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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-175433(P2018-175433A)
(43)【公開日】2018年11月15日
(54)【発明の名称】ホース敷設装置
(51)【国際特許分類】
   A62C 27/00 20060101AFI20181019BHJP
【FI】
   A62C27/00 508
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-79657(P2017-79657)
(22)【出願日】2017年4月13日
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591078712
【氏名又は名称】消防庁長官
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 淳
(72)【発明者】
【氏名】大西 献
(72)【発明者】
【氏名】大西 典子
(72)【発明者】
【氏名】村角 謙一
(72)【発明者】
【氏名】小島 弘義
(72)【発明者】
【氏名】田村 佳宏
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 昇平
(72)【発明者】
【氏名】天野 久徳
(72)【発明者】
【氏名】内藤 浩由
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 一夢
【テーマコード(参考)】
2E189
【Fターム(参考)】
2E189AB05
2E189FA01
2E189FA04
(57)【要約】
【課題】走行台車の走行軌跡に沿ってホースを敷設する。
【解決手段】走行可能に設けられた走行台車7と、走行台車7の走行方向Mに対して直交し水平方向に沿って延在する回転軸2Aの周りに回転可能に設けられてホース11が巻き取られる巻取ドラム2と、巻取ドラム2を回転させるドラム駆動装置3と、巻取ドラム2より送り出されたホース11の上下位置を検出するホース位置検出部4と、ホース位置検出部4により検出されたホース11の上下位置に応じてホース11を所定の目標位置Sとする態様でドラム駆動装置3を制御して巻取ドラム2の回転を加減速する制御装置5と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行可能に設けられた走行台車と、
前記走行台車の走行方向に対して直交し水平方向に沿って延在する回転軸の周りに回転可能に設けられてホースが巻き取られる巻取ドラムと、
前記巻取ドラムを回転させるドラム駆動装置と、
前記巻取ドラムより送り出されたホースの上下位置を検出するホース位置検出部と、
前記ホース位置検出部により検出された前記ホースの上下位置に応じて前記ホースを所定の目標位置とする態様で前記ドラム駆動装置を制御して前記巻取ドラムの回転を加減速する制御装置と、
を備えるホース敷設装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記ホースの上下位置が上位置ほど前記巻取ドラムにおいて前記ホースを送り出す回転方向の正の速度または加速もしくは加速度を大きくし、前記ホースの上下位置が下位置ほど前記巻取ドラムにおいて前記ホースを送り出す回転方向の負の速度または加速もしくは加速度を大きくする態様で前記ドラム駆動装置を制御する請求項1に記載のホース敷設装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記ホース位置検出部において上下端からその間に設定する前記目標位置に同時に至るように走査した検出信号をそれぞれ取得し、先に検出した上下位置を優先する請求項1または2に記載のホース敷設装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記ホース位置検出部において上下端から前記ホースが逸脱した場合、各端において設定されていた速度または加速もしくは加速度を超えるように前記ドラム駆動装置を制御する請求項1〜3のいずれか1つに記載のホース敷設装置。
【請求項5】
前記ホース位置検出部は、前記巻取ドラムの上方から前記ホースを上から送り出す形態において、前記走行台車が走行する走行面にて前記走行台車の前記ホースを送り出す側の端から送り出し方向に所定距離の位置に至る前記巻取ドラムの最大巻取径の上側位置の接線を基準とし、前記走行面から前記接線に交差する位置までの間を前記ホースの上下位置を検出する範囲とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のホース敷設装置。
【請求項6】
前記ホース位置検出部は、さらに、前記接線に交差する位置から前記巻取ドラムの最大巻取径の上端の高さまでを加えて前記ホースの上下位置を検出する範囲とする請求項5に記載のホース敷設装置。
【請求項7】
前記ホース位置検出部は、さらに、前記ホースを検出する下限を規制する下限規制部材が設けられ、前記下限規制部材までを前記ホースの上下位置を検出する下限の範囲とする請求項5または6に記載のホース敷設装置。
【請求項8】
前記走行台車を走行させる走行駆動装置を備え、
前記制御装置は、前記走行駆動装置による前記走行台車の速度に応じて前記ドラム駆動装置を制御して前記巻取ドラムの回転を加減速する請求項1〜7のいずれか1つに記載のホース敷設装置。
【請求項9】
前記走行台車を走行させる走行駆動装置を備え、
前記制御装置は、前記ホース位置検出部により検出された前記ホースの上下位置に応じて前記走行駆動装置を制御して前記走行台車の加速度を調整する請求項1〜7のいずれか1つに記載のホース敷設装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行台車に乗せたドラムに巻かれたホースを走行台車の走行と共に走行面に敷設するホース敷設装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、放水用のホースを給水設備から放水現場まで適正に配索することで遠隔で放水作業を行うことができる放水システムおよびホース配索方法について示されている。ホース配策方法は、給水現場から放水台車とホース台車を連動して放水現場まで走行させる工程と、放水台車を放水現場に配置してホースを繰出しながらホース台車を給水現場まで走行させる工程と、給水現場でホースをホース台車から外して給水設備に連結する工程と、を有する。放水システムは、放水装置を有する放水台車と、一端部が放水装置に連結された放水用のホースを収納可能であると共に繰り出し可能なホース台車と、ホース台車を自走可能とするホース台車駆動装置と、放水台車とホース台車とを連結可能であると共に連結解除可能な連結装置と、ホース台車駆動装置と連結装置を遠隔により操作可能な操作装置と、を有する。また、放水システムでは、ホース台車は、駆動装置により所定の速度で走行すると共に、ホース巻取装置により所定の速度で駆動装置と同期してホースを繰り出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−205125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
