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特開2018-175859バイオフィードバックを用いてフロー状態を達成するためのシステム、装置、および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-175859(P2018-175859A)
(43)【公開日】2018年11月15日
(54)【発明の名称】バイオフィードバックを用いてフロー状態を達成するためのシステム、装置、および方法
(51)【国際特許分類】
   A63B 26/00 20060101AFI20181019BHJP
   A61B 5/16 20060101ALI20181019BHJP
   A61M 21/02 20060101ALI20181019BHJP
【FI】
   A63B26/00
   A61B5/16 110
   A61M21/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-61701(P2018-61701)
(22)【出願日】2018年3月28日
(31)【優先権主張番号】15/477122
(32)【優先日】2017年4月3日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108501
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 剛史
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・ザドロズニ
(72)【発明者】
【氏名】セルゲイ・ゼルチン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ローズ
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・アディ
(72)【発明者】
【氏名】ニール・マシュキフ
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038PP03
4C038PS00
4C038PS01
(57)【要約】
【課題】バイオフィードバックを用いてフロー状態を達成するためのシステム、装置および方法を提供すること。
【解決手段】コグニティブ・モデルと協働して、人を分析してその人がフローの中にいるかどうかを判断することができるまたはフローの中に入るように人を導くことができるあるいはその両方を行うことができるウェアラブル・デバイスを有するシステムが、開示されている。このシステムおよびプロセスは、人がフローを達成するためにその人固有の方法を発見することを助ける。コグニティブAIエンジンを用いることによって、このシステムは、各個人に対して、精神状態の空間と、状態間の移行を生じさせる行為とを記述することができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フローを達成するように人を誘導するためのシステムであって、
活動の遂行の間に被験者から入力信号を受け取るように構成された第1のセンサと、
前記第1のセンサと、ユーザ・インタフェースと、マイクロプロセッサと、一組の行為を記憶するメモリとに結合されたセンサ・インタフェースを備えたサーバであって、前記マイクロプロセッサが、
少なくとも1つの状態がフロー状態を表す一組の観測不可能な状態を定義し、
一組の観測を定義し、
状態および行為の比較のためのメトリックを定義し、
状態および行為の各ペアのためのコストを定義し、
前記観測不可能な状態と、前記状態の間の一組の移行と、前記行為と、前記コストとに基づいて、グラフを構築し、
観測不可能な状態と観測との間に移行を構築し、
前記グラフの移行を、一様にまたは一組のドメイン知識に基づいて、初期化し、
前記グラフを用いて、行われるべき行為を前記一組の行為から特定する方針を計算し、
前記方針を前記ユーザ・インタフェースに送信する、
前記サーバと、
を備える、システム。
【請求項2】
前記第1のセンサが、心拍センサとガルバニック皮膚反応センサとからなる群から選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1のセンサが、加速度計とジャイロスコープとからなる群から選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
第2のセンサをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記グラフが、部分的に観測可能なマルコフ決定過程モデルを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
問題の解に基づき、ディスプレイへの視覚的なキューを表示することをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
