【課題】トナー供給性及びトナー掻き取り性が良好であって、複写装置、画像記録装置、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式画像形成装置に好適なトナー供給ローラの提供を目的とする。
【解決手段】シャフト11の外周に筒状のポリウレタンフォーム21を設けたトナー供給ローラ10であって、筒状のポリウレタンフォーム21は、外周面にポリウレタンフォーム21の内部22よりもセルが圧縮された状態の被膜23を有し、被膜23の表面にはピンホール状の孔が散在している構成とすることにより、トナー供給性及びトナー掻き取り性を良好にした。
【背景技術】
【0002】
トナー供給ローラは、電子写真感光体からなる像担持体上に形成した静電潜像にトナーを付着させてその表面にトナー像として可視化する現像ローラに、トナーを供給するためのローラであり、シャフトの外周に発泡体を設けたものが多用されている。トナー供給ローラには現像ローラに対するトナー供給機能とトナー掻き取り機能が要求とされる。
【0003】
トナー供給ローラにおけるシャフトの外周の発泡体としては、ポリウレタンフォーム、EPDMフォーム等が挙げられる。特にポリウレタンフォームは、低密度ながら適度な硬度があること、圧縮永久歪が小さいことなど、利点が多い材質であるため、前記シャフトの外周の発泡体として主流となっている。
【0004】
ポリウレタンフォームをシャフトの外周に設けたトナー供給ローラの製造方法としては、(1)スラブポリウレタンフォームにシャフト挿通孔を形成し、次いでローラ1本分の大きさで切り出した後、ポリウレタンフォームのシャフト挿通孔にシャフトを挿通し、その後にポリウレタンフォームの表面を切削研磨して円周面に加工する製造方法、(2)シャフトを挿通したスラブポリウレタンフォームの切り出し品の外周を、通電により発熱させたニクロム線によって溶融切断して円筒形とする製造方法、(3)シャフトの外周に形成したポリウレタンフォームをピーリング加工で円筒形にする製造方法、(4)シャフトを配置したローラ形状の分割発泡成形型内でポリウレタンフォームを発泡(型発泡)し、ポリウレタンフォームをシャフトと一体に形成する製造方法等がある。なお、スラブポリウレタンフォームは、混合撹拌したポリウレタンフォーム原料をベルトコンベア上に吐出し、コンベアベルトが移動する間に原料を常温、大気圧下で自然発泡させ、硬化させることで連続的に製造し、その後に乾燥炉内で硬化(キュア)させた後、所定サイズのブロック(通常は直方体形状)に裁断したものである。
【0005】
しかしながら、スラブポリウレタンフォームの切り出し品にシャフトを挿通して切削研磨加工する方法は、研磨後の表面にセルの切り残しがケバ状に逆立って残留し、ケバ状の切り残しにより現像ローラと接する面が均一ではなくなり、掻き取性やクリーニング性が悪くなる原因となっている。
さらに、スラブポリウレタンフォームは、発泡方向と該発泡方向に対して直交する方向とではセル形状が異なる異方性を有するため、切削研磨後の表面に比較的大きめの楕円の凹部を有する箇所と、小さめの真円に近い凹部を有する箇所を生じ、トナー供給性能及びトナー掻き取り性能が劣ると共に画像に悪影響を与える問題がある。
【0006】
また、ニクロム線によって溶融切断する製造方法及びピーリング加工する製造方法では、溶融切断あるいはピーリング加工によってポリウレタンフォームの表面に大きく開口したセルが形成されるため、トナー供給性能及びトナー掻き取り性能が劣る問題がある。
【0007】
また、シャフトを配置したローラ形状の分割発泡成形型内でポリウレタンフォームを発泡(型発泡)してポリウレタンフォームをシャフトと一体に形成する方法は、ポリウレタンフォームの表面に分割発泡成形型によるパーティングラインがシャフトの軸と平行に形成され、画像に悪影響を与える問題がある。
また、パーティングラインが形成されないようにするには、分割発泡成形型に高価な縦型を使用しなければならず、製品コストが高くなる問題及び発泡後の脱型が難しい問題がある。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のトナー供給ローラの実施形態について説明する。