台車が走行した走行面にホースを敷設する場合、台車が通ったところにホースが置かれていることが望ましい。具体的に、ホースは、敷設された後に通過した流体の圧力により移動し易く、曲がり角部分に引っ掛かって折れ曲がったり、弛みにより寄れ捻れなどキンクしたりすると、流体を流通させることが困難になる。従って、ホースは、曲がり角部に引っ掛かったり弛んだりしないように敷設されることが重要である。
【0005】
上述したように、上記特許文献1においては、ホース台車は、駆動装置により所定の速度で走行すると共に、ホース巻取装置により所定の速度で駆動装置と同期してホースを繰り出すことが示されている。しかし、走行台車の走行ルートをホースの敷設状況に合うようにして走行軌跡に沿ってホースを敷設しようとしても、走行台車の走行速度に同期してホースを繰り出すことでは、走行面に凹凸があったり、ホース回転ドラムに巻き取られているホースの巻き取り量が変化したり、走行台車のタイヤが摩耗したりすると、ホースが曲がり角部に引っ掛かったり弛んだりすることを防止できないおそれがある。また、数百mレベルを敷設する場合は誤差が生じるため、ホースが曲がり角部に引っ掛かったり弛んだりすることを防止できないおそれがある。また、放水作業を行うような基幹水源を確保するようなホースは、例えば、2kg/m程度で重く硬いもので、人が取り扱うなどの補助は容易ではない。
【0006】
本発明は上述した課題を解決するものであり、走行台車の走行軌跡に沿ってホースを敷設することのできるホース敷設装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、本発明の一態様に係るホース敷設装置は、走行可能に設けられた走行台車と、前記走行台車の走行方向に対して直交し水平方向に沿って延在する回転軸の周りに回転可能に設けられてホースが巻き取られる巻取ドラムと、前記巻取ドラムを回転させるドラム駆動装置と、前記巻取ドラムより送り出されたホースの上下位置を検出するホース位置検出部と、前記ホース位置検出部により検出された前記ホースの上下位置に応じて前記ホースを所定の目標位置とする態様で前記ドラム駆動装置を制御して前記巻取ドラムの回転を加減速する制御装置と、を備える。
【0008】
また、本発明の一態様に係るホース敷設装置では、前記制御装置は、前記ホースの上下位置が上位置ほど前記巻取ドラムにおいて前記ホースを送り出す回転方向の正の速度または加速もしくは加速度を大きくし、前記ホースの上下位置が下位置ほど前記巻取ドラムにおいて前記ホースを送り出す回転方向の負の速度または加速もしくは加速度を大きくする態様で前記ドラム駆動装置を制御することが好ましい。
【0009】
また、本発明の一態様に係るホース敷設装置では、前記制御装置は、前記ホース位置検出部において上下端からその間であるおおよそ中央部に設定する前記目標位置に同時に至るように走査した検出信号をそれぞれ取得し、先に検出した上下位置を優先することが好ましい。
【0010】
また、本発明の一態様に係るホース敷設装置では、前記制御装置は、前記ホース位置検出部において上下端から前記ホースが逸脱した場合、各端において設定されていた速度または加速もしくは加速度を超えるように前記ドラム駆動装置を制御することが好ましい。
【0011】
また、本発明の一態様に係るホース敷設装置では、前記ホース位置検出部は、前記巻取ドラムの上方から前記ホースを上から送り出す形態において、前記走行台車が走行する走行面にて前記走行台車の前記ホースを送り出す側の端から送り出し方向に所定距離の位置に至る前記巻取ドラムの最大巻取径の上側位置の接線を基準とし、前記走行面から前記接線に交差する位置までの間を前記ホースの上下位置を検出する範囲とすることが好ましい。
【0012】
また、本発明の一態様に係るホース敷設装置では、前記ホース位置検出部は、さらに、前記接線に交差する位置から前記巻取ドラムの最大巻取径の上端の高さまでを加えて前記ホースの上下位置を検出する範囲とすることが好ましい。
【0013】
また、本発明の一態様に係るホース敷設装置では、前記ホース位置検出部は、さらに、前記ホースを検出する下限を規制する下限規制部材が設けられ、前記下限規制部材までを前記ホースの上下位置を検出する下限の範囲とすることが好ましい。
【0014】
また、本発明の一態様に係るホース敷設装置では、前記走行台車を走行させる走行駆動装置を備え、前記制御装置は、前記走行駆動装置による前記走行台車の速度に応じて前記ドラム駆動装置を制御して前記巻取ドラムの回転を加減速することが好ましい。
【0015】
また、本発明の一態様に係るホース敷設装置では、前記走行台車を走行させる走行駆動装置を備え、前記制御装置は、前記ホース位置検出部により検出された前記ホースの上下位置に応じて前記走行駆動装置を制御して前記走行台車の加速度を調整することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ホース位置検出部により検出されたホースの上下位置に応じてホースを目標位置とするようにドラム駆動装置を制御して巻取ドラムの回転を加減速することで、ホースを目標位置に近づけるため、ホースが走行面の安定した位置に置かれて敷設される。この結果、走行台車の走行軌跡に沿ってホースを敷設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の実施形態に係るホース敷設装置の概略構成を示す側面図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係るホース敷設装置の動作を示すフローチャート図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係るホース敷設装置の動作を示すフローチャート図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係るホース敷設装置の動作を示すフローチャート図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係るホース敷設装置の動作を示すフローチャート図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係るホース敷設装置の動作を示すフローチャート図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係るホース敷設装置の動作を示すフローチャート図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係るホース敷設装置により敷設されるホースの説明図である。
