【解決手段】下記ポリエーテルポリオール(A1)及び下記のポリエーテルポリオール(A2)を含むポリオール組成物(A)を含むウレタンシール材用ポリオール組成物(B)。ポリエーテルポリオール(A1):2〜4価のポリオールのアルキレンオキサイド付加物であって、水酸基価が20〜60であり、(A1)に含まれるオキシエチレン単位の含有量が(A1)の重量に基づいて0〜10重量%であり、全水酸基数に対する第1級炭素原子に結合する水酸基の含有率(1級水酸基率)70%以上のポリエーテルポリオール;(A2):2〜4価のポリオールのアルキレンオキサイド付加物であって、水酸基価が200〜1000であるポリエーテルポリオール;
ポリエーテルポリオール(A2)の含有量が、ポリエーテルポリオール(A1)の重量に基づいて10〜50重量%である請求項1記載のウレタンシール材用ポリオール組成物。
ポリイソシアネート(C)、ウレタン化触媒(D)及び請求項1〜3いずれか記載のウレタンシール材用ポリオール組成物(B)を含むポリウレタン樹脂製造用組成物の硬化物であるウレタンシール材。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のウレタンシール材用ポリオール組成物(B)は、下記ポリエーテルポリオール(A1)及び下記のポリエーテルポリオール(A2)を含むポリオール組成物(A)を含む。
ポリエーテルポリオール(A1):2〜4価のポリオールのアルキレンオキサイド付加物であって、水酸基価が20〜60であり、(A1)に含まれるオキシエチレン単位の含有量が(A1)の重量に基づいて0〜10重量%であり、全水酸基数に対する第1級炭素原子に結合する水酸基の含有率(1級水酸基率)70%以上のポリエーテルポリオール;
(A2):2〜4価のポリオールのアルキレンオキサイド付加物であって、水酸基価が200〜1000であるポリエーテルポリオール;
まず、ポリエーテルポリオール(A1)について説明する。
本発明において、ポリエーテルポリオール(A1)は、2〜4価のポリオールのアルキレンオキサイド(以下、AOと略記)付加物であって、水酸基価が20〜60であり、前記(A1)に含まれるオキシエチレン単位の含有量が(A1)の重量に基づいて0〜10重量%であり、1級水酸基含有率が70%以上のポリエーテルポリオールである。
【0009】
ポリエーテルポリオール(A1)に用いる2〜4価のポリオールとしては、2〜4個の水酸基を含有する多価アルコールが挙げられる。
【0010】
2〜4価の多価アルコールとしては、炭素数2〜20の2価アルコール、炭素数3〜20の3価アルコール、炭素数5〜20の4価アルコール等が挙げられる。炭素数2〜20の2価アルコールとしては脂肪族ジオール及び脂環式ジオールが挙げられ、脂肪族ジオールの具体例としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−及び1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のアルキレングリコール等が、脂環式ジオールの具体例としてはシクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等のシクロアルキレングリコール等が挙げられる。炭素数3〜20の3価アルコールとしては脂肪族トリオールが挙げられ、具体的にはグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ヘキサントリオール等のアルカントリオール等が挙げられる。炭素数5〜20の4価アルコールとしては脂肪族ポリオールが挙げられ、具体的にはペンタエリスリトール等のアルカンペンタオール及びジグリセリン等のアルカントリオールの分子間脱水物等が挙げられる。
これらのポリオールは2種以上を併用してもよい。
【0011】
上記ポリオールに付加させるAOとしては、炭素数2〜8のものが好ましく、例えば、エチレンオキサイド(以下、EOと略記)、プロピレンオキサイド(以下、POと略記)、1,2−、1,4−又は2,3−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイドならびにこれらの2種以上の併用が挙げられる。好ましくは、PO、EO及びその併用である。
AOを併用する場合、その付加様式は、ブロック付加であっても、ランダム付加であっても良い。
【0012】
2種以上のポリエーテルポリオール(A1)を用いる場合の水酸基の平均個数は、2〜4個である。前記(A1)の数平均官能基数が2未満であると、得られるポリウレタン樹脂の耐候性が悪くなり、4を超えると伸びが小さくなり、それぞれシール材として適さない。
ポリエーテルポリオール(A1)の官能基数は、出発物質にあたるポリオールの官能基数がこの範囲にあるものを選択することによりこの範囲とすることができる。
【0013】
(A1)の水酸基価は、20〜60、好ましくは25〜58、さらに好ましくは27〜57である。前記(A1)の水酸基価が20未満であると、得られるポリウレタン樹脂の引張強さや伸びが小さくなり、60を超えると硬くなりすぎ、それぞれシール材として適さない。
