請求項1〜6のいずれかに記載の潤滑性向上剤と、グループI、グループII、グループIII及びグループIVの炭化水素油並びにエステル油からなる群から選ばれる1種以上の潤滑油基油(C)とを含有する潤滑油組成物であって、該組成物の重量に基づいて前記潤滑性向上剤を1〜50重量%含有してなる潤滑油組成物。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<潤滑性向上剤>
本発明の潤滑性向上剤は、一般式(1)で表される化合物(A)を含有する潤滑性向上剤であって、下記(I)〜(V)を満たす。
X[−(AO)
i/f− Y]
f (1)
[一般式(1)中、Xは活性水素をn個含有する化合物(a)から活性水素をf個除いた残基、nは1〜5の整数であり、fは1〜nの整数、YはH、炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数2〜18のアシル基、AOはn−ブチレンオキシ基、エチレンオキシ基、1,2−プロピレンオキシ基及び1,2−ブチレンオキシ基からなる群から選ばれる1種以上のアルキレンオキシ基を表し、iはアルキレンオキシ基の平均モル数を表し1〜250の数であり、fが2以上の場合、[−(AO)
i/f− Y]は同じでも異なっていてもよい]
(I) (A)の数平均分子量が1,000〜11,000
(II) (A)の溶解度パラメーターが8.4〜9.4(cal/cm
3)
1/2
(III)(A)の示差走査熱量計による結晶化開始温度が−30℃以下
(IV) (A)のHLB値が0.5〜6.0
(V) (A)の動粘度(40℃)が100〜3,000mm
2/s
【0009】
式(1)中の、Xは活性水素をn個含有する化合物(a)から活性水素をf個除いた残基である。
化合物(a)の活性水素を含有する基は、水酸基、カルボキシル基およびアミノ基からなる群から選ばれる基であり、(a)はこれらから選ばれる1種以上の活性水素をn個含有する化合物である。
【0010】
化合物(a)の具体的な例としては、水(a−1)、1〜5価のアルコール(a−2)、1〜5価のカルボン酸(a−3)、活性水素を1〜5個含有するアミン(a−4)、活性水素を1〜5個含有するアミノアルコール(a−5)、活性水素を1〜5個含有するヒドロキシカルボン酸(a−6)及び活性水素を1〜5個含有するアミノ酸(a−7)が挙げられ、これらの1種または2種以上の混合物が使用できる。
【0011】
1〜5価のアルコール(a−2)としては、1価のアルコール(a−21)、2価のアルコール(a−22)、3価のアルコール(a−23)、4価のアルコール(a−24)及び5価のアルコール(a−25)が挙げられる。
【0012】
具体的には、1価のアルコール(a−21)としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、n−ノナノール、n−デカノール、n−ウンデカノール、n−ドデカノール、n−トリデカノール、n−テトラデカノール、n−ペンタデカノール、n−ヘキサデカノール、2−ヘキシルデカノール、n−オクタデカノール、n−エイコサノール、n−ドコサノール、2−オクチルドデカノール、n−テトラコサノール、2−デシルテトラデカノール、不飽和脂肪族アルコール(オレイルアルコールなど)等が挙げられる。
【0013】
2価のアルコール(a−22)としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−、1,3−および1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−および1,8−オクタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3―ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3―プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、不飽和脂肪族ジオール(2−ブテン−1,4−ジオール、3−メチル−3−ブテン−1,2−ジオールなど)等が挙げられる。
【0014】
3価のアルコール(a−23)としては、グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、2−メチル−1,2,3−プロパントリオール、2−メチル−2,3,4−ブタントリオール、2−エチル−1,2,3−ブタントリオール、2,3,4−ペンタントリオール、2,3,4−ヘキサントリオール、4−プロピル−3,4,5−ヘプタントリオール、2,4−ジメチル−2,3,4−ペンタントリオール、ペンタメチルグリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、トリメチロールプロパン不飽和脂肪族トリオール(2−ヘキセン−1,4,5−トリオール、3−ヘキセン−1,25−トリオールなど)等が挙げられる
【0015】
4価のアルコール(a−24)としては、1,2,3,4−ブタンテトラオール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ソルビタン、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース等が挙げられる
5価のアルコール(a−25)としては、アラビトール、キシリトール、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、アロース、グロース、イドース、タロース等が挙げられる。
【0016】
1〜5価のカルボン酸(a−3)としては、1価のカルボン酸(a−31)、2価のカルボン酸(a−32)、3価のカルボン酸(a−33)、4価のカルボン酸(a−34)及び5価のカルボン酸(a−35)が挙げられる。
【0017】
具体的には、1価のカルボン酸(a−31)としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、n−オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、n−デカン酸、ネオデカン酸、バーサチック酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ベヘン酸等が挙げられる。
