【解決手段】1台又は複数台のボイラ20からなるボイラシステム1であって、ボイラ20の状態が予め設定された所定の条件を満たす場合に、ボイラ本体21内のボイラ水を外部に排出する全ブローを実行するように制御する自動ブロー制御部43と、自動ブロー制御部43の制御によりボイラ20の全ブローが実行される場合に、ボイラ20について、少なくとも、安全回路に関する診断と、火炎検知に関する診断と、水位検知に関する診断と、を含む自己診断を行うように制御する安全システム確認部44と、を備えるボイラシステム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係るボイラシステム1について
図1を参照しながら説明する。
図1は、ボイラシステム1の概略を示す図である。
【0013】
図1に示すように、ボイラシステム1は、複数(5台)のボイラ20を含むボイラ群2と、ボイラ20において生成された蒸気を集合させる蒸気集合部としての蒸気ヘッダ6と、蒸気圧測定手段としての蒸気圧センサ7と、台数制御手段としての台数制御装置3と、を備える。
ボイラ群2は、負荷機器としての蒸気使用設備18に供給する蒸気を生成する。
【0014】
蒸気ヘッダ6の上流側は、蒸気管11を介してボイラ群2(各ボイラ20)に接続されている。蒸気ヘッダ6の下流側は、蒸気管12を介して蒸気使用設備18に接続されている。蒸気ヘッダ6は、ボイラ群2で発生させた蒸気を集合させて貯留することにより各ボイラ20の相互の圧力差及び圧力変動を調整し、圧力が調整された蒸気を蒸気使用設備18に供給するようになっている。
【0015】
蒸気圧センサ7は、信号線13を介して、台数制御装置3に電気的に接続されている。蒸気圧センサ7は、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧(ボイラ群2で発生した蒸気の圧力)を測定し、測定した蒸気圧に係る信号(蒸気圧信号)を、信号線13を介して台数制御装置3に送信する。
【0016】
ボイラシステム1は、ボイラ群2で発生させた蒸気を、蒸気ヘッダ6を介して、蒸気によって運転される蒸気使用設備18に供給可能とされている。
ボイラシステム1において要求される負荷(要求負荷)は、蒸気使用設備18における蒸気消費量である。台数制御時においては、この蒸気消費量に対応して生じる蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧の変動を、蒸気圧センサ7が測定する蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧(物理量)に基づいて算出し、ボイラ群2を構成する各ボイラ20の燃焼量を制御する。
【0017】
蒸気使用設備18の需要の増大により要求負荷が増加し、供給蒸気量が不足すれば、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧が減少することになる。一方、蒸気使用設備18の需要の低下により要求負荷が減少し、供給蒸気量が過剰になれば、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧が増加することになる。このため、蒸気圧センサ7からの蒸気圧信号により要求負荷の変動をモニターすることができる。ボイラシステム1は、この蒸気圧に基づいて蒸気使用設備18の消費蒸気量(要求負荷)に応じた目標蒸気量を算出するようになっている。
【0018】
台数制御装置3は、制御部4と記憶部5とを備える。台数制御装置3は、ボイラ群2の燃焼制御に関して、例えば、記憶部5に記憶される設定条件(ボイラの優先順位等)を変更することができる。なお、設定条件の設定及び変更は、その全部又は一部を手動で行ってもよく、あるいは、その全部又は一部を自動で行ってもよい。
【0019】
ボイラ20は、複数の段階的な燃焼位置で燃焼可能な段階値制御ボイラ又は連続制御ボイラである。段階値制御ボイラとは、燃焼を選択的にオン/オフしたり、炎の大きさを調整したりすること等により燃焼量を制御して、選択された燃焼位置に応じて燃焼量を段階的に増減可能なボイラである。より具体的には、段階値制御ボイラとは、N(≧3)を任意の整数として、N位置制御すなわち、段階値制御ボイラの燃焼量を、燃焼停止状態を含めてN位置に段階的に制御可能なボイラ20である。
【0020】
なお、5台のボイラ20を段階値制御ボイラとした場合、各ボイラ20においては、それぞれ、各燃焼位置における燃焼量及び燃焼能力(高燃焼状態における燃焼量)は、等しく設定されていてもよく、あるいは、異なって設定されていてもよい。
【0021】
また、ボイラ20を段階値制御ボイラに換えて、連続制御ボイラとすることもできる。ここで、連続制御ボイラとは、燃焼率を連続的に変更して燃焼可能な連続制御ボイラである。例えば、少なくとも、最小燃焼状態S1(例えば、最大燃焼率の20%の燃焼量における燃焼状態)から最大燃焼状態S2の範囲で、燃焼量が連続的に制御可能とされているボイラである。連続制御ボイラは、例えば、燃料をバーナに供給するバルブや、燃焼用空気を供給するバルブの開度(燃焼比)を制御することにより、燃焼量を調整するようになっている。
