(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-171038(P2018-171038A)
(43)【公開日】2018年11月8日
(54)【発明の名称】反芻動物用飼料の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23K 50/10 20160101AFI20181012BHJP
A23K 10/32 20160101ALI20181012BHJP
【FI】
A23K50/10
A23K10/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-72804(P2017-72804)
(22)【出願日】2017年3月31日
(71)【出願人】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126169
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 淳子
(74)【代理人】
【識別番号】100130812
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 淳
(72)【発明者】
【氏名】簑原 大介
(72)【発明者】
【氏名】新倉 宏
(72)【発明者】
【氏名】黒須 一博
【テーマコード(参考)】
2B005
2B150
【Fターム(参考)】
2B005BA00
2B005BA07
2B150AA02
2B150AB01
2B150AB10
2B150AE05
2B150AE25
2B150AE33
2B150AE48
2B150BE03
2B150CA31
2B150DD40
2B150DD44
(57)【要約】
【課題】 カビ等による生物汚染が起こるリスクの少なく、消化性も優れたリグノセルロースを含む反芻動物用飼料の成型物を効率的に得る方法を提供する。
【解決手段】 リグノセルロース物質を含む反芻動物用飼料の製造方法において、含水率を10〜20質量%とし、かつカッパー価が20以下のリグノセルロース物質、好ましくはクラフトパルプを圧縮成型することによって含水率15質量%以下の成型物とすることにより反芻動物用飼料を製造する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リグノセルロース物質を含む反芻動物用飼料の製造方法であって、含水率10〜20質量%、かつカッパー価が20以下のリグノセルロース物質を圧縮成型することにより含水率15質量%以下の成型物とする工程を含む、反芻動物用飼料の製造方法。
【請求項2】
リグノセルロース物質がクラフトパルプであることを特徴とする請求項1記載の反芻動物用飼料の製造方法。
【請求項3】
リグノセルロース物質を圧縮成型する際に、成型後に乾燥工程を含まないことを特徴とする請求項1ないし2記載の反芻動物用飼料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リグノセルロース物質を含有する反芻動物用飼料の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本技術は少ないプロセスでカビ等による生物汚染が起こるリスクの少ない、含水率15%以下のリグノセルロース成型物を得ることを目的としている。特許文献1にはリグノセルロース物質であるパルプをペレット成型前に含水率を15から35質量%に調整することが記載されている。しかし上記の範囲に含水率を調整したパルプからペレットを製造した場合、ペレットの含水率は一般的にカビの発生が懸念される15質量%以上となる場合が生じ、長期間の流通・保管に不適である。仮にカビの発生を抑制する場合、ペレットの乾燥工程が必要となり、ペレット製造プロセスが長大化する。同様に特許文献2にカッパー価90以下、またはカッパー価30以下でかつISO白色度30%以上のクラフトパルプから製造したペレットについて記載があるが、本特許文献においてもペレットの乾燥工程を必要とし、プロセスの長大化が考えられた。
【0003】
特許文献3には木質ペレットの製造方法について記載がある。木質資源をペレット成型する場合、ペレット成型の際に生じる摩擦熱によってリグニンを溶融させることで接着剤の役割を持たせ、成型する。一方で、反芻動物はリグニンを消化することができず、反芻動物用飼料として木質資源を用いるためには、クラフト法などによる木質資源の脱リグニンが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特願2016−129003号公報
