【解決手段】バラスト水処理装置1は、ケーシング10と、ケーシング10の内部に配置される筒状のフィルタ20と、ケーシング10の一部を構成すると共にフィルタ20の端部においてフィルタ20を回転可能に支持する支持軸部と、一端側が支持軸部に接続されると共に他端側がケーシング10に接続され、フィルタ20の二次側の空間と支持軸部とフィルタとの接触部分とを連通させるラインL3と、ラインL3に配置されケーシング10の内部の水を接触部分に供給するポンプ39と、を備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、バラスト水処理装置においてフィルタを回転させる場合、回転するフィルタとこのフィルタを支持するケーシングとの接触部分には、軸受等が配置される。
ここで、バラスト水処理装置の運転中には、多量の水がケーシングの内部に導入され、フィルタにて濾過される。そして、ケーシングの内部に導入される水には、砂やゴミ、微生物等の異物が含まれているため、これらの異物がフィルタとケーシングとの接触部分に侵入した場合には、異物により接触部分が摩耗してしまう。フィルタとケーシングとの接触部分が摩耗してしまうと、この接触部分を通じてフィルタにて濾過される前の水がフィルタの二次側に流入してしまうため、バラスト水処理装置において水の濾過を好適に行えなくなってしまい、バラスト水処理装置の性能が低下してしまう。
【0007】
従って、本発明は、回転するフィルタとこのフィルタを支持するケーシングとの接触部分からの異物の侵入を好適に防ぎ、性能を向上させられるバラスト水処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ケーシングと、前記ケーシングの内部に配置される筒状のフィルタと、前記ケーシングの一部を構成すると共に前記フィルタの端部において該フィルタを回転可能に支持する支持軸部と、一端側が前記支持軸部に接続されると共に他端側が前記ケーシングに接続され、前記フィルタの二次側の空間と前記支持軸部と前記フィルタとの接触部分とを連通させるラインと、前記ラインに配置されケーシングの内部の水を前記接触部分に供給するポンプと、を備えるバラスト水処理装置に関する。
【0009】
また、バラスト水処理装置は、前記支持軸部と前記フィルタとの接触部分に、全周に亘って連続して形成される連続空間部を更に備え、前記ラインは、前記フィルタの二次側の空間と前記連続空間部とを連通させることが好ましい。
【0010】
また、前記ポンプは、前記接触部分に供給される水の圧力が前記フィルタの一次側の水の圧力よりも高くなる出力で駆動されることが好ましい。
【0011】
また、前記ポンプは、エア駆動式ポンプにより構成されることが好ましい。
【0012】
また、バラスト水処理装置は、前記接触部分に配置されるシール部材を更に備え、前記ラインは、前記フィルタの二次側の空間と前記接触部分における前記シール部材が配置された領域よりも前記支持軸部の軸方向における端部側とを連通させることが好ましい。
【0013】
また、前記シール部材は、前記接触部分における前記ラインと前記支持軸部の接続部を挟んで、前記支持軸部の軸方向の一端側及び他端側にそれぞれ配置されることが好ましい。
【0014】
また、前記シール部材は、円環状に形成されると共に、径方向の断面形状において、一方の端面側が開口した中空部を有するU字形状に形成された本体部と、前記中空部に配置され前記本体部を外側に広がる方向に付勢する弾性部材と、を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明のバラスト水処理装置によれば、回転するフィルタとこのフィルタを支持するケーシングとの接触部分からの異物の侵入を好適に防ぎ、性能を向上させられる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明のバラスト水処理装置の好ましい一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態のバラスト水処理装置1は、海水等の水を汲み上げるラインと、汲み上げた水をバラスト水として貯留するバラストタンクと、を備える船舶に取り付けられ、汲み上げた水に含まれる異物を除去するために用いられる。このバラスト水処理装置1は、