【0022】
連続制御ボイラは、連続制御ボイラの燃焼停止状態S0と最小燃焼状態S1との間の燃焼状態の変更については、連続制御ボイラ(バーナ)の燃焼をオン/オフすることで制御される。そして、最小燃焼状態S1から最大燃焼状態S2の範囲においては、燃焼量が連続的に制御可能となっている。
なお、燃焼量を連続的に制御するとは、後述のローカル制御部における演算や信号がデジタル方式とされて段階的に取り扱われる場合(例えば、連続制御ボイラの出力(燃焼量)が1%刻みで制御される場合)であっても、事実上連続的に出力を制御可能な場合を含む。
【0023】
複数のボイラ20には、それぞれ優先順位が設定されている。優先順位は、燃焼指示や燃焼停止指示等を行うボイラ20を選択するために用いられる。優先順位は、例えば整数値を用いて、数値が小さいほど優先順位が高くなるよう設定することができる。優先順位は、通常の場合、制御部4の制御により、所定の時間間隔(例えば、24時間間隔)で変更される。
台数制御装置3は、強制的に優先順位どおりに各ボイラ20を燃焼させるのではなく、負荷変動に伴い、優先順位に従って、優先順位の高いボイラ20を燃焼させ、優先順位の低いボイラ20を燃焼停止させることで、自然に優先順位どおりに燃焼ボイラを入れ替える、最適燃焼移行制御機能を備える。
【0024】
複数のボイラ20のそれぞれは、信号線16を介して台数制御装置3と電気的に接続され、台数制御装置3の制御により燃焼位置(燃焼状態)が制御される。また、複数のボイラ20のそれぞれは、運転者の操作により又は自動的に台数制御装置3の制御から切り離すことができる。
【0025】
以上のように構成されたボイラシステム1では、ボイラ群2で発生させた蒸気が、蒸気ヘッダ6を介して蒸気使用設備18に供給される。
【0026】
以上説明したボイラ20は、
図2に示すように、燃焼が行われるボイラ本体21と、ボイラ20の燃焼位置又は燃焼状態を制御するローカル制御部22と、を有する。
また、ボイラ20は、燃料供給ライン23と、空気供給ライン24と、気水ライン25と、給水ライン26と、ブローライン27と、を主要なラインとして備え、燃料供給ライン23には燃料弁23aが、空気供給ライン24には送風機24aが、給水ライン26には給水ポンプ26aが、ブローライン27にはブロー弁27aが、それぞれ設けられる。なお、本明細書における「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
【0027】
<ボイラ本体21>
ボイラ本体21は、複数の水管211と、上部ヘッダ211aと、下部ヘッダ211bと、水位検知部212と、バーナ213と、火炎検知装置213aと、安全回路(図示せず)と、を備える。また、ボイラ本体21には、水管211の水を加熱するための燃焼室(図示せず)が形成される。
【0028】
<水位検知部212>
水位検知部212は、例えば互いに長さの異なる3つの電極棒212aと、これらの電極棒212aが配設される容器状の検知部本体212bと、を備える。検知部本体212bは、上部連結管を介して上部ヘッダ211aに接続され、下部連結管を介して下部ヘッダ211bに接続される。これにより、検知部本体212bと水管211とは互いに連通させられているとともに、検知部本体212b内の水位が水管211内の水位に略一致するようになっている。
また、3つの電極棒212aは、それぞれの先端(下端)が上下方向に互いに間隔をあけて配置されており、検知部本体212b内の水位を段階的に検出可能に構成されている。
これら電極棒のうち、最も長さが長いL棒212Lの先端は検知部本体内の下側部分に配置されている。L棒の先端が位置する設定水位を下限水位という。ボイラ運転中に検知部本体212b内の水位が下限水位より低い状態(低水位)となった場合に、ボイラの運転を停止させる。また、下限水位は、プレパージ開始水位となっている。
仮に、水位が下限水位より低い状態となっている場合に低水位の出力がなされない場合には、水位が低水位にあるにも関わらず、ボイラの運転が継続される状態(いわゆる空焚き状態)になり、非常に危険であるため、水位が実際に下限水位より低い状態となっている場合に低水位の出力が行われることを確認する必要がある。以下、水位が下限水位より低い状態となっている場合に低水位の出力が行われることのセルフチェックをL棒診断ともいう。
最も長さが短いS棒212Sの先端は、検知部本体212b内の上側部分に配置されている。S棒の先端が位置する設定水位は、起動初期水位(所定水位)及び低燃焼水位となる。
また、これら電極棒212aのうち、L棒より短くS棒より長いM棒212Mの先端は、L棒の先端とS棒の先端の中間に配置される。M棒の先端が位置する設定水位は、高燃焼水位となる。
