(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-178766(P2018-178766A)
(43)【公開日】2018年11月15日
(54)【発明の名称】液封によるエゼクター利用の真空装置および方法
(51)【国際特許分類】
F04F 5/04 20060101AFI20181019BHJP
【FI】
F04F5/04 B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-74898(P2017-74898)
(22)【出願日】2017年4月5日
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】513085455
【氏名又は名称】コーベックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082832
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 邦章
(72)【発明者】
【氏名】平山 季藤
【テーマコード(参考)】
3H079
【Fターム(参考)】
3H079AA14
3H079BB01
3H079CC17
3H079CC23
3H079CC24
3H079DD02
3H079DD14
3H079DD23
(57)【要約】 (修正有)
【課題】大気汚染や水質汚染を防止し、排水量を低減できて、ランニングコスト等を低減する真空装置および真空方法を提供することにある。
【解決手段】封止液2を装填した封止液タンク3に封止液2を循環可能に循環ポンプ4を接続し、上記循環ポンプ4の吐出側にエゼクター5を配設してエゼクター5から真空吸入するようにしている。エゼクター5に排ガス処理装置や半導体ウエーハの洗浄槽等の被処理装置を接続するようにして、封止液タンク3にこれらの処理液と同一状の封止液2を装填して真空吸引して処理液を回収するようにできる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
封止液を装填した封止液タンクに封止液を循環可能に循環ポンプを接続するとともに、上記循環ポンプの吐出側にエゼクターを接続してエゼクターによる真空装置を形成したことを特徴とする液封によるエゼクター利用の真空装置。
【請求項2】
エゼクターによる真空度を0.09MPa以上のものとしたことを特徴とする請求項1に記載の液封によるエゼクター利用の真空装置。
【請求項3】
エゼクターに排ガス処理装置や半導体ウエーハの乾燥槽等の被処理装置を接続し、封止液タンクにこれらの処理液と同一状の封止液を装填して処理液を回収するようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の液封によるエゼクター利用の真空装置。
【請求項4】
封止液を装填した封止液タンクに封止液を循環可能に循環ポンプを接続し、上記循環ポンプのと吐出側にエゼクターを配設してエゼクターから真空吸入することを特徴とする液封によるエゼクター利用の真空方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空分野における液封によるエゼクター利用の真空装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
真空化学装置での濃縮、蒸留、蒸発、冷却、乾燥等や真空排気装置での真空鋳造、真空含浸、真空成形等、紙パルプ工業での脱気、脱水等においては、真空状態下で処理するために水封式真空ポンプが利用されている。
【0003】
しかし、水封式真空ポンプをそのままの状態で運転すると、0.07MPa位の低真空値でキャビテーションが発生し、運転が不能になる。
【0004】
