【解決手段】 合成樹脂製シートによって形成された一対の主板部11を備える容器本体1と、内容物3と、を有する容器包装体であって、容器本体1は、一対の主板部11に規定された密閉状態の第1空間191を構成する第1殻部111と、一対の主板部111に規定され且つ第1空間191から離間した第2空間192を構成する第2殻部112と、一対の主板部11が接合されたシール部14と、を有しており、シール部14は、一対の主板部11の間に気体を吹き込むための吹込経路の痕跡である吹込経路痕165を含み、吹込経路痕165は、一対の主板部11の端縁と第1殻部111とに繋がる。
前記一対の主板部のうち前記シール部を構成する部位の厚さ方向における前記第2殻部の最大寸法は、前記第1殻部の最大寸法よりも小である、請求項1または2に記載の容器包装体。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0017】
図1〜
図5は、本発明の第1実施形態に基づく容器包装体を示している。本実施形態の容器包装体A1は、容器本体1及び内容物3を有する。
【0018】
図1は、容器包装体A1を示す斜視図である。
図2は、容器包装体A1を示す平面図である。
図3は、容器包装体A1を示す側面図である。
図4は、
図2のIV−IV線に沿う断面図である。
図5は、
図2のIV−IV線に沿う要部拡大断面図である。なお、
図1及び
図2においては、理解の便宜上、後述するシール部14に複数の離散点からなるハッチングを付しており、内容物3に斜線からなるハッチングを付している。また、これらの図においては、後述の一対の主板部11のうち後述の第1殻部111及び第2殻部112以外の部分(フランジ部113)の厚さ方向をz方向としており、x方向及びy方向は、z方向に直角な方向である。
【0019】
容器本体1は、合成樹脂シートによって形成された容器包装体A1の本体部分であり、内容物3を密閉状態で収容するための機能を果たす。容器本体1は、通常、樹脂フィルムから構成される。該樹脂フィルムには、耐衝撃性、耐磨耗性、及び耐熱性等、包装体としての基本的な性能を備えることが要求される。また、容器包装体A1を製造するために形成される後述のシール部14は、通常、熱シールにより形成されるので、シートには熱シール性も要求される。容器本体1としては、基材層と、熱シール性を付与するシーラント層とを有する複層シートが好適であり、高いガスバリア性や遮光性が要求される場合には、基材層とシーラント層との間や、基材層が複層構成のときはその層間等にバリア層を設けることが好適である。なお、基材層そのものにバリア性を付与してもよい。この場合は、バリア層を基材層として用い、バリア層とシーラント層とを有する複層シートとなる。
【0020】
ここで、基材層、シーラント層、及びバリア層の構成材料を例示する。なお、これら各層の積層は、慣用のラミネート法、例えば、共押出しラミネーション、接着剤によるドライラミネーション、熱接着性層を挟んで熱により接着させる熱ラミネーション等により行うことができる。また、上述の各層が単体の層として形成された後に互いに接合されることによって容器本体1を形成してもよいし、たとえばある層上に他の層を形成するための溶融樹脂等の材料を押出しや塗布等によって配置した後に当該材料を冷却させることにより、複数の層が積層された容器本体1を形成してもよい。
【0021】
基材層を構成する樹脂としては、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレ−ト(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)等)、ポリスチレン(汎用ポリスチレン(GPPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)等)、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等)、ポリアミド(ナイロン−6、ナイロン−66等)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルスルフォン(PES)等が挙げられる。基材層は、これらの樹脂からなる一層または二層以上の延伸または未延伸フィルムによって構成してもよい。
【0022】
