【解決手段】ブラケット12に取付けられ、上面部13aが略水平向きとなる第1位置と、上面部13aが後方上がりに傾斜する第2位置とに上下方向回動可能な商品陳列棚支持部材13と、商品陳列棚支持部材を第2位置に回動させる上方位置と、商品陳列棚支持部材を第1位置に回動させる下方位置とに上下方向回動可能な押上部材14と、ブラケットに前後方向スライド可能に取付けられて後方側にスライドした場合に商品陳列棚支持部材の上面部に載る商品陳列棚15と、後端部が押上部材に連結されて前端部がブラケットの前端部側に位置し、前端部を手前側に引っ張ることにより押上部材を上方位置に回動させ、前端部を後方側に押すことにより押上部材を下方位置に回動させる回動操作レバー16と、を有する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗では、商品陳列室内に商品陳列棚を設け、その商品陳列棚の商品陳列面上に各種の商品を陳列するようにしたショーケースが使用されている。このようなショーケースにおいては、商品陳列面上に商品を陳列する作業を容易にするため、商品陳列棚を前後方向スライド可能とし、前方に引き出した位置で商品を陳列するようにしたものが知られている。
【0003】
また、商品陳列面上に商品を陳列する場合、陳列する商品の種類や陳列する商品の量に応じて、商品陳列面を水平状態にしたい場合と、商品陳列面を後方上がりに傾斜させたい場合とがある。商品陳列面を水平状態と傾斜状態とに変更可能としたショーケースとしては、下記特許文献1に記載されたものが知られている。
【0004】
下記特許文献1に記載されたショーケースでは、断面形状がL字形の陳列台板を設け、この陳列台板を棚板上に載置する場合、表裏を反転させることにより、商品陳列面を水平状態、又は、後方上がりに傾斜した状態としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたショーケースでは、陳列台板の商品陳列面を水平状態と傾斜状態とに変更する場合には、陳列台板上に載っている商品を全て降ろした後に陳列台板を表裏反転させなければならず、多大な手間が掛かっている。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、商品陳列棚における商品が載置される商品陳列面を、水平状態と後方上がりに傾斜する傾斜状態とに変更する場合、その変更作業を手間をかけず容易に行うことができるショーケースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るショーケースは、内部に商品陳列室を有し、前面に開口を有するショーケース本体と、前記商品陳列室内に配置され、後端部が前記ショーケース本体に取付けられて前端部が前記開口に向けて略水平向きに延出する少なくとも左右一対のブラケットと、前記ブラケットに取付けられ、上面部が略水平向きとなる第1位置と、上面部が後方上がりに傾斜する第2位置とに上下方向回動可能な商品陳列棚支持部材と、前記ブラケットに取付けられ、前記商品陳列棚支持部材を押し上げてこの商品陳列棚支持部材を前記第2位置に回動させる上方位置と、前記商品陳列棚支持部材の押し上げを終了してこの商品陳列棚支持部材を前記第1位置に回動させる下方位置とに上下方向回動可能な押上部材と、商品が陳列される商品陳列面を有し、前記ブラケットに前後方向スライド可能に取付けられて後方側にスライドした場合に前記商品陳列棚支持部材の前記上面部に載る商品陳列棚と、前後方向に延出するとともに前後方向にスライド可能に設けられ、後端部が前記押上部材に連結されるとともに前端部が前記ブラケットの前端部側に位置し、前記前端部を手前側に引っ張ることにより前記押上部材を上方位置に回動させ、前記前端部を後方側に押すことにより前記押上部材を下方位置に回動させる回動操作レバーと、を有する。
【0009】
また、上述のショーケースにおいて、前記回動操作レバーは、前記商品陳列棚の裏面側に配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
回動操作レバーの前端部を手前側に引っ張ることにより、押上部材が上方位置に回動し、上方位置に回動した押上部材により商品陳列棚支持部材が押し上げられ、商品陳列棚支持部材は上面部が後方上がりに傾斜した第2位置に回動する。そして、商品陳列棚支持部材が第2位置に回動することにより、後方側にスライドして商品陳列棚支持部材の上面部に載っている商品陳列棚は、商品陳列面が後方上がりに傾斜した状態となり、この商品陳列面上に陳列されている商品は後方上がりに傾斜した陳列状態となる。一方、回動操作レバーの前端部を後方側に押すことにより、押上部材が下方位置に回動し、押上部材が下方位置に回動することにより商品陳列棚支持部材は上面部が略水平向きとなる第1位置に回動する。そして、商品陳列棚支持部材が第1位置に回動することにより、後方側にスライドして商品陳列棚支持部材の上面部に載っている商品陳列棚は、商品陳列面が略水平向きとなり、この商品陳列面上に陳列されている商品は略水平の陳列状態となる。ここで、商品陳列棚を後方上がりに傾斜した状態と略水平向きとなる状態とへ変更する作業を、商品陳列棚上に商品を載せたまま手間をかけず容易に行うことができる。