そこで、水封式真空ポンプの誘引口にガスエゼクターを接続して吸引する手段が採用されているが、大気汚染や水質汚染等の発生があり、ポンプへの供給水量、排水量も多くてランニングコストも増大するものであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのため、キャビテーションが発生することなく、運転大気汚染や水質汚染を防止し、排水量を低減できて、ランニングコスト等を低減することが課題であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記のような点に鑑みたもので、上記の課題を解決するために、封止液を装填した封止液タンクに封止液を循環可能に循環ポンプを接続するとともに、上記循環ポンプの吐出側にエゼクターを接続してエゼクターによる真空装置を形成したことを特徴とする液封によるエゼクター利用の真空装置を提供するにある。
【0007】
また、エゼクターによる真空度を0.09MPa以上のものとしたことを特徴とする液封によるエゼクター利用の真空装置を提供するにある。
【0008】
さらに、エゼクターに排ガス処理装置や半導体ウエーハの洗浄装置等の被処理装置を接続し、封止液タンクにこれらの処理液と同一状の封止液を装填して処理液を回収するようにしたことを特徴とする液封によるエゼクター利用の真空装置を提供するにある。
【0009】
またさらに、封止液を装填した封止液タンクに封止液を循環可能に循環ポンプを接続し、上記循環ポンプのと吐出側にエゼクターを配設してエゼクターから真空吸入することを特徴とする液封によるエゼクター利用の真空方法を提供するにある。
【発明の効果】
【0010】
本発明の液封によるエゼクター利用の真空装置にあっては、特許請求の範囲の請求項1のように、封止液を装填した封止液タンクに封止液を循環可能に循環ポンプを接続するとともに、上記循環ポンプの吐出側にエゼクターを接続してエゼクターによる真空装置を形成したことによって、キャビテーションの発生もなく、大気汚染や水質汚染を防止し、排水量を低減できて真空吸引でき、ランニングコスト等を低減することができる。
【0011】
また、本願は、請求項2のように、エゼクターによる真空度を0.09MPa以上のものとしたことによって、キャビテーションの発生もなく、上記のようにして高真空度に吸引することができる。
【0012】
さらに、本願は、請求項3のように、エゼクターに排ガス処理装置や半導体ウエーハの洗浄装置等の被処理装置を接続して、封止液タンクにこれらの処理液と同一状の封止液を装填して処理液を回収するようにしたことによって、上記のように排ガスによる汚染液排出の汚染防止や溶剤回収することができる。
【0013】
またさらに、本願は、請求項4のように、封止液を装填した封止液タンクに封止液を循環可能に循環ポンプを接続し、上記循環ポンプの吐出側にエゼクターを配設してエゼクターから真空吸入することによって、上記のように大気汚染や水質汚染を防止し、排水量を低減できて真空吸引でき、ランニングコスト等を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】同上の排ガス処理に利用した概要説明用系統図、
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の液封によるエゼクター利用の真空装置および真空方法は、封止液を装填した封止液タンクに封止液を循環可能に循環ポンプを接続するとともに、上記循環ポンプの吐出側にエゼクターを接続してエゼクターから真空吸入することを特徴としている。
【0016】
エゼクター利用の真空装置1は、
図1のように封止液2を装填する封止液タンク3に循環ポンプ4を接続し、その循環ポンプ4の吐出側にエゼクター5を接続して封止液2を循環送給自在とし、エゼクター5から液体を吸入して所要の真空状態を形成できるようにしている。
【0017】
封止液タンク3は、100〜1000リットル等の所定容量のものにでき、水や有機溶剤等の封止液2を装填し、
図1のように冷却管6を配設し、冷却水を通水して封止液2を冷却可能としている。
【0018】
上記封止液タンク3には、レベルセンサー7や圧力センサー8を設けて封止液2の真空装填状態等を管理制御するとともに、封止液2が増えた場合には排出管9を介して回収タンク等へ排出できるようにしている。
【0019】
循環ポンプ4には、100〜500リットル/分の所要容量の遠心ポンプや渦巻ポンプ等の汎用の加圧型ポンプを利用でき、キャビテーションが発生することなく駆動できる。
【0020】
