【解決手段】溶接電源装置において、インバータ回路の出力電流の極性が切り換わるときに、溶接負荷への出力に再点弧電圧を重畳する電圧重畳回路を備えた。電圧重畳回路は、再点弧電圧を充電される再点弧コンデンサ62と、再点弧コンデンサ62に再点弧電圧を充電する充電回路63と、再点弧コンデンサ62に充電された再点弧電圧を放電する放電回路64とを備えている。充電回路63は、直流電圧を出力する整流平滑回路63cと、整流平滑回路63cの出力電圧を昇圧する昇圧チョッパ63dとを備えており、整流平滑回路63cの直流電圧をそのまま再点弧コンデンサ62に印加する第1の状態と、第1の状態の後に、昇圧チョッパ63dによって昇圧された直流電圧を再点弧コンデンサ62に印加する第2の状態とで、再点弧コンデンサ62に充電を行う。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、添付図面を参照して具体的に説明する。
【0017】
図1〜
図3は、第1実施形態に係る溶接電源装置を説明するための図である。
図1は、溶接電源装置A1を示すブロック図であり、溶接システムの全体構成を示している。
図2は、溶接電源装置A1の充電回路63および放電回路64の詳細を示す回路図である。
図3は、溶接電源装置A1の各信号の波形を示すタイムチャートである。
図1に示すように、溶接システムは、溶接電源装置A1および溶接トーチBを備えている。当該溶接システムは、交流アーク溶接を行う、例えばTIG溶接システムである。溶接電源装置A1は、商用電源Dから入力される交流電力を変換して、出力端子a,bから出力する。一方の出力端子aは、ケーブルによって被加工物Wに接続されている。他方の出力端子bは、ケーブルによって溶接トーチBの電極に接続されている。溶接電源装置A1は、溶接トーチBの電極の先端と被加工物Wとの間にアークを発生させて、電力を供給する。当該アークの熱によって、溶接が行われる。溶接トーチB、被加工物Wおよび発生したアークを合わせたものが、溶接電源装置A1の負荷なので、これらを合わせたものを示す場合は、「溶接負荷」と記載する。
【0018】
溶接電源装置A1は、整流平滑回路1、インバータ回路2、トランス3、整流回路4、直流リアクトル5、電圧重畳回路6、インバータ回路7、制御回路8、電流センサ91、電圧センサ92、および電流センサ93を備えている。
【0019】
整流平滑回路1は、商用電源Dから入力される交流電力を直流電力に変換して出力する。整流平滑回路1は、交流電流を整流する整流回路と、平滑する平滑コンデンサとを備えている。
【0020】
インバータ回路2は、例えば、単相フルブリッジ型のPWM制御インバータであり、4つのスイッチング素子を備えている。インバータ回路2は、制御回路8から入力される駆動信号によってスイッチング素子をスイッチングさせることで、整流平滑回路1から入力される直流電力を高周波電力に変換して出力する。なお、インバータ回路2は直流電力を交流電力に変換するものであればよく、例えばハーフブリッジ型であってもよいし、その他の構成のインバータ回路であってもよい。
【0021】
トランス3は、インバータ回路2が出力する高周波電圧を変圧して、整流回路4に出力する。トランス3は、一次側巻線3a、二次側巻線3bおよび補助巻線3cを備えている。一次側巻線3aの各入力端子は、インバータ回路2の各出力端子にそれぞれ接続されている。二次側巻線3bの各出力端子は、整流回路4の各入力端子にそれぞれ接続されている。インバータ回路2の出力電圧は、一次側巻線3aと二次側巻線3bの巻き数比に応じて変圧されて、整流回路4に入力される。補助巻線3cの各出力端子は、充電回路63の各入力端子にそれぞれ接続されている。インバータ回路2の出力電圧は、一次側巻線3aと補助巻線3cの巻き数比に応じて変圧されて、充電回路63に入力される。
【0022】
整流回路4は、例えば全波整流回路であり、トランス3より入力される高周波電力を整流して、インバータ回路7に出力する。なお、整流回路4は、高周波電力を整流するものであればよく、例えば半波整流回路であってもよい。直流リアクトル5は、整流回路4がインバータ回路7に出力する直流電流を平滑化する。
【0023】
インバータ回路7は、例えば、単相フルブリッジ型のPWM制御インバータであり、4つのスイッチング素子を備えている。インバータ回路7は、制御回路8から入力されるスイッチング駆動信号によってスイッチング素子をスイッチングさせることで、整流回路4から入力される直流電力を交流電力に変換して出力する。なお、インバータ回路7は直流電力を交流電力に変換するものであればよく、例えばハーフブリッジ型であってもよいし、その他の構成のインバータ回路であってもよい。インバータ回路7が本発明の「インバータ回路」に相当する。
【0024】
