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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-174017(P2018-174017A)
(43)【公開日】2018年11月8日
(54)【発明の名称】ソケット
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/24 20060101AFI20181012BHJP
   H01R 12/58 20110101ALI20181012BHJP
【FI】
   H01R13/24
   H01R12/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-69445(P2017-69445)
(22)【出願日】2017年3月31日
(71)【出願人】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094330
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 正紀
(74)【代理人】
【識別番号】100109689
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 結
(72)【発明者】
【氏名】田口 季位
【テーマコード(参考)】
5E123
【Fターム(参考)】
5E123AB21
5E123BA27
5E123BB01
5E123BB12
5E123CB22
5E123CB31
5E123CB38
5E123CB62
5E123CD01
5E123CD15
5E123DB13
(57)【要約】
【課題】コンタクトが高精度に配置される構造を備えたソケットを提供する。
【解決手段】本発明のソケットは、絶縁性の板状のハウジング20とコンタクト40を備えている。ハウジング20には、スルーホール21が形成されている。このスルーホール21の内壁面は、導電性材料でめっきされている。ハウジング20の第1面20aには、スルーホール21の内壁面の導電性材料に繋がって広がる導電パッド22が形成されている。その導電パッド22の半田付け部22aとスルーホール21との間は、半田レジストで仕切られている。コンタクト40は、接点部41と、圧入部42と、半田接続部43を有する。接点部41は、このソケットに装着される電子部品の底面の接触パッドに押されて弾性変形する。圧入部42は、スルーホール21に圧入されて弾性変形する。半田接続部43は、導電パッド22の半田付け部22aに半田付けされる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏に貫通した貫通孔を有し内壁面が導電性材料でめっきされた複数のスルーホールが2次元的に配列された、絶縁性の板材からなるハウジングと、
前記複数のスルーホールに対応して前記ハウジングの第1面側に2次元的に配置された複数の第1のコンタクトとを有し、
前記ハウジングがさらに、前記スルーホールに対応して該ハウジングの第1面に形成された、該スルーホールの内壁面の導電性材料と電気的に繋がって該スルーホールから広がる第1の導電パッドを有し、
前記第1のコンタクトが、
前記第1面から持ち上がった形状を有し該第1のコンタクトと電気的に接続される第1の接触パッドに押されて弾性変形する第1の接点部と、
前記スルーホールに差し込まれ該スルーホール内壁面に押されて弾性変形する第1の差込部と、
前記導電パッドに接続される表面実装型の第1の接続部とを有することを特徴とするソケット。
【請求項2】
前記第1の接続部が、前記第1の導電パッドに半田接続される表面実装型の第1の半田接続部であって、該第1の半田接続部が、該第1の導電パッドの、前記スルーホールから離れた第1の半田付け領域に半田付けされ、該第1の導電パッドの、該第1の半田付け領域と該スルーホールとの間の領域が、半田レジストで覆われていることを特徴とする請求項1に記載のソケット。
【請求項3】
前記ハウジングがさらに、前記スルーホールに対応して該ハウジングの第2面に形成された、該スルーホールの内壁面の導電性材料と電気的に繋がって該スルーホールから広がる第2の導電パッドを有し、
複数の第2のコンタクトが前記複数のスルーホールに対応して前記ハウジングの第2面側に2次元的に配置され、該複数の第2のコンタクトの各々が、
前記第2面から持ち上がった形状を有し該第2のコンタクトと電気的に接続される第2の接触パッドに押されて弾性変形する第2の接点部と、
前記スルーホールに差し込まれ該スルーホール内壁面に押されて弾性変形する第2の差込部と、