その吐出側のエゼクター5には、その後部側にラッパ状に急拡大した側部の吸入口10から所要液を吸引して封止液2に高速流入するようにして、0.09MPa以下の高真空度とすることができる。
【0021】
図2は、本発明の応用例を示すもので、上記した真空装置1のエゼクター5の吸入口10に、半導体のウエーハの洗浄槽や排ガス処理装置の蒸発器、溶剤洗浄装置の洗浄槽等の被処理装置11を接続し、当該被処理装置11から発生する加工液や溶剤等の蒸気を凝縮器12で凝縮して液化した処理液を流入するように配管接続したものである。
【0022】
上記被処理装置11は、当該真空装置1で循環ポンプ4を運転することで、キャビテーションの発生がなく、循環ポンプ4の供給量、排出量も低減でき、0.09MPaの高真空度に吸引が可能であり、また封止液2を処理液と同一性状のものとして回収再生したりすることができる。
【0023】
図3では、真空装置1に被処理装置11を2基以上配設してその処理量に応じて1基または2基以上を使用するようにしたものである。被処理装置11は、図のように同一容量の、たとえば50〜100リットルの小容量のものを2基並設して、装填する液体を所定の真空状態の減圧状態として蒸発し、凝縮器12で凝縮して、上記のように真空装置1のエゼクター5に流入するようにしている。
【0024】
上記被処理装置11を50〜100リットルの小容量の同一のものとするのは、200リットル以上の大容量のものを1基設置して処理するよりも、需要者の処理量に対応して適宜に1基または2基を使用して処理する方がトータル的に装置を安価で、ランニングコストを低減することできると考えられるからである。
【0025】
また、上記被処理装置11から凝縮器12への蒸気排出管13は、被処理装置11に口径、長さ、接続状態等をそれぞれ同一状に配管して蒸気が流れる状態を同一状とし、真空ポンプ4で減圧状態下で蒸気を吸引しても、蒸気を同一の状態で凝縮器12に流出して円滑に回収できるようにしている。
【0026】
上記では、蒸気排出管13を2基の被処理装置11に左右対称状に配管接続したが、同一状に配管接続することもできる。
【実施例】
【0027】
図1は、本発明の一実施例で、エゼクター利用の真空装置1は、
図1のように封止液2を装填する封止液タンク3に遠心ポンプの循環ポンプ4を接続し、その循環ポンプ4の吐出側にエゼクター5を接続して封止液2を循環送給自在とし、エゼクター5から液体を吸入して所要の真空状態を形成できるようにしている。
【0028】
封止液タンク3は、1000リットルの容量のもので、所要の加工液や有機溶剤等の封止液2を真空状態に装填し、
図1のように冷却管6を配設し、冷却水を通水して封止液2を冷却可能としている。
【0029】
循環ポンプ4には、300リットル/分等容量の遠心ポンプの汎用の加圧型ポンプを利用できて、キャビテーションが発生することなく駆動できる。その吐出側のエゼクター5には、その後部側にラッパ状に急拡大して側部の吸入口10から所要液を吸引して封止液2に流入するようにして、0.09MPa以下の高真空度に吸引できるようにしている。
【0030】
本発明の液封によるエゼクター利用の真空装置にあっては、汎用の加圧型ポンプなので、キャビテーションが発生することなく、循環ポンプ4で封止液2を循環するので、汚染液排出等による大気汚染や水質汚染を防止し、排水量を低減できて真空吸引でき、ランニングコスト等を低減することができ、エゼクター5による真空度を0.09MPa以上に吸引することができる。
【0031】
図2は、本発明の応用例を示すもので、上記した真空装置1のエゼクター5の吸入口10に、半導体のウエーハの洗浄槽の被処理装置11を接続し、当該被処理装置11から発生する所要の加工液の蒸気を凝縮器12で凝縮して液化した処理液を流入するように配管接続したものである。
【0032】
上記被処理装置11は、当該真空装置1で循環ポンプ4を運転することで、キャビテーションの発生がなく、0.09MPaの高真空度に吸引が可能であり、また封止液2を処理液と同一性状の封止液2を装填して処理液を回収して、汚染液排出等による大気汚染や水質汚染を防止や排水量を低減できる。
【0033】
