【解決手段】バッテリーケース12は、冷却器41を載置可能な載置面19を有するロアケース12と、載置面19から突出した形態であり、バッテリーモジュール28をロアケース12に固定するためのナット17を包囲する包囲部20と、包囲部20の外面に形成され、冷却器41が載置面19と平行に変位することを規制する規制面21とを備えている。包囲部20は、ナット17を保持する機能と、冷却器41をロアケース12に位置決めする機能とを兼ね備えている。包囲部20とは別に、冷却器41をロアケース12に位置決めするための専用の位置決め手段を設ける場合に比べると、ロアケース12の形状や構造を簡素化できる。
前記冷却器が、前記載置面と前記バッテリーモジュールの底面との間で挟み付けられることで、前記載置面からの浮き上がりが規制されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のバッテリーケース。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、複数の前記包囲部が、前記冷却器の長さ方向に沿って間隔を空けて配されており、前記載置面には、前記複数の包囲部の並び方向に沿って延びた形態であり、隣り合う前記包囲部の間に配されたリブが設けられていてもよい。この構成によれば、冷却器を載置面に載置する際に、リブを目印にして冷却器を所定の位置に配置することができる。
【0010】
本発明は、前記載置面が合成樹脂材料からなり、前記リブが前記載置面に一体に形成されていてもよい。この構成によれば、リブを一体形成したことによって載置面の形成母体の面剛性が向上するので、ロアケースの変形を抑制することができる。
【0011】
本発明は、前記リブの少なくとも一方の端部が、前記包囲部に連なっていてもよい。この構成によれば、包囲部の変形等を防止することができる。
【0012】
本発明は、前記冷却器が、前記載置面と前記バッテリーモジュールの底面との間で挟み付けられることで、前記載置面からの浮き上がりが規制されていてもよい。この構成によれば、冷却器が載置面から浮き上がるのを規制するための専用の規制手段を設ける必要がないので、バッテリーケースの構成を簡素化することができる。
【0013】
<実施例1>
以下、本発明を具体化した実施例1を
図1〜
図12を参照して説明する。尚、以下の説明において、上下の方向については、
図1〜7,10,12にあらわれる向きを、そのまま上方、下方と定義する。前後の後方については、
図1〜7における斜め左下方を前方、斜め右上方を後方と定義する。左右の向きについては、
図9,11における上方を右方、下方を左方と定義する。
【0014】
本実施例1のバッテリーパック10は、バッテリーケース11と、複数のナット17と、バッテリーケース11内に収容される複数のバッテリーモジュール28と、複数本の締結バー39と、バッテリーケース11内に収容される複数の冷却器41と、複数のボルト42(
図12を参照)とを備えて構成されている。
【0015】
バッテリーケース11は、平面視形状が略方形をなす略水平な皿状のロアケース12(
図4を参照)と、ロアケース12に対しその上面を覆うように組み付けられた合成樹脂製のカバー24(
図3を参照)とを備えている。ロアケース12の内部空間は、上面が全領域に亘って上方へ開放された形態の浅い収容空間13となっている。収容空間13内には、複数の冷却器41が収容されている。ロアケース12は、平面視形状が略方形をなす金属製のトレイ14と、複数のナット17と、合成樹脂製の被覆層18とを備えて構成されている。
【0016】
図10,12に示すように、トレイ14は、水平な略方形の平板状をなすロアプレート15と、ロアプレート15とは別体部品である略方形のフレーム16とからなる。フレーム16は、内部が中空の角筒材を溶接等により方形に組み付けたものであり、ロアプレート15の上面外周縁に導通可能に固着されている。ロアプレート15の材料とフレーム16の材料は、電食対策のため同一種類の金属である。
【0017】
ロアプレート15の上面には、複数のナット17が、溶接等により軸線を上下方向に向けた状態で固着されている。複数のナット17は、前後方向(ロアケース12の左右両側縁部と平行な方向)に所定間隔を空けて複数の列をなすように配置されているとともに、左右方向(ロアケース12の前後両縁部と平行な方向)に所定間隔を空けて複数の列をなすように配置されている。複数のナット17の一部は、ロアケース12の左右両側縁部に沿うように配されている。
【0018】
