【実施例】
【0030】
<測定方法>
1.pH測定
試料の10質量%水溶液を用いて、25℃で測定した。
2.粘度測定
B型粘度計(ローターNo.4、6rpm)を用いて、25℃にて測定した。
【0031】
3.アスコルビン酸テトラ脂肪酸エステル(A成分)の残存率測定(%)
調製直後と、40℃で6カ月保存したサンプルを用いて測定を行った。サンプルを規定量はかりとり、移動相を加え均一に溶解した後、0.45μmの液体クロマトグラフ用フィルターでろ過し、試料溶液とした。別にVC-IP標準品を移動相にとかし標準溶液とした。試料溶液及び標準溶液20μLにつき、以下の条件で液体クロマトグラフ法により定量した。
VC-IP残存率(%)=40℃・6カ月保存サンプル中のVC-IP定量値/調整直後のサンプル中のVC-IP定量値・100
【0032】
(クロマトグラフィー条件)
カラム温度:30℃
移動相:エタノール:メタノール:クロロホルム(容量比:4:4:2)
測定波長:紫外吸光光度(波長240nm)
流量:1.0mL/min
カラム:ODS(4.6mmφ・150nm)
【0033】
4.使用成分(全て日光ケミカルズ社製)
NIKKO VC-IP:テトラヘキシルデカン酸アスコルビル
NIKKOL CIO:エチルヘキサン酸セチル(IOB値0.128)
NIKKOL Trifat S-308:トリエチルヘキサノイン(IOB値0.353)
NIKKOL Triester F-810:トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル(IOB値0.274)
NIKKOL バチルアルコールEX:バチルアルコール
NIKKOL べへニルアルコール65:べへニルアルコール
NIKKOL SS-10V:ステアリン酸ソルビタン
NIKKOL N-SPV:パルミチン酸セチル
NIKKOL MGS-150V:ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸PEG−60グリセリル
NIKKOL Hexaglyn PR-15:ポリリシノレイン酸ポリグリセリル−6
NIKKOL シュガースクワラン:スクワラン
NIKKOL ホホバ油S:ホホバ油
NIKKOL ニコムルスLH:グリセリン、水添レシチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロキシエーテル、スクワラン、ステアロイルメチルタウリンNa
NIKKOL Trifat PS-45H:水添パーム油、パーム核油、パーム油
NIKKOL レシノールS−10:水添レシチン
【0034】
実施例1(実施例1-1、1-2):pHの評価
表1に示す第1相と第2相をそれぞれ測りとり・・℃まで加温し、均一溶解する。次に、第2相に第1相を徐々に添加し、ホモミキサーで攪拌乳化させた後、40℃まで冷却し、第3相を加え、化粧料を得た。表中の各成分の数値は質量%を示す。
【0035】
【表1】
【0036】
結果、(B)成分の極性油、(C)成分のキレート剤、(D)成分の抗酸化剤を使用し、pHを調整したことから、(A)成分の加水分解が抑制されていた。pH6以下の場合、よりpHが低いpH5.5以下の実施例1−1の方が(A)成分の加水分解がより抑制された。
【0037】
実施例2(実施例2-1、2-2):バッファー評価
表2に示す各成分を使用して、実施例1と同様にして化粧料を調製した。
【0038】
【表2】
【0039】
結果、(B)成分の極性油、(C)成分のキレート剤、(D)成分の抗酸化剤、(G)成分の高級アルコール(3.50質量%)を使用し、pHを調整したことから、(A)成分の加水分解が抑制されていた。pH6以下の場合、よりpHが低いpH5.5以下の実施例2−2の方が(A)成分の加水分解がより抑制された。また実施例2−2は、pH調整剤としてキレート作用を有するコハク酸を使用したことも(A)成分の加水分解の抑制に影響したことが考えられる。
【0040】
実施例3(実施例3-1、3-2、3-3):キレート剤評価
表3に示す各成分を使用して、実施例1と同様にして化粧料を調製した。
【0041】
【表3】
【0042】