電圧重畳回路6は、整流回路4とインバータ回路7との間に配置されており、インバータ回路7の出力電流の極性が切り換わるときに、溶接電源装置A1の出力端子a,b間に高電圧を重畳する。当該高電圧は、極性切り換え時の再点弧性を向上させるためのものであり、以下では「再点弧電圧」と記載する場合がある。電圧重畳回路6は、ダイオード61、再点弧コンデンサ62、充電回路63および放電回路64を備えている。
【0025】
再点弧コンデンサ62は、所定の静電容量以上のコンデンサであり、溶接電源装置A1の出力に重畳するための高電圧(再点弧電圧)を充電される。再点弧コンデンサ62は、整流回路4に対して並列に接続されている。再点弧コンデンサ62は、充電回路63によって充電され、放電回路64によって放電される。
【0026】
充電回路63は、再点弧コンデンサ62に再点弧電圧を充電するための回路であり、再点弧コンデンサ62に並列に接続されている。
図2(a)に示すように、充電回路63は、整流平滑回路63cおよび昇圧チョッパ63dを備えている。整流平滑回路63cは、交流電流を全波整流する整流回路と、平滑する平滑コンデンサとを備え、トランス3の補助巻線3cから入力される高周波電圧を直流電圧に変換する。なお、整流平滑回路63cの回路構成は限定されない。整流平滑回路63cが本発明の「直流電源」に相当する。
【0027】
昇圧チョッパ63dは、整流平滑回路63cから入力される直流電圧を昇圧して、再点弧コンデンサ62に出力する。昇圧チョッパ63dは、入力端子と出力端子との間にコイルとダイオードとを直列に接続(コイルの一方の端子とダイオードのアノード端子とを接続し、入力端子側にコイル、出力端子側にダイオードを配置)し、その接続点にスイッチング素子63bを並列に接続し、ダイオードのカソード端子にコンデンサを並列に接続した構成となっている。なお、昇圧チョッパ63dの回路構成は限定されない。本実施形態では、スイッチング素子63bは、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。なお、スイッチング素子63bは、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor : 絶縁ゲート・バイポーラトランジスタ)、バイポーラトランジスタなどであってもよい。昇圧チョッパ63dが本発明の「昇圧手段」に相当する。また、昇圧チョッパ63dは、スイッチング素子63bを駆動するための駆動回路63aを備えている。駆動回路63aは、後述する充電制御部86から入力される充電回路駆動信号に基づいて、スイッチング素子63bを駆動させるためのパルス信号を出力する。駆動回路63aは、充電回路駆動信号がオフ(例えばローレベル信号)の間、パルス信号の出力を行わない。この間、スイッチング素子63bはオフ状態が継続する。したがって、整流平滑回路63cから入力される直流電圧がそのまま、再点弧コンデンサ62に印加され、再点弧コンデンサ62は充電される。一方、駆動回路63aは、充電回路駆動信号がオン(例えばハイレベル信号)の間、所定のパルス信号をスイッチング素子63bに出力する。これにより、昇圧チョッパ63dは駆動するので、整流平滑回路63cから入力される直流電圧が昇圧されて、再点弧コンデンサ62に印加され、再点弧コンデンサ62は充電される。すなわち、充電回路63は、充電回路駆動信号に基づいて、整流平滑回路63cから入力される直流電圧をそのまま再点弧コンデンサ62に印加する状態と、昇圧して印加する状態とで切り換える。なお、駆動回路63aを設けずに、充電制御部86が充電回路駆動信号としてパルス信号をスイッチング素子63bに直接入力するようにしてもよい。
【0028】
放電回路64は、再点弧コンデンサ62に充電された再点弧電圧を放電するものであり、再点弧コンデンサ62に直列に接続されている。
図2(b)に示すように、放電回路64は、スイッチング素子64aおよび限流抵抗64bを備えている。本実施形態では、スイッチング素子64aは、IGBTである。なお、スイッチング素子64aは、バイポーラトランジスタ、MOSFETなどであってもよい。スイッチング素子64aと限流抵抗64bとは直列接続されて、再点弧コンデンサ62に直列接続されている。スイッチング素子64aのエミッタ端子は整流回路4の正極側の端子に接続され、スイッチング素子64aのコレクタ端子は限流抵抗64bの一方の端子に接続されている。なお、限流抵抗64bをスイッチング素子64aのエミッタ端子側に接続するようにしてもよい。また、スイッチング素子64aのゲート端子には、後述する放電制御部85から、放電回路駆動信号が入力される。スイッチング素子64aは、放電回路駆動信号がオン(例えばハイレベル信号)の間オン状態になる。これにより、再点弧コンデンサ62に充電された再点弧電圧は放電され、限流抵抗64bを介して、整流回路4の出力電圧に重畳される。一方、スイッチング素子64aは、放電回路駆動信号がオフ(例えばローレベル信号)の間オフ状態になる。これにより、再点弧電圧の放電は停止される。すなわち、放電回路64は、放電回路駆動信号に基づいて、再点弧コンデンサ62を放電する状態と放電しない状態とで切り換える。なお、放電回路64の構成は限定されない。
