【実施例】
【0046】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものでない。本実施例に用いた評価方法および測定方法は以下の通りである。
【0047】
<ポッティング部端面における脂溶性抗酸化剤(ビタミンE)の存在量の測定>
実施例又は比較例の中空糸膜型血液浄化器の充填液を排出し、体液流路域および透析液流路域を室温の純水で低流速で約3分間水洗した後、0.05MPa程度の圧気を約1分間通気し、水分を除去した。前記血液浄化器を分解して遮光下で一晩風乾し、両ポッティング部(血液入口側及び出口側)を端面から厚さ1mmに薄くスライスした。スライスした端面をおおよそ4−8等分割し、これらを8分目程度からちょうどで収容できる容積を有し、系内を密閉できる容器に入れた。続いて、サンプルがひたひたに浸る量(この場合10mL)の99.5%EtOH(和光純薬社製)を静かに注ぎ、容器に蓋をして密閉した。室温で12時間、振とう振動を加えながら、ビタミンEの抽出を行った。
定量は、液体クロマトグラフ法により行い、ビタミンE標準溶液のピーク面積から得た検量線を用いて、抽出液のビタミンE量を求めた。高速液体クロマトグラフ装置(JASCO社製UV−2075plus intelligent UV/VIS Detecter、PU−2080plusintelligent HPLC pump、CO−2065plus intelligent column oven、AS−2057plus intelligent sampler、データ処理:ChromNAV version 1.19.03)に、カラム(Shodex Asahipak ODP−50 6E packed column for HPLC)を取り付け、カラム温度40℃において、移動相である高速液体クロマトグラフィー用メタノールを流量1mL/minで通液し、紫外部の吸収ピークの面積からビタミンE濃度を求めた。この濃度と端面の面積から、抽出効率を100%として、ポッティング部端面に存在する脂溶性抗酸化剤量(mg/m
2)を求めた。
【0048】
ここで、ポッティング部の端面の面積とは、
図3、4に示すように、ポッティング部端面の直径から求められる面積から中空糸膜内空部の面積を除いた部分のことである。すなわち、容器4内側に近接するポッティング樹脂3からなるポッティング部2の直径D
2、および中空糸膜内径D
3、中空糸膜本数nより、以下の式1から求められる。
式1:(ポッティング部端面の面積)=(D
2/2)
2×π−(D
3/2)
2×π×n
【0049】
<ポッティング部端面における脂溶性抗酸化剤の規格化ピーク強度>
実施例又は比較例の中空糸膜型血液浄化器の充填液を排出し、体液流路域および透析液流路域を室温の純粋で低流速で約3分間水洗した後、0.05MPa程度の圧気を約1分間通気し、水分を除去した。前記血液浄化器を分解してポッティング部を切り出し、遮光下で一晩風乾した。乾燥したポッティング部端面の中心部および外周部各々から、端面を薄く削ぎ取り、厚さ約0.5mm、直径約5mmのサンプルを作成した。得られたサンプルのビタミン被覆側表面のうち、中空糸が密集していないウレタン樹脂部位をTOF−SIMS装置(nano−TOF,アルバック・ファイ社製)を用いて測定した。測定条件は、一次イオンBi
3++、加速電圧30kV、電流0.1nA(DCとして)、分析面積200μm×200μm、積算時間5minで行い、検出器により正イオン(m/z=430 の分子イオン)を検出イオンとしてスペクトルを検出した。本測定装置の特性上、測定深さは表面から1〜2nmまでに相当する。該スペクトルから得られたビタミンE(α−トコフェロール)ピークのイオン強度(IV)を、プロトンのイオン強度IH、ナトリウムのイオン強度INa、及び、m/z=0.5〜2000の質量範囲について得られたイオン強度の総和である総イオン強度ITを用い、以下の式2により規格化ピーク強度に変換した。