図3は、本発明のさらに他の廃溶剤回収の被処理装置の応用例を示すもので、上記した真空装置1に同一容量の、100リットルの小容量の2基を左右対称状に配設し、その処理量に応じて1基または2基を使用し、装填する廃溶剤の液体を所定の真空状態として蒸発し、凝縮器12で凝縮して、真空装置1のエゼクター5に吸引流入して同一状の有機溶剤の封止液2を装填した封止液タンク3に回収するようにしたものである。
【0034】
上記被処理装置11が100リットルの小容量の同一のものなので、需要者の処理量に対応して適宜に1基または2基を使用してトータル的に装置を安価で、ランニングコストを低減することできる。
【0035】
また、上記被処理装置11から凝縮器12への蒸気排出管13は、2基の被処理装置11に口径、長さ、接続状態等を同一状に配管して蒸気が流れる状態を同一状とし、真空ポンプ4で減圧状態下で蒸気を吸引しても、蒸気を同一の状態で凝縮器12に流出して円滑に流出することができる。
【0036】
このようにエゼクター利用の真空装置1は、
図1のように封止液2を装填する封止液タンク3に循環ポンプ4を接続し、その循環ポンプ4の吐出側にエゼクター5を接続して封止液2を循環送給自在とし、エゼクター5から液体を吸入して所要の高真空状態を形成できる。循環ポンプ4には、所要容量の遠心ポンプ等の汎用の加圧型ポンプを利用でき、キャビテーションが発生することなく駆動できる。
【0037】
上記では、封止液2に加工液や有機溶剤について説明したが、その他本発明の趣旨にもとづいて、あらゆる液体も利用可能であり、半導体のウエーハの洗浄槽や排ガス処理装置の蒸発器、溶剤洗浄装置の洗浄槽等の被処理装置11の他、本発明の趣旨にもとづいて真空状態として利用できる装置に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、真空分野における液封によるエゼクター利用の真空装置および方法に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1…真空装置 2…封止液 3…封止液タンク 4…循環ポンプ
5…エゼクター 10…吸入口 11…被処理装置
【手続補正書】
【提出日】2018年6月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
封止液を装填した封止液タンクに封止液を循環可能に循環ポンプを接続するとともに、上記循環ポンプの吐出側にエゼクターを接続してエゼクターによる真空装置を形成し、
上記エゼクターに排ガス処理装置や半導体ウエーハの洗浄装置、廃溶剤回収等の被処理装置を接続し、封止液タンクにこれらの処理液と同一状の封止液を装填して処理液を回収するようにしたことを特徴とする液封によるエゼクター利用の真空装置。
【請求項2】
エゼクターによる真空度を0.09MPa以上のものとしたことを特徴とする請求項1に記載の液封によるエゼクター利用の真空装置。
【請求項3】
真空装置に同一容量の小容量の被処理装置を2基以上配設して、その処理量に応じて1基または2基以上を使用するようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の液封によるエゼクター利用の真空装置。
【請求項4】
封止液を装填した封止液タンクに封止液を循環可能に循環ポンプを接続し、上記循環ポンプの吐出側にエゼクターを配設してエゼクターから真空吸入するようにし、
上記エゼクターに排ガス処理装置や半導体ウエーハの洗浄装置、廃溶剤回収等の被処理装置を接続し、封止液タンクにこれらの処理液と同一状の封止液を装填して処理液を回収することを特徴とする液封によるエゼクター利用の真空方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空分野における液封によるエゼクター利用の真空装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
真空化学装置での濃縮、蒸留、蒸発、冷却、乾燥等や真空排気装置での真空鋳造、真空含浸、真空成形等、紙パルプ工業での脱気、脱水等においては、真空状態下で処理するために水封式真空ポンプが利用されている。
【0003】
しかし、水封式真空ポンプをそのままの状態で運転すると、0.07MPa位の低真空値でキャビテーションが発生し、運転が不能になる。