シーラント層を構成する樹脂は、好ましくはオレフィン系樹脂であり、より好ましくはポリエチレン系樹脂である。より具体的には、シーラント層を構成するオレフィン系樹脂として、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−プロピレン共重合体(EP)、未延伸ポリプロピレン(CPP)、二軸延伸ナイロン(ON)、エチレン−オレフィン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)及びエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等が挙げられる。シーラント層は、これらの樹脂からなる一層または二層以上の延伸または未延伸フィルムによって構成してもよい。
【0023】
バリア層としては、アルミニウム等の金属薄膜、又は塩化ビニリデン(PVDC)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等の樹脂フィルム、或いは任意の合成樹脂フィルム(例えば、基材層であってもよい)に、アルミニウム、酸化アルミニウムやシリカ等の無機酸化物等を蒸着(又はスパッタリング)したフィルムが例示できる。
【0024】
容器本体1には、内容物の商品名や原材料・使用上の注意事項等の商品説明、その他各種デザイン等を表示するための印刷層(図示せず)を設けることができる。例えば、印刷層は、グラビア印刷等の公知の方法により、基材層の内側の面に形成できる。
【0025】
図5に示すように、図示された例においては、容器本体1は、基材層101及びシーラント層102を有する。なお、基材層101及びシーラント層102に加えて、基材層101とシーラント層102との間に上述したバリア層を有する構成であってもよい。また、複数の基材層101を有し、これらの基材層101の間にバリア層が配置された構成であってもよい。また、容器本体1は、収納された内容物3を透視するため、透明又は半透明であることが好ましいが、非透明な材質を用いてもよい。容器本体1の厚みは、たとえば0.05〜1.0mmであり、好ましくは0.1〜0.6mmである。
【0026】
容器本体1は、一対の主板部11を有する。一対の主板部11は、z方向において互いに対面しており、第1殻部111、第2殻部112及びフランジ部113を有している。
【0027】
第1殻部111は、主板部11が部分的にz方向に膨出する形状に加工された部分である。本実施形態においては、一対の主板部11の双方に第1殻部111が形成されている。図示された例においては、一対の主板部11に形成された第1殻部111は、
図2に示すようにz方向視において同形状および同サイズである。ただし、これらの第1殻部111は、
図3及び
図4に示すように、y方向視における形状や断面形状が互いに異なる。
図3において図中左方に位置する第1殻部111は、略半円形状である。一方、
図3において図中右方に位置する第1殻部111は、角部が丸められた略台形状である。
図1、
図3及び
図4に示すように、本実施形態においては、一対の主板部11の端縁と一方の第1殻部111とを用いて、容器包装体A1が自立可能とされている。ただし、容器包装体A1は、自立可能である構成であってもよいし、自立に適さない構成であってもよい。また、z方向視(平面視)において、複数の第1殻部111が形成された構成であってもよい。
【0028】
これらの第1殻部111によって規定された空間が、第1空間191及び注出部15となっている。なお、一対の主板部11の第1殻部111の互いの形状あるいは大きさが異なる構成であってもよい。また、一対の主板部11のそれぞれに膨出形状の第1殻部111が形成された構成に限定されるものではない。たとえば、一方の主板部11に第1殻部111が形成され、他方の主板部11が第1殻部111を有さない構成であってもよい。このような構成であっても、第1空間191及び注出部15が構成されうる。第1空間191の形状及び大きさは、特に限定ない。第1空間191は、第1殻部111によって密閉されている。
【0029】
注出部15は、一対の主板部11の第1殻部111の一部ずつによって構成されており、内容物3の少なくとも一部を注出するためのものである。図示された例においては、注出部15は、
図2において第1空間191からy方向左方に延びている。
【0030】