【0029】
ダイオード61は、放電回路64に並列接続されており、アノード端子がインバータ回路7の入力の正極側の端子に接続され、カソード端子が再点弧コンデンサ62に接続されている。ダイオード61は、インバータ回路7の入力電圧の過渡電圧を、再点弧コンデンサ62に吸収させる。
【0030】
電流センサ91は、溶接電源装置A1の出力電流を検出するものであり、本実施形態では、インバータ回路7の一方の出力端子と出力端子aとを接続する接続線に配置されている。電流センサ91は、出力電流の瞬時値を検出して制御回路8に入力する。本実施形態では、電流がインバータ回路7から出力端子aに向かって流れる場合を正としており、電流が出力端子aからインバータ回路7に向かって流れる場合を負としている。なお、電流センサ91の配置位置は限定されない。
【0031】
電圧センサ92は、再点弧コンデンサ62の端子間電圧を検出するものである。電圧センサ92は、端子間電圧の瞬時値を検出して制御回路8に入力する。電圧センサ92が本発明に係る「電圧センサ」に相当する。
【0032】
電流センサ93は、充電回路63の充電電流を検出するものであり、本実施形態では、整流平滑回路63cの負極側の出力端子と、昇圧チョッパ63dの負極側の入力端子とを接続する接続線に配置されている。なお、電流センサ93の配置位置は限定されない。電流センサ93は、充電電流の瞬時値を検出して制御回路8に入力する。電流センサ93が本発明に係る「電流センサ」に相当する。
【0033】
制御回路8は、溶接電源装置A1を制御するための回路であり、例えばマイクロコンピュータなどによって実現されている。制御回路8は、電流センサ91から出力電流の瞬時値を入力され、電圧センサ92から再点弧コンデンサ62の端子間電圧の瞬時値を入力され、電流センサ93から充電電流の瞬時値を入力される。そして、制御回路8は、インバータ回路2、インバータ回路7、充電回路63および放電回路64に、それぞれ駆動信号を出力する。制御回路8は、電流制御部81、電流目標設定部82、極性切換制御部83、波形目標設定部84、放電制御部85および充電制御部86を備えている。
【0034】
電流制御部81は、インバータ回路2を制御する。電流制御部81は、電流センサ91から入力される出力電流の瞬時値から実効値を算出し、当該実効値と電流目標設定部82から入力される実効値目標値とに基づいて、インバータ回路2のスイッチング素子を制御するための駆動信号を生成して、インバータ回路2に出力する。
【0035】
極性切換制御部83は、インバータ回路7を制御する。極性切換制御部83は、電流センサ91から入力される出力電流の瞬時値と波形目標設定部84から入力される電流波形目標値とに基づいて、インバータ回路7のスイッチング素子を制御するためのスイッチング駆動信号を生成して、インバータ回路7に出力する。
【0036】
放電制御部85は、放電回路64を制御する。放電制御部85は、電流センサ91から入力される出力電流の瞬時値と、極性切換制御部83から入力されるスイッチング駆動信号とに基づいて、放電回路64を制御するための放電回路駆動信号を生成して、放電回路64に出力する。放電回路駆動信号は、充電制御部86にも入力される。
【0037】
図3に示すように、溶接電源装置A1の出力電流(
図3(b)参照)は、スイッチング駆動信号(
図3(a)参照)に応じて変化する。
図3(a)に示すスイッチング駆動信号は、オンのときに出力端子a(被加工物W)を正、出力端子b(溶接トーチB)を負とし、オフのときに出力端子a(被加工物W)を負、出力端子b(溶接トーチB)を正とする。溶接電源装置A1の出力電流は、スイッチング駆動信号がオンからオフに切り換わった時(
図3における時刻t1)から減少し、ゼロを過ぎて(
図3における時刻t2)極性が変わった後に最小電流値になる(
図3における時刻t3)。また、溶接電源装置A1の出力電流は、スイッチング駆動信号がオフからオンに切り換わった時(
図3における時刻t6)から増加し、ゼロを過ぎて(
図3における時刻t7)極性が変わった後に最大電流値になる(
図3における時刻t8)。放電制御部85は、溶接電源装置A1の出力電流の極性が変わるときにオンとなるように、放電回路駆動信号を生成する。具体的には、放電制御部85は、スイッチング駆動信号が切り換わったとき(
図3における時刻t1、t6)にオンに切り換わり、出力電流の瞬時値が最大電流値または最小電流値になったとき(
図3における時刻t3、t8)にオフに切り換わるパルス信号を生成し、放電回路駆動信号として出力する(
