【解決手段】近紫外領域から青色の光線をカットするブルーライトカットフィルムであって、当該フィルム中に一般式(1)で表されるアルコキシアントラセン化合物を含有することを特徴とする、ブルーライトカットフィルム。
カットする近紫外領域から青色の光線が、340nmから495nmの波長範囲にある波長を持つ光線である請求項1乃至4のいずれか一項に記載のブルーライトカットフィルム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、近紫外領域から青色の光線をカットできるブルーライトカット機能に優れたブルーライトカットフィルム及びブルーライトカットフィルム積層体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定のアルコキシアントラセン化合物を含有する重合皮膜が、ブルーライトカット機能に優れることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明の第1の要旨は、近紫外領域から青色の光線をカットするブルーライトカットフィルムであって、当該フィルム中に一般式(1)で表されるアルコキシアントラセン化合物を含有することを特徴とする、ブルーライトカットフィルムに存する。
【0009】
【化1】
【0010】
一般式(1)において、Rは炭素数1から12の酸素原子を含んでいてもよいアルキル基を表し、Qは水素原子、炭素数1から12の酸素原子を含んでいてもよいアルコキシ基又は一般式(2)で表される10−アルコキシ−9−アントリル基を表し、X、Yは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。
【0011】
【化2】
【0012】
一般式(2)において、Rは炭素数1から12の酸素原子を含んでいてもよいアルキル基を表し、X、Yは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。また、*印は結合位置を表す。
【0013】
第2の要旨は、近紫外領域から青色の光線をカットするブルーライトカットフィルムであって、当該フィルムが、基材上に一般式(1)で表されるアルコキシアントラセン化合物を含有する光重合性組成物を塗布して重合硬化させた重合皮膜を有することを特徴とする、ブルーライトカットフィルムに存する。
【0014】
【化3】
【0015】
一般式(1)において、Rは炭素数1から12の酸素原子を含んでいてもよいアルキル基を表し、Qは水素原子、炭素数1から12の酸素原子を含んでいてもよいアルコキシ基又は一般式(2)で表される10−アルコキシ−9−アントリル基を表し、X、Yは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。
【0016】
【化4】
【0017】
一般式(2)において、Rは炭素数1から12の酸素原子を含んでいてもよいアルキル基を表し、X、Yは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。また、*印は結合位置を表す。
【0018】
第3の要旨は、近紫外領域から青色の光線をカットするブルーライトカットフィルムであって、当該フィルムが、基材上に一般式(1)に表されるアルコキシアントラセン化合物、光重合開始剤、重合性化合物を含有する光重合性組成物を塗布して重合硬化させた重合皮膜を有することを特徴とする、ブルーライトカットフィルムに存する。
【0019】
【化5】
【0020】
一般式(1)において、Rは炭素数1から12の酸素原子を含んでいてもよいアルキル基を表し、Qは水素原子、炭素数1から12の酸素原子を含んでいてもよいアルコキシ基又は一般式(2)で表される10−アルコキシ−9−アントリル基を表し、X、Yは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。
【0021】
【化6】
【0022】
一般式(2)において、Rは炭素数1から12の酸素原子を含んでいてもよいアルキル基を表し、X、Yは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。また、*印は結合位置を表す。
【0023】
第4の要旨は、近紫外領域から青色の光線をカットするブルーライトカットフィルムであって、当該フィルムが、基材上に一般式(1)に表されるアルコキシアントラセン化合物、光重合開始剤、重合性化合物、溶剤及びレベリング剤を含有する光重合性組成物を塗布して重合硬化させた重合皮膜を有することを特徴とする、ブルーライトカットフィルムに存する。
【0024】
【化7】
【0025】
一般式(1)において、Rは炭素数1から12の酸素原子を含んでいてもよいアルキル基を表し、Qは水素原子、炭素数1から12の酸素原子を含んでいてもよいアルコキシ基又は一般式(2)で表される10−アルコキシ−9−アントリル基を表し、X、Yは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。
【0026】
【化8】
【0027】
一般式(2)において、Rは炭素数1から12の酸素原子を含んでいてもよいアルキル基を表し、X、Yは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。また、*印は結合位置を表す。
【0028】
第5の要旨は、カットする近紫外領域から青色の光線が、340nmから495nmの波長範囲にある波長を持つ光線である第1の要旨乃至第4の要旨のいずれかひとつに記載のブルーライトカットフィルムに存する。
【0029】
第6の要旨は、第1の要旨1乃至第5の要旨のいずれかひとつに記載のブルーライトカットフィルムを酸素非透過性フィルムで被覆したことを特徴とする、ブルーライトカットフィルム積層体に存する。
【発明の効果】
【0030】
本発明のブルーライトカットフィルム及びブルーライトカットフィルム積層体は、近紫外領域から青色の光線をカットできるブルーライトカット機能に優れたブルーライトカットフィルム及びブルーライトカットフィルム積層体である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本願発明のブルーライトカットフィルム及びブルーライトカットフィルム積層体は、上記一般式(1)で表されるアルコキシアントラセン化合物を含有することを特徴とする。
【0032】
<アルコキシアントラセン化合物>
まず、一般式(1)に表されるアルコキシアントラセン化合物について説明する。
【0034】
一般式(1)において、Rは炭素数1から12の酸素原子を含んでいてもよいアルキル基を表し、Qは水素原子、炭素数1から12の酸素原子を含んでいてもよいアルコキシ基又は一般式(2)で表される10−アルコキシ−9−アントリル基を表し、X、Yは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。
【0036】
一般式(2)において、Rは炭素数1から12の酸素原子を含んでいてもよいアルキル基を表し、X、Yは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。また、*印は結合位置を表す。
【0037】
まず、一般式(1)においてQが水素原子である場合は、下記一般式(3)で表される9−アルコキシアントラセン化合物となる。
【0039】
一般式(3)において、Rは炭素数1から12の酸素原子を含んでいてもよいアルキル基を表し、X、Yは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。
【0040】
Rで表される炭素数1から12の酸素原子を含んでいてもよいアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、2-ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル基、2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロピル基、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル基等を表し、X又はYで表される炭素数1から8のアルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等を表し、X又はYで表されるハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子を表す。
【0041】