なお、水位検知部212は、電極棒212aに換えて(又は加えて)水位センサを備えるようにしてもよい。水位センサは、検知部本体212b内の水位を無段階で検出可能に構成され、水管211内のボイラ水の水位を制御するために用いられる。
【0029】
<バーナ213>
バーナ213は、ボイラ本体21の燃焼室に設けられる燃焼装置である。燃料の供給源に接続される燃料供給ライン23によって燃焼に必要な燃料が供給される。燃料弁23aは、燃料供給ライン23の流路を開閉する開閉弁である。送風機24aは、空気供給ライン24を通じてバーナ213の燃焼に用いられる空気を供給する。
【0030】
<火炎検知装置213a>
火炎検知装置213aは、バーナ213の炎を検出するための装置である。火炎検知装置213aとローカル制御部22とは信号線で接続され、ローカル制御部22は、火炎検知装置213aからの信号に基づいて、燃焼を制御する。より具体的には、火炎無しの信号を受信したときには、燃料供給を停止させ、ボイラ20の燃焼を停止させることで安全を確保している。
前述したように、仮に火炎が無い状態で火炎有りとの出力がなされた場合には、火炎が無い状態で燃料を噴射し続けることとなり、非常に危険であるため、火炎検知装置213aの機能を確認するセルフチェックを行うために、火炎検知装置213aは、内蔵する遮光手段(シャッター)を作動させることにより、燃焼中に火炎が見えない状態とすることで火炎無しの出力が行われることを確認する公知の機構を備えているものとする。以下、火炎が無い状態又は燃焼中に火炎装置内蔵シャッターを閉じて火炎が見えない状態で火炎無しの出力が行われることのセルフチェックを火炎検知の自己診断ともいう。
【0031】
<安全回路>
安全回路(図示せず)は、火炎検知装置213a又は水位検知部212に異常があった場合に、ローカル制御部22における制御ソフトを介さずに、運転をハード的に遮断する回路である。これにより、ボイラシステム1の安全性を担保している。
このため、水位検知に関する自己診断を行う際に水位検知異常時に係る安全回路に関する自己診断を、また火炎検知に関する自己診断を行う際に火炎検知異常時に係る安全回路に関する自己診断を行う必要がある。以下、水位検知異常時及び火炎検知異常時に係る安全回路に関する自己診断を安全回路の自己診断ともいう。
【0032】
<ブローライン27>
一般に、ボイラを長時間運転すると、缶水が濃縮して缶底にスラッジ等の堆積物が溜まり、蒸気の乾き度の低下やバルブ等の関連機器の損傷を招く。このため、例えば、ボイラの燃焼時間を、100%燃焼として換算した時間が所定の時間に到達した場合及び/又はボイラが燃焼開始してからの経過時間の積算値が所定の時間に到達した場合には、当該ボイラ20の運転を停止して、ボイラ本体内の缶水の全量を外部に排出する全ブロー処理を行う必要がある。そうすることで、ボイラ本体内の全てのスラッジ等を排出することが可能になる。
このため、下部ヘッダ211bには、缶水を排水可能なブローライン27が接続されている。ブローライン27には、ブロー弁27aが設けられており、ローカル制御部22とは信号線で接続される。ブロー弁27aを全量又は所定量開弁させることで、ボイラ本体21内から缶水を排出させる。
【0033】
<ローカル制御部22>
次にローカル制御部22の詳細な構成について説明する。
図3は、ローカル制御部22の機能構成を示すブロック図である。
ローカル制御部22は、ボイラ20を制御し、要求負荷に応じて燃焼位置又は燃焼状態を変更させることが可能とされている。ローカル制御部22は、台数制御時には、台数制御装置3による台数制御信号に基づいてボイラ20を制御し、一方、ローカル制御時には、ボイラ20を直接制御する。
【0034】
ボイラ20の機能安全に関係する安全システム(安全回路、火炎検知機能、及び水位検知機能)の確認テストを行うために、ローカル制御部22は、
図3に示すように、ローカル燃焼量積算部221と、ローカル経過時間積算部222と、ローカル自動ブロー制御部223と、火炎検知診断部224と、低水位検知のL棒に関する診断を行うL棒診断部225と、安全回路診断部226と、ローカル安全システム確認部227と、を備える。
【0035】
ローカル燃焼量積算部221は、ボイラ20の直近の全ブロー完了後の燃焼開始時点からの燃焼量に関する指標値を積算する。より具体的には、ローカル燃焼量積算部221は、ボイラ20の直近の全ブロー完了後から実行される燃焼開始−燃焼停止のサイクル(「燃焼サイクル」ともいう)における燃焼量に関する指標値を燃焼サイクルの度に積算する。そうすることで、ローカル燃焼量積算部221は、ボイラ20の直近の全ブロー完了後の燃焼開始時点から現時点までの積算された燃焼量を算出する。指標値としては、例えばボイラ20の燃焼時間を100%燃焼として換算した時間を採用してもよい。また、ボイラ20の燃焼量そのものを指標値として採用してもよい。
【0036】
