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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-167460(P2018-167460A)
(43)【公開日】2018年11月1日
(54)【発明の名称】筆記具
(51)【国際特許分類】
   B43K 29/00 20060101AFI20181005BHJP
   B43K 5/00 20060101ALI20181005BHJP
   G09B 19/24 20060101ALI20181005BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20181005BHJP
   B43K 7/00 20060101ALI20181005BHJP
   B43K 21/00 20060101ALI20181005BHJP
【FI】
   B43K29/00 P
   B43K5/00
   G09B19/24 F
   H04R1/02 107
   B43K7/00
   B43K21/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-65887(P2017-65887)
(22)【出願日】2017年3月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】和田 真
【テーマコード(参考)】
2C350
2C353
5D017
【Fターム(参考)】
2C350GA01
2C350GA03
2C350HA04
2C350HA09
2C350KA03
2C350KF05
2C353FA04
2C353FC13
2C353FE06
5D017BC01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】十分な大きさの筆記音を筆記者にフィードバックすることが可能な筆記具を実現する。
【解決手段】筆記を行うための機能を具現する筆記芯11を有した筆記具本体1と、前記筆記具本体1に設けられ、前記筆記芯11に直接にまたは他の部材を介して間接に接触している部材に接触し、筆記の際に生じる振動が当該筆記芯または当該部材から伝わり、その振動を電気信号に変換する変換手段と、前記筆記具本体1に設けられ、前記変換手段により得られる電気信号を増幅する増幅手段3と、前記筆記具本体1に設けられ、前記増幅手段3により増幅される電気信号を振動に変換し音として出力する音声出力手段4とを具備する筆記具を構成した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筆記を行うための機能を具現する筆記芯を有した筆記具本体と、
前記筆記具本体に設けられ、前記筆記芯に直接にまたは他の部材を介して間接に接触し、筆記の際に生じる振動が当該筆記芯または当該部材から伝わり、その振動を電気信号に変換する変換手段と、
前記筆記具本体に設けられ、前記変換手段により得られる電気信号を増幅する増幅手段と、
前記筆記具本体に設けられ、前記増幅手段により増幅される電気信号を振動に変換し音として出力する音声出力手段と
を具備する筆記具。
【請求項2】
前記筆記具本体が、筆記を行う者の手指により把持されるとともに前記筆記芯または前記部材を包有する軸筒を備えており、
前記筆記芯または前記部材に、他の部分と比較して外径が太い拡径部が形成されており、
前記変換手段において筆記の際に生じる振動を受ける要素を、前記拡径部に接触させた状態で前記軸筒内に収容した請求項1記載の筆記具。
【請求項3】
前記筆記具本体が、筆記を行う者の手指により把持されるとともに前記筆記芯または前記部材を包有する軸筒を備えており、
前記変換手段において筆記の際に生じる振動を受ける要素を、前記筆記芯または前記部材と前記軸筒の内周との双方に接触させた状態で軸筒内に収容した請求項1記載の筆記具。
【請求項4】
前記筆記芯が、万年筆のペン先及びペン芯を含んでおり、
前記変換手段において筆記の際に生じる振動を受ける要素を、前記ペン先に接触させて配置した請求項1記載の筆記具。
【請求項5】
前記筆記具本体が、筆記を行う者の手指により把持される軸筒を備えており、