【0004】
そこで、水封式真空ポンプの誘引口にガスエゼクターを接続して吸引する手段が採用されているが、大気汚染や水質汚染等の発生があり、ポンプへの供給水量、排水量も多くてランニングコストも増大するものであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのため、キャビテーションが発生することなく、運転大気汚染や水質汚染を防止し、排水量を低減できて、ランニングコスト等を低減することが課題であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記のような点に鑑みたもので、上記の課題を解決するために、封止液を装填した封止液タンクに封止液を循環可能に循環ポンプを接続するとともに、上記循環ポンプの吐出側にエゼクターを接続してエゼクターによる真空装置を形成し
、上記エゼクターに排ガス処理装置や半導体ウエーハの洗浄装置、廃溶剤回収等の被処理装置を接続し、封止液タンクにこれらの処理液と同一状の封止液を装填して処理液を回収するようにしたことを特徴とする液封によるエゼクター利用の真空装置を提供するにある。
【0007】
また、エゼクターによる真空度を0.09MPa以上のものとしたことを特徴とする液封によるエゼクター利用の真空装置を提供するにある。
【0008】
さらに、
真空装置に同一容量の小容量の被処理装置を2基以上配設して、その処理量に応じて1基または2基以上を使用するようにしたことを特徴とする液封によるエゼクター利用の真空装置を提供するにある。
【0009】
またさらに、封止液を装填した封止液タンクに封止液を循環可能に循環ポンプを接続し、上記循環ポンプ
の吐出側にエゼクターを配設してエゼクターから真空吸入する
ようにし、上記エゼクターに排ガス処理装置や半導体ウエーハの洗浄装置、廃溶剤回収等の被処理装置を接続し、封止液タンクにこれらの処理液と同一状の封止液を装填して処理液を回収することを特徴とする液封によるエゼクター利用の真空方法を提供するにある。
【発明の効果】
【0010】
本発明の液封によるエゼクター利用の真空装置にあっては、特許請求の範囲の請求項1のように、封止液を装填した封止液タンクに封止液を循環可能に循環ポンプを接続するとともに、上記循環ポンプの吐出側にエゼクターを接続してエゼクターによる真空装置を形成したことによって、キャビテーションの発生もなく、大気汚染や水質汚染を防止し、排水量を低減できて真空吸引でき、ランニングコスト等を低減することができる。
そして、上記エゼクターに排ガス処理装置や半導体ウエーハの洗浄装置、廃溶剤回収等の被処理装置を接続して、封止液タンクにこれらの処理液と同一状の封止液を装填して処理液を回収するようにしたことによって、上記エゼクターを介して排ガスによる汚染液排出の汚染防止や溶剤回収することができる。
【0011】
また、本願は、請求項2のように、エゼクターによる真空度を0.09MPa以上のものとしたことによって、キャビテーションの発生もなく、上記のようにして高真空度に吸引することができる。
【0012】
さらに、本願は、請求項3のように、
真空装置に同一容量の小容量の被処理装置を2基以上配設して、その処理量に応じて1基または2基以上を使用するようにしたことによって、
200リットル以上の大容量のものを1基設置して処理するよりも、需要者の処理量に対応して適宜に1基または2基以上を使用して処理する方がトータル的に装置を安価で、ランニングコストを低減することでき、上記のように排ガスによる汚染液排出の汚染防止や溶剤回収することができる。
【0013】
またさらに、本願は、請求項4のように、封止液を装填した封止液タンクに封止液を循環可能に循環ポンプを接続し、上記循環ポンプの吐出側にエゼクターを配設してエゼクターから真空吸入することによって、上記のように大気汚染や水質汚染を防止し、排水量を低減できて真空吸引でき、ランニングコスト等を低減することができ
、さらに上記エゼクターに排ガス処理装置や半導体ウエーハの洗浄装置、廃溶剤回収等の被処理装置を接続して、封止液タンクにこれらの処理液と同一状の封止液を装填して処理液を回収するようにしたことによって、上記のように排ガスによる汚染液排出の汚染防止や溶剤回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】同上の排ガス処理に利用した概要説明用系統図、
