【実施例】
【0036】
第一基材の片面に、電界紡糸法によってナノファイバーからなる中間繊維層を直接吹付形成し、その後に中間繊維層上にフレームラミネートにより第二基材を溶着して以下の各実施例のウイルス除去用フィルターを作成した。なお、中間繊維層のナノファイバーの径は、透過型もしくは走査型電子顕微鏡(TEM/SEM)による直径・長さの分布測定により測定した。また、中間繊維層の目付量は試料の質量を測定し、平方メートル当たりに換算した。
【0037】
・実施例1
第一基材:除膜された軟質スラブポリウレタン発泡体(ポリエステル系)、密度0.075g/cm
3、セル数80個/25mm、品名;MF−80A、イノアックコーポレーション製、厚み1.5mm
第二基材:第一基材の除膜された軟質スラブポリウレタン発泡体(ポリエステル系)を厚み1mmとしたもの
中間繊維層:ポリウレタンナノファイバー、径;466nm、目付量;0.13g/m
2
ポリウレタン樹脂をDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)中に溶解させてポリウレタン樹脂溶液を調製した。この溶液をニードルシリンジへ入れ、印加電圧20KV、ノズル径0.4mm、室温大気圧下にて、ノズルから15cmの距離の金属コレクタ上に取り付けた第一基材の上へ吐出し、電解紡糸装置により、第一基材と中間繊維層を積層した。また、積層された第一基材と中間繊維層に、第二基材を積層する。太陽理化工業株式会社の火炎熔着装置を用いた。
【0038】
・実施例2
第一基材:実施例1と同一
第二基材:実施例1と同一
中間繊維層:ポリウレタンナノファイバー、径;531nm、目付量;0.25g/m
2
ポリウレタン樹脂をDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)中に溶解させてポリウレタン樹脂溶液を調製した。この溶液をニードルシリンジへ入れ、印加電圧20KV、ノズル径0.4mm、室温大気圧下にて、ノズルから15cmの距離の金属コレクタ上に取り付けた第一基材の上へ吐出し、電解紡糸装置により、第一基材と中間繊維層を積層した。また、上記積層された第一基材と中間繊維層に、第二基材を積層する。太陽理化工業株式会社の火炎熔着装置を用いた。
【0039】
・実施例3
第一基材:実施例1と同一
第二基材:実施例1と同一
中間繊維層:ポリウレタンナノファイバー、径;443nm、目付量;0.35g/m
2
ポリウレタン樹脂をDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)中に溶解させてポリウレタン樹脂溶液を調製した。この溶液をニードルシリンジへ入れ、印加電圧20KV、ノズル径0.4mm、室温大気圧下にて、ノズルから15cmの距離に設置した金属コレクタ上に取り付けた第一基材の上へ吐出し、電解紡糸装置により、第一基材と中間繊維層を積層した。また、上記積層された第一基材と中間繊維層に、第二基材を積層する。太陽理化工業株式会社の火炎熔着装置を用いた。
【0040】
・実施例4
第一基材:実施例1と同一材質で厚み2.0mm
第二基材:実施例1と同一
中間繊維層:ポリウレタンナノファイバー、径;449nm、目付量;0.14g/m
2
ポリウレタン樹脂をDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)中に溶解させてポリウレタン樹脂溶液を調製した。この溶液をニードルシリンジへ入れ、印加電圧20KV、ノズル径0.4mm、室温大気圧下にて、ノズルから15cmの距離に設置した金属コレクタ上に取り付けた第一基材の上へ吐出し、電解紡糸装置により、第一基材と中間繊維層を積層した。また、上記積層された第一基材と中間繊維層に、第二基材を積層する。太陽理化工業株式会社の火炎熔着装置を用いた。
【0041】
・実施例5
第一基材:除膜された軟質スラブポリウレタン発泡体(ポリエステル系)、密度0.09g/cm
3、セル数105個/25mm、品名;MF−DS、イノアックコーポレーション製、厚み1.5mm
第二基材:第一基材の除膜された軟質スラブポリウレタン発泡体(ポリエステル系)を厚み1mmとしたもの
中間繊維層:ポリウレタンナノファイバー、径;458nm、目付量;0.28g/m
2
ポリウレタン樹脂をDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)中に溶解させてポリウレタン樹脂溶液を調製した。この溶液をニードルシリンジへ入れ、印加電圧20KV、ノズル径0.4mm、室温大気圧下にて、ノズルから15cmの距離に設置した金属コレクタ上に取り付けた第一基材の上へ吐出し、電解紡糸装置により、第一基材と中間繊維層を積層した。また、上記積層された第一基材と中間繊維層に、第二基材を積層する。太陽理化工業株式会社の火炎熔着装置を用いた。
【0042】
・実施例6
第一基材:除膜された軟質スラブポリウレタン発泡体(ポリエステル系)、密度0.03g/cm
3、セル数60個/25mm、品名;MF−60、イノアックコーポレーション製、厚み1.5mm
第二基材:第一基材の除膜された軟質スラブポリウレタン発泡体(ポリエステル系)を厚み1mmとしたもの
中間繊維層:ポリウレタンナノファイバー、径;317nm、目付量;0.19g/m
2
ポリウレタン樹脂をDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)中に溶解させてポリウレタン樹脂溶液を調製した。この溶液をニードルシリンジへ入れ、印加電圧20KV、ノズル径0.4mm、室温大気圧下にて、ノズルから15cmの距離に設置した金属コレクタ上に取り付けた第一基材の上へ吐出し、電解紡糸装置により、第一基材と中間繊維層を積層した。また、上記積層された第一基材と中間繊維層に、第二基材を積層する。太陽理化工業株式会社の火炎熔着装置を用いた。
