特開2018-173402(P2018-173402A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2018-173402パワーリザーブ延長機能付きのムーブメント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-173402(P2018-173402A)
(43)【公開日】2018年11月8日
(54)【発明の名称】パワーリザーブ延長機能付きのムーブメント
(51)【国際特許分類】
   G04B 1/12 20060101AFI20181012BHJP
【FI】
   G04B1/12
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-23775(P2018-23775)
(22)【出願日】2018年2月14日
(31)【優先権主張番号】17163951.1
(32)【優先日】2017年3月30日
(33)【優先権主張国】EP
(71)【出願人】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−リュック・バザン
(72)【発明者】
【氏名】パウロ・ブラヴォ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】パワーリザーブを改善させる計時器用ムーブメントを提供する。
【解決手段】第1の列20によって第1のエネルギー源1に接続される第1の調整メンバー2と第1のエスケープと、第2の列30によって第2のエネルギー源5に接続される第2の調整メンバー3と第2のエスケープと、少なくとも1つの差動ギヤ4と、及び現在時刻を表示する手段とを有する計時器用ムーブメントに関する。第1の列20、第1のエスケープ、第1の調整メンバー2及び第1のエネルギー源1は、第1のアセンブリーを定め、第2の列30、第2のエスケープ、第2の調整メンバー3及び第2のエネルギー源5は、第2のアセンブリーを定め、少なくとも1つの差動ギヤ4は、第1のアセンブリーと第2のアセンブリーの間の運動学的接続を確実にするように設けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の列(10)によって第1のエネルギー源(1)に接続される第1の調整メンバー(2)と第1のエスケープと、
第2の列(20)によって第2のエネルギー源(5)に接続される第2の調整メンバー(3)と第2のエスケープと、
少なくとも1つの差動ギヤ(4)と、及び
現在時刻を表示する手段と
を有する計時器用ムーブメント(100)であって、
前記第1の列、前記第1のエスケープ、前記第1の調整メンバー及び前記第1のエネルギー源は、第1のアセンブリーを定め、
前記第2の列、前記第2のエスケープ、前記第2の調整メンバー及び前記第2のエネルギー源は、第2のアセンブリーを定め、
前記少なくとも1つの差動ギヤ(4)は、前記第1のアセンブリーと前記第2のアセンブリーの間の運動学的接続を確実にするように設けられ、
当該計時器用ムーブメント(100)は、前記第1の調整メンバーと前記第2の調整メンバーの一方の動作を停止して許可する手段を有し、
前記差動ギヤ(4)は、どの調整メンバーが動作しているかどうかにかかわらず時刻を表示するために前記現在時刻表示手段を担持している
ことを特徴とする計時器用ムーブメント(100)。
【請求項2】
前記差動ギヤ(4)は、前記第1の列と前記第2の列の間の運動学的接続を確実にするように設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の計時器用ムーブメント(100)。
【請求項3】
前記調整メンバーは、同じタイプの調整メンバーである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の計時器用ムーブメント(100)。
【請求項4】
前記調整メンバーどうしは、異なるタイプの調整メンバーである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の計時器用ムーブメント(100)。
【請求項5】
前記調整メンバーの少なくとも1つは、トゥールビヨン又はカルーセルである
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の計時器用ムーブメント(100)。
【請求項6】
前記調整メンバーの少なくとも1つは、伝統的なばね仕掛けバランス又は水晶である
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の計時器用ムーブメント(100)。
【請求項7】
前記エスケープの少なくとも1つは、エネルギー消費が非常に低いエスケープである
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の計時器用ムーブメント(100)。
【請求項8】
前記調整メンバーの1つの動作を停止して許可する手段は、マニュアル制御される
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の計時器用ムーブメント(100)。