第2殻部112は、主板部11の一部同士が未接合とされた部位である。本実施形態においては、一対の主板部11の双方に同形状及び同サイズの第2殻部112が形成されている。これらの第2殻部112は、
図3および
図4に示すように、z方向に緩やかに膨出している。図示された例においては、第2殻部112は、z方向視において楕円形状であり、y方向視において円弧形状である。また、
図3に示すように、一対の第2殻部112のz方向における最大寸法Z2は、一対の第1殻部111のz方向における最大寸法Z1よりも小である。また、
図2に示すように、図示された例においては、第2殻部112は、第1殻部111に対してx方向(本発明の第2方向)に離間した位置に配置されている。また、z方向視(平面視)において、複数の第2殻部112が形成された構成であってもよい。
【0031】
一対の第2殻部112によって規定された空間が、第2空間192となっている。第2空間192は、z方向視において第1空間191から離間している。また、本実施形態においては、第2空間192は、第2殻部112によって密閉されている。第2空間192は、第1空間191と比べてz方向寸法が小である。なお、図示された例においては、第2空間192においては、一対の第2殻部112が明瞭に離間した構成となっているが、たとえば一対の第2殻部112の一部ずつが部分的に接する構成であってもよい。また、一対の主板部11の第2殻部112の互いの形状あるいは大きさが異なる構成であってもよい。また、一対の主板部11のそれぞれに膨出形状の第2殻部112が形成された構成に限定されるものではない。たとえば、一方の主板部11に第2殻部112が形成され、他方の主板部11が第2殻部112を有さない構成であってもよい。このような構成であっても、第2空間192が構成されうる。
【0032】
また、
図5に示すように、図示された例においては、第2殻部112は、意図的な凹凸形状が形成されていない平滑な部位とされている。また、第2殻部112には、図中において例示された文字等の印刷が施されている。これにより、第2殻部112は、容器包装体A1における表示領域を構成している。
【0033】
容器本体1は、切断予定線13を有している。切断予定線13は、周囲部分に対して切断が容易とされた線状部分であり、容器本体1を切断することにより容器包装体A1の開封起点となる部位である。図示された例においては、一対の主板部11のそれぞれに、切断予定線13が形成されている。切断予定線13は、注出部15を横切っており、図示された例においては、主板部11をx方向に横断している。
【0034】
容器本体1には、シール部14が形成されている。シール部14は、一対の主板部11のフランジ部113同士が接合された部位である。シール部14は、z方向視において第1空間191及び第2空間192を囲んでいる。シール部14には、内容物3の商品名称や成分、あるいは注意事項などを記載してもよい。シール部14を形成するための接合手段は特に限定されず、容器本体1が合成樹脂シートからなる場合、たとえば熱シールが挙げられる。なお、図示された例においては、シール部14は、一対の主板部11のうち第1殻部111及び第2殻部112以外の部位であるフランジ部113の全領域が接合された構成であるが、これに限定されない。たとえば、フランジ部113のうち端縁近傍の部分(端部)が接合されていないことにより、シール部14が主板部11の端縁に到達しておらず、主板部11の端部に未シール部が存在する構成であってもよい。また、第2殻部112は、そのすべてがシール部14に囲まれた構成に限定されず、第2殻部112が主板部11の端縁に到達していることにより、第2空間192が外部に通じている構成であってもよい。また、上述した主板部11の端部に未シール部が存在する構成の場合に、この未シール部に第2殻部112が繋がっている構成であってもよい。
【0035】
吹込経路痕165は、後述する容器包装体A1の製造工程において、第1殻部111を膨出形状とするための気体吹き込みの痕跡として形成されるものである。
図1及び
図2に示すように、吹込経路痕165は、主板部11の端縁と第1殻部111とに繋がっている。また、吹込経路痕165は、第2殻部112から離間している。図示された例においては、吹込経路痕165は、主板部11の端縁のうち第1殻部111に対してy方向(本発明の第1方向)に位置する部分に繋がっている。なお、本実施形態とは異なり、吹込経路痕165が第2殻部112に接している構成、あるいは吹込経路痕165が第2殻部112と部分的に重なっている構成であってもよい。ただし、第2殻部112が上述した表示領域を構成している場合、第2殻部112が平滑であることにより明瞭な表示が可能となることから、第2殻部112は、吹込経路痕165から離間していることが好ましい。