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の液封によるエゼクター利用の真空装置および真空方法は、封止液を装填した封止液タンクに封止液を循環可能に循環ポンプを接続するとともに、上記循環ポンプの吐出側にエゼクターを接続してエゼクターから真空吸入
し、上記エゼクターに排ガス処理装置や半導体ウエーハの洗浄装置、廃溶剤回収等の被処理装置を接続して、封止液タンクにこれらの処理液と同一状の封止液を装填して処理液を回収することを特徴としている。
【0016】
エゼクター利用の真空装置1は、
図1のように封止液2を装填する封止液タンク3に循環ポンプ4を接続し、その循環ポンプ4の吐出側にエゼクター5を接続して封止液2を循環送給自在とし、エゼクター5から液体を吸入して所要の真空状態を形成できるようにしている。
【0017】
封止液タンク3は、100〜1000リットル等の所定容量のものにでき、水や有機溶剤等の封止液2を装填し、
図1のように冷却管6を配設し、冷却水を通水して封止液2を冷却可能としている。
【0018】
上記封止液タンク3には、レベルセンサー7や圧力センサー8を設けて封止液2の真空装填状態等を管理制御するとともに、封止液2が増えた場合には排出管9を介して回収タンク等へ排出できるようにしている。
【0019】
循環ポンプ4には、100〜500リットル/分の所要容量の遠心ポンプや渦巻ポンプ等の汎用の加圧型ポンプを利用でき、キャビテーションが発生することなく駆動できる。
【0020】
その吐出側のエゼクター5には、その後部側にラッパ状に急拡大した側部の吸入口10から所要液を吸引して封止液2に高速流入するようにして、0.09MPa以下の高真空度とすることができる。
【0021】
そして、図2のように、上記した真空装置1のエゼクター5の吸入口10に、半導体のウエーハの洗浄槽や排ガス処理装置の蒸発器、溶剤洗浄装置の洗浄槽等の被処理装置11を接続し、当該被処理装置11から発生する加工液や溶剤等の蒸気を凝縮器12で凝縮して液化した処理液を流入するように配管接続したものである。
【0022】
上記被処理装置11は、当該真空装置1で循環ポンプ4を運転することで、キャビテーションの発生がなく、循環ポンプ4の供給量、排出量も低減でき、0.09MPaの高真空度に吸引が可能であり、また封止液2を処理液と同一性状のものとして回収再生したりすることができる。
【0023】
図3では、真空装置1に被処理装置11を2基以上配設してその処理量に応じて1基または2基以上を使用するようにしたものである。被処理装置11は、図のように同一容量の、たとえば50〜100リットルの小容量のものを2基並設して、装填する液体を所定の真空状態の減圧状態として蒸発し、凝縮器12で凝縮して、上記のように真空装置1のエゼクター5に流入するようにしている。
【0024】
上記被処理装置11を50〜100リットルの小容量の同一のものとするのは、200リットル以上の大容量のものを1基設置して処理するよりも、需要者の処理量に対応して適宜に1基または2基を使用して処理する方がトータル的に装置を安価で、ランニングコストを低減することできると考えられるからである。
【0025】
また、上記被処理装置11から凝縮器12への蒸気排出管13は、被処理装置11に口径、長さ、接続状態等をそれぞれ同一状に配管して蒸気が流れる状態を同一状とし、真空ポンプ4で減圧状態下で蒸気を吸引しても、蒸気を同一の状態で凝縮器12に流出して円滑に回収できるようにしている。
【0026】
上記では、蒸気排出管13を2基の被処理装置11に左右対称状に配管接続したが、同一状に配管接続することもできる。
【実施例】
【0027】
図1は、本発明の一実施例で、エゼクター利用の真空装置1は、
図1のように封止液2を装填する封止液タンク3に遠心ポンプの循環ポンプ4を接続し、その循環ポンプ4の吐出側にエゼクター5を接続して封止液2を循環送給自在とし、エゼクター5から液体を吸入して所要の真空状態を形成できるようにしている。
【0028】
