特開2018-173217(P2018-173217A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-173217(P2018-173217A)
(43)【公開日】2018年11月8日
(54)【発明の名称】空気予熱器差圧上昇予測装置
(51)【国際特許分類】
   F23L 15/00 20060101AFI20181012BHJP
   F23J 15/00 20060101ALI20181012BHJP
【FI】
   F23L15/00 Z
   F23J15/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-71000(P2017-71000)
(22)【出願日】2017年3月31日
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107467
【弁理士】
【氏名又は名称】員見 正文
(72)【発明者】
【氏名】中野 貴史
【テーマコード(参考)】
3K023
3K070
【Fターム(参考)】
3K023QA01
3K023QC08
3K070DA02
3K070DA07
3K070DA14
3K070DA22
3K070DA23
3K070DA25
3K070DA30
3K070DA50
(57)【要約】
【課題】空気予熱器のメンテナンス要否の長期的な予測を的確に行うことができる空気予熱器差圧上昇予測装置を提供する。
【解決手段】予測対象月における詰り進行予測による第1の差圧上昇を予測するための第1の差圧上昇予測部11と、予測対象月における気温変化に伴うガス流量変化による第2の差圧上昇を予測するための第2の差圧上昇予測部12と、第1および第2の差圧上昇予測部11,12で予測された第1および第2の差圧上昇に基づいて予測対象月における空気予熱器の差圧ΔPnを予測するための差圧予測部13とを具備する。第1の差圧上昇予測部11は、詰り係数aと予測対象月の1ヶ月前における予測リークアンモニア濃度yiとの積を計算するための詰り進行予測部11aと、予測対象月までの1または数ヶ月単位で詰り進行予測部11aによって求められた積の和を求めて第1の差圧上昇値を計算するための第1の差圧上昇値計算部11bとを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラ通風系統(110)で使用されている空気予熱器(113)の排ガス入口および排ガス出口の圧力差である差圧の上昇を基準月から1または数ヶ月単位で予測して該空気予熱器の閉塞状況を監視するための空気予熱器差圧上昇予測装置(10)であって、
予測対象月における詰り進行予測による第1の差圧上昇を予測するための第1の差圧上昇予測部(11)と、
前記予測対象月における気温変化に伴うガス流量変化による第2の差圧上昇を予測するための第2の差圧上昇予測部(12)と、
前記第1および第2の差圧上昇予測部で予測された前記第1および第2の差圧上昇に基づいて前記予測対象月における前記空気予熱器の差圧(ΔPn)を予測するための差圧予測部(13)と、
を具備することを特徴とする、空気予熱器差圧上昇予測装置。
【請求項2】
ボイラ(111)と前記空気予熱器との間に脱硝装置(112)が設けられており、
前記第1の差圧上昇予測部が、
所定の詰り係数(a)と前記予測対象月の1ヶ月前における前記脱硝装置の出口での予測リークアンモニア濃度(yi)との積を計算するための詰り進行予測部(11a)と、
前記予測対象月までの1または数ヶ月単位で前記詰り進行予測部によって求められた前記積の和を求めて前記第1の差圧上昇値を計算するための第1の差圧上昇値計算部(11b)とを備える、
ことを特徴とする、請求項1記載の空気予熱器差圧上昇予測装置。
【請求項3】
前記空気予熱器の後段に誘引通風機(116)が設けられており、
第2の差圧上昇予測部が、
前記基準月における前記空気予熱器の入口ガス温度および出口ガス温度の平均値である基準月ガス温度平均値(T0)を前記予測対象月における該空気予熱器の入口ガス温度および出口ガス温度の予測平均値である予測対象月ガス温度予測平均値(Tn)で割ったガス温度比(T0/Tn)を計算するためのガス温度比演算部(12a)と、
