【実施例】
【0050】
以下、実施例および比較例に基づき本発明を更に具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例および比較例で「部」、「比」または「配合比」とあるのは質量基準である。
【0051】
実施例および比較例において用いた主剤および硬化剤に含まれる成分を以下に示す。また、実施例および比較例で用いた評価方法についても以下に示す。
【0052】
<主剤>
・MDI異性体混合品(4,4’−MDI/2,4’−MDI混合物):
(商品名“ルプラネートMI”、BASF INOAC ポリウレタン社製)
・MDI異性体混合品(4,4’−MDI/2,4’−MDI混合物):
(商品名“ミリオネートNM”、東ソー株式会社製)
・カルボジイミド変性MDI:
(商品名“ミリオネートMTL”、日本ポリウレタン工業社製)
【0053】
<硬化剤>
・ヒマシ油:分子量950
(商品名“ヒマシ油マル特A”、伊藤製油社製)
・T−400:ポリオキシプロピレントリオール、分子量400
(商品名“アクトコール T−400”、三井化学社製)
・フタル酸ジオクチル:
(商品名“フタル酸ジオクチル”、大八化学工業所製)
【0054】
<セメント粉>
・ポルトランドセメント粉:
(商品名“ポルトランドセメント”、太平洋セメント株式会社製)
【0055】
<粘度の測定方法>
粘度は、JIS K 7301:1995の「熱硬化性ウレタンエラストマー用トリレンジイソシアネート型プレポリマー試験方法 6.2粘度」に準じて、回転粘度計(東機産業(株)B8M型)を用い23℃で測定した。
【0056】
<混合初期粘度>
混合初期粘度は、液状主剤に所定量の硬化剤を添加し、攪拌した直後の混合系における23℃時の粘度のことである。上記回転粘度計によって測定することができる。
【0057】
<可使時間の評価方法>
(1)ウレタンプライマー:
主剤と硬化剤とを混合した後、混合液の23℃での粘度が500センチポイズ(mPa・s)に達するまでの時間(分)を、支障なく塗工できる時間(可使時間)とした。
(2)ウレタン塗膜材:
主剤と硬化剤とを混合した後、混合液の23℃での粘度が10万センチポイズに達するまでの時間(分)を、塗工できる時間(可使時間)とした。
【0058】
<硬化性の評価方法(指触法)>
主剤と硬化剤とを混合した後スレート板上に塗布し、塗布後16時間経過時点での塗膜の硬化状態を手で触わることにより硬化性を評価した。硬化性が特に良好なものを◎、良好なものを○、やや不良なものを△、不良なものを×とした。
【0059】
<接着試験方法(建研式試験)>
接着試験片:下地(コンクリート板)、上塗り材(HCスプレーAU)
接着試験機:デジタルゲージGC74/オックスジャッキ株式会社製
接着試験方法:プライマー塗布後翌日、3日後に上塗り塗布。1週間後建研式試験による評価する。材料破壊の面積割合(%)を3回の平均値で破壊状態として評価する。三回測定強度値と材料破壊の面積割合(%)を用いて、下記表(1-1)に記載する基準にしたがって判定評価する。なお、nは測定回数とする。
【0060】
<接着試験方法(180°ピール)>
接着試験片:下地(コンクリート板)、上塗り材(HCエコプルーフEN)
接着試験機:オートグラフ/島津製作所株式会社製
接着試験方法:プライマー塗布後翌日に不織布と共に上塗り材を塗布。1週間後オートグラフ試験により不織布を180°方向に引張り評価する。材料破壊の面積割合(%)を平均値で破壊状態として評価する。材料破壊の面積割合(%)を用いて、下記表(1-2)に記載する基準にしたがって判定評価する。
【0061】
【表1-1】
【0062】
【表1-2】
【0063】
以下の実施例および比較例に記載の商品名および原料名は、次の通りに略称する。
ルプラネートMI:MI(MDI異性体混合物)
ミリオネートNM:NM(MDI異性体混合物)
ミリオネートMTL:MTL(液状MDI)
アクトコール T−400:T−400
ヒマシ油マル特A:ヒマシ油
フタル酸ジオクチル:可塑剤
【0064】
[実施例1、比較例1]
(1)表(2−1)に示す組成の主剤および硬化剤を以下の手順に従って調製した。
(2)イソシアネート組成物(主剤)としては、MI、MTLを検討対象とし、冬期におけるMIの結晶化および低粘度化(23℃)等を考慮し、MDI異性体混合物(MI)の混合比は50/50とし、およびMI/MTL混合比を変化させた試料溶液を調製した。
(3)上記の<粘度の測定方法>に従って各主剤の試料溶液粘度(mPa・s/23℃)測定、および目視法により各試料の性状(5℃)を判定した。
(4)ポリオール組成物(硬化剤)は、ポリオキシアルキレンポリオールであるT−400、ヒマシ油、および可塑剤を所定量混合してポリオール組成物を得た。
(5)上記イソシアネート組成物および上記ポリオール組成物を、それぞれ23℃で24時間以上放置した後、23℃で上記主剤および硬化剤比が1/1となるように混合し、プライマーの混合初期粘度、可使時間(上記<可使時間の評価方法>に従う)を測定した。
(6)また上記の測定条件で、上記主剤および硬化剤にポルトランドセメント粉を混合比で1/1/1となるように混合し、塗布量0.3kg/m
2で塗布しその硬化性について試験を行なった。さらに、上記接着性試験方法に準じて、それぞれ基材(コンクリート板)とプライマー、プライマーと上塗り材(HCスプレーAU)との接着性試験を行なった。