図1に示すように、ケーシング10と、このケーシング10の内部に配置されるフィルタ20と、フィルタ回転手段30と、ケーシング10にバラスト水を導入する導入部14と、フィルタ20を逆洗する逆洗機構40と、フィルタ20に洗浄水を噴射する噴射ノズル50と、ケーシング10の内部に圧縮ガスを供給する圧縮ガス供給部60と、を備える。
また、このバラスト水処理装置1には、ケーシング10にバラスト水を導入する導入ラインL1と、洗浄水ラインL2と、フィルタ20の二次側の空間とケーシング10及びフィルタ20の接触部分とを連通させるラインL3と、が接続される。
尚、本明細書において「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。また、「ケーシング10とフィルタ20との接触部分」とは、回転するフィルタ20と、ケーシング10においてフィルタ20を回転可能に支持する部分と、が接触又は近接して対向配置されている部分を示す。
【0018】
ケーシング10は、バラスト水を収容する。ケーシング10は、上端部及び下端部が開口した円筒状の本体部11と、本体部11の上端部を密閉する上側蓋部12と、本体部11の下端部を密閉する下側蓋部13と、を備える。
本体部11の周面には、ケーシング10に収容され、後述のフィルタ20により濾過されたバラスト水が流出する流出口111が設けられる。
上側蓋部12及び下側蓋部13における本体部11の中心軸に一致する位置には、それぞれ、後述のフィルタ回転手段30が配置される貫通穴が形成される。
【0019】
フィルタ20は、上端部及び下端部が開口した円筒状のフィルタ本体21と、フィルタ本体21の上端部を密閉する上側閉止部22と、フィルタ本体21の下端部を密閉する下側閉止部23と、を備える。
フィルタ20(フィルタ本体21)は、ケーシング10より小さな円筒状に形成され、ケーシング10と同軸となるように、ケーシング10の内部に配置される。これにより、ケーシング10とフィルタ20との間には、フィルタ20によりろ過されたバラスト水が流出する空間S1が形成される。
下側閉止部23におけるフィルタ本体21の中心軸に一致する位置には、フィルタ20の内部にバラスト水導入するための貫通穴が形成される。
【0020】
フィルタ回転手段30は、ケーシング10の内部に配置されたフィルタ20を、中心軸を回転軸として回転させる。このフィルタ回転手段30は、上部回転軸部材31及び下部回転軸部材32と、上部回転軸部材31を回転させるモータ33と、を含んで構成される。
上部回転軸部材31は、フィルタ20の上側閉止部22におけるフィルタ20の中心軸に対応する位置に、上向きに突出して固定される。下部回転軸部材32は、フィルタ20の下側閉止部23におけるフィルタ20の中心軸に対応する位置に、下向きに突出して固定される。即ち、上部回転軸部材31及び下部回転軸部材32は、それぞれ、フィルタ20の端部を構成する。
【0021】
上部回転軸部材31は、ケーシング10の上側蓋部12に形成された貫通穴に配置され、すべり軸受34を介して上側蓋部12に回転自在に、かつ、液密に支持される。
下部回転軸部材32は、ケーシング10の下側蓋部13に形成された貫通穴に配置され、すべり軸受35を介して下側蓋部13に回転自在に、かつ、液密に支持される。下部回転軸部材32は、フィルタ20の内部と連通する管状体となっている。そして、下部回転軸部材32の上端部は、下側閉止部23に形成された貫通穴に接続され、下端部は、ケーシング10の下側蓋部13に形成された貫通穴の内側に位置するように配置される。
【0022】
ここで、すべり軸受35を介したケーシング10とフィルタ20(下部回転軸部材32)との接触部分の構造につき、
図2及び
図3も参照しながら説明する。
図1に示すように、下部回転軸部材32は、下側蓋部13の貫通穴の内側に配置される。そして、