【特許文献2】特開2015−198653号公報
【特許文献3】特許第4338747号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、脱リグニンしたクラフトパルプは接着剤の役割を果たすリグニンが、ほぼ含まれていないことから、繊維同士の水素結合等による絡み合いが重要となり、ペレット成型前のパルプの含水率が重要になる。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、少ないプロセスでカビ等による生物汚染が起こるリスクの少ない、含水率15%以下のリグノセルロース物質を含む反芻動物用飼料の成型物を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発明者らは、上記課題について鋭意検討したところ、圧縮成型する前のリグノセルロース物質の含水率を調製することにより、飼料として消化性に優れ、カビ等による生物汚染が起こるリスクが少なく、かつ搬送性にも優れた形態に加工することが可能となった。
【0008】
すなわち、本発明は以下の発明を含む。
(1) リグノセルロース物質を含む反芻動物用飼料の製造方法であって、含水率10〜20質量%、かつカッパー価が20以下のリグノセルロース物質を圧縮成型することにより含水率15質量%以下の成型物とする反芻動物用飼料の製造方法。
(2) リグノセルロース物質がクラフトパルプであることを特徴とする(1)に記載の反芻動物用飼料の製造方法。
(3) リグノセルロース物質を圧縮成型する際に、成型後に乾燥工程を含まないことを特徴とする(1)ないし(2)に記載の反芻動物用飼料の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ペレット成型の際の摩擦熱を利用することで、乾燥工程を経ることなく、カビの発生を抑えられる含水率155質量%以下のペレットを製造することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に記載する。
【0011】
本発明で製造する反芻動物用飼料の成型物は、含水率10質量%以上20質量%以下、好ましくは11質量%以上19質量%以下、さらに好ましくは14質量%以上19質量%以下に調整されたリグノセルロース物質から製造する。リグノセルロース物質の含水率が10%未満の場合、繊維間結合が形成されず成型することが困難であり、20質量%以上の場合、成型が可能だとしてもペレット成型の際の摩擦熱のみで含水率15質量%以下のペレットを製造することが困難である。すなわち、リグノセルロース物質の含水率を10質量%以上20質量%以下にすることにより、特に乾燥工程を設けなくても、成型する前の摩擦熱により含水率が15質量以下の成型物とすることが可能となり、カビの発生を抑えることができる。なお、含水率とは、含水率(質量%)=(A−B)/A(A:乾燥前のパルプ質量、B:絶乾燥後のパルプ質量)、で算出される。
【0012】
含水率10質量%以上20質量%以下に脱水するための脱水機器としては、フィルタープレス、ベルトプレス、ロールプレス、スクリュープレス、ドラム脱水機が挙げられる。また、脱水前のリグノセルロース物質のスラリーの含水率は45質量%以上70質量%以下であることが望ましい。
【0013】
ペレット化するために圧縮成型を行うための装置は特に限定されていないが、ブリケッター(北川鉄工所(株)製)、リングダイ式ペレタイザー(CPM(株)製)、フラットダイ式ペレタイザー(北川鉄工所(株)製)等が望ましい。
【0014】
本発明の対象となるリグノセルロース物質として好ましいものは、リグノセルロースを原料とする公知の種々のパルプ化法によって製造されたパルプである。例えば、機械パルプ、化学パルプのいずれもが適用可能である。機械パルプとしては、砕木パルプ(GP)、リファイナーグラウンドウッドパルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等が挙げられる。化学パルプとしては、クラフトパルプ(KP)、溶解クラフトパルプ(DKP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解サルファイトパルプ(DSP)等が挙げられる。また、漂白パルプ、未漂白パルプのいずれも使用できる。これらの中ではクラフトパルプが好ましい。