ローカル経過時間積算部222は、ボイラ20の直近の全ブロー完了後の燃焼開始時点からの経過時間を積算する。より具体的には、ローカル経過時間積算部222は、ボイラ20の直近の全ブロー完了後から実行される燃焼サイクルにおける燃焼開始時点からの(燃焼停止時間を除く)燃焼時間を積算した経過時間を燃焼サイクルの度に積算する。そうすることで、ローカル経過時間積算部222は、ボイラ20の直近の全ブロー完了後の燃焼開始時点から現時点までの積算された燃焼時間を算出する。
【0037】
ローカル自動ブロー制御部223は、ローカル燃焼量積算部221により積算されるボイラ20の燃焼量に関する指標値の積算値が予め当該ボイラ20に設定された第1閾値を超える場合、及び/又はローカル経過時間積算部222により積算される当該ボイラ20の経過時間積算値が予め当該ボイラ20に設定された第2閾値を超える場合、当該ボイラ20の全ブロー処理を自動的に又はオペレータからの指示に応答して、実行(「自動ブロー」という)するように制御することができる。
【0038】
ローカル自動ブロー制御部223は、ローカル燃焼量積算部221により積算されるボイラ20の燃焼量に関する指標値の積算値が予め当該ボイラ20に設定された第1閾値を超える状態、及び/又はローカル経過時間積算部222により積算される当該ボイラ20の経過時間積算値が予め当該ボイラ20に設定された第2閾値を超える状態(「ブロー報知アラーム」ともいう)であるか否かを判定し、ブロー報知アラームを判定した場合、台数制御装置3に通知するようにしてもよい。また、例えば、ランプ(図示せず)を点灯させたり又は表示部(図示せず)にメッセージを表示するようにしてもよい。そうすることで、オペレータに対して、当該ボイラ20が全ブローを必要とする時期に達していることを知らせることができる。そうすることで、ローカル自動ブロー制御部223は、オペレータからの指示に応答して、全ブロー処理を行うようにしてもよい。
【0039】
火炎検知診断部224は、火炎検知装置213aが、少なくともボイラ20の燃焼中に、火炎検知装置内蔵シャッターを作動させて火炎が見えない状態にして火炎無しを検知することを自己診断する。さらに、火炎検知診断部224は、ボイラ20の燃焼中の場合に火炎有りを検知することを自己診断してもよい。こうすることで、火炎検知診断部224は、火炎検知装置213aの健全性を自己診断することができる。
【0040】
L棒診断部225は、水位検知部212が少なくともボイラ本体内の水管211の水位が下限水位より低い状態にある場合(例えば、ボイラ本体内の缶水の全量を外部に排出する全ブロー後に所定量の給水がなされるまでの間)に低水位を検知することを自己診断する。こうすることで、L棒診断部225は、水位検知部212(特にL棒)の健全性を自己診断することができる。
【0041】
安全回路診断部226は、火炎検知装置213a又は水位検知部212に異常があった場合に、安全回路が、ローカル制御部22における制御ソフトを介さずに、運転をハード的に遮断することができることを自己診断する。こうすることで、安全回路診断部226は、安全回路の健全性を自己診断することができる。
【0042】
ローカル安全システム確認部227は、ローカル自動ブロー制御部223の制御、又はローカル自動ブロー制御部223のブロー報知アラームに応答したオペレータからの指示によりボイラ20の全ブローが実行された場合、当該ボイラ本体内のボイラ水(缶水)の全量を外部に排出した後、当該ボイラ本体内に新たに給水する際に、自動的に又はオペレータからの指示に応答してL棒診断部225に対して水位検知に関する自己診断を行うように制御することができる。その際、ローカル安全システム確認部227は、自動的に又はオペレータからの指示に応答して安全回路診断部226に対して水位検知異常時に係る安全回路に関する自己診断を行うように制御することができる。
また、ローカル安全システム確認部227は、当該ボイラの全ブロー完了後、当該ボイラが起蒸指示される際に、火炎検知診断部224に対して火炎検知に関する自己診断を行うように制御するとともに、火炎検知異常時に係る安全回路に関する自己診断を行うように制御することができる。
こうすることで、ローカル安全システム確認部227は、ボイラ20に対して、火炎検知の自己診断、L棒診断、及び安全回路の自己診断を当該ボイラの全ブローのタイミングで実行するように制御することが可能となる。
【0043】
なお、台数制御装置3による台数制御信号に基づいて、ボイラ群2の燃焼制御がなされるボイラシステム1においては、ローカル自動ブロー制御部223及びローカル安全システム確認部227は、台数制御装置3による台数制御信号に基づいて制御される。
【0044】
次に、台数制御装置3の詳細について説明する。
台数制御装置3は、蒸気圧センサ7からの蒸気圧力信号に基づいて、要求負荷に応じたボイラ群2の必要燃焼量、及び必要燃焼量に対応する各ボイラ20の燃焼状態を算出し、各ボイラ20(ローカル制御部22)に台数制御信号を送信する。この台数制御装置3は、
図1に示すように、制御部4と、記憶部5と、を備える。
【0045】
