【解決手段】本発明は、手振れ補正用レンズ(16)を移動させるためのアクチュエータ(10)であって、固定部(12)と、手振れ補正用レンズが取り付けられ、光軸に直交する平面内で移動可能に支持された可動部(14)と、可動部を駆動するための駆動手段(20, 22)と、固定部又は可動部の一方に設けられ、内部に磁性流体を保持した磁性流体保持部(46)と、固定部又は可動部の他方から、磁性流体保持部に保持された磁性流体の中に延びるように設けられた延出部(42)と、駆動手段を制御して可動部を移動させ、手振れを補正する手振れ補正制御を実行すると共に、磁性流体に磁気を作用させることにより、磁性流体の粘性を変化させ、可動部の係止及び解除を実行する制御装置(36)と、を有することを特徴としている。
さらに、上記磁性流体保持部に保持された上記磁性流体に磁気を及ぼすことにより、上記磁性流体の粘性を高くし、上記延出部が上記磁性流体によって保持されるように配置された保持用マグネットと、上記磁性流体の粘性を低下させることにより、上記延出部を保持する力が弱くなるように、上記保持用マグネットが生成する磁気を打ち消し可能に配置された係止制御用コイルと、を有し、上記制御装置は、上記可動部の係止を解除する際、上記保持用マグネットの磁気の少なくとも一部が打ち消されるように上記係止制御用コイルに電流を流す請求項1記載のアクチュエータ。
上記保持用マグネットは、上記固定部又は上記可動部から上記磁性流体の中に延びている上記延出部に概ね直交する方向の磁力線を、上記磁性流体の中に形成するように配置されている請求項2記載のアクチュエータ。
上記保持用マグネットは、上記磁性流体の中に延びている上記延出部の両側に異なる磁極が対向するように配置され、上記係止制御用コイルは、上記保持用マグネットの磁極と上記延出部との間に夫々配置されている請求項3記載のアクチュエータ。
上記保持用マグネットは、上記固定部又は上記可動部から上記磁性流体の中に延びている上記延出部の周囲に、概ね放射方向の磁力線が上記磁性流体の中に形成されるように配置されている請求項2記載のアクチュエータ。
上記保持用マグネットは、上記固定部又は上記可動部から上記磁性流体の中に延びる上記延出部の延長線上に配置され、上記係止制御用コイルは、上記延出部の周囲を取り囲むように配置されている請求項5記載のアクチュエータ。
上記制御装置は、上記手振れ補正制御の実行中において、上記係止制御用コイルに電流を流し、上記保持用マグネットが生成する磁気を弱めることにより、上記可動部の動きにダンピングを与えるように構成されている請求項2乃至6の何れか1項に記載のアクチュエータ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
(カメラの構成)
添付図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。まず、
図1乃至
図4を参照して、本発明の第1実施形態によるカメラを説明する。
図1は本発明の第1実施形態によるカメラの断面図である。
【0013】
図1に示すように、本発明の実施形態のカメラ1は、レンズユニット2と、カメラ本体4と、を有する。レンズユニット2は、レンズ鏡筒6と、このレンズ鏡筒の中に配置された複数のレンズ8と、手振れ補正用レンズ16を所定の平面内で移動させる手振れ補正用のアクチュエータ10と、レンズ鏡筒6の振動を検出する振動検出手段であるジャイロ34と、を有する。
【0014】
本発明の実施形態のカメラ1は、ジャイロ34によって振動を検出し、検出された振動に基づいてアクチュエータ10を作動させて手振れ補正用レンズ16を移動させ、カメラ本体4内の撮像素子面4aに合焦される画像を安定化させている。本実施形態においては、ジャイロ34として、圧電振動ジャイロを使用している。なお、本実施形態においては、手振れ補正用レンズ16は、1枚のレンズによって構成されているが、画像を安定させるためのレンズは、複数枚のレンズ群であっても良い。本明細書において、手振れ補正用レンズとは、画像を安定させるための1枚のレンズ及びレンズ群を含むものとする。
【0015】
レンズユニット2は、カメラ本体4に取り付けられ、入射した光を撮像素子面4aに結像させるように構成されている。概ね円筒形のレンズ鏡筒6は、内部に複数のレンズ8を保持しており、一部のレンズ8を移動させることによりピント調整を可能としている。
【0016】
(アクチュエータの構成)
次に、
図2乃至
図4を参照して、本発明の第1実施形態による手振れ補正用のアクチュエータ10を説明する。
図2はアクチュエータ10の分解斜視図である。
図3はアクチュエータ10の係止機構を拡大して示す斜視図である。
【0017】
図2に示すように、アクチュエータ10は、レンズ鏡筒6内に固定された固定部である固定板12と、この固定板12に対して並進移動及び回転移動可能に支持された可動部である移動枠14と、この移動枠14を固定板12に対して支持する可動部支持機構である3つのスチールボール18と、を有する。固定板12及び移動枠14は互いに平行に配置されている。
