特開2018-173679(P2018-173679A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2018-173679タッチパネルおよび配線エリア形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-173679(P2018-173679A)
(43)【公開日】2018年11月8日
(54)【発明の名称】タッチパネルおよび配線エリア形成方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20181012BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20181012BHJP
【FI】
   G06F3/041 430
   G06F3/041 660
   G06F3/044 120
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-69490(P2017-69490)
(22)【出願日】2017年3月31日
(11)【特許番号】特許第6344498号(P6344498)
(45)【特許公報発行日】2018年6月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082762
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 正知
(74)【代理人】
【識別番号】100123973
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 拓真
(72)【発明者】
【氏名】中瀬 崇行
(72)【発明者】
【氏名】井上 努
(57)【要約】
【課題】公差しろとしての導電エリアにより生じる誤動作のおそれを低減し、電気的特性の劣化を防止する。
【解決手段】センサ部と、センサ部とコネクタ部の間を接続する配線を含む配線エリアとを有し、配線エリアの複数の配線の内側及び/又は外側に位置する導電エリア上に第1及び第2のトリミングラインが配置され、第1のトリミングラインにより第1の幅の配線を含む第1の区間と、導電エリアを幅方向に横切り第1の幅より大なる第2の幅の配線を含む第2の区間とが形成されて成り、第2の区間の配線の幅を第2の幅より縮小させるように、第2のトリミングラインが第2の区間において第1のトリミングラインと交差されているタッチパネルである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ部と、前記センサ部とコネクタ部の間を接続する配線を含む配線エリアとを有し、
前記配線エリアの複数の配線の内側及び/又は外側に位置する導電エリア上に第1及び第2のトリミングラインが配置され、
前記第1のトリミングラインにより第1の幅の配線を含む第1の区間と、前記導電エリアを幅方向に横切り前記第1の幅より大なる第2の幅の配線を含む第2の区間とが形成されて成り、
前記第2の区間の配線の幅を前記第2の幅より縮小させるように、前記第2のトリミングラインが前記第2の区間において前記第1のトリミングラインと交差されている
タッチパネル。
【請求項2】
前記導電エリア内で、前記第2のトリミングラインとほぼ平行に配置された第3のトリミングラインを有する
請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項3】
前記第2のトリミングラインが前記第1のトリミングラインの前記第1の区間において、前記導電エリアを幅方向に横切る区間を有する
請求項1又は2に記載のタッチパネル。
【請求項4】
前記第1及び第2のトリミングラインは、レーザートリミングラインである
請求項1から3のいずれかに記載のタッチパネル。
【請求項5】
センサ部と、前記センサ部とコネクタ部の間を接続する配線が含む配線エリアを形成するタッチパネルの配線形成方法において、
前記配線エリアの複数の配線の内側及び/又は外側に位置する導電エリア上に第1及び第2のトリミングラインによって配線を形成するようになし、
前記第1のトリミングラインによって、第1の幅の配線を含む第1の区間と、前記導電エリアを幅方向に横切り前記第1の幅より大なる第2の幅の配線を含む第2の区間を形成し、
前記第2の区間において前記第1のトリミングラインと交差されている前記第2のトリミングラインによって、前記第2の区間の配線の幅を前記第2の幅より縮小させる
タッチパネルの配線形成方法。
【請求項6】
前記導電エリア内で、前記第2のトリミングラインとほぼ平行に配置された第3のトリミングラインによって、前記導電エリアの面積を均一化する
請求項5に記載のタッチパネルの配線形成方法。
【請求項7】