2価のカルボン酸(a−32)としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、リノール酸の2量化物、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられる。
3価のカルボン酸(a−33)としては、リノール酸の3量化物、アコニット酸、トリメリット酸等が挙げられる。
4価のカルボン酸(a−34)としては、マレイン酸、イタコン酸などの2量化物等が挙げられる。
5価のカルボン酸(a−35)としては、アクリル酸の5量化物等が挙げられる。
【0018】
活性水素を1〜5個含有するアミン(a−4)としては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、n−プロピルアミン、n−オクチルアミン、ラウリルアミン、オレイルアミン、ステアリルアミン、アンモニア、ジエチレントリアミン、モルホリン、ピペラジン及びアニリン等が挙げられる。
【0019】
活性水素を1〜5個含有するアミノアルコール(a−5)としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、プロパノールアミン、N、N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチル−ジエタノールアミン及びN−(β−アミノエチル)エタノールアミン等が挙げられる。
【0020】
活性水素を1〜5個含有するヒドロキシカルボン酸(a−6)としては、ひまし油脂肪酸、12−ヒドロキステアリン酸、乳酸、クエン酸及びサリチル酸等が挙げられる。
【0021】
活性水素を1〜5個含有するアミノ酸(a−7)としては、アラニン、アスパラギン酸及びグルタミン酸等が挙げられる
【0022】
(a−1)〜(a−7)のうち、高粘度基油への溶解性の観点から、好ましくは1価のアルコール(a−21)、2価のアルコール(a−22)、3価のアルコール(a−23)、1価のカルボン酸(a−31)、2価のカルボン酸(a−32)、3価のカルボン酸(a−33)及び活性水素を1〜3個含有するアミンであり、さらに好ましくは(a−21)、(a−22)、(a−23)及び活性水素を1〜3個含有するアミンである。
【0023】
式(1)中の、YはH(水素原子)、炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数2〜18のアシル基であり、化合物(A)の結晶化温度および高粘度基油への溶解性の観点から、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数8〜18のアシル基である。
【0024】
式(1)中のnは1〜5の整数であり、高粘度基油への溶解性の観点から好ましくは1〜3である。
式(1)中のfは1〜nの整数であり、fが2以上の場合、[−(AO)
i/f−Y]は同じでも異なっていてもよい。
【0025】
式(1)中のAOは、n−ブチレンオキシ基、エチレンオキシ基、1,2−プロピレンオキシ基及び1,2−ブチレンオキシ基からなる群から選ばれる1種以上のアルキレンオキシ基を表す。
【0026】
式(1)中のiはアルキレンオキシ基の平均モル数を表し1〜250の数であり、せん断安定性および粘度指数の観点から好ましくは15〜140である。すなわち、該平均モル数は、化合物(a)への平均付加モル数を意味する。
【0027】
一般式(1)中の(AO)
i/fは、(A
1O)
m/f(A
2O)
n/f(A
3O)
p/f(A
4O)
k/fで表すこともできる。
A
1Oはn−ブチレンオキシ基、A
2Oはエチレンオキシ基、A
3Oは1,2−プロピレンオキシ基、A
4Oは1,2−ブチレンオキシ基であり、mはA
1Oの平均モル数で好ましくは0〜50、nはA
2Oの平均モル数で好ましくは0〜75、更に好ましくは0〜35、pはA
3Oの平均モル数で好ましくは0〜75、更に好ましくは0〜35、kはA
4Oの平均モル数で好ましくは1〜250、更に好ましくは1〜140の数であり、アルキレンオキシ基が2種以上の場合それぞれのアルキレンオキシ基の順序は任意であり、付加形式はランダム付加でもブロック付加でもよい。
【0028】
前記アルキレンオキシ基の平均モル数において、高粘度基油への溶解性の観点から、好ましくはk/(m+n+p+k)が0.70〜1.00であり、更に好ましくは0.80〜1.00である。1.00に近いほど高粘度基油への溶解性が高くなる。
【0029】
(A)の数平均分子量(Mnと略する場合がある)は、高粘度基油への溶解性、せん断安定性及び粘度指数の観点から、好ましくは1,000〜11,000、更に好ましくは1,500〜10,000である。
また、(A)は、例えば、必要により触媒を用いて、化合物(a)にアルキレンオキサイドを付加反応して製造できる。
【0030】
なお、(A)の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、以下の条件で測定する。
<(A)の分子量の測定条件>
装置 :「Alliance」[日本ウオーターズ(株)製]
カラム :「TSK gel Super H4000」1本
「TSK gel Super H3000」1本
「TSK gel Super H2000」1本
測定温度 :40℃
試料溶液 :0.5重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量:200μl
検出装置 :屈折率検出器
標準 :POLYETHYLENE OXIDE
【0031】
(A)の溶解度パラメーター(以下、SP値と略記することがある)は、高粘度基油に対する溶解性の観点から、好ましくは8.4〜9.4(cal/cm
3)
1/2であり、更に好ましくは8.6〜9.0(cal/cm
3)
1/2である。
なお、(A)のSP値は、Fedors法(Polymer Engineering and Science,Feburuary,1974,Vol.14、No.2 P.147〜154)に記載の方法で算出される値である。
【0032】
(A)は、示差走査熱量計により測定した結晶化開始温度が−30℃以下であり、好ましくは−35℃以下、更に好ましくは−40℃以下であり、特に好ましくは−60℃以下まで検出されないものである。
結晶化開始温度が−30℃以下であると、潤滑性向上剤の貯蔵安定性が良好である。