【0018】
さらに、
図2に示すように、アクチュエータ10は、固定板12に対を為すように取り付けられた第1駆動用マグネット22a、第2駆動用マグネット22b及び第3駆動用マグネット22cを有する。また、アクチュエータ10は、移動枠14に取り付けられた第1駆動用コイル20a、第2駆動用コイル20b、及び第3駆動用コイル20cと、各駆動用コイル20a、20b、20cの内側に夫々配置された第1、第2、第3位置検出素子である第1磁気センサ24a、第2磁気センサ24b、第3磁気センサ24cと、を有する。
【0019】
なお、固定板12に取り付けられた第1駆動用マグネット22aは、移動枠14に取り付けられた第1駆動用コイル20aに対向するように配置されている。同様に、第2駆動用マグネット22bは第2駆動用コイル20bに対向するように配置され、第3駆動用マグネット22cは第3駆動用コイル20cに対向するように配置されている。なお、本実施形態において、第1駆動用マグネット22aと第1駆動用コイル20aの対、第2駆動用マグネット22bと第2駆動用コイル20bの対、及び第3駆動用マグネット22cと第3駆動用コイル20cの対は、夫々第1乃至第3駆動手段として機能する。
【0020】
さらに、
図1に示すように、アクチュエータ10は、ジャイロ34によって検出された振動と、第1、第2、第3磁気センサ24a、24b、24cによって検出された移動枠14の位置情報に基づいて、第1、第2、第3駆動用コイル20a、20b、20cに流す電流を制御する制御装置であるコントローラ36を有する。
【0021】
アクチュエータ10は、レンズ鏡筒6に固定された固定板12に対し、移動枠14を、撮像素子面4aに平行な平面内で並進移動させ、これにより移動枠14に取り付けられた手振れ補正用レンズ16を移動させてレンズ鏡筒6が振動した場合にも撮像素子面4aに結像される像が乱れることがないように駆動される。
【0022】
次に、
図2に示すように、固定板12は概ねドーナツ板状の形状を有し、その中に駆動用マグネット22a、22b、22cが夫々埋め込まれている。これらの駆動用マグネットは、その中心が、レンズユニット2の光軸A(
図1)を中心とする円の円周上にそれぞれ配置されている。本実施形態においては、第1、第2、第3駆動用マグネット22a、22b、22cは光軸Aを中心とする円周上に、中心角120゜ずつ間隔をあけて、等間隔に配置されている。また、第1駆動用マグネット22aは、光軸Aの鉛直上方に配置されている。
【0023】
また、本実施形態においては、
図2に示すように、第1駆動用マグネット22aは、長方形の2つの部分磁石から構成されている。これらの部分磁石は、光軸Aを中心とする円の半径方向に向けられた磁極境界線の両側に、磁極境界線に対して対称に配置されている。換言すれば、2つの部分磁石の中間を通る半径方向の直線が、第1駆動用マグネット22aの磁極境界線となる。同様に、第2駆動用マグネット22b、第3駆動用マグネット22cも、長方形の2つの部分磁石から夫々構成され、これらの部分磁石の間に磁極境界線が形成される。
【0024】
次に、
図2に示すように、移動枠14は、手振れ補正用レンズ16を取り囲む概ねリング状のリング部14aと、このリング部14aから放射方向に突出するように形成された3つのコイル取付部14bを有し、固定板12と平行に重なるように配置されている。リング部14aの内側には、手振れ補正用レンズ16が取り付けられている。
【0025】
リング部14aの光軸Aを中心とする円の円周上に各コイル取付部14bが設けられ、これらに第1、第2、第3駆動用コイル20a、20b、20cが取り付けられている。これら第1、第2、第3駆動用コイル20a、20b、20cは、固定板12に取り付けられた第1、第2、第3駆動用マグネット22a、22b、22cに夫々対向する位置に取り付けられている。即ち、本実施形態においては、第1、第2、第3駆動用コイル20a、20b、20cは、光軸Aを中心とする円の円周上に等間隔に配置され、第1駆動用コイル20aが光軸Aの鉛直上方に位置するように配置されている。
【0026】
また、第1、第2、第3駆動用コイル20a、20b、20cは、夫々、その巻線が角の丸い長方形状に巻かれた扁平なコイルである。各駆動用コイルは、その短辺を横切る中心線が光軸Aを中心とする円の半径方向に向けられるように配置されている。即ち、各駆動用コイルは、その短辺が、光軸Aを中心とする円の接線方向に向くように配置されている。
【0027】
次に、
図2に示すように、3つのスチールボール18は、固定板12と移動枠14の間に挟持され、光軸Aを中心とする円の円周上に、夫々中心角120゜の間隔を隔てて配置されている。各スチールボール18は、固定板12の、各スチールボール18に対応する位置に形成された凹部30の中に配置され、脱落が防止される。これにより、移動枠14は固定板12に平行な平面上に支持され、各スチールボール18が挟持されながら転がることによって、移動枠14の固定板12に対する任意の方向の並進運動及び回転運動が許容される。
