特開2018-169807(P2018-169807A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-169807(P2018-169807A)
(43)【公開日】2018年11月1日
(54)【発明の名称】運転支援装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20181005BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20181005BHJP
   A61B 5/18 20060101ALI20181005BHJP
   B60W 40/08 20120101ALI20181005BHJP
   B60W 50/14 20120101ALI20181005BHJP
   B60W 30/00 20060101ALI20181005BHJP
【FI】
   G08G1/16 F
   A61B5/10 310Z
   A61B5/18
   B60W40/08
   B60W50/14
   B60W30/00
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-66781(P2017-66781)
(22)【出願日】2017年3月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
【住所又は居所】広島県安芸郡府中町新地3番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100080768
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100106644
【弁理士】
【氏名又は名称】戸塚 清貴
(72)【発明者】
【氏名】吉田 誠
【住所又は居所】広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】久光 遼平
【住所又は居所】広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】星野 陽子
【住所又は居所】広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ株式会社内
【テーマコード(参考)】
3D241
4C038
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA21
3D241BA30
3D241BA51
3D241BA60
3D241BB02
3D241CC17
3D241CC19
3D241CD01
3D241CD04
3D241CD07
3D241CE04
3D241CE05
3D241DB07Z
3D241DC01Z
3D241DC25Z
3D241DD04Z
3D241DD07Z
4C038PQ04
4C038PS07
4C038VA04
4C038VB04
4C038VB31
4C038VC05
5H181AA01
5H181CC04
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL09
5H181LL20
(57)【要約】
【課題】 自動運転と手動運転を切り替える権利委譲のための運転支援を、ドライバの状況認識レベルに応じて適切に実行する運転支援装置を提供する。
【解決手段】 運転支援装置は、ドライバ状態検出手段1により検出されたドライバの情報に基づいてドライバの状況認識レベルを算出する状況認識レベル判定手段3と、周辺環境情報提供手段2から提供された周辺環境の情報に基づいて権利委譲確率を算出する権利委譲確率判定手段4と、算出された状況認識レベルと権利委譲確率にしたがって、情報報知手段6及び車両機構及び設備を操作して、ドライバの状況認識レベルを改善するための運転支援を行う運転支援制御手段5とを備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドライバの状態を検知するドライバ状態検知手段と、
前記ドライバ状態検知手段により検知されたドライバの状態に基づいてドライバの状況認識レベルを算出する状況認識レベル判定手段と、
前記車両の環境情報に基づいて、権利委譲確率を推定する権利委譲確率推定手段と、
前記状況認識レベル判定手段により算出された状況認識レベルと前記権利委譲確率推定手段により推定された権利委譲確率にしたがって、状況認識レベルを改善するための運転支援制御を行う運転支援制御手段と
を備えた運転支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の運転支援装置において、
前記運転支援制御手段は、状況認識レベルが所定の低レベル以下である場合には、ドライバへの権利委譲を行わず、車両を自動運転で路肩に停車させる運転支援装置。
【請求項3】
前記運転支援制御装置は、状況認識レベルが所定の低レベルよりも大きいが、権利委譲確率の高さに対して十分なレベルには達していないと判断されるときには、状況認識レベルを改善するための運転支援を実行する運転支援装置。
