【実施例】
【0057】
・実施例1
以下の原材料を用い、
図4の配合からなる実施例1〜16及び比較例1〜6の組成物を混練機で製造した。
図4の配合における各成分の数字は重量部である。また、比較例1及び2については、品名:サントプレン 201−64:エクソンモービル社製、比較例3については、品名:ミラストマー 7030N:三井化学社製を使用した。使用した混練機は、2軸押出機(L/D=72)であり、実施例1〜13、16及び比較例1〜6については、第1ゾーン〜第3ゾーンを有する前記混練機10を使用し、実施例14〜15については、第1ゾーン〜第4ゾーンを有する前記混練機10Aを使用した。
【0058】
前記混練機10を使用する場合の製造条件は、実施例1〜12、16及び比較例1〜6については、第1ゾーンの温度:230℃、第2および第3ゾーンの温度:200℃であり、実施例13については、第1ゾーンの温度:230℃、第2および第3ゾーンの温度:230℃であり、スクリュー回転数:400rpm、出口での吐出量:30Kg/hrにて行った。
また、前記混練機10Aを使用する場合の製造条件は、実施例14については、第1ゾーンの温度:230℃、第2および第3ゾーンの温度:270℃、第4ゾーンの温度270℃であり、実施例15については、第1ゾーンの温度:230℃、第2および第3ゾーンの温度:250℃、第4ゾーンの温度250℃であり、スクリュー回転数:400rpm、出口での吐出量:30Kg/hrにて行った。
なお、第1ゾーンの温度は、使用する原材料(熱可塑性エラストマー、ゴム材料等)の融点、使用する反応開始剤の分解温度により適宜設定されるため、温度範囲の目安として200〜250℃であることが好ましい。第2および第3ゾーン、第4ゾーンの温度は、使用する原料(熱可塑性樹脂等)の融点よりも10〜30℃高く設定することが好ましく、温度範囲の目安として、TP−1、TP−5の場合、180〜230℃であり、TP−2の場合、200〜260℃であり、TP−3の場合、240〜300℃であり、TP−4の場合、220〜280℃である。
【0059】
・TPE−1(オレフィン系):エチレン/1−オクテン共重合体、ダウ・ケミカル社製、品名:ENGAGE 8842
・TPE−2(スチレン系):水添スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS)、クレイトンポリマージャパン社製、品名:G1651
・TPE−3(ポリエステル系):ポリエステル系熱可塑性エラストマー、東洋紡社製、品名:P−40B
・ゴム−1:エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ダウ・ケミカル日本社製、品名:NORDEL IP 4760P
・ゴム−2:アクリルゴム、ユニマテック社製、品名:A5098
・架橋剤(シランカップリング剤):ビニルトリメトキシシラン、信越化学社製、品名:KBM−1003
・反応開始剤:脂肪族系有機過酸化物、日本油脂社製、品名:パーヘキサ25B
・反応停止剤−1:フェノール系酸化防止剤、BASF社製、品名:IRGANOX 1010
・反応停止剤−2:ヒンダードアミン系光安定剤、BASF社製、品名:TINUVIN XT 855 FF
・シラノール架橋促進触媒:オクチル錫化合物、ADEKA社製、品名:アデカスタブ OT−1
・光安定剤:ヒンダードアミン系光安定剤、BASF社製、品名:TINUVIN XT 855 FF
・軟化剤:パラフィン系プロセスオイル、出光興産社製、品名:ダイアナプロセスオイル PW−90
・TP−1:ポリプロピレン系樹脂(ブロックタイプ)、日本ポリプロ社製、品名:ノバテックEC7
・TP−2:ポリアセタール樹脂、ポリプラスチックス社製、品名:ジュラコン M25−44
・TP−3:ポリブチレンテレフタレート系樹脂、東レ社製、品名:トレコン 1401X06
・TP−4:ポリアミド系樹脂、東レ社製、品名:アミランCM1017