本発明において、(A)および後述の重合体(B)の結晶化開始温度は、示差走査熱量計「UNIX(登録商標)DSC7」(PERKIN−ELMER社製)を使用し、試料5mgを、室温から50℃まで20℃/分で昇温し、50℃で5分間保持した後、10℃/分の等温速度で50℃から−60℃まで冷却したときに観測される結晶化開始温度である。
【0033】
(A)のHLB値は0.5〜6.0であり、高粘度基油への溶解性の観点から、好ましくは0.5〜5.0、さらに好ましくは0.5〜4.0である。
なお、本発明において、「HLB」とは、親水性と親油性のバランスを示す指標であり、HLB値はグリフィンのHLB(「新・界面活性剤入門」三洋化成工業株式会社発行P128)によって算出される値である。
【0034】
(A)の動粘度(40℃)は、100〜3,000mm
2/sであり、潤滑性及びハンドリング性の観点から、好ましくは100〜2,000mm
2/sである。
なお、本発明において、(A)の動粘度(40℃)は、JISK−2283(原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法)に準じて、ウベローデ粘度計で測定される値である。
【0035】
(A)が(I)数平均分子量、(II)SP値、(III)結晶化温度、(IV)HLB値および(V)動粘度の範囲の値のすべてを満たす場合は、高粘度基油に対する溶解性、潤滑性及び粘度指数等において、更に優れた効果を発揮できるという観点で好ましい。
【0036】
(A)の熱分解減少量は、耐熱性およびスラッジ量の観点から、好ましくは180℃で5.0重量%以下でありかつ300℃で90重量%以上であり、さらに好ましくは180℃で3.0重量%以下でありかつ300℃で95重量%以上である。
本発明において、(A)の熱分解減少量は、TG/DTA6200(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)を使用し、試料10mgをAir雰囲気下、10℃/分の等温速度で30℃から500℃まで加熱したときに観測される熱分解減少量である。
【0037】
本発明の潤滑性向上剤には、(A)に加えて、さらに、アルキル(メタ)アクリレートを構成単量体とする重合体(B)を含有しても良い。
前記(A)と(B)の重量比[(A)/(B)]は、好ましくは70/30〜100/0であり、潤滑性およびハンドリング性の観点から、更に好ましくは75/25〜98/2、特に好ましくは80/20〜90/10である。
【0038】
本発明における重合体(B)の構成単量体であるアルキル(メタ)アクリレート(b1)の具体例としては、アルキル基が炭素数1〜6の直鎖または分岐アルキル基である(メタ)アクリレート(b1−1)およびアルキル基が炭素数7〜24の直鎖または分岐アルキル基である(メタ)アクリレート(b1−2)が挙げられる。
(b1−1)のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−およびiso−プロピル基、n−、iso−、sec−およびt−ブチル基、n−、iso−、sec−およびneo−ペンチル基及びn−ヘキシル基等が挙げられる。
(b1−2)のアルキル基としては、n−ヘプチル基、n−およびiso−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−およびiso−ノニル基、n−およびiso−デシル基、n−およびiso−ドデシル基、n−およびiso−トリデシル基、n−およびiso−ドテトラデシル基、n−およびiso−ペンタデシル基、n−およびiso−ヘキサデシル基、n−およびiso−オクタデシル基、2−ヘキシルデシル基、n−およびiso−エイコシル基、2−オクチルドデシル基、n−およびiso−ドコシル基、n−およびiso−テトラコシル基及び2−デシルテトラデシル基等が挙げられる。
【0039】
これらの(b1−1)および(b1−2)のうち、重合体(B)の結晶化温度と高粘度基油への溶解性と粘度指数の関係から、好ましくは炭素数が1または4の直鎖アルキル基および炭素数が12〜24の分岐アルキル基で構成されていることが好ましい。
【0040】
重合体(B)はこれらの単独重合体および2種類以上を構成単量体とした共重合体が挙げられる。(B)に使用される(b1)のうち、高粘度基油への溶解性の関係から、(b1−1)と(b1−2)のモル比は好ましくは0/100〜70/30であり、更に好ましくは、特に好ましくは0/100〜50/50である。
【0041】
(B)は必要により、構成単位として、他のラジカル重合性単量体(b2)〜(b14)を含有することができる。
【0042】
水酸基含有ビニル単量体(b2);水酸基含有芳香族ビニル単量体[p−ヒドロキシスチレンなど]、ヒドロキシアルキル(炭素数2〜6)(メタ)アクリレート[2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2又は3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1−メチル−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2又は3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、など]、ポリアルキレングリコール(炭素数2〜4)モノ(メタ)アクリレート[ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(ランダム又はブロック共重合体)モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−テトラメチレングリコール(ランダム又はブロック共重合体)モノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコール−テトラメチレングリコール(ランダム又はブロック共重合体)モノ(メタ)アクリレート、など]、モノ−又はジ−ヒドロキシアルキル(炭素数1〜4)置換(メタ)アクリルアミド[N,N−ジヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド、など]、ビニルアルコール(酢酸ビニル単位の加水分解により形成される)、炭素数3〜12のアルケノール[(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−オクテノール、1−ウンデセノールなど]、炭素数4〜12のアルケンジオール[1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオールなど]、ヒドロキシアルキル(炭素数1〜6)アルケニル(炭素数3〜10)エーテル[2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテルなど]、多価(3〜8価)アルコール(アルカンポリオール、その分子内もしくは、分子間脱水物、糖類、例えばグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ジグリセリン、蔗糖)のアルケニル(炭素数3〜10)エーテル及び(メタ)アクリレート[グリセリンモノ(メタ)アクリレート、蔗糖(メタ)アリルエーテルなど]等が挙げられる。