前記予測対象月における前記誘引通風機の予測ガス流量である予測対象月IDFガス予測流量(Qn)を前記基準月における該誘引通風機のガス流量である基準月IDFガス流量(Q0)で割った値の2乗である予測対象月ガス流量比((Qn/Q02)を計算するためのガス流量比演算部(12b)と、
前記基準月における前記空気予熱器の平均差圧である基準月平均差圧(ΔP0)と前記ガス温度比演算部で求められた前記ガス温度比と前記ガス流量比演算部で求められた前記予測対象月ガス流量比とを乗算して前記第2の差圧上昇値を計算するための第2の差圧上昇値計算部(12c)とを備える、
ことを特徴とする、請求項1または2記載の空気予熱器差圧上昇予測装置。
【請求項4】
外部の端末装置(20)に接続されており、
前記詰り係数、前記予測リークアンモニア濃度、前記基準月平均差圧、前記基準月ガス温度平均値、前記予測対象月ガス温度予測平均値、前記基準月IDFガス流量および前記予測対象月IDFガス予測流量が、前記端末装置から入力される、
ことを特徴とする、請求項3記載の空気予熱器差圧上昇予測装置。
【請求項5】
前記予測対象月の前記予測リークアンモニア濃度として、前記脱硝装置の触媒の劣化に基づいて予測した値を用いることを特徴とする、請求項2乃至4いずれかに記載の空気予熱器差圧上昇予測装置。
【請求項6】
前記予測対象月が前記基準月から1ヶ月または数ヶ月ごとの月であることを特徴とする、請求項1乃至5いずれかに記載の空気予熱器差圧上昇予測装置。
【請求項7】
前記基準月が前記空気予熱器のメンテナンス実行月の翌月であることを特徴とする、請求項1乃至6いずれかに記載の空気予熱器差圧上昇予測装置。
【請求項8】
前記差圧予測部で予測された前記差圧と所定の要メンテナンス差圧とを比較して、該比較の結果に基づいて警告を発するための警告手段を更に具備することを特徴とする、請求項1乃至7いずれかに記載の空気予熱器差圧上昇予測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火力発電プラントのボイラ通風系統で使用されている空気予熱器(AH)の閉塞状況を監視するのに好適な空気予熱器差圧上昇予測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電プラントのボイラ通風系統110は、図3に示すように、発電機タービン(不図示)と連結されたボイラ111と、ボイラ111と連結された脱硝装置112と、ボイラ111および脱硝装置112と連結された空気予熱器113と、空気予熱器113と連結されたガス・ガス・ヒータ熱回収器114(以下、「GGH熱回収器114」と称する。)と、GGH熱回収器114と連結された電気式集塵装置(EP)115と、電気式集塵装置115と誘引通風機(IDF)116を介して連結された脱硫装置117と、脱硫装置117と連結されたガス・ガス・ヒータ再加熱器118(以下、「GGH再加熱器118」と称する。)と、GGH再加熱器118と脱硫通風機(BUF)119を介して連結された煙突120と、燃焼用空気を空気予熱器113を介してボイラ111に送り込むための押込通風機(FDF)121とを備える。
【0003】
ボイラ111から排出された排ガスは、脱硝装置112で窒素酸化物等が除去されたのち、空気予熱器113でボイラ111に供給される燃焼用空気と熱交換される。空気予熱器113で熱が回収された排ガスは、GGH熱回収器114で熱が更に回収されたのち、電気式集塵装置115に送られる。電気式集塵装置115に送られた排ガスは、その中に含まれる媒塵が捕集されたのちに、誘引通風機116を介して脱硫装置117に送られて無害化される。脱硫装置117で無害化された排ガスは、GGH再加熱器118で再加熱されたのち、煙突120から大気に放出される。
【0004】
ここで、ボイラ111の排ガスに含まれる窒素酸化物を除去するためにアンモニアを脱硝装置112で注入するが、未反応のアンモニア(以下、「リークアンモニア」と称する。)が発生すると排ガス中の硫黄酸化物が反応して酸性硫安を生成する。
【0005】
この酸性硫安は空気予熱器113の伝熱面に付着して排ガス中のダストを堆積させるため、空気予熱器113を閉塞させてしまい、発電機の出力を抑制して運転せざるを得ない状況となる。そのため、1年に1回程度の定期的なメンテナンスが必要となるが、メンテナンスの機会は数ヶ月間発電所を停止する大規模な点検期間に限られる。
【0006】
空気予熱器113のメンテナンス要否を判断するために、差圧(空気予熱器113の排ガス入口と排ガス出口との圧力差)が次回のメンテナンス機会までにどれだけ上昇するかを予測することが必要となる。