一般式(3)で表される化合物の具体例としては、たとえば次の化合物が挙げられる。すなわち、X及びYが共に水素原子である場合の例としては、9−メトキシアントラセン,9−エトキシアントラセン、9−(n−プロポキシ)アントラセン、9−(n−ブトキシ)アントラセン、9−(n−ペンチルオキシ)アントラセン、9−(n−ヘキシルオキシ)アントラセン、9−(n−ヘプチルオキシ)アントラセン、9−(n−オクチルオキシ)アントラセン、9−(2−エチルヘキシルオキシ)アントラセン、9−(ノニルオキシ)アントラセン、9−(デシルオキシ)アントラセン、9−(ウンデシルオキシ)アントラセン、9−(ドデシルオキシ)アントラセン、9−(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセン、9−(3−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、9−(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、9−(2−ヒドロキシブトキシ)アントラセン、9−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロポキシ)アントラセン、9−(2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロポキシ)アントラセン、9−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロポキシ)アントラセン、9−(2−メトキシエトキシ)アントラセン、9−(2−エトキシエトキシ)アントラセン、9−(2−メトキシプロポキシ)アントラセン、9−(2−アセトキシエトキシ)アントラセン、9−−(2−アセトキシプロポキシ)アントラセン、9−(2−ベンゾイルオキシエトキシ)アントラセン、9−(2−ベンゾイルプロポキシ)アントラセン、9−(2−メトキシアミノカルボニルオキシ)アントラセン等が挙げられる。
【0042】
次に、X及び/又はYがアルキル基である場合としては、2−メチル−9−メトキシアントラセン、2−メチル−9−エトキシアントラセン、2−メチル−9−(n−プロポキシ)アントラセン、2−メチル−9−(n−ブトキシ)アントラセン、2−メチル−9−(n−ペンチルオキシ)アントラセン、2−メチル−9−(n−ヘキシルオキシ)アントラセン、2−メチル−9−(n−ヘプチルオキシ)アントラセン、2−メチル−9−(n−オクチルオキシ)アントラセン、2−メチル−9−(2−エチルヘキシルオキシ)アントラセン、2−メチル−9−(ノニルオキシ)アントラセン、2−メチル−9−(デシルオキシ)アントラセン、2−メチル−9−(ウンデシルオキシ)アントラセン、2−メチル−9−(ドデシルオキシ)アントラセン、2−メチル−9−(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセン、2−メチル−9−(3−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2−メチル−9−(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2−メチル−9−(2−ヒドロキシブトキシ)アントラセン、2−メチル−9−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロポキシ)アントラセン、2−メチル−9−(2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロポキシ)アントラセン、2−メチル−9−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロポキシ)アントラセン、2−エチル−9−メトキシアントラセン、2−エチル−9−エトキシアントラセン、9−(n−プロポキシ)アントラセン、2−エチル−9−(n−ブトキシ)アントラセン、2−エチル−9−(n−ペンチルオキシ)アントラセン、2−エチル−9−(n−ヘキシルオキシ)アントラセン、2−エチル−9−(n−ヘプチルオキシ)アントラセン、2−エチル−9−(n−オクチルオキシ)アントラセン、2−エチル−9−(2−エチルヘキシルオキシ)アントラセン、2−エチル−9−(ノニルオキシ)アントラセン、2−エチル−9−(デシルオキシ)アントラセン、2−エチル−9−(ウンデシルオキシ)アントラセン、2−エチル−9−(ドデシルオキシ)アントラセン、2−エチル−9−(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセン、2−エチル−9−(3−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2−エチル−9−(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2−エチル−9−(2−ヒドロキシブトキシ)アントラセン、2−エチル−9−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロポキシ)アントラセン、2−エチル−9−(2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロポキシ)アントラセン、2−エチル−9−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロポキシ)アントラセン等が挙げられる。
【0043】
また、X及び/又はYがハロゲン原子である場合としては、2−クロロ−9−メトキシアントラセン、2−クロロ−9−エトキシアントラセン、2−クロロ−9−(n−プロポキシ)アントラセン、2−クロロ−9−(n−ブトキシ)アントラセン、2−クロロ−9−(n−ペンチルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9−(n−ヘキシルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9−(n−ヘプチルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9−(n−オクチルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9−(2−エチルヘキシルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9−(ノニルオキシ)アントラセン,2−クロロ−9−(デシルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9−(ウンデシルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9−(ドデシルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9−(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセン、2−クロロ−9−(3−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2−クロロ−9−(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2−クロロ−9−(2−ヒドロキシブトキシ)アントラセン、2−クロロ−9−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロポキシ)アントラセン、2−クロロ−9−(2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロポキシ)アントラセン、2−クロロ−9−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロポキシ)アントラセン等が挙げられる。
【0044】
一般式(1)においてQがアルコキシ基である場合は、下記一般式(4)で表される9,10−ジアルコキシアントラセン化合物となる。
【0046】
一般式(4)において、Rは炭素数1から12の酸素原子を含んでいてもよいアルキル基を表し、X、Yは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。
【0047】