各状態について前記一組の行為から少なくとも1つの推奨される行為を生成する前記観測不可能な状態における各状態において行われるべき前記行為が、触覚キューを送信することを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記マイクロプロセッサが、さらに、十分な状態情報と状態移行を含む状態の横断経路とを提供するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
問題を解くことが、価値反復アルゴリズム、または、POMDPを解くためのいずれかの他のアルゴリズムを実行することを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記マイクロプロセッサが、ドメイン知識を用いてまたは一様に、観測の条件付き確率を初期化する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
フロー状態を達成するように被験者を誘導するための装置であって、
心拍センサと、ガルバニック皮膚反応センサと、加速度計と、ジャイロスコープとからなる群から選択された少なくとも1つのセンサと、
ユーザ・インタフェースと、
前記ユーザ・インタフェースと前記センサとに結合されており、マイクロプロセッサとメモリとを備えたコントローラであって、前記メモリは、一組の行為と、観測不可能な精神状態のグラフと、前記状態と観測との間の一組の移行とを記憶し、前記マイクロプロセッサは、
前記センサを前記観測にマッピングし、
各移行のためのコストを定義し、
ドメイン知識に基づいて、または一様に前記グラフを初期化し、
前記一組の行為から少なくとも1つの行為出力を生成するために前記グラフを解き、
前記少なくとも1つの行為出力を前記ユーザ・インタフェースに送信する、
前記コントローラと、
を備える、装置。
【請求項12】
前記グラフが、部分的に観測可能なマルコフ決定過程モデルを備える、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
部分的に観測可能なマルコフ決定過程モデルを解くことが、価値反復アルゴリズムを実行することを備える、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの行為出力を前記ユーザ・インタフェースに送信することが、視覚的キューをディスプレイに表示することを備える、請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つの行為出力を前記ユーザ・インタフェースに送信することが、問題への解に基づいて、視覚的キューをディスプレイに表示することを備える、請求項11に記載の装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの行為出力を前記ユーザ・インタフェースに送信することが、触覚キューを送信することを備える、請求項11に記載の装置。
【請求項17】
フロー状態を達成するように被験者を誘導するための方法であって、
離散化され得る少なくとも1つのセンサ入力を備えたセンサ層を定義するステップと、
一組の精神状態と、一組の行為と、状態および行為の比較のためのメトリックと、状態および行為の各ペアのための直接コストとを備えた精神層を定義するステップと、
2つの先に定義された層を用いるモデルを構築するステップと、
移行の確率と観測の条件付き確率とを、一様にまたはドメイン知識を用いることによって初期化するステップと、
センサ・データを用いて、前記モデルを訓練するステップと、
前記一組の行為から、最適なまたは適切な様態で、ある行為を選択するために前記モデルを解くステップと、
を含む方法。
【請求項18】
前記センサ・データが心拍センサ・データを備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記センサ・データがガルバニック皮膚反応センサ・データを備える、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記センサ・データが加速度計データを備える、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着可能なコグニティブ・システムの技術分野に関する。特に、本発明は、バイオフィードバック信号とそれらの解釈に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの人間にとって、自分ではそうであるべきだと感じていても、競技の頂点にいない時がある。人は、達成することができないと感じていながらも、そのタスクにベストを尽くす時もある。たとえば、スポーツでは、運動選手が病気になり、適切な練習ができない場合がある。練習が不足していても、その運動選手が、ベストをつくすことができる場合もある。対照的に、運動選手が、従来よい練習であると考えられることをしたにもかかわらず、競技ではうまくいかないこともある。