前記第2の導電パッドに接続される表面実装型の第2の接続部とを有することを特徴とする請求項1または2に記載のソケット。
【請求項4】
前記第2の接続部が、前記第2の導電パッドに半田接続される表面実装型の第2の半田接続部であって、該第2の半田接続部が、該第2の導電パッドの、前記スルーホールから離れた第2の半田付け領域に半田付けされ、該第2の導電パッドの、該第2の半田付け領域と該スルーホールとの間の領域が、半田レジストで覆われていることを特徴とする請求項3に記載のソケット。
【請求項5】
前記第1の接触パッドが、電子部品に形成された接触パッドであり、前記第2の接触パッドが、回路基板に形成された接触パッドであることを特徴とする請求項3または4に記載のソケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触パッドが底面に2次元的に配列された電子部品が装着されるソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
大規模な電子部品の場合、その電子部品を回路基板に直接に半田付けするのではなく、ソケットが使用されることがある。すなわち、ソケットが回路基板に半田付けされ、そのソケットに電子部品が装着される。そのソケットには、電子部品の底面に配列された接触パッドの各々に接触する多数のコンタクトが、板状のハウジングに配列されている。このようなソケットのハウジングとして、従来はLCP樹脂が使用されることが多い。ところが、このLCP樹脂は、回路基板とは熱膨張率が異なる。近年では、底面に2次元的に、1mmピッチで3000個もの接触パッドが配列された大規模なCPU等が登場してきている。このような大規模な電子部品用のソケットのハウジングをLCP樹脂で構成すると、LCP樹脂と回路基板との熱膨張率の違いに起因して、半田付け部に割れが生じるおそれや、ソケットを回路基板に半田付けして常温に戻ったときにそのソケットに反りが生じるおそれがある。
【0003】
そこで、ソケットのハウジングとして、回路基板と同じ材質のものを使うことを考える。ソケットのハウジングとして回路基板と同じ材質のハウジングを採用すれば、反りの問題を生じさせることなしに大規模な電子部品のソケットを構成することができる。
【0004】
回路基板の場合、表裏面を電気的に接続する配線を形成するために内壁面を導電性材料でめっきしたスルーホールが形成される。そのスルーホールは丸穴である。これに対し、コンタクトは、金属の板材の打抜き加工等で形成される。したがって、上記の例でいうと、3000本ものコンタクトを1mmピッチで如何にして高精度に固定配置するかが問題となる。
【0005】
特許文献1には、リード端子の2本の差込端部を基板に形成された2つの貫通孔にそれぞれ挿入して挿込端部を半田付けする基板モジュールが開示されている。しかしながら、この特許文献1の場合、差込端部と貫通孔の寸法等の相違によりリード端子の位置を精確に制御することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−319630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、コンタクトが高精度に配置される構造を備えたソケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明のソケットは、
表裏に貫通した貫通孔を有し内壁面が導電性材料でめっきされた複数のスルーホールが2次元的に配列された、絶縁性の板材からなるハウジングと、
上記複数のスルーホールに対応してハウジングの第1面側に2次元的に配置された複数の第1のコンタクトとを有し、
上記ハウジングがさらに、上記スルーホールに対応して該ハウジングの第1面に形成された、スルーホールの内壁面の導電性材料と電気的に繋がってスルーホールから広がる第1の導電パッドを有し、
上記第1のコンタクトが、
上記第1面から持ち上がった形状を有し第1のコンタクトと電気的に接続される第1の接触パッドに押されて弾性変形する第1の接点部と、
上記スルーホールに差し込まれスルーホール内壁面に押されて弾性変形する第1の差込部と、
上記導電パッドに接続される表面実装型の第1の接続部とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明のソケットは、各第1のコンタクトがスルーホールに差し込まれて弾性変形する第1の差込部を有する。このため、第1のコンタクトは、第1の差込部をスルーホールに差し込むことで高精度に位置決めされる。この場合に、キャリアで繋がった複数の第1のコンタクトを、キャリアに繋がったまま同時に挿し込むと、さらに精度を上げることができる。ただし、第1の差込部をスルーホールに差し込んだだけでは第1のコンタクトの位置ずれが生じるおそれがある。各第1のコンタクトは、さらに、表面実装型の第1の接続部を有する。この第1の接続部の電気的及び機械的な接続により、第1のコンタクトの位置が恒久的に高精度に保たれる。