【0036】
吹込経路痕165は、シール部14の一部であり、シール部14のその余の部分と同様に、一対の主板部11が互いに接合されており、第1空間191の密閉性を維持している。ただし、後述するように、吹込経路痕165は、シール部14のその余の部分とは異なるタイミングで形成される。このため、容器包装体A1においては、吹込経路痕165は、たとえば目視によってその余の部分と区別して視認され得る。一方、第2殻部112には、吹込経路痕165が繋がっておらず、換言すると、シール部14のうち第2殻部112を囲む部分は、吹込経路痕165のような境界を構成する部分が存在せず、目視等において均質であると捉えられる部分となっている。これは、第2殻部112の形成において第1殻部111を形成するための気体吹き込みがなされなかったことを示唆する。
【0037】
図5に示すように、図示された例においては、シール部14は、第1殻部111および第2殻部112と比べて凹凸な形状とされている。このような凹凸形状のシール部14は、たとえば後述する熱シールを行う際の金型の表面に、所謂ローレット加工等の凹凸加工がなされることにより実現される。
【0038】
図示された例においては、容器本体1には、吊り下げ孔199が形成されている。吊り下げ孔199は、一対の主板部11を貫通する例えば円孔であり、容器包装体A1を陳列する際にフック(図示略)等を挿通させるためのものである。また、図示された例においては、吊り下げ孔199は、第2殻部112とy方向に並んで設けられている。
【0039】
内容物3は、容器本体1に密閉状態で収容されるものである。内容物3は、第1空間191に密閉状態で収容されている。また、内容物3は、第1空間191のみに収容されており、第2空間192内には存在しない。本実施形態においては、第2空間192には、内容物3が存在しておらず、外気(空気)が滞留している。内容物3の例としては、医薬品、化粧品、食品などが挙げられるが、特に限定されず、種々の液体や粉粒体等が選択される。
【0040】
次に、容器包装体A1の製造方法の一例について、
図6〜
図13を参照しつつ以下に説明する。
図6の(a)〜(f)は、容器包装体A1の製造方法の主要な工程を模式的に示している。
図7は、
図6(b)の工程を示す平面図である。
図8は、
図7のVIII−VIII線に沿う要部拡大断面図である。
図9は、
図7のVIII−VIII線に沿う要部拡大断面図である。
図10は、
図5(c)の工程を示す平面図である。
図11は、
図10のXI−XI線に沿う断面図である。
図12は、
図11のXII−XII線に沿う要部断面図である。
図13は、
図5(d)の工程において
図11に相当する断面図である。なお、これらの図に例示される製造方法は、5つの容器包装体A1に相当する部分を一単位として各工程を行う場合であるが、これは例えば製造効率の便宜による。4つ以下の容器包装体A1に相当する部分を一単位として各工程を行う構成であってもよいし、6つ以上の容器包装体A1に相当する部分を一単位として各工程を行う構成であってもよい。
【0041】
まず、
図6(a)に示すように、シート材料1Aを用意する。シート材料1Aは、上述した容器本体1を形成するための材料である。シート材料1Aの材質は、容器本体1の材料として選択されるものと同様である。次に、シート材料1Aを、一対の主板部11及び折り返し部12を有する形態に折り曲げ加工する。折り返し部12は、シート材料1Aがy方向下端において折り曲げられた部分である。一対の主板部11は、折り返し部12を介して繋がっており、z方向において互いに正対している。
【0042】