Rで表される炭素数1から12の酸素原子を含んでいてもよいアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、2-ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル基、2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロピル基、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル基等を表し、X又はYで表される炭素数1から8のアルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等を表し、X又はYで表されるハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子を表す。
【0048】
一般式(4)で表される化合物の具体例としては、たとえば次の化合物が挙げられる。すなわち、X及びYが共に水素原子である場合の例としては、9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ビス(n−プロポキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−ブトキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−ペンチルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−ヘキシルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−ヘプチルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−オクチルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(ノニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(デシルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(ウンデシルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(ドデシルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセン、9,10−ビス(3−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、9,10−ビス(2−ヒドロキシブトキシ)アントラセン、9,10−ビス(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロポキシ)アントラセン、9,10−ビス(2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロポキシ)アントラセン、9,10−ビス(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロポキシ)アントラセン、9,10−ビス(2−メトキシエトキシ)アントラセン、9,10−ビス(2−エトキシエトキシ)アントラセン、9,10−ビス(2−メトキシプロポキシ)アントラセン、9,10−ビス(2−アセトキシエトキシ)アントラセン、9,10−ビス−(2−アセトキシプロポキシ)アントラセン、9,10−ビス(2−ベンゾイルオキシエトキシ)アントラセン、9,10−ビス(2−ベンゾイルプロポキシ)アントラセン、9,10−ビス(2−メトキシアミノカルボニルオキシ)アントラセン等が挙げられる。
【0049】
次に、X及び/又はYがアルキル基である場合としては、2−メチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2−メチル−9,10−ジエトキシアントラセン、2−メチル−9,10−ビス(n−プロポキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(n−ブトキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(n−ペンチルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(n−ヘキシルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(n−ヘプチルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(n−オクチルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(ノニルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(デシルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(ウンデシルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(ドデシルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(3−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(2−ヒドロキシブトキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロポキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロポキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロポキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ビス(n−プロポキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(n−ブトキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(n−ペンチルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(n−ヘキシルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(n−ヘプチルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(n−オクチルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10-ビス(2−エチルヘキシルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(ノニルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(デシルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(ウンデシルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(ドデシルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(3−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(2−ヒドロキシブトキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロポキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロポキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロポキシ)アントラセン等が挙げられる。
【0050】