【0011】
また、回動操作レバーは商品陳列棚の裏面側に配置されているので、買い物客からは見えにくくなっており、買い物客が誤操作することやいたずらすることを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1はショーケース1を示す断面側面図である。このショーケース1は、前面に開口2が形成されるとともに内部に商品陳列室3が形成され、さらに、商品陳列室3の周囲にダクト4が形成されたショーケース本体5を有している。商品陳列室3とダクト4との間は、仕切板6により仕切られている。
【0014】
ダクト4内には、送風機7と冷却器8とが設けられている。ダクト4内の空気が送風機7により送風され、送風された空気が冷却器8により冷やされて冷気となり、この冷気がダクト4内を矢印で示す方向に流れる。ダクト4内を流れた冷気は、ダクト4の上部に形成された吹出口9から下向きに吹出し、開口2を覆う冷気のエアカーテンを形成する。エアカーテンを形成した冷気はダクト4の下部に形成された吸込口10からダクト4内に吸込まれ、冷却器8により再び冷やされる。
【0015】
商品陳列室3内には、上下方向に複数段の商品陳列部11が設けられている。これらの商品陳列部11は、ブラケット12と、商品陳列棚支持部材13と、押上部材14と、商品陳列棚15と、回動操作レバー16とを備えている。
【0016】
ブラケット12は、左右で平行に対向して位置する一対が一組となって設けられており、これらのブラケット12は後端部がショーケース本体5の一部である仕切板6に取付けられている。また、これらのブラケット12の前端部は、開口2に向けて略水平向きに延出している。
【0017】
商品陳列棚支持部材13は、
図2ないし
図5に示すように、ブラケット12の前端部側に位置する支軸17を支点として上下方向回動可能に設けられている。この回動動作により、商品陳列棚支持部材13は、
図2及び
図3に示すように、上面部13aが略水平向きとなる第1位置と、
図4及び
図5に示すように、上面部13aが後方上がりに傾斜する第2位置とに回動する。
【0018】
押上部材14は、ブラケット12に形成された円弧状の長孔18に係合してスライド可能なピン19を有し、前後方向に移動可能に設けられている。そして、押上部材14が前後方向に移動することによりピン19が長孔18に沿ってスライドし、押上部材14は、
図2及び
図3に示す下方位置と、
図4及び
図5に示す上方位置との間で上下方向に回動する。なお、押上部材14が上方位置に回動した場合、押上部材14は商品陳列棚支持部材13の下面に当接して商品陳列棚支持部材13を押し上げ、商品陳列棚支持部材13は
図4及び
図5に示すように第2位置に回動する。
【0019】
商品陳列棚15は、陳列する商品が載置される商品陳列面15aを有し、スライドレール(図示せず)を介してブラケット12に前後方向スライド可能に取付けられている。商品陳列棚15の前端部側にはスライドロックレバー20が設けられており、このスライドロックレバー20が
図2の実線で示す位置に位置する場合には、商品陳列棚15及びスライドレールは前後方向にスライドすることが規制されている。一方、スライドロックレバー20が
図2において二点鎖線で示す位置に回動操作された場合には、商品陳列棚15及びスライドレールは前後方向へスライドすることが可能となる。
【0020】
商品陳列棚15は、後方側にスライドした場合に商品陳列棚支持部材13の上面部13aに載るようになっている。このため、商品陳列棚15を後方側にスライドさせた場合、商品陳列棚支持部材13が
図2に示すように第1位置に位置する場合には、商品陳列棚15は略水平向きの状態となり、商品陳列面15aも略水平向きとなる。一方、商品陳列棚支持部材13が
図5に示すように第2位置に位置する場合には、商品陳列棚15は支軸17を支点として後方上がりに傾斜した状態となり、商品陳列面15aも後方上がりに傾斜した状態となる。
【0021】
回動操作レバー16は、押上部材14を下方位置と上方位置とに回動させる部材であり、前後方向に延出するとともに前後方向にスライド可能に設けられている。回動操作レバー16の後端部は押上部材14の前端部に連結され、回動操作レバー16の前端部の取手部16aはブラケット12の前端部側に位置している。また、ブラケット12の前端部側にはガイド板22が固定され、このガイド板22には略L字形に屈曲したガイド溝23が形成されている。そして、このガイド溝23内に回動操作レバー16の前端側に設けられたピン24がスライド可能に係合されている。ガイド溝23は水平部23aと垂直部23bとからなり、ピン24が水平部23aに係合されている場合には回動操作レバー16が前後方向にスライド可能となり、ピン24が垂直部23bに係合されている場合には回動操作レバー16の前後方向へのスライド動作が規制されている。
