特開2018-166502(P2018-166502A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2018-166502テーパー状マルチフィラメント糸条の制作治具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-166502(P2018-166502A)
(43)【公開日】2018年11月1日
(54)【発明の名称】テーパー状マルチフィラメント糸条の制作治具
(51)【国際特許分類】
   A01K 91/00 20060101AFI20181005BHJP
   A01K 91/12 20060101ALI20181005BHJP
   D02G 3/34 20060101ALI20181005BHJP
   D02J 1/06 20060101ALI20181005BHJP
【FI】
   A01K91/00 F
   A01K91/12
   A01K91/00 B
   D02G3/34
   D02J1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2017-82389(P2017-82389)
(22)【出願日】2017年3月30日
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】598139184
【氏名又は名称】福山 明彦
(72)【発明者】
【氏名】福山 明彦
【テーマコード(参考)】
2B307
4L036
【Fターム(参考)】
2B307CA06
2B307CA20
4L036AA01
4L036MA33
4L036PA36
4L036PA39
4L036PA45
4L036UA25
(57)【要約】      (修正有)
【課題】テーパー状マルチフィラメント糸条を手作業で作る際に、従来困難であった長いテーパー部でも、材料となるマルチフィラメント糸条から効率よくストランドを順次抜き取る事が可能となる治具を提供する。
【解決手段】材料となるマルチフィラメント糸条から効率よくストランドを順次抜き取るために、材料となるマルチフィラメント糸条を挟む2枚の板で構成され、片方の板1に材料となるマルチフィラメント糸条が納まる溝6を有し、もう一方の板で、その溝に蓋をするものであり、さらには溝6の溝幅が複数カ所で絞られて狭くなる構造とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本発明は、テーパー状マルチフィラメント糸条を手作業で作る治具であって、材料となるマルチフィラメント糸条を挟む2枚の板で構成され、片方の板に材料となるマルチフィラメント糸条が納まる溝を有し、もう一方の板で、その溝に蓋をするものであり、さらには溝の溝幅が複数カ所で絞られて狭くなっている事を特徴とする治具である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば釣り糸におけるテーパー状マルチフィラメント糸条を手作業で作るための治具に関する。釣りの種類としては、例えば、投げ釣り用の力糸、フライフィッシングライン、テンカラ釣りのテーパーラインがある。また他の産業資材分野、例えば飾り紐糸やロープなどに使用されるテーパー状マルチフィラメント糸条を手作業で作るための治具に関する。
【背景技術】
【0002】
テーパー状マルチフィラメント糸条に関するものとして、例えば釣りの力糸に関するものとして、特開2012−7288に開示のものが知られているが、このような力糸を自作する事は困難であった。別な形態として特開2003−339285に開示のものが知られているが、手作業で作れるものの容易に効率よく手作業で作る事は出来なかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−7288
【特許文献2】特開2003−339285
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、テーパー状マルチフィラメント糸条を手作業で作る際に、従来困難であった長いテーパー部を形成する場合でも、材料となるマルチフィラメント糸条の組糸からストランドを順次切断除去し、ストランド数を徐々に減ずることでマルチフィラメント糸条の長手方向に径が小さくなるテーパー部を効率良く抜き取る事が可能となる治具を提供する事を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するために、すなわち、テーパー状マルチフィラメント糸条を手作業で作る際に、従来困難であった長いテーパー部を形成する場合でも、材料となるマルチフィラメント糸条の組糸からストランドを順次切断除去し、ストランド数を徐々に減ずることでマルチフィラメント糸条の長手方向に径が小さくなるテーパー部を効率良く抜き取る事を可能とするため、材料となるマルチフィラメント糸条を挟む2枚の板で構成され、片方の板に材料となるマルチフィラメント糸条が納まる溝を有し、もう一方の板で、その溝に蓋をするものであり、さらには溝の溝幅が複数カ所で絞られて狭くなる構造とする事によって解決している。
【0006】
本発明の治具により、下記の作業によって効率よくテーパー状マルチフィラメント糸条を手作業で作る事ができるものである。
【0007】
作業手順として、材料となるマルチフィラメント糸条を、上述での片方の板の溝に納めるように通し、もう一方の板で蓋をする事でマルチフィラメント糸条が筒状に囲まれた状態となる。
【0008】
次にマルチフィラメント糸条が筒状に囲まれた状態で、マルチフィラメント糸条を構成するストランドを順次段違いの長さで抜き出す事によって、テーパー状マルチフィラメント糸条を形成していくものである。
【0009】