【請求項9】
前記調整メンバーの1つの動作を停止して許可する手段は、マニュアル制御によってアクチュエートされるように構成している第1のレバー(74)を有し、
前記第1のレバー(74)は、前記第1の列(20)又は前記第2の列(30)と係り合うように動くように構成している2つの摩擦メンバー(71、72)を備える第2のレバー(70)に作用する
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の計時器用ムーブメント(100)。
【請求項10】
前記調整メンバーの1つの動作を停止して許可する手段は、第3のレバー(73)を有し、前記第3のレバー(73)は、一方では、マニュアル制御がアクチュエートされているときに前記第2のレバー(70)と連係するように構成しており、他方では、回転錘か回転しているときにその回転錘と連係するように構成している
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の計時器用ムーブメント(100)。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の計時器用ムーブメント(100)を有する
ことを特徴とする計時器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腕時計が着用されていないときや安静位置にあるときにムーブメントのエネルギー消費を抑えるためにパワーリザーブ延長デバイスを有する計時器用ムーブメントに関する。
【背景技術】
【0002】
機械式腕時計において、歯車列、針、他の機能を駆動するエネルギー源は、通常、バレル内にて巻かれたらせん状のばねである。
【0003】
機械式腕時計が定期的に巻かれていなかったり、自動巻き式の腕時計が数時間着用されていなかったりすると、腕時計のばねが完全に緩み、その腕時計が止まる。メインばねが完全に巻かれた通常の腕時計の平均的なパワーリザーブは、約40〜60時間である。
【0004】
腕時計が止まるまでに腕時計がエネルギーを放つ理由がいくつかある。特に、しばらく腕時計を着用していないとき(保管しているとき、週末など)、又は自動巻きの機構がない腕時計において腕時計を巻くことを忘れたような場合である。したがって、腕時計のパワーリザーブが平均よりも大きいと有用である。
【0005】
過去に、パワーリザーブの問題を克服する試みが既になされている。例えば、欧州特許出願EP2455820は、内部に2つの重なり合った同軸のばねが取り付けられているバレルを有する駆動メンバーを用いることを提案している。
【0006】
この文献は、2つのバレル又は2つのメインばねを有する腕時計の例を与えているだけである。同様な文献が多くあるからである。
【0007】
パワーリザーブを増加させるという課題を克服するためのこのような提案されている解決策は、あまり興味深くない。利用可能な空間を犠牲にしてパワーリザーブを優先させているからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、これらの既知の技術の様々な課題を克服することを目的とする。
【0009】
特に、着用されていないときや安静位置にあるときにムーブメントのエネルギー消費を抑えることによってパワーリザーブを改善させる計時器用ムーブメントを提供することは、本発明の目的の1つである。
【0010】
また、少なくとも特定の実施形態において、ムーブメントの厚み、したがって、腕時計の厚み、が過度に大きくなることを避けることも、本発明の目的の1つである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これらの目的は、以下においてより明確に出現する他の目的とともに、本発明に係る計時器用ムーブメントによって達成される。当該計時器用ムーブメントは、第1の列によって第1のエネルギー源に接続される第1の調整メンバーと第1のエスケープと、第2の列によって第2のエネルギー源に接続される第2の調整メンバーと第2のエスケープと、少なくとも1つの差動ギヤと、及び現在時刻を表示する手段とを有する。前記第1の列、前記第1のエスケープ、前記第1の調整メンバー及び前記第1のエネルギー源は、第1のアセンブリーを定め、前記第2の列、前記第2のエスケープ、前記第2の調整メンバー及び前記第2のエネルギー源は、第2のアセンブリーを定め、前記少なくとも1つの差動ギヤは、前記第1のアセンブリーと前記第2のアセンブリーの間の運動学的接続を確実にするように設けられる。
【0012】
本発明によると、計時器用ムーブメントは、2つの調整メンバーの1つの動作を停止して許可する手段を有し、また、差動装置は、どの調整メンバーが動作しているかどうかにかかわらず時刻を表示するために時刻表示手段を担持している。
【0013】
このように、本発明の主題は、上記の異なる機能的及び構造的な特徴によって、パワーリザーブを増加させることを可能にする。
【0014】
本発明の他の好ましい態様によると、以下の特徴を有する。
− 差動装置は、第1の列と第2の列の間の運動学的接続を確実にするように構成している。