被覆層18は、トレイ14の外面を全領域に亘って覆い、且つトレイ14の外面に隙間なく密着している。また、被覆層18は各ナット17の外周面も覆っているが、ナット17の上端面(雌ネジ孔の開口面)は、被覆層18で覆われずに露出している。被覆層18の外周縁部18Eは、その全周に亘り、フレーム16の外周面よりも外方へ水平なフランジ状に張り出している。
【0019】
被覆層18は、ブロー成形機(図示省略)によって成形されている。ブロー成形工程では、軟らかく温度の高い合成樹脂からなる筒状のパリソン(図示省略)でトレイ14を包囲し、そのパリソンを、金型(図示省略)によってトレイ14と一体化させるとともにトレイ14の外面に沿った形状に成形する。このようにして成型されたブロー成形部が、トレイ14及びナット17と一体化した被覆層18となる。
【0020】
被覆層18のうちフレーム16で包囲された略方形の水平領域(即ち、ロアプレート15の上面を覆う領域)は、冷却器41を載置するための載置面19として機能する。載置面19には、上方へ筒状に突出した形態の複数の包囲部20が一体に形成されている。各包囲部20は、被覆層18の一部を構成するものであり、各ナット17の外周面を個別に覆っている。ナット17の上端面は包囲部20の上端面と面一状をなしている。複数の包囲部20は、前後方向に一定間隔を空けて並ぶように配されているとともに、左右方向に一定間隔を空けて並ぶように配されている。各包囲部20の外周面は、後述する冷却器41の左右方向への変位を規制するための規制面21として機能する。
【0021】
載置面19には、前後方向に細長く延びた複数本のリブ22が突出形成されている。リブ22も、包囲部20と同じく被覆層18の一部を構成する。複数本のリブ22のうち左右両端に位置する一対のリブ22は、ロアケース12(トレイ14のフレーム16)の左右両内側面12Sから張り出した形態である。
図8に示すように、ロアケース12の収容空間13は、複数本のリブ22と複数の包囲部20とにより、複数の収容凹部23に区画されている。各収容凹部23は前後方向に細長く延びている。そして、複数の収容凹部23は左右方向に並列するように配されている。
【0022】
前後に隣り合う包囲部20の間に配されたリブ22の前後両端部は、その隣り合う2つの包囲部20の規制面21に連なっている。また、ロアケース12の前側の内面12Fと最前端に位置する包囲部20との間に配されたリブ22の前後両端部は、ロアケース12の前側の内面12Fと最前端の包囲部20の規制面21とに連なっている。ロアケース12の後側の内面12Rと最後端に位置する包囲部20との間に配されたリブ22の前後両端部は、ロアケース12の後側の内面12Rと最後端の包囲部20の規制面21とに連なっている。
【0023】
リブ22の幅寸法は包囲部20の直径より小さい寸法なので、規制面21の左右側面領域は、リブ22の側面から左右方向へ円弧状に突出している。左右に隣り合う規制面21間の最小間隔は、冷却器41の幅寸法と概ね同じ寸法である。詳細には、左右方向に隣り合う規制面21の最小間隔は、冷却器41の幅寸法と同じ寸法か、冷却器41の幅寸法より僅かに大きい寸法か、冷却器41の幅寸法より僅かに小さい寸法のいずれかに設定されている。
【0024】
カバー24は、合成樹脂材料からなり、水平な上壁部25と、上壁部25の外周縁から全周に亘って下方へ延出した周壁部26と、周壁部26の下端縁から全周に亘って外方へ水平に張り出したフランジ部27とを備えた単一部品である。カバー24は、そのフランジ部27を被覆層18の外周縁部18Eの上面に面当たり状態で積層するようにして、ロアケース12に取り付けられている。カバー24のフランジ部27の下面と被覆層18の外周縁部18Eの上面とが接触する領域は、溶着、ガスケット、シール部材等のシール手段(図示省略)により液密状にシールされた状態となっている。尚、シール手段は、インサート等によってカバー24のフランジ部27と一体化させてもよい。
【0025】
ロアケース12の上面に形成された各収容凹部23内には、夫々、冷却器41が収容されている。冷却器41は、前後方向に細長く且つ上下寸法の小さい偏平な板状をなす。冷却器41の前後寸法は、ロアケース12の前側の内面12Fと後側の内面12Rとの間隔よりも少し小さい寸法である。冷却器41の内部には、バッテリーで発生した熱をバッテリーパック10(バッテリーケース11)の外部へ排出するための冷却液(図示省略)が前後方向に流動するようになっている。冷却器41は、熱伝導率の高い材料(例えば、アルミニウム、アルミニウム合金など)からなる。
【0026】
図7に示すように、1つのバッテリーモジュール28は、前後方向に積層した複数のバッテリーセル29と、複数のバッテリーセル29を収容するモジュールケース33とを備えている。バッテリーモジュール28の平面視形状は略方形である。バッテリーセル29は、前後方向の寸法が、高さ寸法(上下寸法)及び幅寸法(左右寸法)に比べて小さい厚板状をなす。
