【実施例1】
【0026】
本発明の第1の実施の形態に係る掘削装置について、
図1乃至
図7を用いて説明する。
図1は、実施例1に係る掘削装置の使用状態を示す側面図である。
図1に示すように、実施例1に係る掘削装置1は、実施例2に係る小口径井戸の改修工法に用いる掘削装置である。
掘削装置1は、井戸50の周面50aに横孔51を掘削してストレーナ管21(
図7参照)を埋設する埋設装置2と、この埋設装置2の、井戸50の内部52における位置を決定する位置決め治具3と、ストレーナ管21の先方部分21a(
図7参照)を構成する集水管30又は新規集水管40(
図6,7参照)を保持した埋設装置2を、位置決め治具3に固定する固定部材4を備える。
【0027】
このうち、埋設装置2は、集水管30と新規集水管40を、異なるタイミングでそれぞれ保持可能である。なお、集水管30は、短尺ストレーナ管30cを備え、先端30aに横孔51を掘削する掘削治具31が設けられる。この掘削治具31は、具体的には、複数のチップ状の歯先を備える円環状のビットである。なお、短尺ストレーナ管30cとは、その長さがストレーナ管21の長さよりも十分に短いという意味である。
また、固定部材4は、周面50aに懸架される長尺のガイド体6を備える。ガイド体6は、端部6a,6b寄りの下面に、それぞれ第1の係合部7a,7bが形成される。この第1の係合部7a,7bは、いずれも側面視で略台形状をなして下方に突出する突出体である。なお、ガイド体6が周面50aに懸架される場合は、端部6a,6bと周面50aとの間にそれぞれ挟みこまれる滑り止め8a,8bが使用される。ただし、この滑り止め8a,8bは、省略されても良い。また、ガイド体6は、その長さが、図示しない伸縮手段によって伸縮可能に構成される。
【0028】
次に、実施例1に係る掘削装置を構成する埋設装置の構成について、
図2及び
図3を用いて説明する。
図2は、実施例1に係る掘削装置を構成する埋設装置の側面図である。
図3(a)及び
図3(b)は、それぞれ
図2(a)におけるA方向矢視図及びB方向矢視図である。なお、
図1で示した構成要素については、
図2及び
図3においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図2及び
図3に示すように、実施例1に係る掘削装置1を構成する埋設装置2は、第1のモータ9及び第2のモータ10がそれぞれ収容されるモータヘッド11a,11bと、第1のモータ9の第1の回動軸9aに取り付けられ、集水管30及び新規集水管40を分離可能に接続するジョイント12と、第2のモータ10を駆動源としてモータヘッド11a,11bを前進(X
1方向)及び後退(X
2方向)させる進退機構13を備える。
【0029】
進退機構13は、固定部材4であるガイド体6の上面に沿って配設されるラック14と、第2のモータ10の第2の回動軸10aに取り付けられ、ラック14に噛合するピニオン15からなる。ガイド体6とラック14は、モータヘッド11aとモータヘッド11bの間に介在するハウジング5によって保持される。
この構成により、ジョイント12は、第1の回動軸9aを中心に回動するとともに、埋設装置2がラック14に沿って前進可能である。したがって、横孔51は、埋設装置2の前進方向(X
1方向)に沿って形成されることになる。
【0030】
続いて、実施例1に係る掘削装置を構成する固定部材について、
図4及び
図5を用いて説明する。
図4(a)は、実施例1に係る掘削装置を構成する固定部材の側面図であり、
図4(b)は、
図4(a)におけるC方向矢視図である。なお、
図1乃至
図3で示した構成要素については、
図4及び
図5においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図4及び
図5に示すように、位置決め治具3は、ガイド体6(
図1参照)と平行して周面50aに懸架されるフレーム16と、このフレーム16の長手方向が水平方向Hに対してなす第2の角βの角度D
βが、横孔51(
図1参照)の長軸方向が水平方向Hに対してなす第1の角αの角度D
αと等しくなるように調節する角度調節手段18,18と、角度調節手段18,18を介してフレーム16と連結され、このフレーム16を支持する細長い円筒状の支柱19,19を備える。
【0031】