前記音声出力手段を前記軸筒内に収容し、
前記軸筒における、前記音声出力手段の表面側に臨み、当該音声出力手段の表面側から出力される音が伝搬する空間領域に面する箇所に軸筒を貫通する放音孔が穿たれ、
なおかつ、前記軸筒内の前記音声出力手段の裏面側に臨む空間領域と、前記音が伝搬される空間領域との間に、両者を遮蔽する遮蔽壁が設けられている請求項1、2、3または4記載の筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記を行うための筆記具に関し、特に、筆記に伴い発生する筆記音を筆記具を使用している筆記者の聴覚にフィードバックすることのできる筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な紙とペンの組み合わせで生じる筆記音に着目し、筆記音を筆記者の聴覚にフィードバックした場合、筆記音をフィードバックせず遮音する場合と比較して、単純な筆記作業(漢字のなぞり書き)がよりはかどるという実験結果が得られている(下記非特許文献1を参照)。
【0003】
筆記音を筆記者にフィードバックする機能を筆記具に付与するためには、筆記具の後端部にマイクロフォンを設置し、空気中を伝搬する筆記音をこのマイクロフォンで集音し、増幅回路で増幅した上でスピーカから出力することが考えられる(下記特許文献1を参照)。
【0004】
しかしながら、実際には、上述の構成の筆記具により筆記者の耳に聞こえるのに十分な大きさの筆記音を出力することは難しい。筆記具の筆先において発生する筆記音を筆記具の後端部に所在するマイクロフォンで集音しようとしても、極めて微弱な音しか得ることができない。そして、スピーカから放たれる筆記音を大きくしようとして、増幅回路の利得を高く設定すると、スピーカから出力された音が空気中を伝搬した後再びマイクロフォンを介して入力される正帰還が起こり、その結果としてハウリングを惹起する懸念がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−215868号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】金ジョンヒョン、橋田朋子、大谷智子、苗村健、“筆記音のフィードバックが筆記作業に与える影響について”、情報処理学会インタラクション2012、情報処理学会、平成24年3月15日、p.445−450
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、十分な大きさの筆記音を筆記者にフィードバックすることが可能な筆記具を実現しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、筆記を行うための機能を具現する筆記芯を有した筆記具本体と、前記筆記具本体に設けられ、前記筆記芯に直接にまたは他の部材(この部材が、接続した複数の部品からなることがある)を介して間接に接触している部材に接触し、筆記の際に生じる振動が当該筆記芯または当該部材から伝わり、その振動を電気信号に変換する変換手段と、前記筆記具本体に設けられ、前記変換手段により得られる電気信号を増幅する増幅手段と、前記筆記具本体に設けられ、前記増幅手段により増幅される電気信号を振動に変換し音として出力する音声出力手段とを具備する筆記具を構成した。
【0009】
より具体的には、前記筆記具本体が、筆記を行う者の手指により把持されるとともに前記筆記芯または前記部材を包有する軸筒を備えており、前記筆記芯または前記部材に、他の部分と比較して外径が太い拡径部が形成されており、前記変換手段において筆記の際に生じる振動を受ける要素を、前記拡径部に接触させた状態で前記軸筒内に収容したものとすることが好ましい。
【0010】
あるいは、前記筆記具本体が、筆記を行う者の手指により把持されるとともに前記筆記芯または前記部材を包有する軸筒を備えており、前記変換手段において筆記の際に生じる振動を受ける要素を、前記筆記芯または前記部材と前記軸筒の内周との双方に接触させた状態で軸筒内に収容したものとすることも好ましい。
【0011】
前記筆記芯が、万年筆のペン先及びペン芯を含んでいる場合には、前記変換手段において筆記の際に生じる振動を受ける要素を、前記ペン先に接触させて配置することが考えられる。