【請求項4】
請求項3に記載の運転支援装置において、
前記状況認識レベルを改善するための運転支援は、車室内に音声を発生させる処理である運転支援装置。
【請求項5】
前記状況認識レベルを改善するための運転支援は、車両応答ゲインを変動させる処理である運転支援装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の運転支援装置において、
前記運転支援制御手段は、権利委譲確率の高さに対して状況認識レベルが十分なレベルに達していると判断されるときには、状況認識レベルを改善するための運転支援を特に行わない運転支援装置。
【請求項7】
請求項6に記載の運転支援装置において、
前記運転支援制御手段は、権利委譲確率の高さに対して状況認識レベルが十分なレベルに達していると判断されるとともに、状況認識レベルの時系列的な変動が十分に安定している場合には、周辺環境が安全であることをドライバに通知する運転支援を行う運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転を自動運転からドライバによる手動運転に切り替える権利委譲を適切に行うための運転支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動運転システムによる自動運転車両においては、自動運転と手動運転の間での切り替え、すなわち車両の制御システムとドライバの間で運転の権利委譲がなされることがある。このような自動運転における権利委譲に関する従来技術として、例えば、特許文献1(特開2015−185088)には、自動運転制御と手動運転制御を切り替え可能な自動走行車両において、運転者が前方交通環境に対して必要な安全確認行動(視認行為)をとっているかを判定して、状況認識なしでは手動運転への切り替えを行わないようにした発明が開示されている。また、特許文献2(特開2016−38768)には、車両制御装置において、運転者の運転操作状態から自動運転から手動運転への切り替えの可否を判断し、切り替え不可の場合には、報知、車速低下、路肩への自動停車等の制御を行う発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−185088
【特許文献2】特開2016−38768
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、従来技術においても、走行環境に対するドライバの状況認識がない場合には、手動運転への切り替え(権利委譲)を行わないようにした技術は存在していた。しかしながら、ドライバの走行環境への状況認識には様々なレベルがあり、このような状況認識レベルに応じて、適切な権利委譲のための運転支援を行う技術は存在していなかった。
【0005】
本発明は、以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、自動運転と手動運転を切り替える権利委譲のための運転支援を、ドライバの状況認識レベルに応じて適切に実行する運転支援装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明にあっては、次のような解決方法を採択している。すなわち、請求項1に記載のように、運転支援装置において、車両のドライバの状態を検知するドライバ状態検知手段と、前記ドライバ状態検知手段により検知されたドライバの状態に基づいてドライバの状況認識レベルを算出する状況認識レベル判定手段と、前記車両の環境情報に基づいて、権利委譲確率を推定する権利委譲確率推定手段と、前記状況認識レベル判定手段により算出された状況認識レベルと前記権利委譲確率推定手段により推定された権利委譲確率にしたがって、状況認識レベルを改善するための運転支援制御を行う運転支援制御手段とを備えた。
【0007】
上記解決手法によれば、権利委譲確率(自動運転から手動運転への切り替えが必要となる可能性の大きさ)にしたがって、ドライバの状況認識レベルを適切なレベルに改善することができるので、スムーズで安全な権利委譲を行い得る。
【0008】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2以下に記載の通りである。すなわち、前記運転支援制御手段は、状況認識レベルが所定の低レベル以下である場合には、ドライバへの権利委譲を行わず、車両を自動運転で路肩に停車させる(請求項2対応)。この場合、状況認識レベルが改善の余地のない程度に低い場合には、車両を強制的に停車させて、確実に安全を確保できる。
【0009】
前記運転支援制御装置は、状況認識レベルが所定の低レベルよりも大きいが、権利委譲確率の高さに対して十分なレベルには達していないと判断されるときには、状況認識レベルを改善するための運転支援を実行する(請求項3対応)。この場合、状況認識レベルは、権利委譲に十分な高さへと適切に改善される。
【0010】
前記状況認識レベルを改善するための運転支援は、車室内に音声を発生させる処理である(請求項4対応)。この場合、ドライバは、音声(例えば環境音)を聞くことによって、注意が喚起され、状況認識レベルが向上する。
