特開2018-181769(P2018-181769A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヒロセ電機株式会社の特許一覧

特開2018-181769ケーブル接続用の立上部を有したケーブルコネクタと、これを用いた電気コネクタ装置
<>
  • 特開2018181769-ケーブル接続用の立上部を有したケーブルコネクタと、これを用いた電気コネクタ装置 図000003
  • 特開2018181769-ケーブル接続用の立上部を有したケーブルコネクタと、これを用いた電気コネクタ装置 図000004
  • 特開2018181769-ケーブル接続用の立上部を有したケーブルコネクタと、これを用いた電気コネクタ装置 図000005
  • 特開2018181769-ケーブル接続用の立上部を有したケーブルコネクタと、これを用いた電気コネクタ装置 図000006
  • 特開2018181769-ケーブル接続用の立上部を有したケーブルコネクタと、これを用いた電気コネクタ装置 図000007
  • 特開2018181769-ケーブル接続用の立上部を有したケーブルコネクタと、これを用いた電気コネクタ装置 図000008
  • 特開2018181769-ケーブル接続用の立上部を有したケーブルコネクタと、これを用いた電気コネクタ装置 図000009
  • 特開2018181769-ケーブル接続用の立上部を有したケーブルコネクタと、これを用いた電気コネクタ装置 図000010
  • 特開2018181769-ケーブル接続用の立上部を有したケーブルコネクタと、これを用いた電気コネクタ装置 図000011
  • 特開2018181769-ケーブル接続用の立上部を有したケーブルコネクタと、これを用いた電気コネクタ装置 図000012
  • 特開2018181769-ケーブル接続用の立上部を有したケーブルコネクタと、これを用いた電気コネクタ装置 図000013
  • 特開2018181769-ケーブル接続用の立上部を有したケーブルコネクタと、これを用いた電気コネクタ装置 図000014
  • 特開2018181769-ケーブル接続用の立上部を有したケーブルコネクタと、これを用いた電気コネクタ装置 図000015
  • 特開2018181769-ケーブル接続用の立上部を有したケーブルコネクタと、これを用いた電気コネクタ装置 図000016
  • 特開2018181769-ケーブル接続用の立上部を有したケーブルコネクタと、これを用いた電気コネクタ装置 図000017
  • 特開2018181769-ケーブル接続用の立上部を有したケーブルコネクタと、これを用いた電気コネクタ装置 図000018
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-181769(P2018-181769A)
(43)【公開日】2018年11月15日
(54)【発明の名称】ケーブル接続用の立上部を有したケーブルコネクタと、これを用いた電気コネクタ装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6471 20110101AFI20181019BHJP
   H01R 13/658 20110101ALI20181019BHJP
   H01R 13/6463 20110101ALI20181019BHJP
   H01R 4/24 20180101ALI20181019BHJP
【FI】
   H01R13/6471
   H01R13/658
   H01R13/6463
   H01R4/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-83832(P2017-83832)
(22)【出願日】2017年4月20日
(71)【出願人】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】長沼 健一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隼人
【テーマコード(参考)】
5E012
5E021
【Fターム(参考)】
5E012AA02
5E012AA31
5E021FA05
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB02
5E021FB07
5E021FC20
5E021FC32
5E021LA06
5E021LA15
(57)【要約】
【課題】ケーブル接続用の立上部を有したケーブルコネクタにおいて、伝送特性が良好で、且つ、結線作業を簡単に行うことができるケーブルコネクタ等を提供する。