・TP−5:ポリスチレン系樹脂、CHI MEI CORPORATION社製、品名:ポリレックスPH−88S
・着色剤:カラーマスターバッチ、東京インキ社製、品名:PEX3162 BLUE
【0060】
実施例1〜7は、前記グラフト化工程、前記混練工程及び前記動的架橋工程を連続して行い、前記熱可塑性樹脂追加混練工程については行わない例であり、TPE−1(オレフィン系)とTP−1(ポリプロピレン系樹脂)を使用し、配合成分の配合量等を変化させた例である。なお、実施例1は着色剤を配合しない例、実施例2〜7は着色剤を配合した例である。さらに実施例6は光安定剤を配合した例、実施例7は軟化剤を配合した例である。
【0061】
実施例8は、前記グラフト化工程、前記混練工程及び前記動的架橋工程を連続して行い、前記熱可塑性樹脂追加混練工程については行わない例であり、TPE−2(スチレン系)とTP−1(ポリプロピレン系樹脂)を使用し、着色剤を配合した例である。
実施例9は、前記グラフト化工程、前記混練工程及び前記動的架橋工程を連続して行い、前記熱可塑性樹脂追加混練工程については行わない例であり、TPE−3(ポリエステル系)とTP−1(ポリプロピレン系樹脂)を使用し、着色剤を配合した例である。
実施例10は、前記グラフト化工程、前記混練工程及び前記動的架橋工程を連続して行い、前記熱可塑性樹脂追加混練工程については行わない例であり、ゴム−1(エチレンプロピレンジエンゴム)とTP−1(ポリプロピレン系樹脂)を使用し、着色剤を配合した例である。
実施例11は、前記グラフト化工程、前記混練工程及び前記動的架橋工程を連続して行い、前記熱可塑性樹脂追加混練工程については行わない例であり、ゴム−2(アクリルゴム)とTP−1(ポリプロピレン系樹脂)を使用し、着色剤を配合した例である。
【0062】
実施例12は、前記グラフト化工程、前記混練工程及び前記動的架橋工程を連続して行い、前記熱可塑性樹脂追加混練工程については行わない例であり、TPE−1(オレフィン系)とゴム−1(エチレンプロピレンジエンゴム)を併用し、熱可塑性樹脂としてTP−1(ポリプロピレン系樹脂)を使用し、着色剤を配合した例である。
実施例13は、前記グラフト化工程、前記混練工程及び前記動的架橋工程を連続して行い、前記熱可塑性樹脂追加混練工程については行わない例であり、TPE−1(オレフィン系)とTP−2(ポリアセタール樹脂)を使用し、着色剤を配合した例である。
【0063】
実施例14は、前記グラフト化工程、前記混練工程、前記動的架橋工程及び前記熱可塑性樹脂追加混練工程を連続して行った例であり、TPE−1(オレフィン系)とTP−3(ポリブチレンテレフタレート樹脂)を使用し、着色剤を配合した例である。TP−3(ポリブチレンテレフタレート樹脂)は、前記第2ゾーンの混練工程で20重量部混入し、残りの50重量部を前記第4ゾーンの熱可塑性樹脂追加混練工程で混入した。
実施例15は、前記グラフト化工程、前記混練工程、前記動的架橋工程及び前記熱可塑性樹脂追加混練工程を連続して行った例であり、TPE−1(オレフィン系)とTP−4(ポリアミド系樹脂)を使用し、着色剤を配合した例である。TP−4(ポリアミド系樹脂)は、前記第2ゾーンの混練工程で20重量部混入し、残りの50重量部を前記第4ゾーンの熱可塑性樹脂追加混練工程で混入した。
【0064】
実施例16は、前記グラフト化工程、前記混練工程及び前記動的架橋工程を連続して行い、前記熱可塑性樹脂追加混練工程については行わない例であり、TPE−1(オレフィン系)とTP−5(ポリスチレン系樹脂)を使用し、着色剤を配合した例である。
【0065】
比較例1はフェノール架橋(完全架橋)の例、比較例2は比較例1に着色剤を配合した例、比較例3は過酸化物架橋(部分架橋)の例である。比較例4は実施例1の配合において架橋剤(シランカップリング剤)を含まない例である。比較例5は実施例1の配合において反応開始剤を含まない例である。比較例6は実施例1の配合において水成分を含まない例である。