図4(b)に示すように、フレーム16は、平面視で長方形状をなすように組み合わされてなる枠体16a〜16dと、長尺の枠体16a,16bに一端が固着される斜材16e,16fからなる。斜材16e,16fの長手方向は、側面視でフレーム16の長手方向と平行する(
図4(a)参照)。枠体16a,16bの一端には、滑り止め8bと同様の滑り止め16g,16hがそれぞれ設けられる。
また、長尺の枠体16a,16bは、それぞれの長さが図示しない伸縮部材によって、伸縮可能に構成される。さらに、短尺の枠体16c,16dには、それぞれ第1の係合部7a,7bと係合する凹状の第2の係合部17a,17bが形成される。なお、短尺の枠体16c,16dは、長尺の枠体16a,16bに対してそれぞれ着脱自在である。また、第2の係合部17bは、長尺の枠体16a,16bに沿ってスライド可能に構成されるため、第2の係合部17a,17bに対する第1の係合部7a,7bの係合が容易である。
【0032】
また、角度調節手段18は、斜材16e,16fの一端と、支柱19,19の上端をそれぞれ連結するヒンジ18a,18bと、斜材16e,16fの他端にそれぞれ設けられるヒンジ18c,18dと、このヒンジ18c,18dに取り付けられ、周面50aに圧接される湾曲面20aをそれぞれ有する板状体20,20からなる。
ヒンジ18a,18bは、それぞれ留めネジN
1が設けられ、この留めネジN
1を中心として支柱19,19の長手方向に対して斜材16e,16fの長手方向がなす第3の角γの角度D
γが調節される。角度D
γを予定の大きさにした後、留めネジN
1を締め付けて支柱19,19に対する斜材16e,16fの配置を固定する。より詳細には、支柱19,19は鉛直方向Vに沿って設置されるため、角度D
γは、90度から斜材16e,16fの長手方向が水平に対してなす第4の角δの角度D
δを差し引いた値である。
【0033】
なお、斜材16e,16fの長手方向は、側面視でフレーム16の長手方向と平行することから、角度D
δは、フレーム16の長手方向が水平方向Hに対してなす第2の角βの角度D
βと等しいことになる。また、フレーム16は、ガイド体6と平行し、ラック14はガイド体6の上面に沿って配設されるため、埋設装置2が前進及び後退する方向の水平方向Hに対する角度、すなわち横孔51の長軸方向が水平方向Hに対してなす第1の角αの角度D
αは、角度D
βと等しいことになる。
また、ヒンジ18c,18dも、それぞれ留めネジN
2が設けられ、この留めネジN
2を中心として斜材16e,16fに対する湾曲面20a,20aの振り角度が調節される。湾曲面20a,20a全体が周面50aに圧接するように、振り角度を調整した後、留めネジN
2を締め付けて湾曲面20a,20aの斜材16e,16fに対する角度を固定する。
【0034】
さらに、支柱19は、その上端を含む上部柱19aと、井戸底部に配置される下端を含む下部柱19bと、上部柱19aと上部柱19aを接続する接続部19cからなる。そして、上部柱19aと下部柱19bは、ネジ部19dを介して入れ子式に連結されることによって、支柱19の全長が伸縮可能となっている。
【0035】
そして、実施例1に係る掘削装置を構成する埋設装置のジョイントと、このジョイントに連結される集水管及び新規集水管について、
図6を用いて説明する。
図6(a)は、実施例1に係る掘削装置を構成する埋設装置のジョイントと、新規集水管と、集水管の側面図であり、
図6(b)及び
図6(c)は、それぞれ
図6(a)におけるE−E線矢視断面図である。なお、
図1乃至
図5で示した構成要素については、
図6においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図6(a)に示すように、集水管30は、後端30bにジョイント12と連結可能な第1の連結部材32を備える。
また、新規集水管40は、一端40aに掘削治具31の代わりに、第1の連結部材32と連結可能な第2の連結部材41を備えるとともに、他端40bに第1の連結部材32を備える。
【0036】
具体的には、第1の連結部材32は、円環部材32aと、円環部材32aの表面に設けられ、外方へ向かって突出する突出ピン32bを備える。また、ジョイント12は、第1の回動軸9a(
図2,3参照)が延設されるロッド9bに、その底部が固定される円筒状の側壁を有する箱状部材である。ジョイント12の内径の大きさは円環部材32aの外径の大きさと同等であって、ジョイント12の内周面には、突出ピン32bを案内可能な溝33が刻まれている。この溝33は、ジョイント12の開口端から底部の順に、3本の溝33a〜33cが平面視で略階段状に配列されてなる。