図11に示すように、各バッテリーセル29の上端面には(+)電極30と(−)電極31が設けられており、複数のバッテリーセル29は、(+)電極30と(−)電極31を繋ぐバスバー32によって直列接続されている。
【0027】
モジュールケース33は、上面に複数の位置決め溝35が並列して形成された概ね水平板状をなす底板部材34と、底板部材34の外周縁に取り付けたケース本体36とを備えて構成されている。底板部材34は、金属板の外周に合成樹脂製の枠部材を組み付けたものでもよく、全体が金属製のものでもよく、全体が合成樹脂製のものでもよい。ケース本体36は、全体が合成樹脂製のものでもよく、全体が金属製のものでもよく、金属部材と合成樹脂部材を組み付けたものでもよい。
【0028】
モジュールケース33の内部には、複数のバッテリーセル29が位置決め溝35に嵌合して位置決めされた状態で収容されている。ケース本体36の上面の開口縁部のうち前後方向に沿った左右両側縁部には、バッテリーセル29の浮き上がりを抑えるための板状の押え部37が形成されている。バッテリーセル29の上端面のうち左右両端部を除いた大部分の領域と、(+)電極30及び(−)電極31は、ケース本体36の上面の開口領域においてモジュールケース33の外部(上方)に露出している。
【0029】
ケース本体36の前端部下端縁には、側面視形状が略L字形をなす一対の前側脚部が、左右に間隔を空けて形成されている。各前側脚部の下端部は、底板部材34の前面よりも前方へ水平に突出した形態の前側固定片38Fとなっている。一対の前側固定片38Fのうち右側の前側固定片38Fは、バッテリーモジュール28の前端縁部における右端部に配されている。一対の前側固定片38Fのうち左側の前側固定片38Fは、バッテリーモジュール28の前端縁部における左右方向中央よりも少し左側の位置に配されている。
【0030】
ケース本体36の後端部下端縁には、側面視形状が略L字形をなす一対の後側脚部が、左右に間隔を空けて形成されている。各後側脚部の下端部は、底板部材34の後面よりも後方へ水平に突出した形態の後側固定片38Rとなっている。一対の後側固定片38Rのうち左側の後側固定片38Rは、バッテリーモジュール28の後端縁部における左端部に配されている。一対の後側固定片38Rのうち右側の後側固定片38Rは、バッテリーモジュール28の後端縁部における左右方向中央よりも少し右側の位置に配されている。
【0031】
上記のように1つのモジュールケース33には、左右一対の前側固定片38Fと左右一対の後側固定片38Rが形成されている。一対の前側固定片38Fがバッテリーモジュール28の左右方向中央よりも右側へ片寄った配置となっているのに対し、一対の後側固定片38Rは、前側固定片38Fとは逆に、バッテリーモジュール28の左右方向中央よりも左側へ片寄った配置となっている。つまり、一対の前側固定片38Fと一対の後側固定片38Rは、平面視において、点対称な配置となっている。
【0032】
また、一対の前側固定片38Fの左右間隔は1つの後側固定片38Rの左右寸法より少し大きい寸法に設定されている。一対の後側固定片38Rの左右間隔は1つの前側固定片38Fの左右寸法より少し大きい寸法に設定されている。したがって、2つのバッテリーモジュール28を前後に隣り合うように配置すると、両バッテリーモジュール28の間の空間では、前側のバッテリーモジュール28に設けた一対の後側固定片38Rと、後側のバッテリーモジュール28に設けた一対の前側固定片38Fとが、互いに干渉することなく、左右方向に交互に且つ一列に並ぶように配される。
【0033】
バッテリーパック10を組み付ける際には、ロアケース12の上面に形成されている複数の収容凹部23に、夫々、冷却器41を収容し、その後、バッテリーモジュール28をロアケース12にセットする。このとき、各冷却器41の上面を、前後方向に間隔を空けて並べた複数(本実施例1では4つ)のバッテリーモジュール28で覆うようにする。バッテリーモジュール28は冷却器41の上面に面当たり状態で載置される。
【0034】
また、前側のバッテリーモジュール28と後側のバッテリーモジュール28との間では、一対の前側固定片38Fと一対の後側固定片38Rが左右に並ぶように配置する。最前端のバッテリーモジュール28の前方には一対の前側固定片38Fのみが配され、最後端のバッテリーモジュール28の後方には一対の後側固定片38Rのみが配される。また、左右に隣り合うバッテリーモジュール28は、殆ど隙間を空けずに接近した状態、又は互いに当接した状態となっている。
【0035】