【0010】
ここで、本発明のソケットにおいて、上記第1の接続部が、上記第1の導電パッドに半田接続される表面実装型の第1の半田接続部であって、その第1の半田接続部が、第1の導電パッドの、スルーホールから離れた第1の半田付け領域に半田付けされ、第1の導電パッドの、第1の半田付け領域とスルーホールとの間の領域が、半田レジストで覆われていることが好ましい。
【0011】
第1の半田付け領域とスルーホールとの間を半田レジストで分離すると、第1の半田付け領域の溶融半田がスルーホールに流れ込むことが一層確実に防止される。したがって、溶融半田がスルーホールに流れ込むことで第1の半田接続部の第1の半田付け領域における半田量が不足して半田付けの信頼性が低下することが回避される。
【0012】
また、本発明のソケットにおいて、
上記ハウジングがさらに、スルーホールに対応してハウジングの第2面に形成された、スルーホールの内壁面の導電性材料と電気的に繋がってスルーホールから広がる第2の導電パッドを有し、
複数の第2のコンタクトが複数のスルーホールに対応してハウジングの第2面側に2次元的に配置され、それら複数の第2のコンタクトの各々が、
前記第2面から持ち上がった形状を有し第2のコンタクトと電気的に接続される第2の接触パッドに押されて弾性変形する第2の接点部と、
上記スルーホールに差し込まれスルーホール内壁面に押されて弾性変形する第2の差込部と、
上記第2の導電パッドに接続される表面実装型の第2の接続部とを有することも好ましい形態である。
【0013】
このように、ハウジングの第1面に上記の第1のコンタクトが配置され、ハウジングの第2面に上記の第2のコンタクトが配置された構造を備えると、第1の接触パッドに対するソケットの着脱性のみでなく、第2の接触パッドに対するソケットの着脱性が向上する。
【0014】
ここで、さらに、上記第2の接続部が、上記第2の導電パッドに半田接続される表面実装型の第2の半田接続部であって、その第2の半田接続部が、第2の導電パッドの、スルーホールから離れた第2の半田付け領域に半田付けされ、第2の導電パッドの、第2の半田付け領域とスルーホールとの間の領域が、半田レジストで覆われていることも好ましい態様である。
【0015】
このように、第2のコンタクトについても、第1のコンタクトと同じ構造を採用してもよい。
【0016】
さらに、本発明のソケットにおいて、上記第1の接触パッドが、電子部品に形成された接触パッドであり、上記第2の接触パッドが、回路基板に形成された接触パッドであってもよい。
【0017】
本発明のソケットは、電子部品と回路基板とを電気的に繋ぐソケットとして好適である。
【発明の効果】
【0018】
以上の本発明によれば、コンタクトが高精度に配置されたソケットが実現する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態としてのソケットの斜視図である。
図2】配列された複数のコンタクトの一部を示した斜視図である。
図3】1個のコンタクトと、ハウジングの、コンタクト1個分の部分を示した斜視図である。
図4】1個のコンタクトと、ハウジングの、コンタクト1個分の部分の断面図である。
図5】1個のコンタクトと、ハウジングの、コンタクト1個分の部分を示した断面図(A)と、側面図(B)と、底面図(C)である。
図6】本発明の第2実施形態としてのソケットを構成する、ハウジングの第1面および第2面にそれぞれ配置された各1個のコンタクトと、ハウジングの、それら各1個のコンタクトに対応する部分を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0021】
図1は、本発明の第1実施形態としてのソケットの斜視図である。
【0022】
このソケット10には、電子部品としての大規模CPU(不図示)が装着される。そのCPUの底面には3000個もの多数の接触パッドが、縦横とも1mmピッチ(1mmグリッド)で2次元的に配列されている。なお、接触パッドの配置は、1.5mm千鳥配置や、0.9mmへリックス等の他の配置であってもよい。
【0023】
このソケット10は、絶縁性の板材からなるハウジング20と、ハウジング20に固定されていて装着されるCPUを位置決めする枠体30とを有する。ハウジング20は、このソケット10が半田付けされる回路基板(不図示)と同じ材質の板材で作製されている。