【0043】
アミド基含有単量体(b3):(メタ)アクリルアミド、モノアルキル(メタ)アクリルアミド[窒素原子に炭素数1〜4のアルキル基が1つ結合したもの;例えばN−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド及びN−n−又はイソブチル(メタ)アクリルアミド等]、N−(N’−モノアルキルアミノアルキル)(メタ)アクリルアミド[窒素原子に炭素数1〜4のアルキル基が1つ結合したアミノアルキル基(炭素数2〜6)を有するもの;例えばN−(N’−メチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(N’−エチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(N’−イソプロピルアミノ−n−ブチル)(メタ)アクリルアミド及びN−(N’−n−又はイソブチルアミノ−n−ブチル)(メタ)アクリルアミド等]、ジアルキル(メタ)アクリルアミド[窒素原子に炭素数1〜4のアルキル基が2つ結合したもの;例えばN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド及びN,N−ジ−n−ブチル(メタ)アクリルアミド等]、N−(N’,N’−ジアルキルアミノアルキル)(メタ)アクリルアミド[アミノアルキル基の窒素原子に炭素数1〜4のアルキル基が2つ結合したアミノアルキル基(炭素数2〜6)を有するもの;例えばN−(N’,N’−ジメチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド及びN−(N’,N’−ジ−n−ブチルアミノブチル)(メタ)アクリルアミド等];N−ビニルカルボン酸アミド[N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−n−又はイソプロピオン酸アミド及びN−ビニルヒドロキシアセトアミド等]等が挙げられる。
【0044】
ニトロ基含有単量体(b4):4−ニトロスチレン等が挙げられる。
【0045】
1〜3級アミノ基含有単量体(b5):1級アミノ基含有単量体{炭素数3〜6のアルケニルアミン[(メタ)アリルアミン及びクロチルアミン等]、アミノアルキル(炭素数2〜6)(メタ)アクリレート[アミノエチル(メタ)アクリレート等]};2級アミノ基含有単量体{モノアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート[窒素原子に炭素数1〜6のアルキル基が1つ結合したアミノアルキル基(炭素数2〜6)を有するもの;例えばN−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びN−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート等]、炭素数6〜12のジアルケニルアミン[ジ(メタ)アリルアミン等]};3級アミノ基含有単量体{ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート[窒素原子に炭素数1〜6のアルキル基が2つ結合したアミノアルキル基(炭素数2〜6)を有するもの;例えばN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びN,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等]、窒素原子を有する脂環式(メタ)アクリレート[モルホリノエチル(メタ)アクリレート等]、芳香族系単量体[N−(N’,N’−ジフェニルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノスチレン、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、N−ビニルピロール、N−ビニルピロリドン及びN−ビニルチオピロリドン等]}、及びこれらの塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩及び低級アルキル(炭素数1〜8)モノカルボン酸(酢酸及びプロピオン酸等)塩等が挙げられる。
【0046】
ニトリル基含有単量体(b6):(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
【0047】
リン原子含有単量体(b7)としては、以下の単量体(b71)〜(b72)が挙げられる。
【0048】
リン酸エステル基含有単量体(b71):(メタ)アクリロイロキシアルキル(炭素数2〜4)リン酸エステル[(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート及び(メタ)アクリロイロキシイソプロピルホスフェート]及びリン酸アルケニルエステル[リン酸ビニル、リン酸アリル、リン酸プロペニル、リン酸イソプロペニル、リン酸ブテニル、リン酸ペンテニル、リン酸オクテニル、リン酸デセニル及びリン酸ドデセニル等]等が挙げられる。なお、「(メタ)アクリロイロキシ」は、アクリロイロキシ又はメタクリロイロキシを意味する。
【0049】
ホスホノ基含有単量体(b72):(メタ)アクリロイルオキシアルキル(炭素数2〜4)ホスホン酸[(メタ)アクリロイロキシエチルホスホン酸等]及びアルケニル(炭素数2〜12)ホスホン酸[ビニルホスホン酸、アリルホスホン酸及びオクテニルホスホン酸等]等が挙げられる。
【0050】
脂肪族炭化水素系単量体(b8):炭素数2〜20のアルケン(エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン及びオクタデセン等)及び炭素数4〜12のアルカジエン(ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘプタジエン及び1,7−オクタジエン等)等が挙げられる。