図1及び
図2に示す本発明の一実施形態のトナー供給ローラ10は、シャフト11とその外周に設けられた筒状のポリウレタンフォーム21からなり、複写装置、画像記録装置、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置等におけるトナー供給ローラとして用いられる。なお、dは前記トナー供給ローラ10の外径であり、前記筒状のポリウレタンフォーム21の外径と一致する。またaは前記筒状のポリウレタンフォーム21の全長であり、前記シャフト11の全長より短い。前記外径d及び全長aは、前記トナー供給ローラ10が取り付けられる機器に応じて設定される。
【0015】
前記シャフト11は、前記トナー供給ローラ10の中心軸となるもので、金属等、所要の剛性を有する材質で構成され、中空、中実の何れでもよく、前記トナー供給ローラ10に応じた材質、サイズとされる。
【0016】
前記筒状のポリウレタンフォーム21は、外形が円筒状からなり、横断面の中心に前記シャフト11が貫通している。前記筒状のポリウレタンフォーム21は、加熱溶融状態や圧縮状態により被膜層の厚みや境界が不明瞭となる場合があるものの、
図2に示すように、外周面に被膜23を有する。前記被膜23は、筒状のポリウレタンフォーム21の内部22よりもセル(気泡)が圧縮され溶融固化された状態となっており、前記被膜23の拡大表面を示す
図3のように、表面にはピンホール状の孔24が散在している。
前記被膜23の厚みは、30〜300μmが好ましく、より好ましくは50〜150μmである。
【0017】
前記筒状のポリウレタンフォーム21の好ましい通気性は、後述の測定方法で測定した値が0.01〜0.70kPa、より好ましくは0.01〜0.40kPaである。数値が大きいほど通気性が低く、数値が小さいほど通気性が高い。上記数値が0.01kPaよりも小さく通気性が高すぎると、トナー供給時に前記筒状のポリウレタンフォーム21の表面に付着したトナーが、前記筒状のポリウレタンフォーム21の内部に進入し、固着して固まるという不具合を起こす場合がある。一方、0.70kPaより大きくなると、通気性が低くなりすぎてトナーの供給性が低下するようになる。
【0018】
前記トナー供給ローラの製造方法の実施形態について説明する。トナー供給ローラの製造方法は、初期成形体形成工程、中間成形体形成工程、被膜形成工程とよりなる、
初期成形体形成工程では、スラブポリウレタンフォームをトナー供給ローラ1本分の大きさで切り出し、次いでシャフト挿通孔を形成し、その後、スラブポリウレタンフォームのシャフト挿通孔にシャフトを挿通することにより、
図4の(4−A)に示すトナー供給ローラ初期成形体10Aを作製する。符号11はシャフト、14はシャフト挿通孔、21Aはスラブポリウレタンフォーム切り出し品である。前記シャフト挿通孔14は、シャフト11の外径よりも所定寸法小さく形成し、シャフト11の挿通によってシャフト11がスラブポリウレタンフォーム切り出し品21Aに固定されるようにする。前記シャフト11の外周には接着剤を塗布してもよい。前記スラブポリウレタンフォームは、密度(JIS K7222:2005)10〜350kg/m
3、セル数(JIS K 6400)20〜80/25mmのものが好ましい。さらに好ましくは、前記スラブポリウレタンフォームは、密度(JIS K7222:2005)10〜100kg/m
3、セル数(JIS K 6400)40〜80/25mmのものが、トナー供給ローラの外周面に形成される被膜の状態をトナー掻き取り性に適したものとする点で、好ましい。
また、前記スラブポリウレタンフォーム切り出し品21Aは、トナー供給ローラの外径dよりも大の断面形状、例えば一辺がトナー供給ローラの外径dよりも大の四角形断面形状からなる角柱等で形成される。
【0019】
中間成形体形成工程では、前記トナー供給ローラ初期成形体10Aにおける前記スラブポリウレタンフォーム切り出し品21Aの外周に、研磨加工等を行って、前記スラブポリウレタンフォーム切り出し品21Aを円筒状にする。それによって、前記トナー供給ローラの外径dよりも大径の円筒形状からなる
