【解決手段】作業台300が、第1搭乗ユニット310、第2搭乗ユニット320および第3搭乗ユニット330を所定の連結方向に並べて連結して構成されるとともに、第1〜第3搭乗ユニット310,320,330をそれぞれ独立して上下方向に相対移動させる第1および第2昇降装置350,360を備え、作業台300を作業対象物hに近づけて作業を行うときに、第1および第2昇降装置350,360により第1〜第3搭乗ユニット310,320,330をそれぞれ独立して相対移動させることにより、作業対象物hに応じて作業台300の形状を変更可能に構成される。
前記3個の搭乗ユニットにおける中央の搭乗ユニットは、前記連結方向と直交する方向の両端部にそれぞれ設けられた手摺りを有し、前記手摺りを傾倒可能に構成されたことを特徴とする請求項1に記載の高所作業車。
前記作業台は、前記3個の搭乗ユニットにおける中央の搭乗ユニットが前記ブームの先端部に旋回自在に支持されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の高所作業車。
前記3個の搭乗ユニットにおける両端の少なくとも一方側の搭乗ユニットが前記連結方向に床面を拡張可能に構成されたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の高所作業車。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような高所作業車において、トンネル内の壁面は平面形状ではなく、上下方向に湾曲した曲面形状であるため、トンネル内の壁面を上下方向に全て点検するときに、ブームの起伏作動等を何度も行って作業台を壁面に沿って何度も移動させる必要があった。そのため、点検作業に時間がかかり、作業効率が悪いという問題があった。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、トンネル内の壁面のような曲面形状の作業対象であっても効率良く作業を行うことができる高所作業車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る高所作業車は、走行可能な車体と、前記車体上に水平旋回自在に設けられた旋回台と、前記旋回台に起伏自在に設けられたブームと、前記ブームの先端部に旋回自在に支持された作業台とを備える。そして、前記作業台は、3個の搭乗ユニットを所定の連結方向に並べて連結して構成されるとともに、前記3個の搭乗ユニットをそれぞれ独立して上下方向に相対移動させる昇降装置を備え、前記作業台を作業対象物に近づけて作業を行うときに、前記昇降装置により前記3個の搭乗ユニットをそれぞれ独立して相対移動させることにより、前記作業対象物に応じて前記作業台の形状を変更可能に構成される。
【0007】
上記構成の高所作業車において、前記3個の搭乗ユニットにおける中央の搭乗ユニットは、前記連結方向と直交する方向の両端部にそれぞれ設けられた手摺りを有し、前記手摺りを傾倒可能に構成されることが好ましい。
【0008】
上記構成の高所作業車において、前記手摺りは、前記3個の搭乗ユニットにおける両側の搭乗ユニットから操作して傾倒可能に構成されることが好ましい。
【0009】
上記構成の高所作業車において、前記車体は前部に運転キャブを有し、前記旋回台は前記運転キャブ後方の前記車体上の架装領域の前部に設けられ、前記ブームは前記車体上の
架装領域において後方に延びた状態で格納され、前記ブームが格納されたときに、前記3個の搭乗ユニットにおける両端の一方側の搭乗ユニットが前記車体の後端部側に位置し、前記3個の搭乗ユニットが前記車体上に前後方向に並んだ状態で格納されるように構成されることが好ましい。
【0010】
上記構成の高所作業車において、前記車体は前部に運転キャブを有し、前記旋回台は前記運転キャブ後方の前記車体上の架装領域の後部に設けられ、前記ブームは前記車体上の架装領域において前方に延びた状態で格納され、前記ブームが格納されたときに、前記3個の搭乗ユニットにおける両端の一方側の搭乗ユニットが前記運転キャブの上方において前記車体の前端部側に位置し、前記3個の搭乗ユニットが前記車体上に前後方向に並んだ状態で格納されるように構成されることが好ましい。
【0011】
上記構成の高所作業車において、前記作業台は、床面の広さが異なる3個の搭乗ユニットを床面の広さ順に所定の連結方向に並べて連結して構成され、前記ブームが格納されたときに、床面の最も狭い搭乗ユニットが前記車体の端部側に位置した状態で格納されるように構成してもよい。
【0012】
上記構成の高所作業車において、前記作業台は、前記3個の搭乗ユニットにおける中央の搭乗ユニットが前記ブームの先端部に旋回自在に支持される構成としてもよい。
【0013】
上記構成の高所作業車において、前記3個の搭乗ユニットにおける両端の少なくとも一方側の搭乗ユニットが前記連結方向に床面を拡張可能に構成されることが好ましい。
【0014】
上記構成の高所作業車において、前記車体に対するブームの位置を検出するブーム位置検出装置(例えば、実施形態におけるブーム旋回角度検出器61、ブーム起伏角度検出器62、ブーム長さ検出器63)と、前記ブームに対する前記3個の搭乗ユニットのそれぞれの位置を検出する作業台位置検出装置(例えば、実施形態における作業台旋回角度検出器64、第1昇降位置検出器65、第2昇降位置検出器66、第1拡張量検出器67、第2拡張量検出器68)と、前記ブーム位置検出装置および前記作業台位置検出装置の検出情報に基づいて、前記3個の搭乗ユニットと前記ブームが接触する方向の作動、および前記3個の搭乗ユニットと前記車体が接触する方向の作動を規制する制御を行う作動制御装置(例えば、実施形態におけるコントローラ50)とを備えて構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る高所作業車は、作業台が、3個の搭乗ユニットを所定の連結方向に並べて連結して構成されるとともに、それら3個の搭乗ユニットをそれぞれ独立して上下方向に相対移動させる昇降装置を備え、3個の搭乗ユニットをそれぞれ独立して相対移動させることにより作業対象物の形状に応じて作業台の形状を変更可能に構成される。このような構成によれば、トンネル内の壁面のような曲面形状の作業対象に沿った形状に作業台を変形させることができる。そのため、トンネル内の壁面等を上下方向に全て点検するときに、ブームを起伏および伸縮作動させて作業台を移動させる回数を従来よりも少なくすることができ、これにより点検作業の効率を向上させることができる。