図3(c)参照)。実際には、電流センサ91から入力される電流瞬時値は微小変動するので、放電制御部85は、電流瞬時値が所定の第1閾値以上になった場合に最大電流値になったと判断し、電流瞬時値が所定の第2閾値以下になった場合に最小電流値になったと判断する。
【0038】
なお、放電制御部85が放電回路駆動信号を生成する方法は、これに限定されない。溶接電源装置A1の出力電流の極性が変わるときに再点弧電圧を重畳できればよいので、放電回路駆動信号は、極性が変わる前にオンになり、極性が変わった後にオフになればよい。例えば、出力電流の瞬時値がゼロになって所定時間が経過したときに、放電回路駆動信号をオフに切り換えるようにしてもよい。また、放電制御部85が、極性切換制御部83からスイッチング駆動信号を入力される代わりに、波形目標設定部84から電流波形目標値を入力され、電流波形目標値が切り換わったときに、放電回路駆動信号をオンに切り換えるようにしてもよい。この場合も、放電回路駆動信号の波形は、スイッチング駆動信号に基づいて切り換える場合と同様となる。さらに、放電制御部85が、電流センサ91から出力電流の瞬時値だけを入力され、出力電流の瞬時値が最大電流値から低下したとき、または、最小電流値から上昇したときに、放電回路駆動信号をオンに切り換えるようにしてもよい。この場合も、放電回路駆動信号の波形は、スイッチング駆動信号に基づいて切り換える場合と同様となる。また、最大電流値より小さくゼロより大きい第1閾値と、最小電流値より大きくゼロより小さい第2閾値とを設定し、放電回路駆動信号を、出力電流の瞬時値が第1閾値と第2閾値との間の範囲に入ったときにオンに切り換え、当該範囲から外れたときにオフに切り換えるようにしてもよい。この場合でも、放電回路駆動信号は、極性が変わる前にオンになり、極性が変わった後にオフになる。
【0039】
充電制御部86は、充電回路63を制御する。充電制御部86は、電流センサ93から入力される充電電流の瞬時値と、電圧センサ92から入力される再点弧コンデンサ62の端子間電圧の瞬時値と、放電制御部85から入力される放電回路駆動信号とに基づいて、充電回路63を制御するための充電回路駆動信号を生成して、充電回路63に出力する。
【0040】
図3に示すように、再点弧コンデンサ62の端子間電圧(
図3(e)参照)は、放電回路駆動信号(
図3(c)参照)がオンになって(
図3における時刻t1)、出力電流(
図3(b)参照)の極性が変わったとき(
図3における時刻t2)に、再点弧コンデンサ62の放電により低下する。次の放電のタイミング(
図3における時刻t7)までに、再点弧コンデンサ62に再点弧電圧を充電する必要がある。再点弧コンデンサ62の放電が終了したとき(
図3における時刻t3)から、再点弧コンデンサ62の充電が開始される。なお、本実施形態では、放電中にも並行して充電が行われているので、時刻t2から時刻t3の間で、再点弧コンデンサ62の端子間電圧は少し上昇している。再点弧コンデンサ62の充電の初めの期間では、充電制御部86は、充電回路駆動信号をオフのままとする。このとき、整流平滑回路63cから出力される直流電圧がそのまま再点弧コンデンサ62に印加され、再点弧コンデンサ62は、急速に充電される(
図3(e)参照)。そして、再点弧コンデンサ62の端子間電圧が、整流平滑回路63cの出力電圧になったとき(
図3における時刻t4)、充電制御部86は、充電回路駆動信号をオンにする。充電制御部86は、放電が終了した後、電流センサ93が検出した充電電流が所定の電流値以下になったときに、再点弧コンデンサ62の端子間電圧が整流平滑回路63cの出力電圧になったと判断し、充電回路駆動信号をオンにする。このとき、整流平滑回路63cから出力される直流電圧が昇圧されて再点弧コンデンサ62に印加され、再点弧コンデンサ62は所定の電圧まで充電される(
図3(e)参照)。再点弧コンデンサ62が所定の電圧まで充電されたとき(
図3における時刻t5)、それ以上の充電を行う必要がないので、充電制御部86は、充電回路駆動信号をオフにする。つまり、充電制御部86は、放電制御部85より入力される放電駆動信号がオンからオフに切り換わった後、電流センサ93が検出した充電電流が所定の電流値以下になったとき(
図3における時刻t4、t9)にオンに切り換わり、再点弧コンデンサ62の端子間電圧が所定の電圧になったとき(
図3における時刻t5、t10)にオフに切り換わるパルス信号を生成し、充電回路駆動信号として出力する(
図3(d)参照)。
【0041】
図4は、
図1に示す溶接電源装置A1において、電圧重畳回路6の動作をシミュレーションした結果を示している。Vcは、電圧センサ92が検出した、再点弧コンデンサ62の端子間電圧の瞬時値の波形を示している。Icは、電流センサ93が検出した、充電回路63の充電電流の瞬時値の波形を示している。Vsは、スイッチング素子63bのドレイン‐ソース間電圧の瞬時値の波形を示している。