図4の(4−B)に示すポリウレタンフォーム中間成形体21Bを形成し、該ポリウレタンフォーム中間成形体21Bと前記シャフト11からなるトナー供給ローラ中間成形体10Bを得る。前記ポリウレタンフォーム中間成形体21Bの外径は、使用するポリウレタンフォームのセル数にもよるが、目標とするトナー供給ローラの設定外径よりも0.2〜5mm程度大にするのが好ましい。セル数(JIS K 6400)が20〜80/25mmの場合は、目標とするトナー供給ローラの設定外径よりも1〜5mm程度大にするのが、被膜の形成性やトナー掻き取り性の点で、好ましい。より好適には、セル数(JIS K 6400)が20〜40/25mmの場合は、目標とするトナー供給ローラの設定外径よりも2.5〜4mm程度大にするのが好ましく、セル数(JIS K 6400)が40〜80/25mmの場合は、目標とするトナー供給ローラの設定外径よりも1〜3mm程度大にするのが、被膜の形成性や形成される被膜の状態をトナー掻き取り性に適したものとする点で、好ましい。
なお、トナー供給ローラの設定外径は、トナー供給ローラの製造時に目標とする外径であり、実際の製品外径は、設定外径(目標外径)に製造時のバラツキを加えた値となる。
【0020】
被膜形成工程では、被膜形成装置を用いて前記ポリウレタンフォーム中間成形体21Bの外周面に被膜を形成する。
図5に被膜形成装置71の一例を示す。前記被膜形成装置71は、モータ等の駆動装置によって回転する複数のコンベアローラ72と、前記コンベアローラ72上に載置された搬送台73と、前記搬送台73上に立設された一組の成形体保持部75,79と、前記搬送台73を跨ぐようにして立設された口金支持部85と、前記口金支持部85上に固定された口金87とを備える。
【0021】
前記複数のコンベアローラ72は、一方向へ回転することにより前記搬送台73を、該搬送台73上の成形体保持部75,79及び該成形体保持部75,79間に保持される前記トナー供給ローラ中間成形体10Bと共に一方向へ搬送し、また、逆方向へ回転することにより逆方向へ搬送する。なお、搬送手段はコンベアローラに限られず、コンベアベルトやその他の方法によるものでもよい。
【0022】
前記搬送台73は、前記トナー供給ローラ中間成形体10Bの全長よりも長い板状体からなり、上面に前記成形体保持部75,79が、互いに対向するようにして離して固定されている。
【0023】
前記成形体保持部75,79は、垂直な支柱部76,80と、前記支柱部76,80の上部に水平方向に対向させて設けた腕部77,81とよりなる。前記腕部77、81の対向する先端間の距離は、前記シャフト11の全長より小で、かつ前記ポリウレタンフォーム中間成形体21Bの全長よりも大である。また、前記腕部77、81の先端部の上面には、前記トナー供給ローラ中間成形体10Bにおける前記ポリウレタンフォーム中間成形体21Bの両端から突出したシャフト11の両端部を嵌める溝78,82が形成されている。
【0024】
前記口金支持部85は、前記成形体保持部75,79間における一方の成形体保持部75側近くの位置に、前記搬送台73を跨ぐようにして立設されている。前記口金支持部85の高さは、前記成形体保持部75の腕部77の位置よりも低くされ、前記口金支持部85の上面に前記口金87が固定されている。
【0025】
前記口金87は、
図6に示すように、前記搬送台73の搬送方向に厚みbを有し、前記搬送台73の搬送方向と平行に貫通孔88が、前記口金87の両面を貫通して形成されている。前記搬送台73の搬送(移動)により、前記口金87の貫通孔88の中心を前記成形体保持部75,79の腕部77,81及び該腕部77,78間に保持されたトナー供給ローラ中間成形体10Bが通過するように構成されている。前記貫通孔88は、前記成形体保持部75,79の腕部77,81の延長線上に位置し、一方の前記成形体保持部75と対向する側が出口側90であり、他方の前記成形体保持部79と対向する側が入り口側89となっている。
【0026】