マルチフィラメント糸条を構成するストランドを抜き出す際には、マルチフィラメント糸条の網目が膨らみながらストランドが抜き出されていくが、手作業の場合は、この膨らみが溜まっていき圧縮され、ストランドを抜き出す抵抗が増えて効率良く引き抜き出せなくなるため、長さがあるストランドを効率良く抜き取るのは困難であった。
【0010】
本発明では、この膨らんでいくマルチフィラメント糸条を本発明の治具で筒状に囲んで、その範囲内で膨らませる事により、膨らみが溜まって網目が圧縮されることを防止し、ストランドを引き出す抵抗が増えることなく、長いストランドでも効率よく順次抜き取れるものとしている。これにより長いテーパー部を効率よく形成できる事で課題を解決している。
【0011】
さらにマルチフィラメント糸条からストランドを順次抜き取っていく際に、それが何本目かによっては、ストランドの残りの本数が変化するため筒状に囲まれた空間の余裕が変化してしまう。これによってマルチフィラメント糸条が筒状に囲まれていても状態によっては膨らみが溜まり圧縮されてストランドを引き抜く抵抗が増えてしまう事がある。
【0012】
これを解決するために、上述の溝幅を複数個所で絞って狭くする事により、溝と蓋で囲まれる空間が複数の空間に区切られ数珠繋がりの空間を形成している。このようにする事でストランドの残りの本数が変化してもマルチフィラメント糸条の膨らみが寄せられて圧縮される事なく、各空間に留まることで、順次抜き出すストランドの抵抗が増えない構造とする事で課題を解決しているものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、従来、手作業では困難であったテーパー状マルチフィラメント糸条を、効率良く作る事が可能となるものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のしくみを示す断面図である。
図2】本発明のしくみを示す平面図である。
図3】本発明の最良の実施形態を示す下板1の平面図である。
図4】本発明の最良の実施形態を示す上板2の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1図2は、本発明のしくみを示す断面図と平面図である。図3図4は、本発明の最良の実施形態を構成する上述の2枚の板のそれぞれの平面図である。
【0016】
図1において本発明のしくみを示す断面図を図示している。このように本発明の治具は、マルチフィラメント糸条Aを入れて通す溝6を有する下板1と、下板1に蓋をする上板2によって構成され、これによりマルチフィラメント糸条Aを囲む空間を形成している。この図では空間の断面形状は四角形であるが、丸底の溝であっても、V字溝であっても良い。
【0017】
図2において本発明のしくみを示す下板1の平面図を図示している。このように本発明の治具は、上述の下板1においてマルチフィラメント糸条Aを入れて通す溝6と、この溝6の溝幅を複数個所で絞って狭くする事により、溝6と上板2による蓋で囲まれる空間を複数の空間に区切って数珠繋がりの空間を形成している。この図では各空間の溝形状は角丸長方形であるが、長方形であっても、楕円形であっても良い。
【0018】
図3図4において本発明の最良の実施形態としての下板1と上板2の平面図を示している。マルチフィラメント糸条Aを入れて通す溝6を有する下板1と、その下板1の溝6に蓋をする上板2と、下板1に固定された円筒ポール3と、円筒ポール3を下板1に固定するネジ4によって構成されるものである。
【0019】
この実施形態では、下板1と上板2の材料をアクリル樹脂とし、特には上板2を透明にする事により、作業中においてマルチフィラメント糸条Aが膨らんでいくのが目で確認が出来るものとしている。
【0020】
下板1は、上述のようにマルチフィラメント糸条Aを入れて通す溝6と、この溝6の溝幅を複数個所で絞って狭くし、複数の空間に区切って数珠繋がりの空間を形成しているが、下板1の範囲内でジグザグにその経路を形成する事で、その一連の溝の長さが限られた治具の面積の中で長くなるようにしている。これによって本発明の治具全体の大きさが小さく出来ることや、マルチフィラメント糸条Aが本発明の治具から出てくる二カ所が治具の同方向から出す事が出来るため作業者の操作性が良くなるものである。
【0021】
下板1の一連の溝6の経路が曲がる部位には、その経路に外接するように円筒ポール3を下板1に立てており、マルチフィラメント糸条Aの経路を変える軸としている。この円筒ポール3にマルチフィラメント糸条Aを手で順次掛けていく事により溝6の経路に一致してマルチフィラメント糸条Aが配列されるものである。同時に、この実施形態ではその円筒ポール3の材質を摩擦抵抗が低いテフロン樹脂を使用している。これによってストランドBを抜き出す摩擦抵抗はさらに軽減されるものとしている。
【0022】
上板2には、下板1に立てた円筒ポール3が上板2を突き抜けて上蓋2が蓋として被せられるように下板1の円筒ポール3と同配置で貫通穴7が開けられている。
【0023】
なお、下板1に上板2が被さるが、その2枚を密着させる方法として、下板1と上板2のそれぞれの四隅に磁石5を埋め込んでいる。これにより下板1と上板2は磁力によって密着された状態となるものである。
【0024】
以上により、従来困難であったテーパー状マルチフィラメント糸条を効率良く手作業で作ることが出来る治具としているものである。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、テーパー状マルチフィラメント糸条を効率よく手作業で作る治具を提供するものとして活用する事ができる。
【符号の説明】
【0026】
1 下板
2 上板
3 円筒ポール
4 ネジ
5 磁石
6 溝
7 貫通穴
A マルチフィラメント糸条
図1
図2
図3
図4