【0028】
また、本実施形態においては、スチールボール18として鋼製の球体を使用しているが、例えば、樹脂製の球体で移動枠14を固定板12に対して支持することもできる。また、移動枠は、スチールボールを使用せず、滑らかに摺動可能な摺動面によって支持することもでき、固定板に対して、移動枠を光軸に直交する平面内で移動可能に支持する任意の可動部支持機構を使用することができる。
【0029】
さらに、アクチュエータ10は、移動枠14を固定板12に吸着させるための、移動枠14に取り付けられた3つの吸着用ヨーク28を有する。
図2に示すように、吸着用ヨーク28は、移動枠14のコイル取付部14bの裏側(駆動用コイルの反対側)に取り付けられた長方形板状の磁性体であり、固定板12に取り付けられた各駆動用マグネットと夫々対応するように配置されている。各駆動用マグネットがこれらの吸着用ヨーク28に及ぼす磁力により、移動枠14は固定板12に吸着され、これらの間に各スチールボール18が挟持される。
【0030】
次に、各駆動用マグネット及び駆動用コイルによって生成される駆動力について説明する。
図2に示すように、固定板12に取り付けられた第1駆動用マグネット22aは、その磁極境界線が、駆動用マグネットの各部分磁石の中間を通るように位置すると共に、各部分磁石は、その厚さ方向にも極性が変化している。本実施形態においては、駆動用マグネット22aは、
図2における左側の部分磁石の表面がS極、右側がN極に着磁され、各部分磁石の裏側は磁極が反対になっている。なお、本明細書において、磁極境界線とは、S極に着磁された領域と、N極に着磁された領域の中間(中心)を通る線を言うものとする。
【0031】
この着磁により、駆動用マグネット22aと、これに対応して配置されている吸着用ヨーク28の間に磁力線が形成され、これらの間に配置されている第1駆動用コイル20aに磁気を及ぼす。この駆動用マグネット22aによる磁気は、主に、長方形の第1駆動用コイル20aの長辺の部分に作用する。これにより、第1駆動用コイル20aに電流が流れると、駆動用マグネット22aとの間に、水平方向の駆動力が発生する。
【0032】
固定板12に取り付けられた第2駆動用マグネット22b、及び第3駆動用マグネット22cも、第1駆動用マグネット22aと同様に着磁されており、移動枠14への取り付け方向が夫々120゜ずつ回転されている。これにより、第2、第3駆動用コイル20b、20cに電流が流れると、第2、第3駆動用マグネット22b、22cとの間に、光軸Aを中心とする円の接線方向の駆動力が夫々発生する。
【0033】
次に、
図2に示すように、各駆動用コイルの内側には、第1磁気センサ24a、第2磁気センサ24b、及び第3磁気センサ24cが夫々配置されている。第1、第2、第3磁気センサ24a、24b、24cは移動枠14の位置を測定するように構成されている。各磁気センサは固定板12に対する移動枠14の移動量を、各駆動用コイルに電流が流れることにより発生する駆動力の作用線に平行な方向(磁極境界線に直交する方向)について検出する。また、各磁気センサは、移動枠14が制御中心位置にあるとき(手振れ補正用レンズ16の光軸がレンズユニット2の光軸と一致しているとき)、その感度中心点が、各駆動用マグネットの磁極境界線上に位置するように配置されている。本実施形態においては、磁気センサとしてホール素子を使用している。
【0034】
磁気センサからの出力信号は、磁気センサの感度中心点が駆動用マグネットの磁極境界線上に位置する場合には概ね0であり、移動枠14が移動し、磁気センサの感度中心点が駆動用マグネットの磁極境界線上から外れると、磁気センサの出力信号が変化する。アクチュエータ10の通常の作動中においては、駆動用マグネットの移動量が微小であるため、駆動用マグネットの磁極境界線に直交する方向の移動距離にほぼ比例した信号が各磁気センサから出力される。
【0035】
このため、第1磁気センサ24aは移動枠14の水平方向の並進移動量にほぼ比例した信号を出力する。第2、第3磁気センサ24b、24cは移動枠14の、鉛直軸に対して約120゜ずつ傾斜した方向の並進移動量にほぼ比例した信号を出力する。これら第1、第2、第3磁気センサ24a、24b、24cによって検出された信号に基づいて、移動枠14が固定板12に対して並進移動及び回転移動した位置を特定することができる。
【0036】
(係止機構の構成)
次に、
図3及び
図4を新たに参照して、アクチュエータ10に備えられた係止機構を説明する。
図3は、係止機構を拡大して示す斜視図である。
図4は、本実施形態において、係止機構の内部に生成される磁力線の一例を示すシミュレーション結果を示す図であり、(a)は係止制御用コイルに通電していない状態を示し、(b)は係止制御用コイルに通電した状態を示している。
【0037】
係止機構40は、