式2:(ビタミンEの規格化ピーク強度)=IV/(IT−IH−INa)×1000
【0050】
<ポッティング部端面におけるタンパク付着量>
実施例又は比較例の中空糸膜型血液浄化器の充填液を排出し、体液流路域および透析液流路域を室温の純水で低流速で約3分間水洗した後、0.05MPa程度の圧気を約1分間通気し、水分を除去した。前記血液浄化器を分解して遮光下で一晩風乾し、血液入口側または血液出口側のポッティング部を端面から厚さ1mmに薄くスライスした。濃度300μg/mLに調製した牛血漿フィブリノゲン(BPF)のリン酸緩衝生理食塩水(pH:7.4、以下PBS(−)と表記)5mLが入った直径5cmのシャーレに、スライスした端面をビタミンEの被覆面が下になるようにして入れてBPF溶液と接触させ、37℃にて1時間インキュベートを行った。インキュベート後、BPF溶液を除去した後、PBS(−)5mLにてサンプル表面をリンスする操作を5回行った。さらに1%SDS PBS(−)溶液4mLを用いてサンプル表面を十分に洗浄した。洗浄液中のタンパク濃度をmicro BCAキットにて定量した。
【0051】
<ポッティング部端面における血球付着数>
実施例又は比較例の中空糸膜型血液浄化器の充填液を排出し、体液流路域および透析液流路域を室温の純水で低流量で約3分間水洗した後、0.05MPa程度の圧気を約1分間通気し、水分を除去した。前記血液浄化器を分解して遮光下で一晩風乾し、血液入口側または血液出口側のポッティング部を端面から厚さ1mmに薄くスライスした。スライスした端面の中央部から1cm
2の正方形を切出し、サンプルとした。サンプルをシャーレに入れ、ヘパリン(1,000単位/L)添加豚血0.1mLをサンプルの表面(端面側)に滴下し、室温で30分静置した。静置後、端面の反対側から生理食塩水約10mLを用いて洗浄した。続いてサンプルを0.2%グルタルアルデヒド水溶液に1時間浸漬し、さらに2%グルタルアルデヒド水溶液に1時間浸漬して細胞を固定化した。注射用蒸留水でサンプルを洗浄した後、凍結乾燥した。
【0052】
次に、イオンスパッターでサンプル表面(端面側)に導電性処理を行い、電子顕微鏡(S−3000N)で倍率300倍観察した。
図5に示す、血液を滴下した部分の外周部を除くA、B、Cの3箇所を観察し、各場所の観察した視野範囲におけるポッティング樹脂および中空糸膜切断面上の血球数をカウントし、A、B、Cの血球数の平均値を算出した。
【0053】
[実施例1]
製膜紡糸原液は、ジメチルアセトアミド(キシダ化学社製、特級試薬)79wt%にポリスルホン(ソルベイ社製、P−1700)17wt%及びポリビニルピロリドン(ビーエーエスエフ社製、K−90)4wt%を溶解して作製した。中空内液はジメチルアセトアミド60wt%水溶液を用いた。
チューブインオリフィス型の紡糸口金から、製膜紡糸原液及び中空内液を吐出させた。吐出時の製膜紡糸原液の温度は40℃とした。吐出した製膜紡糸原液をフードで覆った落下部を経て水よりなる60℃の凝固浴に浸漬して凝固させた。その際にエアーギャップ長を400mm、紡糸速度を30m/minとした。凝固後、水洗、乾燥を行い、血液浄化膜を得た。ここで、乾燥温度160℃、乾燥時間100秒とした。なお、乾燥後の膜厚が43μm、内径が200μmとなるように製膜紡糸原液及び中空内液の吐出量を調整した。
次に、乾燥後の膜束を、液体の導入及び導出用の2本のノズルを有する筒状容器に充填して両端部をウレタン樹脂で包埋後、硬化したウレタン樹脂部分を切断して中空糸膜が開口した端面に加工し、膜面積1.3m