【0003】
運動選手のコーチは、しばしば、期待の効果として結果を説明する。「フロー」の中に入ることは、最高のエリートである運動選手にとっても、非常に困難である。フローとは、それぞれの人間が、自信と緊張とストレスとタスクへの集中とのちょうどよいバランスを見つけるための異なったレシピを用いて達成する、ある精神状態である。
【0004】
フローを達成するための現時点での最新技術は、医師と、スポーツ人間心理学の専門家との協働の仕事に基づく。実際には、それは、パーソナライズされた一組の規則とガイドラインとに集約される。最も一般的には、運動選手は、個人的習慣、キー・フレーズの反復、またはそれ以外の特定の行動から、自らをフローの中に導く方法を構築する。これらの方法は、「感覚」に焦点を置いたものが多い。運動選手が成功すると、コーチは、運動選手に対して、次の時にそれを思い出すことができるように、その感覚を覚えておくように指示する。このアプローチが、うまくいく場合もあるが、安定したな結果を達成することは、非常に困難である。たとえ、ある運動選手が、ある「感覚」を説明することができて(それ自体、容易なことではないが)、それを呼び起こす方法を見つけられる場合であっても、その運動選手が、自分が実際にフロー状態を達成していることを事実上「知る」ことは、その活動が終了するまでは、ほとんど不可能である。
【0005】
他方で、パフォーマンスを向上させるための客観的な技術は、心拍と皮膚導電率とをモニタするバイオフィードバック・システムに依存する。このデータは、身体がフローの中にいるときにどのように見えるのかを物理的に記述することが可能であり、人がそれにより近づくことを助けることができる。たとえば、ある運動選手は、心拍が130回/分であるときに最良のパフォーマンスを生じさせることができ、現在の心拍が85回/分である場合には、この運動選手は、心拍を上昇させるべきである。しかし、これは、通常、それ自体で、その運動選手をフローの中に入れることはない。フローは、ある身体活動を単に行うことよりも、達成するのがより困難な精神状態である。ある運動選手の思考、恐怖、および欲望が、すべて、特定の瞬間にフローを達成するその運動選手の能力に、影響を与える。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】https://en.wikipedia.org/wiki/Flow_%28psychology%29
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ムードのような「精神状態」のためのモデルを作成することを目指していくらかの研究がなされてきているが、従来型の技術は、「フロー」を記述することが可能であるモデル、または、フローを達成するために精神状態の間を移行するための方針を見つけるモデルを作成することに成功していない。したがって、「フロー」を記述することが可能でありフローを達成するために精神状態の間を移行するための方針を見つけるモデルを、成功裏に作成する技術に対する必要性が生じている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態において、本発明は、コグニティブ・モデルと協働して、人を分析してその人がフローの中にいるかどうかを判断することができるまたはフローの中に入るように人を導くことができるあるいはその両方を行うことができるウェアラブル・デバイスに関する。
【0009】
実施形態において、開示されているプロセスは、人が、フローを達成するためにその人固有の方法を発見することを助ける。コグニティブAIエンジンを用いることにより、本明細書に記載されているシステムは、各個人に対して、精神状態の空間と、状態間の移行を生じさせる行為とを記述することができる。
【0010】
別の実施形態では、本発明は、週末の戦士たち、すなわち、自らのパフォーマンスを向上させることを望むセミプロおよびプロの運動選手に焦点を合わせたバーティカルソリューションである。
【0011】
実施形態においては、フローを達成するように人を誘導するためのシステムが提供されるのであるが、このシステムは、活動の遂行の間に被験者から入力信号を受け取るように構成された第1のセンサと、第1のセンサとユーザ・インタフェースとマイクロプロセッサと一組の行為を記憶するメモリとに結合されたセンサ・インタフェースを備えたサーバとを備えており、マイクロプロセッサは、少なくとも1つの状態がフロー状態を表す一組の観測不可能な状態を定義し、一組の観測を定義し、状態および行為の比較のためのメトリックを定義し、状態および行為の各ペアのためのコストを定義し、観測不可能な状態と状態の間の一組の移行と行為とコストとに基づいて、グラフを構築し、観測不可能な状態と観測との間に移行を構築し、グラフの移行を一様にまたは一組のドメイン知識に基づいて初期化し、グラフを用いて、行われるべき行為を一組の行為から特定する方針を計算し、その方針をユーザ・インタフェースに送信する。