また、X及び/又はYがハロゲン原子である場合としては、2−クロロ−9,10−ジメトキシアントラセン、2−クロロ−9,10−ジエトキシアントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(n−プロポキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(n−ブトキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(n−ペンチルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(n−ヘキシルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(n−ヘプチルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(n−オクチルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(ノニルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(デシルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(ウンデシルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(ドデシルオキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(3−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(2−ヒドロキシブトキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロポキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロポキシ)アントラセン、2−クロロ−9,10−ビス(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロポキシ)アントラセン等が挙げられる。
【0051】
そして、一般式(1)において、Qが一般式(2)で表される10−アルコキシアントラセン−9−イル化合物である場合は、一般式(5)で表す、10,10’−ジアルコキシ−9.9’−ビアントラセン化合物となる。
【0053】
一般式(5)において、Rは炭素数1から12の酸素原子を含んでいてもよいアルキル基を表し、X、Yは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1から8のアルキル基又はハロゲン原子を表す。
【0054】
Rで表される炭素数1から12の酸素原子を含んでいてもよいアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル基、2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロピル基、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル基等を表し、X又はYで表される炭素数1から8のアルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等を表し、X又はYで表されるハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子を表す。
【0055】
本発明の一般式(5)の具体例としては、たとえば次の化合物が挙げられる。すなわち、X及びYが共に水素原子である場合の例としては、10,10’−ジメトキシ−9,9’−ビアントラセン、10,10’−ジエトキシ−9,9’−ビアントラセン、10,10’−ビス(n−プロポキシ)−9,9’−ビアントラセン、10,10’−ビス(i−プロポキシ)−9,9’−ビアントラセン、10,10’−ビス(n−ブトキシ)−9,9’−ビアントラセン、10,10’−ビス(n−ペントキシ)−9,9’−ビアントラセン、10,10’−ビス(n−ヘキシルオキシ)−9,9’−ビアントラセン、10,10’−ビス(n−ヘプチルオキシ)−9,9’−ビアントラセン、10,10’−ビス(n−オクチルオキシ)−9,9’−ビアントラセン、10,10’−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)−9,9’−ビアントラセン、10,10’−ビス(n−ノニルオキシ)−9,9’−ビアントラセン、10,10’−ビス(n−デシルオキシ)−9,9’−ビアントラセン、10,10’−ビス(n−ドデシルオキシ)−9,9’−ビアントラセン、10,10’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−9,9’−ビアントラセン、10,10’−ビス(3−ヒドロキシプロポキシ)−9,9’−ビアントラセン、10,10’−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)−9,9’−ビアントラセン、10,10’−ビス(2−ヒドロキシブトキシ)−9,9’−ビアントラセン、10,10’−ビス(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロポキシ)−9,9’−ビアントラセン、10,10’−ビス(2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロポキシ)−9,9’−ビアントラセン、10,10’−ビス(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロポキシ)−9,9’−ビアントラセン、10,10’−ビス(2−メトキシエトキシ)−9,9’−ビアントラセン、10,10’−ビス(2−エトキシエトキシ)−9,9’−ビアントラセン10,10’−ビス(2−メトキシプロポキシ)−9,9’−ビアントラセン、10,10’−ビス(2−アセトキシエトキシ)−9,9’−ビアントラセン、10,10’−ビス(2−アセトキシエトキシ)−9,9’−ビアントラセン、10,10’−ビス(2−アセトキシプロポキシ)−9,9’−ビアントラセン、10,10’−ビス(2−ベンゾイルオキシエトキシ)−9,9’−ビアントラセン、10,10’−ビス(2−ベンゾイルオキシプロポキシ)−9,9’−ビアントラセン、10,10’−ビス(2−メチルアミノカルボニルオキシエトキシ)−9,9’−ビアントラセン等が挙げられる。
【0056】
次に、X及び/又はYがアルキル基である場合としては、2,2’−ジメチル−10,10’−ジメトキシ−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジメチル−10,10’−ジエトキシ−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジメチル−10,10’−ビス(n−プロポキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジメチル−10,10’−ビス(i−プロポキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジメチル−10,10’−ビス(n−ブトキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジメチル−10,10’−ビス(n−ペントキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジメチル−10,10’−ビス(n−ヘキシルオキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジメチル−10,10’−ビス(n−ヘプチルオキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジメチル−10,10’−ビス(n−オクチルオキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジメチル−10,10’−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジメチル−10,10’−ビス(n−ノニルオキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジメチル−10,10’−ビス(n−デシルオキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジメチル−10,10’−ビス(n−ドデシルオキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジメチル−10,10’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジメチル−10,10’−ビス(3−ヒドロキシプロポキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジメチル−10,10’−