2の中空糸膜束モジュールを組み立てた。
次に、該中空糸膜束モジュールを、脂溶性抗酸化剤含有コート液のコート装置に縦向きにセットした。この際、コート溶液の流路ホースと中空糸膜束モジュールのポッティング部とを接続する治具として、治具ノズル内径D
1、ポッティング部端面の直径D
2の比(D
1/D
2)が0.2であり、かつテーパー角度が60°であるものを用いた。
続いて、イソプロピルアルコール57wt%の水溶液に、ビタミンE(α−トコフェロール(和光純薬工業 特級))を0.5wt%溶解したコート液を、24℃温度下で治具のノズルからポッティング部端面を通じて体液流路表面側(中空糸膜の内表面)に流速1250mL/minで下方から上方に向かって通液して、ポッティング部端面及び中空糸膜表面にα−トコフェロールを接触させた。その後、エアフラッシュして中空糸内空部の残液を除去した後、40℃の乾燥空気を30分間通気して溶媒を乾燥除去することにより、ポッティング部端面及び中空糸膜表面にα−トコフェロールを固定化した。
次いで、中空糸膜束モジュールの両端部に血液導入(導出)用のノズルを有するヘッダーキャップを装填し、血液浄化器の形状に組み上げた。この時、α−トコフェロールの多い端面(コート装置にセットした際に上側であった方の面)を血液入口側、少ない端面を血液出口側となるように組み上げた。
湿潤化工程として、抗酸化剤である亜硫酸水素ナトリウムを0.06%含み、さらにpH調整のための炭酸ナトリウムを0.03%含む水溶液を血液浄化器の血液側流路(内表面側)及び濾液側流路(外表面側)に充填し、各ノズルを密栓した状態でγ線を25kGy照射滅菌することにより、血液浄化器を完成させた。
【0054】
[実施例2]
コート液のα−トコフェロール(和光純薬工業 特級)の濃度を0.25wt%に変更した以外は、実施例1と同じ方法により、実施例2の血液浄化器を得た。
【0055】
[実施例3]
コート液のα−トコフェロール(和光純薬工業 特級)の濃度を1.0wt%に変更した以外は、実施例1と同じ方法により、実施例3の血液浄化器を得た。
【0056】
[実施例4]
実施例1と同様にして中空糸膜束モジュールを製造し、中空糸膜束モジュールを横向きにした以外は実施例1と同様にして中空糸膜束モジュールをコート装置にセットした。
続いて、コート液の流速を1500mL/minとした以外は実施例1と同様に通液を行って、ポッティング部端面及び中空糸膜表面に、α−トコフェロールを固定化した。
この両端部に、α−トコフェロールの多い端面を血液入口側、少ない端面を血液出口側となるように血液導入(導出)用のノズルを有するヘッダーキャップを装着し、血液浄化器の形状に組み上げ、実施例1と同様に湿潤化工程及び滅菌を経て、実施例4の血液浄化器を得た。
【0057】
[実施例5]
α−トコフェロールの多い端面を血液出口側、少ない端面を血液入口側となるように組み上げた以外は、実施例1と同じ方法により実施例5の血液浄化器を得た。
【0058】
[比較例1]
脂溶性抗酸化剤含有コート液の通液を行わなかった以外は実施例1と同様にして、比較例1の血液浄化器を得た。
【0059】
[比較例2]
実施例1と同様にして中空糸膜束モジュールを製造し、コート溶液の流路ホースと中空糸膜束モジュールのポッティング部とを接続する治具として、治具ノズル内径D
1、ポッティング部の直径D
2の比(D
1/D
2)が0.02であり、かつテーパー角度が0°であるものを用いた以外は実施例1と同様にして中空糸膜束モジュールをコート装置にセットした。
続いて、コート液の流速を1500mL/minとした以外は実施例1と同様に通液を行って、ポッティング部端面及び中空糸膜表面にα−トコフェロールを固定化した。