図2に示すように、下側蓋部13と下部回転軸部材32との接触部分には、支持軸部の一部を構成する支持軸部材15と、すべり軸受35と、第1シール部材36と、第2シール部材37と、が配置される。更に、この接触部分には、連続空間部38が形成される。
【0023】
支持軸部材15は、筒状に形成され、ケーシング10(下側蓋部13)の貫通穴が形成された部分の上面側に配置される。支持軸部材15は、下側蓋部13にボルト等(図示せず)により固定されてケーシング10と一体化される。即ち、支持軸部材15は、ケーシング10の一部を構成する。
【0024】
すべり軸受35は、筒状に形成され、支持軸部材15の内周面に圧入されて支持軸部材15に固定される。すべり軸受35は、例えば、硬質の合成樹脂や合成樹脂と繊維との複合材料により筒状に成形される。
【0025】
第1シール部材36は、環状に形成され、下側蓋部13の貫通穴の内側に配置される。より具体的には、第1シール部材36は、ケーシング10と下部回転軸部材32との接触部分におけるすべり軸受35よりも軸方向の端部側(下部側)に配置される。
本実施形態では、第1シール部材36は、
図2に示すように、下側蓋部13と支持軸部材15との境界部分における内周面側に形成された凹部に配置される。
【0026】
第1シール部材36は、
図2及び
図3に示すように、一方の端面側(
図3では下面側)が開口した中空部を有する断面形状に形成される本体部361と、この本体部361の中空部に配置された弾性部材としてのバネ部材362と、を備える。
本体部361は、例えば、硬質の合成樹脂により形成される。バネ部材362は、例えば、断面がU字状となるように曲げられた金属製の板バネにより構成される。バネ部材362は、本体部361の側面を拡げる方向に付勢する。即ち、本実施形態の第1シール部材36によれば、本体部361における貫通穴の内周面側に配置される側面361aは、バネ部材362の付勢力により、下部回転軸部材32側に押し付けられる。この側面361aの下端部側は、下部回転軸部材32から離間する側に傾斜した傾斜面となっている。
本実施形態では、
図3に示すように、凹部に第1シール部材36が配置された状態で、本体部361の下端部361bと凹部との間には、わずかに隙間Gが形成される。
【0027】
第2シール部材37は、硬質の樹脂部材により環状に形成され、下側蓋部13の貫通穴の内側に配置される。より具体的には、第2シール部材37は、ケーシング10と下部回転軸部材32との接触部分における第1シール部材36よりも軸方向の端部側(下部側)に配置される。
【0028】
本実施形態では、第2シール部材37は、
図2に示すように、下側蓋部13の内周面側に形成された凹部に配置される。
第2シール部材37は、
図3に示すように、円環状の内周面に全周に亘って連続的に形成された複数の山部371及び谷部372を有する。第2シール部材37の内周面に複数の山部371を形成することで、第2シール部材37のシール性を確保しつつ、下部回転軸部材32(フィルタ20)との間に生じる摩擦力を低減できる。
【0029】
連続空間部38は、下側蓋部13と下部回転軸部材32との接触部分に、全周に亘って連続して形成される。本実施形態では、連続空間部38は、下側蓋部13の内周面に、内周面の全周に亘って形成された凹部により構成される。この連続空間部38には、後述のラインL3が接続される。連続空間部38及びラインL3の機能については後述する。
【0030】
以上の構造によれば、下部回転軸部材32の外周面は、すべり軸受35、支持軸部材15、第1シール部材36、第2シール部材37及び下側蓋部13の内周面に対して回転可能に当接する。言い換えれば、本実施形態では、下部回転軸部材32を回転可能に支持する支持軸部は、支持軸部材15及び下側蓋部13の一部により構成されている。
【0031】
図1に戻り、導入部14は、管状部材により形成され、一端部(上端部)が下部回転軸部材32の下端側を覆うように、下側蓋部13に接続される。導入部14の他端部(下端部)は、後述の導入ラインL1に接続され、この導入ラインL1から供給されるバラスト水をケーシング10の内部におけるフィルタ20の一次側に導入する。