【0016】
本発明に係る高所作業車において、3個の搭乗ユニットにおける中央の搭乗ユニットは、連結方向と直交する方向の両端部にそれぞれ設けられた手摺りを有し、その手摺りを傾倒可能に構成されることが好ましい。このような構成とすれば、例えば、作業対象物が下方に突き出た突起形状であった場合に、手摺りを傾倒させて折り畳んだ状態の中央の搭乗ユニットの上方近傍に当該作業対象物が配置されるように作業台を移動させ、両側の搭乗ユニットによって当該作業対象物を挟んだ状態とすることができる。従来の高所作業車で
は、このような作業対象物の両側の点検作業等を行う場合には、作業台を作業対象物の両側にそれぞれ移動させて2回に分けて作業を行っていた。しかしながら、上記のような構成とすれば、両側の搭乗ユニットにそれぞれ搭乗した作業者によって作業対象物の両側の作業を同時に行うことができ、作業効率を向上させることができる。また、当該手摺りは、3個の搭乗ユニットにおける両側の搭乗ユニットから操作して傾倒可能に構成されることが好ましい。このような構成とすれば、高所位置であっても安全に当該手摺りを傾倒させて折り畳むことができる。
【0017】
本発明に係る高所作業車において、ブームが格納されたときに、3個の搭乗ユニットにおける両端の一方側の搭乗ユニットが車体の後端部もしくは前端部側に位置し、3個の搭乗ユニットが車体上に前後方向に並んだ状態で格納されるように構成されることが好ましい。このような構成とすれば、ブームの長さおよび作業台の大きさを最大限に確保しつつ、ブームおよび作業台が車体端部からはみ出すことなく格納することができ、車両全体をコンパクトなものとすることができる。
【0018】
本発明に係る高所作業車において、3個の搭乗ユニットにおける両端の少なくとも一方側の搭乗ユニットが連結方向に床面を拡張可能に構成されることが好ましい。このような構成とすれば、車体上に格納するときには作業台を小さくコンパクトにすることができるとともに、作業時には作業台上の作業範囲を広く確保することができる。
【0019】
本発明に係る高所作業車において、ブーム位置検出装置および作業台位置検出装置の検出情報に基づいて、3個の搭乗ユニットとブームが接触する方向の作動、および3個の搭乗ユニットと車体が接触する方向の作動を規制する制御を行う作動制御装置とを備えて構成されることが好ましい。このような構成とすれば、3個の搭乗ユニットをそれぞれ独立して上下方向に相対移動可能に構成した場合においても、作業台がブームおよび車体と接触することなく、作業台およびブームを車体上に格納したり、所望の位置に移動させて作業を行ったりすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本発明に係る第1実施形態の高所作業車1を
図1および
図2に示している。この高所作業車1は、車体2の前部に設けられた運転キャブ2aと、車体2の前後左右にそれぞれ設けられた車輪3とを有するトラック車両をベースに構成されている。
【0022】
車体2の前後左右にはそれぞれローラージャッキ10が設けられている。ローラージャッキ10は、車体2の左右方向に伸縮可能なアウトリガ11と、アウトリガ11の先端部に設けられた上下方向に伸縮可能なジャッキ12と、ジャッキ12の下端部に回転自在に取り付けられたローラー13とを有して構成される。アウトリガ11およびジャッキ12はそれぞれ、内蔵された油圧シリンダにより伸縮作動が可能になっている。高所作業車1は、アウトリガ11を張り出してローラー13を路面に接地させることにより、後述する作業台100を所望の高所位置に移動させた状態で車両を走行させながら作業を行うことができるように構成されている。ローラージャッキ10は、車体2に設けられたジャッキ操作レバーによって作動操作が行われるようになっている。
【0023】
運転キャブ2a後方の車体2上の架装領域の前部には、旋回台5が水平旋回自在に設けられている。旋回台5は、車体2に設けられたブーム旋回モータ6(
図3を参照)により車体2に対して水平旋回動が可能になっている。旋回台5の上部には、枢結ピン7によりブーム20が上下方向に揺動自在(起伏自在)に設けられている。ブーム20は、旋回台5とブーム20の間に跨設されたブーム起伏シリンダ25により旋回台5(車体2)に対して起伏動が可能になっている。ブーム20は、旋回台5に枢結される基端ブーム21、中間ブーム22および先端ブーム23を入れ子式に組み合わせて伸縮自在に構成され、ブーム20内に設けられたブーム伸縮シリンダ26(
図3を参照)により伸縮動が可能になっている。
【0024】
先端ブーム23の先端部には、作業台ブラケット30が上下方向に揺動自在に設けられ、この作業台ブラケット30上に作業台100が設けられている。先端ブーム23の先端部には、先端ブーム23と略平行に延びるシリンダブラケット31が設けられている。このシリンダブラケット31と作業台ブラケット30の間にレベリングシリンダ35が跨設されている。レベリングシリンダ35は、ブーム起伏シリンダ25と閉油圧回路で繋がっており、ブーム起伏シリンダ25の伸縮動に応じてレベリングシリンダ35を伸縮動させて作業台ブラケット30を先端ブーム23に対して上下揺動させ、これによりブーム20の起伏角度によらず常に作業台100の床面を水平な状態に保持するように構成されている。
【0025】
作業台100は、作業台ブラケット30上に水平旋回自在に設けられ、作業台ブラケット30に設けられた作業台旋回モータ36(
図3を参照)により作業台ブラケット30に対して水平旋回が可能になっている。作業台100は、床面の広さが異なる第1搭乗ユニット101、第2搭乗ユニット102および第3搭乗ユニット103を横方向に並べて連結して構成されている。第1〜第3搭乗ユニット101〜103はそれぞれ、作業者が搭乗可能な作業床(床面)と、その床面の周囲に立設された側壁(もしくは手摺り)とを有して構成される。第1搭乗ユニット101の床面が最も狭く、第3搭乗ユニット103の床面が最も広くなっている。第2搭乗ユニット102が作業台ブラケット30上に水平旋回自在に支持されている。