前記第1のトリミングラインの前記第1の区間において、前記第2のトリミングラインが前記導電エリアを幅方向に横切る区間を有する
請求項5又は6に記載のタッチパネルの配線形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルおよび配線エリア形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モバイル機器や携帯電話機器、カーナビゲーション装置などが備える液晶表示素子等の表示素子上に、操作入力を検出するためのタッチセンサが配置されたタッチパネル(タッチスクリーンなどとも称される)が広く普及しており、さらには、2.5D、3D形状などと称される入力領域を曲面とした曲面タッチパネルも提案されている。タッチパネルの一つの方式として、静電容量方式タッチパネルが知られている。
【0003】
この種のタッチパネルでは、透明導電膜(ITO(Indium Tin Oxide))からなるX電極パターン及びY電極パターンが形成されたセンサ部を備えている。センサ部の周囲に配線エリア(メタル配線エリア)が形成され、配線エリアを介してセンサ部がコネクタ部と接続されている。コネクタ部を介してタッチパネルが外部機器と接続される。配線エリアを形成する方法として、レーザートリミングを使用することができる。例えば特許文献1には、検出電極の間に、レーザートリミングによってダミーパターンセットを配置することが記載されている。また、レーザートリミングは、ジグザグ状で曲げ箇所が検出電極内に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−197926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
レーザートリミングで配線エリア内の配線を形成する場合、公差しろを設ける必要がある。公差しろは、レーザートリミングを行う際に許容されるべきトリミング位置の誤差の最大寸法と最小寸法の差のことである。この公差しろの部分は導電材(例えば銀)で形成される導電エリアの一部として、配線エリアにおいて、例えば外側に位置するように形成されている。従来の公差しろは、誤差を考慮して、導電材によって他の配線よりも太く形成されているため、公差しろが、近傍に配設されている配線、あるいは、センサ部などと容量結合する。その結果、静電容量式タッチパネルの電気的特性に影響を及ぼし、指で触ったときに誤動作につながる問題があった。上述した特許文献1に記載のものは、センサ部の構造体に対するレーザーエッチングを示すもので、配線エリアに関する上述した問題点を解決できるものではなかった。
【0006】
したがって、本発明の目的の一つは、かかる問題を解決することができるタッチパネルおよび配線エリア形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、センサ部と、センサ部とコネクタ部の間を接続する配線を含む配線エリアとを有し、
配線エリアの複数の配線の内側及び/又は外側に位置する導電エリア上に第1及び第2のトリミングラインが配置され、
第1のトリミングラインにより第1の幅の配線を含む第1の区間と、導電エリアを幅方向に横切り第1の幅より大なる第2の幅の配線を含む第2の区間とが形成されて成り、
第2の区間の配線の幅を第2の幅より縮小させるように、第2のトリミングラインが第2の区間において第1のトリミングラインと交差されている
タッチパネルである。
【0008】
本発明は、センサ部と、センサ部とコネクタ部の間を接続する配線が含む配線エリアを形成するタッチパネルの配線形成方法において、
配線エリアの複数の配線の内側及び/又は外側に位置する導電エリア上に第1及び第2のトリミングラインによって配線を形成するようになし、
第1のトリミングラインによって、第1の幅の配線を含む第1の区間と、導電エリアを幅方向に横切り第1の幅より大なる第2の幅の配線を含む第2の区間を形成し、
第2の区間において第1のトリミングラインと交差されている第2のトリミングラインによって、第2の区間の配線の幅を第2の幅より縮小させる
タッチパネルの配線形成方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、導電エリアが第1のトリミングラインによって分断されるので、公差しろとしての導電エリアが他の配線などと容量結合した場合の影響を少なくできる。また、第2のトリミングラインによって配線幅が調整され、配線抵抗が他の配線のものと相違するアンバランスを防止することができ、電気的特性を安定化することができる。なお、本明細書において例示された効果により本発明の内容が限定して解釈されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1A図1B及び図1Cは、本発明の一実施形態に係るタッチパネルの配線エリアの一部を示す略線図である。