【0012】
前記筆記具本体が、筆記を行う者の手指により把持される軸筒を備えており、前記音声出力手段を前記軸筒内に収容し、前記軸筒における、前記音声出力手段の表面側に臨み、当該音声出力手段の表面側から出力される音が伝搬する空間領域に面する箇所に軸筒を貫通する放音孔が穿たれており、なおかつ、前記軸筒内の前記音声出力手段の裏面側に臨む空間領域と、前記音が伝搬される空間領域との間に、両者を遮蔽する遮蔽壁が設けられていれば、音声出力手段の裏面側に放たれる逆位相の筆記音が同音声出力手段の表面側に放たれる正位相の筆記音と打ち消し合うことを抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、十分な大きさの筆記音を筆記者にフィードバックすることが可能な筆記具を実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態の筆記具の縦断面図。
図2】同実施形態の筆記具の要部斜視図。
図3】本発明の一変形例の筆記具の要部縦断面図。
図4】同変形例の筆記具の横断面図。
図5】同変形例の筆記具の横断面図。
図6】本発明の一変形例の筆記具の要部縦断面図。
図7】本発明の一変形例の筆記具に実装するスイッチ回路を示す図。
図8】本発明の一変形例の筆記具に実装するノック機構及びこれに連動するスイッチを示す要部縦断面図。
図9】同変形例の筆記具に実装するノック機構及びこれに連動するスイッチを示す要部縦断面図。
図10】本発明の一変形例の筆記具に実装するノック機構及びこれに連動するスイッチを示す要部縦断面図。
図11】本発明の一変形例の筆記具の軸筒の回動操作に連動するスイッチを示す横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1及び図2に示す本実施形態の筆記具は、筆記を行うための機能を具現する筆記芯11を有した筆記具本体1と、筆記具本体1に内蔵された変換手段2、増幅手段3及び音声出力手段4とを具備しており、筆記に伴い発生する筆記音を増幅した上で出力し、当該筆記具を使用する筆記者の聴覚にフィードバックすることができるものである。
【0016】
図1及び図2に示している筆記具は、ボールペンである。この筆記具の筆記芯11は、インキを充填した容器の先端部位に、インキを紙等に転写するためのボールを包有する筆記機構部を取り付けてなるリフィルである。リフィル11は、変換手段2、増幅手段3及び音声出力手段4とともに、筆記具本体1のケーシングであり筆記者の手指により把持される軸筒12の内に収容される。
【0017】
変換手段2は、筆記芯11に直接または間接に接触し、筆記の際に生じる振動を電気信号に変換する。本実施形態では、変換手段2として、ピエゾ素子(圧電素子)を採用している。このピエゾ素子2は、薄板状の誘電体21に薄板状の金属電極22を貼り合わせ、それら誘電体21及び電極22の各々に電線を接続した既知のもので、誘電体21が変形するときに二本の電線の間に電位差即ち電気信号が生じる。
【0018】
本実施形態の筆記具の筆記芯たるリフィル11は、軸筒12の軸心L方向に沿って伸長している。その上で、この筆記芯11に、他の部分と比較して外径が太い拡径部111を形成している。拡径部111は、インキを保持する細長い筒状の容器の一部を軸心L方向と直交する径方向に沿って拡径させるようにして容器に一体的に成形してもよいし、容器の外周に環状の部材を嵌め付けることで形成してもよい。また、筆記芯11自体にではなく、筆記芯11に接触しかつ軸心L方向に沿って伸長する部材に拡径部を形成しても構わない。
【0019】
変換手段たるピエゾ素子2は、その端部を軸筒12の内周に接触させ、その中間部を筆記芯11の拡径部111に接触させるようにして軸筒12内に配置する。この変換手段2は、軸心L方向に対して非平行に傾斜した方向を向く。これにより、筆記具を使用した筆記の際に生じる振動を、筆記芯11に形成した拡径部111から、空気を介することなく直に変換手段2に伝達することができる。そして、その振動、特に筆記芯11の伸長する軸心L方向に沿った振動を、変換手段2において効果的に電気信号に変換することが可能となる。
【0020】