ポリエーテルポリオール(A1)の水酸基価は、付加するAOの量を調整することによりこの範囲とすることができる。
【0014】
(A1)に含まれるオキシエチレン単位の含有量は、前記(A1)の重量に基づいて0〜10重量%、好ましくは0〜8重量%、さらに好ましくは0〜3重量%である。前記(A1)に含まれるオキシエチレン単位の含有量が10重量%を超えると、得られるポリウレタン樹脂の耐水性が低くなり、シール材として適さない。
(A1)に含まれるオキシエチレン単位の含有量は、(A1)に含まれるAO付加物の重量割合と、AO付加物が有するオキシエチレン単位の重量割合から求められる。なお、AO付加物が有するオキシエチレン単位の重量割合は、AO付加物合成時のAO仕込み量と、その内のEO仕込み量の比率から求められる計算値であり、ポリエーテルポリオール(A1)に含まれるオキシエチレン単位の含有量は、付加するEOの量を調整することによりこの範囲とすることができる。
【0015】
(A1)の1級水酸基率(1級OH率)は、前記(A1)の有する全水酸基数の70%以上、好ましくは74%以上、さらに好ましくは78%以上である。前記(A1)の第1級炭素原子に結合する水酸基の数が70%未満であると、得られるポリウレタン樹脂の硬化時間が長くなってしまう。
(A1)の1級OH含有率を70%以上に高める方法としては、ポリオールへのAOの付加を、例えば特開2000−344881号公報に記載の方法[ホウ素又はアルミ含有触媒(α)の存在下にPOをα開裂させて付加する方法]で行うこと等が挙げられる。さらに1級水酸基含有率を高めたい場合は、特開2000−344881号公報に記載の方法でポリオールを製造後、そのポリオールの末端にEOを付加し、その付加モル数を高める方法等が挙げられる。
なお、ポリエーテルポリオールの末端1級水酸基含有率はNMR法(特開2000−344881号公報に記載の方法等)で測定することができる。
ポリエーテルポリオール(A1)の1級水酸基含有率は、POを付加するために使用する触媒(α)の種類を変更してα開裂するPOの比率を70%以上にすること、及びさらに末端に付加するEOの比率を調整することにより前記の範囲とすることができる。
ポリオールへのAOの付加をホウ素又はアルミ含有触媒(α)の存在下で行う場合、好ましい触媒(α)としては、トリフェニルボラン、ジフェニル−t−ブチルボラン、トリ(t−ブチル)ボラン、トリフェニルアルミニウム、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン及びトリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウムが挙げられる。
触媒の使用量は特に限定されないが、製造するAO付加物に対して0.0001〜10重量%が好ましく、さらに好ましくは0.0005〜1重量%である。
【0016】
次に、ポリエーテルポリオール(A2)について説明する。
ポリエーテルポリオール(A2)は、2〜4価のポリオールのAO付加物であって、水酸基価が200〜1000であるポリエーテルポリオールである。
ポリエーテルポリオール(A2)に用いるポリオールとしては、ポリエーテルポリオール(A1)において例示した2〜4価のアルコールと同じものが挙げられる。
【0017】
ポリエーテルポリオール(A2)に用いるポリオールに付加させるAOとしては、ポリエーテルポリオール(A1)において例示したAOと同じものが挙げられる。
【0018】
ポリエーテルポリオール(A2)の官能基数は、2〜4である。前記(A2)の数平均官能基数が2未満であると、得られるポリウレタン樹脂の硬化時間が長くなり、かつ耐候性と耐水性が悪くなり、4を超えると伸びが小さくなり、それぞれシール材として適さない。
【0019】
前記(A2)の水酸基価は、200〜1,000、好ましくは300〜900、さらに好ましくは500〜850である。前記(A2)の水酸基価が200未満であると、得られるポリウレタン樹脂の引張強さや伸びが小さくなり、1,000を超えると硬くなりすぎり、それぞれシール材として適さない。
【0020】
本発明のシール材用ポリオール組成物は、耐水性とA硬度の観点から、さらに脂肪族多価アルコール(A3)を含むことが好ましい。
この目的でポリエーテルポリオール(A1)と(A2)と併用される炭素数2〜6の脂肪族多価アルコール(A3)としては、炭素数2〜6であり少なくとも2個以上の水酸基を有する多価アルコールであり、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
これらのうち好ましいものはエチレングリコールである。これらは2種以上を併用してもよい。
【0021】
ポリオール組成物(A)における前記(A1)、(A2)及び(A3)の構成比率について説明する。