【0051】
脂環式炭化水素系単量体(b9):シクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ピネン、リモネン、ビニルシクロヘキセン及びエチリデンビシクロヘプテン等が挙げられる。
【0052】
芳香族炭化水素系単量体(b10):スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、4−エチルスチレン、4−イソプロピルスチレン、4−ブチルスチレン、4−フェニルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ベンジルスチレン、4−クロチルベンゼン、インデン及び2−ビニルナフタレン等が挙げられる。
【0053】
ビニルエステル、ビニルケトン類(b11):炭素数2〜12の飽和脂肪酸のビニルエステル(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル及びオクタン酸ビニル等)及び炭素数1〜8のアルキル又はアリールビニルケトン(メチルビニルケトン、エチルビニルケトン及びフェニルビニルケトン等)等が挙げられる。
【0054】
エポキシ基含有単量体(b12):グリシジル(メタ)アクリレート及びグリシジル(メタ)アリルエーテル等が挙げられる。
【0055】
ハロゲン元素含有単量体(b13):塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、塩化(メタ)アリル及びハロゲン化スチレン(ジクロロスチレン等)等が挙げられる。
【0056】
不飽和ポリカルボン酸のエステル(b14):不飽和ポリカルボン酸のアルキル、シクロアルキル及びアラルキルエステル[不飽和ジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸及びイタコン酸等)の炭素数1〜8のアルキルジエステル(ジメチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルマレエート及びジオクチルマレエート)]等が挙げられる。
【0057】
(b2)〜(b14)のうち好ましくは(b2)、(b3)、(b5)及び(b7)であり、更に好ましくは2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2又は3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N−(N’,N’−ジメチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びN,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン及び(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェートである。
【0058】
(B)を構成する(b2)〜(b14)の割合は、潤滑油の流動点の観点から、(B)の重量の基づき、それぞれ独立に好ましくは0〜10重量%であり、更に好ましくは1〜8重量%、特に好ましくは1〜5重量%である。
【0059】
(B)の重量平均分子量(以下、Mwと略記する)は、好ましくは5,000〜300,000であり、潤滑性向上剤の潤滑性能の点から、更に好ましくは10,000〜100,000である。
【0060】
なお、(B)のMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、以下の条件で測定する。
<Mwの測定条件>
装置 :「HLC−802A」[東ソー(株)製]
カラム :「TSK gel GMH6」2本
測定温度 :40℃
試料溶液 :0.5重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量:200μl
検出装置 :屈折率検出器
標準 :ポリスチレン
【0061】
(B)のSP値は、潤滑油への溶解性及び潤滑性向上剤の潤滑性の観点から、好ましくは8.8〜10.0(cal/cm
3)
1/2であり、更に好ましくは8.9〜9.6(cal/cm
3)
1/2である。
なお、(B)のSP値は、(B)を構成する単量体それぞれのSP値を前記の方法で算出し、それぞれの単量体のSP値を、構成単量体単位のモル分率に基づいて平均した値である。(B)のSP値は、使用する単量体のSP値、モル分率を適宜調整することにより例えば、8.8〜10.0(cal/cm
3)
1/2にすることができる。
【0062】
(B)は、示差走査熱量計により測定した結晶化開始温度(tb)が上限温度について例えば−15℃以下であり、好ましくは−18℃以下、更に好ましくは−20℃以下であり、下限温度について好ましくは−30℃以上、更に好ましくは−40℃以上、特に好ましくは−50℃以上、最も好ましくは−60℃以上である。結晶化開始温度が−15℃以下であると、潤滑性向上剤の貯蔵安定性が良好である。
(B)を構成する単量体(b1)のうち、好ましいのは、具体的には、メタクリル酸2−オクチルドデシル及びメタクリル酸2−デシルテトラデシル等が挙げられる。なお、(B)の結晶化開始温度は、例えば(b1)のアルキル基の長さ、重量で調整することができる。
【0063】
本発明において、(B)の結晶化開始温度は、前述のように示差走査熱量計「UNIX(登録商標)DSC7」(PERKIN−ELMER社製)を使用し、試料5mgを、室温から50℃まで20℃/分で昇温し、50℃で5分間保持した後、10℃/分の等温速度で50℃から−60℃まで冷却したときに観測される結晶化開始温度である。
【0064】
本発明の潤滑性向上剤は、更に他の添加剤を潤滑性向上剤の重量に基づいてそれぞれ5%重量以下の割合で添加してもよい。他の添加剤としては、腐食防止剤(例えばアルケニルコハク酸系防錆剤、アルケニルコハク酸のエステル系防錆剤等)、清浄剤(例えば、スルフォネート系、サリシレート系、フェネート系、ナフテネート系の無機塩等)、分散剤(例えば、アルケニルコハク酸アミド等)、抗酸化剤(ZnDTP、ジフェニルアミン系、ヒンダードフェノール等)、油性向上剤(脂肪酸、脂肪酸エステル等)、摩擦調整剤(MoDTC、MoDTP等)が挙げられる。