制御部4は、信号線16を介して各ボイラ20に各種の指示を行ったり、各ボイラ20から各種のデータを受信したりして、各ボイラ20の燃焼状態や優先順位を制御する。各ボイラ20は、制御部4から燃焼状態の変更指示の信号を受けると、その指示に従って当該ボイラ20を制御する。
さらに、制御部4は、複数のボイラ20からなるボイラシステムに於いて、ボイラの運転を妨げることなく効果的且つ確実に安全システムの確認テストを行うように、各ボイラ20を制御する。
制御部4の詳細な構成については後述する。
【0046】
記憶部5は、制御部4の制御により各ボイラ20に対して行われた指示の内容や、各ボイラ20から受信した燃焼状態、各ボイラ20の直近の全ブロー完了後の燃焼開始時点から現時点に至る燃焼量に関する指標値の積算量、各ボイラ20の直近の全ブロー完了後の燃焼開始時点から現時点に至る(燃焼停止時間を除く)燃焼時間を積算した経過時間積算量等の情報、複数のボイラ20の優先順位の設定の情報(各ボイラ20の優先順位とその設定・変更時刻等)、優先順位の変更(ローテーション)に関する設定の情報、等を記憶する。前述したように、優先順位は、制御部4の制御により、所定の時間間隔(例えば、24時間間隔)で変更される。
また、記憶部5は、各ボイラ20から出力される出力蒸気量、及び各ボイラ20それぞれから出力される出力蒸気量の合計値を記憶する。
【0047】
次に制御部4の詳細な構成について説明する。
図4は、制御部4の機能構成を示すブロック図である。
1台又は複数台のボイラ20からなるボイラシステム1に於いて、ボイラ群2の運転を妨げることなく効果的且つ確実に、各ボイラ20の少なくとも火炎検知の自己診断、L棒診断、及び安全回路の自己診断を含む安全システムの確認テストを行うために、制御部4は、
図4に示すように、燃焼量積算部41と、経過時間積算部42と、自動ブロー制御部43と、安全システム確認部44と、を含んで構成される。
【0048】
<燃焼量積算部41>
燃焼量積算部41は、各ボイラ20の直近の全ブロー完了後の燃焼開始時点から現時点に至る燃焼量に関する指標値を積算した積算量を各ローカル制御部22から取得して、指標値の積算量を各ボイラ20に対応付けて、記憶部5に記録する。
【0049】
<経過時間積算部42>
経過時間積算部42は、各ボイラ20の直近の全ブロー完了後の燃焼開始時点から現時点に至る(燃焼停止時間を除く)燃焼時間を積算した経過時間積算量を各ローカル制御部22から取得して、経過時間積算量を各ボイラ20に対応付けて、記憶部5に記録する。
【0050】
<自動ブロー制御部43>
自動ブロー制御部43は、ボイラ群2に含まれるボイラ20の状態が予め設定された所定の条件を満たす場合に、当該ボイラ本体21内のボイラ水(缶水)を外部に排出する全ブローを実行するように、当該ボイラのローカル制御部22(ローカル自動ブロー制御部223)に対して指示をする。
ここで、所定の条件とは、例えば当該ボイラ20の燃焼量積算部41により当該ボイラ20の直近の全ブロー完了後の燃焼開始時点から現時点に至る積算された燃焼量に関する指標値の積算値が予め当該ボイラ20に設定された第1閾値以上又は第1閾値を超える場合(「条件1」ともいう)、及び/又は経過時間積算部42により、当該ボイラ20の直近の全ブロー完了後の燃焼開始時点から現時点に至る積算された経過時間積算値が予め当該ボイラ20に設定された第2閾値以上又は第2閾値を超える場合(「条件2」ともいう)としてもよい。なお、第1閾値及び第2閾値は、ボイラ20毎に設定することができる。
【0051】
なお、自動ブロー制御部43は、前記所定の条件(例えば条件1及び/又は条件2)を満たすボイラ20が燃焼している場合であって、かつ当該ボイラ20以外の他のボイラが全て燃焼している場合、他のボイラの燃焼量(又は燃焼率)を上げて、前記所定の条件(例えば条件1及び/又は条件2)を満たすボイラ20の燃焼量(又は燃焼率)を下げるように制御するようにしてもよい。
そうすることで、全てのボイラ20が燃焼している場合であっても、台数制御の制御下で、前記所定の条件(例えば条件1及び/又は条件2)を満たすボイラ20を、例えば最適燃焼移行制御機能により停止させて起動させる再起動を可能とすることができる。
【0052】
<安全システム確認部44>
安全システム確認部44は、自動ブロー制御部43の制御により所定の条件を満たすボイラ20の全ブローが実行される場合に、当該ボイラ20に対して、少なくとも、安全回路に関する診断と、火炎検知に関する診断と、水位検知に関する診断と、を含む自己診断を行うように、当該ボイラ20のローカル制御部22(ローカル安全システム確認部227)に対して指示をする。
より具体的には、制御部4(安全システム確認部44)の指示に応答して、ローカル制御部22(ローカル安全システム確認部227)は、当該ボイラ本体内のボイラ水(缶水)の全量が外部に排出された後、当該ボイラ本体内に新たに給水される際に、L棒診断部225に対して水位検知に関する自己診断を行うように制御するとともに、安全回路診断部226に対して水位検知異常時に係る安全回路に関する自己診断を行うように制御する。