【0011】
前記状況認識レベルを改善するための運転支援は、車両応答ゲインを変動させる処理である(請求項5対応)。この場合、ドライバは、運転操作に対する応答の変化によって注意を喚起され、状況認識レベルが向上する。
【0012】
前記運転支援制御手段は、権利委譲確率の高さに対して状況認識レベルが十分なレベルに達していると判断されるときには、状況認識レベルを改善するための運転支援を特に行わない(請求項6対応)。この場合、不必要な運転支援を行わないことにより、ドライバに不要な煩わしさを与えないようにできる。
前記運転支援制御手段は、権利委譲確率の高さに対して状況認識レベルが十分なレベルに達していると判断されるとともに、状況認識レベルの時系列的な変動が十分に安定している場合には、周辺環境が安全であることをドライバに通知する運転支援を行う(請求項7対応)。この場合、ドライバに安心感を与え、自動運転の利点を認識させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、権利委譲確率に応じて、ドライバの状況認識レベルが適切に改善されるので、スムーズで安全な権利委譲を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の制御系の一例を示すブロック構成図。
図2】ドライバの状況認識レベルとルームミラー視認回数の関係についての実験結果を示すグラフ。
図3】ドライバの状況認識レベルとドライバの視認範囲の関係を示すグラフであり、ドライバの状況認識レベルが小さい場合の実験結果を示す図。
図4】ドライバの状況認識レベルとドライバの視認範囲の関係を示すグラフであり、ドライバの状況認識レベルが大きい場合の実験結果を示す図。
図5】先行車検出センサの精度と権利委譲確率の関係を示すグラフ。
図6】本発明の運転支援制御の一例の制御手順を示すフローチャート。
図7】権利委譲確率が低モードである場合の運転支援内容を示す判定テーブル。
図8】権利委譲確率が高モードである場合の運転支援内容を示す判定テーブル。
図9】情報報知手段として、車室内に車載スピーカが配置された状態を示す図。
図10】アクセルペダル操作に対する応答ゲイン変更による状況認識レベル改善支援におけるアクセルペダル開度とスロットル開度の関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施形態について説明する。
【0016】
図1には、本発明の運転支援装置を備えた車両(例えば自動車)制御系の一例をブロック構成図で示している。図示されるように、制御系は、マイクロコンピュータを利用して構成されたコントローラ(制御ユニット)Uを備えている。コントローラUには、ドライバ状態検出手段1、周辺環境情報提供手段2からの信号が入力される。
【0017】
ここで、ドライバ状態検出手段1は、車両のドライバの状態(例えばドライバの視線の動き)を検出する装置であり、例えば、ドライバの様子を撮影可能な車内カメラから構成される。また、周辺環境情報提供手段2は、車両の周辺環境(例えば周辺車両の状況、道路の状況)についての情報を提供する装置であり、例えば、車両周辺の状況を撮影するカメラや、道路状況(地図情報)を提供可能なナビゲーション装置等からなる。
【0018】
コントローラUは、状況認識レベル判定手段3と、権利委譲確率判定手段3と、運転支援制御手段4とを備えている。
【0019】
状況認識レベル設定手段2は、ドライバ状態検出手段1からのドライバの状態についての検出データに基づいて、ドライバの状況認識レベル(ドライバが車両の周辺の状況をどの程度認識できているかを示すレベル)を算出する手段であり、例えばドライバの視線の動き(ドライバが周囲の状況についてどの程度の頻度及び範囲で確認作業をしているか)に基づいて、状況認識レベルを判定する処理を、所定の周期で繰り返して実行する。本実施形態においては、状況認識レベルは、状況認識が低い状態から順に、レベル1からレベル4までの4段階で判定されるようになっている。
【0020】
図2から図4には、ドライバの視線の動き(具体的には、ルームミラー視認回数)により状況認識レベルを判定し得ることの根拠となる実験結果を示す。図2には、ドライバの状況認識レベルとルームミラーを視認する回数の関係についての実験結果をグラフで示す。図2のグラフから分かるように、状況認識レベルが高い(状況認識レベルの数値が大きい)ほど、5分間の運転中におけるルームミラー視認回数が多くなっている。これは、状況認識レベルが高いほど、ドライバの余裕が大きいため、ドライバは正面から目を離すことが可能となり、この結果、ドライバの視認範囲が広くなり、ドライバ正面から離れた位置のルームミラーの視認回数が増加するものと考えられる。
【0021】