増幅手段3は、変換手段2により得られる電気信号を電気的に増幅する。増幅手段3は、オペアンプを用いた既知の増幅回路を含む。
【0021】
音声出力手段4は、増幅手段3により増幅される電気信号を振動に変換し音として出力する。本実施形態では、音声出力手段4として、平板状の振動板を有し、全体形状も平板な既存のマイクロスピーカを採用している。この音声出力手段4はダイナミックスピーカであり、表面側に正位相の音を放つとともに、裏面側に逆位相の音を放つ。
【0022】
筆記の際に発生する筆記音は、筆記芯11に接触している変換手段2に機械的に伝達され、増幅手段3において増幅された上で音声出力手段4から出力されて、筆記具を使用している筆記者の聴覚に伝わる。音声出力手段4を筆記具本体1の軸筒12内に収容していることから、軸筒12には、当該軸筒12の内部と外部とを連通させる貫通した放音孔123を穿ってある。放音孔123は、筆記の際に筆記者の手指が接触しない(筆記者の手指により塞がれない)部位、例えば筆記具本体1の軸筒12の中間ないし後端(筆記芯11が露出する先端側と反対側)の部位に形成することが好ましい。放音孔123は、音声出力手段4の表面側に臨む空間領域、即ち音声出力手段4の表面側から出力される正位相の音が伝搬する空間領域に面する箇所に所在し、音声出力手段4から出力される音を軸筒12の外部へと放射する役割を担う。
【0023】
また、音声出力手段4の裏面側からは、逆位相の音が出力される。この逆位相の音が、音声出力手段4の表面側から出力される正位相の音に重畳されると、双方の音が打ち消し合い、筆記者の耳に届く筆記音が小さくなってしまう。そこで、図1及び図2に示しているように、本実施形態では、軸筒12内における、音声出力手段4の表面側に臨む空間領域と、同音声出力手段4の裏面側に臨む空間領域との間に、遮蔽壁13を設けている。遮蔽壁13は、軸心L方向に沿って対向するように一対存在し、それらが音声出力手段4及び当該音声出力手段4の表面側に臨む空間領域を挟み込んでいる。遮蔽壁13は、音声出力手段4の側方から軸筒12の内周に向かって拡張し、その軸筒12の内周に当接ないし極近接している。これにより、音声出力手段4の表面側に臨む空間領域、即ち正位相の振動音が伝搬する空間領域を、音声出力手段4の裏面側に臨む空間領域、即ち逆位相の振動音が伝搬する空間領域から隔絶することができる。
【0024】
増幅手段3の電源となる電池5は、例えば一個ないし直列接続した複数個のボタン電池5である。電池5もまた、筆記具本体1の軸筒12内に収容される。本実施形態では、軸筒12が複数個の部品に分割されており、筆記芯11、変換手段2、増幅手段3及び音声出力手段4はその一方即ち先端側の部品121に収容され、電池5は他方即ち後端側の部品122に収容される。これらの部品121、122は、各々に形成された雄ねじと雌ねじとの螺合により結合される。
【0025】
電池5から増幅手段3に電力を供給するための電気回路上には、当該電気回路を開閉するためのスイッチとして、リードスイッチ6を設けている。リードスイッチ6は、筆記具本体1の軸筒12に支持させてある。これに対し、筆記具本体1に装着可能なキャップ7には、磁石71を取り付けている。図1に示しているように、筆記具の使用時に、キャップ7を筆記具本体1の軸筒12の後端部に装着すると、キャップ7の磁石71と軸筒12のリードスイッチ6とが近接し、リードスイッチ6が導通状態となって、電池5から増幅回路に電力が供給される。キャップ7を軸筒12の後端部から離脱させれば、キャップ7の磁石71が軸筒12のリードスイッチ6から離間し、リードスイッチ6が開放状態となって、電池5から増幅回路への電力の供給が遮断される。このように、本実施形態の筆記具では、キャップ7を用いて、筆記音のフィードバック機能のON/OFFを切り替えることが可能となっている。キャップ7は、筆記具の非使用時において軸筒12の先端部に装着し、当該軸筒12の先端側に露出する筆記芯11を被覆することができる。
【0026】