また、潤滑性向上剤には、潤滑性向上剤の重量を基準として、ハンドリング性の観点から、後述の潤滑油基油(C)を、好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは1〜15重量%含有していてもよい。
【0065】
<潤滑油組成物>
本発明の潤滑油組成物は潤滑性向上剤と潤滑油基油(C)とを含有する。
潤滑油基油(C)としては、グループI、グループII、グループIII及びグループIVの炭化水素油並びにエステル油等が挙げられ、これらのうち、潤滑油組成物の流動点及び粘度指数の観点から好ましくは、グループIII及びグループIVの炭化水素油並びにエステル油である。これらの基油は、1種または2種以上を配合して使用しても良い。
【0066】
本発明の潤滑性組成物は、該潤滑性向上剤を好ましくは1〜50重量%含有し、エンジン油、ギア油、ATF、CVT,トラクション油、ショックアブソーバー油及びパワーステアリング油に使用できる。
潤滑性向上剤の含有量は、エンジン油の場合には好ましくは1〜10重量%、ギア油、ATFおよびCVT油の場合には好ましくは5〜30重量%であり、この範囲で特に好ましい結果を与える。
【実施例】
【0067】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下において、「部」は重量部、「%」は重量%を示す。
【0068】
<製造例1>
温度計、撹拌機、窒素導入口を備えたSUS製耐圧反応容器に2−ヘキシルデカノール24.2重量部(0.1モル)と水酸化カリウム0.8重量部を仕込み、系内を窒素雰囲気として撹拌しながら130℃まで昇温した。130℃で3時間減圧脱水した後、耐圧滴下ロートから1,2−プロピレンオキシド(以下、POと略する)29重量部(0.5モル)と1,2−ブチレンオキシド(以下、1,2−BOと略する)252重量部(3.5モル)を、125〜130℃で10時間かけて滴下し、滴下終了から130℃で10時間重合反応を行った。反応終了後、100℃に冷却し、同温度で減圧下(0.027〜0.040MPa)で未反応のPOと1,2−BOを1時間かけて除去した。その後、90%リン酸水溶液で中和し、副成塩の処理を行い、2−ヘキシルデカノールのPO(5モル)/1,2−BO(35モル)ランダム付加物(A1)を得た。
【0069】
<製造例2>
温度計、撹拌機、窒素導入口を備えたSUS製耐圧反応容器に2−オクチルドデカノール29.8重量部(0.1モル)と水酸化カリウム0.8重量部を仕込み、系内を窒素雰囲気として撹拌しながら130℃まで昇温した。130℃で3時間減圧脱水した後、耐圧滴下ロートからPO46.4重量部(0.8モル)と1,2−BO230.4重量部(3.2モル)を、125〜130℃で10時間かけて滴下し、滴下終了から130℃で10時間重合反応を行った。反応終了後、100℃に冷却し、同温度で減圧下(0.027〜0.040MPa)未反応のPOと1,2−BOを1時間かけて除去した。その後、90%リン酸水溶液で中和し、副成塩の処理を行い、2−オクチルドデカノールのPO(8モル)/1,2−BO(32モル)ランダム付加物(A2)を得た。
【0070】
<製造例3>
温度計、撹拌機、窒素導入口を備えたSUS製耐圧反応容器に2−デシルテトラデカノール35.4重量部(0.1モル)と水酸化カリウム0.8重量部を仕込み、系内を窒素雰囲気として撹拌しながら130℃まで昇温した。130℃で3時間減圧脱水した後、耐圧滴下ロートから1,2−BO432.0重量部(6モル)を、125〜130℃で10時間かけて滴下し、滴下終了から130℃で10時間重合反応を行った。反応終了後、100℃に冷却し、同温度で減圧下(0.027〜0.040MPa)未反応の1,2−BOを1時間かけて除去した。その後、90%リン酸水溶液で中和し、副成塩の処理を行い、2−デシルテトラデカノールの1,2−BO(60モル)付加物(A3)を得た。
【0071】
<製造例4>
温度計、撹拌機、窒素導入口を備えたSUS製耐圧反応容器に2−ヘキシルデカノール24.2重量部(0.1モル)と水酸化カリウム0.8重量部を仕込み、系内を窒素雰囲気として撹拌しながら130℃まで昇温した。130℃で3時間減圧脱水した後、耐圧滴下ロートからエチレンオキシド(以下、EOと略する)8.8重量部(0.2)と1,2−BO216.0重量部(3.0モル)を、125〜130℃で10時間かけて滴下し、滴下終了から130℃で10時間重合反応を行った。反応終了後、100℃に冷却し、同温度で減圧下(0.027〜0.040MPa)未反応のEOと1,2−BOを1時間かけて除去した。その後、90%リン酸水溶液で中和し、副成塩の処理を行い、2−ヘキシルデカノールのEO(2モル)/1,2−BO(30モル)ランダム付加物(A4)を得た。
【0072】
<製造例5>
温度計、撹拌機、窒素導入口を備えたSUS製耐圧反応容器に2−デシルテトラデカノール354重量部(1モル)とテトラヒドロフラン244.8重量部(3.4モル)およびBF3・THF錯体2.5重量部を仕込み、系内を窒素雰囲気として撹拌しながら50℃に昇温し、45〜55℃で6時間反応した。その後、水酸化ナトリウム水溶液を加えて中和し、減圧化で未反応のテトラヒドロフランを回収し、さらに、副成塩を濾別した後、2−デシルテトラデカノールのn−ブチレンオキシド(n−BOと略する)付加物(3モル)付加物を得た。その後、SUS製耐圧容器に、2−デシルテトラデカノールのn−BO付加物57.0重量部(0.1モル)と水酸化カリウム0.8重量部を仕込み、系内を窒素雰囲気として撹拌しながら130℃まで昇温した。130℃で3時間減圧脱水した後、耐圧滴下ロートから1,2−BO216重量部(3モル)を、125〜130℃で10時間かけて滴下し、滴下終了から130℃で10時間重合反応を行った。反応終了後、100℃に冷却し、同温度で減圧下(0.027〜0.040MPa)未反応の1,2−BOを1時間かけて除去した。その後、90%リン酸水溶液で中和し、副成塩の処理を行い、2−デシルテトラデカノールのn−BO(3モル)/1,2−BO(30モル)ブロック付加物(A5)を得た。
【0073】
<製造例6>