図3及び図4には、ドライバの状況認識レベルと視認範囲の広がりの関係についての実験結果を示している。各図において、ドライバによる視認位置データがドットで示されており、ドライバの視認範囲は、これらの視認位置データが分布する範囲として、破線で示されている。図3に示されるように、ドライバの状況認識レベルが小さなときには、ドライバの視認範囲A1は、ドライバの正面の小さな範囲にとどまっており、ルームミラー10は視認されていない(ルームミラー10上に視認位置を示すドットはない)。これに対して、図4に示されるように、ドライバの状況認識レベルが大きなときには、ドライバの視認範囲A2は、ルームミラー10上の視認位置を含むドライバの正面から外れた位置まで広がっており、ルームミラー10の視認回数(ルームミラー10上のドットで示される)が増加していることが分かる。
【0022】
権利委譲確率判定手段3は、周辺環境情報提供手段2から提供された車両の周辺環境(周辺車両の状況、走行している道路の状況)に基づいて、権利委譲確率(自動運転から手動運転への切り替えが必要となる可能性の大きさ)を算出する手段である。本実施形態においては、権利委譲確率が所定の規定値未満である低モードS1と、規定値以上である高モードS2で、異なる運転支援がなされるようになっている。
【0023】
周辺環境情報に基づく権利委譲確率の算出の具体例としては、例えば、自動運転を行う上で必要となる周辺環境情報を取得する手段の状態を周辺環境情報として、周辺環境情報を取得する手段の状態に基づいて、権利委譲確率を算出することが考えられる。具体的に、例えば先行車検出センサ(車両前方を撮像するカメラ等)の精度を検出し、図5に示すグラフのように、先行車検出センサの精度が小さくなるほど、権利委譲確率が高くなるように、権利委譲確率を算出する。すなわち、豪雨時や、センサ前面に汚れがある場合等、先行車検出センサの精度低下が起こった場合には、自動運転の続行が難しくなるので、権利委譲確率は高く算出される。なお、権利委譲確率の算出に利用される周辺環境情報を取得する手段としては、先行車検出センサの他に、後側方車検出センサ、車線内自車位置検出センサ等も考えられる。
【0024】
運転支援制御装置4は、状況認識レベル(本実施形態では、今回及び前回のレベル)と権利委譲確率(本実施形態では、低モードS1又は高モードS2)にしたがって、権利委譲のための運転支援を実行する。具体的には、情報報知手段6(例えばスピーカ、画像表示装置等)や車両機構及び設備7(例えばステアリング機構、パワーウインドウ、エアコン等)を操作して、ドライバの状況認識レベルを向上させるための処理を実行する。
【0025】
次に、図6のフローチャートにしたがって、運転制御の手順について詳細に説明する。
【0026】
運転支援制御においては、まずステップS1において、状況認識レベルの判定を行い、続くステップS2において、権利委譲確率を算出する。
【0027】
続くステップS3においては、権利委譲確率が規定値以上であるか否かの判定を行い、規定値以上でない場合(低モードS1の場合)には、ステップS4に進み、図3に示す判定テーブルT1にしたがって、低モードS1の場合の運転支援を行い、1サイクルの処理を終了する。一方、ステップS3において、権利委譲確率が所定値以上である(高モードS1)と判定された場合には、ステップ5に進み、図4に示す判定テーブルT2にしたがって、高モードS1の場合の運転支援を行い、1サイクルの処理を終了する。
【0028】
図7には、権利委譲確率が規定値未満の場合(低モードS1)の場合の運転支援処理の詳細を示す。低モードS1(権利委譲が行なわれる可能性が小さい場合)における運転支援において、今回の状況認識レベルがレベル1(改善の余地のない最低レベル)であるときには、前回の状況認識レベルに関わらず、車両を自動運転で路肩に駐車する制御を行う。これにより、状況認識レベルに改善の余地がない場合には、車両の安全を確保する。
【0029】
今回の状況認識レベルがレベル2(不十分なレベル)である場合には、ドライバの状況認識レベルを改善させるための運転支援(認識レベル向上支援)を実行する。具体的には、スピーカを用いてドライバに環境音(例えばエンジン音)を聞かせたり、車両応答ゲインを大きくしたりすることにより、ドライバの状況認識を促すようにする。
【0030】
この場合、前回の状況認識レベルがどのレベルにあったかによって運転支援の強度を変更する。具体的に、前回の状況認識レベルがレベル3又はレベル4であった場合(状況認識レベルが十分に高かった場合)には、今回はドライバが一時的又は偶発的に状況認識が不十分であるかのような挙動を示していただけである可能性もあるので、運転支援の強度は小さめとする。一方、前回の状況認識レベルがレベル2であった場合には、運転支援の強度を中程度とする(例えば、ドライバに聞かせる環境音を大きくしたり、車両応答ゲインを特に大きくしたりする)。このように、ドライバの状況認識レベルに応じて適切な運転支援を行い、ドライバの状況認識レベルを向上させることにより、スムーズで安全な権利委譲が行なわれ得るようにする。
【0031】
今回の状況認識レベルがレベル3又は4(十分に高いレベル)にある場合には、ドライバの状況認識レベルを向上させるための運転支援は特に行わない。このように、状況認識レベルの状態が十分に高い場合には、運転支援は行わず、ドライバに不要な煩わしさを感じさせないようにする。
【0032】