【0066】
各実施例及び各比較例について、相反転、海島構造、島構造部のゲル分率の最大値、島構造部のゲル分率の測定値、島構造部のゲル分率(%)、耐候劣化による色差値(ΔE*ab)、着色による色差値(ΔE*ab)、圧縮永久歪(%)、再溶融性について調べた。結果は
図4に示す。なお、耐候劣化による色差値(ΔE*ab)については、実施例1〜7及び比較例1〜6に対して測定した。
【0067】
相反転の有無と海島構造の有無は、ウルトラミクロトーム(FC6:ライカ社製)で薄膜を作製し、透過型電子顕微鏡(H−7650:日立ハイテクノロジーズ社製)により観察し、確認した。
島構造部のゲル分率の最大値は、TPEの配合量(100重量部)である。
島構造部のゲル分率の測定値は、JIS K6769:2004に準拠した。JIS K6769:2004は、ISO 15875−2:2003に対応する規格である。
【0068】
島構造部のゲル分率(%)は、[(島構造部のゲル分率の測定値/島構造部のゲル分率の最大値)×100]により算出した。
耐候劣化による色差値(ΔE*ab)は、JIS Z8781−4:2013に準拠し、色差計(SMカラーコンピューター SM−T:スガ試験機社製)により測定した。JIS Z8781−4:2013は、ISO 11664−4:2008に対応する規格である。耐候劣化による色差値(ΔE*ab)は、耐候劣化前後の熱可塑性樹脂組成物の色差である。なお、耐候劣化試験は、JIS K7350−2:2008 B法に準拠し、耐光試験機(SC−700FP:スガ試験機社製)により、キセノンランプを放射照度:150W/m
2(波長域300〜400nm)で照射し、累積照射量:300MJ/m
2、ブラックパネル温度:63±3℃の条件で行った。JIS K7350−2:2008は、ISO 4892−2:2006に対応する規格である。
【0069】
着色による色差値は、着色剤の配合の有無による着色性(発色性)について、上記の耐候劣化による色差値と同様にJIS Z8781−4:2013に準拠し、測定した。着色による色差値(ΔE*ab)は、着色剤の配合に伴う熱可塑性樹脂組成物の色差値である。なお、実施例2〜16及び比較例3〜6の着色による色差値は、実施例1(着色剤未配合)に対して、また比較例2の着色による色差値は、比較例1(着色剤未配合)に対して、それぞれ測定を行った。ΔE*abの数値が大きい程、着色性が良好であることを示している。
【0070】
色差値:ΔE*abは、CIE1976L*a*b*色空間における座標間のユークリッド距離として定義され、下式により計算される2つの色刺激間の色差を示している。
ΔE*ab=[(ΔL*)
2+(Δa*)
2+(Δb*)
2)]
1/2
また、色差値:ΔE*abは、
図5に示す通り、米国標準局の定めるNBS単位及び色差の感覚(感覚的な色差の程度の評価)で表すことができる。
図5のNBS単位の欄の数値は、上記の式で算出されるΔE*abの値である。
【0071】
圧縮永久歪は、JIS K6262:2013 A法(70℃×22h、25%圧縮)に準拠した。JIS K6262:2013は、ISO 815−1:2008及びISO 815−2:2008に対応する規格である。
再溶融性は、各実施例及び各比較例を、180℃で3分間熱プレスし、溶融有無を確認した。溶融した場合を「〇」、溶融しなかった場合を「×」とした。
【0072】
実施例1〜16は、相反転「有」、海島構造「有」であって、島構造部のゲル分率が92〜99%である。また、実施例1〜16は、圧縮永久歪が29〜40%と小さなものであり、かつ再溶融性が「○」である。なお、自動車部品、止水材、建築材、工業用部材等に使用する場合、圧縮永久歪は50%以下が好ましく、40%以下がより好ましい。実施例1〜16は、島構造部分のゲル分率が92〜99%であり、シランカップリング剤を用いて完全に架橋しているため、圧縮永久歪が29〜40%と低く、自動車部品、止水材、建築材、工業用部材等として好適に使用することができる。