【0032】
逆洗機構40は、ノズル41と、集合管42と、排出管43と、排出管43に配置される開閉弁44と、を備える。
【0033】
ノズル41は、フィルタ20の一次側(内側)に配置され、先端側がフィルタ20の一次側の面(内周面)に向かって開口する。本実施形態では、ノズル41は、フィルタ20の中心軸の延びる方向に垂直な方向に延びるように配置される。また、ノズル41は、フィルタ20の中心軸の延びる方向(上下方向)に所定の間隔をあけて複数本配置される。ノズル41には、フィルタ20の二次側から一次側に向かって流れるバラスト水及びこのバラスト水によりフィルタ20の内周面から剥離された異物が流通する。
【0034】
集合管42は、フィルタ20の中心軸に一致する位置に配置され、上端部が閉鎖し下端部が開口している。集合管42の上端部は、フィルタ20の上側閉止部22の中央に設けられた孔に挿入されて支持されている。集合管42には、ノズル41を流通したバラスト水及び異物が集合して流通する。
【0035】
排出管43は、上端部が集合管42の下端部に接続され、下部回転軸部材32の内部を、フィルタ20の回転を妨げないように下方に延びる。排出管43の下端側は、屈曲して延びており、導入部14の周面を貫通している。排出管43は、集合管42を流通したバラスト水及び異物を排出する。
開閉弁44は、排出管43における導入部14の貫通部分よりも二次側に配置され、排出管43を開閉する。
【0036】
噴射ノズル50は、フィルタ20の二次側に配置され、先端部がフィルタ20の二次側の面(外周面)に向かって開口する。本実施形態では、噴射ノズル50は、フィルタ20の中心軸の延びる方向(上下方向)に所定の間隔をあけて複数本配置される。噴射ノズル50は、後述の洗浄水ラインL2に接続され、洗浄水ラインL2から供給される洗浄水をフィルタ20の二次側の面に向かって噴射する。
【0037】
圧縮ガス供給部60は、コンプレッサ等の圧縮ガス供給源(図示せず)と、圧縮ガス供給ライン61と、圧縮ガス供給弁62と、を備える。圧縮ガス供給ライン61は、ケーシング10の上側蓋部12に接続され、フィルタ20とケーシング10との間(ケーシング10の内部におけるフィルタ20の二次側)に圧縮ガスを供給する。
【0038】
導入ラインL1は、ケーシング10にバラスト水(海水)を導入する。導入ラインL1の先端部は、導入部14に接続される。導入ラインL1には、ポンプ81及び開閉弁82が配置される。
【0039】
洗浄水ラインL2は、先端側が噴射ノズル50に接続され、噴射ノズル50に洗浄水を供給する。洗浄水ラインL2の基端側は、洗浄水供給源(図示せず)に接続される。
【0040】
ラインL3は、先端側(一端側)が支持軸部(下側蓋部13)に接続されると共に基端側(他端側)がケーシング10(本体部11)に接続され、フィルタ20の二次側の空間(フィルタ20とケーシング10との間の空間S)と支持軸部(下側蓋部13)とフィルタ20(下部回転軸部材32)との接触部分とを連通させる。より具体的には、ラインL3の先端側は、下側蓋部13に形成された連続空間部38に接続され、ラインL3の基端側は、ケーシング10の本体部11の周面に取り付けられたソケット112を介して本体部11に接続される。このラインL3には、ポンプ39が配置される。
【0041】
ポンプ39は、フィルタ20の二次側の空間に存在するバラスト水を昇圧して下側蓋部13と下部回転軸部材32との接触部分(本実施形態では、連続空間部38)に供給する。本実施形態では、ポンプ39はエア駆動ポンプにより構成される。また、ポンプ39は、ラインL3を通じて接触部分に供給される水の圧力がフィルタ20の一次側の水の圧力よりも高くなる出力で駆動される。
【0042】
以上のバラスト水処理装置1によれば、バラスト水を濾過する場合には、導入ラインL1の開閉弁82が開状態とされ、ポンプ81が駆動される。また、フィルタ回転手段30によりフィルタ20が回転される。すると、導入ラインL1から導入部14に供給されたバラスト水は、下部回転軸部材32を通ってケーシング10の内部におけるフィルタ20の一次側(内側)に導入されてフィルタ20により濾過処理され、流出口111から流出される。流出口111から流出したバラスト水は、バラストタンク(図示せず)に貯留される。