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジメチル−10,10’−ビス(2−ヒドロキシブトキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジメチル−10,10’−ビス(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロポキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジメチル−10,10’−ビス(2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロポキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジメチル−10,10’−ビス(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロポキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジメチル−10,10’−ビス(2−メトキシエトキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジメチル−10,10’−ビス(2−エトキシエトキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジメチル−10,10’−−ビス(2−メトキシプロポキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジメチル−10,10’−ビス(2−アセトキシエトキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジメチル−10,10’−ビス(2−アセトキシエトキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジメチル−10,10’−ビス(2−アセトキシプロポキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジメチル−10,10’−ビス(2−ベンゾイルオキシエトキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジメチル−10,10’−ビス(2−ベンゾイルオキシプロポキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジメチル−10,10’−ビス(2−メチルアミノカルボニルオキシエトキシ)−9,9’−ビアントラセン等が挙げられる。
【0057】
また、X及び/又はYがハロゲン原子である場合としては、2,2’−ジクロロ−10,10’−ジメトキシ−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジクロロ−10,10’−ジエトキシ−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジクロロ−10,10’−ビス(n−プロポキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジクロロ−10,10’−ビス(i−プロポキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジクロロ−10,10’−ビス(n−ブトキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジクロロ−10,10’−ビス(n−ペントキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジクロロ−10,10’−ビス(n−ヘキシルオキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジクロロ−10,10’−ビス(n−ヘプチルオキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジクロロ−10,10’−ビス(n−オクチルオキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジクロロ−10,10’−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジクロロ−10,10’−ビス(n−ノニルオキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジクロロ−10,10’−ビス(n−デシルオキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジクロロ−10,10’−ビス(n−ドデシルオキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジクロロ−10,10’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジクロロ−10,10’−ビス(3−ヒドロキシプロポキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジクロロ−10,10’−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジクロロ−10,10’−ビス(2−ヒドロキシブトキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジクロロ−10,10’−ビス(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロポキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジクロロ−10,10’−ビス(2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロポキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジクロロ−10,10’−ビス(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロポキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジクロロ−10,10’−ビス(2−メトキシエトキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジクロロ−10,10’−ビス(2−エトキシエトキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジクロロ−10,10’−−ビス(2−メトキシプロポキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジクロロ−10,10’−ビス(2−アセトキシエトキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジクロロ−10,10’−ビス(2−アセトキシエトキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジクロロ−10,10’−ビス(2−アセトキシプロポキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジクロロ−10,10’−ビス(2−ベンゾイルオキシエトキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジクロロ−10,10’−ビス(2−ベンゾイルオキシプロポキシ)−9,9’−ビアントラセン、2,2’−ジクロロ−10,10’−ビス(2−メチルアミノカルボニルオキシエトキシ)−9,9’−ビアントラセン等が挙げられる。
【0058】
上記化合物の中でも、合成の容易さと、ブルーライト吸収剤としての性能の良さから、9−エトキシアントラセン、9−(n−プロポキシ)アントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、10,10’−ビス(n−プロポキシ)−9,9’−ビアントラセン、10,10’−ビス(n−ブトキシ)−9,9’−ビアントラセン、10,10’−ビス(n−ペントキシ)−9,9’−ビアントラセン、10,10’−ビス(n−ヘキシルオキシ)−9,9’−ビアントラセンが好ましい。
【0059】