本実施形態においては、折り曲げ工程の直後に、一対の主板部11のそれぞれに対して、切断予定線13を形成する。この形成は、たとえば一対の主板部11の両側からカッタ71を当接させることにより行う。これにより、一対の主板部11には、シート材料1Aの送り方向であるx方向に沿って延びる一対の切断予定線13が形成される。なお、折り曲げ工程の直後にカッタ71によって切断予定線13を形成する手法は、あくまで一例である。カッタ71以外の手段を用いて切断予定線13を形成してもよい。また、シート材料1Aに折り曲げ工程を施す前に、シート材料1Aに切断予定線13を形成してもよい。例えば、より幅広のシート材料から複数のシート材料1Aを形成する工程において、当該幅広のシート材料を切断する際に、複数の切断予定線13を形成してもよい。また、以降に説明する工程におけるいずれかの所望のタイミングで、切断予定線13を形成してもよい。
【0043】
次いで、
図6(b)および
図7〜
図9に示すように、一対の主板部11に対して、熱シールを施す。図示された例においては、
図8は、熱シールを施す直前の状態を示している。本実施形態においては、加熱機能を有するシール金型72を用いる。シール金型72には、接触面720、第1凹部721および第2凹部722が形成されている。接触面720は、シート材料1Aと接触する面であり、シート材料1Aに熱と圧力とを加えるための面である。第1凹部721は、第1殻部111を形成するための後述の第1未シール部181に対応する領域が接触面720から凹んだ部位である。第2凹部722は、第2殻部112に対応する領域が接触面720から凹んだ部位である。図示された例においては、第1凹部721及び第2凹部722は、いずれも平滑な面とされている。また、第2凹部722は、緩やかな曲面によって構成されており、この形状が容器包装体A1の第2殻部112に継承されることが意図されている。一方、第1凹部721は、第2凹部722よりも深い形状とすることが好ましい。また、接触面720には、上述のローレット加工等を施すことにより凹凸状としてもよい。また、
図8に示す状態においては、シート材料1Aは、折り返し部12において折り返されているものの、一対の主板部11同士は未だ接合されていない。このため、一対の主板部11は、図示されたような隙間を隔てて対面した状態である。
【0044】
次いで、
図9に示すように、一対のシール金型72によって一対の主板部11を挟みつつ加熱する。これにより、シール金型72の接触面720よって挟まれた主板部11のシーラント層102同士が熱シールされ、シール部14が形成される。
図7においては、理解の便宜上、シール部14に複数の離散点からなるハッチングを付している。
図7および
図9によく表れているように、主板部11のうちシール金型72の第1凹部721に対応する部分が、第1未シール部181となっており、第2凹部722に対応する部分が第2殻部112となっている。第1未シール部181は、この後の工程を経ることにより第1殻部111となる部位である。第1未シール部181は、z方向視形状が第1殻部111と略同じであり、z方向寸法が第1殻部111よりも小である。第2殻部112は、緩やかな曲面とされた第2凹部722に沿った形状に仕上げられている。また、本実施形態においては、
図7に示すように、吹込用未シール部185が形成されている。吹込用未シール部185は、シール金型72に第1凹部721に繋がる凹部(図示略)が設けられていることにより形成されており、第1未シール部181と外部とを繋いでいる。吹込用未シール部185の第1未シール部181とは反対側の端部は、吹込口161となっている。吹込口161は、吹込用未シール部185及び第1未シール部181が外部に通じている箇所である。
【0045】
次いで
図6(c)、
図10〜
図12に示すように、シート材料1Aを金型73によって挟む。金型73は、接触面730、第1凹部731、第2凹部732及び吹込用凹部733を有する。接触面730は、シート材料1Aと接触する面である。第1凹部731は、第1殻部111を形成するためのものであり、接触面720から凹んだ部位である。第2凹部732は、すでに形成された第2殻部112の形状をそのまま維持するためのものであり、接触面730から凹んだ部位である。吹込用凹部733は、吹込用未シール部185に対応する領域が接触面730から凹んだ部位である。
【0046】
また、
図11に示すように、吹込口161のy方向直上に吐出孔735を配置する。吐出孔735は、吹込口161に吹き込む圧縮空気や窒素ガス等の気体を吐出するものである。なお、
図6および
図10においては、吐出孔735を省略している。図示された例においては、複数の吹込口161のy方向直上に複数の吐出孔735が個別に配置される場合が想定されているが、これは本工程を実現する構成の一例である。複数の吹込口161に適切に気体を吹き込むことが可能な構成であれば、その具体的な装置構成は特に限定されない。