図9図9は、本発明の実施形態に係るホース敷設装置により敷設されるホースの説明図である。
図10図10は、本発明の実施形態に係るホース敷設装置のホースの検出の説明図である。
図11図11は、本発明の実施形態に係るホース敷設装置と共に用いられる放水装置の概略構成を示す側面図である。
図12図12は、本発明の実施形態に係るホース敷設装置および放水装置によるホース敷設手順の説明図である。
図13図13は、本発明の実施形態に係るホース敷設装置および放水装置によるホース敷設手順の説明図である。
図14図14は、本発明の実施形態に係るホース敷設装置および放水装置によるホース敷設手順の説明図である。
図15図15は、本発明の実施形態に係るホース敷設装置および放水装置によるホース敷設手順の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0019】
図1は、本実施形態に係るホース敷設装置の概略構成を示す側面図である。
【0020】
本実施形態のホース敷設装置1は、巻取ドラム2と、ドラム駆動装置3と、ホース位置検出部4と、制御装置5と、バッテリ6と、走行台車7と、を有している。
【0021】
巻取ドラム2は、ホース11が巻き取られるもので、走行台車7のフレーム7Aに対し取り付けられている。巻取ドラム2は、回転軸2Aを有している。回転軸2Aは、走行台車7のフレーム7Aの上部に固定された支持台7Aaに対して水平方向に沿って延在するように設けられている。巻取ドラム2は、この回転軸2Aに支持されて当該回転軸2Aの周りに回転可能に設けられている。回転軸2Aは、走行台車7の直進時の移動する方向となる走行方向Mに対して直交する方向に延在している。従って、巻取ドラム2は、その回転方向Rが走行台車7の直進時の走行方向Mに沿うように設けられている。
【0022】
ドラム駆動装置3は、巻取ドラム2を回転軸2Aの周りに回転させるもので、巻取ドラム2が支持台7Aaに対して回転可能に設けられた回転軸2Aに固定されている場合は回転軸2Aを回転させ、巻取ドラム2が支持台7Aaに対して固定された回転軸2Aに回転可能に設けられている場合は巻取ドラム2を回転させる。ドラム駆動装置3は、図には明示しないが、サーボモータ(サーボモータに限らず他の電動機やアクチュエータであってもよい)を有し、サーボモータの出力軸が減速機や回転伝達手段(歯車やチェーンなど)を介して回転軸2Aまたは巻取ドラム2に接続されている。そして、ホース11は、走行台車7の直進時の走行方向Mにおいて後方に送り出され、かつ巻取ドラム2の上側から送り出されている。従って、ホース11を巻取ドラム2より送り出す場合にドラム駆動装置3は、巻取ドラム2を回転軸2Aの周りに図1中で反時計回り方向に回転させ、一方でホース11を巻取ドラム2に巻き戻す場合にドラム駆動装置3は、巻取ドラム2を回転軸2Aの周りに図1中で時計回り方向に回転させる。
【0023】
ホース位置検出部4は、巻取ドラム2より送り出されたホース11の上下位置を検出するものである。ホース位置検出部4は、走行台車7の直進時の走行方向Mにおいて巻取ドラム2の後方に配置されている。ホース位置検出部4は、例えば、回転軸2Aの延在方向で対向して巻取ドラム2より送り出されたホース11を間に通すように設けられた投受光センサが上下方向に直線状で複数並列されて構成されている。従って、ホース11が遮った投受光センサの上下位置がホース11の上下位置として検出される。なお、ホース位置検出部4は、CCD素子が上下方向に直線状で複数並列されたラインセンサカメラであってもよい。または、ホース位置検出部4は、上下方向に延在するレールと、レールに沿って移動する移動体と、移動体のレールにおける位置を検出するセンサと、を有して移動体がホース11を支持する構成としてもよい。
【0024】
ここで、ホース位置検出部4においてホース11の上下位置を検出する範囲について説明する。図1に示すように、巻取ドラム2の上方からホース11を上から送り出す形態において、走行台車7が走行する走行面Gにて、走行台車7におけるホース11を送り出す側の端(走行方向Mの後方の端)から送り出し方向(走行方向Mに相当)に所定距離D1の位置Pを設定する。走行面Gの位置Pは、巻取ドラム2の上方から送り出されたホース11が走行面Gに置かれた場合に、巻取ドラム2まで湾曲して垂れ下がって走行面Gで移動することなく安定した状態で敷設される位置である。位置Pの設定は、巻取ドラム2から送り出されるホース11の高さ(巻取ドラム2に巻き取られたホース11の最大巻取径の上端の高さ)に依存する。なお、このときに巻取ドラム2から送り出されるホース11がホース位置検出部4で検出される上下位置が後に説明する目標位置Sとなる。
【0025】
そして、ホース位置検出部4のホース11の上下位置を検出する範囲は、ホース11が巻取ドラム2に最も長く巻き取られている状態において、位置Pに至る最大巻取径の上側位置の接線L1を基準とする。具体的には、接線L1に対して上下方向に延在して設けられたホース位置検出部4が交差するように配置し、走行面Gから接線L1に交差する位置Qまでの間の高さH1をホース11の上下位置を検出する範囲とする。この場合、ホース11が位置Qを超えることを防止するため、ホース11の上方への移動を規制する上限規制部材4Aを位置Qに設けることが好ましい。また、ホース11が位置Qを超えても位置を検出できるように、上下方向に延在して設けられたホース位置検出部4が接線L1に交差する位置Qよりも上方であって最大巻取径の上端の高さまでの間の高さHaを高さH1に加えてもよい。このように高さHaを高さH1に加えた場合も、ホース11の上方への移動を規制する上限規制部材4Aを高さHaの上端位置に設けることが好ましい。
【0026】
さらに、ホース位置検出部4の上下方向の検出範囲において、ホース11の下方への移動を規制する下限規制部材4Bを設けることで、下限規制部材4Bの位置から位置Qまでの高さH2をホース位置検出部4のホース11の上下位置を検出する範囲としてもよい。この場合、ホース11が位置Qを超えることを防止するため、ホース11の上方への移動を規制する上限規制部材4Aを位置Qに設けることが好ましい。また、ホース11が位置Qを超えても位置を検出できるように、上下方向に延在して設けられたホース位置検出部4が接線L1に交差する位置Qよりも上方であって最大巻取径の上端の高さまでの間の高さHaを高さH2に加えてもよい。このように高さHaを高さH2に加えた場合も、ホース11の上方への移動を規制する上限規制部材4Aを高さHaの上端位置に設けることが好ましい。なお、ホース位置検出部4は、図1において上端が走行方向Mの後方に傾いて斜めに設けられている形態を示しているが、鉛直に設けられていても、上端が走行方向Mの前方に傾いて設けられていてもよい。
【0027】