この両端部に、α−トコフェロールの多い端面を血液入口側、少ない端面を血液出口側となるように血液導入(導出)用のノズルを有するヘッダーキャップを装着し、血液浄化器の形状に組み上げ、実施例1と同様にして、比較例2の血液浄化器を得た。
【0060】
[比較例3]
実施例1と同様にして中空糸膜束モジュールを製造し、コート溶液の流路ホースと中空糸膜束モジュールのポッティング部とを接続する治具として、治具ノズル内径D
1、ポッティング部の直径D
2の比(D
1/D
2)が0.02であり、かつテーパー角度が0°であるものを用い、中空糸膜束モジュールを横向きにした以外は実施例1と同様にして中空糸膜束モジュールをコート装置にセットした。
続いて、コート液の流速を1500mL/minとした以外は実施例1と同様に通液を行って、ポッティング部端面及び中空糸膜表面に、α−トコフェロールを固定化した。
この両端部に、α−トコフェロールの多い端面を血液入口側、少ない端面を血液出口側となるように血液導入(導出)用のノズルを有するヘッダーキャップを装填し、血液浄化器の形状に組み上げ、実施例1と同様にして、比較例3の血液浄化器を得た。
【0061】
[比較例4]
製膜紡糸原液は、N,N−ジメチルアセトアミド77.7wt%にポリスルホン(ソルベイ社製P−1700)18.0wt%及びポリビニルピロリドン(ビーエーエスエフ社製 K90、重量平均分子量1,200,000)4.3wt%を溶解して作製した。ここで、製膜紡糸原液中のポリスルホンに対するポリビニルピロリドンの混和比率は23.9wt%であった。中空内液はN,N−ジメチルアセトアミド30wt%水溶液を用いた。
この製膜紡糸原液を60℃に保ち、中空内液とともに、2重環状紡口から吐出させ、0.96mのエアギャップを通過させて75℃の水からなる凝固浴へ浸漬し、80m/minにて巻き取った。この時、紡口から凝固浴までを円筒状の筒で囲み、筒の中に水蒸気を含んだ窒素ガスを流しながら、筒の中の湿度を54.5%、温度を51℃にコントロールした。紡速に対するエアギャップの比率は、0.012m/(m/min)であった。巻き取った糸束を切断後、束の切断面上方から80℃の熱水シャワーを2時間かけて洗浄することにより膜中の残溶剤を除去し、該膜をさらに乾燥することにより含水量が1%未満の乾燥膜を得た。
次に、該乾燥膜を用いて実施例1と同様にして、膜厚1.3m
2の中空糸膜モジュールを組み立て、この両端部に血液導入(導出)用のノズルを有するヘッダーキャップを装填、し血液浄化器の形状に組み上げた。
次に、イソプロピルアルコール57wt%の水溶液にα―トコフェロール(和光純薬工業 特級)を0.23wt%溶解したコート液を、血液浄化器の血液導入ノズルから中空糸膜の内腔部に52秒通液した。さらにエアフラッシュして内腔部の残液を除去した後、24℃の乾燥空気を30分間通気して溶媒を乾燥除去することにより、α―トコフェロールを固定化した。
実施例1と同様に湿潤化工程及び滅菌を経て、比較例4の血液浄化器を得た。
【0062】
[比較例5]
実施例1と同様にして得た乾燥後の中空糸膜の束を、実施例1と同じコート液中に、その長さ方向約1/5(胴端部)が浸るように縦に直接浸漬させた。5分経過後、中空糸膜束全体を5分間コート液中に浸漬させた。コート液から中空糸膜束を取出し、24℃の乾燥空気を30分間通気して溶媒を乾燥除去することにより、α−トコフェロールを固定化した。
α−トコフェロール固定化後の中空糸膜束を、液体の導入及び導出用の2本のノズルを有する筒状容器に充填して両端部をウレタン樹脂で包埋後、硬化したウレタン樹脂部分を切断して中空糸膜が開口した端面に加工し、膜面積1.3m
2の中空糸膜束モジュールを組み立てた。