【0026】
高所作業車1では、運転キャブ2a後方の車体2上の架装領域において、ブーム20が後方に延びた状態で格納されるようになっている。また、このようにブーム20が格納されたときに、第1搭乗ユニット101が車体2の後端部側に位置して、第1搭乗ユニット
101、第2搭乗ユニット102および第3搭乗ユニット103が前後方向に並んだ状態で格納されるように構成されている。
【0027】
第1搭乗ユニット101は、第2搭乗ユニット102に対して上下方向に相対移動(スライド移動)自在に連結されている。第1搭乗ユニット101には、第2搭乗ユニット102に対して第1搭乗ユニット101を上下方向に相対移動させる第1昇降装置110が設けられている。第1昇降装置110は、第2搭乗ユニット102に対して第1搭乗ユニット101を上下方向にスライド移動自在に支持するガイドレールと、第1および第2搭乗ユニット101,102に跨設された第1昇降シリンダ115(
図3を参照)とを有して構成される。第1搭乗ユニット101は、第1昇降シリンダ115により第2搭乗ユニット102に対して昇降移動が可能になっている。第1昇降装置110は、第1搭乗ユニット101の一端部側(
図2における車両右端部側)に寄せた位置に設けられている。第1搭乗ユニット101の他端部側(第1昇降装置110の反対側)には、第1搭乗ユニット101と第2搭乗ユニット102の間を作業者が移動するための通路が形成されている。
【0028】
第1搭乗ユニット101は、床面および側壁が入れ子式に構成され、第2搭乗ユニット102と反対の方向に床面および側壁を拡張可能になっている(
図5を参照)。第1搭乗ユニット101は、床面および側壁を相対移動させて拡張させる第1拡張装置を備えている。この第1拡張装置は、基端側の床面に対して拡張床面をスライド移動自在に支持するガイドレールと、基端側の床面と拡張床面の間に跨設される第1拡張シリンダ118(
図3を参照)とを有して構成される。第1搭乗ユニット101は、第1拡張シリンダ118により第2搭乗ユニット102と反対の方向に拡張床面および側壁をスライド移動させて拡張することが可能になっている。
【0029】
第3搭乗ユニット103は、第2搭乗ユニット102に対して上下方向に相対移動(スライド移動)自在に連結されている。第3搭乗ユニット103には、第2搭乗ユニット102に対して第3搭乗ユニット103を上下方向に相対移動させる第2昇降装置120が設けられている。第2昇降装置120は、上記第1昇降装置110と同様な構成であり、第2搭乗ユニット102に対して第3搭乗ユニット103を上下方向にスライド移動自在に支持するガイドレールと、第3および第2搭乗ユニット103,102に跨設された第2昇降シリンダ125(
図3を参照)とを有して構成される。第3搭乗ユニット103は、第2昇降シリンダ125により第2搭乗ユニット102に対して昇降移動が可能になっている。第2昇降装置120は、第3搭乗ユニット103の一端部側(
図2における車両左端部側)に寄せた位置に設けられている。第3搭乗ユニット103の他端部側(第2昇降装置120の反対側)には、第3搭乗ユニット103と第2搭乗ユニット102の間を作業者が移動するための通路が形成されている。
【0030】
第3搭乗ユニット103は、床面および側壁が入れ子式に構成され、第2搭乗ユニット102と反対の方向に床面および側壁を拡張可能になっている(
図5を参照)。第3搭乗ユニット103は、床面および側壁を相対移動させて拡張させる第2拡張装置を備えている。この第2拡張装置は、上記第1拡張装置と同様に、基端側の床面に対して拡張床面をスライド移動自在に支持するガイドレールと、基端側の床面と拡張床面の間に跨設される第2拡張シリンダ128(
図3を参照)とを有して構成される。第3搭乗ユニット103は、第2拡張シリンダ128により第2搭乗ユニット102と反対の方向に拡張床面および側壁をスライド移動させて拡張することが可能になっている。
【0031】
第2搭乗ユニット102には、作業者が操作入力する操作装置150が設けられている。この操作装置150は、
図3に示すように、車体2に対してブーム20を旋回、起伏および伸縮作動させるためのブーム操作レバー151と、作業台ブラケット30に対して作
業台100を水平旋回作動させるための作業台旋回操作レバー152と、第2搭乗ユニット102に対して第1搭乗ユニット101を昇降作動させるための第1昇降操作レバー153と、第2搭乗ユニット102に対して第3搭乗ユニット103を昇降作動させるための第2昇降操作レバー154と、第1搭乗ユニット101の床面および側壁を拡張作動させるための第1拡張操作レバー155と、第3搭乗ユニット103の床面および側壁を拡張作動させるための第2拡張操作レバー156とを有して構成される。
【0032】
ブーム旋回モータ6、ブーム起伏シリンダ25、ブーム伸縮シリンダ26および作業台旋回モータ36は、車体2に設けられた油圧ポンプPから供給される作動油を受けて作動するようになっている。これらの油圧モータおよびシリンダへの作動油の供給制御は、ブーム操作レバー151および作業台旋回操作レバー152の操作入力に応じてコントローラ50により制御バルブV1〜V4をそれぞれ駆動して行うように構成されている。このため、作業台100(第2搭乗ユニット102)に搭乗した作業者は、ブーム操作レバー151および作業台旋回操作レバー152を操作することにより、ブーム20の旋回、起伏および伸縮作動と作業台100の旋回作動とを行って作業台100を所望の高所位置に移動させることが可能になっている。高所作業車1は、車体2に搭載されたエンジンの駆動力をパワーテイクオフ機構によって取り出し、その取り出された駆動力により油圧ポンプPを駆動するように構成されている。
【0033】