【0012】
ある最適な実施形態では、第1のセンサが、心拍センサとガルバニック皮膚反応センサとからなる群から選択される。ある代替的な実施形態では、第1のセンサが、加速度計とジャイロスコープとからなる群から選択される。ある好適な実施形態では、システムは、さらに、第2のセンサを備える。別の好適な実施形態では、グラフが、部分的に観測可能なマルコフ決定過程(POMDP)モデルを備える。
【0013】
ある最適な実施形態では、システムが、さらに、問題の解に基づき、ディスプレイへの視覚的なキューを表示することをさらに備える。ある別の最適な実施形態では、各状態について一組の行為から少なくとも1つの推奨される行為を生成することが、触覚キューを送信することを備える。ある代替的な実施形態では、マイクロプロセッサが、さらに、十分な状態情報と状態移行を含む状態の横断経路とを提供するように構成されている。ある好適な実施形態では、問題を解くことが、価値反復アルゴリズム、または、POMDPを解くためのいずれかの他のアルゴリズムを実行することを備える。ある最適な実施形態では、マイクロプロセッサが、ドメイン知識を用いて、または、一様に、のいずれかにより、観測の条件付き確率を初期化する。
【0014】
複数の他の実施形態が、本明細書を通じて、記載される。これらの実施形態のすべてが、本明細書に開示されている本発明の範囲内にあることが意図されている。本明細書には様々な実施形態が記載されているが、すべての目的、利点、特徴または概念が、必ずしも、任意の特定の実施形態に従って達成される必要があるとは限らない、ということが理解されるべきである。よって、たとえば、当業者であれば、本発明は、本明細書で教示されるまたは提案される1つもしくは複数の利点を達成するまたは最適化するように、具現化され得るまたは実行され得るが、本明細書で教示され得るまたは提案され得る他の目的または利点は必ずしも達成しなくてもよい、ということを認識するであろう。
【0015】
本明細書に開示されている方法およびシステムは、様々な態様を達成するためのいずれかの手段として実装され得るのであり、マシンによって実行されると、本明細書に開示されている動作のうちのいずれかをそのマシンに実行させる一組の命令を具現化するマシン可読媒体の形式で実行され得る。本発明のこれらのならびに他の特徴、態様および利点は、以下の説明、後述の特許請求の範囲、添付の図面を参照することにより、当業者にとって容易に明らかになり、理解されるであろう、本発明は、開示されているどの特定の実施形態にも限定されない。
【0016】
本発明の上述された特徴が詳細に理解されることが可能になるように、上では簡潔な概要が述べられた本発明に関するより特定の説明が、実施形態を参照することにより行われ得るのであるが、そのいくつかが、添付の図面に図解されている。しかし、添付の図面は、本発明の単なる典型的な実施形態を図解しているに過ぎないのであって、本発明は、他の同様に効果的な実施形態も許容し得るということが、留意されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】ある実施形態によるシステム図である。
図2】ある実施形態によるグラフ・モデルの図である。
図3】ある実施形態による挑戦レベルとスキル・レベルとによって記述された精神状態の図である。
図4】ある実施形態によるシステムによって実行されるプロセスを図解するフローチャートである。
図5】ある代替的な実施形態によるシステムによって実行されるプロセスを図解するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本実施形態の他の特徴は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0019】
好適な実施形態に関する以下の詳細な説明では、添付の図面を参照するが、添付の図面は、明細書の一部を形成しており、添付の図面の中には、本発明が実現され得るようにする特定の実施形態が、図解により示されている。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態が用いられ得るということ、そして、構造的な変更がなされ得るということが、理解されるべきである。本発明の教示の思想および範囲から逸脱することなく、電気的、機械的、論理的および構造的な変更が、実施形態に対して、なされ得る。したがって、以下の詳細な説明は限定的な意味で解釈されるべきではなく、本開示の範囲は、後述の特許請求の範囲とその均等物とによって、定義される。
【0020】