ロアケース12に載置した冷却器41とバッテリーモジュール28は、複数本の締結バー39を用いてロアケース12に固定する。締結バー39は、金属製であり、左右方向に細長い形状をなす。締結バー39には、上下方向に貫通する複数の貫通孔40が形成されている。隣り合う貫通孔40のピッチは、左右に隣り合うナット17のピッチと同じ寸法である。
【0036】
締結バー39は、前後に隣り合う2つのバッテリーモジュール28の間の隙間に落とし込むように収容される。収容した締結バー39は、一対の前側固定片38Fの上面と一対の後側固定片38Rの上面に対し面当たり状態で載置される。この後、貫通孔40をナット17に対し同軸状に位置合わせし、締結バー39の上方からボルト42を貫通孔40に挿入してナット17にねじ込む。同様に、最前端に位置するバッテリーモジュール28の前側固定片38Fの上面と、最後端に位置するバッテリーモジュール28の後側固定片38Rの上面にも、締結バー39を載置し、貫通孔40に挿入したボルト42をナット17にねじ込む。
【0037】
ボルト42を締め付けると、締結バー39を介して前側固定片38Fと後側固定片38Rが下方へ押圧されることで、バッテリーモジュール28が冷却器41の上面に押し付けられ、締結バー39がナット17を介してロアケース12に固定される。冷却器41の上面はバッテリーモジュール28で覆われる。そして、全ての締結バー39がロアケース12に固定されると、全てのバッテリーモジュール28と全ての冷却器41が、載置面19と締結バー39の下面との間で上下に挟み付けられた状態で、ロアケース12に固定される。
【0038】
複数のバッテリーモジュール28をロアケース12に固定した後、バッテリーモジュール28を上から覆い隠すようにカバー24を被せ、被せたカバー24を溶着等によってロアケース12に固定する。これにより、バッテリーケース11が構成されるとともに、バッテリーケース11内に複数のバッテリーモジュール28と複数の冷却器41が固定された状態で収容される。以上により、バッテリーパック10の組付けが完了する。
【0039】
本実施例のバッテリーパック10は、バッテリーケース11にバッテリーモジュール28を固定するための部品点数の削減を図ることができるものである。このバッテリーパック10は、ロアケース12の上面をカバー24で覆った形態のバッテリーケース11と、ロアケース12を構成する金属製のトレイ14とを備えている。トレイ14の上面には複数本のナット17が固定されている。バッテリーケース11内には複数のバッテリーモジュール28が収容され、バッテリーモジュール28には前側固定片38Fと後側固定片38Rが形成されている。
【0040】
締結バー39は、ボルト42の締付けによってナット17に取り付けられる。締結バー39は、左右方向(前側固定片38Fと後側固定片38Rの突出方向と交差する方向)に並ぶ複数のバッテリーモジュール28に形成された複数の前側固定片38Fと後側固定片38Rに対し、一括して当接する。これにより、複数のバッテリーモジュール28がロアケース12に固定される。1つの締結バー39によって複数のバッテリーモジュール28をロアケース12に固定することができるので、1つの締結バー39が1つのバッテリーモジュール28のみを固定する場合に比べると、部品点数を削減できる。
【0041】
前後方向に隣り合うバッテリーモジュール28の間には、隣り合うバッテリーモジュール28の双方に形成した複数の前側固定片38Fと後側固定片38Rが配されており、1つの締結バー39が、隣り合うバッテリーモジュール28の間に配された複数の前側固定片38Fと後側固定片38Rに当接している。
【0042】
締結バー39は、その長さ方向に沿って並ぶ複数のバッテリーモジュール28の固定片38F,38Rだけでなく、締結バー39の長さ方向と交差する前後方向に隣り合うバッテリーモジュール28の固定片38F,38Rにも当接する。したがって、締結バー39の長さ方向と交差する方向に隣り合うバッテリーモジュール28の固定片に、別々の締結バー39が当接する場合に比べると、締結バー39の数を削減することができる。
【0043】
前後に隣り合うバッテリーモジュール28の間においては、その隣り合うバッテリーモジュール28のうち、前側に位置するバッテリーモジュール28の後側固定片38Rと後側に位置するバッテリーモジュール28の前側固定片38Fが一列に並んでいる。この一列に並ぶ前側固定片38Fと後側固定片38Rに、1本の締結バー39が当接している。この構成によれば、前側固定片38Fと後側固定片38Rに2本の締結部材が別々に当接する場合に比べると、前後に隣り合うバッテリーモジュール28の間隔と締結バー39の幅寸法を、小さくすることができる。
【0044】