【0043】
・実施例7
第一基材:除膜された軟質スラブポリウレタン発泡体(ポリエーテル系)、密度0.025g/cm
3、セル数40個/25mm、品名;EL−62、イノアックコーポレーション製、厚み1.5mm
第二基材:第一基材の除膜された軟質スラブポリウレタン発泡体(ポリエーテル系)を厚み1mmとしたもの
中間繊維層:ポリプロピレンナノファイバー、径;503nm、目付量;0.11g/m
2
ポリウレタン樹脂をDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)中に溶解させてポリウレタン樹脂溶液を調製した。この溶液をニードルシリンジへ入れ、印加電圧20KV、ノズル径0.4mm、室温大気圧下にて、ノズルから15cmの距離に設置した金属コレクタ上に取り付けた第一基材の上へ吐出し、電解紡糸装置により、第一基材と中間繊維層を積層した。また、上記積層された第一基材と中間繊維層に、第二基材を積層する。太陽理化工業株式会社の火炎熔着装置を用いた。
【0044】
・実施例8
第一基材:連続気泡ポリエチレン発泡体、密度0.03g/cm
3、セル数35個/25mm、厚み1.5mm、品名;P・Eライト、イノアックコーポレーション製
第二基材:第一基材の連続気泡ポリエチレン発泡体を厚み1mmとしたもの
中間繊維層:ポリウレタンナノファイバー、径;448nm、目付量;0.20g/m
2
ポリウレタン樹脂をDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)中に溶解させてポリウレタン樹脂溶液を調製した。この溶液をニードルシリンジへ入れ、印加電圧20KV、ノズル径0.4mm、室温大気圧下にて、ノズルから15cmの距離に設置した金属コレクタ上に取り付けた第一基材の上へ吐出し、電解紡糸装置により、第一基材と中間繊維層を積層した。また、上記積層された第一基材と中間繊維層に、第二基材を積層する。太陽理化工業株式会社の火炎熔着装置を用いた。
【0045】
以下の比較例を作成した。
・比較例1
ポリオレフィンからなるメルトブローン製マイクロウェッブ不織布層を中間層とし、中間層の両面をスパンボンド製不織布で積層された市販品のSMS不織布マスク、総厚み0.6mm、繊維径;7.9μmを用いた。
【0046】
・比較例2
実施例1の第一基材で用いた、除膜された軟質スラブポリウレタン発泡体(ポリエステル系)、密度0.075g/cm
3、セル数80個/25mm、品名;MF−80A、イノアックコーポレーション製を、厚み2mmとした単層で構成した。
【0047】
・比較例3
実施例1の第一基材で用いた、除膜された軟質スラブポリウレタン発泡体(ポリエステル系)、密度0.075g/cm
3、セル数80個/25mm、品名;MF−80A、イノアックコーポレーション製を、厚み8mmにし、熱プレスで厚み2mmにした単層で構成した。
【0048】
・比較例4
実施例1の第一基材で用いた、除膜された軟質スラブポリウレタン発泡体(ポリエステル系)、密度0.075g/cm
3、セル数80個/25mm、品名;MF−80A、イノアックコーポレーション製、厚み2mmを基材とし、その基材の片面に、ポリオレフィンマイクロファイバー、径;7.8μm、目付量;48g/m
2を、電界紡糸法により直接吹付形成した。
【0049】
・比較例5
実施例1の第一基材で用いた、除膜された軟質スラブポリウレタン発泡体(ポリエステル系)、密度0.075g/cm
3、セル数80個/25mm、品名;MF−80A、イノアックコーポレーション製、厚み2mmを基材とし、その基材の片面に、ポリオレフィンマイクロファイバー、径;8.0μm、目付量;135g/m
2を、電界紡糸法により直接吹付形成した。
【0050】
前記各実施例及び各比較例に対して、BFE捕集率(%)、通気度(cm
3・cm
2・sec)、剛性、伸び(%)を測定した。
BFE捕集率(%)の測定方法は、JIS L1912:1997(付属書)(医療用不織布試験方法)である。
通気度はJIS L1096 8.26.1 A法(フラジール法)にしたがい、伸びはJIS K 6400−5、伸びの求め方にしたがい測定した。
測定結果及び評価を表1に示す
【0051】
【表1】
【0052】
実施例1〜実施例8は、BFE捕集率が65〜92%、通気度が30〜95cm
3/cm
2・secの範囲に入っており、BFE捕集率及び通気性の何れも良好であった。また、伸びが180〜421%と良好であった。
【0053】
上記のように、各実施例のウイルス除去用フィルターは、十分な通気性があって、かつウイルス除去性能を有するものであり、伸びも良好であり、マスクを構成した場合に、長時間使用しても息苦しさが少なく、かつウイルス除去能力を有するものである。
【0054】
一方、マイクロファイバー不織布の積層からなる比較例1は、BFE捕集率については高かったが、通気度が低く、伸びも低かった
除膜された軟質スラブポリウレタン発泡体の単層からなる比較例2は、BFE捕集率が低かった。
除膜された軟質スラブポリウレタン発泡体を熱プレスした比較例3は、BFE捕集率が、47.7%の中程度であり、通気度も低かった。
除膜された軟質スラブポリウレタン発泡体にマイクロファイバーが目付量48g/m
2で積層された比較例4は、BFE捕集率が、49.5%の中程度であり、剛性も低かった。
除膜された軟質スラブポリウレタン発泡体にマイクロファイバーが目付量135g/m
2で積層された比較例5は、BFE捕集率が高いが、通気度が低かった。
上記のように、各比較例は、BFE捕集率が低かったり、通気生が低かったりしており、BFE捕集率及び通気性の両方共高い比較例は無かった。