【0042】
図4に示すように、放電回路駆動信号がオンとなり、溶接電源装置A1の出力電流の極性が変わったときに、放電期間が開始されると、放電回路64が再点弧コンデンサ62の放電を行うので、電圧Vcは減少する。放電期間中も、再点弧コンデンサ62の端子間電圧Vcが整流平滑回路63cの出力電圧を下回ると、充電電流Icが流れ、再点弧コンデンサ62を充電する。これにより、放電期間の後半は、電圧Vcが上昇している。
【0043】
放電回路駆動信号がオフとなり、放電期間が終了した後は、充電期間が開始され、整流平滑回路63cの出力電圧によって再点弧コンデンサ62が急速に充電される。したがって、電圧Vcが急上昇している。充電電流Icは、上昇から下降に転じて、低下していく。本実施形態では、充電電流Icが所定の電流値以下になったときに、再点弧コンデンサ62の端子間電圧が整流平滑回路63cの出力電圧(本シミュレーションでは240V)になったと判断し、充電回路駆動信号をオンにする。これにより、昇圧チョッパ63d(スイッチング素子63b)のスイッチングが行われるスイッチング期間が開始される。スイッチング期間では、整流平滑回路63cから出力される直流電圧が昇圧されて再点弧コンデンサ62に出力され、再点弧コンデンサ62がさらに充電される。スイッチングに応じて、電圧Vsおよび充電電流Icが変化している。
【0044】
そして、電圧Vcが所定の電圧(本シミュレーションでは300V)になったときに充電回路駆動信号がオフになり、スイッチング期間(充電期間)が終了している。次の放電期間が開始されるまでは、充電電流Icは「0」となり、電圧Vsは一定の電圧となり、電圧Vcが所定の電圧を継続している。
【0045】
次に、本実施形態に係る溶接電源装置の作用および効果について説明する。
【0046】
本実施形態によると、充電回路63は、充電開始時には、整流平滑回路63cから入力される直流電圧をそのまま再点弧コンデンサ62に印加して、再点弧コンデンサ62を急速に充電する。そして、充電回路63は、再点弧コンデンサ62の端子間電圧が整流平滑回路63cの出力電圧になったときからは、スイッチング素子63bのスイッチングを行って、昇圧チョッパ63dを駆動させる。これにより、整流平滑回路63cから入力される直流電圧を昇圧して再点弧コンデンサ62に印加し、再点弧コンデンサ62を所定の電圧まで充電する。したがって、充電開始時からスイッチングを行って昇圧した電圧を印加する場合より短い時間で、再点弧コンデンサ62を所定の電圧まで充電することができる。充電に必要な時間を短縮することができるので、極性切換周波数が高くなって、充電開始から放電までの時間が短くなった場合でも、再点弧コンデンサ62を所定の電圧まで充電できるようになる。これにより、アーク切れの発生をより抑制することができる。
【0047】
図5は、
図1に示す溶接電源装置A1と、
図10に示す溶接電源装置A100とで、再点弧コンデンサ62を所定の電圧に充電するための時間を比較するためのシミュレーション結果である。
図5(a)は溶接電源装置A100のものであり、
図5(b)は溶接電源装置A1のものである。どちらも、再点弧コンデンサ62の端子間電圧Vcの波形と、充電回路63(630)のスイッチング信号Swの波形を示している。
【0048】
図5(a)に示すように、溶接電源装置A100の場合、充電開始からスイッチングを行っており、電圧Vcが所定の電圧(本シミュレーションでは300V)に達するまでに約0.7msかかっている。
【0049】
一方、
図5(b)に示すように、溶接電源装置A1の場合、充電開始時にはスイッチングを行わず、電圧Vcが約225Vに達したときから、スイッチングを開始している。電圧Vcが所定の電圧(300V)に達するまでに約0.55msかかっている。
図5(b)の場合、スイッチングを行わずに約0.25msで電圧Vcが約225Vまで上昇しているので、充電にかかる時間が、
図5(a)と比べて、約0.15ms短くなっている。
【0050】
本実施形態によると、充電回路63は、再点弧コンデンサ62の端子間電圧(
図3(e)参照)が所定の電圧になったときに充電を停止する。これにより、充電回路63は、再点弧コンデンサ62を必要以上に充電することを抑制することができる。
【0051】
本実施形態によると、放電回路64は、放電制御部85より入力される放電回路駆動信号に基づいて、放電を制御する。放電回路駆動信号(
図3(c)参照)は、スイッチング駆動信号(
図3(a)参照)が切り換わったときにオンに切り換わり、出力電流(
図3(b)参照)が最大電流値または最小電流値になったときにオフに切り換わる。したがって、溶接電源装置A1の出力電流の極性が変わるときには、放電回路駆動信号は必ずオンとなっているので、放電回路64は再点弧電圧を適切に重畳することができる。