温度計、撹拌機、窒素導入口を備えたSUS製耐圧反応容器に2−デシルテトラデカノール35.4重量部(0.1モル)と水酸化カリウム0.8重量部を仕込み、系内を窒素雰囲気として撹拌しながら130℃まで昇温した。130℃で3時間減圧脱水した後、耐圧滴下ロートからPO34.8重量部(0.6)と1,2−BO129.6重量部(1.8モル)を、125〜130℃で10時間かけて滴下し、滴下終了から130℃で10時間重合反応を行った。反応終了後、100℃に冷却し、同温度で減圧下(0.027〜0.040MPa)未反応のPOと1,2−BOを1時間かけて除去した。その後、40℃に冷却し、ナトリウムメトキシド(24%)メタノール溶液67.5重量部を仕込み、系内を窒素雰囲気として撹拌しながら65℃まで昇温した。65℃から85℃まで昇温しながらメタノールを常圧で留去し、その後、85℃で減圧下(0.027〜0.040MPa)5時間かけてメタノールを除去した。同温度で耐圧滴下ロートからメチルクロライド20.2重量部(0.4モル)を5時間かけて滴下し、滴下終了から5時間反応を行った。反応終了後、同温度で減圧下(0.027〜0.040MPa)未反応のメチルクロライドを1時間かけて除去した。その後、副成塩の処理を行い、2−デシルテトラデカノールのPO(6モル)/1,2−BO(18モル)ランダム付加物のメチルエーテル化物(A6)を得た。
【0074】
<製造例7>
温度計、撹拌機、窒素導入口を備えたSUS製耐圧反応容器にグリセリン9.2重量部(0.1モル)と水酸化カリウム0.8重量部を仕込み、系内を窒素雰囲気として撹拌しながら130℃まで昇温した。130℃で3時間減圧脱水した後、耐圧滴下ロートからPO17.4重量部(0.3)を125〜130℃で2時間かけて滴下し、滴下終了から130℃で5時間重合反応を行った。その後、引き続き、1,2−BO259.2重量部(3.6モル)を125〜130℃で10時間かけて滴下し、滴下終了から130℃で10時間重合反応を行った。反応終了後、100℃に冷却し、同温度で減圧下(0.027〜0.040MPa)未反応のPOと1,2−BOを1時間かけて除去した。その後、40℃に冷却し、ナトリウムメトキシド(24%)メタノール溶液202.5重量部を仕込み、系内を窒素雰囲気として撹拌しながら65℃まで昇温した。65℃から100℃まで昇温しながらメタノールを常圧で留去し、その後、100℃で減圧下(0.027〜0.040MPa)2時間かけてメタノールを除去した。その後、同温度で耐圧滴下ロートからブチルクロライド111.1重量部(1.2モル)を5時間かけて滴下し、滴下終了から10時間反応を行った。反応終了後、同温度で減圧下(0.027〜0.040MPa)未反応のブチルクロライドを1時間かけて除去した。その後、副成塩の処理を行い、グリセリンのPO(3モル)/1,2−BO(36モル)ブロック付加物のブチルエーテル化物(A7)を得た。
【0075】
<製造例8>
温度計、撹拌機、窒素導入口を備えたSUS製耐圧反応容器にグリセリン9.2重量部(0.1モル)と水酸化カリウム0.8重量部を仕込み、系内を窒素雰囲気として撹拌しながら130℃まで昇温した。130℃で3時間減圧脱水した後、耐圧滴下ロートからPO40.6重量部(0.7)と1,2−BO230.4重量部(3.2モル)を、125〜130℃で10時間かけて滴下し、滴下終了から130℃で10時間重合反応を行った。反応終了後、100℃に冷却し、同温度で減圧下(0.027〜0.040MPa)未反応のPOと1,2−BOを1時間かけて除去した。その後、40℃に冷却し、ナトリウムメトキシド(24%)メタノール溶液202.5重量部を仕込み、系内を窒素雰囲気として撹拌しながら65℃まで昇温した。65℃から85℃まで昇温しながらメタノールを常圧で留去し、その後、85℃で減圧下(0.027〜0.040MPa)2時間かけてメタノールを除去した。その後、同温度で耐圧滴下ロートからメチルクロライド60.6重量部(1.2モル)を5時間かけて滴下し、滴下終了から5時間反応を行った。反応終了後、同温度で減圧下(0.027〜0.040MPa)未反応のメチルクロライドを1時間かけて除去した。その後、副成塩の処理を行い、グリセリンのPO(7モル)/1,2−BO(32モル)ランダム付加物のメチルエーテル化物(A8)を得た。
【0076】
<製造例9>
温度計、撹拌機、窒素導入口を備えた反応容器に、ポリ1,2−ブチレングリコール(Mn2160)216重量部、イソステアリン酸56.8重量部およびジブチルスズオキサイド0.8重量部を仕込み、系内を窒素雰囲気として撹拌しながら150℃まで昇温した。次に、同温度で減圧下(0.027〜0.040MPa)、20時間反応させた。反応終了後、反応混合物を50℃に冷却し、炭酸水素ナトリウム(20重量部)を添加後、3時間撹拌した。その後、濾過処理を行い、ポリ1,2−ブチレングリコール(Mn2160)のイソステアリン酸ジエステル化物(A9)を得た。
【0077】
<製造例10>
温度計、撹拌機、窒素導入口を備えた反応容器に、製造例1で得られた2−ヘキシルデカノールのPO(5モル)/1,2−BO(35モル)ランダム付加物(A1)275重量部、イソステアリン酸28.4重量部およびジブチルスズオキサイド0.9重量部を仕込み、系内を窒素雰囲気として撹拌しながら150℃まで昇温した。次に、同温度で減圧下(0.027〜0.040MPa)、20時間反応させた。反応終了後、反応混合物を50℃に冷却し、炭酸水素ナトリウム(20重量部)を添加後、3時間撹拌した。その後、濾過処理を行い、(A1)のイソステアリン酸モノエステル化物(A10)を得た。
【0078】
<比較製造例1>
温度計、撹拌機、窒素導入口を備えたSUS製耐圧反応容器にn−デカノール15.8重量部(0.1モル)と水酸化カリウム0.8重量部を仕込み、系内を窒素雰囲気として撹拌しながら130℃まで昇温した。130℃で3時間減圧脱水した後、耐圧滴下ロートからPO46.4重量部(0.8モル)を125〜130℃で5時間かけて滴下し、滴下終了から130℃で5時間重合反応を行なった。反応終了後、さらに、1,2−BO43.2重量部(0.6モル)を、125〜130℃で10時間かけて滴下し、滴下終了から130℃で10時間重合反応を行なった。反応終了後、100℃に冷却し、同温度で減圧下(0.027〜0.040MPa)未反応のPOと1,2−BOを1時間かけて除去した。その後、90%リン酸水溶液で中和し、副成塩の処理を行い、n−デカノールのPO(8モル)/1,2−BO(6モル)ブロック付加物(HA1)を得た。
【0079】
<比較製造例2>