【0043】
また、この状態においては、逆洗機構40の開閉弁44が開かれることで、ノズル41、集合管42及び排出管43の内部がケーシング10の内部に対して負圧となる。すると、フィルタ20の一次側から二次側(バラスト水流出空間S1側)に濾過されたバラスト水の一部が再びフィルタ20の二次側から一次側に流れ、フィルタ20の内周面に付着した異物を剥離させてノズル41から吸引される。ノズル41を流通したバラスト水及び剥離された異物は、集合管42及び排出管43を通り、排出される。これにより、フィルタ20が逆洗浄され、フィルタ20の一次側に付着した異物が除去される。
尚、バラスト水の濾過処理を行う場合には、圧縮ガス供給部60の圧縮ガス供給弁62は、いずれも閉止される。
【0044】
一方、バラスト水処理装置1の運転が終了した後や、その他フィルタ20をより強力に洗浄したい場合には、ケーシング10に収容されたバラスト水を排出し、その後、ケーシング10の内部に水が存在しない状態でフィルタ20に洗浄水を噴き付けて異物を除去する洗浄を行う。このような場合には、まず、導入ラインL1の開閉弁82が閉状態とされ、ポンプ81は停止される。また、逆洗機構40の開閉弁が閉止される。そして、この状態で、圧縮ガス供給部60の圧縮ガス供給弁62が開状態とされる。これにより、ケーシング10に収容されたバラスト水は速やかに排出される。
【0045】
ここで、フィルタ20を回転させてバラスト水の濾過を行っている状態では、導入部14及び下部回転軸部材32には、異物が含まれる濾過前の水が流通している。そのため、導入部14から下部回転軸部材32の内部に向かって流れる水に含まれる異物が、例えば、
図2に示すA部分から、回転している下部回転軸部材32と、この下部回転軸部材32を支持するケーシング10(下側蓋部13)との接触部分に侵入してしまうと、侵入した異物によりシール部材(第1シール部材36及び/又は第2シール部材37)が摩耗する可能性がある。シール部材が摩耗してしまうと、フィルタ20とケーシング10との接触部分を通じてフィルタ20にて濾過される前の水がフィルタ20の二次側に流入してしまうため、バラスト水処理装置1において水の濾過を好適に行えなくなってしまう。
【0046】
そこで、本実施形態では、ケーシング10(下部回転軸部材32)とフィルタ20(下部回転軸部材32)との接触部分に、フィルタ20により濾過されたバラスト水を供給することで、フィルタ20の一次側の水に含まれる異物が接触部分に侵入することを防いでいる。
【0047】
より詳細には、本実施形態では、フィルタ29を回転させてバラスト水の濾過を行っている状態において、ポンプ39を駆動させてフィルタ20により濾過されたバラスト水を、ラインL3を通じて下側蓋部13と下部回転軸部材32との接触部分に供給している。これにより、フィルタ20でろ過された水を、ラインL3を通じて下側蓋部13と下部回転軸部材32との接触部分に供給できるので、この接触部分に供給される水の圧力により、フィルタ20の一次側の水に含まれる異物が接触部分に侵入することを防げる。よって、下側蓋部13と下部回転軸部材32との接触部分を通じて異物がフィルタ20の一次側から二次側に侵入するのを防げるので、バラスト水処理装置1の性能を向上させられる。
【0048】
また、バラスト水処理装置1を、下側蓋部13と下部回転軸部材32との接触部分に形成される連続空間部38を含んで構成し、ラインL3を連続空間部38に連通させた。これにより、下側蓋部13と下部回転軸部材32との接触部分に、より安定的に水圧を加えられる。よって、水圧による異物の侵入防止効果をより向上させられる。
【0049】
また、ポンプ39を、接触部分に供給される水の圧力がフィルタ20の一次側の水の圧力よりも高くなる出力で駆動させた。これにより、ラインL3を通じて接触部分に供給される水の圧力を、フィルタ20の一次側における水圧よりも高くできるので、フィルタ20の一次側から接触部分に水が侵入することを更に好適に防げる。