本発明の一般式(1)で表されるアルコキシアントラセン化合物は、340nmから495nmの波長範囲に吸収を持ち、当該波長領域の少なくとも一部の光線を吸収して、その強度を低減することが可能な化合物である。特に405nmの波長の光線の透過率を低減することができる有用な化合物である。また、通常は、当該波長域の光線をカットすると光の黄味が強くなるという問題があるが、本発明の一般式(1)で表されるアルコキシアントラセン化合物を用いるとその問題が軽減されるという特徴を有する。
【0060】
この詳細は明らかではないが、一般式(1)で表されるアルコキシアントラセン化合物が405nmにUVの最長吸収を持つことから、ブルーライトカット機能を有しているが、ブルーライトをカットしたにも関わらず黄味が強くならないのは、アルコキシアントラセン化合物が光を吸収した後、励起されたアルコキシアントラセン化合物が発光スペクトルとは鏡像関係にある蛍光スペクトルを可視光領域に発光するため、黄色味が強くなるという問題を軽減することを可能にしていると考えられる。
【0061】
上記一般式(3)で表されるアントラセン化合物は、対応する9−ヒドロキシアントラセンをエーテル化することにより製造することができる。そして、上記一般式(4)で表されるアントラセン化合物は、対応する9,10−ジヒドロキシアントラセン化合物を公知の方法でエーテル化することにより製造することができる。また、一般式(5)で表されるビアントラセン化合物もまた、10,10’−ジヒドロキシ−9,9’−ビアントラセンを公知の方法でエーテル化することにより製造することができる。
【0062】
<光重合性組成物>
一般式(1)で表されるアルコキシアントラセン化合物を含有する光重合性組成物を基材上に塗布して重合硬化させて重合皮膜を形成させることにより、ブルーライトカットフィルムを製造することができる。
【0063】
当該光重合性組成物は、一般式(1)に表されるアルコキシアントラセン化合物、光重合開始剤、重合性化合物を含有する光重合性組成物である。
【0064】
<光重合開始剤>
本発明の光重合性組成物に用いられる光重合開始剤について説明する。光重合開始剤としては、オニウム塩、ベンジルメチルケタール系光重合開始剤、α−ヒドロキシアルキルフェノン系光重合開始剤、α−アミノフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、オキシムエステル系光重合開始剤、ビイミダゾール系光重合開始剤などが挙げられる。
【0065】
まず初めに、オニウム塩としては、通常スルホニウム塩またはヨードニウム塩が使用される。スルホニウム塩としては、アリールスルホニウム塩が好ましく、S,S,S’、S’−テトラフェニル−S,S’−(4,4’−チオジフェニル)ジスルホニウム ビスヘキサフルオロフォスフェート、ジフェニル−4−フェニルチオフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェートが挙げられ、例えばダウ・ケミカル製、商品名:UVI6992、サンアプロ社製 商品名:CPI−100P、ビー・エ−・エス・エフ社製 商品名:イルガキュア270(イルガキュアは、ビー・エー・エス・エフ社の登録商標)を用いることが出来る。一方、ヨードニウム塩としては、アリールヨードニウム塩が好ましく、4−イソブチルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−イソプロピルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートが挙げられ、例えばビー・エ−・エス・エフ社製、商品名:イルガキュア250又は、ソルベイジャパン社製、商品名:PHOTOINITIATOR 2074を用いることが出来る。
【0066】
ベンジルメチルケタール系ラジカル重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名「イルガキュア651」ビー・エー・エス・エフ社製)等が挙げられる。α−ヒドロキシアルキルフェノン系ラジカル重合開始剤としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(商品名「イルガキュア1173」ビー・エー・エス・エフ社製)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名「イルガキュア184」ビー・エー・エス・エフ社製)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(商品名「イルガキュア2959」ビー・エー・エス・エフ社製)、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−1−オン(商品名「イルガキュア127」ビー・エー・エス・エフ社製)が挙げられる。
【0067】
また、アセトフェノン系ラジカル重合開始剤であるアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−エトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−メトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−イソプロポキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−イソブトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ベンジル系ラジカル重合開始剤であるベンジル、4,4’−ジメトキシベンジル、アントラキノン系ラジカル重合開始剤である2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−フェノキシアントラキノン、2−(フェニルチオ)アントラキノン、2−(ヒドロキシエチルチオ)アントラキノン等も用いることができる。
【0068】
<重合性化合物>
次に、重合性化合物について説明する。重合性化合物としては、カチオン重合性化合物、ラジカル重合性化合物のどちらも用いることができる。まず初めに、カチオン重合性化合物である場合を説明する。
【0069】
本発明に使用することができる光カチオン重合性化合物としてはエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物が挙げられる。エポキシ化合物として一般的なものは脂環式エポキシ化合物、エポキシ変性シリコーン、芳香族グリシジル化合物である。脂環式エポキシ化合物としては3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダウ・ケミカル社製UVR6105、UVR6110、ダイセル社製セロキサイド2021P(セロキサイドは株式会社ダイセルの登録商標)、1,2−エポキ−4−ビニルシクロヘキサン(ダイセル社製セロキサイド2000)、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート等が挙げられ、この中でも、特に3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートを用いることが好ましい。芳香族グリシジル化合物としては2,2’−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパンが挙げられる。ビニルエーテル化合物としてはメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル等が挙げられる。又、エポキシ変性シリコーンとしては、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のUV−9300を用いることが出来る。
【0070】
次に、重合性化合物がラジカル重合性化合物である場合を説明する。
【0071】
光ラジカル重合性化合物としては、例えば、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の二重結合を有する有機化合物を用いることができる。これらのラジカル重 合性化合物のうち、フィルム形成能等の面から、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステル(以下、両者をあわせて「(メタ)アクリル酸エステル」という)が好 ましい。(メタ)アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリ ル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチ ロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、ポリオールアクリレート、ポリエーテルアクリレート、シリコーン樹脂アクリレート、イミドアクリレート等が挙げられる。これらの光ラジカル重合性化合物は、単一化合物でも二種以上の混合物であっても良い。