封止液タンク3は、1000リットルの容量のもので、所要の加工液や有機溶剤等の封止液2を真空状態に装填し、
図1のように冷却管6を配設し、冷却水を通水して封止液2を冷却可能としている。
【0029】
循環ポンプ4には、300リットル/分等容量の遠心ポンプの汎用の加圧型ポンプを利用できて、キャビテーションが発生することなく駆動できる。その吐出側のエゼクター5には、その後部側にラッパ状に急拡大して側部の吸入口10から所要液を吸引して封止液2に流入するようにして、0.09MPa以下の高真空度に吸引できるようにしている。
【0030】
本発明の液封によるエゼクター利用の真空装置にあっては、汎用の加圧型ポンプなので、キャビテーションが発生することなく、循環ポンプ4で封止液2を循環するので、汚染液排出等による大気汚染や水質汚染を防止し、排水量を低減できて真空吸引でき、ランニングコスト等を低減することができ、エゼクター5による真空度を0.09MPa以上に吸引することができる。
【0031】
そして、図2のように、上記した真空装置1のエゼクター5の吸入口10に、半導体のウエーハの洗浄槽の被処理装置11を接続し、当該被処理装置11から発生する所要の加工液の蒸気を凝縮器12で凝縮して液化した処理液を流入するように配管接続したものである。
【0032】
上記被処理装置11は、当該真空装置1で循環ポンプ4を運転することで、キャビテーションの発生がなく、0.09MPaの高真空度に吸引が可能であり、また封止液2を処理液と同一性状の封止液2を装填して処理液を回収して、汚染液排出等による大気汚染や水質汚染を防止や排水量を低減できる。
【0033】
図3は、本発明
の他の廃溶剤回収の被処理装置の応用例を示すもので、上記した真空装置1に同一容量の、100リットルの小容量の2基を左右対称状に配設し、その処理量に応じて1基または2基を使用し、装填する廃溶剤の液体を所定の真空状態として蒸発し、凝縮器12で凝縮して、真空装置1のエゼクター5に吸引流入して同一状の有機溶剤の封止液2を装填した封止液タンク3に回収するようにしたものである。
【0034】
上記被処理装置11が100リットルの小容量の同一のものなので、需要者の処理量に対応して適宜に1基または2基を使用してトータル的に装置を安価で、ランニングコストを低減することできる。
【0035】
また、上記被処理装置11から凝縮器12への蒸気排出管13は、2基の被処理装置11に口径、長さ、接続状態等を同一状に配管して蒸気が流れる状態を同一状とし、真空ポンプ4で減圧状態下で蒸気を吸引しても、蒸気を同一の状態で凝縮器12に流出して円滑に流出することができる。
【0036】
このようにエゼクター利用の真空装置1
は、封止液2を装填する封止液タンク3に循環ポンプ4を接続し、その循環ポンプ4の吐出側にエゼクター5を接続して封止液2を循環送給自在とし、エゼクター5から液体を吸入して所要の高真空状態を形成できる。循環ポンプ4には、所要容量の遠心ポンプ等の汎用の加圧型ポンプを利用でき、キャビテーションが発生することなく駆動できる。
そして、上記エゼクターに排ガス処理装置や半導体ウエーハの洗浄装置、廃溶剤回収等の被処理装置を接続して、封止液タンクにこれらの処理液と同一状の封止液を装填して処理液を回収するようにしたことによって、排ガスによる汚染液排出の汚染防止や溶剤回収することができる。なお、循環ポンプ4には、所要容量の遠心ポンプ等の汎用の加圧型ポンプを利用でき、キャビテーションが発生することなく駆動できる。
【0037】
上記では、封止液2に加工液や有機溶剤について説明したが、その他本発明の趣旨にもとづいて、あらゆる液体も利用可能であり、半導体のウエーハの洗浄槽や排ガス処理装置の蒸発器、溶剤洗浄装置の洗浄槽等の被処理装置11の他、本発明の趣旨にもとづいて真空状態として利用できる装置に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、真空分野における液封によるエゼクター利用の真空装置および方法に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1…真空装置 2…封止液 3…封止液タンク 4…循環ポンプ
5…エゼクター 10…吸入口 11…被処理装置