【0050】
また、ポンプ39を、エア駆動式ポンプにより構成した。これにより、ポンプ39の駆動による発熱を低減できるので、ポンプ39の発熱によるキャビテーションの発生を防げる。
【0051】
また、バラスト水処理装置1を、接触部分に配置される第1シール部材36を含んで構成し、ラインL3を、接触部分における第1シール部材36が配置された領域よりも端部側(下端側)に連通させた。これにより、フィルタ20でろ過された水を接触部分における第1シール部材36が配置された領域よりもフィルタ20の一次側の空間側に供給できる。よって、フィルタ20の一次側の水が第1シール部材36まで到達することを効果的に防げるので、第1シール部材36を長寿命化できる。
【0052】
また、シール部材として、第1シール部材36及び第2シール部材37を、ラインL3の接触部分への連通部(連続空間部38)を挟んで両側にそれぞれ配置した。これにより、接触部分における第1シール部材36及び第2シール部材37に囲まれた領域に好適に水圧を付加できるので、水圧による異物の侵入防止効果を更に向上させられる。
【0053】
また、第1シール部材36を、円環状に形成されると共に半径方向の断面形状において一方の端面側が開口した中空部を有するU字形状に形成された本体部と、この中空部に配置され本体部を外側に広がる方向に付勢する弾性部材と、を含んで構成した。これにより、第1シール部材36によるシール性を向上させられる。
【0054】
また、第1シール部材36を、本体部361の下端部361bと凹部との間に、わずかに隙間Gが形成されるように凹部に配置した(
図3参照)。これにより、ラインL3から連続空間部38を介して接触部分に供給された水を隙間Gから本体部361の中空部に流入させられる。よって、本体部361の中空部に流入した水の圧力によって本体部361をより外側に拡がりやすくできるので、第1シール部材36によるシール性をより向上させられる。
【0055】
以上、本発明のバラスト水処理装置の好ましい一実施形態について説明した。しかし、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、本実施形態では、第1シール部材36として本体部361及びこの本体部361の中空部に配置されたバネ部材362を備えるシール部材を用い、第2シール部材37として円環状の内周面に全周に亘って連続的に形成された複数の山部371及び谷部372を有するシール部材を用いたが、これに限らない。即ち、第1シール部材及び第2シール部材を、両者とも本実施形態の第1シール部材と同様のシール部材により構成してもよく、両者とも本実施形態の第2シール部材と同様のシール部材により構成してもよい。また、第1シール部材又は第2シール部材としてOリングを用いてもよく、グリースを用いてもよい。
【0056】
また、本実施形態では、バラスト水処理装置1を、第1シール部材36及び第2シール部材37を含んで構成したが、これに限らない。即ち、バラスト水処理装置を、第1シール部材又は第2シール部材の一方のみを含んで構成してもよく、また、第1シール部材及び第2シール部材を含まずに構成してもよい。
【0057】
また、本実施形態では、すべり軸受35を介したケーシング10と下部回転軸部材32との接触部分の構造について説明したが、同様の構成を、すべり軸受34を介したケーシング10と上部回転軸部材31との接触部分に適用してもよい。
【0058】
また、本実施形態においては、フィルタ20は、内部に流入したバラスト水を濾過して外部へ流出させる筒状のフィルタであるが、これに制限されない。即ち、フィルタは、外部から流入するバラスト水を濾過して内部から流出させる筒状のフィルタであってもよい。
【0059】
また、本実施形態では、バラスト水処理装置1を、噴射ノズル50及び洗浄水ラインL2を含んで構成したが、これに限らない。即ち、バラスト水処理装置を、噴射ノズル及び洗浄水ラインを含まずに構成してもよい。