結果、(B)成分の極性油、(C)成分のキレート剤、(D)成分の抗酸化剤、少量の(G)成分(3.50質量%)を使用し、pHを調整したことから、(A)成分の加水分解が抑制されていた。(C)成分のキレート剤による(A)成分の加水分解の抑制効果は、コハク酸(実施例3−3)、EDTA(実施例3−1)、EDTA−2Na(実施例3−2)の順であり、Naイオンが存在したことが実施例3−2の抑制効果を低下させた原因と考えられる。
【0043】
実施例4(実施例4-1、4-2)と比較例1:極性油の評価(EO系処方)
表4に示す第1相と第2相をそれぞれ測りとり、・・℃まで加温し、均一溶解する。次に、第2相に第1相を徐々に添加し、ホモミキサーで攪拌乳化させた後、40℃まで冷却し化粧料を得た。
【0044】
【表4】
【0045】
結果、実施例4−1,4−2は、(B)成分の極性油、(C)成分のキレート剤、(D)成分の抗酸化剤、少量の(G)成分(5.00質量%)を使用し、pHを調整したことから、(A)成分の加水分解が抑制されていた。比較例1は、(B)成分を使用していないため、(A)成分の加水分解の抑制効果が劣っていた。実施例4−2の方が実施例4−1よりも(A)成分の加水分解性の抑制効果が高かった。これは、(A)成分との相溶性が(B)成分の極性油>無極性油(スクワラン)であり、より相溶性のよい(B)成分の極性油と(A)成分を組み合わせることで、(A)成分の水への移行が防止されたことによるものと考えられる。
【0046】
実施例5(実施例5-1、5-2)と比較例2:極性油の評価(アニオン系処方)
表5に示す各成分を使用して、実施例1と同様にして化粧料を製造した。
【0047】
【表5】
【0048】
結果、実施例5−1、5−2は、(B)成分の極性油、(C)成分のキレート剤、(D)成分の抗酸化剤、少量の(G)成分(3.50質量%)を使用し、pHを調整したことから、(A)成分の加水分解が抑制されていた。比較例2は、(B)成分を使用していないため、(A)成分の加水分解の抑制効果が劣っていた。実施例5−1と実施例5−2は、(B)成分の極性油の割合が高い実施例5−2の方が(A)成分の加水分解性の抑制効果が高くなった。これは、(A)成分との相溶性が(B)成分の極性油>無極性油(スクワラン)であり、より相溶性のよい(B)成分の極性油と(A)成分を組み合わせることで、(A)成分の水への移行が防止されたことによるものと考えられる。
【0049】
実施例6(実施例6-1、6-2、6-3):高級アルコール評価
表6に示す各成分を使用して、実施例1と同様にして化粧料を製造した。
【0050】
【表6】
【0051】
結果、実施例6−1、6−2、6−3は、(B)成分の極性油、(C)成分のキレート剤、(D)成分の抗酸化剤、少量の(G)成分(4.75質量%)を使用し、pHを調整したことから、(A)成分の加水分解が抑制されていた。(G)成分のアルコールを使用したときは、炭素数が多いアルコールを使用した方が、(A)成分の加水分解の抑制効果が高かった。高級アルコールは、第1相(油相)と第2相(水相)の界面に存在しているが、炭素数が大きいアルコールほど、第1相(油相)中の(A)成分が第2相(水相)に移行し難くなることが原因と考えられる。
【0052】
実施例7(実施例7-1、7-2、7-3):高級アルコールの配合量評価
表7に示す各成分を使用して、実施例1と同様にして化粧料を製造した。
【0053】
【表7】
【0054】
実施例7−1、7−2、7−3は、(B)成分の極性油、(C)成分のキレート剤、(D)成分の抗酸化剤、(G)成分を使用し、pHを調整したことから、(A)成分の加水分解が抑制されていた。(G)成分の高級アルコールを使用したときは、(G)成分の量が少ない方が(A)成分の加水分解性の抑制効果が高くなった。(G)成分の量が多くなると、第1相(油相)中に溶解する(G)成分の量が多くなり、(G)成分のヒドロキシル基が(A)成分と反応して、(A)成分の加水分解性の抑制効果が小さくなるものと考えられる。
【0055】
実施例8(乳液)
1相 NIKKOL SS−10V 0.5
NIKKOL N−SPV 0.5
NIKKOL バチルアルコールEX 0.2
NIKKOL VC−IP 3.0
NIKKOL シュガースクワラン 2.0