温度計、撹拌機、窒素導入口を備えたSUS製耐圧反応容器にn−デカノール15.8重量部(0.1モル)と水酸化カリウム0.8重量部を仕込み、系内を窒素雰囲気として撹拌しながら130℃まで昇温した。130℃で3時間減圧脱水した後、耐圧滴下ロートからPO87.0重量部(1.5モル)125〜130℃で10時間かけて滴下し、滴下終了から130℃で10時間重合反応を行なった。反応終了後、100℃に冷却し、同温度で減圧下(0.027〜0.040MPa)未反応のPOを1時間かけて除去した。その後、90%リン酸水溶液で中和し、副成塩の処理を行い、n−デカノールのPO(15モル)付加物(HA2)を得た。
【0080】
<比較製造例3>
温度計、撹拌機、窒素導入口を備えたSUS製耐圧反応容器にn−ヘキシルデカノール24.3重量部(0.1モル)と水酸化カリウム0.8重量部を仕込み、系内を窒素雰囲気として撹拌しながら130℃まで昇温した。130℃で3時間減圧脱水した後、耐圧滴下ロートからPO43.5重量部(0.75モル)と1,2−BO36.0重量部(0.5モル)を、125〜130℃で10時間かけて滴下し、滴下終了から130℃で10時間重合反応を行なった。反応終了後、100℃に冷却し、同温度で減圧下(0.027〜0.040MPa)未反応のPOと1,2−BOを1時間かけて除去した。その後、90%リン酸水溶液で中和し、副成塩の処理を行い、2−ヘキシルデカノールのPO(7.5モル)/1,2−BO(5.0モル)ランダム付加物(HA3)を得た。
【0081】
<比較製造例4>
温度計、撹拌機、窒素導入口を備えたSUS製耐圧反応容器にポリテトラメチレングリコール(Mn1000)100.0重量部、2−エチルヘキサン酸28.8重量部およびジブチルスズオキサイド0.4重量部を仕込み、系内を窒素雰囲気として撹拌しながら150℃まで昇温した。次に、同温度で減圧下(0.027〜0.040MPa)、20時間反応させた。反応終了後、反応混合物を50℃に冷却し、炭酸水素ナトリウム(20重量部)を添加後、3時間撹拌した。その後、濾過処理を行い、ポリテトラメチレングリコール(Mn1000)の2−エチルヘキサン酸ジエステル(HA4)を得た。
【0082】
上記で得られた化合物(A1)〜(A10)、比較の化合物(HA1)〜(HA4)の分析値等を表1に示す。
【0083】
【表1】
【0084】
<製造例11〜13>
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び窒素導入管及び減圧装置を備えた反応容器に、トルエン25重量部、表2に記載の単量体配合物100重量部、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.1重量部及び2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.25重量部を投入し、窒素置換(気相酸素濃度:100ppm以下)を行った後、密閉下、撹拌しながら80℃に昇温し、同温度で4時間重合反応を行った。反応終了後、80℃から130℃に昇温しながらトルエンを除去し、共重合体(B1)〜(B3)を得た。
【0085】
上記で得られた共重合体(B1)〜(B3)の分析値等を表2に示す。
【0086】
【表2】
【0087】
表2に記載の単量体(b1−1−1)、(b1−1−2)、(b1−2−1)〜(b1−2−5)及び(b5)の組成は、以下に記載した通りである。
(b1−1−1):メチルメタクリレート
(b1−1−2):n−ブチルメタクリレート
(b1−2−1):ドデシルメタアクリレート/トリデシルメタアクリレート
=60/40(wt%)(直鎖率=74%)
(b1−2−2):テトラデシルメタアクリレート/ペンタデシルメタアクリレート
=50/50(wt%)(直鎖率=80%)
(b1−2−3):n−ヘキサデシルメタアクリレート
(b1−2−4):n−オクタデシルメタアクリレート
(b1−2−5):2−デシルテトラデシルメタアクリレート
(b5) :N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート
【0088】
<潤滑性向上剤の調製>
・実施例1〜13及び比較例1〜4
表1の化合物(A1)〜(A10)及び比較の(HA1)〜(HA4)、表2に示した共重合物(B1)〜(B3)、潤滑油基油(C1)(グループIII基油)(100℃の動粘度:4.3mm
2/s、40℃の動粘度:19.5mm
2/s)を表3に示した配合組成で配合し、潤滑性向上剤(R1)〜(R13)及び比較の潤滑性向上剤(S1)〜(S4)を調製した。
【0089】
【表3】
【0090】
<実施例14〜26、比較例5〜8(潤滑油組成物−1の評価)>
撹拌装置を備えたステンレス製容器に、潤滑油基油(C2)(グループIV基油)(100℃の動粘度:4.1mm
2/s、40℃の動粘度:18.5mm
2/s、粘度指数:124)を投入し、得られる潤滑油組成物の100℃動粘度が6.20±0.02(mm
2/s)になるように、それぞれ潤滑性向上剤(R1)〜(R13)、(S1)〜(S4)を添加し、潤滑油組成物(V1)〜(V13)、(W1)〜(W4)を得た。
潤滑油組成物(V1)〜(V13)、(W1)〜(W4)の外観(25℃)、粘度指数、摩擦係数を以下の方法で測定した。結果を表4に示す。
【0091】
<実施例27〜39、比較例9〜12(潤滑油組成物−2の評価)>
撹拌装置を備えたステンレス製容器に、潤滑油基油(C3)(グループIV基油/エステル油=90/10(Vol%)(100℃の動粘度:40mm
2/s、40℃の動粘度:300mm
2/s)90重量部と、潤滑性向上剤(R1)〜(R13)、(S1)〜(S4)10重量部を添加し、潤滑油組成物(V14)〜(V26)、(W5)〜(W8)を得た。
潤滑油組成物(V14)〜(V26)、(W5)〜(W8)の外観(25℃)を以下の方法で測定した。結果を表4に示す。
【0092】
<潤滑油組成物−1および2の外観(25℃)の測定方法>
潤滑油組成物(50ml)を100mlのガラス製容器に入れ、25℃の外観を測定した。
判定 ○:均一透明
×:不均一または分離
【0093】
<潤滑油組成物の粘度指数の測定方法>
JIS−K2283の方法で測定した。
【0094】
<潤滑油組成物−1の摩擦係数の測定方法>
振動式摩擦摩耗試験器「SRV5」(オプチモール・インストラメンツ・プルーフテクニック社製)を使用し、ASTM5706に準じて、荷重200N、30℃での摩擦係数を測定した。
【0095】
【表4】
【0096】
表1〜4の結果から明らかなように、本発明の潤滑性向上剤を含有してなる潤滑油組成物(実施例14〜39)は、比較例5〜12の潤滑油組成物と比較して、外観(25℃)が均一透明であり、粘度指数向上効果が高く、摩擦係数が低く、いずれにも優れる。