図2に示すように、移動枠14から固定板12に向けて延びる延出部42と、固定板12に設けられた延出部受部44から構成されている。本実施形態において、延出部受部44は、固定板12の各凹部30に隣接して3つ設けられ、移動枠14には、これらの延出部受部44に対応する位置に延出部42が夫々設けられている(
図2には1つのみ図示)。即ち、本実施形態において、係止機構40は、光軸Aを中心とする円周上に、中心角120゜ずつ間隔をあけて等間隔に配置されている。
【0038】
図3に示すように、延出部42は円形断面の棒状に形成され、移動枠14から固定板12に向けて、光軸Aと平行な方向に延びている。この延出部42の先端は延出部受部44に受け入れられている。なお、本実施形態においては、手振れ補正用レンズ16の光軸とレンズユニット2の光軸Aが一致する状態において、延出部42は延出部受部44の概ね中心軸線上に位置する。
【0039】
延出部受部44は、内部に磁性流体を保持した磁性流体保持部46と、この磁性体保持部46の中に充填された磁性流体48と、磁性流体保持部46の両側に夫々配置された保持用マグネット50a、50bと、を有する。さらに、磁性流体保持部46と各保持用マグネットとの間には係止制御用コイル52a、52bが夫々配置され、係止制御用コイルの反対側には各保持用マグネットを挟むようにバックヨーク54a、54bが配置されている。
【0040】
磁性流体保持部46は円形断面のカップ状に形成され、中に磁性流体48を保持するように構成されている。この磁性流体保持部46の中に充填されている磁性流体48には、移動枠14から延びる延出部42の先端が挿入されている。従って、延出部42の動きには磁性流体48の流体抵抗が作用し、これにより、移動枠14には制動力が加えられる。また、磁性流体保持部46は、各保持用マグネットによって生成された磁気を透過させるように、非磁性材料で形成されている。
【0041】
磁性流体48は、界面活性剤により表面が覆われた強磁性微粒子をベース液に懸濁させた磁性コロイド溶液であり、カップ状の磁性流体保持部46の中に充填されている。
【0042】
保持用マグネット50a、50bは、磁性流体保持部46の両側側面に対向するように配置された立方体状の磁石である。各保持用マグネット50a、50bは、磁性流体保持部46に面する側と、その反対側で磁極が反転するように着磁されている。本実施形態においては、保持用マグネット50aは、磁性流体保持部46に近い側がS極、その反対側がN極に着磁され、保持用マグネット50aに対向するように配置された保持用マグネット50bは、磁性流体保持部46に近い側がN極、その反対側がS極に着磁されている。このように、保持用マグネット50a、50bは、磁性流体48の中に延びている延出部42の両側に、異なる磁極が対向するように配置されている。このため、保持用マグネット50aと50bの間に配置された磁性流体保持部46には、概ね、保持用マグネット50bから50aに向かう軸線B方向の磁力線が透過する。このように、保持用マグネット50a、50bは、移動枠14から固定板12に向けて延びる延出部42に直交する方向(直角に交わる)の磁力線を、磁性流体48の中に形成する。
【0043】
係止制御用コイル52a、52bは、磁性流体保持部46と各保持用マグネットとの間に挟まれるように配置されたコイルであり、概ね長方形の扁平な形態に巻かれている。即ち、係止制御用コイル52a、52bは、保持用マグネット50aと50bを結ぶ軸線Bを中心として扁平に巻かれたコイルであり、各保持用マグネットの磁極と延出部42との間に夫々配置されている。このため、コントローラ36が各係止制御用コイルに電流を流すと、磁性流体保持部46には概ね軸線B方向の磁力線が生成される。また、電流が流れていない状態では、各係止制御用コイルは、保持用マグネット50a、50bが生成する磁力線に殆ど影響を与えることはない。
【0044】
バックヨーク54a、54bは磁性材料製の板であり、保持用マグネット50a、50bに夫々隣接して、係止制御用コイルの反対側に配置されている。これらのバックヨーク54a、54bを配置することにより、各保持用マグネット50a、50bによって生成された磁気は効率良く磁性流体保持部46に向けられ、磁性流体保持部46を透過する、
図3に一点鎖線で示すような磁力線が生成される。
【0045】
磁性流体48は、内部に磁力線が透過されている状態では、懸濁されている強磁性材の微粒子同士が結びつくことにより、その粘性が極めて高くなる。即ち、係止制御用コイル52a、52bに電流が流されていない状態では、保持用マグネット50a、50bが生成する磁力線により磁性流体48の粘性が極めて高くなる。この状態においては、移動枠14から磁性流体48の中に延びている延出部42には極めて高い流体抵抗が作用し、移動枠14は実質的に係止状態となる。このように、コントローラ36は、磁性流体48に磁気を作用させることにより、磁性流体48の粘性を変化させ、移動枠14を係止し、又は解除する。この磁性流体48による係止は極めて安定したものであり、移動枠14の自重が作用した状態において極めて長い期間放置されたとしても、係止されている移動枠14の位置は殆ど変化しない。