本実施形態では、筆記を行うための機能を具現する筆記芯11を有した筆記具本体1と、前記筆記具本体1に設けられ、前記筆記芯11に直接にまたは他の部材を介して間接に接触し、筆記の際に生じる振動が当該筆記芯11または当該部材から伝わり、その振動を電気信号に変換する変換手段2と、前記筆記具本体1に設けられ、前記変換手段2により得られる電気信号を増幅する増幅手段3と、前記筆記具本体1に設けられ、前記増幅手段3により増幅される電気信号を振動に変換し音として出力する音声出力手段4とを具備する筆記具を構成した。本実施形態によれば、十分な大きさの筆記音を筆記者にフィードバックすることが可能となる。
【0027】
また、前記筆記具本体1が、筆記を行う者の手指により把持されるとともに前記筆記芯11または前記部材を包有する軸筒12を備えており、前記筆記芯11または前記部材に、前記軸筒12の軸心L方向に沿って伸長し、他の部分と比較して外径が太い拡径部111が形成されており、前記変換手段2において筆記の際に生じる振動を受ける要素を、前記拡径部111に接触させた状態で前記軸筒12内に収容したものとしており、筆記具を使用した筆記の際に生じる振動を、変換手段2において効果的に電気信号に変換することができる。
【0028】
さらに、前記音声出力手段4を前記軸筒12内に収容し、前記軸筒12における、前記音声出力手段4の表面側に臨み、当該音声出力手段4の表面側から出力される音が伝搬する空間領域に面する箇所に軸筒12を貫通する放音孔123が穿たれ、なおかつ、前記軸筒12内の前記音声出力手段4の裏面側に臨む空間領域と、前記音が伝搬される空間領域との間に、両者を遮蔽する遮蔽壁13が設けられているため、音声出力手段4の裏面側に放たれる逆位相の筆記音が同音声出力手段4の表面側に放たれる正位相の筆記音と打ち消し合うことを抑制できる。
【0029】
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。特に、筆記具の種類は、ボールペンには限定されない。換言すれば、筆記芯11は、ボールペンのリフィルであるとは限らない。筆記具がシャープペンシルである場合には、筆記芯が鉛筆芯14であり、鉛筆芯14を繰り出して筆記具本体1の先端部から突出させるための機構15を筆記芯14とともに軸筒12に収容することになる。
【0030】
図3ないし図5に、シャープペンシルの例を示している。図示例のシャープペンシルにおける筆記芯14を繰り出す機構15それ自体は、既存のシャープペンシルと同様のものである。概説すると、この機構15にあっては、先端側が三つに分かたれているチャック151の後端部を筒状の芯容器152の前端部の内側に挿入して固着し、かつチャック151の先端部に締具153をチャック151の外側から嵌め付ける。さらに、締具153を受ける円板状の連結具154をチャック151を取り囲むように配置して固定し、この連結具154の後向面と芯容器152の前端部の前向面との間にスプリング155を配置する。チャック151及び芯容器152は、スプリング155により、筆記具本体1の後端に向かって(筆記芯14が露出する先端とは反対側に向かって)弾性付勢される。連結具154は締具153の後方に位置しており、弾性付勢されたチャック151の外周により後方に押圧される締具153は連結具154の前向面に当接する。
【0031】
芯容器152は未使用の筆記芯14を貯蔵し、チャック151は筆記具本体1の軸筒12の先端部から突出する筆記芯14をくわえ込んで保持する。また、軸筒12の先端部を構成する口金124の内周に、チャック151が保持する筆記芯14と係合する弾性材料(ゴム)製造の芯ホルダ156を設けている。筆記者の操作により、芯容器152及びチャック151がスプリング155の弾性付勢力に抗って筆記具本体1の先端に向かって前進すると、チャック151が保持する筆記芯14が所定量前進した後、チャック151の先端部が締具153から脱出して拡開し、チャック151による筆記芯14の保持が解かれる。このとき、芯ホルダ156が筆記芯14を保定し、筆記芯14の落下を抑止する。しかる後、スプリング155の弾性付勢力により芯容器152及びチャック151が後退すると、拡開していたチャック151の先端部が締具153により窄まり、チャック151が再び筆記芯14をくわえ込んで保持する。
【0032】