【0024】
ハウジング20には、CPU着座用の台が固定されている。また、このハウジング20には、多数本のコンタクト40が固定されている。ただし、図示の煩雑さを避けるために、この図1には、多数本のコンタクト40のうちの一部のみ図示されている。実際には、装着されるCPU底面の接触パッドの配列に合わせて、この図1の一点鎖線で囲われた領域に、2次元的に1mmピッチで合計3000本、配置されている。
【0025】
また、枠体30の外壁面30aには凹部31aが形成され、その凹部31a内に突起31が設けられている。この突起31は、未使用のソケット10のコンタクト40を保護するためのキャップ(不図示)係止用の突起である。また、この枠体30の内壁面30bにも、突起32が設けられている。この突起32は、ソケット10に装着されたCPUの位置決め用の突起である。さらに、この枠体30には、切欠き30cが形成されている。この切欠き30cは、装着されたCPUをソケット10から取り外すときに、CPUを指で摘まむための切欠きである。
【0026】
また、ハウジング20の、図1にあらわれている第1面20aには、複数の支持台33が設けられている。これらの支持台33は、このソケット10に装着されるCPUを着座させるための台である。
【0027】
図2は、配列された複数のコンタクトの一部を示した斜視図である。ここで、図2(A)は、キャリアに繋がった状態の複数のコンタクト、図2(B)は、キャリアから切り離された状態の複数のコンタクトを示している。
【0028】
ソケット10のハウジング20には1mmピッチ(1mmグリッド)で2次元的に配列された多数(全部で3000個)のスルーホールが形成されている。そして、1列分のスルーホールと同数のコンタクト40が、キャリア50に繋がった状態のまま、スルーホールに差し込まれる。そして、その後、各コンタクト40が、ハウジング20に半田付けされ、その後、キャリア50がノッチ51で折り曲げられる。すると、キャリア50は、そのノッチ51で破断し、図2(B)のように、コンタクト40を残して取り除かれる。
【0029】
図3は、1個のコンタクトと、ハウジングの、コンタクト1個分の部分を示した斜視図である。ここで、図3(A)はコンタクト取付前、図3(B)はコンタクト取付後を示している。
【0030】
また、図4は、1個のコンタクトと、ハウジングの、コンタクト1個分の部分の断面図である。ここで、図4(A)は、図3(A)と同様、コンタクト取付前、図4(B)は、図3(B)と同様、コンタクト取付後を示している。
【0031】
このハウジング20は、絶縁性の板材からなり、スルーホール21が形成されている。このスルーホール21は、ハウジング20の第1面20aから第2面20bまで貫通した貫通孔を有する。そして、このスルーホール21の内壁面21aは、導電性材料でめっきされている。
【0032】
図3図4には、ハウジング20の1本のコンタクト40に対応した部分のみが示されている。ハウジング20の全体からすると、図1に示すように、ハウジング20には、多数本のコンタクト40と同数のスルーホール21が1mmピッチ(1mmグリッド)で2次元的に配列されている。
【0033】
また、図3に示すように、このハウジング20の第1面20aには、スルーホール21から広がる導電パッド22が形成されている。この導電パッド22は、スルーホール21に対応して形成されていて、対応するスルーホール21の内壁面21aにめっきされた導電性材料と電気的に繋がっている。この導電パッド22は、図3に示す点線で示す領域を含む領域に広がっている。この導電パッド22の点線で囲まれた領域は半田レジストで覆われている。そして、この導電パッド22の、半田レジストで覆われていない、スルーホール21から離れた領域に、コンタクト40が半田付けされる。ここでは、スルーホール21から離れた、半田レジストに覆われていない領域を、半田付け領域22aと称する。ここで、この導電パッド22は、本発明にいう第1の導電パッドの一例に相当し、半田付け領域22aは、本発明にいう第1の半田付け領域の一例に相当する。
【0034】
このハウジング20の第2面20bの構造の説明は後に譲り、次に、コンタクト40について説明する。
【0035】
このコンタクト40は、弾性を有する金属板材の打抜き加工および折曲げ加工により製造される。このコンタクト40は、図2(A)に示したように、複数のコンタクト40がキャリア50に繋がった形状に製造され、キャリアに繋がったままハウジング20の第1面20aに配置され、ハウジング20への半田付けの後に、キャリア50から切り離される。