【0007】
そこで、従来では、気温変化に伴うガス流量の変化によって差圧がどれだけ上昇するかを計算し、求めた差圧に基づいて水洗等の判断を行っている。
すなわち、図2(b)に予測式(2)で示すように、基準月(メンテナンス実行月の翌月)における平均差圧ΔP0[kPa](以下、「基準月平均差圧ΔP0」と称する。)と基準月のAH入口ガス温度とAH出口ガス温度との平均値T0[K](以下、「基準月ガス温度平均値T0」と称する。)を予測対象月(基準月からnヶ月後の月(n≧1と定義する))のAH入口ガス温度とAH出口ガス温度との平均値の予測値Tn[K](以下、「予測対象月ガス温度予測平均値Tn」と称する。)で割った値(=T0/Tn)と予測対象月の予測IDFガス流量の予測値Qn[sccm](以下、「予測対象月IDFガス予測流量Qn」と称する。)を基準月のIDFガス流量Q0[sccm]以下、「基準月IDFガス流量Q0」と称する。)で割った値の2乗(=(Qn/Q02)との積で表した予測式を用いて、予測対象月の差圧ΔPnを予測している。
【0008】
なお、本出願人は、下記の特許文献1において、空気予熱器の空気供給口と空気排出口との差圧である空気側差圧および排ガス供給口と排ガス排出口との差圧である排ガス側差圧を記憶し、記憶した過去の空気側差圧および排ガス側差圧を用いて空気側差圧上昇予測線および排ガス側差圧上昇予測線を作成し、空気予熱器の現状の断面積および初期断面積に基づいて空気予熱器の閉塞率を計算することにより、メンテナンス要否を判断するようにした空気予熱器管理装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−196949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の予測式(2)は、気温変化に伴うガス流量の変化によって差圧がどれだけ上昇するかにのみ着目しており、空気予熱器113の詰り進行予測が考慮されていないため、図2(c)に示すように、詰り進行がほとんどない短期的な未来(3ヶ月程度)であれば概ね予測することができるが、長期的な予測(1年程度)では詰り進行の影響が大きく、実際の差圧との間に大きな乖離が生じて(×印で示す「従来の予測値」および〇印で示す「実測値」参照)、正確な予測ができずにメンテナンス要否の判断を誤り、不必要なメンテナンス費用が発生する恐れや発電機出力を確保できない状況になり得るという問題があった。
【0011】
本発明の目的は、空気予熱器のメンテナンス要否の長期的な予測を的確に行うことができる空気予熱器差圧上昇予測装置および空気予熱器管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の空気予熱器差圧上昇予測装置は、ボイラ通風系統(110)で使用されている空気予熱器(113)の排ガス入口および排ガス出口の圧力差である差圧の上昇を基準月から1または数ヶ月単位で予測して該空気予熱器の閉塞状況を監視するための空気予熱器差圧上昇予測装置(10)であって、予測対象月における詰り進行予測による第1の差圧上昇を予測するための第1の差圧上昇予測部(11)と、前記予測対象月における気温変化に伴うガス流量変化による第2の差圧上昇を予測するための第2の差圧上昇予測部(12)と、前記第1および第2の差圧上昇予測部で予測された前記第1および第2の差圧上昇に基づいて前記予測対象月における前記空気予熱器の差圧(ΔPn)を予測するための差圧予測部(13)とを具備することを特徴とする。
ここで、ボイラ(111)と前記空気予熱器との間に脱硝装置(112)が設けられており、前記第1の差圧上昇予測部が、所定の詰り係数(a)と前記予測対象月の1ヶ月前における前記脱硝装置の出口での予測リークアンモニア濃度(yi)との積を計算するための詰り進行予測部(11a)と、前記予測対象月までの1または数ヶ月単位で前記詰り進行予測部によって求められた前記積の和を求めて前記第1の差圧上昇値を計算するための第1の差圧上昇値計算部(11b)とを備えてもよい。