第1昇降シリンダ115、第2昇降シリンダ125、第1拡張シリンダ118および第2拡張シリンダ128は、上記油圧ポンプPから供給される作動油を受けて作動するようになっている。これらの油圧シリンダへの作動油の供給制御は、第1昇降操作レバー153、第2昇降操作レバー154、第1拡張操作レバー155および第2拡張操作レバー156の操作入力に応じてコントローラ50により制御バルブV5〜V8をそれぞれ駆動して行うように構成されている。このため、作業台100(第2搭乗ユニット102)に搭乗した作業者は、上記のように作業台100を所望の高所位置に移動させた状態において、第1および第2昇降操作レバー153,154を操作することにより、第2搭乗ユニット102に対して第1および第3搭乗ユニット101,103をそれぞれ上下方向にスライド移動させて作業台100全体の形状を変更させることが可能になっている(
図4を参照)。さらに、第1および第2拡張操作レバー155,156を操作することにより、第1および第3搭乗ユニット101,103の床面および側壁をそれぞれ第2搭乗ユニット102と反対の方向にスライド移動させて拡張させることが可能になっている(
図5を参照)。
【0034】
高所作業車1には、車体2に対するブーム20(旋回台5)の旋回角度を検出するブーム旋回角度検出器61と、車体2に対するブーム20の起伏角度を検出するブーム起伏角度検出器62と、ブーム20の長さ(伸長量)を検出するブーム長さ検出器63と、作業台ブラケット30に対する作業台100の旋回角度を検出する作業台旋回角度検出器64とが設けられている。また、作業台100には、第2搭乗ユニット102に対する第1搭乗ユニット101の昇降位置を検出する第1昇降位置検出器65と、第2搭乗ユニット102に対する第3搭乗ユニット103の昇降位置を検出する第2昇降位置検出器66と、第1搭乗ユニット101の床面および側壁の拡張量を検出する第1拡張量検出器67と、第3搭乗ユニット103の床面および側壁の拡張量を検出する第2拡張量検出器68とが設けられている。これらの検出器61〜68により検出された情報はコントローラ50に入力されるようになっている。
【0035】
コントローラ50は、ブーム旋回角度検出器61、ブーム起伏角度検出器62およびブーム長さ検出器63からの検出情報に基づいて、車体2に対するブーム20の先端部の位置を算出するとともに、作業台旋回角度検出器64、第1昇降位置検出器65、第2昇降位置検出器66、第1拡張量検出器67および第2拡張量検出器68からの検出情報と、
予め記憶された作業台100の寸法情報とに基づいて、ブーム20および車体2に対する作業台100の最外縁の位置を常時算出するようになっている。
【0036】
コントローラ50は、このように常時算出したブーム20および車体2に対する作業台100の最外縁の位置に基づいて、作業台100とブーム20が接触する方向の作動、および作業台100と車体2が接触する方向の作動を規制する制御を行うように構成されている。具体的には、例えば、第2搭乗ユニット102に対して第1搭乗ユニット101および第3搭乗ユニット103の少なくともいずれか一方が下降された位置にあるときに、ブーム操作レバー151からブーム20を倒伏動させる操作入力があると、第2搭乗ユニット102より下方位置にある搭乗ユニットがブーム20に接触する虞が無い範囲ではブーム20を倒伏動させる制御が行われるが、当該搭乗ユニットとブーム20の距離が所定値まで近づいた状態では、それ以上にブーム20を倒伏動させることが規制され、ブーム20の倒伏動を停止させる制御が行われる。また、第2搭乗ユニット102に対して第1および第3搭乗ユニット101,103の少なくともいずれか一方が下降された位置にあるときに、作業台旋回操作レバー152から作業台100を水平旋回させる操作入力があると、第2搭乗ユニット102より下方位置にある搭乗ユニットがブーム20に接触する虞が無い状態(ブーム20の起伏角度が所定角度以上)の場合には作業台100を旋回動させる制御が行われるが、当該搭乗ユニットがブーム20と接触する虞がある状態であってブーム20との距離が所定値まで近づいた場合には、それ以上に当該搭乗ユニットがブーム20に近づく方向に作業台100を旋回動させることが規制され、作業台100の旋回動を停止させる制御が行われる。
【0037】
また、例えば、第1および第2昇降操作レバー153,154から第1および第3搭乗ユニット101,103の少なくともいずれか一方を第2搭乗ユニット102に対して下降させる操作入力があったときに、下降させる搭乗ユニットがブーム20および車体2と接触する虞がない状態の場合には当該搭乗ユニットを下降させる制御が行われるが、当該搭乗ユニットがブーム20および車体2と接触する虞がある状態であってブーム20および車体2との距離が所定値まで近づいた場合には、それ以上に当該搭乗ユニットを下降させることが規制され、当該搭乗ユニットの下降を停止させる制御が行われる。コントローラ50は、このように作業台100とブーム20および車体2とが接触する方向の作動を規制する制御を行い、そのときに、操作装置150に設けられた警報ランプ158を点灯させるとともに、同じく操作装置150に設けられた警報ブザー159により警報音を発生させる警報作動を行うようになっている。
【0038】
以上説明したように、高所作業車1では、作業台100が、床面の広さが異なる第1〜第3搭乗ユニット101〜103を横方向に並べて連結し、第2搭乗ユニット102に対して第1および第3搭乗ユニット101,103をそれぞれ昇降移動させることが可能に構成されている。そのため、
図4に示すように、例えばトンネル内の壁面のような曲面形状の作業対象部hの点検作業を行う場合に、当該曲面形状に沿った形状に作業台100全体を変形させることができる。従って、トンネル内の壁面等を上下方向に全て点検するときに、ブーム20を起伏および伸縮作動させて作業台100を移動させる回数を従来よりも少なくすることができ、これにより点検作業の効率を向上させることができる。高所作業車1では、ブーム20が格納されたときに、床面の最も狭い第1搭乗ユニット101が車体2の後端部側に位置し、第1〜第3搭乗ユニット101〜103が車体2上に前後方向に並んだ状態で格納されるように構成されている。そのため、ブーム20の長さおよび作業台100全体の大きさを最大限に確保しつつ、ブーム20および作業台100が車体2の後端部からはみ出すことなく格納することができ、車両全体をコンパクトなものとすることができる。
【0039】
