【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の特徴は、
エンジン冷却水の放熱を行うラジエータと、
前記ラジエータを冷却する冷却ファンと、
前記冷却ファンの風向きを、前記ラジエータに冷却風が供給される正流状態と、前記正流状態とは逆向きの逆流状態とに切り替える切り替え機構と、
前記冷却ファンの風向きが前記正流状態と前記逆流状態とに順次切り替わり、かつ、前記正流状態が前記逆流状態よりも長い時間行われる交互モード、及び前記逆流状態が継続して行われる逆流モードを選択する選択部と、が備えられていることにある。
【0008】
本特徴構成によれば、交互モードでは、冷却ファンの風向きが正流状態と逆流状態とに順次切り替わり、かつ、正流状態が逆流状態よりも長い時間行われる。したがって、交互モードが選択された場合は、ラジエータを効果的に冷却すると共に、冷却ファンの風によって、ラジエータ周辺に付着した塵埃をある程度取り除くことができる。一方、逆流モードが選択された場合は、冷却ファンの風が逆流状態で継続して流れる。これにより、選択部によって逆流モードを選択すれば、冷却ファンの風向きを必要な時間ずっと逆流状態とすることができる。この結果、冷却ファンの風によって、ラジエータ周辺に付着した塵埃をしっかりと取り除くための時間を確保することができる。
【0009】
さらに、本発明において、
機体の状態を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて、機体の状態が特定条件を満たすか否かを判定する判定部と、が備えられ、
前記選択部は、前記判定部によって機体の状態が前記特定条件を満たしていると判定された場合、自動的に前記逆流モードを選択すると好適である。
【0010】
本特徴構成によれば、特定条件として、逆流状態が継続して行われるのに適した条件を設定することにより、逆流モードを適切なタイミングで選択することができる。
【0011】
さらに、本発明において、
エンジン駆動力によって駆動される作業装置と、
前記作業装置にエンジン駆動力を伝達する入状態と、前記作業装置へのエンジン駆動力を遮断する切状態とに切り替え可能な作業クラッチと、が備えられ、
前記特定条件は、エンジン回転数が一定回転数以下で、かつ、前記作業クラッチが前記入状態に設定されていると好適である。
【0012】
本特徴構成によれば、作業者が作業クラッチを入状態に切り替えたことをもって、作業者に逆流モードを選択する意思があることを確認することができる。すなわち、本特徴構成によれば、作業者に逆流モードを選択する意思があることを確認した上で、エンジン回転数が一定回転数以下というエンジン冷却水が比較的低温の状況下において、逆流モードを適切なタイミングで選択することができる。
【0013】
さらに、本発明において、
前記選択部は、前記正流状態において、エンジン回転数が前記一定回転数以下の場合に、前記作業クラッチが前記切状態から前記入状態に切り替わると、すぐさま前記逆流モードを選択すると好適である。
【0014】
本特徴構成によれば、作業クラッチが入状態に切り替わったタイミングに合わせて、正流状態から逆流状態への切り替えを早期に行うことができる。
【0015】
さらに、本発明において、
前記選択部は、前記正流状態において、エンジン回転数が前記一定回転数以下の場合に、前記作業クラッチが前記切状態から前記入状態に切り替わると、前記作業クラッチが前記入状態に切り替わった時から一定時間が経過した時に、前記逆流モードを選択すると好適である。
【0016】
作業者が意図せずに作業クラッチを入状態に切り替えてしまった場合(例えば、作業クラッチを入状態と切状態とに切り替え操作する操作具に、不意に身体が触れた場合)、すぐさま逆流モードが選択されると、都合が悪い場合がある。一方、作業クラッチが入状態に切り替わった時から一定時間が経過すれば、当該一定時間の経過をもって、作業者に逆流モードを選択する意志があると推認することができる。すなわち、本特徴構成によれば、作業者の意に反して逆流モードが選択されてしまう事態を回避することができる。
【0017】
さらに、本発明において、
前記交互モードは、エンジン回転数が前記一定回転数よりも高く、かつ、前記作業クラッチが前記入状態である場合に選択され、
