44aと当て板45とにより緩衝部材43を挟んで複数のボルトで締め付けることで緩衝部材43を固定している。緩衝部材43は平面視で略L字形に曲げられた形状となっている。そして、支持ステー44のボルト挿通孔46が上下方向に長孔に形成されている。長孔の範囲内で、支持ステー44に対する緩衝部材43の相対位置を変更調整可能に構成されている。
図3,4に示すように、緩衝部材43は、排出ガイド37の底面37aよりも上方に向けて突出する状態で設けられている。
【0049】
緩衝部材43の下方側には、トウモコシ房状体を皮剥き装置7の横幅方向に拡散させつつ入口部7Aに案内する案内傾斜部47が備えられている。案内傾斜部47は、排出ガイド37の底面37aにおける始端部(前端部)から前方下方向きに延出されている。排出口5から排出されたトウモロコシ房状体が案内傾斜部47によって受け止められて前方下方側に流下案内されたのち、シュート39を介して皮剥き装置7の入口部7Aに向けて案内される。
【0050】
〔検出センサ〕
図4,5,6に示すように、排出ガイド37の始端部に夾雑物の存在を検出する検出センサ50が備えられている。具体的には、検出センサ50は、案内通路38の始端部における上部に備えられている。
図5,6に示すように、案内通路38の幅方向において、3つの検出センサ50が分散配置されている。
【0051】
図4に示すように、検出センサ50には、案内通路38の周壁面(具体的には、排出ガイド37の天井面37b)から通路内方側に向けて突出して、周壁面側の端部を中心として夾雑物移送方向下手側に向けて揺動可能なアーム部50Aと、アーム部50Aの揺動角度を検出する角度検出部50Bとが備えられている。
【0052】
アーム部50Aは、通路内方側に向けて突出して夾雑物を受止め可能な待機姿勢(
図4の実線で示す状態)にて位置保持され、その待機姿勢から夾雑物移送方向上手側(
図4の左方向)への移動を規制するとともに、夾雑物の存在によって夾雑物移送方向下手側(
図4の右方向)への揺動を許容する構成となっている。アーム部50Aは、待機姿勢に復帰付勢されており、復帰付勢力に抗して夾雑物により押し操作されて、夾雑物移送方向下手側へ揺動することができる。角度検出部50Bは、アーム部50Aの待機姿勢からの揺動角度を検出するように構成されている。
【0053】
角度検出部50Bの夾雑物移送方向上手側には、傾斜姿勢の案内板51が備えられている。この案内板51は、移送されている夾雑物が角度検出部50Bに接当して衝撃を与えたり、角度検出部50Bに引っ掛かって滞留したりすることを回避するために、夾雑物を通路内方側に向けて案内する。
【0054】
そして、検出センサ50の検出情報に基づいて、案内通路38における夾雑物の詰まりを報知する詰まり報知部52が備えられている。
具体的には、
図6に示すように、3つの検出センサ50の検出情報が入力され、いずれかの検出センサ50において、検出値が予め設定された閾値を越える状態が、予め設定された設定時間以上継続すると、夾雑物の詰まりであると判断する制御装置53が備えられている。閾値としては、例えば、アーム部50Aの最大揺動角度(
図4で仮想線で示す位置)又はそれに近い値が設定されている。すなわち、案内通路38の内部に夾雑物が詰まってアーム部50Aが揺動可能方向に押されている状態が長く継続する状態である。尚、
図4では、構成が理解し易いように、検出センサ50は1個だけ示している。又、上記閾値は、上記したような値に限らず種々変更することが可能である。
【0055】
制御装置53は、いずれかの検出センサ50において夾雑物の詰まりであると判断すると、運転者にそのことを報知する報知装置54を作動させるように構成されている。報知装置54としては、例えば、ブザー等のように音声によって報知するもの、表示ランプや画像表示器等のように表示情報によって報知するもの等、いずれの構成のものでもよく、あるいは、それらを組み合わせたものであってもよい。従って、制御装置53及び報知装置54により詰まり報知部52が構成されている。
【0056】
〔皮剥き装置〕
図3に示すように、皮剥き装置7は、皮剥きケース55の内部に、機体前後方向に沿って延び、且つ、前後方向に沿う軸芯周りで回転する皮剥き用回転体56を、横方向に並ぶ状態で備えている。又、皮剥き用回転体56の上方に位置する複数個の回転移送体57及び掻出しローラ58によって、機体後方側にトウモロコシ房状体を案内しながら一対の皮剥き用回転体56によってトウモロコシ房状体の包葉を剥き取ることができる。包葉が剥き取られた後のトウモロコシは、貯留タンク8に貯留される。