図1は、ある実施形態によるシステム図を、図解している。システム100は、一組のセンサ111、112、113と、制御デバイス101と、ダッシュボード、モニタ、アクセス・ポイントなどのユーザ・インタフェース131とによって構成される。制御デバイス101は、コンピュータ・ハードウェアを用いて実装されることが可能であり、プロセッサ102と、ソフトウェア命令とセンサ・データと他のデータとを記憶するメモリ103とを含み得る。制御デバイス101は、さらに、WiFiおよびセルラー・インタフェース(図示せず)などのネットワーク・インタフェースを含み得る。センサ111、112、113は、次のものに限定されることはないが、心拍センサ、ガルバニック皮膚反応センサ、加速度計、ジャイロスコープ、磁気コンパス、マイクロフォン、圧力センサ、脳波(EEG)センサ、心電計(EKGまたはECG)センサ、および温度センサを含む任意のタイプのセンサであり得る。センサ111、112、113の出力は、制御デバイス101の前に、または、制御デバイス101において、離散化されることが可能である。制御デバイス101は、プロセッサとメモリとを含むことが可能である。ユーザ・インタフェース131は、ディスプレイまたはタッチもしくは触覚フィードバック・デバイスなどの、いずれかのユーザ・インタフェース・デバイスであり得る。
【0021】
システムは、実施形態では、精神状態のモデルを用い得る。このモデルは、「集中」のために用いられるものに関係し得る。集中のためのモデルは、広い範囲に適用可能である。たとえば、このモデルは、ADHD(注意欠陥多動障害)における薬品の管理に対処するソリューションを開発するのに、用いられ得る。ADHDの治療のための市場は、ほぼ100億ドルであり、多くの医師は、ADHDに伴う最大の困難は薬品の正しいレベルを設定することにある、と述べている。実際には、集中よりも、フローの方が、観察のためのより優れたメトリックであり得るのであるが、その理由は、運動選手が、一般人と比較すると、集中していることに関して、より明確なサインを示し得るからである。同様に、モデルにおける「集中」の使用は、プロフェッショナルな設定において有益であり、IoTのバックエンドとの関係で用いられ得る。
【0022】
精神状態の記述に対して、いくつかの実施形態におけるシステムの目的は、コグニティブ・エンジンが、心拍(HR)、心拍変動(HRV)、およびガルバニック皮膚反応(GSR)など、入力を収集するリストバンドなどのウェアラブル・デバイスからの比較的「単純な」センサ・データだけを用いて、動作するということである。しかし、正確な初期モデルを構築するために、システムが、EEGなど、他の進んだセンサを用いることもある。システムへの入力が、入力として、質問表を含むこともある。
【0023】
この問題における複雑性は、人における内在的な差異である。たとえば、精神状態のモデルは、ほとんど確実に、被検者のタイプ(たとえば、運動選手、学生、その他)と被検者の個性(たとえば、外向的または内向的)とに依存する。これに対処するために、性格分析アナリティクスが、初期モデルを構築するのに用いられることもある。
【0024】
どの精神状態が「フロー」を表すかを識別するために、研究対象である被検者との経験的な実験が行われることがある。これは、従来通り、競技の結果または得点を用いて測定され得るのであって、運動選手が自己最高の結果をいつ生むのかまたはそれを超えるのかに従って、フローを識別している。
【0025】
コグニティブ・モデルにおける行為は、(たとえば、運動選手である)被検者が、自らをフローの中に移動させるために既に実行した可能性がある方法に、すなわち、個人的習慣、キー・フレーズの反復、または他の特定の行動に、対応し得る。次に、モデルは、どのようにしてこれらの行為が精神状態の間の移行を生じさせるのかを理解するために、訓練される。いくつかの実施形態において、エンジンは、各運動選手のために行為のカスタム化をサポートするのであるが、その理由は、運動選手の行為のそれぞれが異なるからである。
【0026】
コグニティブAIエンジンを開発する場合の困難は、フローに到達するために精神状態の間で要求される移行を生じさせる最適な方針(たとえば、いずれかの状態のための一組の行為)を見つけることである。これは、部分的に観測可能なマルコフ決定過程(POMDP)のフレームワークとして定式化されることが可能な最適化問題である。
【0027】
図2は、ある実施形態によるグラフ・モデル200を図解している。グラフ・モデル200は、精神層を表す移行グラフ210を含む。センサ層220も、提供されている。精神層は、様々な状態211、212、213を含む。たとえば、状態は、アップ状態211と、ダウン状態212と、フロー状態213とであり得る。他の可能性のある状態の例は、不安、覚醒、心配、制御、無関心、退屈、くつろぎを含み得る。困難レベルとスキル・レベルとの観点から記載されている一組の精神状態300の例が、図3に示されている。フロー状態とは、ある活動を行っている人間が、その活動のプロセスにおいて、集中しており、完全に関与していて、楽しんでいる、という感情の中に完全に没入している動作の精神状態を表す。たとえば、フロー状態については、https://en.wikipedia.org/wiki/Flow_%28psychology%29に、さらなる記載がある。