【0015】
本発明において、パルプは1種類のものから成るものでもよく、複数のパルプを混合したものでもよい。例えば、原料や製造方法の異なる化学パルプ(広葉樹クラフトパルプ、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹溶解クラフトパルプ、針葉樹溶解クラフトパルプ)、あるいは機械パルプ(砕木パルプ、リファイナーグラウンドウッドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ)、を2種以上混合して使用してもよい。
【0016】
リグノセルロースとしては木材が好ましい。原料の木材としては、例えば、広葉樹、針葉樹、雑木、タケ、ケナフ、バガス、パーム油搾油後の空房が使用できる。具体的には、広葉樹としては、ブナ、シナ、シラカバ、ポプラ、ユーカリ、アカシア、ナラ、イタヤカエデ、センノキ、ニレ、キリ、ホオノキ、ヤナギ、セン、ウバメガシ、コナラ、クヌギ、トチノキ、ケヤキ、ミズメ、ミズキ、アオダモ等が例示される。針葉樹としては、スギ、エゾマツ、カラマツ、クロマツ、トドマツ、ヒメコマツ、イチイ、ネズコ、ハリモミ、イラモミ、イヌマキ、モミ、サワラ、トガサワラ、アスナロ、ヒバ、ツガ、コメツガ、ヒノキ、イチイ、イヌガヤ、トウヒ、イエローシーダー(ベイヒバ)、ロウソンヒノキ(ベイヒ)、ダグラスファー(ベイマツ)、シトカスプルース(ベイトウヒ)、ラジアータマツ、イースタンスプルース、イースタンホワイトパイン、ウェスタンラーチ、ウェスタンファー、ウェスタンヘムロック、タマラック等が例示される。
【0017】
クラフトパルプ
本発明におけるパルプは、好ましい態様においてクラフトパルプを含み、特に好ましくは木材由来のクラフトパルプを含む。なお、クラフトパルプのカッパー価を20以下である必要があり、10以下が好ましい。カッパー価は20以下にすることにより反芻動物の嗜好性が向上し、消化性も向上する。また、ISO白色度は特に限定されないが、ISO白色度が30%以上であることが好ましく、40%以上であることがさらに好ましく、50%以上が特に好ましい。
【0018】
木材チップからクラフトパルプを製造する場合、木材パルプは、蒸解液と共に蒸解釜へ投入され、クラフト蒸解に供する。また、MCC、EMCC、ITC、Lo−solidなどの修正クラフト法の蒸解に供しても良い。また、1ベッセル液相型、1ベッセル気相/液相型、2ベッセル液相/気相型、2ベッセル液相型などの蒸解型式なども特に限定はない。すなわち、本願のアルカリ性水溶液を含浸し、これを保持する工程は、従来の蒸解液の浸透処理を目的とした装置や部位とは別個に設置してもよい。好ましくは、蒸解を終えた未晒パルプは蒸解液を抽出後、ディフュージョンウォッシャーなどの洗浄装置で洗浄する。
【0019】
クラフト蒸解工程は、木材チップをクラフト蒸解液とともに耐圧性容器に入れて行うことができるが、容器の形状や大きさは特に制限されない。木材チップと薬液の液比は、例えば、1.0〜5.0L/kgとすることができ、1.5〜4.5L/kgが好ましく、2.0〜4.0L/kgがさらに好ましい。
【0020】
また、本発明においては、パルプのカッパー価の低下、パルプ収率の改善、粕の低減、パルプ粘度低下の抑制等を目的として、絶乾チップ当たり0.01〜1.5質量%のキノン化合物を含むアルカリ性蒸解液を蒸解釜に添加してもよい。キノン化合物の添加量が0.01質量%未満であると添加量が少なすぎて蒸解後のパルプのカッパー価が低減されず、カッパー価とパルプ収率の関係が改善されない。さらに、粕の低減、粘度の低下の抑制も不十分である。また、キノン化合物の添加量が1.5質量%を超えてもさらなる蒸解後のパルプのカッパー価の低減、及びカッパー価とパルプ収率の関係の改善は認められない。
【0021】