前記空気予熱器の後段に誘引通風機(116)が設けられており、第2の差圧上昇予測部が、前記基準月における前記空気予熱器の入口ガス温度および出口ガス温度の平均値である基準月ガス温度平均値(T0)を前記予測対象月における該空気予熱器の入口ガス温度および出口ガス温度の予測平均値である予測対象月ガス温度予測平均値(Tn)で割ったガス温度比(T0/Tn)を計算するためのガス温度比演算部(12a)と、前記予測対象月における前記誘引通風機の予測ガス流量である予測対象月IDFガス予測流量(Qn)を前記基準月における該誘引通風機のガス流量である基準月IDFガス流量(Q0)で割った値の2乗である予測対象月ガス流量比((Qn/Q02)を計算するためのガス流量比演算部(12b)と、前記基準月における前記空気予熱器の平均差圧である基準月平均差圧(ΔP0)と前記ガス温度比演算部で求められた前記ガス温度比と前記ガス流量比演算部で求められた前記予測対象月ガス流量比とを乗算して前記第2の差圧上昇値を計算するための第2の差圧上昇値計算部(12c)とを備えてもよい。
外部の端末装置(20)に接続されており、前記詰り係数、前記予測リークアンモニア濃度、前記基準月平均差圧、前記基準月ガス温度平均値、前記予測対象月ガス温度予測平均値、前記基準月IDFガス流量および前記予測対象月IDFガス予測流量が、前記端末装置から入力されてもよい。
前記予測対象月が前記基準月から1ヶ月または数ヶ月ごとの月であってもよい。
前記基準月が前記空気予熱器のメンテナンス実行月の翌月であってもよい。
前記差圧予測部で予測された前記差圧と所定の要メンテナンス差圧とを比較して、該比較の結果に基づいて警告を発するための警告手段を更に具備してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の空気予熱器差圧上昇予測装置は、以下の効果を奏する。
(1)空気予熱器のメンテナンス要否の長期的な予測を的確に行うことができる。
(2)空気予熱器の不要なメンテナンスを行わなくて済むようにできる。
(3)メンテナンス要否を早期に判断できるため、空気予熱器のメンテナンス計画をこれまでよりも早く立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施例による空気予熱器差圧上昇予測装置10について説明するための図であり、
図2】本発明の予測式と従来の予測式との比較について説明するための図であり、(a)は本発明の予測式を示す図であり、(b)は従来の予測式を示す図であり、(c)は実測値、本発明の予測値および従来の予測値の一例を示すグラフである。
図3】火力発電プラントのボイラ通風系統110について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上記の目的を、詰り進行予測も考慮して空気予熱器の差圧を予測することによりに実現した。
【実施例1】
【0016】
以下、本発明の空気予熱器差圧上昇予測装置の実施例について、図面を参照して説明する。
本発明の空気予熱器差圧上昇予測装置は、図2(a)に示す予測式(1)を用いて空気予熱器113(図3参照)の差圧上昇を予測することを特徴とする。
【0017】
そのため、本発明の一実施例による空気予熱器差圧上昇予測装置10(以下、「AH差圧上昇予測装置10」と称する。)は、図1に示すように、第1および第2の差圧上昇予測部11,12と、差圧予測部13とを具備する。
【0018】
ここで、第1の差圧上昇予測部11は、AH差圧上昇予測装置10と接続された端末装置20から入力される詰り係数aおよび予測対象月の1ヶ月前における予測リークアンモニア濃度y(i=0〜n−1)に基づいて、基準月の翌月から基準月の12ヶ月後における詰り進行予測による第1の差圧上昇を1ヶ月ごとに予測するためのものであり、詰り進行予測部11aと第1の差圧上昇値計算部11bとを備える。
【0019】
詰り進行予測11aは、詰り係数aと予測対象月の1ヶ月前における予測リークアンモニア濃度y(i=0〜n−1)との積(=ay)を計算するためのものである。
第1の差圧上昇値計算部11bは、図2(a)の予測式(1)の第1項に示すように、予測対象月までの詰り進行予測部11aで求められた積の和を求めて第1の差圧上昇値を計算するためのものである。
【0020】
なお、詰り係数aは、例えば0.012[kPa/ppm]というように、所定の値のものである。
また、各予測対象月における予測リークアンモニア濃度yについては、リークアンモニア濃度は脱硝装置112(図3参照)の触媒の劣化に略比例して大きくなることが経験上分かっているため、例えば、過去のデータに基づいて作成した触媒の劣化とリークアンモニア濃度との関係を直線式で表したグラフを参考に予測した値を用いる。