【0028】
図2に戻ると、状態は、それらの間の移行を有しており、それらの移行は確率的であり得る。再び、これらの状態は、図3に示され定義されたもののいずれかであり得るし、または、他の状態グラフが用いられ得る。変動する破線タイプの線が表しているように、状態の間には、異なるタイプの移行があり得る。ある状態から別の状態には、複数の異なる移行が存在し得る。各移行は、関連する確率を有することが可能であり、行われた異なる行為を表すことがある。状態Sが移行先の状態であり、状態Sが移行元の状態であり、uが状態Sにおいて行われる行為であるならば、P(S,S,u)は、uが状態Sで行われるときに、状態Sから状態Sに移動する確率である。各移行は、行為に依存し、各移行と関連するコストが存在する。状態は、観測不可能である。センサ層220は、センサ・データ221、222を含む。たとえば、センサ層220は、ガルバニック皮膚反応サンプル221と、心拍サンプル222とを含み得る。観測は、確率分布O(o|S,u)を有する。他のデータは、質問表データなどのユーザ・インタフェースからの入力でもよい。システムは、フローを達成するため、または、フローにより近づくための各状態での行為を推奨するために、グラフ・モデルを用いることができる。
【0029】
ある実施形態においてシステムによって実行されるプロセスは、図4に示されたフローチャート400に要約されている。ステップ401では、一組の観測不可能な状態が、システムにおいて設定される。一組の状態における少なくとも1つの状態が、フロー状態を表す。上で詳述されたおよび図3におけるような一組の観測不可能な状態は、本主題の専門家によって、システムに含めるために、定義されることが可能である。ステップ402では、システムまたは本主題の専門家が、一組の観測を定義する。ステップ403では、システムまたは本主題の専門家が、状態および行為の比較のためのメトリックを定義する。ステップ404では、システムまたは本主題の専門家が、状態および行為の各ペアのためのコストを定義する。ステップ405では、システムまたは本主題の専門家が、観測不可能な状態と、状態の間の一組の移行と、行為と、コストとに基づいて、グラフを構築する。ステップ406では、システムまたは本主題の専門家が、観測不可能な状態と観測との間の移行を構築する。ステップ407では、システムが、グラフの移行を、一様に、または、一組のドメイン知識に基づいて、初期化する。ステップ408では、システムが、グラフを用いて、行われるべき行為を一組の行為から特定する方針を計算し、その方針をユーザ・インタフェースに送信する。
【0030】
図5は、ある実施形態によるシステムによって実行されるプロセスを図解する別のフローチャート500を図解している。ステップ501では、システムがセンサ層を定義するのであるが、このセンサ層は少なくとも1つのセンサ入力を備えており、この少なくとも1つのセンサ入力は、離散化され得る。ステップ502では、システムが、精神層を定義するのであるが、この精神層は、一組の精神状態と、一組の行為と、状態および行為の比較のためのメトリックと、状態および行為の各ペアのための直接コストとを備えている。ステップ503では、システムが、2つの先に定義された層を用いるモデルを構築する。ステップ504では、システムが、移行の確率と、観測の条件付き確率とを、一様にまたはドメイン知識を用いることのいずれかにより、初期化する。ステップ505では、システムは、センサ・データを用いてモデルを訓練し、ある行為を(最適な様態または適切な様態のいずれかにより)一組の行為から選択するために、モデルを解く。
【0031】
本発明は、いずれかの可能な技術的詳細レベルの統合における、システム、方法、またはコンピュータ・プログラム製品、あるいはこれらの組合せであり得る。コンピュータ・プログラム製品は、プロセッサに本発明の諸態様を実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令を有する、1つまたは複数のコンピュータ可読記憶媒体を含み得る。
【0032】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスによって用いられるための、命令を保持し記憶できる有形のデバイスであり得る。