【0072】
<光重合性組成物>
本発明の一般式(1)に表されるアルコキシアントラセン化合物、上述の光重合開始剤及び上述の重合性化合物を混合することにより、光重合性組成物とすることができる。一般式(1)に表されるアルコキシアントラセン化合物と光重合開始剤を別々に重合性化合物に添加することも可能であるが、一般式(1)に表されるアルコキシアントラセン化合物と光重合開始剤をあらかじめ混合した後に、重合性化合物に添加することも可能である。
【0073】
本発明の光カチオン重合性組成物又は光ラジカル重合性組成物における一般式(1)に表されるアルコキシアントラセン化合物の使用量は、光重合性組成物に対して0.0025重量%以上、5重量%未満の範囲、好ましくは0.0125重量%以上、2.5重量%未満である。0.0025重量%未満だとブルーカット効果が乏しく、一方5重量%以上だと光重合させて得られる重合物の物性を悪化させるため好ましくない。
【0074】
本発明の光カチオン重合性組成物又は光ラジカル重合性組成物における光重合開始剤の使用量は、光重合性組成物に対して0.0025重量%以上、5重量%未満の範囲、好ましくは0.0125重量%以上、2.5重量%未満である。0.0025重量%未満だと光重合性組成物を光重合させるのに時間がかかってしまい、一方5重量%以上だと光重合させて得られる重合物の硬度が低下し、重合物の物性を悪化させるため好ましくない。
【0075】
<溶剤>
本発明の光重合性組成物は、一般に基材の上に薄く塗布して用いられるため、塗工性が良好となるとの観点から、更に、溶剤を含むのが好ましい。溶剤は、上述した各成分を溶解することができるものであれば特に限定されない。例えば、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチケトン(MIBK)、シクロヘキサノンのようなケトン類;プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、イソプロピルアルコール(IPA)のようなアルコール;シクロヘキサンのようなシクロアルカン;トルエン、キシレン、ベンジルアルコールのような芳香族炭化水素化合物が挙げられる。なかでも、溶解性、乾燥性や塗装性に優れるという観点から、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、MIBKが好ましい。溶剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0076】
本発明においては、任意の溶剤の含有量は、塗工性の観点から、光重合性組成物の全量中、0.1〜85質量%であるのが好ましい。
【0077】
<レベリング剤>
本発明の組成物は、重合皮膜のブルーライトカット機能がより良好となるとの理由から、更に、レベリング剤を含むのが好ましい。レベリング剤としては、例えば、シリコーン系レベリング剤、アクリル系レベリング剤、ビニル系レベリング剤、フッ素系レベリング剤等が挙げられる。これらのうち、重合皮膜の均一性を高め、結果として、重合皮膜の透明性が良好となるという理由から、アクリル系レベリング剤を用いるのが好ましい。
【0078】
本発明においては、任意のレベリング剤の含有量は、塗工性の観点から、光重合性組成物の全量中、0.01〜3質量%であるのが好ましい。
【0079】
本発明の組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、例えば、紫外線吸収剤、充填剤、老化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、接着性付与剤、アンチブロック剤、分散剤、酸化防止剤、消泡剤、艶消し剤、光安定剤、染料、顔料のような添加剤を更に含有することができる。
【0080】
本発明の溶剤を含む光重合性組成物の製造方法は、特に限定されないが、上述した一般式(1)で表すアルコキシアントラセン化合物,光重合開始剤及び重合性化合物に溶剤、レベリング剤及び各種添加剤を添加し、均一に混合することによって製造することができる。添加順序は、特に限定されることはない。いくつかの剤を溶剤に溶解してから混合してもよい。すなわち均一な溶解液となる方法であれば特に問題はない。
【0081】
<ブルーライトカットフィルム及びブルーライトカットフィルム積層体>
本発明のブルーライトカットフィルムは、基材上に上記光重合性組成物を塗布し、光を照射することにより重合硬化させ重合皮膜を形成することにより製造することができる。
【0082】
<基材>
基材としては特に限定されず、その構成材料としては、例えば、プラスチック、ゴム、ガラス、金属、セラミック等が挙げられる。ここで、プラスチックは、熱重合性樹脂および熱可塑性樹脂のいずれであってもよく、その具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シクロオレフィン系重合体(単独重合体、共重合体、水素添加物を含む。例えば、COPやCOC)、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA樹脂)、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アセテート樹脂、ABS樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。また、上記基材は、例えば、コロナ処理のような表面処理がなされていてもよい。また、上記基材の形態は特に限定されないが、フィルム状であるのが好ましい。これらの中で、ガラス基材、金属基材又は酸素非透過性フィルムを基材とすることが好ましい。これらの酸素非透過性の基材を用い、更に、酸素非透過性フィルムを被せることにより、光重合性組成物を安定的にフィルム状とすることができる。
【0083】
上述した方法で調製した光重合性組成物を基材上に塗布し、硬化させ、基材上に重合性皮膜を形成する。
【0084】
基材および重合皮膜の厚さは特に制限されないが、基材の厚さは50〜300μm程度であるのが好ましく、重合皮膜の厚さは0.1〜100μm程度であるのが好ましい。
【0085】
例えば、フィルム状の基材上に、本発明の光重合性組成物を塗工し、乾燥し、紫外線を照射する工程を有する方法が挙げられる。ここで、本発明の光重合性組成物を基材上に塗工する方法は特に限定されず、例えば、はけ塗り、流し塗り、浸漬塗り、スプレー塗り、スピンコート等の公知の塗布方法を採用できる。また、塗工後に乾燥させる温度は、20〜110℃であるのが好ましい。
【0086】
また、本発明の光重合性組成物を重合させる際に使用する紫外線の照射量(積算光量)として、速重合性、作業性の観点から、10〜1000mJ/cm
2が好ましい。紫外線を照射するために使用する装置は特に制限されない。例えば、次のような従来公知のものが挙げられる。このようにして調製した膜に、250〜500nmの波長範囲を含む紫外線を1〜1000mW/cm
2程度の強さで光照射することにより光重合物を得ることができる。用いる光源としてはメタルハライドランプ、キセノンランプ、405nmUV−LED、395nmUV−LED、385nmUV−LED、365nmUV−LED、青色LED、白色LED、フュージョン社製のDバルブ、Vバルブ等が挙げられる。また、太陽光で光重合することも可能である。また、重合させるに際し加熱を併用してもよい。中でも、特に405nmUV−LED,395nmUV−LEDが好ましい。
【0087】
(タックフリーテスト)
本発明の光重合性組成物が光重合したかどうかを判定する方法としては、例えば、タックフリーテスト(指触テスト)により行うことができる。すなわち、光重合性組成物に光照射すると、重合して表面のタック(べたつき)が取れるため、光照射を開始してからタック(べたつき)が取れるまでの時間を測定し、光重合時間を計測する方法である。
【0088】
(酸素非透過性フィルム)
本発明の一般式(1)で表されるアルコキシアントラセン化合物は、光照射時に酸素が存在すると光重合反応中に活性酸素が生成し、分解する反応が一部進行する可能性がある。そこで、本発明の光重合性組成物を光重合するときに、基材上に塗布・乾燥した光重合性組成物上に酸素非透過性フィルムをかぶせたのち、光照射してフィルム状に重合硬化させることにより、該分解反応を防ぐことができる。