制御装置5は、走行台車7のフレーム7Aに設けられ、例えば、コンピュータであり、図には明示しないが、演算処理装置や記憶装置などにより実現される。演算処理装置は、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサを含む。記憶装置は、ROMやRAMのようなメモリおよびストレージを含む。演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施する。記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムとしては、ホース位置検出部4により検出されたホース11の上下位置に応じてホース11を目標位置Sとする態様でドラム駆動装置3を制御して巻取ドラム2の回転を加減速する。また、制御装置5は、走行台車7において後述する走行駆動装置8および操舵装置9の駆動を制御する。
【0028】
バッテリ6は、走行台車7のフレーム7Aに設けられ、ドラム駆動装置3および制御装置5に接続されて電力を供給する。なお、図1では、バッテリ6は、制御装置5を介してドラム駆動装置3に電力を供給するように示しているが、ドラム駆動装置3に直接接続されていてもよい。また、バッテリ6は、後述する走行駆動装置8、操舵装置9、および無線装置10にも電力を供給する。
【0029】
走行台車7は、フレーム7Aに車輪7Bが設けられて、走行面G上を走行方向Mに移動可能に構成されている。走行台車7は、牽引車による牽引や作業車が人手で押すことにより移動することでもよいが、本実施形態では、自走可能に構成されている。このため、走行台車7は、走行駆動装置8と、操舵装置9と、無線装置10と、を有している。
【0030】
走行駆動装置8は、フレーム7Aに設けられた、例えば、電動モータであり、車輪7B(本実施形態では走行方向Mの後方の車輪7B)を回転させるように駆動する。走行駆動装置8は、液圧式モータやエンジンなどを採用してもよい。
【0031】
操舵装置9は、車輪7B(本実施形態では走行方向Mの前方の車輪7B)を操舵する。
【0032】
無線装置10は、走行駆動装置8や操舵装置9を無線で操作するためのものである。無線装置10は、アンテナ10Aを有し、制御装置5に接続されて、作業者が操作する操作装置(図示せず)の操作に基づく操縦信号を制御装置5に送信する。制御装置5は、無線装置10からの操縦信号に基づいて、走行駆動装置8や操舵装置9による車輪7Bの駆動を制御する。なお、無線装置10を用いず、作業者が操作する操作装置の操縦信号を有線にて制御装置5に送信してもよい。
【0033】
なお、走行台車7において、走行面G上を走行方向Mに移動可能にし、走行駆動装置8や操舵装置9により駆動される構成として、車輪7Bに限らず、例えば、クローラであってもよい。
【0034】
以下、本実施形態のホース敷設装置1の動作について説明する。図2図7は、それぞれ本実施形態に係るホース敷設装置の動作を示すフローチャート図である。
【0035】
図2を参照し、例えば、走行台車7が停止している状態から走行方向Mの前方に移動し始めたとする。このとき、ホース11の巻取ドラム2から引き出された端部は、走行面Gに載置されている。また、巻取ドラム2は回転していない。そして、図2に示すように制御装置5は、ホース位置検出部4により検出されたホース11の位置を取得する(ステップS1)。走行台車7が走行し始めると、ホース11が目標位置Sよりも上方位置でホース位置検出部4により検出される(ステップS2)。このような場合、制御装置5は、ホース11を送り出す方向の巻取ドラム2の正の回転において正の加速でドラム駆動装置3を制御する(ステップS3)。そして、制御装置5は、ステップS1に戻って検出されたホース11の位置を取得し、ホース11が目標位置Sよりも上方位置で検出されたままである場合は(ステップS2)、加速度を変えることなく正の加速のままとするようにドラム駆動装置3を制御する(ステップS3)。また、制御装置5は、ステップS1に戻って検出されたホース11の位置を取得し、ホース11が目標位置Sである場合は(ステップS4)、ドラム駆動装置3を制御して加速しない(ステップS5)。また、制御装置5は、ステップS1に戻って検出されたホース11の位置を取得し、ホース11が目標位置Sよりも下方位置で検出された場合は(ステップS6)、ホース11を送り出す方向の巻取ドラム2の正の回転において負の加速でドラム駆動装置3を制御する(ステップS7)。負の加速をすることは、巻取ドラム2の正の回転において減速することを意味する。そして、制御装置5は、ステップS1に戻って検出されたホース11の位置を取得し、ホース11が目標位置Sよりも下方位置で検出されたままである場合は(ステップS6)、加速度を変えることなく負の加速のままとするようにドラム駆動装置3を制御する(ステップS7)。ここで、制御装置5は、ステップS7で負の加速により巻取ドラム2の回転が停止した場合において、さらにホース11が目標位置Sよりも下方位置で検出された場合は(ステップS6)、加速度を変えることなくさらに負の加速をするようにドラム駆動装置3を制御することになり、すなわち、巻取ドラム2を逆回転としてホース11を巻き取る方向に巻取ドラム2を回転させる。また、走行台車7は、後方に後退することもあり、この場合であっても、制御装置5は、ホース位置検出部4による検出に基づいてドラム駆動装置3を制御する。その結果として、ホース11が目標位置Sよりも下方位置で検出されたままとなる場合は、加速度を変えることなく負の加速で巻取ドラム2の回転が停止し、巻取ドラム2を逆回転としてホース11を巻き取る方向に巻取ドラム2を回転させることになり得る。なお、上記動作において、「正の加速」とは、目標位置Sにおける現状の巻取ドラム2の回転速度よりも速い速度となるように加速することを意味し、「負の加速」とは、目標位置Sにおける現状の巻取ドラム2の回転速度よりも遅い速度となるように減速することを意味する。また、目標位置Sにおける巻取ドラム2の回転速度は、一定ではない。
【0036】
このように、ホース位置検出部4により検出されたホース11の上下位置に応じてホース11を目標位置Sとする態様でドラム駆動装置3を制御して巻取ドラム2の回転を加減速することで、ホース11を目標位置Sに近づけるため、ホース11が走行面Gの位置Pに置かれることとなり走行面Gで移動することなく安定した状態で敷設される。この結果、走行台車7の走行軌跡に沿ってホース11を敷設することができる。
【0037】
図3では、基本の動作は図2と同様であるが、制御装置5は、ホース11の上下位置が上位置ほど巻取ドラム2においてホース11を送り出す回転方向の正の加速度を大きくする一方、ホース11の上下位置が下位置ほど巻取ドラム2においてホース11を送り出す回転方向の負の加速度を大きくするようにドラム駆動装置3を制御する。ここで、図3で示す動作において、制御装置5は、ホース位置検出部4において、目標位置Sよりも上方位置と下方位置とをそれぞれ2分割して目標位置Sに近い位置(上方位置の場合下側であり下方位置の場合上側)および遠い位置(上方位置の場合上側であり下方位置の場合下側)としている。目標位置Sよりも上方位置と下方位置とを分ける数は2つ以上であってもよく、無段階であってもよい。
【0038】