(7)表(2−1)に示す比較例1−1についても、上記(1)〜(6)と同様に試験を実施した。結果を表(2−1)に記載する。
(8)表(2−2)に示す組成の主剤および硬化剤を以下の手順に従って調製した。
(9)イソシアネート組成物(主剤)としては、NM、MTLを検討対象とし、冬期におけるNMの結晶化および低粘度化(23℃)等を考慮し、MDI異性体混合物(NM)の混合比は45/55とし、およびNM/MTL混合比を変化させた試料溶液を調製した。
(10)上記の<粘度の測定方法>に従って各主剤の試料溶液粘度(mPa・s/23℃)測定、および目視法により各試料の性状(5℃)を判定した。
(11)ポリオール組成物(硬化剤)は、ポリオキシアルキレンポリオールであるT−400、ヒマシ油、および可塑剤を所定量混合してポリオール組成物を得た。
(12)上記イソシアネート組成物および上記ポリオール組成物を、それぞれ23℃で24時間以上放置した後、23℃で上記主剤および硬化剤比が1/1となるように混合し、プライマーの混合初期粘度、可使時間(上記<可使時間の評価方法>に従う)を測定した。
(13)また上記の測定条件で、上記主剤および硬化剤にポルトランドセメント粉を混合比で2/1/2となるように混合し、塗布量0.3kg/m
2で塗布した。さらに、上記接着性試験方法に準じて、それぞれ基材(コンクリート板)とプライマー、プライマーと上塗り材(HCエコプルーフEN)との接着性試験を行なった。
(14)表(2−2)に示す比較例1−2についても、上記(8)〜(13)と同様に試験を実施した。結果を表(2−2)に記載する。
【0065】
【表2-1】
【0066】
【表2-2】
【0067】
[実施例2]
(1)表3に示す条件で、4,4’−MDI/2,4’−MDIとの混合比を変えた主剤、および硬化剤を調製した。
(2)得られた主剤および硬化剤を用いて、上記実施例1と同様にプライマーの混合初期粘度(mPa・s/23℃)、可使時間(分)、およびプライマーの塗膜物性を測定した。
(3)さらに、基材(コンクリート板)とプライマー、プライマーと上塗り材(HCスプレーAU)との接着性試験を行なった。
(4)結果を表3に記載する。
【0068】
【表3】
【0069】
[実施例3、比較例3]
(1)表4に示す条件で、実施例1と同様に行い主剤および硬化剤を調製した。
(2)得られた主剤および硬化剤を用いて、実施例1と同様に粘度(mPa・s/23℃)、およびプライマーの混合初期粘度(mPa・s/23℃)、可使時間(分)を測定した。
(3)また、実施例1と同様に、上記主剤および硬化剤にポルトランドセメント粉を混合比で1/1/1となるように混合し、塗布量0.3kg/m
2で塗布しその硬化性について試験を行なった。さらに、基材(コンクリート板)とプライマー、プライマーと上塗り材(HCスプレーAU)との接着性試験を行なった。
(4)表4に示す比較例3−1〜3−3についても、上記(1)〜(3)と同様に試験を実施した。結果を表4に記載する。
【0070】
【表4】
【0071】
表4の実施例3−5及び比較例3−3(硬化剤組成)で、ポリオール中のT−400の割合が50部以上になると、主剤と混合後に急激なゲル化が見られる。
【0072】
[実施例4、比較例4]
(1)表5に示す条件で、実施例1と同様にして主剤および硬化剤を調製し、以下の実験を行なった。
(2)得られた主剤および硬化剤を用いて、主剤/硬化剤との当量比は0.7〜5.0の範囲内に変化させ、得られたプライマーの混合初期粘度、および可使時間を測定した。
(3)また、主剤および硬化剤にポルトランドセメント粉を表5に示す混合比になるように混合し、その硬化性について試験(指触法)を行なった。さらに、上記実施例1と同様に、それぞれ基材(コンクリート板)とプライマー、プライマーと上塗り材(HCスプレーAU)との接着性試験を行なった。
(4)表5に示す比較例4−1〜4−2についても、上記(1)〜(3)と同様に試験を実施した。結果を表5に記載する。
【0073】
【表5】
【0074】
[実施例5、比較例5]
(1)表6に示す条件で、実施例1と同様にして主剤および硬化剤を調製し、以下の実験を行なった。
(2)得られた主剤および硬化剤を用いて、主剤/硬化剤との混合比は1/1に固定し、得られたプライマーの混合初期粘度、および可使時間を測定した。
(3)また、主剤および硬化剤にポルトランドセメント粉を混合比1/1/(0〜3)となるように混合し、その硬化性について試験(指触法)を行なった。さらに、上記実施例1と同様に、それぞれ基材(コンクリート板)とプライマー、プライマーと上塗り材(HCスプレーAU)との接着性試験を行なった。
(4)表6に示す比較例5−1〜5−2についても、上記(1)〜(3)と同様に試験を実施した。結果を表6に記載する。
【0075】
【表6】
【0076】
[実施例6]
(1)表7に示す条件で、実施例1と同様にして主剤および硬化剤を調製し、他社商品(水系プライマー、一液湿気型ウレタンプライマー、特許対象品)との比較試験を実施した。結果を表7に記載する。
【0077】
【表7】
【0078】
表7の結果から、本発明の手塗り塗工用二液反応型の無溶剤ウレタンプライマーの塗工方法で得られた塗膜材は既存のウレタンプライマーと比べ、無臭気、良好な硬化性、及び優れた接着性がある塗膜材である。