【0036】
このコンタクト40は、接点部41と、圧入部42と、半田接続部43とを有する。このコンタクト40は、本発明にいう第1のコンタクトの一例に相当する。また、接点部41、圧入部42、および半田接続部43は、本発明にいう、それぞれ第1の接点部、第1の差込部、および第1の接続部(第1の半田接続部)の各一例に相当する。
【0037】
接点部41は、ソケット10(図1参照)に装着されるCPUの底面の接触パッドに押されて弾性変形し、その接触パッドと電気的に導通する。
【0038】
また、圧入部42は、スルーホール21に挿し込まれる部分であって、針孔(eye−of−needle)の形状を有する。その圧入部42の幅は、スルーホール21の内径よりも少し幅広となっている。このため、この圧入部42は、スルーホール21に圧入され、スルーホール21の内壁面21aに押されて弾性変形する。コンタクト40は、その圧入部42がスルーホール21に圧入されることにより、コンタクト40の位置や姿勢が一応固定される。ただし、そのままでは、コンタクト40の位置あるいは姿勢が変わるおそれがある。そこで、このコンタクト40には、表面実装型の半田接続部43が形成されている。この半田接続部43は、圧入部42がスルーホール21に圧入された後、導電パッド22の半田付け領域22aに半田付けされる。その後、上述した通り、キャリア50が折り曲げられて破断され、各コンタクト40がキャリア50から分離されて各コンタクト40の各々が独立した部品となる。
【0039】
ここで、導電パッド22の半田付け領域22aは、スルーホール21から離間した領域である。このため、半田付け領域22aの半田24がコンタクト40の半田付けのために溶融してもスルーホール21に流れ込むことが確実に防止され、信頼性の高い半田付けが行われる。また、本実施形態の場合、導電パッド22の、半田付け領域22とスルーホール21との間の領域は半田レジストで覆われている。このため、半田付け領域22aの半田が溶融してもスルーホール21に流れ込むことが一層確実に防止され、半田付けの信頼性が一層高められている。
【0040】
また、この半田付け領域22aを含む導電パッド22は、スルーホール21の内壁面21aの導電性材料と電気的に繋がっている。このため、コンタクト40は、この半田付けにより、導電パッド22、およびスルーホール21の内壁面21aの導電性材料を介してハウジング20の第2面20bにまで確実に導通する。したがって、圧入部42は、スルーホール21の内壁面21aの導電性材料との導通を保証する必要はない。圧入部42は、電気的な導通の保証からは解放され、コンタクト40が半田付けされるまでの間の仮保持に適した圧力で差し込まれるように設計される。
【0041】
次に、ハウジング20の第2面20bの構造について説明する。
【0042】
図5は、1個のコンタクトと、ハウジングの、コンタクト1個分の部分を示した断面図(A)と、側面図(B)と、底面図(C)である。
【0043】
この図5には、ハウジング20の第2面20bに付着した半田ボール60が示されている。この図5も、図3図4と同じく、1本のコンタクト40に対応した部分のみが示されている。ハウジング20の全体からすると、半田ボール60は、コンタクト40の配列ピッチと同じピッチで2次元的に配列されている。
【0044】
このハウジング20の第2面20bにも、第1面20aと同様に、スルーホール21から広がる導電パッド23が形成されている。この導電パッド23も、第1面20a側の導電パッド22と同様、1つ1つのスルーホール21に対応して形成されている。そして、この導電パッド23は、対応するスルーホール21の内壁面21aの導電性材料に繋がって、図5(C)に示す点線の領域を含む領域に広がっている。そして、この図5(C)に点線で示した領域は、半田レジストで覆われている。そして、半田ボール60は、導電パッド23の、半田レジストに覆われていない、スルーホール21から離れた領域に付着している。導電パッド23の、スルーホール21から離れた、半田レジストに覆われていない領域は、このソケット10(図1参照)が、不図示の回路基板に半田付けされる領域である。そこで、この領域を、ここでは半田付け領域23aと称する。この半田付け領域23aに付着している半田ボール60は、回路基板への半田付けの際に溶融する。半田ボール60からの溶融半田は、スルーホール21から離れた位置にあるため、その溶融半田がスルーホール21内に流れ込むことはなく、信頼性の高い半田付けが行われる。特に、本実施形態の場合、導電パッド23の半田付け領域23aとスルーホール21との間は半田レジストで仕切られている。このため、溶融半田は、半田付け領域23aに確実にとどまり、半田付けの信頼性を一層高めている。