【0046】
一方、磁性流体保持部46に隣接して配置されている係止制御用コイル52a、52bに所定方向の電流を流すことにより、保持用マグネット50a、50bによって形成されている磁力線を打ち消す方向の磁力線を形成することができる。このように、係止制御用コイル52a、52bに電流を流して磁力線の少なくとも一部を打ち消すことにより、磁性流体48を通る磁力線は非常に弱くなり、磁性流体48は磁気を作用させていない状態と同様の状態となり、磁性流体48の粘性が低下する。この状態では、磁性流体48の中に延びている延出部42に作用する流体抵抗は、通常のコロイド溶液による流体抵抗と同等になり、移動枠14の移動に殆ど影響を及ぼすことはなく、移動枠14の係止が解除される。
【0047】
図4は、延出部受部44における磁力線の状態の一例を示すシミュレーション結果であり、
図4(a)は係止制御用コイル52a、52bに電流を流していない状態を示し、
図4(b)は、保持用マグネット50a、50bによる磁力線を打ち消す方向の電流を、係止制御用コイル52a、52bに流した状態を示している。
【0048】
図4(a)においては、保持用マグネット50aと50bの間に強い磁力線が生成されており、この磁力線により磁性流体保持部46に保持された磁性流体48の粘性が極めて高くなる。一方、
図4(b)においては、保持用マグネット50aと50bによって生成された磁力線が、これらに隣接して配置された係止制御用コイル52a、52bによって偏向され、又は遮られ、磁性流体保持部46の内部を通る磁力線が極めて弱くなっている。この状態では、磁性流体48の粘性は低くなり、移動枠14の移動に殆ど影響を与えることはない。
【0049】
また、
図4(a)に示す状態においては、磁性流体48中を透過する磁力線は、保持用マグネット50bから50aへ向かうものであり、この方向(
図4の紙面に平行な方向)に磁性流体48中の微粒子同士が結びつく。このため、磁性流体48に挿入されている延出部42に作用する流体抵抗は、微粒子同士が結びついている方向と平行な、保持用マグネット50aと50bを結ぶ軸線B(
図3)の方向には比較的弱く、軸線Bを横切る方向には比較的強くなる。本実施形態においては、
図2に示すように、固定板12上に3つの延出部受部44が、軸線Bの方向が互いに異なるように設けられているので、移動枠14は何れの方向にも強く保持され、移動枠14を確実に係止することができる。
【0050】
(手振れ補正制御)
次に、
図1を参照して、本発明の第1実施形態によるカメラ1の作用を説明する。まず、カメラ1の電源がOFFにされた状態では、係止制御用コイル52a、52bには電流は流されておらず、この状態では磁性流体48の粘性が高く、移動枠14は3つの係止機構40によって係止されている。カメラ1の電源がONにされ、さらに、手振れ補正機能の起動スイッチ(図示せず)がONにされると、レンズユニット2に備えられたアクチュエータ10が作動される。アクチュエータ10が作動状態にされると、コントローラ36は係止制御用コイル52a、52bに電流を流し、保持用マグネット50a、50bによる磁力線の一部を打ち消す。これにより、磁性流体48の粘性が低下されるので、磁性流体48が延出部42を保持する力が弱くなり、移動枠14は移動可能な状態となり、係止が解除される。ここで、各係止制御用コイルに電流を流すことにより、磁性流体48の粘性の低下は瞬時に発生するので、手振れ補正機能が起動された後、数ミリ秒〜数十ミリ秒の間に移動枠14の係止が解除される。このため、撮影者は手振れ補正機能を起動すれば、直ぐに手振れ補正を使用した撮影を行うことができ、シャッターチャンスを的確に捉えることができる。
【0051】
さらに、手振れ補正機能が起動されると、レンズユニット2に取り付けられたジャイロ34は、所定周波数帯域の振動を時々刻々検出し、コントローラ36に出力する。ジャイロ34により検出された角速度の信号に基づいてレンズ位置指令信号が生成される。このレンズ位置指令信号によって指令される位置に、手振れ補正用レンズ16を時々刻々移動させることによって、カメラ本体4の撮像素子面4aに合焦される像が安定化される。このように、コントローラ36は駆動手段を制御して、移動枠14を移動させ、手振れを補正する手振れ補正制御を実行する。
【0052】
また、手振れ補正機能がOFFにされたとき、又はカメラ1の電源がOFFにされたときは、アクチュエータ10は、移動枠14を、手振れ補正用レンズ16の光軸がレンズユニット2の光軸Aと一致する位置に移動させ、この状態で係止制御用コイル52a、52bに流す電流をOFFにする。これにより、磁性流体48は瞬時に粘性が高くなるので磁性流体48が延出部42を保持する力が強くなり、移動枠14は、その位置で係止される。この移動枠14の係止状態は、カメラ1の電源をOFFにした後も維持される。
【0053】
本発明の第1実施形態のアクチュエータによれば、移動枠14の係止及び解除が、磁性流体48に磁気を作用させ、その粘性を変化させることにより実行されるので、係止用の部品を機械的に駆動して係止を解除する場合よりも、高速で係止状態を解除することができる。