また、第2の連結部材41は、集水した水を通過させるための貫通孔41aがジョイント12の底面に穿通された構成である。すなわち、第2の連結部材41の内径の大きさは円環部材32aの外径の大きさと同等であって、第2の連結部材41の内周面には、突出ピン32bを案内可能な溝33が刻まれている。新規集水管40のこれ以外の構成は、集水管30の構成と同様である。
【0037】
したがって、地上にてジョイント12と第1の連結部材32を連結させるには、
図6(b)に示すように、作業員が突出ピン32bをまず溝33aに沿って押し込む。その後集水管30全体をその長軸を中心としてR方向に回動させて、突出ピン32bを溝33bに沿って移動させる。
さらに、
図6(c)に示すように、作業員が集水管30全体をジョイント12に近づける方向へわずかに移動させて突出ピン32bを溝33cに嵌入させる。これにより、集水管30はジョイント12と連結される。すなわち、集水管30は埋設装置2によって保持された状態となる。
したがって、この状態で井戸50の内部52に埋設装置2を降下させた場合に、ジョイント12を正方向(F方向)に回動させ、かつ埋設装置2を前進させると、ジョイント12の回動運動等が集水管30の掘削治具31に伝達される。その結果、この掘削治具31によって、横孔51が掘削される。
【0038】
次に、横孔51の掘削を終えた場合においては、集水管30は横孔51との摩擦により容易に回動しないため、ジョイント12をそれぞれわずかに後退、逆方向(R方向)に回動後、再度後退させると、突出ピン32bが溝33c〜溝33aの順で溝33から抜き出される。その結果、集水管30がジョイント12から分離され、横孔51に埋設される。
一方、岩盤等により、掘削治具31が横孔51を掘削困難な場合は、ジョイント12を、掘削治具31が横孔51の先端から離れるまで逆方向(R方向)に回動する。このとき、突出ピン32bは溝33cに嵌入されたままであるから、ジョイント12を後退させるに伴い、集水管30も横孔51から引き出される。
上記のような作用は、新規集水管40の他端40bに第1の連結部材32を備えることから、新規集水管40においても、同様である。
【0039】
次に、横孔に埋設された長尺のストレーナ管について、
図7を用いて説明する。
図7は、実施例1に係る掘削装置を用いて埋設された長尺のストレーナ管の側面図である。なお、
図1乃至
図6で示した構成要素については、
図7においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図7に示すように、長尺のストレーナ管21は、第2の連結部材40が第1の連結部材32に連結された状態となって、1本の集水管30と2本の新規集水管40が連設されて形成される。このようなストレーナ管21は、後述する実施例2に係る小口径井戸の改修工法60によって、横孔51に埋設される。
【0040】
このストレーナ管21は、その先方部分21aが後方部分21bよりも鉛直方向Vに上昇する姿勢で埋設されている。これは、
図4を用いて説明したように、角度調節手段18において、支柱19,19の長手方向に対して斜材16e,16fの長手方向がなす第3の角γの角度D
γを調節することにより、実現される。同様に、ストレーナ管21は、水平方向Hに沿って埋設される他、先方部分21aが後方部分21bよりも鉛直方向Vに下降する姿勢で埋設されても良い。
なお、実際には、ストレーナ管21の内部へ集水された水が漏れ出すことを防止するため、集水管30と新規集水管40の境界、及び新規集水管40と新規集水管40の境界にパッキンが設けられるが、本願においては、このパッキンの表示を省略する。
【0041】
このような構成の新規集水管40においては、集水管30が横孔51に埋設された後に、地上で第1の連結部材32とジョイント12を介して埋設装置2に新たに1本目の新規集水管40が保持される。そして、第1のモータ9及び第2のモータ10を駆動することにより、埋設された集水管30の第1の連結部材32の突出ピン32bに、1本目の新規集水管40の第2の連結部材41の溝33a〜33cが順に嵌め込まれて、集水管30と新規集水管40が連結される。そのため、ジョイント12の回動運動及びモータヘッド11a,11bの前進及び後退運動が1本目の新規集水管40を介して集水管30に伝達され、集水管30の掘削治具31が横孔51を堀り進めると同時に、集水管30と1本目の新規集水管40が横孔51に進入する。