【0052】
本実施形態によると、トランス3において、二次側巻線3bおよび補助巻線3cが一次側巻線3aに対して絶縁されているので、商用電源Dから入力される電流が二次側の回路に流れることを防止することができる。また、トランス3において、二次側巻線3bと補助巻線3cとが絶縁されているので、循環する電流経路が形成されない。これらにより、感電の危険性を低減することができる。
【0053】
なお、本実施形態においては、充電制御部86は、放電が終了した後、充電電流が所定の電流値以下になったときに充電回路駆動信号をオンにする場合について説明したがこれに限られない。より直接的に、電圧センサ92が検出した再点弧コンデンサ62の端子間電圧が整流平滑回路63cの出力電圧に基づく所定の電圧(例えば、整流平滑回路63cの出力電圧より少し低い電圧)以上になったときに、充電回路駆動信号をオンにするようにしてもよい。この場合は、充電制御部86は、電圧センサ92が検出した再点弧コンデンサ62の端子間電圧のみに基づいて、充電回路駆動信号を生成することができる。
【0054】
また、本実施形態においては、出力電流の波形が略矩形波である場合(
図3(b)参照)について説明したが、これに限られない。出力電流の波形が正弦波であってもよい。波形目標設定部84が電流波形目標値として正弦波信号を出力し、極性切換制御部83が電流センサ91から入力される出力電流の瞬時値と波形目標設定部84から入力される電流波形目標値とに基づいてスイッチング駆動信号を生成するようにすれば、出力電流の波形を正弦波とすることができる。出力電流の波形が正弦波の場合、電流センサ91が検出する出力電流の瞬時値に基づいて、放電回路駆動信号を生成すればよい。例えば、最大電流値より小さくゼロより大きい第1閾値と、最小電流値より大きくゼロより小さい第2閾値とを設定し、放電回路駆動信号を、出力電流の瞬時値が第1閾値と第2閾値との間の範囲に入ったときにオンに切り換え、当該範囲から外れたときにオフに切り換えるようにすればよい。出力電流の波形を正弦波とすると、発生するアークが幅広になるので、溶接痕を幅広のものとすることができる。また、溶接電源装置A1からの発生音を抑制することができる。
【0055】
本実施形態においては、溶接電源装置A1の出力電流の極性が変わるときに再点弧電圧を重畳する場合について説明したが、これに限られない。一般的に、出力端子a(被加工物W)が正で出力端子b(溶接トーチB)が負である正極性から、出力端子a(被加工物W)が負で出力端子b(溶接トーチB)が正である逆極性に切り換わるときに、アーク切れが発生しやすいことが知られている。したがって、正極性から逆極性に切り換わるときにのみ再点弧電圧を重畳させ、逆極性から正極性に切り換わるときには再点弧電圧を重畳させないようにしてもよい。この場合の変形例について、
図6を参照して説明する。なお、当該変形例においては、放電制御部85による放電回路駆動信号の生成方法が変わるだけである。
【0056】
図6は、変形例における、各信号の波形を示すタイムチャートである。
図6(a)は、極性切換制御部83が生成するスイッチング駆動信号を示しており、
図3(a)に示すものと同じである。
図6(b)は、溶接電源装置A1の出力電流を示しており、
図3(b)に示すものと同じである。
図6(c)は、放電制御部85が生成する放電回路駆動信号を示している。
図6(d)は、充電制御部86が生成する充電回路駆動信号を示している。
図6(e)は、再点弧コンデンサ62の端子間電圧を示している。
【0057】
変形例に係る放電制御部85は、溶接電源装置A1の出力電流の極性が、正極性から逆極性に変わるときにオンとなるように、放電回路駆動信号を生成する。具体的には、放電制御部85は、スイッチング駆動信号(
図6(a)参照)がオンからオフに切り換わったとき(
図6における時刻t1)にオンに切り換わり、溶接電源装置A1の出力電流(
図6(b)参照)が最小電流値になったとき(
図6における時刻t3)にオフに切り換わるパルス信号を生成し、放電回路駆動信号として出力する(
図6(c)参照)。放電制御部85は、スイッチング駆動信号がオフからオンに切り換わったとき(
図6における時刻t6)、および、溶接電源装置A1の出力電流が最大電流値になったとき(
図6における時刻t8)には、放電回路駆動信号の切り換えを行わない。
【0058】
放電制御部85が生成する放電回路駆動信号(
図6(c)参照)が
図3(c)に示す放電駆動信号と異なるので、充電制御部86が生成する充電回路駆動信号(
図6(d)参照)、および、再点弧コンデンサ62の端子間電圧(
図6(e)参照)は、それぞれ、
図3(d)および
図3(e)に示すものと異なる波形になっている。
【0059】
