特開2018-180010(P2018-180010A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-180010(P2018-180010A)
(43)【公開日】2018年11月15日
(54)【発明の名称】温度センサ
(51)【国際特許分類】
   G01K 7/22 20060101AFI20181019BHJP
【FI】
   G01K7/22 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-158275(P2018-158275)
(22)【出願日】2018年8月27日
(62)【分割の表示】特願2015-66071(P2015-66071)の分割
【原出願日】2015年3月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000220033
【氏名又は名称】東京コスモス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】梶 真志
(57)【要約】
【課題】温度変化を広い範囲で検出することができるとともに、容易に製造することが可能な温度センサを提供すること。
【解決手段】温度センサは、絶縁性を有する基板10と、基板10の一方の面に配置されたサーミスタ11と、基板10の他方の面に配置された端子13a,13bとが備えられ、基板10には、サーミスタ11が配置されていない領域が備えられ、基板10に垂直な方向からみた場合に、前記領域と重なる位置に、端子13a,13bが配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性を有する基板と、
前記基板の一方の面に配置されたサーミスタと、
前記基板の他方の面に配置された端子とが備えられ、
前記基板には、前記サーミスタが配置されていない領域が備えられ、
前記基板に垂直な方向からみた場合に、前記領域と重なる位置に、前記端子が配置されている
温度センサ。
【請求項2】
前記基板を貫通し、前記基板の一方の面において前記サーミスタに接続された電極と、前記基板の他方の面に配置された前記端子とを電気的に接続する導電性部材がさらに備えられている
請求項1に記載の温度センサ。
【請求項3】
前記基板の一方の面に貼り付けられ、前記領域を含む範囲において、前記導電性部材が前記基板を貫通した状態で、前記サーミスタ、前記電極及び前記導電性部材を、前記基板と挟みつける両面テープをさらに備えている
請求項2記載の温度センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーミスタを用いた温度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、温度の上昇に対して電気抵抗が増大するサーミスタを用いた温度センサが広く利用されている。このような温度センサの例として、例えば、特許文献1に記載されたものが挙げられる。
【0003】
特許文献1には、電気自動車用の電池電源装置を構成する各単電池の側周面にPTC(Positive Temperature Coefficient)センサが取り付けられ、各PTCセンサが外装チューブにより被覆保護された接続線により直列に接続された温度センサが開示されている。
【0004】
この温度センサでは、複数個の単電池のうち1つでも異常昇温した場合、単電池に取り付けられたPTCセンサの抵抗値が飛躍的に増大し、直列に接続されたPTCセンサの全抵抗値も飛躍的に増大する。そのため、この全抵抗値を測定することによって、単電池の異常昇温が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−270094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1の温度センサでは、PTCセンサが単電池の側周面の一部の箇所に取り付けられているだけであるため、それ以外の領域における異常昇温を検出することが難しいという問題点があった。
【0007】
これを改善するため、PTCセンサの数をさらに増やすことが考えられるが、PTCセンサと接続線との接続箇所が増加し、温度センサの製造にかかる手間が増大するという問題がある。
【0008】
本発明は、上述したような問題を解決するためになされたものであり、温度変化を広い領域で検出することができるとともに、容易に製造することが可能な温度センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の温度センサは、絶縁性を有する基板と、前記基板の一方の面に配置されたサーミスタと、前記基板の他方の面に配置された端子とが備えられ、前記基板には、前記サーミスタが配置されていない領域が備えられ、前記基板に垂直な方向からみた場合に、前記領域と重なる位置に、前記端子が配置されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、温度変化を広い範囲で検出することができるとともに、容易に製造することが可能な温度センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1に係る温度センサの構成の一例を示す分解斜視図