使用されるキノン化合物はいわゆる公知の蒸解助剤としてのキノン化合物、ヒドロキノン化合物又はこれらの前駆体であり、これらから選ばれた少なくとも1種の化合物を使用することができる。これらの化合物としては、例えば、アントラキノン、ジヒドロアントラキノン(例えば、1,4−ジヒドロアントラキノン)、テトラヒドロアントラキノン(例えば、1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン、1,2,3,4−テトラヒドロアントラキノン)、メチルアントラキノン(例えば、1−メチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン)、メチルジヒドロアントラキノン(例えば、2−メチル−1,4−ジヒドロアントラキノン)、メチルテトラヒドロアントラキノン(例えば、1−メチル−1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン、2−メチル−1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン)等のキノン化合物であり、アントラヒドロキノン(一般に、9,10−ジヒドロキシアントラセン)、メチルアントラヒドロキノン(例えば、2−メチルアントラヒドロキノン)、ジヒドロアントラヒドロアントラキノン(例えば、1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシアントラセン)又はそのアルカリ金属塩等(例えば、アントラヒドロキノンのジナトリウム塩、1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシアントラセンのジナトリウム塩)等のヒドロキノン化合物であり、アントロン、アントラノール、メチルアントロン、メチルアントラノール等の前駆体が挙げられる。これら前駆体は蒸解条件下ではキノン化合物又はヒドロキノン化合物に変換する可能性を有している。
【0022】
蒸解液は、木材チップが針葉樹の場合、対絶乾木材チップ重量当たりの活性アルカリ添加率(AA)を16〜22質量%とすることが好ましい。活性アルカリ添加率を16質量%未満であるとリグニンやヘミルロースの除去が不十分となり、22質量%を超えると収率の低下や品質の低下が起こる。ここで活性アルカリ添加率とは、NaOHとNa
2Sの合計の添加率をNa
2Oの添加率として換算したもので、NaOHには0.775を、Na
2Sには0.795を乗じることでNa
2Oの添加率に換算できる。また、硫化度は20〜35%の範囲が好ましい。硫化度20%未満の領域においては、脱リグニン性の低下、パルプ粘度の低下、粕率の増加を招く。
【0023】
クラフト蒸解は、120〜180℃の温度範囲で行うことが好ましく、140〜160℃がより好ましい。温度が低すぎると脱リグニン(カッパー価の低下)が不十分である一方、温度が高すぎるとセルロースの重合度(粘度)が低下する。また、本発明における蒸解時間とは、蒸解温度が最高温度に達してから温度が下降し始めるまでの時間であるが、蒸解時間は、60分以上600分以下が好ましく、120分以上360分以下がさらに好ましい。蒸解時間が60分未満ではパルプ化が進行せず、600分を超えるとパルプ生産効率が悪化するために好ましくない。
【0024】
また、本発明におけるクラフト蒸解は、Hファクター(Hf)を指標として、処理温度及び処理時間を設定することができる。Hファクターとは、蒸解過程で反応系に与えられた熱の総量を表す目安であり、下記の式によって表わされる。Hファクターは、チップと水が混ざった時点から蒸解終了時点まで時間積分することで算出する。Hファクターとしては、300〜2000が好ましい。
【0025】
Hf=∫exp(43.20−16113/T)dt
[式中、Tはある時点の絶対温度を表す]
本発明においては、蒸解後得られた未漂白(未晒)パルプは、必要に応じて、種々の処理に供することができる。例えば、クラフト蒸解後に得られた未漂白パルプに対して、漂白処理を行うことができる。
【0026】
クラフト蒸解で得られたパルプについて、酸素脱リグニン処理を行うことができる。本発明に使用される酸素脱リグニンは、公知の中濃度法あるいは高濃度法がそのまま適用できる。中濃度法の場合はパルプ濃度が8〜15質量%、高濃度法の場合は20〜35質量%で行われることが好ましい。酸素脱リグニンにおけるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを使用することができ、酸素ガスとしては、深冷分離法からの酸素、PSA(Pressure Swing Adsorption)からの酸素、VSA(Vacuum Swing Adsorption)からの酸素等が使用できる。
【0027】
酸素脱リグニン処理の反応条件は、特に限定はないが、酸素圧は3〜9kg/cm
2、より好ましくは4〜7kg/cm
2、アルカリ添加率は0.5〜4質量%、温度は80〜140℃、処理時間は20〜180分、この他の条件は公知のものが適用できる。なお、本発明において、酸素脱リグニン処理は、複数回行ってもよい。