高所作業車1では、第1搭乗ユニット101および第3搭乗ユニット103が床面およ
び側壁を拡張することが可能に構成されている。そのため、
図5に示すように、曲面形状の作業対象部hの点検作業を行っているときに、ブーム20を起伏および伸縮作動させることなく、第1および第3搭乗ユニット101,103の床面および側壁を拡張させることにより、より広い範囲の点検作業を行うことができる。また、車体2上に格納するときには作業台100全体を小さくコンパクトにすることができる。また、操作装置150が第2搭乗ユニット102のみに設けられている。第1もしくは第3搭乗ユニット101,103にも操作装置を設けると、第1もしくは第3搭乗ユニット101,103においても作動操作入力を行うことができ利便性が向上する反面、作業台100上において複数人数で作業を行うときに、複数の作業者がそれぞれ操作を行って作業台100を移動させる(第1および第3搭乗ユニット101,103の昇降移動も含む)場合が生じる。このような場合には、作業台100を移動させることに気づいていない作業者がいる状況で作業台100を移動させてしまうことがある。そこで、操作装置150を第2搭乗ユニット102の1箇所に集中させることにより、作業台100上において複数人数で作業を行うときにも、作業台100上での作業者の安全性を確保することができる。
【0040】
高所作業車1では、第1および第2昇降装置110,130がそれぞれ第1および第3搭乗ユニット101,103の一端部側に寄せた位置に設けられ、その反対側に第2搭乗ユニット102との間を作業者が移動するための通路が形成されている。そのため、当該通路の幅を最大限に確保することができ、作業台100上の作業範囲を安全で快適なものとすることができる。また、コントローラ50が、ブーム旋回角度検出器61、ブーム起伏角度検出器62、ブーム長さ検出器63、作業台旋回角度検出器64、第1昇降位置検出器65、第2昇降位置検出器66、第1拡張量検出器67および第2拡張量検出器68からの検出情報に基づいて、作業台100とブーム20が接触する方向の作動、および作業台100と車体2が接触する方向の作動を規制する制御を行うように構成されている。そのため、作業台100がブーム20および車体2と接触することなく、作業台100およびブーム20を車体2上に格納したり、所望の位置に移動させて作業を行ったりすることができる。
【0041】
図6には、本発明に係る第2実施形態の高所作業車1′を示している。この高所作業車1′は、第1実施形態の高所作業車1と比較して、旋回台5の配置、ブーム20および作業台100の格納姿勢が異なるだけで、それ以外の構成については同じである。高所作業車1′は、運転キャブ2a後方の車体2上の架装領域の後部に、旋回台5が水平旋回自在に設けられている。そして、運転キャブ2a後方の車体2上の架装領域において、ブーム20が前方に延びた状態で格納され、第1搭乗ユニット101が運転キャブ2aの上方において車体2の前端部側に位置して、第1搭乗ユニット101、第2搭乗ユニット102および第3搭乗ユニット103が前後方向に並んだ状態で格納されるように構成されている。
【0042】
次に、本発明に係る第3実施形態の高所作業車1″について
図7〜
図17を参照して説明する。この高所作業車1″は、第1実施形態の高所作業車1と比較して、作業台300の構成が異なるだけで、それ以外の構成については同じである。従って、第1実施形態の高所作業車1と同じ構成については同じ符番を付してその説明を省略し、以下では作業台300の構成について説明する。なお、
図9〜
図15では、
図9および
図10に示す前後、左右および上下の矢印の方向をそれぞれ前後方向、左右方向および上下方向と称して説明する。
【0043】
作業台300は、
図9および
図10に示すように、第1搭乗ユニット310、第2搭乗ユニット320および第3搭乗ユニット330を所定の連結方向(前後方向)に並べて連結して構成されている。第1〜第3搭乗ユニット310,320,330はそれぞれ、作業者が搭乗可能な作業床(床面)と、その作業床の周囲に立設された手摺りとを有して構
成される。作業台300では、第2搭乗ユニット320の床面が最も広く、第1搭乗ユニット310の床面と第3搭乗ユニット330の床面とは略同じ広さになっている(詳細には第3搭乗ユニット330の床面の方が若干広くなっている)。第2搭乗ユニット320が作業台ブラケット30上に水平旋回自在に支持される(
図7を参照)。
【0044】
第1搭乗ユニット310は、作業者が搭乗可能な第1作業床311(床面)と、第1作業床311の前後左右を囲むように立設された第1手摺り312とを有して構成される。第1手摺り312の前方側には、第1手摺り312の一部を前後方向に横開き開閉可能に構成した第1扉部312aが設けられている。第1扉部312aにはレバー揺動式の第1扉ロック機構312bが設けられており、第1扉ロック機構312bにより第1扉部312aは閉じた状態に保持されている。第1作業床311の後端側の左右側部にはそれぞれ、第1手摺り312の外側の位置に、上方に延びる角柱状の第1支柱部材313が設けられている。第1搭乗ユニット310は、第1昇降装置350により第2搭乗ユニット320に対して下方に移動可能に連結されている。
【0045】
第1昇降装置350は、左右2組の平行リンク351と、左右2個の第1昇降シリンダ355とを有して構成される。左右2組の平行リンク351はそれぞれ、前後方向に延びて上下に平行な上側リンク部材352および下側リンク部材353から構成され、上側および下側リンク部材352,353が第1搭乗ユニット310の第1支柱部材313と第2搭乗ユニット320の第2支柱部材328とに跨って枢結されている。第1搭乗ユニット310の第1作業床311と第2搭乗ユニット320の第2作業床321とが略同じ高さに位置している状態(
図9および
図10に示す状態)において、上側および下側リンク部材352,353は、第1支柱部材313との枢結端部が上方となる斜めに延びた状態で、第1および第2支柱部材313,328に跨設されている。第1および第2作業床311,321が略同じ高さに位置している状態において、第1昇降シリンダ355は、ボトム側基端部が第2支柱部材328における下側リンク部材353の直上側の位置に枢結され、ロッドが伸長した状態でロッド先端部が上側リンク部材352における第1支柱部材313の近傍側の位置に枢結されている。