図2図1に示した温度センサの平面図
図3図2に示した温度センサの一部を拡大した図
図4】サーミスタの幅が太くなるよう形成された別の温度センサの平面図
図5A】実施の形態2に係る温度センサを構成する第1の部材の平面図
図5B】実施の形態2に係る温度センサを構成する第2の部材の平面図
図5C】第1の部材と第2の部材とが組み合わされて構成される温度センサの平面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る温度センサの構成の一例を示す分解斜視図である。図1に示すように、この温度センサは、基板10、サーミスタ11、電極12a、12b、端子13a、13b、ハトメ14a、14b、シリコン15a、15b、両面テープ16を備える。
【0014】
基板10は、絶縁性、および、可撓性を有し、フィルム状に形成される。基板10の材料には、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート、ポリイミドなどの樹脂材が用いられる。
【0015】
サーミスタ11は、温度が変化すると抵抗値が増大するPTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスタである。サーミスタ11は、基板10の一方の面に、屈曲した帯状のパターンを形成し、かつ、サーミスタ11の隣り合う帯状部分は所定のすき間を開けて配置される。
【0016】
また、サーミスタ11は可撓性を有する。基板10、および、サーミスタ11が可撓性を有することで、温度センサを撓ませ、物体の周囲に温度センサを巻き付けることができる。その結果、さまざまな立体的形状を有する物体の温度変化を容易に検出することができる。
【0017】
なお、サーミスタ11は、PTCサーミスタに限らず、温度上昇に対して抵抗値が減少するNTC(Negative Temperature Coefficient)サーミスタであってもよいし、ある温度を超えると急激に抵抗値が減少するCTR(Critical Temperature Resistor)サーミスタであってもよい。
【0018】
このような帯状のパターンを形成するサーミスタ11は、印刷により形成することができるので、温度センサを容易に製造することができる。
【0019】
電極12a、12bは、帯状のパターンを形成するサーミスタ11の2つの端部に接続され、さらにハトメ14a、14bにより端子13a、13bに接続される。
【0020】
そして、端子13a、13bは、サーミスタ11の抵抗値の変化を検出する外部回路と接続される。
【0021】
ハトメ14a、14bは、導電性材料により成形され、基板10、電極12a、12b、端子13a、13bに形成された貫通孔に通された上でプレスされる。これにより、基板10、サーミスタ11、電極12a、12b、および、端子13a、13bが接合され、サーミスタ11、電極12a、12b、および、端子13a、13bが電気的に接続される。
【0022】
シリコン15a、15bは、端子13a、13bを覆うように設けられ、防水効果や絶縁効果を発揮するカバーである。
【0023】
両面テープ16は、温度変化の検出対象となる物品に温度センサを貼り付けるために用いられる両面テープである。
【0024】
図2は、図1に示した温度センサの平面図である。なお、図2では、シリコン15a、15b、および、両面テープ16は省略されている。また、図3は、図2に示した温度センサの一部を拡大した図である。
【0025】
図3に示すように、サーミスタ11は、基板10の一方の面に屈曲した帯状のパターンを形成し、かつ、サーミスタ11の隣り合う帯状部分11a、11bは、所定のすき間S1、S2を開けて配置される。ここで、サーミスタ11は、基板10の一方の面の全体に設けられてもよいし、その一部に設けられてもよい。
【0026】
また、図2には、基板10の形状、および、サーミスタ11の配置領域の形状が矩形である場合が示されているが、基板10の形状、および、サーミスタ11の配置領域の形状はこれに限定されるものではない。これらの形状は、温度変化の検出対象となる物体の形状に合わせて、適宜変更してもよい。
【0027】
隣り合う帯状部分11a、11b間のすき間S1、S2は、隣り合う帯状部分11a、11b間で短絡しない範囲でできるだけ小さくすることが望ましい。これにより、物体の温度変化が検出されない領域が生じる可能性を小さくできる。
【0028】
また、サーミスタ11の帯状のパターンについても、図2図3に示した蛇行状のパターンに限定されるものではなく、図5Aに示すような渦巻き状のパターンなど、他のパターンであってもよい。ただし、温度変化が検出されない物体の領域が少なくなるよう、できるだけすき間が小さくなるようにサーミスタ11が形成されることが望ましい。
【0029】
図4は、図2に示した温度センサよりもサーミスタ11の幅が太くなるよう形成された別の温度センサの平面図である。サーミスタ11の幅が太くなるほど、サーミスタ11の抵抗値は小さくなり、電流が流れやすくなるが、温度変化が生じる領域の大きさがサーミスタ11の幅よりも小さくなると、温度変化を検出することが難しくなる。
【0030】