ポリエーテルポリオール(A2)の含有量は、ポリエーテルポリオール(A1)の重量に基づいて10〜50重量%、好ましくは15〜30重量%、より好ましくは20〜25重量%である。前記(A2)の含有量が、前記(A1)を基準として10〜50重量%であると、得られるポリウレタン樹脂の引張強さや伸びと硬さの両立が可能となる。
【0022】
炭素数が2〜6の脂肪族多価アルコール(A3)の含有量は、ポリエーテルポリオール(A1)の重量に基づいて0〜20重量%、好ましくは0〜15重量%、より好ましくは0〜10重量%である。前記(A3)の含有量が、前記(A1)を基準として0〜20重量%であれば、耐水性が良好である。
【0023】
ポリオール組成物(A)は、ポリウレタン化時の成形性やポリウレタン樹脂の物性に悪影響しない程度に、前記(A1)と(A2)と(A3)以外の活性水素化合物を含んでいてもよい。前記(A1)と(A2)と(A3)以外の活性水素化合物としては、特開2016−199732号公報に記載のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等が挙げられる。
前記(A)の重量に基づいて、前記(A1)と(A2)と(A3)以外の活性水素化合物の量は、好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下、特に好ましくは10重量%以下である。
【0024】
本発明のウレタンシール材は、前記のポリオール組成物(A)を含むウレタンシール材用ポリオール組成物(B)、ポリイソシアネート(C)及びウレタン化触媒(Dを含むポリウレタン樹脂製造用組成物の硬化物である。
【0025】
本発明のポリウレタン樹脂製造用組成物に用いるポリイソシアネート(C)としては、ポリウレタンの製造に使用できる公知のポリイソシアネートが用いられ、好ましいものとしては炭素数2〜18の脂肪族イソシアネート[ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等]、炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネート[イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジイソシアネート等]、前記脂肪族イソシアネートの変性物[イソシアヌレート変性物、ビューレット変性物及びウレタン変性物等]、及びこれらの2種以上の併用が挙げられる。
これらのうちより好ましいものは、イソホロンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート変性物であり、さらに好ましくはこれらの併用(特に好ましくはイソホロンジイソシアネート/イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート変性物=80/20〜20/80質量比の併用)である。
また耐侯性に悪影響を及ぼさない程度〔好ましくはポリイソシアネートの総重量に基づいて15重量%以下、特に10重量%以下〕に、芳香族ポリイソシアネート[2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(粗製MDI)、並びに2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)等]を併用してもよい。
【0026】
本発明のポリウレタン樹脂製造用組成物に用いるウレタン化触媒(D)は、3級アミン系触媒(D1)とジアルキル錫の有機酸塩の触媒(D2)が挙げられる。
3級アミン系触媒(D1)としては、トリエチレンジアミン、N−エチルモルホリン、ジエチルエタノールアミン、N、N、N’、N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−ウンデセン−7、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル(カルボン酸塩)等、ならびにこれらの2種以上の併用が挙げられる。好ましくは、トリエチレンジアミン及び/又は1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−ウンデセン−7である。
ジアルキル錫の有機酸塩の触媒(D2)としては、ジラウリル酸ジブチル第二スズ、ジオクチル酸ジブチル第二スズ等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
これらウレタン化触媒の使用量は、ポリオール組成物(B)の重量に基づいて、好ましくは、3級アミン系触媒(D1)が0.1〜5重量%、ジアルキル錫の有機酸塩の触媒(D2)が0.01〜3重量%、さらに好ましくは、3級アミンが0.3〜3.5重量%、ジアルキル錫の有機酸塩が0.05〜2重量%である。これらウレタン化触媒の使用比率(重量比)は、(3級アミン)/(ジアルキル錫の有機酸塩)が、好ましくは20/80〜99.9/0.1、さらに好ましくは40/60〜99/1、特に好ましくは60/40〜90/10である。