その上で、図3ないし図5に示すように、シャープペンシルの機構15の要素である、軸心L方向に沿って伸長する芯容器152の外周に、変換手段2たるピエゾ素子を接触させて配置する。このピエゾ素子2は、直接には筆記芯14に接触しないが、他の部材即ち機構15の要素であるチャック151及び芯容器152を介して間接的に筆記芯14に接触することとなる。これにより、筆記の際に生じる振動を、筆記芯14に接触している機構15(のチャック151及び芯容器152)を介してピエゾ素子2に伝達することができる。
【0033】
ボールペンの例である上記実施形態では、筆記芯11または筆記芯11に接触する部材に、他の部分と比較して径方向に突出した拡径部111を形成し、変換手段たるピエゾ素子2をこの拡径部111に接触させるようにしていたが、筆記芯またはこれに接触する部材に拡径部を形成することは必須ではない。シャープペンシルの例では、薄板状をなすピエゾ素子2の中間部分を筆記芯14に接触する部材である芯容器152の外周に接触させ、同ピエゾ素子2の両端部を軸筒12の内周に接触させるようにして、当該ピエゾ素子2を軸筒12内に配置している。図4に示す例では、芯容器152の外周に接触するピエゾ素子2が、径方向に沿った外方に向かって(若干ながら)反っている。翻って、図5に示す例では、ピエゾ素子2が、芯容器152の外周に接近するように、径方向に沿った内方に向かって(若干ながら)反っている。
【0034】
ボールペンの例においても、筆記芯11または筆記芯11に接触する部材に拡径部111を形成せず、ピエゾ素子2の中間部分を筆記芯11または筆記芯11に接触する部材の外周に接触させ、同ピエゾ素子2の両端部を軸筒12の内周に接触させるようにして、当該ピエゾ素子2を軸筒12内に配置することが可能である。
【0035】
筆記具が万年筆である場合には、その筆記芯がペン先(ニブ)16及びペン芯17を含んでおり、図6に示すように、変換手段2において筆記の際に生じる振動を受ける要素を、ペン先16に接触させて配置することが好ましい。この場合の変換手段2は、軸筒内には収容されず(筆記具本体1に内蔵されず)に露出する。図6に示す例では、変換手段たるピエゾ素子2の両端部をペン先16とペン芯17とに跨るように設けている。そして、ピエゾ素子2の一方の端部をペン先16に接触させつつ、他方の端部をペン芯17にビスその他の止着具18を用いて固着している。
【0036】
シャープペンシルや万年筆の例における、増幅手段3及び音声出力手段4、放音孔123、遮蔽壁13、リードスイッチ6、キャップ7等の構成は、ボールペンの例である上記実施形態と同様とすることができるので、ここでは説明を割愛する。
【0037】
変換手段として、ピエゾ素子以外の種類のマイクロフォン、例えばムービングコイル型やリボン型のダイナミックマイク、コンデンサマイク、電荷蓄積型マイク(エレクトレットコンデンサマイク)、カーボンマイク、シリコンマイク(コンデンサ型シリコンマイク、電荷蓄積型シリコンマイク)等を採用することも考えられる。また、近時、MEMS(Micro Electro Mechanincal Systems)技術の進展に伴い、MEMSマイクロフォンと呼ばれる超小型シリコンマイクロフォンが登場しており、これを変換手段として用いることもできる。何れにせよ、当該マイクロフォンにおいて振動を受ける要素(振動板若しくはダイヤフラム、または電極)を筆記芯または筆記芯に接触する部材に接触させておき、筆記の際に生じる振動を空気を介することなく変換手段に伝達させるようにすることは言うまでもない。バイアス電圧を必要とする方式のマイクロフォンを採用する場合には、筆記具本体に搭載された電池から必要な電力の供給を受けることとなる。
【0038】
さらに、MEMSマイクロフォンモジュールには、マイクロフォンの後段に接続する増幅回路であるアンプが一体化しているものもあり、これを採用する場合、当該マイクロフォンモジュールが変換手段と増幅手段とを兼ねることができる。
【0039】