【0089】
特に、一般式(4)で表される9,10−ジアルコキシアントラセン化合物の場合は、酸素存在下において特定の波長の紫外線を光照射すると、活性酸素により分解する程度が大きいので、該分解を抑えるためにも酸素非透過性のフィルムを被せることは重要である。
【0090】
このような特定の波長の光と酸素の存在による分解は、本発明のブルーライトカットフィルム形成時だけでなく、フィルム化した後も酸素が存在すると太陽光中に含まれる紫外線により徐々に分解反応が進行する可能性がある。そのため、フィルム化した後も、酸素非透過性フィルムで被覆しておくことが好ましい。
【0091】
このように、酸素非透過性のフィルムを本発明の光重合性組成物に被せて光重合したフィルム状の重合物及び本発明のブルーライトカットフィルムに酸素非透過性のフィルムを被せたものをブルーライトカットフィルム積層体と称する。
【0092】
その具体的な例としては、酸素非透過性の基材上に、本発明のブルーライトカットフィルム、そして酸素非透過性フィルムを積層した構造である。また、2枚の酸素非透過性フィルムの間に本発明のブルーライトカットフィルムを挟んだ形状のものも挙げられる。更に、酸素または空気と接触する面が片方である場合は、酸素または空気と接触する側のみに、酸素非透過性フィルムを被覆した構造でもよい。
【0093】
酸素非透過性のフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロンフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合物フィルム等が挙げられる。
【0094】
光重合反応時に光重合性組成物の上に被せる酸素非透過性フィルムとしては、20℃ドライ条件で、酸素透過度200cm
3/(m
2・day・atm)以下で十分である。例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムのようなもので十分である。しかし、ブルーライトカットフィルム積層体として長期の安定性が求められる時は、20℃ドライ条件で、酸素透過度10cm
3/(m
2・day・atm)以下であることが好ましい。
【0095】
酸素透過度は、フィルムの素材によって異なるが、フィルムの厚みの影響も受ける。よって、酸素透過度200cm
3/(m
2・day・atm)以下のフィルムとしては、例えば、エチレン含有率56%のエチレン−ビニルアルコール共重合物であれば、1μm程度のものが使用可能である。ポリエチレンテレフタレートは10μm以上、ナイロン6であれば20μm以上の膜厚のフィルムが挙げられる。高分子フィルムの表面に無機酸化物から成る薄膜を真空蒸着法又はプラズマ化学気相成長(CVD)法等の真空プロセスで形成してバリア層を設けたもの、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムやナイロンフィルムの上にアルミナや酸化珪素などの蒸着層を設けたもの(酸素透過度10cm
3/(m
2・day・atm)以下)などはさらに好ましい。
【0096】
<ブルーライトカットフィルム及びブルーライトカットフィルム積層体の用途>
本発明のブルーライトカットフィルム及びブルーライトカットフィルム積層体は、例えば、電子画像表示装置、眼鏡レンズ、照明(特に、LED照明)用の保護カバー、太陽電池モジュール部材等に使用することができる。電子画像表示装置としては、例えば、パソコン、テレビ、タッチパネル、ウェラブル端末(例えば、眼鏡型、腕時計型などの身体に身につけることが可能なコンピューター端末)などのディスプレイ用途電子デバイス部品が挙げられる。本発明の積層体を電子画像表示装置等に内蔵または後付け(例えば外部からの貼付等)することができる。本発明の積層体を電子画像表示装置等に内蔵する場合、例えば反射板以外の部分に適用することができる。具体的には例えば、レンズシート、拡散シート、導光板に適用することができる。本発明の組成物を電子画像表示装置に直接適用して重合皮膜を形成することができる。
【実施例】
【0097】
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定さ
れない。
【0098】
〔実施例1〕
<光重合性組成物の調製>
ブルーライト吸収剤として、9,10-ジブトキシアントラセン(DBA)を1部、光重合開始剤としてCPI−100Pを5部、重合性化合物としてセロキサイド2021Pを100部、溶剤としてメチルエチルケトンを30部、レベリング剤としてアクリル系レベリング剤(BYK361N、ビックケミー・ジャパン社製)0.1部を撹拌下混合し、光重合性組成物を調製した。
【0099】
<ブルーライトカットフィルムの製造>
上記のようにして得られた各光重合性組成物をTACフィルム(厚さ100μm)上にバーコーターを用いて乾燥後の膜厚で18μm又は30μmとなるよう塗布し、80℃の条件で乾燥させた。これにアイテックシステム社製の405nmLED−UVを用いて照射(照射条件:照射強度11.5mW/cm
2、積算光量20mJ/cm
2以上)して光重合性組成物を重合させ、積層体を作製した。タックフリータイムは13秒であった。
【0100】
〔評価〕
製造したブルーライトカットフィルムを用いて以下の評価を行った。結果を第1表に示す。
【0101】
<重合皮膜の405nmUV−LED光のカット率>
上述のとおり製造したブルーライトカットフィルムに、装置としてアイテックシステム社製405nmUV−LEDを照射し、その405nmのブルーライトカットフィルム透過後の照度をウシオ電機株式会社製 紫外線照度計 UNI−METER UIT−101、受光器はUVD−405PDを用いて測定し、405nmにおける透過率(%)を測定した。測定結果を下記式に当てはめて積層体のブルーライトの405nmでのカット率を算出した。405nmカット率は、52%であった。
【0102】
【数1】
【0103】
〔実施例2〜4および比較例1,2〕
ブルーライト吸収剤、光重合開始剤及び重合性化合物を下記表1の各成分とし、表1に示す組成(質量部)で、実施例1と同様にして撹拌機を用いて混合し、光重合性組成物を調製した。そして実施例1と同様に得られた光重合性組成物を重合させ、積層体を作成し、実施例1と同様に重合皮膜の405nmUV−LED光のカット率を測定し、その結果を表1に記載した。
【0104】
〔実施例5、6、比較例3〕
ブルーライト吸収剤、光重合開始剤及び重合性化合物を下記表1の各成分とし、表1に示す組成(質量部)で、実施例1と同様にして撹拌機を用いて混合し、光重合性組成物を調製した。そして、得られた各光重合性組成物をTACフィルム(厚さ100μm)上にバーコーターを用いて乾燥後の膜厚で18μm又は30μmとなるよう塗布し、80℃の条件で乾燥させた。そして、該塗布膜の上に、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ50μm、酸素透過度110cm
3/(m
2・day・atm))を被せ、その上から、アイテックシステム社製の405nmLED−UVを用いて照射(照射条件:照射強度11.5mW/cm
2、積算光量20mJ/cm
2以上)して光重合性組成物を重合させ、積層体を作製した。タックフリータイム、及び重合皮膜の405nmUV−LED光のカット率を測定し、その結果を表1に記載した。
【0105】
【表1】
【0106】
実施例1〜6及び比較例1、3と表1に示す結果から明らかなように、本発明のブルーライト吸収剤である一般式(1)で表すアルコキシアントラセン化合物を配合したフィルムの405nmのカット率は50%以上を示しているのに対して、一般的なUV−A吸収剤であるチオキサントン化合物を配合して調製した比較例1、2のフィルムは、405nmのカット率は30%以下であり、本発明のブルーライト吸収剤を含有するブルーライトカットフィルムのブルーライトカット機能が優れていることがわかる。また、光重合反応時に光重合性組成物の上に酸素非透過性フィルムを被覆することにより405nmカット率が増加したことが分かる。この現象は、実施例1と4では、光重合反応時に酸素が存在していることにより、DBAの一部が活性酸素により分解し、フィルム中のDBAの含有量が減少するが、実施例5及び6では酸素の影響が排除されるため、DBAの分解が起こらず、結果としてフィルムの405nmカット率が増加したと考えられる。他方、比較例で用いているDETXではこのような効果は見られない。