これに対し、図2に示したサーミスタ11では、サーミスタ11の幅が細いので、たとえ温度変化が生じる領域の大きさが小さくても温度変化を検出しやすくなるが、サーミスタ11の抵抗値は大きくなり、電流が流れにくくなる。
【0031】
このように、サーミスタ11の幅により、温度センサの特性や温度変化の検出のしやすさが変化するため、帯状のサーミスタ11の幅は、端子13a、13bに接続される外部回路の仕様や、温度変化が生じる領域の大きさに応じて適宜変更されることが望ましい。
【0032】
また、図3に示した隣り合う帯状部分11a、11b間のすき間S1、S2の大きさも、温度変化が生じる領域の大きさに応じて変更してもよい。これは、温度変化が生じる領域の大きさが大きければ、たとえすき間S1、S2が大きくても、温度変化が検出しやすくなるためである。これにより、サーミスタ11の材料コストを削減することができる。
【0033】
(実施の形態2)
上記実施の形態1では、隣り合う帯状部分11a、11b間の短絡を防止するため、すき間S1、S2を設けることとしたが、温度変化が検出されない物体の領域が少なくなるようにするため、2つの帯状のパターンを組み合わせて用いることとしてもよい。
【0034】
図5Aは、実施の形態2に係る温度センサを構成する第1の部材の平面図であり、図5Bは、実施の形態2に係る温度センサを構成する第2の部材の平面図であり、図5Cは、第1の部材と第2の部材とが組み合わされて構成される温度センサの平面図である。
【0035】
図5Aに示すように、第1の部材は、基板20a、サーミスタ21a、電極22a、端子23a、ハトメ24a、電極25aを備える。なお、図2の場合と同様に、シリコンの図示は省略されている。
【0036】
基板20a、サーミスタ21a、電極22a、端子23a、ハトメ24aは、実施の形態1で説明した基板10、サーミスタ11、電極12a、端子13a、ハトメ14aと同様のものである。
【0037】
ただし、サーミスタ21aは、基板20aの一方の面に、屈曲して渦巻き状となった帯状のパターンを形成し、かつ、隣り合う帯状部分が所定のすき間を開けて配置されている。
【0038】
ここで、電極25aは、サーミスタ21aの端部に接続されており、図5Bに示す電極25bと図5Cに示したハトメ24cにより結合される。
【0039】
また、図5Bに示すように、第2の部材は、基板20b、サーミスタ21b、電極22b、端子23b、ハトメ24b、電極25bを備える。なお、図2の場合と同様に、シリコンの図示は省略されている。
【0040】
基板20b、サーミスタ21b、電極22b、端子23b、ハトメ24bは、実施の形態1で説明した基板10、サーミスタ11、電極12b、端子13b、ハトメ14bと同様のものである。
【0041】
ただし、サーミスタ21bは、基板20bの一方の面に、屈曲して渦巻き状となった帯状のパターンを形成し、かつ、隣り合う帯状部分が所定のすき間を開けて配置されている。
【0042】
ここで、図5Aに示した基板20aと図5Bに示した基板20bとは重ね合わせられる。そして、この状態で基板20a、20bに垂直な方向からサーミスタ21bをみた場合に、サーミスタ21bが、サーミスタ21aの隣り合う帯状部分の間の隙間に位置するように配置される。
【0043】
また、電極25bは、サーミスタ21bの端部に接続されており、図5Aに示した電極25aと図5Cに示したハトメ24cにより結合される。これにより、図5Aに示したサーミスタ21aと図5Bに示したサーミスタ21bとは、直列に接続される。
【0044】
図5Cには、サーミスタ21bが、サーミスタ21aの隣り合う帯状部分の間の隙間に位置するように配置された様子が示されている。サーミスタ21bをこのような形状とすることにより、温度変化が検出されない物体の領域が少なくなるようにすることができる。
【0045】
なお、上述した実施の形態2では、サーミスタ21aが形成された基板20aと別の基板20bにサーミスタ21bを形成することとしたが、サーミスタ21aが形成された基板20aの面の反対側の面にサーミスタ21bを形成することとしてもよい。
【0046】
この場合も図5Cに示したように、基板20aに垂直な方向からサーミスタ21bをみた場合に、サーミスタ21bが、サーミスタ21aの隣り合う帯状部分の間の隙間に位置するように形成される。
【0047】
そして、上述した実施の形態2と同様に、サーミスタ21aの端部に接続された電極25aとサーミスタ21bの端部に接続された電極25bとがハトメ24cにより結合される。その結果、サーミスタ21aとサーミスタ21bとは、直列に接続される。これにより、温度センサをより薄くすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、さまざまな立体的形状を有する物体の温度変化を検出する温度センサに好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0049】
10,20a,20b 基板
11,21a,21b サーミスタ
11a,11b 帯状部分
12a,12b,22a,22b,25a,25b 電極
13a,13b,23a,23b 端子
14a,14b,24a,24b,24c ハトメ
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C