【0073】
着色性について実施例1と実施例2を比べると、TPE−1の100重量部に対して、着色剤の0.01重量部を配合した際の着色による色差値(Δ*abE)が5であって、NBS単位は3.0〜6.0の間に位置し、色差の感覚は目立って感じられるレベルであり、着色性に優れるものであった。また、実施例3〜16についても、実施例1と比べると、着色による色差値が4〜6であって、実施例2と同様に着色性に優れるものであった。
また、
図4には示していないが、実施例1と実施例7(軟化剤配合例)について硬さを測定した。実施例1と実施例7を比べると、実施例1の硬さは、D60(タイプDデュロメータにより測定)であり、実施例7の硬さは、A65(タイプAデュロメータにより測定)であり、着色による色差値や圧縮永久歪等の特性を維持したまま熱可塑性樹脂組成物の硬度を下げることができる。硬さの測定はJIS K6253−3:2012に準拠した。JIS K6253−3:2012は、ISO 7619−1:2010に対応する規格である。
【0074】
主鎖及び側鎖が飽和結合からなる熱可塑性エラストマーを用いた実施例1〜7は、耐候劣化による色差値(ΔE*ab)が2.1〜2.8であって耐候劣化による色差値の小さなものである。
【0075】
比較例1は、側鎖に2重結合を有する熱可塑性エラストマー(EPDM)をフェノール架橋した例であり、相反転「有」、海島構造「有」であって、島構造部のゲル分率が100%であり、圧縮永久歪が33%と小さなものであり、再溶融性は「〇」あった。
比較例1は、EPDMを使用しているため耐候劣化による色差値(ΔE*ab)が13.2であって耐候劣化による色差値の大きなものである。
【0076】
比較例2は、比較例1に着色剤を配合した例であり、相反転「有」、海島構造「有」であって、島構造部のゲル分率が100%であり、圧縮永久歪が35%と小さなものであり、再溶融性は「〇」であった。比較例1と比較例2を比べると、サントプレン 201−64の100重量部に対して、着色剤の0.01重量部を配合した際の着色による色差値(ΔE*ab)が0.8であって、NBS単位は0.5〜1.5の間に位置し、色差の感覚はわずかに感じられるレベルであり、実施例2の着色による色差値(ΔE*ab)5に比べ、劣るものであった。これはフェノール架橋に用いたフェノール自体が色調を有しており、着色剤を配合しても着色性が低いことを示している。着色剤の配合量を多くすればフェノール架橋熱可塑性樹脂組成物の着色による色差値(ΔE*ab)を大きくできるが、淡色に着色することは難しくなる。特に、CIE1976L*a*b*色空間において、フェノール系架橋剤自体の持つ色調と対極にある色をフェノール架橋熱可塑性樹脂組成物に淡色で着色することは非常に難しい。このことから本発明の熱可塑性樹脂組成物は、フェノール架橋熱可塑性樹脂組成物では着色することが難しい淡色に着色することが可能であり、着色の自由度に優れることを示している。
比較例2は、EPDMを使用しているため耐候劣化による色差値(ΔE*ab)が14.2であって耐候劣化による色差値の大きなものである。
【0077】
比較例3は、側鎖に2重結合を有する熱可塑性エラストマー(EPDM)を過酸化物架橋した例であり、相反転「有」、海島構造「有」であって、島構造部のゲル分率が60%であり、圧縮永久歪が52%と大きなものであり、再溶融性は「〇」であった。比較例3は、着色による色差値(ΔE*ab)が6であり、着色性に優れているが、熱可塑性樹脂組成物の島構造部が過酸化物架橋剤により架橋(部分架橋)されたため、島構造部のゲル分率が低く、圧縮永久歪が大きかった。
比較例3は、EPDMを使用しているため耐候劣化による色差値(ΔE*ab)が12.5であって耐候劣化による色差値の大きなものである。
【0078】