【0045】
なお、ここでは、図1に示すソケット10にCPUが装着されるものとして説明したが、本発明のソケットは、CPUに限られず、底面に接続パッドが配列されたタイプの電子部品一般に適用することができる。
【0046】
また、本実施形態では、接続部は半田接続部であったが、レーザ溶接接続部、導電性樹脂による接着、超音波接合、圧接接合等の他の接合部であってもよい。
【0047】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0048】
図6は、本発明の第2実施形態としてのソケットを構成する、ハウジングの第1面および第2面にそれぞれ配置された各1個のコンタクトと、ハウジングの、それら各1個のコンタクトに対応する部分を示した図である。ここで、図6(A)は斜視図、図6(B)は側面図、図6(C)は、図6(B)に示す矢印A−Aに沿う断面図である。ここでは、分かり易さのため、前述の第1実施形態のソケットを構成する各要素に対応する各要素には、第1実施形態の説明に用いた図1から図5において付した符号と同一の符号を付して示す。そして、この第2実施形態の説明では、前述の第1実施形態との相違点について説明する。
【0049】
この第2実施形態においても、ハウジング20の第1面20a側の構造は、前述の第1実施形態における構造と同一である。ただし、この第2実施形態における、ハウジング20の第2面20b側の構造は、前述の第1実施形態とは異なり、スルーホールに対応してコンタクト60が配列されている。これらのコンタクト60は、ハウジング20の第1面20a側に配列されているコンタクト40と同一の構造であって、接点部61、圧入部62、および半田接続部63を有する。そして、ハウジング20の第2面20bにも、第1面20aに形成されている導電パッド22と同一構造の導電パッド(不図示)が形成され、コンタクト60は、その第2面22bの導電パッドの半田付け部に半田接続される。ここで、ハウジング20の第2面20b側に配列されたコンタクト60は、本発明にいう第2のコンタクトの一例に相当する。また、接点部61、圧入部62、および半田接続部63は、本発明にいう、それぞれ第2の接点部、第2の差込部、および第2の接続部(第2の半田接続部)の各一例に相当する。さらに、第2面20b側に形成されている導電パッドおよび半田付け部は、本発明にいう、それぞれ第2の導電パッドおよび第2の半田付け部の各一例に相当する。
【0050】
ここで、この第2実施形態におけるソケット全体の図示は省略するが、この第2実施形態のソケットも、その上面側は前述の第1実施形態のソケット10(図1参照)と同様の構造を有し、CPUが装着される。また、この第2実施形態のソケットも、不図示の回路基板に搭載される。この第2実施形態のソケットは、回路基板に対し位置決めする必要がある。そのため、回路基板に位置決め孔が形成されるとともにソケットに位置決めピン(不図示)が設けられ、位置決め孔に位置決めピンを挿し込むことでソケットを位置決めする。そして、ソケットに装着されたCPUを覆うロードプレート(不図示)を設け、そのロードプレートを回路基板にねじ止め等により固定する。
【0051】
前述の第1実施形態の場合、ソケットは回路基板に半田付け固定される。このため、回路基板に搭載したソケットを回路基板から取り外すには困難が伴う。これに対し、この第2実施形態の場合、回路基板へのねじ止め等を外すだけでソケットを回路基板から容易に取り外して、点検や交換を行なうことができる。
【0052】
なお、この第2実施形態においても、ソケットにCPUが装着されるものとして説明したが、この第2実施形態の場合も、前述の第1実施形態の場合と同様、CPUに限らず、底面に接続パッドが配列されたタイプの電子部品一般に適用することができる。
【0053】
また、この第2実施形態の場合も、接続部は半田接続部であったが、これも前述の第1実施形態の場合と同様、レーザ溶接接続部、導電性樹脂による接着、超音波接合、圧接接合等の他の接合部であってもよい。
【符号の説明】
【0054】
10 ソケット
20 ハウジング
20a ハウジングの第1面
20b ハウジングの第2面
21 スルーホール
21a スルーホールの内壁面
22 導電パッド
22a 半田付け領域
23 導電パッド
23a 半田付け領域
30 枠体
31 突起
33 支持部
40,60 コンタクト
41,61 接点部
42,62 圧入部
43,63 半田接続部
50 キャリア
51 ノッチ
60 半田ボール
図1
図2
図3
図4
図5
図6