上記実施形態では、電池5から増幅手段3に(必要であれば、変換手段にも)電力を供給するための電気回路を開閉するためのスイッチとしてリードスイッチ6を筆記具本体1の軸筒12に設けるとともに、軸筒12の後端部に装着可能なキャップ7に磁石71を設けて、キャップ7を軸筒12の後端部に装着したときにリードスイッチ6が導通状態となり電力供給がなされるようにしていた。しかしながら、電気回路を開閉するためのスイッチは、リードスイッチ6には限定されない。手動で操作可能な既製のスイッチデバイスを筆記具本体に搭載し、そのスイッチを操作することで電気回路を開閉し、ひいては筆記音のフィードバック機能のON/OFFを切り替えられるように構成してもよい。例えば、一度ボタンを押すとONとなりその状態が維持されるとともに、もう一度ボタンを押すとOFFとなるような押ボタンスイッチであるオルタネイト動作型プッシュスイッチを筆記具本体の軸筒の後端に露出させて設け、このプッシュスイッチを介して電気回路を開閉するものとすれば、既存のノック式ボールペンに似た感覚で筆記音のフィードバック機能のON/OFFを切り替えることができる。筆記具がサイドノック式のシャープペンシルである場合にも、オルタネイト動作型プッシュスイッチを筆記具本体の軸筒の後端に設けることが可能である。
【0040】
タイマ機能付きの電源遮断用スイッチ回路を、筆記具本体に実装しても構わない。図7に、そのようなスイッチ回路を含む電気回路の一例を示す。当該スイッチ回路における二つの端子91、92は、筆記具本体の軸筒における、これを把持して筆記を行う筆記者の手指が触れる部位に配置する。筆記者の手指が二つの端子91、92に接触し、これら端子91、92間が短絡されると、キャパシタが充電され、電気回路が閉じて電池5から増幅手段3に(必要であれば、変換手段にも)電力を供給することができる。そして、筆記者の手指が端子91、92から離反し、両端子91、92間が開放されたとしても、一定の時間は電池5から増幅手段3への電力供給が維持される。両端子91、92間が開放された後、一定時間が経過すると、キャパシタが放電しその電圧が低下することで電気回路が開き、電池5から増幅手段3への電力供給が遮断される。
【0041】
タイマ機能付きの電源遮断用スイッチ回路として、小型のマイクロコントローラ(マイコン)を使用し、端子から筆記者の手指が離れた後電池から増幅手段への電力供給が遮断されるまでのタイマ時間を任意に設定可能なディジタル方式の回路を実装することも可能である。
【0042】
電気回路を開閉するためのスイッチを筆記具本体1の軸筒12内に内蔵したい場合には、以下に例示するような構造を採用することが考えられる。筆記具がいわゆるカーン式ノック機構を備えたノック式ボールペンであるとき、図8及び図9に示すように、そのノック機構は、筆記具本体1の軸筒12の後端部にあって筆記者の手指による押下操作を受けて筆記具本体1の軸心L方向に沿って前後動(上下動)するノック棒81と、ノック棒81に対して加えられた押圧力の伝達を受けて軸筒12内で軸心L回りに回動しながら前後動する回転子82と、軸筒12の内周に設けられ軸心L回りに回動する回転子82と係合して回転子82の軸心方向に沿った位置を保定する中駒(カム筒)124と、ノック棒81、回転子82及び筆記芯たるリフィル11を筆記具本体1の後端に向けて弾性付勢するスプリング(図示せず)とを要素として成立する。ノック棒81は、軸心L回りに回動することはないが、回転子82と係合して回転子82の軸心L方向に沿った進退及び軸心L回りの回転を惹起する。
【0043】
図8に示すように、ノック棒81が軸筒12の後端からより大きく突出する突出位置にあるときに、筆記者がノック棒81を押下するノック操作を行うと、ノック棒81及びこれと係合する回転子82が筆記具の先端に向かって移動し、リフィル11を前進させてその先端部を軸筒12の先端から突出させる。しかる後、筆記者がノック棒81に対して加えている押下操作力を緩めると、スプリングにより弾性付勢されているノック棒81、回転子82及びリフィル11が筆記具の後端に向かってやや後退するが、回転子82と係合する中駒124が回転子82のそれ以上の後退を抑止し、その結果として、リフィル11の先端部が軸筒12の先端から突出した状態を維持するように回転子82及びリフィル11が保定される。
【0044】
図9に示すように、リフィル11の先端部が軸筒12から突出し、ノック棒81が軸筒12内により深く進入した進入位置にあるときに、使用者が再度ノック棒81を押下するノック操作を行うと、ノック棒81、回転子82及びリフィル11が筆記具の先端に向かってやや前進する。しかる後、使用者がノック棒81に対して加えている押下操作力を緩めると、スプリングにより弾性付勢されているノック棒81、回転子82及びリフィル11が筆記具の後端に向かって移動する。その過程で、中駒124による回転子82及びリフィル11の保定が解除されて、図8に示しているように、ノック棒81が突出位置に復帰するとともに、筆記芯1の先端部が軸筒12内に没入する。