さらに、ローカル制御部22(ローカル安全システム確認部227)は、当該ボイラが高い優先順位に変更され、台数制御装置の最適燃焼移行制御機能により当該ボイラが起蒸指示されると、火炎検知診断部224に対して火炎検知に関する自己診断を行うように制御するとともに、安全回路診断部226に対して火炎検知異常時に係る安全回路に関する自己診断を行うように制御する。
そうすることで、ボイラ20は所定の条件(例えば条件1及び/又は条件2)を満たす場合に、当該ボイラ20の全ブロー処理から燃焼起動にかけて、L棒診断、水位検知異常時に係る安全回路に関する自己診断、火炎診断、及び火炎検知異常時に係る安全回路に関する自己診断を含む安全システムの確認テスト(セルフチェック)が自動的に所定の間隔で行われることとなる。
また、安全システム確認部44は、安全システムの確認テスト(セルフチェック)が行われた日付を含む履歴情報を記憶部5に記録する。
【0053】
[制御部4の処理フロー]
次に、本実施形態における台数制御装置3(制御部4)及びローカル制御部22による制御の一連の流れについて
図5及び
図6を参照しながら説明する。
図5及び
図6は、ボイラ20(ローカル制御部22)による処理内容及び台数制御装置3(制御部4)の処理内容を示すフローチャート図である。
【0054】
まず、
図5及び
図6の左側を参照しながら、ローカル制御部22が台数制御装置3(制御部4)からの指示に基づいて、ボイラ20の自動ブロー、安全回路に関する診断と、火炎検知に関する診断と、水位検知に関する診断と、を含む自己診断を行う処理について説明する。
【0055】
ステップS100において、ローカル制御部22(ローカル燃焼量積算部221)は、ボイラ20の直近の全ブロー完了後の燃焼開始時点から現時点に至る燃焼量に関する指標値を積算して、台数制御装置3(制御部4)に通知する。
【0056】
ステップS101において、ローカル制御部22(ローカル経過時間積算部222)は、ボイラ20の直近の全ブロー完了後の燃焼開始時点から現時点に至る(燃焼停止時間を除く)燃焼時間を積算して、台数制御装置3(制御部4)に通知する。
【0057】
ステップS102において、ローカル制御部22(ローカル自動ブロー制御部223)は、ボイラ20が所定の条件を満たすか否かを判定する。例えば、ローカル燃焼量積算部221により積算されるボイラ20の燃焼量に関する指標値の積算値が予め当該ボイラ20に設定された第1閾値を超える(条件1)か、及び/又は、ローカル経過時間積算部222により積算される当該ボイラ20の経過時間積算値が予め当該ボイラ20に設定された第2閾値を超える(条件2)か、を判定する。
燃焼量に関する指標値の積算値が第1閾値を超えるか、及び/又は、経過時間積算値が第2閾値を超える場合(Yes)、ステップS103に移る。燃焼量に関する指標値の積算値及び経過時間積算値が、それぞれ第1閾値及び第2閾値を超えない場合(No)、ステップS100に移る。
【0058】
ステップS103において、ローカル制御部22は、台数制御装置3(制御部4)に対して、ブロー報知アラームを通知する。
【0059】
ステップS110において、ローカル制御部22(ローカル自動ブロー制御部223)は、台数制御装置3(制御部4)からの当該ボイラの全ブロー処理指示、又はブロー報知アラームに応答したオペレータからの指示に応答して、ボイラ20の全ブローを実行する。
【0060】
ステップS111において、ローカル制御部22(ローカル安全システム確認部227)は、当該ボイラ本体内のボイラ水(缶水)の全量を外部に排出した後、当該ボイラ本体内に新たに給水する際に、自動的に又はオペレータからの指示に応答してL棒診断部225に対して水位検知に関する自己診断(L棒診断)及び安全回路診断部226に対して水位検知異常時に係る安全回路に関する自己診断を行うように制御する。
ステップS112において、ローカル制御部22(ローカル安全システム確認部227)は、全ブロー処理、水位検知に関する自己診断、水位検知異常時に係る安全回路に関する自己診断の終了したことを台数制御装置3(制御部4)に対して通知する。
【0061】
ステップS113において、ローカル制御部22は、台数制御装置3(制御部4)からの当該ボイラの燃焼指示(起蒸指示)に応答して、起蒸動作を開始する。
より具体的には、燃焼停止ボイラは台数制御装置3(制御部4)からの当該ボイラの燃焼指示(起蒸指示)に応答して、プレパージを行ってボイラの内部に残存する燃料の未燃焼成分を除去し、プレパージが完了した後に、燃料を燃焼させて蒸気の生成を開始する。
【0062】
ステップS114において、ローカル制御部22(ローカル安全システム確認部227)は、火炎検知診断部224に対して火炎検知に関する自己診断を行うように制御するとともに、火炎検知異常時に係る安全回路に関する自己診断を行うように制御する。
【0063】
ステップS115において、ローカル制御部22(ローカル安全システム確認部227)は、安全システム(火炎検知に関する診断及び火炎検知異常に係る安全回路に関する診断)の確認テスト(セルフチェック)が終了したことを台数制御装置3(制御部4)に対して通知する。