NIKKOL CIO 6.0
NIKKOL ホホバ油S 1.0
KF−96A−6cs(ジメチコン) 2.0
KF−995(シクロメチコン) 4.0
トコフェロール 0.2
2相 NIKKOL ニコムルスLH 3.0
キサンタンガム(2%水溶液) 10.0
1,3−ブチレングリコール 4.0
グリセリン 5.0
エデト酸2ナトリウム 0.1
コハク酸(1%水溶液) 4.0
水酸化ナトリウム(1%水溶液) 1.0
防腐剤 適量
水 残部
(合計) 100.0質量%
【0056】
調製方法:第1相、第2相をそれぞれ80℃で加温する。第2相中に第1相を徐々に添加し、ホモミキサーで乳化させた。乳化後、室温まで冷却し、水補正を行い、乳液を得た。
結果: 調製直後のpHは4.484(10%水溶液)、粘度は10300(B型粘度計、No.4ローター、6rpm)。40℃・6カ月保管後のVC−IP残存率は90%以上であった。
【0057】
実施例9(クリーム)
1相 NIKKOL Triester F−810 4.0
NIKKOL VC−IP 3.0
NIKKOL Trifat PS−45H 4.0
NIKKOL べへニルアルコール65 2.0
NIKKOL バチルアルコールEX 1.0
NIKKOL N−SPV 3.0
NIKKOL MGS−150V 2.0
KF−96A−100cs(ジメチコン) 0.2
NIKKOL レシノールS−10 0.1
トコフェロール 0.1
防腐剤 適量
2相 ヒドロキシエチルセルロース 2.0
キサンタンガム(2%水溶液) 2.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
グリセリン 3.0
クエン酸(1%水溶液) 2.0
クエン酸ナトリウム(1%水溶液) 3.0
エデト酸 0.1
水 残部
(合計) 100.0質量%
【0058】
調製方法:実施例8と同じ方法でクリームを得た。
結果:調製直後のpHは5.214(10%水溶液)、粘度は27000(B型粘度計、No.4ローター、6rpm)。40℃・6カ月保管後のVC−IP残存率は90%以上であった。
【0059】
実施例10(美容液)
1相 グリセリン 2.0
1,3−ブチレングリコール 2.0
ペンチレングリコール 3.0
ジプロピレングリコール 3.0
キサンタンガム(2%水溶液) 1.0
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(2%水溶液)15.0
EDTA−2Na 0.05
2相 L−アルギニン(10%水溶液) 1.0
水 残部
3相 NIKKOL Trifat S−308 3.0
NIKKOL VC−IP 3.0
KF−54(メチルフェニルシリコーン) 1.0
NIKKOL Hexaglyn PR−15 1.0
トコフェロール 0.1
防腐剤 適量
(合計) 100.0質量%
【0060】
調製方法:第1相をパドル撹拌にて均一にし、均一になったところで第2相を添加した。さらに均一になったところで第3相を添加し、十分に撹拌して、美容液を得た。
結果:調製直後のpHは5.174(10%水溶液)、粘度は3100(B型粘度計、No.4ローター、6rpm)。40℃・6カ月保管後のVC−IP残存率は90%以上であった。
【0061】
実施例11(ゲルクリーム)
1相 グリセリン 4.0
1,3−ブチレングリコール 6.0
防腐剤 適量
キサンタンガム(2%水溶液) 4.0
カルボキシビニルポリマー(2%水溶液) 33.0
ペンテト酸5Na 0.10
2相 L−アルギニン 0.1
水 残部
3相 NIKKOL VC−IP 30.0
NIKKOL Triester F−810 5.0
NIKKOL Hexaglyn PR−15 0.5
トコフェロール 0.3
(合計) 100.0質量%
【0062】
調製方法:第1相をパドル撹拌にて均一にし、均一になったところで第2相を添加した。さらに均一になったところで第3相を添加し、十分に撹拌して、ゲルクリームを得た。
結果:調製直後のpHは4.65(10%水溶液)、粘度は88,000(B型粘度計、No.4ローター、6rpm)。40℃・6カ月保管後のVC−IP残存率は90%以上であった。