【0054】
本実施形態のアクチュエータにおいては、磁性流体保持部46に保持された磁性流体48に磁気を及ぼすことにより、磁性流体48の粘性を高くし、延出部42が磁性流体によって保持されるように配置された保持用マグネット50a、50bと、磁性流体48の粘性を低下させることにより、延出部42を保持する力が弱くなるように、保持用マグネット50a、50bが生成する磁気を打ち消し可能に配置された係止制御用コイル52a、52bと、を有し、コントローラ36は、移動枠14の係止を解除する際、保持用マグネット50a、50bの磁気の少なくとも一部が打ち消されるように係止制御用コイル52a、52bに電流を流している。
【0055】
即ち、本実施形態のアクチュエータによれば、保持用マグネット50a、50bによって磁性流体48の粘性を高くすることにより延出部42が保持され、係止制御用コイル52a、52bによって保持用マグネット50a、50bの磁気を打ち消すことにより係止が解除される。このため、係止制御用コイル52a、52bへの非通電状態において移動枠14が係止されるので、電力を消費することなく係止状態を維持することができる。
【0056】
また、本実施形態のアクチュエータにおいては、保持用マグネット50a、50bは、移動枠14から磁性流体48の中に延びている延出部42に概ね直交する方向の磁力線を、磁性流体48の中に形成するように配置されている。
【0057】
このため、本実施形態のアクチュエータによれば、保持用マグネット50a、50bが、移動枠14から磁性流体48の中に延びている延出部42に概ね直交する方向の磁力線を磁性流体48の中に形成するので、保持用マグネット50a、50bにより効率的に磁性流体48の粘性を高め、延出部42を保持することができる。
【0058】
また、本実施形態のアクチュエータによれば、保持用マグネット50a、50bが磁性流体48の中に延びている延出部42の両側に異なる磁極が対向するように配置され、係止制御用コイル52a、52bは、保持用マグネット50a、50bの磁極と延出部42との間に夫々配置されている。このため、保持用マグネット50a、50bが生成した磁力線を効率的に打ち消すことができ、係止制御用コイルに流す少ない消費電流で延出部42の係止を解除することができる。
【0059】
<第2実施形態>
次に、
図5乃至
図7を参照して、本発明の第2実施形態のアクチュエータを説明する。本発明の第2実施形態のアクチュエータは、係止機構の構成が上述した第1実施形態とは異なる。従って、ここでは、本実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略し、同様の作用、効果についても説明を省略する。
【0060】
図5は、本発明の第2実施形態による手振れ補正用のアクチュエータの分解斜視図である。
図6は、本実施形態のアクチュエータに備えられている係止機構を拡大して示す斜視図である。
図7は、本実施形態において、係止機構の内部に生成される磁力線の一例を示すシミュレーション結果を示す図であり、(a)は係止制御用コイルに通電していない状態を示し、(b)は係止制御用コイルに通電した状態を示している。
【0061】
(アクチュエータの構成)
図5に示すように、本実施形態のアクチュエータ100は、固定板12の他に、固定部である第2固定板102が備えられている点が、第1実施形態とは異なっている。第2固定板102は概ねドーナツ板状の薄板であり、移動枠14に対し、固定板12とは反対の側に、固定板12と平行に配置されている。
【0062】
また、本実施形態においては、固定板12には延出部受部44は設けられておらず、第2固定板102に延出部受部108が設けられている。一方、移動枠14には、第2固定板102に向けて延びる延出部106が設けられ、これら延出部106及び延出部受部108によって係止機構104が構成されている。さらに、
図5に示すように、係止機構104は、光軸Aを中心とする円周上の2箇所に配置されている。
【0063】
(係止機構の構成)
図6に示すように、延出部106は円形断面の棒状に形成され、移動枠14から第2固定板102に向けて、光軸Aと平行な方向に延びている。この延出部106の先端は延出部受部108に受け入れられている。なお、本実施形態においては、手振れ補正用レンズ16の光軸とレンズユニット2の光軸Aが一致する状態において、延出部106は延出部受部108の概ね中心軸線上に位置する。
【0064】
延出部受部108は、内部に磁性流体を保持した磁性流体保持部110と、この磁性体保持部110の中に充填された磁性流体112と、磁性流体保持部110の下に配置された保持用マグネット114と、を有する。さらに、磁性流体保持部110の内壁面に沿って係止制御用コイル116が配置されている。
【0065】