その後、1本目の新規集水管40の第1の連結部材32は、
図6(b)及び
図6(c)を用いて説明したように、ジョイント12から分離される。
【0042】
続いて、地上で同様に埋設装置2に保持された2本目の新規集水管40についても、埋設された1本目の新規集水管40の第1の連結部材32の突出ピン32bに、2本目の新規集水管40の第2の連結部材41の溝33a〜33cが順に嵌め込まれて、1本目の新規集水管40と2本目の新規集水管40が連結される。そのため、ジョイント12の回動運動等が1本目及び2本目の新規集水管40を介して集水管30に伝達され、集水管30の掘削治具31が横孔51を堀り進めると同時に、集水管30と1本目及び2本目の新規集水管40が、
図7に示すように、横孔51に進入する。
【0043】
図7に示すように、長尺のストレーナ管21は、1本の集水管30と2本の新規集水管40が連設されて形成される。
このストレーナ管21は、その先方部分21aが後方部分21bよりも鉛直上方Vに上昇する姿勢で埋設されている。したがって、ストレーナ管21が集水した水が容易に内部52へ導入されるとともに、ストレーナ管21の内部に侵入して目詰まりの原因となる細砂が容易に排出される。また、横孔51を掘削することによってストレーナ管21の外部に発生する砂や泥も、傾斜した横孔51に沿って容易に排出される。
なお、このような姿勢にストレーナ管21を設置することは、従来、困難であるという課題があった。しかし、掘削装置1によれば、角度調節手段18を有する位置決め治具3を備えることで、この課題を十分に解決することができた。
【0044】
以上、説明したように、掘削装置1によれば、角度調節手段18において、第3の角γの角度D
γを調節することにより、短尺の集水管30及び新規集水管40を連設して長尺のストレーナ管21を所望の傾斜角度に沿って埋設可能である。しかも、ジョイント12の溝33と第1の第1の連結部材32を備えることにより、押し込み困難な集水管30及び新規集水管40を後退させることが可能である。したがって、予定する埋設位置に精度良く長尺のストレーナ管21を埋設することができる。
また、集水管30及び新規集水管40を使用することによれば、ラック14の長さに制限されずに、より長尺のストレーナ管21を埋設することができる。したがって、井戸50の取水効率を格段に向上させることが可能である。
【実施例2】
【0045】
本発明の第2の実施の形態に係る小口径井戸の改修工法について、
図8を用いて説明する。
図8は、実施例2に係る小口径井戸の改修工法の工程図である。なお、
図1乃至
図7で示した構成要素については、
図8においても同一の符号を付して、その説明を省略する。また、各段落に記載の符号は、
図1乃至
図7で示した構成要素の符号と一致するため、その説明を省略する。
図8に示すように、第2の実施の形態に係る小口径井戸の改修工法60は、小口径の井戸50の周面へ長尺のストレーナ管21を埋設し、井戸50の取水効率を向上させる小口径井戸の改修工法である。
【0046】
小口径井戸の改修工法60は、周面50aに形成される横孔51の長軸方向が水平方向Hに対してなす第1の角αの角度D
αを決定するステップS1の角度決定工程と、横孔51を掘削してストレーナ管21を埋設する掘削装置1の、井戸50の内部52における位置を決定する位置決め治具3を、埋設装置2が決定された第1の角αの角度D
αに沿って横孔51を掘削可能に、内部52に降下させて所望の深度に設置するステップS2の位置決め治具設置工程と、ストレーナ管21の先方部分21aを構成する集水管30を保持した埋設装置2を、位置決め治具3に固定するステップS3の固定工程と、埋設装置2を駆動させて周面50aに横孔51を掘削するステップS4の掘削工程と、集水管30を横孔51へ進入させた後、埋設装置2から集水管30を分離させ、この集水管30を横孔51に埋設するステップS5の埋設工程と、埋設装置2を上昇させて地上に取り出すステップS6の取り出し工程と、ステップS3の固定工程と、ステップS4の掘削工程と、ステップS5の埋設工程と、ステップS6の取り出し工程を、繰り返し行うステップS7の繰り返し工程を備える。
このステップS7の繰り返し工程は、集水管30に代えて、新規集水管40が使用される。以下に、それぞれの工程について、説明する。
【0047】
まず、ステップS1の角度決定工程においては、第1の角αの角度D