前記口金87の貫通孔88は、入り口側89の孔径d1が前記トナー供給ローラ10の外径d(正確には設定外径)よりも大の径(大径)とされる。一方、貫通孔88の出口側90の孔径d2は、前記トナー供給ローラ10の外径d(正確には設定外径、実際には加熱冷却等により伸縮膨張するため製造直後の外径)とほぼ等しい径(小径)とされる。従って、前記口金87の貫通孔88は前記大径の入り口側89から前記小径の出口側90へ向けて孔径が小さくなっている。前記大径の入り口側89の径d1は、前記ポリウレタンフォーム中間成形体21Bの外径より大がより好ましい。これにより、前記ポリウレタンフォーム中間成形体21Bが前記入り口側89から前記貫通孔88内にスムーズに挿入可能となり、前記ポリウレタンフォーム中間成形体21Bの圧縮および溶融を確実に行うことが可能となる。
前記貫通孔88の入り口側の径d1と出口側の径d2の差(d1−d2)は、1〜40mm程度が好ましい。また、前記口金87の厚みb(前記貫通孔88の長さ)は、適宜設定されるが、例として20〜100mmを挙げる。
【0027】
前記口金87には、前記貫通孔88の内面を加熱するための加熱装置91,92が設けられている。図示の加熱装置91,92は電源に接続されたヒータからなり、前記口金87の両側に取り付けられている。なお、前記加熱装置91,92は、前記口金87の内部にヒータ等を埋設してもよい。前記口金87の貫通孔88の加熱温度は、前記ポリウレタンフォーム中間成形体21Bの外周面を溶融あるいは圧縮塑性変形可能な温度であり、300〜400℃が好ましく、さらにより好ましくは、340〜380℃である。
【0028】
被膜形成工程では、まず前記成形体保持部75,79間が前記口金87の貫通孔88の入り口側89よりも手前となるように、前記搬送台73を位置させる。その状態で、前記成形体保持部75,79の腕部77,81に形成されている前記溝78,82に、前記トナー供給ローラ中間成形体10Bのシャフト11の両端部を嵌め、前記トナー供給ローラ中間成形体10Bを前記成形体保持部75,79間に保持する。
【0029】
次に、前記搬送台73を前記成形体保持部79側から前記成形体保持部75側へ向けて搬送し、前記成形体保持部75,79の腕部77,81に保持されている前記ポリウレタンフォーム中間成形体21Bを、加熱した前記口金87の貫通孔88に前記入り口側89から供給し、前記貫通孔88に通す。その際、前記ポリウレタンフォーム中間成形体21Bの外周面を、前記口金87の貫通孔88の内面で加熱及び圧縮して擦りながら前記貫通孔88内を移動させる。それにより、前記ポリウレタンフォーム中間成形体21Bの外周面に、前記ポリウレタンフォーム中間成形体21Bの内部よりも圧縮され溶融固化された被膜を形成し、前記シャフト11の外周に
図1に示した前記筒状のポリウレタンフォーム21を有するトナー供給ローラ10を製造する。前記ポリウレタンフォーム中間成形体21Bの外周面に形成された被膜は、前記ポリウレタンフォーム中間成形体21Bの内部(すなわち前記筒状のポリウレタンフォーム21の内部)よりもセルが圧縮され小さくつぶれた状態と、ポリウレタンフォームの全部または一部が溶融固化された状態と、が混在された状態となっており、かつ表面にピンホール状の孔が散在している。この被膜の状態の断面拡大写真を
図7に示す。前記ピンホール状の孔は、前記口金87の貫通孔88に通す前のポリウレタンフォーム中間成形体21Bの表面に存在している気孔が、前記口金87の貫通孔88を通過する際に潰されて形成されたものである。
【0030】
このようにして製造された本発明のトナー供給ローラは、切削研磨によるセルのケバ状の切り残しが前記筒状のポリウレタンフォームの表面に存在しないため、トナー掻き取り性が向上し、プリンタ、ファクシミリ等の画質が向上する。また、前記筒状のポリウレタンフォームの外周面の被膜の表面に散在するピンホール状の孔によって、良好なトナー供給性が得られる。
【実施例】
【0031】
図8の表に示す実施例1〜6及び比較例1〜3のポリウレタンフォームに直径5mmのシャフト挿通孔を形成し、次いで一辺25mmの四角形断面からなる長さ220mmの角柱状に切り出した後、ポリウレタンフォームのシャフト挿通孔に直径4mm、長さ235mmの金属製シャフトを挿通し、
図4の(4−A)に示したトナー供給ローラ初期成形体10Aを作製した。
【0032】