図3を参照し、制御装置5は、ホース位置検出部4により検出されたホース11の位置を取得し(ステップS11)、ホース11が目標位置Sよりも上方位置で検出され(ステップS12)、かつ検出位置が目標位置Sに近い領域である場合(ステップS13:Yes)、正の加速を小さくしてドラム駆動装置3を制御する(ステップS14)。一方、制御装置5は、ステップS13において、検出位置が目標位置Sの近くでなく遠い領域である場合(ステップS13:No)、正の加速を大きくしてドラム駆動装置3を制御する(ステップS15)。また、制御装置5は、ホース11が目標位置Sである場合は(ステップS16)、ドラム駆動装置3を制御して加速をしない(ステップS17)。また、制御装置5は、ホース11が目標位置Sよりも下方位置で検出され(ステップS18)、かつ検出位置が目標位置Sに近い領域である場合(ステップS19:Yes)、負の加速を小さくしてドラム駆動装置3を制御する(ステップS20)。一方、制御装置5は、ステップS19において、検出位置が目標位置Sの近くでなく遠い領域である場合(ステップS19:No)、負の加速を大きくしてドラム駆動装置3を制御する(ステップS21)。
【0039】
このように、ホース11の上下位置が上位置ほどホース11を送り出す巻取ドラム2の回転方向の正の加速度(正の速度または正の加速もしくは正の加速度)を大きくし、ホース11の上下位置が下位置ほど負の加速度(負の速度または負の加速もしくは負の加速度)を大きくするようにドラム駆動装置3を制御することで、ホース11をより早く目標位置Sに近づけるため、ホース11が走行面Gの位置Pに置かれる精度が向上する。この結果、走行台車7の走行軌跡に沿ってホース11を敷設する効果を顕著に得ることができる。
【0040】
図4では、基本の動作は図2図3と同様であるが、ホース位置検出部4において上端からホース11が逸脱した場合を想定している。ホース位置検出部4は、図1においてホース11の上下位置を検出する範囲を高さH1,H2とし、下限規制部材4Bが設けられているが上限規制部材4Aが設けられていない構成とされている。ホース位置検出部4において上端からホース11が逸脱した場合は、制御装置5において、ホース位置検出部4からの検出信号が途絶えた場合である。
【0041】
図4を参照し、制御装置5は、ホース位置検出部4により検出されたホース11の位置を取得し(ステップS31)、ホース11がホース位置検出部4の上端から上方に逸脱した場合(ステップS32:Yes)、ホース位置検出部4の上端で設定された正の加速以上の正の加速とするようにドラム駆動装置3を制御する(ステップS33)。一方、制御装置5は、ホース11がホース位置検出部4の上端から上方に逸脱していない場合(ステップS32:No)、検出位置に応じた加速とするように(図2または図3参照)ドラム駆動装置3を制御する(ステップS34)。
【0042】
このように、ホース位置検出部4の上端からホース11が逸脱した場合に、上端において設定されていた正の加速以上の正の加速にするように(上端において設定されていた正の速度または正の加速もしくは正の加速度を超える正の加速度に)ドラム駆動装置3を制御することで、ホース11をより早く目標位置Sに近づけるため、ホース11が走行面Gの位置Pに置かれる精度が向上する。この結果、走行台車7の走行軌跡に沿ってホース11を敷設する効果を顕著に得ることができる。
【0043】
図5では、基本の動作は図2図3と同様であるが、ホース位置検出部4において下端からホース11が逸脱した場合を想定している。ホース位置検出部4は、図1においてホース11の上下位置を検出する範囲を高さH2とし(高さHaは加えても加えなくてもよい)、下限規制部材4Bが設けられておらず上限規制部材4Aが設けられている構成とされている。ホース位置検出部4において下端からホース11が逸脱した場合は、制御装置5において、ホース位置検出部4からの検出信号が途絶えた場合である。
【0044】
図5を参照し、制御装置5は、ホース位置検出部4により検出されたホース11の位置を取得し(ステップS41)、ホース11がホース位置検出部4の下端から下方に逸脱した場合(ステップS42:Yes)、ホース位置検出部4の下端で設定された負の加速以下の負の加速とするようにドラム駆動装置3を制御する(ステップS43)。一方、制御装置5は、ホース11がホース位置検出部4の下端から上方に逸脱していない場合(ステップS42:No)、検出位置に応じた加速とするように(図2または図3参照)ドラム駆動装置3を制御する(ステップS44)。
【0045】
このように、ホース位置検出部4の下端からホース11が逸脱した場合に、下端において設定されていた負の加速以下の負の加速にするように(下端において設定されていた負の速度または負の加速もしくは負の加速度を超える負の加速度に)ドラム駆動装置3を制御することで、ホース11をより早く目標位置Sに近づけるため、ホース11が走行面Gの位置Pに置かれる精度が向上する。この結果、走行台車7の走行軌跡に沿ってホース11を敷設する効果を顕著に得ることができる。
【0046】
図6では、基本の動作は図2図3と同様であるが、走行台車7の速度に応じて巻取ドラム2の回転速度を加減速する。制御装置5は、走行駆動装置8の駆動を制御しており、走行台車7の速度の状態(現状の速度および加速しているか減速しているか)を取得することができ、この走行台車7の速度の状態に応じてドラム駆動装置3を制御する。ここで、図6で示す動作において、制御装置5は、ホース位置検出部4において、目標位置Sよりも上方位置と下方位置とをそれぞれ2分割して目標位置Sに近い位置(上方位置の場合下側であり下方位置の場合上側)および遠い位置(上方位置の場合上側であり下方位置の場合下側)としている。目標位置Sよりも上方位置と下方位置とを分ける数は2つ以上であってもよく、無段階であってもよい。
【0047】
図6を参照し、制御装置5は、ホース位置検出部4により検出されたホース11の位置を取得すると共に(ステップS51)、走行台車7の速度を取得する(ステップS52)。そして、制御装置5は、ホース11が目標位置Sよりも上方位置で検出された場合であって(ステップS53)、かつ走行台車7が加速している場合(ステップS54:Yes)、巻取ドラム2の回転の正の加速をしつつ正の加速度を増す(大きくする)ようにドラム駆動装置3を制御する(ステップS55)。また、制御装置5は、ホース11が目標位置Sよりも上方位置で検出された場合であって(ステップS53)、かつ走行台車7が減速している場合(ステップS54:No、ステップS56:Yes)、巻取ドラム2の回転の正の加速をしつつ正の加速度を減らす(小さくする)ようにドラム駆動装置3を制御する(ステップS57)。また、制御装置5は、ホース11が目標位置Sよりも上方位置で検出された場合であって(ステップS53)、かつ走行台車7が加減速していない場合(ステップS54:No、ステップS56:No)、巻取ドラム2の回転の正の加速を大きくしつつ加速度の増減をしないようにドラム駆動装置3を制御する(ステップS58)。