また、バッテリーモジュール28を構成するモジュールケース33の平面視形状は略方形をなしており、複数の前側固定片38Fと複数の後側固定片38Rが、平面視においてモールドケースの外周に点対称の位置関係となるように配されている。この構成によれば、固定片38F,38Rが形成されているモジュールケース33の平面視形状が概ね点対称となるので、モジュールケース33を1種類とすることができる。
【0045】
また、締結バー39が直線棒状をなしており、締結バー39の長さ方向の両端部が、ロアケース12の互いに対向する左右両内側面12Sに当接している。この構成によれば、締結バー39が、ロアケース12の対向する内側面12Sの間で突っ張り棒として機能するので、ロアケース12の側縁部が左右方向内側へ傾くように変形することを防止できる。
【0046】
また、本実施例のバッテリーケース11は、バッテリーケース11の形状を複雑にすることなく、冷却器41をバッテリーケース11に固定するものである。バッテリーケース11は、冷却器41を載置可能な載置面19を有するロアケース12を有する。載置面19には、載置面19から突出した形態であり、バッテリーモジュール28をロアケース12に固定するためのナット17を包囲する包囲部20が形成されている。包囲部20の外面には、冷却器41が載置面19と平行に変位することを規制する規制面21が形成されている。
【0047】
包囲部20は、ナット17を包囲することで、冷却器41が金属製のナット17と直接干渉しないようにするための保護機能と、冷却器41をロアケース12に位置決めするための位置決め機能とを兼ね備えている。したがって、包囲部20とは別に、冷却器41をロアケース12に位置決めするための専用の位置決め手段を設ける場合に比べると、ロアケース12の形状や構造を簡素化することができる。
【0048】
また、複数の包囲部20は、冷却器41の長さ方向(前後方向)に沿って間隔を空けて配されている。そして、載置面19には、複数の包囲部20の並び方向に沿って延びた形態であり、隣り合う包囲部20の間に配されたリブ22が設けられている。この構成によれば、冷却器41を載置面19に載置する際に、リブ22を目印にして冷却器41を所定の位置に配置することができる。
【0049】
また、載置面19は合成樹脂材料からなっており、リブ22は載置面19に一体に形成されている。リブ22を載置面19に一体に形成したことによって、載置面19の形成母体(被覆層18)の面剛性が向上するので、ロアケース12の変形を抑制する効果が期待できる。また、リブ22の長さ方向の両端部のうち少なくとも一方の端部が、包囲部20に連なっているので、包囲部20の変形等を、リブ22の補強機能によって防止することができる。
【0050】
また、冷却器41は、載置面19とバッテリーモジュール28の底面との間で上下に挟み付けられることで、載置面19からの浮き上がりを規制されている。この構成によれば、冷却器41が載置面19から浮き上がるのを規制するための専用の規制手段を設ける必要がないので、バッテリーケース11の構成を簡素化することができる。
【0051】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例では、包囲部をロアケース(載置面)に一体に形成したが、包囲部は、ロアケースとは別体に成形した部品を、ロアケースに取り付けたものであってもよい。
(2)上記実施例では、ロアケースが金属部材の表面を合成樹脂層で覆った形態であるが、ロアケースは合成樹脂のみで形成されていてもよい。
(3)上記実施例では、包囲部がナットを包囲するが、包囲部はボルトの頭部を包囲するものであってもよい。
(4)上記実施例では、冷却器の長さ方向に沿ったリブを載置面に設けたが、載置面は、上記のようなリブが形成されていない形態であってもよい。
(5)上記実施例では、リブをロアケース(載置面)に一体に形成したが、リブは、ロアケースとは別体に成形した部品を、ロアケースに取り付けたものであってもよい。
(6)上記実施例では、リブの少なくとも一方の端部が包囲部に連なっているが、リブの両端部が包囲部と連なっていない形態であってもよい。
(7)上記実施例では、冷却器が載置面から浮き上がらないようにするための手段として、載置面とバッテリーモジュールとの間で冷却器を挟み付けたが、冷却器が載置面から浮き上がらないようにするための専用手段をバッテリーモジュールとは別に設けてもよい。
(8)上記実施例では、締結バーを用いてバッテリーモジュールをロアケースに固定したが、バッテリーモジュールをロアケースに固定する手段として、締結バーを用いず、バッテリーモジュールの固定片等に形成した貫通孔にボルトを通してナットで締め付けるてもよい。