またウレタン化触媒として、3級アミン、ジアルキル錫の有機酸塩以外に、鉛系以外の、チタン系、及びビスマス系金属触媒等の触媒を、ウレタン化触媒中に、好ましくは50重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下併用することもできる。
【0027】
本発明のポリウレタン樹脂製造用組成物には、必要により酸化防止剤、発泡剤、及びその他の添加物を用いることができる。
必要により用いられる酸化防止剤としては公知の酸化防止剤が使用できるが、好ましいのはピペリジン系酸化防止剤及びフェノール系酸化防止剤の併用である。
ピペリジン系酸化防止剤としては、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(テトラメチルピペリジル)セバケート等、具体例として旭電化工業(株)製ADK STAB LA−77、ADK STAB LA−57、ADK STAB LA−67、ADK STAB LA−68、ADK STAB LA−94、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製Tinuvin 765、Tinuvin 144、Tinuvin 622等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、トリエチレングリコールビス−3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル−フェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等、具体例として旭電化工業(株)製ADK STAB AO−30、ADK STAB AO−40、ADK STAB AO−60、ADK STAB AO−20、住友化学工業(株)製Sumilizer BBM−S、Sumilizer GA−80、Sumilizer BHT、Sumilizer BP−76、Sumilizer BP−101等が挙げられる。
これら酸化防止剤の使用量はポリオール組成物(A)の重量に基づいて、好ましくは、ピペリジン系酸化防止剤が0.1〜2重量%、フェノール系酸化防止剤が0.1〜2重量%、さらに好ましくは、ピペリジン系酸化防止剤が0.3〜1.5重量%、フェノール系酸化防止剤が0.3〜1.5重量%、特に好ましくはピペリジン系酸化防止剤が0.5〜1.2重量%、フェノール系酸化防止剤が0.5〜1.2重量%である。これら酸化防止剤の使用比率(重量比)は、(ピペリジン系酸化防止剤)/(フェノール系酸化防止剤)が、好ましくは90/10〜10/90、さらに好ましくは80/20〜20/80、特に好ましくは70/30〜30/70である。
【0028】
必要により用いられる発泡剤としては公知の発泡剤が使用でき、水、炭酸ガス、HFC−365mfc、HFC−245fa、シクロペンタン、イソペンタン、n−ペンタン、シクロブタン及びn−ブタン等が挙げられる。これら発泡剤の使用量は、ポリオール組成物(A)の重量に基づいて、好ましくは3重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以下である。
【0029】
必要により用いられる他の添加剤としては、充填材[無機塩(炭酸カルシウム、硫酸バリウム等)、無機繊維(ガラス繊維、炭素繊維等)及びウィスカー(チタン酸カリウムウィスカー等)]、難燃剤〔リン酸エステル類、ハロゲン化リン酸エステル類(例えばクロロアルキルフォスフェート)等〕、金属キレート化剤(重金属不活性化剤ともいう)[ヒドラジド系、アミド系等]、過酸化物分解剤[リン系、硫黄系]、熱安定剤(塩酸補足剤ともいう)[金属石鹸(カルシウム系、亜鉛系)]及び整泡剤[ジメチルポリシロキサン系整泡剤(東レダウコーニングシリコーン株式会社社製「SH−200オイル」等)]が挙げられる。
これらの他の添加剤の使用量は、ポリオール組成物(A)の重量に基づいて、それぞれが好ましくは10重量%以下である。また、他の添加剤の合計使用量は、ポリオール組成物(A)の重量に基づいて、好ましくは20重量%以下である。
【0030】
本発明のポリウレタン樹脂製造用組成物において、ポリイソシアネート(C)のNCO基に由来するN原子含量を、ポリウレタン樹脂製造用組成物の重量に基づいて2.8〜4.6重量%とすると、耐候性、耐水性が良好となり好ましい。さらに好ましくは3.0〜4.4重量%、特に好ましくは3.1〜4.3重量%である。
ポリイソシアネート(C)のNCO基に由来するN原子含量は、ポリウレタン樹脂製造用組成物を得るために用いる原料の使用比率から求められる計算値である。
【0031】
本発明のポリウレタン樹脂製造用組成物に用いるポリウレタン樹脂製造用組成物において、イソシアネート指数[(NCO基数/活性水素原子数)の当量比×100]は、好ましくは70〜150、さらに好ましくは80〜130、特に好ましくは90〜120、最も好ましくは95〜110である。発泡剤である水が有する2個の水素原子も活性水素に含み、前記のイソシアネート指数の算出には水を含めるものとする。