− 調整メンバーどうしは同じタイプの調整メンバーである。
− 調整メンバーどうしは異なるタイプの調整メンバーである。
− 少なくとも1つの調整メンバーは、トゥールビヨン又はカルーセルである。
− エスケープの少なくとも1つは、エネルギー消費が非常に低いエスケープである。
− 前記調整メンバーの動作を停止して許可する手段は、マニュアル制御される。
− 前記調整メンバーの動作を停止して許可する手段は、マニュアル制御によってアクチュエートされるように構成している第1のレバーを有し、この第1のレバーは、第1の列又は第2の列と係り合うように動くように構成している2つの摩擦メンバーを備える第2のレバーに作用する。
− 前記調整メンバーの動作を停止して許可する手段は、第3のレバーを有しており、この第3のレバーは、一方では、マニュアル制御がアクチュエートされているときに第2のレバーと連係し、他方では、回転錘が回転しているときに回転錘と連係するように構成している。
【0015】
本発明は、さらに、本発明に係るムーブメントを備える計時器に関する。
【0016】
添付の図面を参照しながら例としてのみ与えられる以下の説明を読むことで、他の特徴及び利点が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る計時器用ムーブメントの斜視図である。
図2図2a及び2bはそれぞれ、第1の調整メンバーへのエネルギーの分配を示している本発明に係る計時器用ムーブメントの平面図及び線A−Aに沿った断面図である。
図3図3a及び3bはそれぞれ、第1の調整メンバーと差動ギヤの間の運動学的接続を示している本発明に係る計時器用ムーブメントの平面図及び線B−Bに沿った断面図である。
図4図4a及び4bはそれぞれ、第2の調整メンバーへのエネルギーの分配を示している本発明に係る計時器用ムーブメントの平面図及び線C−Cに沿った断面図である。
図5図5a及び5bはそれぞれ、第2の調整メンバーと差動ギヤの間の運動学的接続を示している本発明に係る計時器用ムーブメントの平面図及び線D−Dに沿った断面図である。
図6図6a及び6bはそれぞれ、本発明に係る計時器用ムーブメントの差動ギヤの平面図及び線E−Eに沿った断面図である。
図7図7a〜7cは、本発明に係る計時器用ムーブメントの2つの調整メンバーの1つの動作を停止して許可する手段を示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1、2a、2b、3a、3b、4a、4b、5a、5b、6a、6b、7a、7b及び7cをともに参照しながら本発明に係る計時器用ムーブメントについて説明する。
【0019】
本発明に係るムーブメントは、第1の列によって第1のエネルギー源に接続される第1の調整メンバーと第1のエスケープと、第2の列によって第2のエネルギー源に接続される第2の調整メンバーと第2のエスケープと、少なくとも1つの差動ギヤと、及び現在時刻を表示する手段とを有し、前記第1の列、前記第1のエスケープ、前記第1の調整メンバー及び前記第1のエネルギー源が、第1のアセンブリーを定め、前記第2の列、前記第2のエスケープ、前記第2の調整メンバー及び前記第2のエネルギー源が、第2のアセンブリーを定め、前記少なくとも1つの差動ギヤは、前記第1のアセンブリーと前記第2のアセンブリーの間の運動学的接続を確実にするように設けられる。
【0020】
また、当該計時器用ムーブメントは、2つの前記調整メンバーの1つの動作を停止して許可する手段を有し、前記差動ギヤは、どの調整メンバーが動作していても時刻を表示するために時刻表示手段を担持している。
【0021】
調整メンバーは、伝統的なバランス、カルーセル(karussel)、トゥールビヨン、共振器(例、音叉タイプや磁性ロータータイプのもの)、モーター駆動のバランス、又は水晶発振器から選ぶことができる。
【0022】
以下、わかりやすくするために、それぞれがエスケープを備える少なくとも2つの調整メンバーを有するような本発明に係るムーブメントについて説明する。これは、単純な説明用の例として与えられるものであって、これに限定されない。上記のように、任意のタイプの調整メンバーを用いることができ、また、例えば、トゥールビヨン/水晶発振器の組み合わせを想到することができる。
【0023】
図1を参照すると、本発明に係る計時器用ムーブメントは、特に、
− バレルのような第1の機械的エネルギー源1と第2の機械的エネルギー源5と、
− 第1の列10によってエネルギー源1に接続される第1のエスケープ車21と第1のパレットレバー22を有する、好ましくは高精度である第1の調整メンバー2と、第1のエスケープと、
− 第2の列30によってエネルギー源1に接続される第2のエスケープ車31と第2のパレットレバー32を有する、好ましくはエネルギー消費が低い第2の調整メンバー3と、第2のエスケープと、
− 差動ギヤ4とを有し、
第1のエスケープ、バレル1、第1の列20及び第1の調整メンバー2は、第1のアセンブリーを形成し、第2のエスケープと第2の調整メンバー3が、第2のアセンブリーを形成し、前記差動ギヤ4は、第1のアセンブリーと第2のアセンブリーの間の運動学的接続を確実にするように設けられ、前記差動ギヤ4は、第1の列20と第2の列30によって第1の調整メンバー2と第2の調整メンバー3にそれぞれ接続されている。