実施例1、2及び比較例1に使用したポリウレタンフォームは、密度(JIS K7222:2005)57kg/m
3、セル数(JIS K 6400)52個/25mmのポリウレタンフォーム(品番:SM−55、(株)イノアックコーポレーション製)である。
実施例3、4及び比較例2に使用したポリウレタンフォームは、密度(JIS K7222:2005)31kg/m
3、セル数(JIS K 6400)28個/25mmのポリウレタンフォーム(品番:SC、(株)イノアックコーポレーション製)である。
実施例5、6及び比較例3に使用したポリウレタンフォームは、密度(JIS K7222:2005)22kg/m
3、セル数(JIS K 6400)32個/25mmのポリウレタンフォーム(品番:UEH、(株)イノアックコーポレーション製)である。
【0033】
その後、実施例1〜6については、前記トナー供給ローラ初期成形体のポリウレタンフォームを切削研磨してポリウレタンフォーム中間成形体21Bを形成し、
図4の(4−B)に示したトナー供給ローラ中間成形体10Bを作製した。切削研磨は研磨機により行った。
得られた実施例1〜6のトナー供給ローラ中間成形体10Bについて、ポリウレタンフォーム中間成形体21Bの外径をレーザーマイクロ測定機(ミツトヨ製 LSM−6200)により測定した。
【0034】
次に、実施例1〜6のトナー供給ローラ中間成形体10Bについては、
図6に示した被膜形成装置71を用いて後述のように加工した。なお、前記口金87は、貫通孔88の入り口側89の孔径d1が40mm、前記出口側90の孔径d2が13mm、
図6に示した厚みbが50mm、前記口金87の加熱温度が360℃であり、各実施例で共通とした。
【0035】
前記被膜形成装置71は、前記成形体保持部75,79間を前記口金89の手前に位置させた状態とし、前記成形体保持部75,79の腕部77,81の先端側に前記トナー供給ローラ初期成形体10Bのシャフト11の両端部をセットし、前記成形体保持部75,79間に前記トナー供給ローラ中間成形体10Bを保持した。続いて前記コンベアローラ72の回転により、前記搬送台73を前記成形体保持部79側から前記成形体保持部75側の方向へ1m/分の速度で移動させ、前記成形体保持部75,79間に保持した前記トナー供給ローラ中間成形体10Bのポリウレタンフォーム中間成形体21Bを、前記口金87の貫通孔88内に入り口側89から通して出口側90から貫通孔89外へ出した。それにより、前記ポリウレタンフォーム中間成形体21Bの外周面に前記被膜23を形成し、最終成形体である実施例の前記トナー供給ローラ10を製造した。
【0036】
この最終成形体である実施例の前記トナー供給ローラ10について圧縮荷重を次のようにして測定した。
図9に示すように、前記トナー供給ローラ10における筒状のポリウレタンフォーム21の表面を、シャフト方向の3箇所の位置、及び周方向の90度毎の4箇所の位置(計12箇所)で、直径50mm、厚み7mmの金属製円板状押圧板により、押圧速度10mm/minで押圧して、1mm圧縮時の荷重(g)を測定し、平均値を圧縮荷重に採用した。前記トナー供給ローラ10の圧縮荷重は、0.020〜0.500Nのものが好ましく、より好ましくは0.050〜0.200Nである。
【0037】
実施例1,2の圧縮荷重は0.097Nであり、実施例3,4の圧縮荷重は0.055Nであり、実施例5,6の圧縮荷重0.049Nであった。
【0038】
一方、比較例1〜3については、前記トナー供給ローラ初期成形体10Aを作製後、研磨加工を行うことにより、最終成形体である比較例のトナー供給ローラを製造した。なお、比較例1〜3についても、最終成形体である各トナー供給ローラについて、前記の実施例と同様にして圧縮荷重を測定した。比較例1の圧縮荷重は0.097N、比較例2の圧縮荷重は0.055N、比較例3の圧縮荷重0.049Nであった。
【0039】
実施例1〜6及び比較例1〜3のトナー供給ローラ(最終成形体)に対し、外径の測定、被膜の有無確認、通気性の測定、トナー残存率の測定を行った。結果は
図8に示す。
外径の測定は、筒状のポリウレタンフォームの外径をレーザーマイクロにより測定した。
