【0012】
2.めっき層
めっき層の材料は、特に限定されないが、金、銀、銅、スズ、クロム、ニッケル、これらの一つ以上を主とする合金を例示できる。
めっき層の色調は、特に限定されず、前記材料の選択や合金組成の調整等により任意の色調を選択できる。
めっきの艶調は、特に限定されず、光沢めっき、無光沢めっき、サテン調めっき(半光沢梨地)等を任意に選択できる。光沢めっきであれば華美な外観とすることができ、無光沢めっきであれば落ち着いた外観とすることができる。
めっき層は、単層でも複数層(例えば下地めっき層と仕上げめっき層)でもよい。
めっき加工の方法は、特に限定されないが、電気めっき、無電解めっき等を例示できる。
【実施例】
【0015】
以下、本発明を具体化した装飾品の実施例について説明する。なお、実施例で記す材料、構成、数値は例示であって、適宜変更できる。
【0016】
図1に示す実施例1は、置物等として使用される装飾品1であって、目的の装飾品形状である折り鶴形状(三次元形状)に折り曲げられた金属網2と、金属網2にその開目が埋まらない程度に付着しためっき層4とからなる。折り曲げ前の金属網2は、
図1(b)に示すように、線径0.05mmの丹銅製の線材3が200メッシュに平織され、一辺180mmの正方形に切り出されたものである。めっき層4は、下地めっき層としてのニッケルめっき層と、仕上めっき層としての光沢金めっき層とからなる。めっき層4は、
図1(c)に示すように、金属網2を構成する線材3及び線材3どうしの交差部を包むように付着している。
【0017】
この装飾品1は、次の工程順で製造した。
(1)前記金属網2を、一般的な折り紙細工による折り鶴と同じ折り方で折り曲げて、折り鶴形状に賦形した。
(2)スルファミン酸ニッケルを主成分とするニッケルめっき液に、賦形した金属網2(陰極)と陽極を浸漬して通電し、金属網2に電解めっき加工してその開目が埋まらない程度にニッケルめっき層を電着させた。
(3)シアン化金カリウムを主成分とする金めっき液に、賦形した金属網2(陰極)と陽極を浸漬して通電し、金属網2(ニッケルめっき層上)に電解めっき加工してその開目が埋まらない程度に光沢金めっき層を電着させた。
【0018】
実施例1により、次の作用効果が得られた。
(ア)金属網2を手だけで折り曲げることにより目的の三次元形状(折り鶴形状)を簡単に賦形することができ、ハンダ付けやリベット止めを必要としなかった。
(イ)賦形後の金属網2にめっき加工すると、めっき層4は金属網2を構成する線材3及び線材3どうしの交差部を包むように付着した。このめっき層4により線材3が強化されると共に線材3が互いに拘束されるので、賦形した三次元形状を全体的に固めることができ、外力による変形を防止することができた。
(ウ)仕上めっき層として光沢金めっき層を選択したので、華美な光沢金色の外観特性を付与することができた。
(エ)金属網2の開目が埋まらない程度に付着しためっき層4としたことによって、装飾品1の表面には金属網特有の微細な格子状凹凸が残り、また、開目に残る貫通孔が光を通すので、金属網2の質感が残る外観特性を付与することができた。
【0019】
図2に示す実施例2は、置物等として使用される装飾品1であって、目的の装飾品形状である折り兎形状(三次元形状)に折り曲げられた金属網2と、金属網2にその開目が埋まらない程度に付着しためっき層4とからなる。折り曲げ前の金属網2は、
図2(b)に示すように、線径0.3mmのステンレス鋼製の線材3が40メッシュに平織され、一辺180mmの正方形に切り出されたものである。めっき層4は、下地めっき層としてのニッケルめっき層と、仕上めっき層としての銅めっき層からなるものである。めっき層4は、
図2(c)に示すように、金属網2を構成する線材3及び線材3どうしの交差部を包むように付着している。
【0020】
この装飾品1は、次の工程順で製造した。
(1)前記金属網2を、一般的な折り紙細工による折り鶴と同じ折り方で折り曲げて、折り兎形状に賦形した。
(2)実施例1と同様にニッケルめっき液に、賦形した金属網2(陰極)と陽極を浸漬して通電し、金属網2に電解めっき加工してその開目が埋まらない程度にニッケルめっき層を電着させた。
(3)硫酸銅を主成分とする銅めっき液に、賦形した金属網2(陰極)と陽極を浸漬して通電し、金属網2(ニッケルめっき層上)に電解めっき加工してその開目が埋まらない程度に無光沢銅めっき層を電着させた。
【0021】
実施例2により、次の作用効果が得られた。
(ア)金属網2は(実施例1よりも硬いが)工具を使って折り曲げることにより目的の三次元形状(折り兎形状)を簡単に賦形することができ、ハンダ付けやリベット止めを必要としなかった。
(イ)賦形後の金属網2にめっき加工すると、めっき層4は金属網2を構成する線材3及び線材3どうしの交差部を包むように付着した。このめっき層4により線材3が強化されると共に線材3が互いに拘束されるので、賦形した三次元形状を全体的に固めることができ、外力による変形を防止することができた。
(ウ)仕上めっき層として無光沢銅めっき層を選択したので、落ち着いた銅色の外観特性を付与することができた。
(エ)金属網2の開目が埋まらない程度に付着しためっき層4としたことによって、装飾品1の表面には金属網特有の微細な格子状凹凸が残り、また、開目に残る貫通孔が光を通すので、金属網2の質感が残る外観特性を付与することができた。
【0022】
なお、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することができる。
(1)実施例の電解めっき加工を無電解めっき加工とすること。例えば、硫酸ニッケルと次亜リン酸ナトリウムを主成分とする無電解めっき液に、賦形した金属網2を浸漬し、無電解めっき加工してその開目が埋まらない程度にニッケル−リンめっき層を付着させることができる。