【0057】
皮剥き装置7の下方には、皮剥き装置7の皮剥き作業に伴って、剥き取られた包葉とそれに混入する脱粒した種子粒とを選別する揺動選別装置59が備えられ、皮剥き装置7から落下してきた処理物を受け止めて、揺動運動によって機体前方側へ揺動移送させながら、篩い選別によって包葉と種子粒とに選別して、種子粒は下方に備えられた回収箱60に回収し、包葉は機体下方に排出する。
【0058】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、検出センサ50の検出値に基づいて、夾雑物の詰まりと判断すると報知する詰まり報知部52を備える構成としたが、この構成に代えて、あるいは、その構成に加えて、検出センサ50の検出情報に基づいて、移送される夾雑物の量が適切であるか否かを判断するようにしてもよく、その検出結果に基づいて緩衝部材43の位置を変更させる等の処理を行うようにしてもよい。
【0059】
(2)上記実施形態では、案内通路38の幅方向において、3つの検出センサ50が分散配置される構成としたが、この構成に代えて、1つの検出センサ50を案内通路38の幅方向の中央に設ける構成、2つの検出センサ50を案内通路38の幅方向の左右両側に振り分けて設ける構成、あるいは、4個以上の検出センサ50を分散配置する構成等、種々の形態で実施することができる。
【0060】
(3)上記実施形態では、緩衝部材43が上下位置を変更調整可能に支持される構成としたが、このような構成に限定されるものではなく、上下位置を固定状態で設ける構成としてもよく、又、このような緩衝部材43を備えない構成としてもよい。
【0061】
(4)上記実施形態では、緩衝部材43は、排出ガイド37の底面37aよりも上方に向けて突出する状態で設けられ、緩衝部材43の処理物移送方向下手側は開放される構成となっていたが、この構成では、緩衝部材43の処理物移送方向下手側に、選別風が作用しない空き領域が形成されるので、この空き領域に夾雑物が入り込み滞留するおそれがある。
【0062】
そこで、上記空き領域に夾雑物が入り込み滞留することを未然に防止するために、
図12,13に示すように、案内部材70を設ける構成としてもよい。
案内部材70は、トウモロコシ房状体が損傷しないように、弾性材からなる板体にて構成されている。そして、緩衝部材43の上部前面側に接続され、緩衝部材43の上部を迂回して後方側に向けて延設される。
図12に示すように、略長方形状に形成された案内部材70が2枚設けられ、平面視で略L字形の緩衝部材43の各辺に対して、各別に取付けられている。案内部材70は弾性材にて構成されるから、傾斜案内姿勢を保持するために、下方側から側面視三角形状の支持部材70aにて支持している。又、案内部材70として、上記したような二枚の分割式の構成に代えて、一連に連なる一枚板構造のものであってもよく、さらに、緩衝部材43と別体で構成するものに代えて、緩衝部材43と案内部材70とを弾性材にて一体形成するものでもよい。尚、
図12では、案内部材70の構成を理解し易くするために、検出センサ50の記載は省略している。
【0063】
(5)上記実施形態では、排出ガイド37が、略L字形に曲がる箇所において、角部が形成される構成としたが、
図14に示すように、排出ガイド37の経路折れ曲がり箇所において、選別風が乱れることなく円滑に流動するように角部を覆う滞留防止板71を設ける構成としてもよい。
【0064】
(6)上記実施形態では、搬送部としてのフィーダ6と、夾雑物案内部としての排出ガイド37とが別体の部材として備えられる構成としたが、この構成に代えて、搬送部と夾雑物案内部とを一体形成するものでもよく、排出用開口(排出口5)は、夾雑物案内部には設けずに搬送部の終端部だけに設けるようにする等、適宜変更して実施することができる。
【0065】
(7)上記実施形態では、検出センサ50が、揺動可能なアーム部50Aとアーム部50Aの揺動角度を検出する角度検出部50Bとを備える構成としたが、この構成に代えて、検出センサ50が、例えば、光学式のセンサや感圧式のセンサ等、種々の型式のセンサを用いることができる。
【0066】
(8)上記実施形態では、トウモロコシ房状体から包葉が剥き取られたあとのトウモロコシを収穫するようにしたが、トウモロコシ房状体をそのまま貯留して回収する型式のトウモロコシ収穫機であってもよい。