【0046】
このように構成された第1昇降装置350では、第1搭乗ユニット310の第1作業床311と第2搭乗ユニット320の第2作業床321とが略同じ高さに位置している状態において、
図11および
図12に示すように、左右の第1昇降シリンダ355のロッドを縮小作動させることにより、左右の平行リンク351を介して第1搭乗ユニット310を第2搭乗ユニット320に対して下方に移動させることができるように構成されている。そして、第1搭乗ユニット310が下方に移動した状態において、左右の第1昇降シリンダ355のロッドを伸長作動させると、左右の平行リンク351を介して第1搭乗ユニット310を第1作業床311と第2作業床321とが略同じ高さとなる位置まで上方に移動させることができるようになっている。
【0047】
第3搭乗ユニット330は、
図9および
図10に示すように、作業者が搭乗可能な第3作業床331(床面)と、第3作業床331の前後左右を囲むように立設された第3手摺り332とを有して構成される。第3手摺り332の前方側には、第3手摺り332の一部を前後方向に横開き開閉可能に構成した第3扉部332aが設けられている。第3扉部332aにはレバー揺動式の第3扉ロック機構332bが設けられており、第3扉ロック機構332bにより第3扉部332aは閉じた状態に保持されている。作業者は、第3扉ロック機構332bを操作して第3扉部332aを開けて、第3搭乗ユニット330へ搭乗することができるようになっている。第3手摺り332の後方側には、作業者がくぐり抜けられる大きさの第1開口部332cが設けられている。第1開口部332cの上下略中央には、左右方向に延びる棒状の第1規制部材332dが上方にスライド移動可能に設けられている。第3作業床331の前端側の左右側部にはそれぞれ、第3手摺り332の
外側の位置に、上方に延びる角柱状の第3支柱部材333が設けられている。第3搭乗ユニット330は、第2昇降装置360により第2搭乗ユニット320に対して上方に移動可能に連結されている。
【0048】
第2昇降装置360は、左右2組の平行リンク361と、左右2個の第2昇降シリンダ365とを有して構成される。左右2組の平行リンク361はそれぞれ、前後方向に延びて上下に平行な上側リンク部材362および下側リンク部材363から構成され、上側および下側リンク部材362,363が第3搭乗ユニット330の第3支柱部材333と第2搭乗ユニット320の第4支柱部材329とに跨って枢結されている。第3搭乗ユニット330の第3作業床331と第2搭乗ユニット320の第2作業床321とが略同じ高さに位置している状態(
図9および
図10に示す状態)において、上側および下側リンク部材362,363は、第3支柱部材333との枢結端部が下方となる斜めに延びた状態で、第3および第4支柱部材333,329に跨設されている。第2および第3作業床321,331が略同じ高さに位置している状態において、第2昇降シリンダ365は、ボトム側基端部が第4支柱部材329における下側リンク部材363の直上側の位置に枢結され、ロッドが縮小した状態でロッド先端部が上側リンク部材362における第3支柱部材333の近傍側の位置に枢結されている。
【0049】
このように構成された第2昇降装置360では、第3搭乗ユニット330の第3作業床331と第2搭乗ユニット320の第2作業床321とが略同じ高さに位置している状態において、
図11および
図12に示すように、左右の第2昇降シリンダ365のロッドを伸長作動させることにより、左右の平行リンク361を介して第3搭乗ユニット330を第2搭乗ユニット320に対して上方に移動させることができるように構成されている。そして、第3搭乗ユニット330が上方に移動した状態において、左右の第2昇降シリンダ365のロッドを縮小作動させると、左右の平行リンク361を介して第3搭乗ユニット330を第3作業床331と第2作業床321とが略同じ高さとなる位置まで下方に移動させることができるようになっている。
【0050】
第3搭乗ユニット330には、第1実施形態で説明した操作装置150と同様の操作装置150″が設けられている。この操作装置150″は、
図3に示すように、ブーム操作レバー151と、作業台旋回操作レバー152と、第2搭乗ユニット320に対して第1搭乗ユニット310を昇降作動させるための第1昇降操作レバー153″と、第2搭乗ユニット320に対して第3搭乗ユニット330を昇降作動させるための第2昇降操作レバー154″とを有して構成される。左右の第1昇降シリンダ355および左右の第2昇降シリンダ365は、上記油圧ポンプPから供給される作動油を受けて作動するようになっている。これらの油圧シリンダへの作動油の供給制御は、第1昇降操作レバー153″および第2昇降操作レバー154″の操作入力に応じてコントローラ50により制御バルブV5およびV6をそれぞれ駆動して行うように構成されている。このため、第3搭乗ユニット330に搭乗した作業者は、第1および第2昇降操作レバー153″,154″を操作することにより、第2搭乗ユニット320に対して第1および第3搭乗ユニット310,330をそれぞれ上下方向に移動させて作業台300全体の形状を変更させることが可能になっている(
図11および
図12を参照)。
【0051】
第2搭乗ユニット320は、
図9および
図10に示すように、作業者が搭乗可能な第2作業床321(床面)と、第2作業床321の前後左右を囲むように立設された第2手摺り340とを有して構成される。第2作業床321の後端側の左右側部にはそれぞれ、第2手摺り340の外側の位置に、上方に延びる角柱状の第2支柱部材328が設けられている。第2作業床321の前端側の左右側部にはそれぞれ、第2手摺り340の外側の位置に、上方に延びる角柱状の第4支柱部材329が設けられている。第2手摺り340は、第2作業床321の前端部に立設された前側手摺り341と、第2作業床321の後端
部に立設された後側手摺り342と、第2作業床321の左端部に立設された左側手摺り343と、第2作業床321の右端部に立設された右側手摺り344とを有して構成される。