磁性流体保持部110は円形断面のカップ状に形成され、中に磁性流体112を保持するように構成されている。この磁性流体保持部110の中に充填されている磁性流体112には、移動枠14から延びる延出部106の先端が挿入されている。従って、延出部106の動きには磁性流体112の流体抵抗が作用し、これにより、移動枠14には制動力が加えられる。また、磁性流体保持部110は、保持用マグネット114によって生成された磁気を透過させるように、非磁性材料で形成されている。また、磁性流体112は、第1実施形態における磁性流体48と同様のコロイド溶液である。
【0066】
保持用マグネット114は、磁性流体保持部110の下側、即ち、延出部106の延長線上に配置された円板状の磁石である。保持用マグネット114は、磁性流体保持部110に隣接する面と、その反対側の面で磁極が反転するように着磁されている。本実施形態においては、保持用マグネット114は、磁性流体保持部110に隣接する側がN極、その反対側がS極に着磁されている。このように、保持用マグネット114は、磁性流体112の中に延びている延出部106の延長線上に配置され、一方の磁極が延出部106に対向するように着磁されている。
【0067】
このため、保持用マグネット114の上方に配置された磁性流体保持部110には、
図6に一点鎖線で示すように、磁性流体保持部110の中心軸線に沿って上方に延びた後、上面視において(延出部106の延びる方向に見て)、中心軸線から放射方向に延び、磁性流体保持部110の周囲を下方に下る磁力線が形成される。このように、保持用マグネット114は、移動枠14から第2固定板102に向けて延びる延出部106の周囲に、概ね放射方向の磁力線を、磁性流体48の中に形成する。
【0068】
係止制御用コイル116は、円形断面の磁性流体保持部110の内壁面に沿って巻かれた円筒状のコイルであり、この係止制御用コイル116の内側に磁性流体112が充填されている。即ち、係止制御用コイル116は、磁性流体保持部110の中心軸線を中心として円筒状に巻かれており、その内側に挿入された延出部106を取り囲んでいる。このため、コントローラ36が係止制御用コイル116に所定方向の電流を流すと、磁性流体保持部110には、保持用マグネット114が生成する磁力線とは概ね反対回りの磁力線が生成される。また、電流が流れていない状態では、係止制御用コイル116は、保持用マグネット114が生成する磁力線に殆ど影響を与えることはない。
【0069】
磁性流体112は、内部に磁力線が透過されている状態では、懸濁されている強磁性材の微粒子同士が結びつくことにより、その粘性が極めて高くなる。即ち、係止制御用コイル116に電流が流されていない状態では、保持用マグネット114が生成する磁力線により磁性流体112の粘性が極めて高くなる。この状態においては、移動枠14から磁性流体112の中に延びている延出部106には極めて高い流体抵抗が作用し、移動枠14は実質的に係止状態となる。このように、コントローラ36は、磁性流体112に磁気を作用させることにより、磁性流体112の粘性を変化させ、移動枠14を係止し、又は解除する。この磁性流体112による係止は極めて安定したものであり、移動枠14の自重が作用した状態において極めて長い期間放置されたとしても、係止されている移動枠14の位置は殆ど変化しない。
【0070】
一方、磁性流体保持部110の内側に配置されている係止制御用コイル116に所定方向の電流を流すことにより、保持用マグネット114によって形成されている磁力線を打ち消す方向の磁力線を形成することができる。このように、係止制御用コイル116に電流を流して磁力線の少なくとも一部を打ち消すことにより、磁性流体112を通る磁力線は非常に弱くなり、磁性流体112は磁気を作用させていない状態と同様の状態となり、磁性流体112の粘性が低下する。この状態では、磁性流体112の中に延びている延出部106に作用する流体抵抗は、通常のコロイド溶液による流体抵抗と同等になり、移動枠14の移動に殆ど影響を及ぼすことはなく、移動枠14の係止が解除される。
【0071】
図7は、延出部受部108における磁力線の状態の一例を示すシミュレーション結果であり、
図7(a)は係止制御用コイル116に電流を流していない状態を示し、
図7(b)は、保持用マグネット114による磁力線を打ち消す方向の電流を、係止制御用コイル116に流した状態を示している。
【0072】
図7(a)においては、保持用マグネット114により強い磁力線が生成されており、この磁力線により磁性流体保持部110に保持された磁性流体112の粘性が極めて高くなる。一方、
図7(b)においては、保持用マグネット114によって生成された磁力線の一部が、磁性流体保持部110の内側に配置された係止制御用コイル116によって打ち消され、磁性流体保持部110の内部を通る磁力線が極めて弱くなっている。この状態では、磁性流体112の粘性は低くなり、移動枠14の移動に殆ど影響を与えることはない。
【0073】
また、