次いで、中空糸膜束モジュールの両端部にα−トコフェロールで被覆されている端面が血液入口側となるように血液導入(導出)用のノズルを有するヘッダーキャップを装填し、血液浄化器の形状に組み上げ、実施例1と同様に湿潤化工程及び滅菌を経て、比較例5の血液浄化器を得た。
【0063】
[比較例6]
コート液のα−トコフェロール(和光純薬工業 特級)の濃度を0.02wt%に変更した以外は、実施例1と同じ方法により、比較例6の血液浄化器を得た。
【0064】
[比較例7]
コート液のα−トコフェロール(和光純薬工業 特級)の濃度を2.0wt%に変更した以外は、実施例1と同じ方法により、比較例7の血液浄化器を得た。
【0065】
[比較例8]
比較例1と同様にして、膜面積1.3m
2の中空糸膜束モジュールを組み立てた。
次いで、中空糸膜束モジュールの両端部に血液導入(導出)用のノズルを有するヘッダーキャップを装填し、血液浄化器の形状に組み上げた。
前記血液浄化器を、血液入口側(血液導入用ノズルを有するヘッダーキャップを装着した側)が上、血液出口側(血液導出用ノズルを有するヘッダーキャップを装着した側)が下となるように立て、上端に200mL用シリンジを接続し、下端を実施例1と同じコート液中に浸漬した。該シリンジのプランジャーを作動させて血液浄化器中にコート液を充填した。この状態で室温で約5分間放置した。次いで、前記血液浄化器を引き上げてコート液を排出させた後、アスピレーターを接続し、25℃の温度で送風乾燥した。さらに乾燥の完全を期すため、60℃のオーブン内に一夜放置した。
このようにして得られた血液浄化器は、血液入口側(コート液流出側、上側)のポッティング部端面に均一にα−トコフェロールを固定化することができなかった。その理由は明らかではないが、血液出口側(コート液流入側、下側)のポッティング部は、下部のヘッダー空間内に溜まったコート液により均一に固定化されるが、血液入口側(コート液流出側、上側)では、シリンジの液流入口径が狭く、コート液を引き上げる際に圧力損失の小さい膜束中心部に主にコート液が流れてしまうため、ポッティング部端面の外周部へコート液が行き渡らないことが原因と考えられる。
【0066】
以下に結果を示す。
【表1】
【0067】
<プライミング時のエア抜け性>
実施例1、5又は比較例1の血液浄化器内の残空気を追い出し、器内を完全に充填液で満たした後、血液入口側のヘッダー部から充填液を2mL廃棄して空気と置換した。容器内に空気が残存した状態で血液浄化器の血液流入口に送液チューブ、血液流出口に廃液チューブを取りつけて、それぞれ血液入口側流路および血液出口側流路を形成した。血液入口側のチューブ端は生理食塩水容器内に挿入し、チューブの途中にローラーポンプを取りつけた。血液浄化器は血液入口側が下方に血液出口側が上方となるように立てた状態にして固定した。
この状態において、ローラーポンプの流速を100mL/minに設定して、1分30秒間通液した後、血液浄化器を叩いてエアー抜き作業を行い、下記の項目について評価した。結果を表2に示す。
A:流路形成におけるエアー除去時間(分’秒)(血液入口側から器内に入れた2mLの空気が、血液出口側ヘッダー、血液出口側流路を経て外に排出されるまでに要した時間、プライミング作業時間)
B:モジュールを叩いた回数(空気が完全に抜けるのが確認できるまでに要したエアー抜き作業の回数(血液浄化器を叩いた回数))
【0068】
【表2】
【0069】
<血液循環後におけるポッティング部端面における血球付着数>