【0032】
ポリウレタン樹脂製造用組成物は、前記(A)、ウレタン化触媒(D)、ポリイソシアネート(C)を公知の方法で混合することで得られ、混合の順序に制限はないが、ポリオール成分(A)、ウレタン化触媒(D)を含むポリオール混合物を作製し、得られたポリオール混合物とポリイソシアネート(C)とを混合する工程を行うことによってポリウレタン樹脂製造用組成物を得ることが好ましい。
【0033】
ポリオール組成物(A)、ウレタン化触媒(D)の混合、及びポリオール混合物とポリイソシアネート(C)との混合は、公知の方法で行うことが出来る。
【0034】
本発明のポリウレタン樹脂製造用組成物は、ウレタンシール材用ポリオール組成物(B)とポリイソシアネート(C)とウレタン化触媒(D)を含む。
このポリウレタン樹脂製造用組成物の製造法の具体例を示せば、下記の通りである。まず、ポリオール組成物(A)、ウレタン化触媒(D)、必要によりカーボン粒子、酸化防止剤、発泡剤、他の添加物を所定量混合する。
次いで、ポリウレタン低圧もしくは高圧注入発泡機、又は撹拌機を使用して、この混合物(ポリオール成分)とポリイソシアネート(C)とをそれぞれ液温が15〜60℃で急速混合し、ポリウレタン樹脂製造用組成物を得ることができる。
【0035】
本発明のウレタンシール材は前記のポリウレタン樹脂製造用組成物の硬化物である。
本発明のシール材の製造方法は、ポリウレタン樹脂製造用組成物を金型中で反応させる工程を含み、さらにポリウレタン樹脂製造用組成物を金型に注入する工程を含み、前記の注入する工程の後に金型中でポリウレタン樹脂製造用組成物を反応させて硬化する工程を行うことが好ましい。
本発明の製造方法に用いる金型としては、目的に応じて公知の金型を用いることができる。また、ポリウレタン樹脂製造用組成物を金型に注入する工程は、公知の注入機等を用いることができ、金型中でのポリウレタン樹脂製造用組成物の反応は金型を必要に応じて加熱する等の公知の反応方法により行うことができる。
【0036】
本発明のシール材は前記のポリウレタン樹脂製造用組成物の硬化物からなるウレタンシール材であり、シール材の製造法の具体例を示せば、下記の通りである。一体成型をする対象物(ガラス、鉄板等)を挿入した型(密閉系型枠、金属製又は樹脂製)内でウレタン化反応(15〜125℃)を行わせ、所定時間(0.2分〜5分)硬化後に型から取り出すことで、前記ポリウレタン樹脂からなるシール材を得ることができる。
【実施例】
【0037】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
【0038】
<実施例1〜12および比較例1〜6>
表1に示した配合処方に従って、ポリウレタン樹脂組成物を成形した。
高圧発泡機(PEC社製mini−RIM機)を用いて表1に示すポリオール成分とイソシアネート成分を混合し、200×200×3mmの密閉モールドおよびガラス一体成形の密閉テストモールドに注入成形した。このとき各成分の液温は30℃、型温は95℃であった。ポリウレタン樹脂の硬化性と得られたポリウレタン樹脂の物性を表1に示す。
【0039】
< 使用原料の記号の説明>
・ポリエーテルポリオール(A1)
(A1−1):グリセリン1モルにトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを触媒として、PO85モルを付加して得られたグリセリンのPOブロック付加物(数平均官能基数3、水酸基価33.5 、1級OH化率70%)
(A1−2):グリセリン1モルにトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを触媒として、PO50モルを付加して得られたグリセリンのPOブロック付加物(数平均官能基数3、水酸基価56.1、1級OH化率70%)
(A1−3):ペンタエリスリトール1モルにトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを触媒として、PO88モルを付加し、次いでEO10モルを付加させて得られたペンタエリスリトールのPO−EOブロック付加物(数平均官能基数4、水酸基価39.3 、EO単位含有量8重量%、1級OH化率85%)
(A1−4):ペンタエリスリトール1モルにトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを触媒として、PO56モルを付加し、次いでEO8.5モルを付加させて得られたペンタエリスリトールのPO−EOブロック付加物(数平均官能基数4、水酸基価60.0 、EO単位含有量10重量%、1級OH化率83% )
・ポリオールのうち(A1) 以外のもの(A1’)
(A1’−1):グリセリン1モルに水酸化カリウムを触媒として、EO9.5モル付加し、次いでPO78モル付加し、次いでEO27モルを付加し、常法により水酸化カリウムを除去して得られたグリセリンのEO−PO−EOブロック付加物(数平均官能基数3、水酸基価28.0 、EO単位含有量27重量%、1級OH化率85% )