αが決定されるため、これに対応する第3の角γの角度D
γが求められる。
【0048】
ステップS2の位置決め治具設置工程においては、
図1,4,5で説明したように、求められた角度D
γとなるように角度調節手段18のヒンジ18a,18bを調節した後、位置決め治具3を内部52に設置する。この設置は、まず、井戸50の底部に長さを調節した支柱19,19の下端を設置し、フレーム16の枠体16a,16bを周面50aに懸架する。
【0049】
ステップS3の固定工程においては、設置した位置決め治具3の第2の係合部17a,17bに、ガイド体6の第1の係合部7a,7bを係合させる。これにより、埋設装置2を一旦上昇させた後、再度下降させても、埋設装置2は内部52において同じ位置に配置される。
【0050】
ステップS4の掘削工程においては、第1のモータ9と、第2のモータ10を駆動させることにより、ジョイント12が正方向(F方向)に回動するとともに、埋設装置2がラック14に沿って前進する。これにより、集水管30の掘削治具31によって、横孔51が掘削され、この中に集水管30が進入する。
【0051】
ステップS5の埋設工程においては、
図6を用いて説明したように、ジョイント12の溝33から突出ピン32bを抜き出すことにより、集水管30がジョイント12から分離され、横孔51の中に埋設される。
【0052】
ステップS6の取り出し工程においては、埋設装置2を吊り上げて地上に取り出し、
図6を用いて説明したように、ジョイント12に新規集水管40を保持させる。
【0053】
ステップS7の繰り返し工程においては、新規集水管40を保持した埋設装置2を井戸50の内部52に降下させ、位置決め治具3に固定する(ステップS3の固定工程)。そして、ステップS4の掘削工程と、ステップS5の埋設工程と、ステップS6の取り出し工程を実行する。このようなステップS7の繰り返し工程を、所望の回数繰り返すことにより、新規集水管42を埋設しようとする毎に、横孔51が掘削される。その結果、長尺のストレーナ管21が、その長手方向が水平方向Hに対して第1の角αの角度D
αをなして埋設される(
図7参照)。その後、新たな横孔51にストレーナ管21を埋設する場合は、ステップS2の位置決め治具設置工程に戻り、位置決め治具3を井戸50の内部52の新たな位置に設置し、以降各工程を繰り返す。そうした後、予定した本数のストレーナ管21を埋設すると、小口径井戸の改修工法60は、終了する。
【0054】
以上、説明したように、小口径井戸の改修工法60によれば、作業員がその内部に降下することが困難な小口径の井戸50に、長尺のストレーナ管21を埋設することができる。これにより、井戸50の取水効率を回復又は向上させることができる。
また、ステップS2の位置決め治具設置工程において位置決め治具3を設置したことにより、ステップS7の取り出し工程を繰り返すことによっても、新規集水管40を最初に掘削が完了した横孔51へ、正確に進入させることができる。
さらに、集水管30と新規集水管40を埋設しようとする毎に、横孔51が掘削されるため、ラック14の長さに制限されることなく長尺のストレーナ管21を埋設することができる。
また、ジョイント12と突出ピン32によって、進入困難な集水管30及び新規集水管40を後退させることができるので、精度良くストレーナ管21を形成可能であるとともに、集水管30や新規集水管40が無駄にならない。
【0055】
以上、説明したように、小口径井戸の改修工法61によれば、集水管34と新規集水管42を埋設しようとする毎に、横孔51が掘削されるため、ラック14の長さに制限されることなく長尺のストレーナ管21を埋設することができる。
【0056】
なお、本発明に係る掘削装置1及び小口径井戸の改修工法60は、本実施例に示すものに限定されない。例えば、フレーム16に設けられる第2の係合部17a,17bを上方に突出する突出体とし、かつガイド体6に設けられる第1の係合部7a,7bを第2の係合部17a,17bが係合する凹状としても良い。また、ジョイント12の溝33の代わりに、切り欠きが設けられても良い。さらに、突出ピン32bと溝33の組み合わせの代わりに、切り欠きと突出ピンがそれぞれ第1の連結部材32及びジョイント12に形成されても良い。
このほか、土質と水理環境により、円環部材32aの周面に沿って突出ピン32bが複数個設けられ、これに対応して溝33がジョイント12や第2の連結部材41の内周面に複数個所に設けられても良い。