【0021】
第2の差圧上昇予測部12は、端末装置20から入力される基準月平均差圧ΔP0、基準月ガス温度平均値T0、予測対象月ガス温度予測平均値Tn、基準月IDFガス流量Q0および予測対象月IDFガス予測流量Qnに基づいて従来の予測方法と同様に基準月の翌月から基準月の12ヶ月後における気温変化に伴うガス流量変化による第2の差圧上昇を予測するためのものであり(図2(a),(b)に示した予測式(1),(2)参照)、ガス温度比演算部12aとガス流量比演算部12bと第2の差圧上昇値計算部12cとを備える。
【0022】
ガス温度比演算部12aは、基準月ガス温度平均値T0を予測対象月ガス温度予測平均値Tnで割ったガス温度比T0/Tnを計算するためのものである。
ガス流量比演算部12bは、予測対象月IDFガス予測流量Qnを基準月IDFガス流量Q0で割った値の2乗(=(Qn/Q02)(以下、「予測対象月ガス流量比」と称する。)を計算するためのものである。
第2の差圧上昇値計算部12cは、基準月平均差圧ΔP0とガス温度比演算部12aで求められたガス温度比T0/Tnとガス流量比演算部12bで求められた予測対象月ガス流量比(=(Qn/Q02)とを乗算して第2の差圧上昇値を計算するためのものである。
【0023】
なお、基準月平均差圧ΔP0、基準月ガス温度平均値T0および基準月IDFガス流量Q0については、基準月において実測した値を用いる。
また、予測対象月ガス温度予測平均値Tnおよび予測対象月IDFガス予測流量Qnについては、予測対象月における過去の実測データ等に基づいて予測した値を用いる。
【0024】
差圧予測部13は、第1および第2の差圧上昇予測部11,12で計算された第1および第2の差圧上昇値を加算して予測対象月(基準月の翌月から基準月の12ヶ月後までの各月)における空気予熱器113の差圧ΔP(n=1〜12)を予測するためのものである。
差圧予測部13は、予測した差圧ΔPを示す予測差圧データを端末装置20に出力する。
【0025】
これにより、管理者は、端末装置20において、図2(c)に示すように、差圧予測部13から入力される予測差圧データに基づいて縦軸を差圧ΔPとし経過月数を横軸としたグラフを作成するとともに、作成したグラフに「要メンテナンス差圧」を示す破線を加えることにより、空気予熱器113のメンテナンス要否を容易に把握できる。
また、本実施例によるAH差圧上昇予測装置10では、空気予熱器113の詰り進行予測を考慮しているため、長期的な予測も正確に行えるので(〇印で示す実測値および□印で示す予測値を参照)、空気予熱器113のメンテナンス要否を早期に判断できる。
【0026】
なお、差圧予測部13で予測された差圧ΔPと要メンテナンス差圧とを比較して、この比較結果に基づいて警告を発するための警告部を更に具備させて、例えば図2(c)に示すように基準日から11ヶ月後の差圧ΔPが要メンテナンス差圧以上となると、「11ヶ月後が空気予熱器のメンテナンス時期です。」という警告を端末装置20に発するようにしてもよい。
【0027】
また、空気予熱器113の差圧上昇を基準月から1ヶ月単位で予測したが、数ヶ月単位で予測してもよい。
なお、mヶ月単位で予測する場合には、詰り係数aは例えば0.012×m[kPa/ppm]とする。
【0028】
さらに、空気予熱器113の差圧上昇を基準月から日ごとに予測して、予測対象月における空気予熱器113の差圧上昇を予測してもよい。
この場合には、詰り係数aは例えば0.0004[kPa/ppm]とする。
【符号の説明】
【0029】
10 AH差圧上昇予測装置
11 第1の差圧上昇予測部
11a 詰り進行予測部
11b 第1の差圧上昇値計算部
12 第2の差圧上昇予測部
12a ガス温度比演算部
12b ガス流量比演算部
12c 第2の差圧上昇値計算部
13 差圧予測部
110 ボイラ通風系統
111 ボイラ
112 脱硝装置
113 空気予熱器
114 GGH熱回収器
115 電気式集塵装置
116 誘引通風機
117 脱硫装置
118 GGH再加熱器
119 脱硫通風機
120 煙突
121 押込通風機
a 詰り係数
予測リークアンモニア濃度
ΔPn 差圧
ΔP0 基準月平均差圧
0 基準月ガス温度平均値
n 予測対象月ガス温度予測平均値
0 基準月IDFガス流量
n 予測対象月IDFガス予測流量
図1
図2
図3