【0047】
吹込口161に気体が吹き込まれると、
図7及び
図9に示した第1未シール部181及び吹込用未シール部185が、金型73の第1凹部731及び吹込用凹部733に沿うように膨出加工される。これにより、第1未シール部181が第1殻部111となり、吹込用未シール部185が吹込用殻部115となる。また、同図に示す状態においては、一対の主板部11の第1殻部111によって、第1空間191が規定され、吹込用殻部115によって吹込経路163が規定されている。吹込経路163は、吹込口161から吹き込まれた気体を第1空間191を形成し得るように導く経路である。
【0048】
なお、金型73を用いた工程においては、第2殻部112には、顕著な変化は生じず、
図7及び
図9に示した形状及び大きさが維持される。
【0049】
次いで、
図6(d)及び
図13に示すように、第1空間191に内容物3を充填する。この充填は、例えば充填ノズル74を用いて行う。すなわち、充填ノズル74を吹込口161から挿入し、充填ノズル74から内容物3を吐出する。これにより、内容物3は、吹込用殻部115によって規定された吹込経路163を経由して第1空間191に充填される。
【0050】
次いで、
図6(e)に示すように、例えばシール金型75を用いて、一対の主板部11の吹込口161、吹込用殻部115(吹込経路163)及びその周辺に熱シールを施す。これにより、吹込口161及び吹込経路163が塞がれることとなり、
図6(f)に示す吹込経路痕165が形成される。
図6(f)においては、第1空間191がシール部14によって密閉されており、第1空間191に内容物3が密閉状態で収容されている。
【0051】
この後は、シート材料1Aの所定箇所を切断することにより、上述した容器包装体A1が得られる。なお、上述した構成の容器包装体A1は、当該切断工程において、折り返し部12が取り除かれた場合に相当する。これとは異なり、折り返し部12が容器包装体A1に残存するようにシート材料1Aを切断してもよい。この場合、容器包装体A1において、一対の主板部11は、折り返し部12によって互いに繋がれた構成となる。また、シート材料1Aの切断工程において、吊り下げ孔199を形成してもよい。
【0052】
次に、容器包装体A1及びその製造方法の作用について説明する。
【0053】
本実施形態によれば、第2殻部112には、吹込経路痕165が繋がっていない。すなわち、第2殻部112は、容器包装体A1の製造工程において外部から気体等が積極的に吹き込まれることによって形成された部位ではなく、
図8及び
図9に示すように一対の主板部11の間に存在していた気体等を所望の領域に敢えて残存させた部位である。これにより、シール部14のいずれかの領域に空気が意図せず残存し、未シール部が偶発的に生じてしまうことを防止することができる。したがって、容器包装体A1によれば、不規則な未シール部が生じることを抑制することができる。
【0054】
また、第2殻部112は、内部に第2空間192を規定している。これにより、第2殻部112は、形状の相違や屈折状態及び反射状態の相違により、シール部14と明瞭に区別可能な外観を呈する。これにより、例えば第2殻部112に印刷を施すことにより、購買者の注目を集める表示領域を構成することができる。
【0055】
一対のシール金型72が一対の主板部11を挟む際に、シール金型72の接触面720が凹凸状であることにより、一対の主板部11が微細な凹凸形状に挟まれる格好となる。このため、微視的には、まず、一対の主板部11の多数の微細箇所が部分的に押圧され、その後に、全体が押圧される。これにより、一対の主板部11の間に存在していた空気は、接触面720に挟まれた領域からそれ以外の領域に比較的スムーズに排出される。たとえば、接触面720がごく平滑な面である場合、シート材料1Aの微妙なうねりなどの不可避的な条件により、接触面720に挟まれた領域に、排出しきれなかった空気が残存するおそれがある。このような空気の残存は、容器包装体A1に不規則な未シール部が生じる要因となる。本実施形態においては、接触面720が凹凸状とされていることにより、このような事態をより好適に回避することができる。また、接触面720によって排出される空気の一部は、第2凹部722に挟まれた領域へと導かれ、この空気は第2空間192に含まれうる。