コンピュータ可読記憶媒体は、たとえば、電子記憶デバイス、磁気記憶デバイス、光学記憶デバイス、電磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、または、以上のいずれかの適切な組合せであり得るが、これらには限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより特定の例の非網羅的なリストは、ポータブル・コンピュータ・ディスケット、ハード・ディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リード・オンリ・メモリ(ROM)、消去可能なプログラマブル・リード・オンリ・メモリ(EPROMまたはフラッシュ・メモリ)、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)、ポータブル・コンパクト・ディスク・リード・オンリ・メモリ(CD−ROM)、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)、メモリ・スティック、フロッピー(R)ディスク、パンチ・カードや命令が記録された溝における隆起構造などの機械的にエンコードされたデバイス、および、以上のいずれかの適切な組合せを含む。本明細書で用いられるコンピュータ可読記憶媒体は、無線波もしくは他の自由に伝搬する電磁波、導波路もしくは他の伝送媒体を通じて伝搬する電磁波(たとえば、光ファイバ・ケーブルを通過する光パルス)、または、配線を通じて伝送される電子信号など、それ自体が一時的な信号として解釈されるべきではない。
【0033】
本明細書に記載されているコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれのコンピューティング/処理デバイスに、あるいは、たとえばインターネット、ローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワークもしくはワイヤレス・ネットワークまたは以上の組合せなどのネットワークを経由して外部コンピュータまたは外部記憶デバイスに、ダウンロードされ得る。ネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、ワイヤレス伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイ・コンピュータまたはエッジ・サーバあるいは以上の組合せを含み得る。各コンピューティング/処理デバイスにおけるネットワーク・アダプタ・カードまたはネットワーク・インタフェースは、コンピュータ可読プログラム命令をネットワークから受信し、そのコンピュータ可読プログラム命令を、それぞれのコンピューティング/処理デバイス内部のコンピュータ可読記憶媒体に記憶するために転送する。
【0034】
本発明の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セット・アーキテクチャ(ISA)命令、機械語命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、集積回路のためのコンフィギュレーション・データ、または、Smalltalk(R)もしくはC++などのオブジェクト指向プログラミング言語と「C」プログラミング言語もしくは類似のプログラミング言語などの手続き型プログラミング言語とを含む、1つもしくは複数のプログラミング言語のいずれかの組合せで書かれたソース・コードもしくはオブジェクトコードであり得る。コンピュータ可読プログラム命令は、スタンド・アロン・ソフトウェア・パッケージとして、完全にユーザのコンピュータ上において、もしくは、部分的にユーザのコンピュータ上において、実行され得るし、または、部分的にはユーザのコンピュータ上において部分的にはリモート・コンピュータ上において、もしくは、完全にリモート・コンピュータもしくはサーバにおいて、実行され得る。後者の場合には、リモート・コンピュータは、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)もしくはワイド・エリア・ネットワーク(WAN)を含むいずれかのタイプのネットワークを通じてユーザのコンピュータに接続され得るし、または、この接続は、(たとえば、インターネット・サービス・プロバイダを用い、インターネットを介して)外部コンピュータに対してなされる場合もある。いくつかの実施形態では、たとえば、プログラマブル・ロジック回路、フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)、またはプログラマブル・ロジック・アレイ(PLA)を含む電子回路が、本発明の諸態様を実行するために、電子回路をパーソナライズするようにコンピュータ可読プログラム命令の状態情報を用いることにより、コンピュータ可読プログラム命令を実行することができる。
【0035】
本発明の諸態様は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)もしくはコンピュータ・プログラム製品のフローチャート図またはブロック図あるいはその両方を参照して、本明細書で説明されている。フローチャート図またはブロック図あるいはその両方の各ブロックと、フローチャート図またはブロック図あるいはその両方における複数のブロックの組合せとは、コンピュータ可読プログラム命令により実施され得る、ということが理解されるであろう。