更に、前回と今回の状況認識レベルがレベル4又はレベル3で安定している(変わらない)ときには、情報報知手段6を用いて周辺環境が安全であることを積極的にドライバに知らせる運転支援(テーブルにおける「安全ですよ支援」)を実行する。これにより、ドライバに安心感を与え、自動運転の利点を認識させることができる。
【0033】
図8には、権利委譲確率が規定値以上の場合(高モードS1)の場合の運転支援処理の詳細を示す。高モードS2(権利委譲が行なわれる可能性が大きい場合)における運転支援においても、今回の状況認識レベルがレベル1(改善の余地のない最低レベル)であるときには、前回の状況認識レベルに関わらず、車両を自動運転で路肩に駐車する制御を行う。これにより、状況認識レベルに改善の余地がない場合には、車両の安全を確保する。
【0034】
今回の状況認識レベルがレベル2(不十分なレベル)である場合には、ドライバの状況認識レベルを向上させるための運転支援を実行する。この場合に実行される運転支援の強度は、低モードS2の場合の運転支援より強度の高いものとされる。具体的に、前回の状況認識レベルがレベル3であった場合には、状況認識レベル向上支援の強度を中程度のものとし、前回と今回の状況認識レベルがレベル2である場合(状況認識レベルが継続して不十分なレベルである場合)と、前回はレベル4にあった状況認識レベルが今回はレベル2に低下した場合(状況認識レベルが大幅に低下した場合)には、状況認識レベル向上支援の強度を特に大きなものとする。これにより、権利委譲の可能性の大きな状況に適したレベルに、状況認識レベルを迅速に高め得るようになっている。
【0035】
状況認識レベル向上支援として実行される具体的な処理としては、低モードS2の場合と同様に、スピーカを用いてドライバに環境音(例えばエンジン音)を聞かせたり、車両応答ゲインを大きくしたりすることにより、ドライバの状況認識を促す処理が実行され得る。また、より強度の大きな支援としては、情報報知手段6を用いてドライバに対して位置情報や周辺車両情報を提供する処理、スピーカから警報音を発する処理、パワーウインドウを作動させてドライバに風を当てるとともに周囲の環境を認識し易くする処理、エアコンの吹き出し風の温度を極端に変える処理等が実行され得る。
【0036】
今回の状況認識レベルがレベル3である場合(最高レベルよりもやや低い場合)には、前回の状況認識レベルがレベル3又はレベル4であったならば、強度の小さな状況認識レベル向上支援を行う。これにより、権利委譲がなされやすい状況(高モード)に適した高レベルの状況認識レベルが確保されるようにする。なお、状況認識レベルが前回のレベル2から今回のレベル3に向上してきた場合には、ドライバが状況認識レベルの高い状態に向かいつつあると考えられるので、特に運転支援は行わないようにする。
【0037】
今回の状況認識レベルがレベル4である場合には、権利委譲に対しても十分なレベルの状況認識があると考えられるので、特に運転支援は行わず、ドライバに不要な煩わしさを感じさせないようにする。
【0038】
図9には、車両の運転席に設けられた情報報知手段6の一例を示す。図示されるように、車両の運転席前方のダッシュボード11には、情報報知手段6として、車載スピーカ12と表示装置13が設けられている。例えば、環境音による状況認識レベル改善支援においては、車載スピーカ12から、エンジン音を模した音を、環境音として発生させるようにする。
【0039】
図10には、車両応答ゲイン変更による状況認識レベル改善支援の具体例を示す。この具体例は、アクセルペダル操作に対する応答ゲインを変更するもので、図10のグラフに示されるように、アクセルペダル開度に対するスロットル開度の応答を、図に一点鎖線で示す標準状態(リニアな関係)から変更することにより、アクセルべダル操作に対する応答ゲインを変更する。具体的に、応答ゲインを大きくするときには、図における破線の曲線のように、アクセルペダル開度に対するスロットル開度の応答を、標準状態よりも上側の凸型の特性に変更する。一方、応答ゲインを小さくするときには、図における実線の曲線のように、アクセルペダル開度に対するスロットル開度の応答を、標準状態よりも下側の凹型の特性に変更する。
【0040】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲において適宜の変更が可能である。例えば、図7及び図8に示した判定テーブルは一例であり、制御内容は適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、自動運転車両において適切な権利委譲(自動運転モードから手動運転モードへの切り替え)を行うために利用できる。
【符号の説明】
【0042】
U コントローラ
1 ドライバ状態検出手段
2 周辺環境情報提供手段
3 状況認識レベル判定手段
4 権利委譲確率判定手段
5 運転支援制御手段
6 情報報知手段
7 車両機構及び設備
A1 状況認識レベルの小さなときの視認範囲
A2 状況認識レベルの大きなときの視認範囲
10 ルームミラー
11 ダッシュボード
12 車載スピーカ
13 表示装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10