以上、ローカル制御部22における処理について説明した。
なお、ステップS104の後(ステップS110の前)に、ローカル制御部22は、台数制御装置3(制御部4)からの燃焼指示に基づいて、所定の条件を満たすボイラ20の燃焼量(又は燃焼率)を下げる又は燃焼停止させるように制御するステップを挿入してもよい。
【0064】
次に、
図5及び
図6の右側を参照しながら、台数制御装置3(制御部4)が、各ボイラ20に対して、自動ブロー処理、並びに安全回路に関する診断、火炎検知に関する診断、及び水位検知に関する診断を含む自己診断処理を指示する動作について説明する。なお、台数制御装置3(制御部4)は、各ボイラ20から、各ボイラ20の直近の全ブロー完了後の燃焼開始時点から現時点に至る燃焼量に関する指標値を積算した積算量、及び各ボイラ20の直近の全ブロー完了後の燃焼開始時点から現時点に至る(燃焼停止時間を除く)燃焼時間を積算した経過時間積算量を所定のタイミングで取得しているものとする。
【0065】
ステップS200において、台数制御装置3(制御部4)は、ボイラ20(ローカル制御部22)から、ブロー報知アラームを受信する。
【0066】
ステップS210において、台数制御装置3(制御部4)は、ブロー報知アラームを通知したボイラ20に対して、全ブロー指示及び安全システム(水位検知に関する診断、及び水位検知異常に係る安全回路に関する診断)の確認テスト(セルフチェック)指示を行う。
【0067】
ステップS220において、台数制御装置3(制御部4)は、当該ボイラ20の全ブロー動作終了及び給水制御により水管211の水位が所定水位に上昇したことを確認すると、当該ボイラ20に対して起蒸指示及び安全システム(火炎検知に関する診断及び火炎検知異常に係る安全回路に関する診断)の確認テスト(セルフチェック)指示をする。
【0068】
ステップS230において、台数制御装置3(制御部4)は、安全システムの確認テスト終了を記録する。
【0069】
なお、ステップS200の後(ステップS210の前)に、以下のステップS205を挿入してもよい。
ステップS205において、台数制御装置3(制御部4)は、所定の条件を満たすボイラ20が燃焼している場合であって、かつ当該ボイラ20以外の他のボイラが全て燃焼している場合、他のボイラの燃焼量(又は燃焼率)を上げて、当該ボイラ20の燃焼量(又は燃焼率)を下げる又は燃焼停止させる指示をする。
以上により、台数制御装置3は、ボイラシステム1に含まれるボイラ20に対して、当該ボイラが所定の条件を満たした場合に、全ブロー処理及びその後の再起動処理を行うことで、当該ボイラ20に係る火炎検知の自己診断、L棒診断、及び安全回路の自己診断を全ブローのタイミングで実行することが可能となる。
【0070】
以上のように、本実施形態のボイラシステム1が1台のボイラ20からなる場合、例えば、ボイラ20の備えるローカル制御部22(ローカル自動ブロー制御部223)により、ボイラ20の状態が予め設定された所定の条件(例えば条件1及び/又は条件2)を満たす場合に、自動的に又はオペレータからの指示に応答して、ボイラ本体21内のボイラ水の全量を外部に排出する全ブローを実行するように制御し、その際、ローカル制御部22(ローカル安全システム確認部227)により、少なくとも、安全回路に関する診断と、火炎検知に関する診断と、水位検知に関する診断と、を含む自己診断を行われるように制御することができる。
また、本実施形態のボイラシステム1が台数制御装置3による台数制御信号に基づいて燃焼制御がなされる場合、ボイラ20の状態が予め設定された所定の条件(例えば条件1及び/又は条件2)を満たす場合に、台数制御装置3(制御部4)は当該ボイラ20(ローカル制御部22)に対して全ブローの実行をするように制御するとともに、当該ボイラ20に対して自動的に又はオペレータからの指示に応答して、少なくとも、安全回路に関する診断と、火炎検知に関する診断と、水位検知に関する診断と、を含む自己診断を行うように制御することができる。
そうすることで、1台又は複数台のボイラからなるボイラシステム1に於いて、ボイラ20の運転を妨げることなく、ボイラ20の全ブロー実行の自動化により、効果的且つ確実に安全システムの確認テストを行うことができる。
【0071】
また、本実施形態のボイラシステム1は、燃焼量積算部41により積算される各ボイラ20の燃焼量に関する指標値の積算値が予め当該ボイラ20に設定された第1閾値以上又は第1閾値を超える場合、及び/又は経過時間積算部42により積算される当該ボイラ20の経過時間積算値が予め当該ボイラ20に設定された第2閾値以上又は第2閾値を超える場合、自動的に又はオペレータからの指示に応答して、当該ボイラ20の全ブローを実行するように制御するとともに、当該ボイラ20について少なくとも、安全回路に関する診断と、火炎検知に関する診断と、水位検知に関する診断と、を含む自己診断を行うように制御する。