すなわち、制御装置5は、ホース11が目標位置Sより上方位置で検出されたことで巻取ドラム2の回転について正の加速をするが、そのうちで走行台車7が加速している場合は加速度を増し、走行台車7が減速している場合は加速度を減らし、走行台車7が加減速していない場合は加速度の増減をしない。また、制御装置5は、ホース11が目標位置Sである場合であって(ステップS59)、かつ走行台車7が加速している場合(ステップS60:Yes)、巻取ドラム2の回転の正の加速度を増す(大きくする)ようにドラム駆動装置3を制御する(ステップS61)。また、制御装置5は、ホース11が目標位置Sである場合であって(ステップS59)、かつ走行台車7が減速している場合(ステップS60:No、ステップS62:Yes)、巻取ドラム2の回転の正の加速度を減らす(小さくする)ようにドラム駆動装置3を制御する(ステップS63)。また、制御装置5は、ホース11が目標位置Sである場合であって(ステップS59)、かつ走行台車7が加減速していない場合(ステップS60:No、ステップS62:No)、ドラム駆動装置3を制御して加速変化をしない(ステップS64)。すなわち、制御装置5は、ホース11が目標位置Sであることで巻取ドラム2の回転について通常加速変化をしないが、そのうちで走行台車7が加速している場合は正の加速度を増し、走行台車7が減速している場合は正の加速度を減らし、走行台車7が加減速していない場合は加速度の加速変化をしない。また、制御装置5は、ホース11が目標位置Sよりも下方位置で検出された場合であって(ステップS65)、かつ走行台車7が加速している場合(ステップS66:Yes)、巻取ドラム2の回転の負の加速をしつつ負の加速度を減らす(小さくする)ようにドラム駆動装置3を制御する(ステップS67)。また、制御装置5は、ホース11が目標位置Sよりも下方位置で検出された場合であって(ステップS65)、かつ走行台車7が減速している場合(ステップS66:No、ステップS68:Yes)、巻取ドラム2の回転の負の加速をしつつ負の加速度を増す(大きくする)ようにドラム駆動装置3を制御する(ステップS69)。また、制御装置5は、ホース11が目標位置Sよりも下方位置で検出された場合であって(ステップS65)、かつ走行台車7が加減速していない場合(ステップS66:No、ステップS68:No)、巻取ドラム2の回転の負の加速をしつつ加速度の増減をしないようにドラム駆動装置3を制御する(ステップS70)。すなわち、制御装置5は、ホース11が目標位置Sより下方位置で検出されたことで巻取ドラム2の回転について負の加速をするが、そのうちで走行台車7が加速している場合は加速度を減らし、走行台車7が減速している場合は加速度を増し、走行台車7が加減速していない場合は加速度の増減をしない。
【0048】
このように、ホース位置検出部4により検出されたホース11の上下位置に応じてホース11を目標位置Sとする態様でドラム駆動装置3を制御すると共に、走行台車7の加減速に応じて巻取ドラム2の加速度を増減する。つまり、走行台車7が単位時間当たり1m走行するとして、目標位置Sでは巻取ドラム2から単位時間当たり1m送り出す場合、ホース11が目標位置Sより上方位置で検出されていて走行台車7が加速状態であれば、例えば巻取ドラム2から単位時間当たり1.1m送り出すようにしつつ単位時間当たり0.05mずつ増して送り出すようにし、走行台車7が減速状態であれば、例えば巻取ドラム2から単位時間当たり1.1m送り出すようにしつつ単位時間当たり0.05mずつ減らして送り出すようにする。また、走行台車7が単位時間当たり1m走行するとして、目標位置Sでは巻取ドラム2から単位時間当たり1m送り出す場合、ホース11が目標位置Sより下方位置で検出されていて走行台車7が加速状態であれば、例えば巻取ドラム2から単位時間当たり0.9m送り出すようにしつつ単位時間当たり0.05mずつ増して送り出すようにし、走行台車7が減速状態であれば、例えば巻取ドラム2から単位時間当たり0.9m送り出すようにしつつ単位時間当たり0.05mずつ減らして送り出すようにする。このため、ホース11を走行台車7の走行状態に合わせて目標位置Sに近づけるため、ホース11が走行面Gの位置Pに置かれることとなり走行面Gで移動することなく安定した状態で敷設される。この結果、走行台車7の走行軌跡に沿ってホース11を敷設することができる。
【0049】
図7では、基本の動作は図2図3と同様であるが、巻取ドラム2の回転速度に応じて走行台車7の速度を加減速する。制御装置5は、走行駆動装置8の駆動を制御しており、巻取ドラム2の回転速度の状態(目標位置Sの上下位置)に応じて走行駆動装置8を制御する。
【0050】
図7を参照し、制御装置5は、ホース位置検出部4により検出されたホース11の位置を取得する(ステップS71)。そして、制御装置5は、ホース11が目標位置Sよりも上方位置で検出された場合(ステップS72)、巻取ドラム2の正の回転において正の加速でドラム駆動装置3を制御する(ステップS73)。さらに、制御装置5は、走行台車7の正の加速度を現在よりも小さくするように走行駆動装置8を制御する(ステップS74)。すなわち、走行台車7を若干減速させる(または加速を制限する)。また、制御装置5は、ホース11が目標位置Sである場合(ステップS75)、ドラム駆動装置3を制御して加速変化をしない(ステップS76)。さらに、制御装置5は、走行台車7の加速度を現在から変化させないように走行駆動装置8を制御する(ステップS77)。また、制御装置5は、ホース11が目標位置Sよりも下方位置で検出された場合(ステップS78)、巻取ドラム2の正の回転において負の加速でドラム駆動装置3を制御する(ステップS79)。さらに、制御装置5は、走行台車7の正の加速度を現在よりも大きくするように走行駆動装置8を制御する(ステップS80)。すなわち、走行台車7を若干加速させる(または減速を制限する)。
【0051】
このように、ホース位置検出部4により検出されたホース11の上下位置に応じてホース11を目標位置Sとする態様でドラム駆動装置3を制御して巻取ドラム2の回転を加減速しつつ、走行駆動装置8を制御して走行台車7の加速度を調整することで、ホース11をより早く目標位置Sに近づけるため、ホース11が走行面Gの位置Pに置かれる精度が向上する。この結果、走行台車7の走行軌跡に沿ってホース11を敷設する効果を顕著に得ることができる。
【0052】
なお、図7に示す実施形態では、ホース位置検出部4により検出されたホース11の上下位置に応じて走行駆動装置8を制御して走行台車7の加速度を調整しているが、走行駆動装置8を制御せず、走行台車7の加減速を促す警報を作業者の操作装置に対して表示やアラームにより促してもよい。
【0053】
図8および図9は、本実施形態に係るホース敷設装置により敷設されるホースの説明図である。図10は、本実施形態に係るホース敷設装置のホースの検出の説明図である。
【0054】