【解決手段】2組の信号端子のペアと、信号端子のペア同士の間に配置されたグラウンド端子を含む。これらの端子は、端子間方向と長さ方向とを有する端子支持部材の主面から、高さ方向においてケーブルの接続側に向って立ち上げられた、端子支持部材から露出した立上部を有する。グラウンド端子の立上部の少なくとも一部は、高さ方向と直交し且つ端子支持部材の主面に対して平行に拡がる少なくとも一つの面内において、端子間方向においてグラウンド端子に近接した一方のペアに含まれる信号端子の立上部と他方のペアに含まれる信号端子の立上部との間に位置する第1仮想部分と長さ方向において同立上部同士の間に位置する第2仮想部分との交差域の範囲内に位置付けられている。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端子と、該複数の端子を支持する端子支持部材とを有する、ケーブルコネクタにおいて、
前記複数の端子は、端子間方向において互いに離間して配置された少なくとも2組の信号端子のペアと、前記端子間方向において前記2組の信号端子のペアのうちの一方の信号端子のペアと他方の信号端子のペアとの間に配置された少なくとも1つのグラウンド端子と、を含み、
前記複数の端子は各々、
前記端子支持部材によって支持される支持部と、
相手端子と接触させる接触部と、
前記端子間方向と、該端子間方向と直交する前記端子の長さ方向と、を有する前記端子支持部材の主面から、前記端子間方向と前記長さ方向の双方と直交する高さ方向においてケーブルの接続側に向って立ち上げられた、前記端子支持部材から露出した立上部と、を含み、
前記グラウンド端子は、第1の立上部を有し、前記一方の信号端子のペアに含まれる信号端子のうち前記端子間方向において前記グラウンド端子に近い側に配置された信号端子は、第2の立上部を有し、前記他方の信号端子のペアに含まれる信号端子のうち前記端子間方向において前記グラウンド端子に近い側に配置された信号端子は、第3の立上部を有し、前記第2の立上部と前記第3の立上部には、ケーブルを接続することが可能であり、
前記第1立上部の少なくとも一部は、前記高さ方向と直交し且つ前記主面に対して平行に拡がる少なくとも一つの面内において、前記端子間方向において前記第2立上部と前記第3立上部との間に位置する第1仮想部分と前記長さ方向において前記第2立上部と前記第3立上部との間に位置する第2仮想部分との交差域の範囲内に位置付けられている、
ことを特徴とするケーブルコネクタ。
【請求項2】
前記第2の立上部及び前記第3の立上部のうちのいずれか一方は、前記長さ方向において、前記第1の立上部よりも前記相手端子との接触側に近い側又は前記相手端子との接触側から遠い側に位置付けられ、これに対応して、他方は、前記長さ方向において、前記第1の立上部よりも前記相手端子との接触側から遠い側又は前記相手端子との接触側に近い側に位置付けられている、請求項1に記載のケーブルコネクタ。
【請求項3】
前記第2の立上部と前記第3の立上部は、前記長さ方向において同じ位置に位置付けられている、請求項1に記載のケーブルコネクタ。
【請求項4】
前記一方の信号端子のペアに含まれる信号端子のうち前記端子間方向において前記グラウンド端子から遠い側に配置された信号端子は、第4の立上部を有し、前記他方の信号端子のペアに含まれる信号端子のうち前記端子間方向において前記グラウンド端子から遠い側に配置された信号端子は、第5立上部を有し、前記第4の立上部と前記第5の立上部には、ケーブルを接続することが可能であり、
前記第4立上部は、前記長さ方向において、前記第1立上部よりも前記相手端子との接触側に近い側又は前記相手端子との接触側から遠い側に位置付けられ、これに対応して、前記第5立上部は、前記長さ方向において、前記第1立上部よりも前記相手端子から遠い側又は前記相手端子との接触側に近い側に位置付けられている、請求項1乃至3のいずれかに記載のケーブルコネクタ。
【請求項5】
前記一方の信号端子のペアに含まれる信号端子のうち前記端子間方向において前記グラウンド端子から遠い側に配置された信号端子は、第4の立上部を有し、前記他方の信号端子のペアに含まれる信号端子のうち前記端子間方向において前記グラウンド端子から遠い側に配置された信号端子は、第5立上部を有し、前記第4の立上部と前記第5の立上部には、ケーブルを接続することが可能であり、
前記第4立上部と前記第5立上部は、前記長さ方向において、同じ位置に位置付けられている、請求項1乃至3のいずれかに記載のケーブルコネクタ。
【請求項6】
前記第1立上部、前記第2立上部、及び前記第3立上部は、前記長さ方向において、同じ位置に位置付けられている、請求項3、4、5のいずれかに記載のケーブルコネクタ。
【請求項7】
前記第1立上部、前記第4立上部、及び前記第5立上部は、前記長さ方向において、同じ位置に位置付けられている、請求項2、3、5のいずれかに記載のケーブルコネクタ。
【請求項8】
前記第1立上部、前記第2立上部、及び第4立上部は、前記第2立上部を頂点とする二等辺三角形を形成する、請求項2、3、5、7のいずれかに記載のケーブルコネクタ。