【0036】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方における1つもしくは複数のブロックで特定された機能/動作を実装するための手段を形成するように、マシンを形成するために、汎用コンピュータ、専用コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに提供され得る。これらのコンピュータ可読プログラム命令は、また、命令が記憶されたコンピュータ可読記憶媒体が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方における1つまたは複数のブロックにおいて特定された機能/動作の態様を実施する命令を含む製品を構成するように、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよく、コンピュータ、プログラム可能なデータ処理装置またはそれ以外のデバイスあるいはこれらの組合せに特定の態様で機能するように命令することができる。
【0037】
コンピュータ、他のプログラマブルな装置、または他のデバイス上で実行される命令が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方における1つまたは複数のブロックにおいて特定された機能/動作を実装するように、コンピュータ実施プロセスを生じさせる目的で、一連の動作ステップが、コンピュータ、他のプログラム可能な装置、または他のデバイス上で実行されるようにするために、コンピュータ可読プログラム命令は、また、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置、または他のデバイス上にロードされ得る。
【0038】
図におけるフローチャートおよびブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法、およびコンピュータ・プログラム製品の可能性のある実装のアーキテクチャ、機能、および動作を図解している。この点に関して、フローチャートまたはブロック図における各ブロックは、特定された論理機能を実装するための1つまたは複数の実行可能な命令を含む、モジュール、セグメント、または命令の一部を表し得る。いくつかの代替的な実装では、ブロックに記されている機能が、図に示された順序とは異なる順序で生じる場合もある。たとえば、連続して示される2つのブロックが、実際には、実質的に同時に実行される場合があるし、または、それらのブロックが、関係する機能に応じて、時には、逆の順序で実行される場合もある。ブロック図またはフローチャート図あるいはその両方の各ブロック、および、ブロック図またはフローチャート図あるいはその両方における複数のブロックの組合せが、特定された機能もしくは動作を実行するまたは専用ハードウェアおよびコンピュータ命令を組み合わせて実行する、専用ハードウェア・ベースのシステムによって実装されることも可能である。
【0039】
本発明に関する上に書かれた説明は、当業者が、現時点でその最良のモードだと考えられるものを作成して用いることを可能にするが、当業者は、本明細書における特定の実施形態、方法および例の代替物、適用、変形、組合せおよび均等物の存在を理解し、認識するであろう。当業者は、本開示は例示的なものに過ぎず、本発明の範囲内で様々な変更がなされ得るということを認識するであろう。さらに、教示のある特定の特徴が複数の実装例のうちの1つのみとの関係で開示されているが、そのような特徴は、いずれかの与えられたまたは特定の機能のために望まれ、有利であり得る他の実装例の1つまたは複数の他の特徴と組み合わされることがある。さらに、用語「含んでいる(including)」、「含む(includes)」、「有している(having)」、「有する(has)」「共に(with)」、またはこれらの変形例が詳細な説明と特許請求の範囲とにおいて用いられている範囲で、これらの用語は、用語「備えている(comprising)」と同様の態様で、包含的であることが意図されている。
【0040】
教示の他の実施形態は、明細書の考察と、本明細書において開示された教示の実践とから、当業者には、明らかになろう。本発明は、したがって、記載されている実施形態、方法、および例によって限定されるべきではなく、本発明の範囲と思想とに含まれるすべての実施形態および方法によって、限定される。したがって、本発明は、本明細書において例証されている特定の実施形態に限定されることはなく、以下の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0041】
100 システム
101 制御デバイス
102 プロセッサ
103 メモリ
111 センサ
112 センサ
113 センサ
131 ユーザ・インタフェース
200 グラフ・モデル
210 移行グラフ
220 センサ層
211 アップ状態
212 ダウン状態
213 フロー状態
221 センサ・データ
222 センサ・データ
図1
図2
図3
図4
図5