図2図2A及び図2Bは、本発明の一実施形態に係るタッチパネルの配線エリアの変形例の一部を示す略線図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係るタッチパネルの配線エリアの変形例の一部を示す略線図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係るタッチパネルの平面図である。
図5図5は、図4の一部拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。説明は以下の順序で行う。
<1.一実施形態>
<2.変形例>
但し、以下に示す実施形態等は、本発明の技術思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明は例示された構成に限定されるものではない。なお、特許請求の範囲に示される部材を、実施形態の部材に特定するものではない。特に、実施形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置、上下左右等の方向の記載等は特に限定する旨の記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがあり、また、図示が煩雑となることを防止するために、参照符号の一部のみを図示する場合もある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、重複する説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
【0012】
<1.一実施形態>
以下では、本発明の一実施形態に係るタッチパネルについて説明する。タッチパネルは、携帯情報端末装置、携帯電話機、カーナビゲーション装置等種々の電子機器の入力装置として用いられる。また、一実施形態では、絶縁基板上の入力操作領域に沿って多数の電極を配設し、指等の入力操作体が接近して検出電極間の静電容量が変化した電極を検出し、当該電極の位置から入力操作位置を検出する、所謂、静電容量方式のタッチパネルを例にして説明するが、これに限定されるものではない。
【0013】
図1を参照してタッチパネルの配線エリアをレーザートリミングによって形成する処理について説明する。なお、図1及び以下の図面において、参照符号1がタッチパネルのセンサ部を示し、センサ部1の周辺にセンサ部1の例えば最外周のセンサと接続された配線エリア2が設けられている。配線エリア2の配線を介してセンサ部1の出力信号がコネクタ部3に伝送される。例えば絶縁体上に形成された導電膜をレーザーでトリミングすることによって配線エリア2の電極パターンが形成される。配線エリア2内で描かれている線は、レーザーによって形成されるトリミングラインを表している。
【0014】
図1Aに示すように、レーザートリミングで配線エリア2を形成する場合、配線エリア2の外側又は内側に公差しろ4を設ける必要がある。この公差しろ4は、レーザートリミングによって配線を形成するための導電材のエリアに含まれており、適切な処理をしていないと静電容量式タッチパネルの電気的特性に影響を及ぼす。例えばトリミングラインL0によってレーザートリミングした場合、公差しろ4の幅に近い幅の導電材のエリア(以下、導電エリアと適宜称する)5が残り、この導電エリア5が近傍の他の配線などと容量結合し、指が触ったときに誤動作の原因となる。具体的数値の一例を以下に示す。
【0015】
レーザーのカット幅:0.03mm
配線パターン幅:0.05mm
ピッチ:0.08mm
公差しろ:0.2mm程度(ピッチの2倍以上)
【0016】
そこで、図1Bに示すように、第1のトリミングラインL1によってレーザートリミングを行う。トリミングラインL1により、第1の幅の配線を含む第1の区間P1と、導電エリア5を幅方向に横切り第1の幅より大なる第2の幅の配線を含む第2の区間P2とが形成される。その結果、導電エリア5を細切れにすることができ(導電エリア5を分断化でき)、導電エリア5と他の配線の結合容量を小とすることができる。このように形成された配線の幅の狭い(他の配線と同様の幅の)箇所(第1の区間P1)は、他の配線と同様の配線抵抗を有するが、配線の幅を広い箇所(第2の区間P2)では、配線の抵抗値が低下し、他の配線抵抗とアンバランスとなり、タッチパネルの電気的特性を安定化することが難しくなる。
【0017】
本発明の一実施形態では、図1Cに示すように、配線幅調整用の第2のトリミングラインL2を追加する。トリミングラインL2は、第1の区間P1において、トリミングラインL1と近接してほぼ平行にひかれ、第2の区間P2において、トリミングラインL1と交差する。このようにすることで、配線の幅の変化を小さくすることができ、配線抵抗のアンバランスを防止することができる。