【0056】
また、第2殻部112が凹凸状のシール部14よりも平滑であることにより、第2殻部112は、シール部14よりも光を鮮明に反射する部位となっている。シール部14よりも膨らんだ形状である第2殻部112がより鮮明に光を反射することにより、容器包装体A1における第2殻部112を、より注目を集める部位とすることができる。また、第2殻部112が平滑であることは、印刷された文字等がより明瞭に読みやすいという利点がある。また、平坦なシール部14と、シール部14よりも膨らんだ形状の第2殻部112とでは、手触りが互いに異なる。これにより、触感のみによって購買者に所定の情報を伝えることが可能である。シール部14が凹凸状であり、第2殻部112が平滑であれば、さらに異なった触感を与えるのに好ましい。
【0057】
図3に示すように、第2殻部112の最大寸法Z2は、第1殻部111の最大寸法Z1よりも小さい。このような、最大寸法Z1よりも小さい最大寸法Z2の第2殻部112は、積極的な気体の吹き込みを行わずに形成する部位として好ましい。
【0058】
図1及び
図2に示すように、第1殻部111に対して吹込経路痕165がy方向に繋がっており、第2殻部112がx方向に離間して配置されている。第2殻部112は、吹込経路痕165のもととなる吹込経路163から気体が吹き込まれる部位ではないため、第1殻部111に対してy方向に並んでいると、第2殻部112と吹込経路163(吹込用殻部115)とが干渉する。また、第1殻部111に対して第2殻部112が吹込経路痕165とはy方向の反対側に配置されていると、容器包装体A1のy方向寸法が大きくなり過ぎることが懸念される。本実施形態によれば、第2殻部112と吹込経路163(吹込用殻部115)との干渉を回避し、容器包装体A1のy方向が過度に大きくなってしまうことを抑制することができる。また、容器包装体A1が
図1及び
図3に示す自立姿勢をとると、第2殻部112は、載置面81に対して第1殻部111を挟んで反対側に位置する部位となる。これにより、店頭における陳列棚の上面等に代表される載置面81から第2殻部112を上方に離間させ、より目立ちやすい部位とすることができる。これは、第2殻部112を表示領域として用いる場合に有利である。
【0059】
図14〜
図21は、本発明の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0060】
図14は、本発明の第2実施形態に基づく容器包装体を示す要部拡大断面図である。本実施形態の容器包装体A2は、第2殻部112の構成が、上述した実施形態と異なっている。
【0061】
本実施形態においては、一方の第2殻部112に、環状凹部1128が形成されている。環状凹部1128は、z方向視において第2殻部112の外縁をなしており、第2殻部112が形成された主板部11から他方の主板部11に向かって僅かに凹んでいる。他方の第2殻部112は、図示された例においては、環状凹部1128を囲む大きさ及び形状とされている。
【0062】
図15及び
図16は、容器包装体A2の製造方法の一工程を示している。容器包装体A2の製造においては、
図6(b)に相当する工程において、
図15に示すシール金型72を用いる。一方のシール金型72には、第2凹部722とともに環状突起723が形成されている。環状突起723は、z方向視において第2凹部722の外縁をなしており、他方のシール金型72に向かって僅かに突出している。このようなシール金型72を用いて一対の主板部11に熱シールを施すことにより、
図16に示すように、一方の主板部11の第2殻部112に環状凹部1128が形成される。
【0063】
このような実施形態によっても、不規則な未シール部が生じることを抑制することができる。また、第2殻部112の外縁をなすように環状凹部1128が形成されていることにより、第2殻部112は、その外形が環状凹部1128によって幾何的に強調された態様となっている。したがって、第2殻部112が容器包装体A2の外観においてより目立つ部位となり、表示領域として用いるのに好ましい。
【0064】
図17及び
図18は、本発明の第3実施形態に基づく容器包装体を示している。本実施形態の容器包装体A3は、第2殻部112の構成及び配置が上述した実施形態と異なっている。
【0065】