当該変形例においては、よりアーク切れが発生しやすい、正極性から逆極性に切り換わるときに再点弧電圧を重畳するので、アーク切れの発生を抑制することができる。また、比較的にアーク切れが発生しにくい、逆極性から正極性に切り換わるときには再点弧電圧を重畳させないので、逆極性から正極性に切り換わるときにも再点弧電圧を重畳する場合と比べて、限流抵抗64bでの損失を低減することができる。また、再点弧電圧を放電してから次に放電するまでの時間が長くなるので、極性切換周波数がより高くなった場合でも対応することができる。例えば、
図6に示す場合の極性切換周波数が二倍の周波数になったとしても、放電までに所定の電圧まで充電を行うことができる。
【0060】
上記変形例のように正極性から逆極性に切り換わるときにのみ再点弧電圧を重畳する場合は、電圧重畳回路6をインバータ回路7の出力側に配置するようにしてもよい。この場合を、第2実施形態として、以下に説明する。
【0061】
図7は、第2実施形態に係る溶接電源装置A2を示すブロック図であり、溶接システムの全体構成を示している。
図7において、第1実施形態に係る溶接システム(
図1参照)と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。なお、
図7においては、制御回路8を簡略化して記載している。
図7に示すように、溶接電源装置A2は、電圧重畳回路6をインバータ回路7の出力側に配置している点で、第1実施形態に係る溶接電源装置A1と異なる。
【0062】
溶接電源装置A2において、電圧重畳回路6は、インバータ回路7の出力側に配置されており、出力端子b(溶接トーチB)の電位を高くするように、出力端子a,b間に再点弧電圧を重畳する構成になっている。放電回路64は、スイッチング駆動信号(
図6(a)参照)がオンからオフに切り換わったとき(
図6における時刻t1)に導通しており、出力電流(
図6(b)参照)の極性が変わったとき(
図6における時刻t2)に、再点弧コンデンサ62が放電し、再点弧電圧が出力端子a,b間に重畳される。
【0063】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、充電に必要な時間を短縮することができるので、アーク切れの発生をより抑制することができる。
【0064】
図8は、充電回路63への電力の供給元を変更した実施形態を示している。
図8(a)は、第3実施形態に係る溶接電源装置A3を示すブロック図である。
図8(a)において、第1実施形態に係る溶接システム(
図1参照)と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。なお、
図8(a)においては、電圧重畳回路6より下流側の構成および制御回路8の記載を省略している(
図8(b)および(c)も同様)。
図8(a)に示すように、溶接電源装置A3は、充電回路63の各入力端子がトランス3の二次側巻線3bの各出力端子にそれぞれ接続されている点で、第1実施形態に係る溶接電源装置A1と異なる。
【0065】
第3実施形態においても、第1実施形態と同様に、充電に必要な時間を短縮することができるので、アーク切れの発生をより抑制することができる。また、第3実施形態によると、トランス3に補助巻線3cを設ける必要がない。よって、より簡易な構成とすることができる。なお、充電回路63の各入力端子を整流平滑回路1の各入力端子にそれぞれ接続して、商用電源Dから入力される交流電力を充電回路63に入力するようにしてもよい。
【0066】
図8(b)は、第4実施形態に係る溶接電源装置A4を示すブロック図である。
図8(b)において、第1実施形態に係る溶接システム(
図1参照)と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。
図8(b)に示すように、溶接電源装置A4は、充電回路63に代えて充電回路63’を備え、充電回路63’の各入力端子が整流回路4の各出力端子にそれぞれ接続されている点で、第1実施形態に係る溶接電源装置A1と異なる。
【0067】
充電回路63’は、充電回路63(
図2(a))の整流平滑回路63cから整流回路を省略したものである。充電回路63’は、整流回路4の出力電圧を入力されるので、整流回路を必要としない。
【0068】
第4実施形態においても、第1実施形態と同様に、充電に必要な時間を短縮することができるので、アーク切れの発生をより抑制することができる。また、第4実施形態によると、充電回路63’を充電回路63より簡易な構成とすることができる。
【0069】
図8(c)は、第5実施形態に係る溶接電源装置A5を示すブロック図である。
図8(c)において、第1実施形態に係る溶接システム(
図1参照)と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。