図8に示すように、本実施形態において用いられるホース11は、流体を流通させた状態で円筒形状になるものを平坦に潰して巻取ドラム2に巻き取った形態とする。このため、巻取径が大きくならないようにホース11を巻取ドラム2に巻き取ることができる。また、図9に示すように、本実施形態において用いられるホース11は、数十mごと(例えば50mごと)に円筒状の接続金具12により着脱可能に設けられ、当該接続金具12で接続して連続して(例えば、300m)巻取ドラム2に巻き取った形態とする。また、接続金具12で接続されたホース11の両端にも接続金具12が設けられている。このため、接続金具12で接続された単位で様々な長さでホース11を敷設することができる。
【0055】
ここで、ホース位置検出部4において、ホース11を検出する際、ホース位置検出部4を通過するホース11が捻れて上下に立った状態となった場合、この状態のホース11の上端と下端の範囲で目標位置Sを基準とした位置が異なるため、上述した制御装置5の制御に影響を及ぼすおそれがある。同様に、ホース位置検出部4を接続金具12が通過する場合も、接続金具12の外径の上端と下端の範囲で目標位置Sを基準とした位置が異なるため、上述した制御装置5の制御に影響を及ぼすおそれがある。
【0056】
このため、本実施形態のホース敷設装置1では、図10に示すように、制御装置5は、ホース位置検出部4において上下端からその間であるおおよそ中央部に設定する目標位置Sに向かってそれぞれ走査した検出信号を取得するようにする。そして制御装置5は、先に検出した上下位置を優先する。このようにすることで、ホース位置検出部4を通過するホース11が捻れて上下に立った状態となっても、接続金具12がホース位置検出部4を通過する場合でも、目標位置Sを基準とした制御を行うことができる。なお、目標位置Sがホース位置検出部4の中央部に設定されている場合は走査速度を同じくし、ホース位置検出部4の上端からと下端からとを同期して目標位置Sに同時に至るようにする必要がある。また、目標位置Sがホース位置検出部4の中央部からずれている場合は、走査速度を同じくし、目標位置Sから遠い端から先に走査し始め、後から走査し始めた目標位置Sに近い端からの走査と双方が目標位置Sに同時に至るようにする必要がある。他に、目標位置Sがホース位置検出部4の中央部からずれている場合はホース位置検出部4の上端からと下端からとの走査速度を変えて目標位置Sに同時に至るようにする必要がある。
【0057】
以上説明したように、本実施形態のホース敷設装置1によれば、走行台車7の走行軌跡に沿ってホース11を敷設することができる。敷設したホース11は、災害時の基幹水源の確保や、生活水の確保を目的とした水道などに活用することができる。以下、上述したホース敷設装置1の他の適用例を説明する。
【0058】
図11は、本実施形態に係るホース敷設装置と共に用いられる放水装置の概略構成を示す側面図である。以下、上述したホース敷設装置1の放水装置101と共に用いられる実施形態について説明する。
【0059】
図11に示すように、ホース敷設装置1は、図1に示す構成と同様である。放水装置101は、放水台102と、放水駆動装置103と、制御装置105と、バッテリ106と、走行台車107と、を備える。
【0060】
放水台102は、走行台車107のフレーム107Aに設けられ、放水銃102Aを有しており、ホース敷設装置1により敷設されるホース11が接続金具12を介して接続されることで放水銃102Aから放水することができる。放水銃102Aは、鉛直軸の周りに左右旋回可能に設けられていると共に、先端の向きを上下方向に移動可能に設けられている。
【0061】
放水駆動装置103は、放水銃102Aの左右旋回および上下移動を駆動する。放水駆動装置103は、図には明示しないが、サーボモータを有し、サーボモータの出力軸が減速機や回転伝達手段(歯車やチェーンなど)を介して旋回機構や上下移動機構に接続されている。
【0062】
制御装置105は、走行台車107のフレーム107Aに設けられ、例えば、コンピュータであり、図には明示しないが、演算処理装置や記憶装置などにより実現される。演算処理装置は、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサを含む。記憶装置は、ROMやRAMのようなメモリおよびストレージを含む。演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施する。記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムとしては、放水駆動装置103を制御して放水銃102Aの向きを変える。また、制御装置105は、走行台車107において後述する走行駆動装置108および操舵装置109の駆動を制御する。
【0063】
バッテリ106は、走行台車107のフレーム107Aに設けられ、放水駆動装置103および制御装置105に接続されて電力を供給する。なお、図11では、バッテリ106は、制御装置105を介して放水駆動装置103に電力を供給するように示しているが、放水駆動装置103に直接接続されていてもよい。また、バッテリ106は、後述する走行駆動装置108、操舵装置109、無線装置110、カメラ115、前方探知センサ116、およびGPSセンサ117にも電力を供給する。
【0064】
走行台車107は、フレーム107Aに車輪107Bが設けられて、走行面G上を走行方向Mに移動可能に構成されている。走行台車107は、自走可能に構成されている。このため、走行台車107は、走行駆動装置108と、操舵装置109と、無線装置110と、カメラ115と、前方探知センサ116と、GPSセンサ117と、を有している。
【0065】
走行駆動装置108は、フレーム107Aに設けられた、例えば、電動モータであり、車輪107B(本実施形態では走行方向Mの後方の車輪107B)を回転させるように駆動する。走行駆動装置108は、液圧式モータやエンジンなどを採用してもよい。
【0066】
操舵装置109は、車輪107B(本実施形態では走行方向Mの前方の車輪107B)を操舵する。
【0067】
無線装置110は、走行駆動装置108や操舵装置109や放水駆動装置103を無線で操作するためのものである。無線装置110は、アンテナ110Aを有し、制御装置105に接続されて、作業者が操作する操作装置201(図12図15参照)の操作に基づく操縦信号を制御装置105に送信する。制御装置105は、無線装置110からの操縦信号に基づいて、走行駆動装置108や操舵装置109による車輪107Bの駆動、および放水駆動装置103による放水銃102Aの移動を制御する。なお、無線装置110を用いず、作業者が操作する操作装置201の操縦信号を有線にて制御装置105に送信してもよい。
【0068】
なお、走行台車107において、走行面G上を走行方向Mに移動可能にし、走行駆動装置108や操舵装置109により駆動される構成として、車輪107Bに限らず、例えば、クローラであってもよい。
【0069】