前記選択部は、前記交互モード中において、エンジン回転数が前記一定回転数以下に低下した場合、前記正流状態であれば、前記交互モードにおける次の前記逆流状態に切り替わる時に前記逆流モードを選択し、前記逆流状態であれば、前記交互モードにおける前記逆流状態を継続することで、前記逆流モードに移行させると好適である。
【0018】
本特徴構成によれば、交互モードと逆流モードとで、逆流状態を行う制御構成を共通化して、制御構成の簡素化を図ることができる。
【0019】
さらに、本発明において、
前記選択部は、前記逆流モード中において、前記作業クラッチが前記切状態に切り替わることにより前記特定条件が満たされなくなった場合は、前記正流状態が継続して行われる正流モードに移行させ、エンジン回転数が前記一定回転数を超過することにより前記特定条件が満たされなくなった場合は、前記交互モードに移行させると好適である。
【0020】
本特徴構成によれば、逆流モードにおいて、作業クラッチが切状態に切り替わった場合は、作業者に逆流モードを中断する意思が認められる。この場合は、逆流状態が行われないように、正流モードに移行させるのが適切である。一方、逆流モードにおいて、エンジン回転数が一定回転数を超過することにより特定条件が満たされなくなった場合は、作業者が逆流モードを中断する意思を示した訳ではないため、正流モードではなく、交互モードに移行させるのが適切である。すなわち、本特徴構成によれば、逆流モード中において、特定条件が満たされなくなった態様に応じて、正流モードに移行させるか、あるいは、交互モードに移行させるかを適切に選択することができる。
【0021】
さらに、本発明において、
前記作業装置は、エンジン回転数が一定回転数よりも高い特定回転数以上の回転数領域において、通常作動するように構成され、
前記作業クラッチが前記入状態で、かつ、エンジン回転数が前記特定回転数よりも低い場合に、警報を行う警報装置が備えられていると好適である。
【0022】
本特徴構成によれば、逆流モードが選択されている場合、すなわち、エンジン回転数が一定回転数以下で、かつ、作業クラッチが入状態である場合は、警報装置によって警報が行われることになる。これにより、作用装置用の警報装置を利用して、作業者に逆流モードが選択されていることを明確に認識させることができる。
【0023】
さらに、本発明において、
人為操作によって、前記交互モードを選択する交互指令、及び前記逆流モードを選択する逆流指令を出力可能な操作部が備えられ、
前記選択部は、前記操作部によって出力された指令に基づいて、前記交互モード及び前記逆流モードを選択すると好適である。
【0024】
本特徴構成によれば、作業者が操作部を操作することにより、交互モード及び逆流モードを臨機応変に選択することができる。
【0025】
さらに、本発明において、
前記選択部は、前記正流状態において、前記逆流指令を受けると、すぐさま前記逆流モードを選択すると好適である。
【0026】
本特徴構成によれば、作業者が操作部を操作したタイミングに合わせて、正流状態から逆流状態への切り替えを早期に行うことができる。
【0027】
さらに、本発明において、
前記選択部は、前記正流状態において、前記逆流指令を受けると、前記逆流指令を受けた時から一定時間が経過した時に、前記逆流モードを選択すると好適である。
【0028】
本特徴構成によれば、作業者が意図せずに操作部を操作してしまった場合(例えば、作業者が誤操作した場合)、すぐさま逆流モードが選択されると、都合が悪い場合がある。一方、逆流指令を受けた時から一定時間が経過すれば、当該一定時間の経過をもって、作業者に逆流モードを選択する意志があると推認することができる。すなわち、本特徴構成によれば、作業者の意に反して逆流モードが選択されてしまう事態を回避することができる。
【0029】
さらに、本発明において、
前記選択部は、前記逆流モード中に前記交互指令を受けた場合、前記正流状態で前記交互モードに移行させると好適である。
【0030】
本特徴構成によれば、逆流モードから交互モードへの移行直後から、冷却ファンの冷却風によってラジエータを冷却することができる、
【0031】
さらに、本発明において、
前記選択部は、前記逆流モード中に前記交互指令を受けた場合、前記逆流状態で前記交互モードに移行させると好適である。
【0032】
本特徴構成によれば、逆流モードから交互モードへの移行直後に、冷却ファンの風向き(逆流状態)が変化しないため、逆流モードから交互モードへの移行をスムーズに行うことができる。