図8(c)に示すように、溶接電源装置A5は、充電回路63に代えて充電回路63”を備え、充電回路63”の各入力端子が整流平滑回路1の各出力端子にそれぞれ接続されている点で、第1実施形態に係る溶接電源装置A1と異なる。
【0070】
充電回路63”は、充電回路63(
図2(a))から整流平滑回路63cを省略したものである。充電回路63”は、整流平滑回路1の出力電圧を入力されるので、整流平滑回路63cを必要としない。
【0071】
第5実施形態においても、第1実施形態と同様に、充電に必要な時間を短縮することができるので、アーク切れの発生をより抑制することができる。また、第5実施形態によると、充電回路63”を充電回路63より簡易な構成とすることができる。
【0072】
図9は、第6実施形態に係る溶接電源装置A6の充電回路66を示す回路図である。
図9に示すように、溶接電源装置A6は、充電回路66の構成が第1実施形態に係る溶接電源装置A1と異なる。
図9において、第1実施形態に係る充電回路63(
図2(a)参照)と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。なお、溶接電源装置A6の充電回路66以外の構成は第1実施形態に係る溶接電源装置A1と同様なので、記載および説明を省略する。
【0073】
充電回路66は、整流平滑回路63c、昇降圧チョッパ回路66dおよび開閉スイッチ66eを備えている。整流平滑回路63cは、第1実施形態に係る整流平滑回路63cと同様のものである。
【0074】
昇降圧チョッパ回路66dは、整流平滑回路63cから入力される直流電圧を昇圧して、再点弧コンデンサ62に出力する。昇降圧チョッパ回路66dは、入力端子と出力端子との間にスイッチング素子(MOSFET)63bとダイオードとを直列に接続(スイッチング素子63bのソース端子とダイオードのカソード端子とを接続し、入力端子側にスイッチング素子63b、出力端子側にダイオードを配置)し、その接続点にコイルを並列に接続し、ダイオードのアノード端子にコンデンサを並列に接続した構成となっている。なお、昇降圧チョッパ回路66dの回路構成は限定されない。本実施形態では、スイッチング素子63bをMOSFETとしているが、IGBT、バイポーラトランジスタなどとしてもよい。本実施形態においては、昇降圧チョッパ回路66dが本発明の「昇圧手段」に相当する。駆動回路63aは、第1実施形態に係る駆動回路63aと同様に、充電制御部86より入力される充電回路駆動信号に応じてパルス信号を出力する。
【0075】
開閉スイッチ66eは、昇降圧チョッパ回路66dの入力端子と出力端子とを接続する線路に配置されており、当該線路を閉路して、入力端子と出力端子とを接続した状態と、当該線路を開路して、入力端子と出力端子とを開放した状態とで切り換える。開閉スイッチ66eは、半導体スイッチであってもよいし、機械的なスイッチであってもよい。開閉スイッチ66eは、充電制御部86から入力される充電回路駆動信号に応じて開閉する。具体的には、開閉スイッチ66eは、充電回路駆動信号がオフ(例えばローレベル信号)の間は閉路され、充電回路駆動信号がオン(例えばハイレベル信号)の間は開路される。開閉スイッチ66eが閉路された場合、昇降圧チョッパ回路66dを迂回して、整流平滑回路63cから入力される直流電圧がそのまま、再点弧コンデンサ62に印加される。一方、開閉スイッチ66eが開路された場合、整流平滑回路63cと再点弧コンデンサ62との間に、昇降圧チョッパ回路66dが介在する状態になる。このとき、昇降圧チョッパ回路66dが駆動するので、整流平滑回路63cから入力される直流電圧が昇圧されて、再点弧コンデンサ62に印加され、再点弧コンデンサ62は充電される。すなわち、充電回路66は、充電回路駆動信号に基づいて、整流平滑回路63cから入力される直流電圧をそのまま再点弧コンデンサ62に印加する状態と、昇圧して印加する状態とで切り換える。開閉スイッチ66eが、本発明に係る「開閉手段」に相当する。
【0076】
第6実施形態においても、第1実施形態と同様に、充電に必要な時間を短縮することができるので、アーク切れの発生をより抑制することができる。なお、昇降圧チョッパ回路66dに代えて、その他の昇圧回路を備えるようにしてもよい。
【0077】
なお、上記第1ないし第6実施形態では、溶接電源装置A1ないしA6をTIG溶接システムに用いた場合について説明したが、これに限られない。本発明に係る溶接電源装置は、その他の半自動溶接システムにも用いることができる。また、本発明に係る溶接電源装置は、ロボットによる全自動溶接システムにも用いることができるし、被覆アーク溶接システムにも用いることができる。
【0078】
本発明に係る溶接電源装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る溶接電源装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。