これにより、ボイラ20の全ブローの実行の自動化及び安全システムの確認の自動化を行うことができる。
【0072】
また、本実施形態のボイラシステム1は、自動ブロー制御部43の制御によりボイラ20の全ブローが実行される場合、ボイラ本体21内のボイラ水の全量を外部に排出した後、ボイラ本体21内に新たに給水する際に、水位検知に関する診断、及び水位検知異常に係る安全回路に関する診断を行うように制御し、当該ボイラ20の全ブロー完了後、当該ボイラが起蒸指示される際に、火炎検知に関する診断及び火炎検知異常に係る安全回路に関する診断を行うように制御される。
これにより、優先順位の変更等を強制的にすることなく、全ブローを行った後に自動的に安全回路に関する診断と、火炎検知に関する診断と、水位検知に関する診断と、を所定の間隔で実行することができる。
【0073】
また、自動ブロー制御部43は、所定の条件を満たすボイラ20が燃焼している場合であって、かつ他のボイラが全て燃焼している場合、他のボイラの燃焼量を上げて、当該ボイラ20を燃焼量を下げるように制御する。
これにより、全てのボイラが燃焼している場合においても、最適燃焼移行制御機能により、所定の条件を満たすボイラの再起動を可能とすることができ、安全点検周期を確保するとともに、安全システム確認部44の実行機会を担保することができる。
【0074】
以上、本発明のボイラシステムの好ましい一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0075】
[変形例1]
本実施形態においては、台数制御装置3(制御部4)が、ボイラ20に対して全ブロー実行指示をするための所定の条件として、条件1及び/又は条件2を例示したが、これに限定されない。所定の条件として、さらに、前述した条件1及び/又は条件2に加えて、当該ボイラ20が燃焼優先順位を下げられて燃焼停止状態となった状態であること(「条件3」ともいう)、及び当該ボイラ20が所定時間後(例えば1時間後)に制御部4により高い優先順位に変更される予定となっていること(「条件4」ともいう)を含むようにしてもよい。
この場合、台数制御装置3(制御部4)は、ステップS200の後でステップS210の前で、ステップS205´を実行するようにしてもよい。
ステップS205´において、台数制御装置3(制御部4)は、当該ボイラ20が、条件3及び条件4を満たしているか否かを判定する。当該ボイラ20が、条件3及び条件4を満たしている場合(Yes)、ステップS210に移る。当該ボイラ20が、条件3及び条件4を満たしていない場合(No)、ステップS205´に戻る。
そうすることで、各ボイラ20が所定の期間(例えば1か月)毎に所定の条件(例えば、条件1から条件4)を満たすように、ボイラシステム1の運転に関する設定を行うことで、各ボイラ20の安全システムの確認テスト(セルフチェック)を一定期間間隔で自動実行することが可能となる。
【0076】
このように、ボイラ20の状態が予め設定された所定の条件(例えば条件1から条件4)を満たす場合に、台数制御装置3(制御部4)は当該ボイラ20(ローカル制御部22)に対して全ブローの実行をするように制御することで、当該ボイラ20について少なくとも、安全回路に関する診断と、火炎検知に関する診断と、水位検知に関する診断と、を含む自己診断を所定の期間(「安全点検周期」ともいう)毎に行うように制御することができる。
そうすることで、1台又は複数台のボイラからなるボイラシステム1に於いて、ボイラ20の運転を妨げることなく、ボイラ20の全ブロー実行を安全点検周期毎に行うように制御することにより、効果的且つ確実に安全システムの確認テストを行い、機能安全度水準を満たすように、例えば安全点検周期を確保することが可能となる。
【0077】
[変形例2]
本実施形態においては、複数台(5台)のボイラ20を含むボイラシステム1を例示したが、これに限定されない。1台又は複数(任意の数)台のボイラを含むボイラシステム1においても同様の処理を行うことができる。
【0078】
[変形例3]
本実施形態においては、予め設定された所定の時間間隔(例えば、24時間間隔)で各ボイラ20の優先順位の変更がなされるものとしたが、ボイラ20が所定の条件(条件1及び又は条件2)を満たした場合に、台数制御装置(制御部4)は、当該ボイラ20の優先順位を強制的に下げるように制御するとともに、全ブローを行った後に強制的に優先順位を上げるようにしてもよい。
そうすることで、より早く、当該ボイラ20が、全ブローを行った後に安全回路に関する診断と、火炎検知に関する診断と、水位検知に関する診断と、を早く実行するように制御することができる。
【0079】
[変形例4]
本実施形態においては、電極棒により水位検知を行ったが、電極棒に換えて、例えば水管211内の水位を無段階で検出可能な水位センサを備えるようにしてもよい。その場合、水管211内の水位が予め設定されている下限水位より低い場合に水位センサから低水位の出力がなされることを確認するように、水位検知の自己診断を行うようにする。