【0052】
前側手摺り341には、前側手摺り341の一部を前後方向に横開き開閉可能に構成した第2扉部341aが設けられている。第2扉部341aにはレバー揺動式の第2扉ロック機構341bが設けられており、第2扉ロック機構341bにより第2扉部341aは閉じた状態に保持されている。作業者は、第2ロック機構341bを操作して第2扉部341aを開け、第3搭乗ユニット330の第1規制部材332dを上方にスライド移動させて第1開口部332cをくぐって通り抜けることにより、第3搭乗ユニット330と第2搭乗ユニット320との間を移動することができるようになっている。後側手摺り342には、作業者がくぐり抜けられる大きさの第2開口部342cが設けられている。第2開口部342cの上下略中央には、左右方向に延びる棒状の第2規制部材342dが上方にスライド移動可能に設けられている。作業者は、第1搭乗ユニット310の第1ロック機構312bを操作して第1扉部312aを開け、第2規制部材342dを上方にスライド移動させて第2開口部342cをくぐって通り抜けることにより、第2搭乗ユニット320と第1搭乗ユニット310との間を移動することができるようになっている。
【0053】
後側手摺り342、左側手摺り343および右側手摺り344はそれぞれ、
図13〜
図15に示すように、第2作業床321側に傾倒させて折り畳み可能に構成されている。後側手摺り342の上側の左右端部にはそれぞれ第1手摺りロック機構345が設けられている。第1手摺りロック機構345は、上下にスライド移動可能なロックピンと、そのロックピンが挿入可能なロック孔とを有したロック機構である。左側の第1手摺りロック機構345は、後側手摺り342に設けられたロックピンを左側手摺り343に設けられたロック孔に挿入して後側および左側手摺り342,343を係止させ、後側および左側手摺り342,343を第2作業床321に立設させた状態を保持するようになっている。右側の第1手摺りロック機構345は、後側手摺り342に設けられたロックピンを右側手摺り344に設けられたロック孔に挿入して後側および右側手摺り342,344を係止させ、後側および右側手摺り342,344を第2作業床321に立設させた状態を保持するようになっている。左右の第1手摺りロック機構345はそれぞれ、第1搭乗ユニット310に搭乗した作業者から操作可能な位置に設けられている。
【0054】
左右の第4支柱部材329の上部にはそれぞれ第2手摺りロック機構346が設けられている。第2手摺りロック機構346は、第1手摺りロック機構345と同様に、上下にスライド移動可能なロックピンと、そのロックピンが挿入可能なロック孔とを有したロック機構である。左側の第2手摺りロック機構346は、左側の第4支柱部材329に設けられたロックピンを左側手摺り343に設けられたロック孔に挿入して、左側の第4支柱部材329に左側手摺り343を係止させ、左側手摺り343を第2作業床321に立設させた状態を保持するようになっている。右側の第2手摺りロック機構346は、右側の第4支柱部材329に設けられたロックピンを右側手摺り344に設けられたロック孔に挿入して、右側の第4支柱部材329に右側手摺り344を係止させ、右側手摺り344を第2作業床321に立設させた状態を保持するようになっている。左右の第2手摺りロック機構346はそれぞれ、第3搭乗ユニット330に搭乗した作業者から操作可能な位置に設けられている。
【0055】
左側の第3支柱部材328には、左側の第1手摺りロック機構345よりも下方の位置に、第3手摺りロック機構347が設けられている。右側の第4支柱部材329には、第2手摺りロック機構346よりも下方の位置に、第4手摺りロック機構348が設けられている。第3および第4手摺りロック機構347,348はそれぞれ、押圧操作するとロックが解除されるプッシュボタン式のロック機構である。第3手摺りロック機構347は
、左側手摺り343に設けられたプッシュボタンおよびプッシュピンを左側の第3支柱部材329に設けられた係止部に係止させ、左側手摺り343を第2作業床321に立設させた状態を保持するようになっている。第3手摺りロック機構347は、第1搭乗ユニット310に搭乗した作業者から操作可能な位置に設けられている。第4手摺りロック機構348は、右側手摺り344に設けられたプッシュボタンおよびプッシュピンを右側の第4支柱部材329に設けられた係止部に係止させ、右側手摺り344を第2作業床321に立設させた状態を保持するようになっている。第4手摺りロック機構348は、第3搭乗ユニット330に搭乗した作業者から操作可能な位置に設けられている。
【0056】
後側手摺り342の下部には第5手摺りロック機構349が設けられている。第5手摺りロック機構349は、上記第3手摺りロック機構347と同様に、押圧操作するとロックが解除されるプッシュボタン式のロック機構である。第5手摺りロック機構349は、後側手摺り342の折り畳み側(上部側)に設けられたプッシュボタンおよびプッシュピンを後側手摺り342の固定側(下部基端側)に設けられた係止部に係止させ、後側手摺り342を第2作業床321に立設させた状態を保持するようになっている。第5手摺りロック機構349は、第1搭乗ユニット310に搭乗した作業者から操作可能な位置に設けられている。
【0057】