実施例又は比較例の血液浄化器のヘッダーと筒状容器のノズルに、各々、動脈ライン(血液導入ライン)、静脈ライン(血液導出ライン)、濾過ラインの回路をそれぞれ接続し、生理食塩水(大塚製薬株式会社製、大塚生食注)1500mL以上を50〜100mL/minで流して洗浄した(以下、プライミングと称す)。本操作は、血液ライン、濾過ライン、および中空糸膜厚部を生理食塩水と置換できればよいので、例えば、濾過液出口を閉塞して血液入口側から血液出口側に500mL、血液出口を閉塞して血液入口側から濾過液出口側に500mL、血液入口側から血液出口側および濾過液出口側に500mL、それぞれ生理食塩水を流すと良い。
続いて、豚新鮮血2Lにヘパリン20mLを添加して得た抗凝固化豚血液(ヘパリン10,000単位/L)を、ヘマトクリット値が40±2%にとなるよう生理食塩水で希釈し、血液側試験液を得た。また、注射用水5.6Lにキンダリー透析剤AF2号(扶桑薬品工業株式会社製)のA液170mLとB液210mLを加えて希釈して透析液を調製した。
【0070】
1.CHDモード
血液側試験液及び透析液を37±1℃に保温して、液面がゆっくりと動く程度の速度でスターラーを用いて撹拌した。実施例1、5又は比較例1の血液浄化器を
図6に示す試験回路に気泡が混入しないようにセットし、血液浄化器の血液入口流量(Qb
in)が100mL/min、透析液流量(Qd)が15mL/minになるよう、それぞれのポンプを調整した。メスシリンダーを用いて、Qb
outおよびQdを1分間測定し、実際に設定の流量であることを確認した。
一旦、静脈側回路を外して、血液浄化器の生理食塩水を前記血液側試験液100mLと置換した後、再び回路をセットし、4時間血液側試験液及び透析液を流し、その後、生理食塩水1.5Lを100mL/minで流して血液浄化器を洗浄した。続いて、2%グルタルアルデヒド水溶液を通液して置換し、血液流路域を満たした状態で一晩浸漬し、細胞を固定化した。次いで、注射用水で洗浄した後、血液浄化器から回路を外して注射用水を排出し、血液浄化器の血液入口側および血液出口側のヘッダーを解体して外し、血液入口側(A側)及び血液出口側(V側)の各ポッティング部端面から5×10mmの長方形のサンプルを切り出した。
次に、イオンスパッターでサンプル表面(端面側)に導電性処理を行い、電子顕微鏡(S−3000N)で倍率500倍で観察し、
図8の各場所(A〜E)の観察視野範囲に存在する血球数(個)の平均値を算出した。結果を表3に示す。
【表3】
【0071】
2.CHFモード
血液側試験液を37±1℃に保温して、液面がゆっくりと動く程度の速度でスターラーを用いて撹拌した。実施例1、5又は比較例1の血液浄化器を
図7に示す試験回路に気泡が混入しないようにセットし、血液浄化器の血液入口流量(Qb
in)が100mL/min、血液出口側流量(Qb
out)が90mL/min、濾過流量(Qf)が10mL/minになるよう、それぞれのポンプを調整した。メスシリンダーを用いて、Qb
outおよびQfを1分間測定し、実際に設定の流量であることを確認した。
一旦、静脈側回路を外して、血液浄化器の生理食塩水を前記血液側試験液100mLと置換した後、再び回路をセットし、4時間血液側試験液を流した後、生理食塩水1.5Lを100mL/minで流して血液浄化器を洗浄した。続いて、2%グルタルアルデヒド水溶液を通液して置換し、血液流路域を満たした状態で一晩浸漬し、細胞を固定化した。次いで、注射用水で洗浄した後、血液浄化器から回路を外して注射用水を排出し、血液浄化器の血液入口側および血液出口側のヘッダーを解体して外し、血液入口側(A側)及び血液出口側(V側)の各ポッティング部端面から5×10mmの長方形のサンプルを切り出した。
次に、イオンスパッターでサンプル表面(端面側)に導電性処理を行い、電子顕微鏡(S−3000N)で倍率500倍で観察し、
図8の各場所(A〜E)の観察視野範囲に存在する血球数(個)の平均値を算出した。結果を表4に示す。
【0072】
【表4】