【請求項9】
前記第1立上部、前記第3立上部、及び第5立上部は、前記第3立上部を頂点とする二等辺三角形を形成する、請求項2、3、5、6、8のいずれかに記載のケーブルコネクタ。
【請求項10】
前記立上部は、前記端子間方向に延びる部分を有する、請求項1乃至9のいずれかに記載のケーブルコネクタ。
【請求項11】
前記立上部は、前記長さ方向に延びる部分を有する、請求項1乃至10のいずれかに記載のケーブルコネクタ。
【請求項12】
前記立上部は、ケーブルの一部を切断可能な、前記高さ方向に沿った切断用の溝を有する、請求項1乃至11のいずれかに記載のケーブルコネクタ。
【請求項13】
前記端子の少なくとも前記支持部及び前記接触部は、前記複数の端子同士の間で、前記長さ方向において同じ長さを有し、且つ、前記高さ方向(γ)において同じ高さに位置付けられている、請求項1乃至12のいずれかに記載のケーブルコネクタ。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれかに記載のケーブルコネクタと相手コネクタとの組み合わせから成る電気コネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルコネクタ、更に言えば、ケーブル接続用の立上部を有したケーブルコネクタと、これを用いた電気コネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許第4623584号(特許文献1)に、ケーブルコネクタの一例が開示されている。ここに開示されたケーブルコネクタは、信号対同士が隣り合うことによって生ずる問題、例えば、クロストークの問題を解決して、伝送特性が良好で、且つ、結線作業を簡単に行うことができるケーブルコネクタを提供することを目的とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4623584号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
結線作業は半田付けによって行われることが多く、また、手作業で行われることも多い。この結果、結線状態は不安定となりがちであり、例えば、使用される半田量や、結線の接続方向等によっては、信号特性に悪影響を及ぼしてしまうこともあり、半田付け作業は相当の熟練を要するものとなっていた。
作業を簡易化するために、圧接を利用して結線作業を行うこともある。この場合は、例えば、端子の一部を端子を支持するハウジングの主面からケーブルの接続側に向って立ち上げることによってハウジングから露出させた立上部が使用される。立上部の先端には、ケーブルの外被を切断することができる隙間が設けられており、この隙間にケーブルを押し込むだけで簡単に外被を切断して露出した芯線を立上部に結線できるようになっている。
【0005】
しかしながら、このような立上部を設けた場合には、ハウジングから露出した立上部同士がハウジングを介さずに直接接近することになり、この結果、伝送特性が悪化してしまうといった問題が生じてしまう。
【0006】
本発明は、このような従来技術における問題点を解決するためになされたものであり、特に、ケーブル接続用の立上部を有したケーブルコネクタにおいて、伝送特性が良好で、且つ、結線作業を簡単に行うことができるケーブルコネクタと、これを用いた電気コネクタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様によるケーブルコネクタは、複数の端子と、該複数の端子を支持する端子支持部材とを有する、ケーブルコネクタにおいて、前記複数の端子は、端子間方向において互いに離間して配置された少なくとも2組の信号端子のペアと、前記端子間方向において前記2組の信号端子のペアのうちの一方の信号端子のペアと他方の信号端子のペアとの間に配置された少なくとも1つのグラウンド端子と、を含み、前記複数の端子は各々、前記端子支持部材によって支持される支持部と、相手端子と接触させる接触部と、前記端子間方向と、該端子間方向(β)と直交する前記端子の長さ方向と、を有する前記端子支持部材の主面から、前記端子間方向と前記長さ方向の双方と直交する高さ方向においてケーブルの接続側に向って立ち上げられた、前記端子支持部材から露出した立上部と、を含み、前記グラウンド端子は、第1の立上部を有し、前記一方の信号端子のペアに含まれる信号端子のうち前記端子間方向において前記グラウンド端子に近い側に配置された信号端子は、第2の立上部を有し、前記他方の信号端子のペアに含まれる信号端子のうち前記端子間方向において前記グラウンド端子に近い側に配置された信号端子は、第3の立上部を有し、前記第2の立上部と前記第3の立上部には、ケーブルを接続することが可能であり、前記第1立上部の少なくとも一部は、前記高さ方向と直交し且つ前記主面に対して平行に拡がる少なくとも一つの面内において、前記端子間方向において前記第2立上部と前記第3立上部との間に位置する第1仮想部分と前記長さ方向において前記第2立上部と前記第3立上部との間に位置する第2仮想部分との交差域の範囲内に位置付けられている、ことを特徴とする。