後側手摺り342、左側手摺り343および右側手摺り344をそれぞれ第2作業床321側に傾倒させて折り畳むには、先ず、第1搭乗ユニット310に搭乗した作業者により、左右の第1手摺りロック機構345のロックピンをロック孔から抜いて後側手摺り342と左側および右側手摺り343,344との係止状態を解除させる。また、第3搭乗ユニット330に搭乗した作業者により、左右の第2手摺りロック機構346のロックピンをロック孔から抜いて左右の第4支柱部材329と左側および右側手摺り343,344との係止状態を解除させる。次に、第3搭乗ユニット330に搭乗した作業者により、第4手摺りロック機構348のプッシュボタンを押圧操作してプッシュピンを係止部から抜いて右側手摺り344と右側の第4支柱部材329との係止状態を解除させ、右側手摺り344を第2作業床321側に傾倒させて折り畳む。また、第1搭乗ユニット310に搭乗した作業者により、第3手摺りロック機構347のプッシュボタンを押圧操作してプッシュピンを係止部から抜いて左側手摺り343と左側の第3支柱部材328との係止状態を解除させ、左側手摺り343を第2作業床321側に傾倒させて折り畳む。最後に、第1搭乗ユニット310に搭乗した作業者により、第5手摺りロック機構349のプッシュボタンを押圧操作してプッシュピンを係止部から抜いて後側手摺り342の係止状態を解除させ、後側手摺り342を第2作業床321側に傾倒させて折り畳む。このように作業台300は、第1および第3搭乗ユニット310,330に搭乗した作業者によって第2搭乗ユニット320の後側手摺り342、左側手摺り343および右側手摺り344をそれぞれ第2作業床321側に傾倒させて折り畳むことができるようになっている。
【0058】
このように構成された高所作業車1″では、
図16に示すように、例えばトンネル内の壁面のような曲面形状の作業対象部hの点検作業を行う場合に、上記のように第2搭乗ユニット320に対して第1搭乗ユニット310を下方に移動させるとともに、第3搭乗ユニット330を上方に移動させて、作業台300全体の形状を作業対象部hの曲面形状に応じた形状に変更させることができる。そのため、トンネル内の壁面等を上下方向に全て点検するときに、ブーム20を起伏および伸縮作動させて作業台300を移動させる回数を従来よりも少なくすることができ、これにより点検作業の効率を向上させることができる。また、第1および第2昇降装置350,360が第1および第3作業床311,331(第1および第3手摺り312,332)の外側に設けられているため、第1および第3作業床311,331を広くとることができる。
【0059】
また、
図17に示すように、トンネル天井部に設けられたジェットファンfの点検作業
を行う場合に、上記のように第2搭乗ユニット320の後側手摺り342、左側手摺り343および右側手摺り344をそれぞれ第2作業床321側に傾倒させて折り畳み、第2作業床321の上方近傍にジェットファンfが配置されるように作業台300を移動させて、第1搭乗ユニット310と第3搭乗ユニット330とによってジェットファンfの両側を挟んだ状態とすることができる。従来の高所作業車では、ジェットファンfの両側の点検作業を行う場合には、作業台をジェットファンfの両側にそれぞれ移動させて2回に分けて点検作業を行っていたが、本実施形態の高所作業車1″では、第1および第3搭乗ユニット310,330にそれぞれ搭乗した作業者によってジェットファンfの両側の点検作業を同時に行うことができ、作業効率を向上させることができる。なお、第2搭乗ユニット320の後側手摺り342については第2作業床321側に傾倒させて折り畳まなくても、上記のように第1および第3搭乗ユニット310,330によってジェットファンfの両側を挟んだ状態とすることができる。
【0060】
また、高所作業車1″では、
図7および
図8に示すように、ブーム20が格納されたときに、第1搭乗ユニット310が車体2の後端部側に位置し、第1〜第3搭乗ユニット310,320,330が車体2上に前後方向に並んだ状態で格納されるように構成されている。そのため、ブーム20の長さおよび作業台300全体の大きさを最大限に確保しつつ、ブーム20および作業台300が車体2の後端部からはみ出すことなく格納することができ、車両全体をコンパクトなものとすることができる。
【0061】
これまで本発明に係る実施形態について説明してきたが、本発明の範囲は上述の実施形態に示したものに限定されない。例えば、上述の実施形態では、作業台が3個の搭乗ユニットを連結して構成された例について説明したが、2個の搭乗ユニットを連結した構成や、4個以上の搭乗ユニットを連結した構成としてもよい。なお、連結された搭乗ユニットは、全ての床面の広さが異なる必要はなく、それらの中には、同じ広さの床面を有する搭乗ユニットがあってもよい。また、上述の実施形態では、第2搭乗ユニットが作業台ブラケット30に旋回自在に支持されているが、第2搭乗ユニット以外の搭乗ユニットが作業台ブラケット30に旋回自在に支持される構成としてもよい。上述の実施形態では、第1および第3搭乗ユニットが第2搭乗ユニットに対して上下方向に相対移動(昇降)可能に構成されているが、第1搭乗ユニットを第2搭乗ユニットに対して横方向(
図2における車両左右方向)に相対移動可能に構成してもよい。上述の実施形態では、操作装置に第1および第2昇降操作レバーが設けられているが、この昇降操作手段としてレバーに替えてスイッチによる構成としてもよい。
【0062】
また、上述の第1および第2実施形態では、第1および第2昇降装置110,120が第1および第3搭乗ユニット101,103にそれぞれ設けられているが、第1および第2昇降装置110,120は、第1搭乗ユニット101と第2搭乗ユニット102の間、および第2搭乗ユニット102と第3搭乗ユニット103の間にそれぞれ設けられる構成としてもよい。または、第1および第2昇降装置110,120が第2搭乗ユニット102に設けられる構成としてもよい。上述の第1および第2実施形態では、第1および第3搭乗ユニット101,103が床面および壁部を拡張可能に構成されているが、第1搭乗ユニット101だけが拡張可能な構成であってもよい。また、第1および第3搭乗ユニット101,103は、第1および第2拡張シリンダ118,128(油圧シリンダ)により拡張可能に構成されているが、これらの油圧シリンダを備えることなく、作業者の手動により第1および第3搭乗ユニット101,103を拡張可能な構成としてもよい。
【0063】
また、上述の第3実施形態では、第3搭乗ユニット330の第3手摺り322の後方側、および第2搭乗ユニット320の後側手摺り342にそれぞれ、作業者がくぐり抜け可能な第1開口部322cおよび第2開口部342cが設けられているが、これらの第1および第2開口部322c,342cに替えて、第1扉部312a等と同様の扉部を設けた
構成としてもよい。上述の第3実施形態において、第1および第2昇降装置350,360の第1および第2昇降シリンダ355,365はそれぞれ、ボトム・ロッドの向きを逆向きに枢結した構成としてもよい。