(A1’−2):グリセリン1モルに水酸化カリウムを触媒として、PO46モル付加し、次いでEO5.5モルを付加し、常法により水酸化カリウムを除去して得られたグリセリンのPO−EOブロック付加物(数平均官能基数3、水酸基価56.1 、EO単位含有量8重量%、1級OH化率56% )
(A1’−3):ペンタエリスリトール1モルにトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを触媒として、PO30モルを付加し得られたペンタエリスリトールのPOブロック付加物(数平均官能基数4、水酸基価116 、1級OH化率70%)
(A1’−4):アリルアルコール1モルにトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを触媒として、PO30モルを付加し得られたアリルアルコールのPOブロック付加物(数平均官能基数1、水酸基価31 、1級OH化率70%)
【0040】
・ポリエーテルポリオール(A2)
(A2−1):グリセリン1モルに水酸化カリウムを触媒として、EO2.5モルを付加し、常法により水酸化カリウムを除去して得られたグリセリンのEO付加物(数平均官能基数3、水酸基価841 、1級OH化率70% )
(A2−2):グリセリン1モルに水酸化カリウムを触媒として、PO2.7モルを付加し、常法により水酸化カリウムを除去して得られたグリセリンのPO付加物(数平均官能基数3、水酸基価670 、1級OH化率2% )
(A2−3):グリセリン1モルに水酸化カリウムを触媒として、EO11.5モルを付加し、常法により水酸化カリウムを除去して得られたグリセリンのEO付加物(数平均官能基数3、 水酸基価280、1級OH化率95% )
(A2−4):エチレンジアミン1モルに触媒を使用せず、EO4モルを付加して得られたエチレンジアミンのEO付加物(数平均官能基数2、水酸基価940 、1級OH化率100%)
・ポリオールのうち(A2) 以外のもの(A2’)
(A2’−1) :グリセリン1モルに水酸化カリウムを触媒として、PO25モルを付加し、常法により水酸化カリウムを除去して得られたグリセリンのPO付加物(数平均官能基数3、水酸基価112 、1級OH化率2% )
【0041】
・脂肪族多価アルコール(A3)
(A3−1):エチレングリコール
(A3−2):トリメチロールプロパン
なお、各試薬等の購入先は下記の通りである。
グリセリン:阪本薬品工業(株)「精製グリセリン」
ペンタエリスリトール:広栄化学工業(株)
エチレンジアミン: 東ソー(株)
水酸化カリウム:東亞合成(株)
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン:(株)日本触媒
エチレングリコール:(株)日本触媒
トリメチロールプロパン:三菱ガス(株)
【0042】
・ポリイソシアネート成分(C)
(C−1): 「VESTANATIPDI」イソホロンジイソシアネート〔ダイセルヒュルス(株)製〕
(C−2):「VESTANATT−1890」イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート変性物〔ダイセルヒュルス(株)製〕
・3級アミン系触媒(D1)
(D1−1):「DBU」1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−ウンデセン−7〔サンアプロ(株)製〕
・ジアルキル錫の有機酸塩触媒(D2)
(D2−1):「ネオスタンU−100」ジブチル錫ジラウレート〔日東化成(株)製〕
・カーボンブラック(E)
(E−1):「フジVLブラック」黒トナー〔富士色素(株)製〕
酸化防止剤(F)
(F−1): 「イルガノックス245」トリエチレングリコールビス− 3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル−フェニル)プロピオネート〔チバ・スペシャリティ・ケミカル(株)製〕
(F−2): 「ADK STAB LA−77」ビス(テトラメチルピペリジル)セバケート〔旭電化工業(株)製〕
【0043】
評価方法
<脱型可能時間(分)>
テストモールドにて、変形、表層剥離、破れ等の不良なく脱型できる注入からの最短時間を測定した。10分で硬化しない場合は「硬化せず」とした。
<浸水試験結果を体積変化>
ポリウレタン樹脂を所定の温度(4℃、25℃、40℃)にて7日間水に浸し、浸水前後の体積変化を測定する。ポリウレタン樹脂片の試験前の大きさは50×20×0.5mmとした。
<密度(kg/m
3)>
<A硬度>
JIS K7125(1986)に準拠。
<引張強さ(MPa )>
JIS K6301(1995)に準拠。
<破断伸び(% )>
JIS K6301 (1995)に準拠。
【0044】
【表1】
【0045】
表1から明らかなように、本発明のポリウレタン樹脂は、脱型可能時間が短く耐水性の優れた成形品を得ることができる。