比較例4は、架橋剤(シランカップリング剤)を配合しない例であり、相反転「無」、海島構造「無」であって、圧縮永久歪が88%と大きなものであり、再溶融性は「〇」であったが、架橋が起こっていないため、島構造部のゲル分率は測定できなかった。較例4は、着色による色差値(ΔE*ab)が5であって着色性に優れているが、島構造部が架橋しておらず、圧縮永久歪が大きいため、自動車部品、止水材、建築材、工業用部材等には適さないものである。比較例4の再溶融性が「○」であったのは、得られた熱可塑性樹脂組成物がTPE−1やPO−1等の混合物であり、熱可塑性を有しているためである。
比較例4は、飽和結合からなる原材料を使用しているため耐候劣化による色差値(ΔE*ab)は2.7であって耐候劣化による色差値の小さなものである。
【0079】
比較例5は、反応開始剤を配合しない例であり、相反転「無」、海島構造「無」であって、圧縮永久歪が90%と大きなものであり、再溶融性は「〇」であったが、架橋が起こっていないため、島構造部のゲル分率は測定できなかった。比較例5は、着色による色差値(ΔE*ab)が4であって着色性に優れているが、島構造部が架橋しておらず、圧縮永久歪が大きいため、自動車部品、止水材、建築材、工業用部材等には適さないものである。比較例5の再溶融性が「○」であったのは、得られた熱可塑性樹脂組成物がTPE−1やPO−1等の混合物であり、熱可塑性を有しているためである。
比較例5は、飽和結合からなる原材料を使用しているため耐候劣化による色差値(ΔE*ab)は2.4であって耐候劣化による色差値の小さなものである。
【0080】
比較例6は、水成分を配合しない例であり、相反転「無」、海島構造「無」であって、圧縮永久歪が12%と小さいものであったが、再溶融性は「×」であった。比較例6は、着色による色差値(ΔE*ab)が5であって着色性に優れているが、再溶融しないため、再成形ができず、成形自由度が低いものである。比較例6の圧縮永久歪が小さかったのは、得られた熱可塑性樹脂組成物が海島構造を形成せずに、全体架橋を起こしていたためであり、島構造を有する熱可塑性樹脂組成物では無いため、再溶融による再成形が行えなかった。
比較例6は、飽和結合からなる原材料を使用しているため耐候劣化による色差値(ΔE*ab)は2.5であって耐候劣化による色差値の小さなものである。
【0081】
このように、本発明により得られる熱可塑性樹脂組成物は、着色性及び機械的物性に優れ、かつ再溶融による再成形が可能であり、自動車部品、止水材、建築材、工業用部材に好適である。さらに、主鎖及び側鎖が飽和結合からなる熱可塑性エラストマーを使用することにより、耐候劣化を生じ難くできる。
【0082】
本発明は、自動車部品、止水材、建築材、工業用部材等、耐候性が要求される用途において、機械物性や着色性に優れ、再溶融による成形が可能であることに加え、耐候劣化が起こり難い熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的としており、その目的を解決するための技術的手段として、以下の特徴を有していると言える。
<特徴>
主鎖及び側鎖が飽和結合からなる熱可塑性エラストマーにアルコキシシリル基がグラフト化された、アルコキシシリル基を有する飽和結合からなる熱可塑性エラストマーと、主鎖及び側鎖が飽和結合からなる熱可塑性樹脂とを、混練機中で溶融状態に混練する混練工程と、
前記混練機中に水成分を加え、前記混練機中で前記アルコキシシリル基を有する飽和結合からなる熱可塑性エラストマーのアルコキシシリル基と、前記水成分とを加水分解反応によりシラノール基化させ、次いで、前記シラノール基同士を縮合反応させ、シロキサン結合を形成させる動的架橋工程と、
を有し、
前記動的架橋工程により得られた熱可塑性樹脂組成物が、海島構造を有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法。