被膜の有無確認は、マイクロスコープにより行い、被膜が有る場合には、被膜の表面にピンホール状の孔が散在しているか否かについても確認した。
【0040】
筒状のポリウレタンフォームの通気性の測定は、
図10の(10−A)に示す筒状測定治具51を用いて行った。前記筒状測定治具51は、内径が前記筒状のウレタンフォームの外径より小さい12mm、長さが43mmの円筒状であり、直径7.8mmの貫通孔53、54が互いに正反対に対向する位置に形成されている。
【0041】
図10の(10−B)に示すように、前記筒状測定治具51内に測定用トナー供給ローラ100を圧入する。符号110はシャフト、符号210は筒状のウレタンフォームである。
次に、
図10の(10−C)に示すように、前記筒状測定治具51の貫通孔54に測定管63の一端を接続し、前記測定管63の他端に送風ポンプ67を接続する。前記測定管63の途中には、差圧計64と流量計65を接続する。また前記筒状測定治具51の両端には密閉容器61、62を取り付け、前記貫通孔53を除いて密閉する。
【0042】
前記送風ポンプ67から、前記流量計65の値(流量)が0.3リッター/minの値で安定するように前記筒状測定治具51へ向けて送風し、前記送風ポンプ67とトナー供給ローラ100の間に位置する差圧計64で差圧を測定し、その測定値を通気性の値とした。
この測定値が大きいほど差圧が大きくなりトナー供給ローラの断面への通気性が悪くなるので、トナー供給性も悪くなる。一方、この測定値の差圧が小さくなるほどローラの通気性が良好となるため、トナー供給性は良好となる。具体的には、測定値が0.70kPa以下の場合にトナー供給性良好「〇」とし、0.70kPaを超える場合にトナー供給性不良「×」とした。差圧が0.01〜0.70kPa以下が好ましい。
【0043】
トナー掻き取り性の測定は、次のように行った。
1.現像ローラへのトナー薄層の形成
ブラックのカートリッジをレーザープリンタにセットし、レーザープリンタの電源を入れる。自動でカートリッジのローラが空転する。その後にカートリッジをレーザープリンタから取り出す。
2.現像ローラの取り出し
カートリッジを分解し、現像ローラを取り出す。
3.ブランク時(トナー薄層状態)のサンプリング
分解した現像ローラ上に薄層状態となっているトナーにセロファンテープを押し付け、回転させてトナーを採取する。
4.トナー供給ロールセット時の現像ローラのサンプリング
トナー供給ロールを現像ローラにセット・接続する。
トナー供給ロールが現像ローラに接した状態で現像ローラを一回転分回転させる。
トナー供給ローラを現像ローラから外し、現像ローラの表面に乗っているトナーにセロファンテープを押し付け、回転させてトナーを採取する。
5.サンプリング位置
図11に示すように、1本の現像ローラのシャフトの長手方向における2箇所をブランク時のセロファンテープ位置(サンプリング位置)とし、他の5箇所の位置をトナー供給ローラセット時のセロファンテープ位置(サンプリング位置)とする。
6.サンプリングしたトナーの濃度測定
マクベス濃度計でセロファンテープの濃度を測定し、[トナー供給ローラセット時の濃度測定値の平均値/ブランク時の濃度測定値の平均値×100(%)]でトナー残存率を算出する。トナー残存率が20%未満の場合に優秀「◎」、20%以上〜27.5%未満の場合に良好「〇」、27.5%以上の場合に不良「×」とした。
【0044】
実施例1〜6は、何れも表面にピンホール状の孔が散在する被膜を有しており、トナー供給性の評価が「〇」、トナー掻き取り性の評価が「〇」以上であり、トナー供給性及びトナー掻き取り性の何れも良好であった。
一方、比較例1〜3は、何れも表面に被膜が無く、トナー掻き取り性の評価が「×」であり、トナー掻き取り性に劣るものであった。
【0045】
このように、本発明のトナー供給ローラは、筒状のポリウレタンフォームの外周面に切削研磨による切り残しが存在しないため、プリンタ、ファクシミリ等の画像に白い筋を生じさせることがない。また、本発明のトナー供給ローラは、表面にピンホール状の孔が散在する被膜を筒状のポリウレタンフォームの外周面に有するため、トナー供給性及びトナー掻き取り性が良好である。