【0024】
図面に示した実施形態において、調整メンバー2及び3はそれぞれ、トゥールビヨン及び単純なばね仕掛けバランスであるが、当業者であれば、2つの単純なばね仕掛けバランス、2つのトゥールビヨン、2つのカルーセル、又は一方にトゥールビヨンを他方にカルーセルを用いることができる。同様に、図示した第1及び第2のエスケープは、スイス式レバーエスケープであるが、デテントエスケープ(detent escapement)や既知の他のタイプのエスケープのような別のタイプのものであることもできる。
【0025】
図示していない本発明の別の態様によると、調整メンバー2及び3は、水晶共振器に関連づけられた伝統的なばね仕掛けバランス、又は水晶発振器に関連づけられたトゥールビヨン、又は当業者によって思い描くことができる前記調整メンバーの2つの他の組み合わせであることができる。
【0026】
このようにして、図示した実施形態において、第1の調整メンバー2としてトゥールビヨンが用いられ、第2の調整メンバー3は、1Hzのバランスのようなエネルギー消費が低い単純なバランスである。
【0027】
図6a及び6bにおいて観察することができるように、差動ギヤ4は、当該アーバー40の第1の端において時刻表示手段6を担持しているアーバー40を有し、アーバー40の他端の近くにある惑星車キャリヤー42を有する。好ましいことに、惑星車キャリヤー42は、アーバー40と一体化されている。
【0028】
差動ギヤ18とエネルギー源1の間のいくつかの車セットをムーブメントが有することができることは明らかである。
【0029】
惑星車キャリヤー42は、アーバー40と平行な惑星車キャリヤーアーバー44を有しており、その惑星車キャリヤーアーバー44上には2つの惑星ピニオンが回転可能にマウントされている。図示した実施形態において、下側惑星ピニオン45と呼ぶ第1の惑星ピニオン及び上側惑星ピニオン46と呼ぶ第2の惑星ピニオンは、惑星車キャリヤーアーバー44に一体的かつ同軸にマウントされるように構成している。
【0030】
また、応力分配が良好であることを確実にするために、例えば、2つや3つの、いくつかの惑星ピニオン(又はいくつかのダブル惑星車)を設けることができる。
【0031】
差動ギヤ4は、さらに、外側歯列と内側歯列がある第1の入力車48と、及び外側歯列がある第2の入力車49とを有し、この第1の入力車48と第2の入力車49はそれぞれ、アーバー40のまわりを自由回転するようにマウントされている。
【0032】
例えば、第1の入力車48は、パイプなどによって、惑星車キャリヤー42の下にてアーバー40のまわりを自由回転するようにマウントされたプレート43にマウントされる。プレート43と第1の入力車48は、入力車48の外側歯列が第1の列20と噛み合っているときに第1の入力車48の内側歯列が惑星歯列45と噛み合うように、惑星車キャリヤー42よりも大きな直径を有している。
【0033】
また、差動ギヤ4は、第2の入力車49の下であって第2の入力車49と一体化されるように、アーバー40のまわりにマウントされた伝達車47を有する。伝達車47は、第2の入力車49が第2の列30と噛み合っているときに、上側惑星ピニオン46の歯列によって噛み合うように意図された外側歯列を有している。
【0034】
この差動ギヤ4は、説明用として記載したものであって、これに限定されず、当業者であれば、計時器用ムーブメントの適切な動作を達成するために他のタイプの差動ギヤを明らかに実装することができるであろう。
【0035】
図2a及び2bに、第1の調整メンバー2へのエネルギーの分配を示している。バレル1からのエネルギー又は駆動力が、第1の列20に伝達され、エスケープ21を介して第1の調整メンバー2に達する。
【0036】
同様に、図4a及び4bに、第2の調整メンバー3へのエネルギーの分配を示している。バレル5からのエネルギーが、第2の列30に伝達され、エスケープ31を介して第2の調整メンバー3に達する。
【0037】
図3a、3b及び5a、5bはそれぞれ、現在時刻を表示するための第1の調整メンバー2と差動ギヤ4の間の運動学的接続及び第2の調整メンバー3と差動ギヤ4の間の運動学的接続を示している。
【0038】
本発明によると、計時器用ムーブメントは、さらに、ユーザーが腕時計を着用していないときに、調整メンバーの1つ、好ましくは、エネルギー消費が最も高いメンバー、の動作を停止して許可する手段を有する。図示した場合において、腕時計が着用されていないときに停止されるのはトゥールビヨンである。
【0039】
図7a〜7cに、調整メンバーの1つの動作を停止して許可する手段を示しており、これは、例えば、回転錘及びプッシャーと連係するように構成している。
【0040】
第1の列20の停止、したがって、図示した場合においてはトゥールビヨンの停止は、プッシャー9を用いる場合のようなマニュアル制御によって達成され、これによって、第1の列20をロックし、伝統的なばね仕掛けバランスに接続された第2の列30を解放する。これは、腕時計が着用されると停止される。