【0018】
<2.変形例>
「変形例1」
導電エリアを分断化することができるが、配線の延設方向では、第1の区間P1における導電エリア5の面積と、第2の区間P2における導電エリア5の面積との差が大きく、電気的特性が不均一となる。そこで、図2Aに示すように、トリミングラインL2と平行な導電エリア面積調整用の第3のトリミングラインL3でもってレーザートリミングを行う。この場合、トリミングラインL3で分割された導電エリアの一方とその他方の面積がなるべく等しいように、トリミングラインL3の位置が決定される。このようにすると、導電エリア同士の面積が均一化され、配線の延設方向で結合容量のばらつきを抑えることができる。なお、図2Aでは、配線となる部分に対してハッチングが付されている。
【0019】
「変形例2」
図2Bに示すように、トリミングラインL1の第1の区間P1において、配線幅調整用のトリミングラインL2が導電エリア5を横切るようにする。その結果、導電エリア5の面積をより小さくすることができ、導電エリア5と他の配線などとの結合容量をより小さくすることができる。
【0020】
「変形例3」
図3に示すように、配線エリア2の両側に公差しろ4としての導電エリア5a及び5bが存在する場合に対しても本発明を適用することができる。一方の導電エリア5a上に第1のトリミングラインL1a、第2のトリミングラインL2a及び第3のトリミングラインL3aが配置される。他方の導電エリア5b上に第1のトリミングラインL1b、第2のトリミングラインL2b及び第3のトリミングラインL3bが配置される。第1のトリミングラインL1a及びL1bにより、第1の幅の配線を含む第1の区間と、導電エリア5a及び5bを幅方向に横切り第1の幅より大なる第2の幅の配線を含む第2の区間とが形成される。この第2の区間の配線の幅を第2の幅より縮小させるように、第2のトリミングラインL2a及びL2bが第2の区間において第1のトリミングラインL1a及びL1bとそれぞれ交差されている。第3のトリミングラインL3a及びL3bが導電エリア5a及び5bをそれぞれ横切ることによって、導電エリア面積調整がなされる。
【0021】
「変形例4」
トリミングラインを形成する順序は、適宜、変更することができる。例えば、トリミングラインL2が形成された後に、トリミングラインL1が形成されるようにしてもよい。
【0022】
以上、本発明の一実施形態について具体的に説明したが、本発明は、上述した一実施形態に限定されるものではなく各種の変形が可能である。例えば静電容量型のタッチパネル以外の方式のタッチパネルに対しても本発明を適用することができる。さらに、レーザートリミング以外でも、公差しろとしての導電エリアを設ける配線形成方法に対して本発明を適用することができる。また、上述の実施形態および変形例において挙げた構成、方法、工程、形状、材料および数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料および数値などを用いてもよく、公知のもので置き換えることも可能である。また、実施形態および変形例における構成、方法、工程、形状、材料および数値などは、技術的な矛盾が生じない範囲において、互いに組み合わせることが可能である。
【0023】
「実施例」
図4は、本発明によるタッチパネルの一実施例の平面図であり、例えば2枚の基板のそれぞれにX方向側、Y方向側の透明電極パターンを形成し、それら2枚の基材を貼り合わせた、貼り合わせ構造を有している。透明電極パターンとしては、ITO膜を例示することができ、各電極には透明な銀パターンからなる引き出しパターンが印刷形成されている。基材としては、ガラスやフィルムを例示することができる。
【0024】
図4において、外形の輪郭11とITOの輪郭12とメタル(例えば銀)エリアの輪郭13とが示されている。センサ部1の外周に沿って配線エリア2a及び2bが形成されている。配線エリア2aがコネクタ部3aに接続され、配線エリア2bがコネクタ部3bに接続される。コネクタ部3a及び3bは、配線パターンを露出させた接続用パターンである。
【0025】
図5に、配線エリア2a及びコネクタ部3aを拡大して示す。上述したトリミングラインL1、L2及びL3が形成されることによって、配線エリア2aの端の配線が形成される。また、配線エリア2b及びコネクタ部3bにおいても同様に、3本のトリミングラインが形成され、配線エリア2bの端の配線が形成される。
【符号の説明】
【0026】
1・・・センサ部、2,2a,2b・・・配線エリア、3・・・コネクタ部、
4・・・公差しろ、5,5a,5b・・・導電エリア、
L0,L1,L2,L3・・・トリミングライン
図1
図2
図3
図4
図5