【0045】
つまりは、リフィル11の先端部が軸筒12内に没入する突出位置と、リフィル11の先端部が軸筒12外に突出する進入位置との間で、ノック棒81、回転子82及びリフィル11が変位する。これら部材11、81、82が進入位置に至る際に当該部材11、81、82の何れかと係合するスイッチ93を軸筒12内に設置しておけば、筆記者が筆記を行うとき即ちリフィル11の先端部が軸筒12外に突出したときに電気回路を閉じて電池から増幅手段に(必要であれば、変換手段にも)電力を供給し、筆記者が筆記を行わないとき即ちリフィル11の先端部が軸筒12内に没入したときに電気回路を開いて電力の供給を停止することができる。スイッチ93は、ボタンを押している間ONとなりボタンが押されていない間はOFFとなるスイッチとなるような押ボタンスイッチであるモーメンタリ動作型プッシュスイッチであったり、ノック棒81、回転子82またはリフィル11の何れかに連動して軸筒12内で往復スライド動作するスライドスイッチであったりする。
【0046】
筆記具がシャープペンシルであるときには、図10に示すように、筆記者による筆記芯14を繰り出すためのノック操作に伴い運動する部材、例えば芯容器152等と係合するスイッチ94を軸筒12内に設置しておき、当該スイッチ94により電気回路を開閉することが考えられる。スイッチ94は、例えばモーメンタリ動作型プッシュスイッチである。このプッシュスイッチ94を、図7に示している電気回路の端子91と端子92との間に、これら両端子91、92を繋ぐように配置すれば、筆記者がノック操作を行ったときにスイッチ94が一瞬だけ導通状態となり、その結果として電気回路が閉じ、電池5から増幅手段3に(必要であれば、変換手段にも)電力を供給して筆記音のフィードバックが開始されるようになる。なお、既に述べた通り、一旦電気回路が閉じると、スイッチ94による導通か解除されたとしても(端子91と端子92との間が開放されたとしても)一定時間は電気回路が閉じた状態に維持されて電池5から増幅手段への電力の供給が継続される。最後にノック操作が行われた後、一定時間が経過すると、電気回路が開き、電池5から増幅手段への電力の供給が停止される。
【0047】
筆記具が回転式のボールペンであるときには、軸筒12が複数個の部品に分割されており、一方の部品121に対して他方の部品を相対的に軸心L回りに回動させることで筆記芯であるリフィル11を軸筒12の先端から突出させることができる。このような回転式のボールペンにあっては、図11に示すように、回動操作された何れかの部品121と係合するスイッチ95を軸筒12内に設置しておき、当該スイッチ95により電気回路を開閉することが考えられる。スイッチ95は、例えばモーメンタリ動作型プッシュスイッチである。
【0048】
増幅手段に必要な電力を供給するために筆記具本体に搭載する電池として、一次電池(乾電池)ではなく、再充電可能な二次電池や、光エネルギを電力に変換する太陽電池を採用することも当然に可能である。二次電池を用いる場合には、筆記具本体に、当該二次電池に充電を行う際に電源と電気的に接続するための電極またはインタフェース(例えば、マイクロUSB(Universal Serial Bus)端子)等を予め設けておくことも好ましい。
【0049】
加えて、筆記具本体の軸筒に穿った放音孔の開口面積を拡縮させる機構を筆記具本体に設け、放音孔の開口面積の拡縮を通じて、筆記者の耳に届く筆記音の大きさを増減させるボリューム調節機能を具現することも考えられる。
【0050】
その他、各部の具体的構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、筆記を行うための筆記具に適用できる。
【符号の説明】
【0052】
1…筆記具本体
11…筆記芯
111…拡径部
12…軸筒
123…放音孔
13…遮蔽壁
2…変換手段
3…増幅手段
4…音声出力手段
図1
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