【0041】
トゥールビヨン2を停止して伝統的なばね仕掛けバランス3を開始させるために、と、ユーザーは、プッシャー9を押したり、又は腕時計をその安静位置に配置、特に、ケース中間部の縁部を付けて配置する位置、に配置したりして、プッシャー9が支持体に対向するように配置されるようにして、プッシャー9が腕時計の重量の影響で押されて、ここではトゥールビヨン2である大きなエネルギーを用いる調整メンバーを停止する。
【0042】
特に、調整メンバーの1つの動作の停止と許可をする手段は、プッシャー9によって制御される第1のレバー74を有し、この第1のレバー74は、2つの摩擦メンバー71、72を備える第2のレバー70に作用し、摩擦メンバー71、72のそれぞれは、細長材ばね710、720によってこの第2のレバーに接続しており、これによって、摩擦メンバー71、72の1つが第1の列20又は第2の列30と係り合うように動いたときの機械的な応力を抑える。第2のレバー70は、棒体(図面において見えない)に回転可能にマウントされ、らせん形のばねによって第2の列30のロック位置にて応力を与えられる。
【0043】
調整メンバーの1つの動作を停止して許可する手段は、さらに、第3のレバー73を有しており、これは、同じ棒体(図面において見えない)に回転可能にマウントされ、また、らせん形のばねによって応力を与えられる。第3のレバー73は、一方では、プッシャー9が押されたときに第2のレバー70のくちばし部700と連係するように構成しているくぼみ730を有し、他方では、回転錘が回転しているときに回転錘と一体化された突起80を介して回転錘8と連係するように構成しているくちばし部731を有する。
【0044】
したがって、プッシャー9が押されると、第1のレバー74は、摩擦メンバー71が第1の列20と係り合うように動き摩擦メンバー72が第2の列30を解放するように第2のレバー70を回転させるように第2のレバー70に作用する。そして、くちばし部700は、第3のレバー73にあるくぼみ730内に収容されるようになり、第2のレバー70の位置をロックする。
【0045】
くぼみ730からくちばし部700を解放して、したがって、トゥールビヨン2を解放してばね仕掛けバランス3をロックするために、突起80が第3のレバー73のくちばし部731を打つために回転錘が行う回転は1回転のみでいい。このことには、第2のレバー73のくぼみから第2のレバー70のくちばし部700を移動させて、したがって、第1の列20を解放して同時に第2の列30をロックさせるという効果がある。
【0046】
好ましいことに、回転錘は両方向に回転することができる。
【0047】
本発明の特定の実施形態によると、図面に示すような単純なばね仕掛けバランスであるエネルギー消費が低い調整メンバーを、例えば、30°傾けて、ムーブメント/腕時計が安静位置にあるときに、その調整メンバーの動作を最適化してエラーを抑えることができる。
【0048】
上記のように、エネルギーを節約するために、ユーザーが腕時計を着用していないとき又はユーザーによって必要に応じて、当該機構を停止させて、他のすべてのタイプのエスケープ、例えば、標準的なスイス式レバーエスケープ、標準的なバランス、を自動的にアクチュエートさせることができる。
【0049】
第1の調整メンバー2がバレル1によって動力供給される場合、第1の列20は、入力車48を介して差動ギヤ4にそのエネルギーとその回転運動を伝達する。そして、その回転運動は、入力車48の内側歯列を介して惑星ピニオン45に伝達される。そして、惑星ピニオン45は、ピニオンキャリヤー42とアーバー40を回転駆動する。
【0050】
最後に、アーバー40は、現在時刻表示手段6、特に、アーバー40に固定マウントされた管60、を回転駆動する。管60は、分を示すために針を担持していることができる。また、現在時刻表示手段6は、第2の管61を有しており、これは、時を示すために、第1の管60に回転可能にマウントされており、列62、63によって噛み合っている。
【0051】
本発明のこれらの異なる態様の結果、ムーブメントのパワーリザーブを延長させることができる単純な設計のムーブメントが提供される。
【0052】
もちろん、本発明は、図示した例に限定されず、当業者が思い描くような様々な態様及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 第1のエネルギー源
2 第1の調整メンバー
3 第2の調整メンバー
4 差動ギヤ
5 第2のエネルギー源
8 回転錘
9 プッシャー
20 第1の列
30 第2の列
31 第2のエスケープ車
32 第2のパレットレバー
42 ピニオンキャリヤー
43 プレート
45 下側惑星ピニオン
46 上側惑星ピニオン
47 伝達車
48 第1の入力車
49 第2の入力車
60 第1の管
61 第2の管
70 第2のレバー
71、72 摩擦メンバー
73 第3のレバー
74 第1のレバー
80 突起
100 計時器用ムーブメント
700、731 くちばし部
730 くぼみ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7