【0022】
また、回動操作レバー16は、商品陳列棚15の裏面側に配置されている。
【0023】
このような構成において、このショーケース1では、商品陳列棚15に陳列する商品の種類や量に応じて商品陳列棚15の傾きを略水平状態に変更し、又は、後方上がりの傾斜状態に変更することができる。
図1に示す状態では、上側4段の商品陳列部11では商品陳列棚15が略水平向きとされ、下側4段の商品陳列部11では商品陳列棚15が後方上がりの傾斜状態とされている。
【0024】
商品陳列棚15の傾きを
図2に示す略水平向きの状態から
図5に示す後方上がりの傾斜状態に変更する場合の操作手順について以下に説明する。
【0025】
まず、スライドロックレバー20を
図2において二点鎖線で示すロック解除位置に回動操作し、商品陳列棚15とスライドレールとを前後方向にスライド可能とする。
【0026】
その後、
図3に示すように、商品陳列棚15とスライドレールとを前方側(矢印A方向)へスライドさせる。商品陳列棚15が前方側にスライドすることにより、商品陳列棚15は商品陳列室3内の後方側から開口2側に移動するので、開口2から手を入れて行う商品陳列棚15の商品陳列面15a上への商品の陳列作業を容易に行うことができるようになる。
【0027】
図3に示すように商品陳列棚15を前方側へスライドさせた後、回動操作レバー16の取手部16aを把持し、回動操作レバー16を手前側に引っ張る。これにより、押上部材14が前方側へスライドするとともにピン19が長孔18に沿って上昇することにより、押上部材14は
図4に示すように後方上がりに傾斜した状態となる。そして、押上部材14が後方上がりに傾斜した状態となることにより、商品陳列棚支持部材13は押上部材14により押し上げられて支軸17の回りに上方に回動し、
図4に示すように後方上がりに傾斜した状態となる。
【0028】
なお、回動操作レバー16を手前側に引っ張った場合、回動操作レバー16のピン24はガイド溝23内をスライドし、ピン24がガイド溝23の垂直部23bに入り込むことにより、回動操作レバー16の前後方向へのスライド動作が規制され、押上部材14及び商品陳列棚支持部材13は
図4に示した傾斜状態で保持される。
【0029】
押上部材14と商品陳列棚支持部材13とが
図4に示した傾斜状態に保持された後、スライドロックレバー20をロック解除位置に回動操作し、商品陳列棚15とスライドレールとを後方側(
図5に示す矢印B方向)にスライドさせる。
【0030】
このスライド操作により、商品陳列棚15は商品陳列棚支持部材13の上面部13aの上に載ってスライドし、
図5に示すように、商品陳列棚15は後方上がりに傾斜した状態になるとともに商品陳列面15aも後方上がりに傾斜した状態になる。
【0031】
図5に示すように後方上がりに傾斜している商品陳列棚15を
図2に示すような水平状態に変更する場合には、水平状態から傾斜状態に変更した手順と逆の手順で行う。即ち、
図5の状態から商品陳列棚15を手前側にスライドさせ、
図4の状態とする。ついで、回動操作レバー16の前端部を持ち上げてピン24を水平部23aに移動させた後、回動操作レバー16を後方側に押すことにより押上部材14と商品陳列棚支持部材13とを
図3に示すような水平状態とする。その後、商品陳列棚15を後方側にスライドさせて
図2に示す水平状態とする。
【0032】
ここで、商品陳列棚15を水平状態と後方上がりの傾斜状態とに変更する場合、変更する作業者はブラケット12の前端側に位置する回動操作レバー16の前端部の取手部16aを把持し、この取手部16aを押したり引っ張ったりすることにより行うことができ、しかも、商品陳列面15a上に商品を載せたまま手間をかけず容易に行う事ができる。
【0033】
また、商品陳列棚15を水平状態と後方上がりの傾斜状態とに変更する機構である押上部材14と商品陳列棚支持部材13と回動操作レバー16とが商品陳列棚15の下方に配置されているため、この機構を設けているにも関わらず商品陳列面15aの商品陳列スペースを狭めることがなく、十分な商品陳列スペースを確保することができる。
【0034】
また、商品陳列棚支持部材13が後方上がりの傾斜状態となった場合、商品陳列棚支持部材13の後端側が押上部材14により支持されているため、商品陳列棚15の支持強度を高めることができ、重量物の商品の陳列にも耐えうる強度の高い商品陳列部11を得ることができる。
【0035】
また、回動操作レバー16は商品陳列棚15の裏面側に配置されているので、買い物客からは見えにくくなっており、買い物客、特に子供がこの回動操作レバー16を誤操作し又はいたずらすることを防止することができる。