図7(a)に示す状態においては、磁性流体112中を透過する磁力線は、延出部106(磁性流体保持部110の中心軸線)を中心として放射状に広がるものであり、この放射方向に磁性流体112中の微粒子同士が結びつく。このため、磁性流体112に挿入されている延出部106に作用する流体抵抗は、何れの方向にもほぼ均一に作用する。本実施形態においては、
図5に示すように、第2固定板102上に延出部受部108を2つ設けることにより、移動枠14を確実に係止している。
【0074】
さらに、本実施形態に備えられている係止機構104は、移動枠14の移動に対するダンパーとして使用することもできる。即ち、係止機構104は、コントローラ36が係止制御用コイル116に流す電流を調整することにより、保持用マグネット114によって生成された磁力線を適度に弱め、磁性流体112に所望の粘性を与えることができる。このように、手振れ補正制御の実行中に、係止制御用コイル116に適度な電流を流して保持用マグネット114が生成する磁気を弱めることにより、移動枠14の動きにダンピングを与えることができる。これにより、係止機構104をダンパーとして利用して、手振れ補正制御における移動枠14のオーバーシュート等を抑制し、手振れ補正制御の精度を高めることもできる。なお、第1実施形態における係止機構40もダンパーとして使用することができる。
【0075】
本発明の第2実施形態のアクチュエータによれば、保持用マグネット114は、移動枠14から磁性流体112の中に延びている延出部106の周囲に、概ね放射方向の磁力線が磁性流体112の中に形成されるように配置されている。このため、保持用マグネット114による磁力線が延出部106の周囲に等方的に生成され、延出部106に作用する磁性流体112の粘性抵抗が各方向で概ね均一に作用する。これにより、磁性流体112によって、延出部106を何れの方向にも強く保持することができ、少ない数の係止機構で移動枠14を保持することが可能になる。
【0076】
また、本実施形態のアクチュエータによれば、保持用マグネット114は、移動枠14から磁性流体112の中に延びる延出部106の延長線上に配置され、係止制御用コイル116は、延出部106の周囲を取り囲むように配置されている。このため、単一の保持用マグネット114、及び単一の係止制御用コイル116により、延出部106の保持及び解除を実行することができる。
【0077】
さらに、本実施形態のアクチュエータによれば、コントローラ36は、手振れ補正の実行中において、係止制御用コイル116に電流を流し、保持用マグネット114が生成する磁気を弱めることにより、移動枠14の動きにダンピングを与えるように構成されている。このため、係止制御用コイル116に流す電流を調整するだけで、係止機構104をダンパー機構として利用することができ、手振れ補正制御における移動枠14のオーバーシュート等を抑制し、手振れ補正制御の精度を高めることができる。
【0078】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。特に、上述した実施形態においては、本発明のアクチュエータをデジタルカメラに適用していたが、本発明のアクチュエータをフィルムカメラや、動画撮影用のカメラに適用することもできる。また、上述した実施形態においては、移動枠に延出部が設けられ、固定板(第2固定板)に延出部受部が設けられていたが、移動枠に延出部受部を設け、固定板(第2固定板)に延出部を設けることもできる。
【0079】
また、上述した実施形態においては、延出部受部に保持用マグネットが設けられ、この保持用マグネットによる磁力線を係止制御用コイルにより打ち消していたが、非通電時における係止が不要な場合には、保持用マグネットを省略することもできる。保持用マグネットを省略した構成においては、係止時において係止制御用コイルに電流を流して磁性流体の粘性を高め、係止解除時には係止制御用コイルに流す電流を停止し、磁性流体の粘性を低下させる。
【0080】
さらに、上述した実施形態においては、係止機構がダンパーとしても使用されていたが、上述した実施形態における係止機構を係止に使用せず、ダンパーとしてのみ使用することもできる。係止機構をダンパーとしてのみ使用する場合には、コントローラは、駆動手段を制御して可動部を移動させ、手振れを補正する手振れ補正制御を実行すると共に、磁性流体に磁気を作用させることにより、磁性流体の粘性を変化させ、可動部に与えるダンピングを調整する制御装置として機能させる。また、保持用マグネットは、磁性流体保持部に保持された磁性流体に磁気を及ぼすことにより、磁性流体の粘性を高くする粘性抵抗用マグネットとして機能させる。さらに、係止制御用コイルは、磁性流体の粘性を低下させることにより、延出部に作用する粘性抵抗が弱くなるように、粘性抵抗用マグネットが生成する磁気を打ち消し可能に配置されたダンピング調整用コイルとして機能させる。
【0081】
また、係止機構をダンパーとしてのみ使用する場合にも、保持用マグネットを省略することができる。この場合には、係止制御用コイルは、磁性流体の粘性を変化させることにより、延出部に作用する粘性抵抗を調整可能に配置されたダンピング調整用コイルとして機能させる。