本実施形態においては、第2殻部112に貫通孔1129が形成されている。貫通孔1129は、第2殻部112を厚さ方向に貫通している。図示された例においては、一対の主板部11の第2殻部112の双方に貫通孔1129が形成されている。これらの貫通孔1129は、z方向において、位置、形状及び大きさが一致しているが、位置、形状及び大きさの少なくともいずれかが異なる構成であってもよい。また、一方の第2殻部112にのみ貫通孔1129が形成されていてもよい。このような貫通孔1129は、容器包装体A1,A2と同様の第2殻部112を形成した後に、シート材料1Aを切断する際に形成してもよい。
【0066】
また、本実施形態においては、第1殻部111、吹込経路痕165及び第2殻部112が、y方向において並んでいる。ただし、第2殻部112は、第1殻部111に対して吹込経路痕165とは反対側に配置されている。このため、第2殻部112と吹込経路163(吹込用殻部115)との干渉が回避されている。不規則な未シール部が生じることを抑制することができる。
【0067】
また、貫通孔1129は、容器包装体A3を陳列する際にフック等に容器包装体A3を吊り下げるために用いることが可能であるほか、購買者が指を挿通させる部位として用いてもよい。本実施形態においては、
図18に示すように、貫通孔1129は、一対の主板部11が若干離間して対面した部位である。このため、購買者が貫通孔1129に指を挿通させると、互いに離間した一対の主板部11が指に当接することとなる。これにより、指の一箇所にのみ主板部11が当接し、指に過大な圧力が負荷されることを回避し、購買者に不快な感触を与えることを抑制することができる。なお、本実施形態から理解されるように、第2空間192は、第2殻部112によって密閉された構成に限定されず、外部と通じた構成であってもよい。なお、容器包装体A3は、容器包装体A1のような自立姿勢をとることは意図されていない。
【0068】
図19は、本発明の第4実施形態に基づく容器包装体を示している。容器包装体A4においては、切断予定線13が、注出部15と第2殻部112とを横断している。また、容器本体1には、一対の切欠き部198と開口部197とが形成されている。
【0069】
切欠き部198は、主板部11のy方向に延びる端縁からx方向に凹んだ部位である。一対の切欠き部198は、注出部15及び第2殻部112を挟んでx方向両側に配置されている。一対の切欠き部198には、切断予定線13が到達している。
【0070】
開口部197は、一対の主板部11を貫通した部位であり、第2殻部112と注出部15との間に配置されている。開口部197のx方向両側に、切断予定線13が到達している。
【0071】
図20及び
図21は、容器包装体A4が開封された状態を示している。切断予定線13に沿って容器本体1を切断すると、第2殻部112及び注出部15とシール部14とが切断される。また、一対の切欠き部198と開口部197とが分割される。注出部15が切断されることにより、内容物3を注出するための注出口15Aが形成される。一対の第1殻部111を指で押す等の動作により、内容物3を注出口15Aから注出することができる。
【0072】
また、本実施形態においては、内容物3が複数回の注出が可能な程度の量とされている場合に、ある注出から次の注出までの間に、注出口15Aを一時的に封鎖しておくことが可能である。切断予定線13に沿った切断により、第2殻部112は、第2殻部112aと第2殻部112bとに分割される。第2殻部112bは、第1殻部111側に残存し、第2殻部112aは、第1殻部111とは別体となる。ある注出を終えた後に、
図21に示すように、第2殻部112aをそのまま、もしくは必要に応じて拡開した上で、第2殻部112aを注出口15Aに被せる。これにより、注出口15Aを第2殻部112aによって封鎖することができる。
【0073】
本実施形態によれば、第2殻部112は、表示領域として用いられることに加えて、開封後に注出口15Aを封鎖する栓として用いることができる。これは、内容物3を複数回に分けて注出する場合に便利である。
【0074】
本発明に係る容器包装体及びその製造方法は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る容器包装体及びその製造方法の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。