【0028】
さらなるカッパー価を低下させ、白色度を向上させる場合、酸素脱リグニン処理が施されたパルプは、例えば、次いで洗浄工程へ送られ、洗浄後、多段漂白工程へ送られ、多段漂白処理を行うことができる。本発明の多段漂白処理は、特に限定されるものではないが、酸(A)、二酸化塩素(D)、アルカリ(E)、酸素(O)、過酸化水素(P)、オゾン(Z)、過酸等の公知の漂白剤と漂白助剤を組み合わせるのが好適である。例えば、多段漂白処理の初段は二酸化塩素漂白段(D)やオゾン漂白段(Z)を用い、二段目にはアルカリ抽出段(E)や過酸化水素段(P)、三段目以降には、二酸化塩素や過酸化水素を用いた漂白シーケンスが好適に用いられる。三段目以降の段数も特に限定されるわけではないが、エネルギー効率、生産性等を考慮すると、合計で三段あるいは四段で終了するのが好適である。また、多段漂白処理中にエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)等によるキレート剤処理段を挿入してもよい。
【0029】
本発明の反芻動物用飼料は、他の飼料と併せて反芻動物に給与することができる。他の飼料成分としては、粗飼料(例えば牧草)、濃厚飼料(例えばトウモロコシ、麦などの穀類、大豆などの豆類)、ふすま、米糠、おから、蛋白質、脂質、ビタミン、ミネラルなどや添加剤(保存料、着色料、香料等)、等が挙げられる。これらの他の飼料成分は圧縮成型を行う際に、木材パルプに混合させてもよい。
【0030】
本発明のペレットは、水分含有率を15%以下とすることが好ましい。水分含有率を15%以下とすることで、運搬性が向上し、微生物による腐敗を軽減できる。
【0031】
本発明のペレットは、ペレット径が4〜8mm、長さが5〜80mmであることが好ましい。
【実施例】
【0032】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0033】
実験1:パルプを原料とする飼料ペレットの製造
ユーカリ材のチップを活性アルカリ添加率16.0%、硫化度25%、Hファクター800にてクラフト蒸解を行い、未晒クラフトパルプを得た(カッパー価:19.0、ISO白色度:27.7%)。
【0034】
上記未晒クラフトパルプを水道水で洗浄し濃度10%に調製後、酸素添加率2.1%(絶乾パルプ重量当たり)、水酸化ナトリウム1.4%(絶乾パルプ重量当たり)、100℃、60分にて酸素脱リグニン処理を行い、酸素脱リグニンクラフトパルプを得た(カッパー価:8.9、ISO白色度:46.1%)。
【0035】
得られた酸素脱リグニンクラフトパルプを水道水で洗浄したのち、遠心脱水機にて脱水し含水率67.4質量%に調整した。
【0036】
上記のクラフトパルプを二軸式廃プラスチック減容固化機(小熊鉄工所製、型式:DP−3(N))で含水率9.6質量%以上20.1質量%以下の範囲に脱水した。なお、脱水能力の調整は、先端ノズルの形状とコニカルスクリューの変更によって行った。
【0037】
得られた脱水物をペレタイザー(北川鉄工所製、型式:PKS−080)に、それぞれ投入した。含水率9.6%(サンプル1)の脱水品をペレタイザーに投入したところ、脱水物が非常に硬いことからペレタイザーが過負荷運転となり、ペレット成型ができなかった。一方、含水率10.6から20.1質量%(サンプル2〜7)の場合、ペレット成型可能であった。しかしながら、含水率20.1質量%(サンプル7)では摩擦熱のみで含水率15%以下のペレットを製造できなかった。
【0038】
実験2:セルラーゼ糖化試験
実験1にて製造したペレットを、ポリ製サンプル瓶(50ml容)に、1mm以下に粉砕した風乾試料約400mgを秤量する。セルラーゼ・オノズカ(ヤクルト工業製、飼料分析用)をpH4.0の酢酸緩衝液に1%濃度で懸濁したものを約45mlサンプル瓶にいれ、栓をし、40℃の恒温振とう機で72時間振とうした。酵素処理後、あらかじめ恒量を求めておいたろ紙上で、ろ過し、4回水洗を行った後、ろ紙とともにアルミ皿に入れ、135℃の通風乾燥器で2時間乾燥したのち、残渣の乾物量を測定する。残渣を磁製ルツボに移し、600℃で2時間灰化し、灰分量を求めた。試料の有機物含量をあらかじめ求めておき、下記式1よりセルラーゼによる有機物消化率を求めた。
【0040】
表1に結果を示したが、クラフトパルプを用いたため、有機物消化率は80%前後と非常に高い値だった。