カメラ115は、走行方向Mの前方を撮影して画像を取得する。カメラ115で取得した画像は、制御装置105に入力され、無線装置110を通じて作業者に送信される。作業者は、画像に基づいて走行駆動装置108や操舵装置109や放水駆動装置103を駆動する操作を行う。
【0070】
前方探知センサ116は、前方の障害物を検出する。前方探知センサ116で障害物が検出された信号は、制御装置105に入力され、無線装置110を通じて作業者に送信される。作業者は、障害物の検出に基づいて走行駆動装置108や操舵装置109や放水駆動装置103を駆動する操作を行う。
【0071】
GPSセンサ117は、走行台車107の走行位置を取得する。GPSセンサ117で取得した走行位置は、制御装置105に入力され、無線装置110を通じて作業者に送信される。作業者は、走行位置に基づいて走行駆動装置108や操舵装置109や放水駆動装置103を駆動する操作を行う。
【0072】
図12図15は、本実施形態に係るホース敷設装置および放水装置によるホース敷設手順の説明図である。
【0073】
図12において、操作装置201は、作業者により操作されるもので、制御装置202が接続されている。この制御装置202は、無線装置203が設けられている。無線装置203は、アンテナ203Aを有している。操作装置201は、制御装置202に操作指令を送ることで、その操作指令を無線装置203により放水装置101の無線装置110を経由して制御装置105に出力が可能である。また、操作装置201は、制御装置202に操作指令を送ることで、その操作指令を無線装置203によりホース敷設装置1の無線装置10を経由して制御装置5に出力が可能である。即ち、操作装置201は、放水装置101およびホース敷設装置1を遠隔により操作可能となっている。
【0074】
ここで、放水装置101は、その後方にホース敷設装置1の後方がホース11を介して接続される。ホース11は、巻取ドラム2から引き出された一端に設けられた接続金具12が放水装置101の接続金具12に接続されている。また、ホース11は、巻取ドラム2から送り出された他端に設けられた接続金具12がポンプ車205に連結することができる。ポンプ車205は、運転操作することで走行可能な車両であって、車体205Aの後部にタンク205Bが設けられている。すなわち、ホース敷設装置1が敷設するホース11は、一端が放水装置101に接続され、他端がポンプ車205に接続されて、ポンプ車205から放水装置101に流体である水を供給することが可能とする。
【0075】
図12に示すように、操作装置201や制御装置202は、管理エリアA1における管理棟などに配置されている。ポンプ車205は、給水エリア(給水現場)A2における所定の位置まで進入可能である。そして、放水装置101とホース敷設装置1は、遠隔操作により給水エリアA2の建物Bを避けて道路を走行し、放水エリア(放水現場)A3まで移動する。放水エリアA3は、放水対象物Cがあり、例えば、高温雰囲気の火災現場、爆発などの危険性がある現場、放射線汚染区域である現場であり、作業者が近づくことが困難な現場である。
【0076】
そして、図13に示すように、給水エリアA2から放水装置101とホース敷設装置1を連動して放水エリアA3まで走行させ、放水装置101を放水エリアA3に配置してホース11を敷設しながらホース敷設装置1を給水エリアA2まで走行させ、給水エリアA2でホース11をポンプ車205に連結する工程とを有している。
【0077】
このとき、ホース敷設装置1は、給水エリアA2から放水エリアA3まで走行した経路と同じ経路を通って放水エリアA3から給水エリアA2に戻る。そして、放水装置101とホース敷設装置1が放水エリアA2まで走行するとき、走行経路COに指標を付け、ホース敷設装置1がこの指標に基づいて給水エリアA2まで戻る。
【0078】
放水装置101は、ホース11を介してホース敷設装置1と連結されている。作業者は、操作装置201により放水装置101およびホース敷設装置1を走行させる。これにより、放水装置101およびホース敷設装置1は、給水エリアA2の各建物Bを避けるようにして道路を走行し、放水エリアA3まで移動する。放水装置101は、前方に向けて走行し、ホース敷設装置1は、後方に向けて走行することになる。放水装置101が走行するとき、放水装置101のカメラ115は、放水装置101の前方を撮影して画像を取得し、放水装置101の前方探知センサ116は、放水装置101の前方の障害物を認識し、放水装置101のGPSセンサ117は、現在の走行位置を取得する。放水装置101の制御装置105は、前方の画像と前方の障害物と現在の走行位置を無線装置110から無線装置203を介して管理エリアA1の制御装置202に送る。作業者は、これらの情報に基づいて操作装置201を操作し、放水装置101の走行駆動装置108および操舵装置109の駆動を制御すると共に、当該放水装置101に追従するように、ホース敷設装置1の走行駆動装置8および操舵装置9の駆動を制御する。
【0079】
ここで、ホース敷設装置1は、放水装置101に追従する走行時に、制御装置5において、ホース位置検出部4により検出されたホース11の上下位置に応じてホース11を所定の目標位置Sとするようにドラム駆動装置3を制御して巻取ドラム2の回転を加減速する。ここで、目標位置Sは、図11に示すように、ホース11が放水装置101に接続されていることから、放水装置101から巻取ドラム2まで湾曲して垂れ下がっており、走行面Gに接触して引きずらない位置である。
【0080】
図13に示すように、放水装置101とホース敷設装置1が規制ラインLAを超えて放水エリアA3に到着すると、作業者は、操作装置201を操作して放水装置101を停止して放水対象物Cに向けて配置する。そして、図14に示すように、作業者は、操作装置201を操作してホース敷設装置1を走行させ、規制ラインLAを超えて給水エリアA2まで戻すと共に、ホース11を敷設する。ホース敷設装置1は、上述したように、制御装置5において、ホース位置検出部4により検出されたホース11の上下位置に応じてホース11を所定の目標位置S(図1参照)とするようにドラム駆動装置3を制御して巻取ドラム2の回転を加減速する。
【0081】
ホース敷設装置1が給水エリアA2に戻り、ホース11が放水エリアA3と給水エリアA2との間に敷設されると、図15に示すように、給水エリアA2にて、作業者は、ホース11の他端の接続金具12をポンプ車205に連結する。そして、作業者は、操作装置201により放水装置101の放水銃102Aを作動し、放水対象物Cに向けて放水を開始する。
【符号の説明】
【0082】
1 ホース敷設装置
2 巻取ドラム
2A 回転軸
3 ドラム駆動装置
4 ホース位置検出部
4A 上限規制部材
4B 下限規制部材
5 制御装置
6 バッテリ
7 走行台車
7A フレーム
7Aa 支持台
7B 車輪
8 走行駆動装置
9 操舵装置
10 無線装置
10A アンテナ
11 ホース
12 接続金具
S 目標位置
図1
図2
図3
図4
図5
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図15