この態様のケーブルコネクタによれば、ケーブル接続用の立上部を有したケーブルコネクタにおいて、伝送特性が良好で、且つ、結線作業を簡単に行うことができるケーブルコネクタと、これを用いた電気コネクタ装置を提供することができる。
【0008】
上記態様のケーブルコネクタにおいて、ノイズをより効果的に低減させるため、前記第2の立上部及び前記第3の立上部のうちのいずれか一方は、前記長さ方向において、前記第1の立上部よりも前記相手端子との接触側に近い側又は前記相手端子との接触側から遠い側に位置付けられ、これに対応して、他方は、前記長さ方向において、前記第1の立上部よりも前記相手端子との接触側から遠い側又は前記相手端子との接触側に近い側に位置付けられていてもよい。
【0009】
上記態様のケーブルコネクタにおいて、装置を小型化するため、前記第2の立上部と前記第3の立上部は、前記長さ方向において同じ位置に位置付けられていてもよい。更に、前記第1立上部、前記第2立上部、及び前記第3立上部は、前記長さ方向において、同じ位置に位置付けられていてもよい。
【0010】
また、上記態様のケーブルコネクタにおいて、ノイズをより効果的に低減させるため、前記一方の信号端子のペアに含まれる信号端子のうち前記端子間方向において前記グラウンド端子から遠い側に配置された信号端子は、第4の立上部を有し、前記他方の信号端子のペアに含まれる信号端子のうち前記端子間方向において前記グラウンド端子から遠い側に配置された信号端子は、第5立上部を有し、前記第4の立上部と前記第5の立上部には、ケーブルを接続することが可能であり、前記第4立上部は、前記長さ方向において、前記第1立上部よりも前記相手端子との接触側に近い側又は前記相手端子との接触側から遠い側に位置付けられ、これに対応して、前記第5立上部は、前記長さ方向において、前記第1立上部よりも前記相手端子から遠い側又は前記相手端子との接触側に近い側に位置付けられていてもよい。
【0011】
上記態様のケーブルコネクタにおいて、装置を小型化するため、前記一方の信号端子のペアに含まれる信号端子のうち前記端子間方向において前記グラウンド端子から遠い側に配置された信号端子は、第4の立上部を有し、前記他方の信号端子のペアに含まれる信号端子のうち前記端子間方向において前記グラウンド端子から遠い側に配置された信号端子は、第5立上部を有し、前記第4の立上部と前記第5の立上部には、ケーブルを接続することが可能であり、前記第4立上部と前記第5立上部は、前記長さ方向において、同じ位置に位置付けられていてもよい。
【0012】
更に、前記第1立上部、前記第4立上部、及び前記第5立上部は、前記長さ方向において、同じ位置に位置付けられていてもよい。
【0013】
更に、上記態様のケーブルコネクタにおいて、ノイズの低減と装置の小型化の双方を考慮して、前記第1立上部、前記第2立上部、及び第4立上部は、前記第2立上部を頂点とする二等辺三角形を形成するのが好ましく、また、前記第1立上部、前記第3立上部、及び第5立上部は、前記第3立上部を頂点とする二等辺三角形を形成するのが好ましい。
【0014】
上記態様のケーブルコネクタにおいて、前記立上部は、前記端子間方向に延びる部分を有していてもよく、前記長さ方向に延びる部分を有していてもよい。
また、上記態様のケーブルコネクタにおいて、前記立上部は、ケーブルの一部を切断可能な、前記高さ方向に沿った切断用の溝を有していてもよい。
【0015】
また、上記態様のケーブルコネクタにおいて、前記端子の少なくとも前記支持部及び前記接触部は、前記複数の端子同士の間で、前記長さ方向において同じ長さを有し、且つ、前記高さ方向において同じ高さに位置付けられているのが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ケーブル接続用の立上部を有したケーブルコネクタにおいて、伝送特性が良好で、且つ、結線作業を簡単に行うことができるケーブルコネクタと、これを用いた電気コネクタ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明によるケーブルコネクタを用いた電気コネクタ装置の斜視図である。
図2】ケーブルコネクタからフードを取り除いた斜視図である。
図3図2に示す状態からシェルを取り除いた斜視図である。
図4図3の分解斜視図である。
図5】ケーブル保持体を取り外したハウジングの前側斜視図である。
図6】端子支持部材を端子とともに示した斜視図である。
図7図6に示した構成の側面図である。
図8】端子支持部材によって支持された端子の配列状態を示す斜視図である。
図9図8に示した構成の側面図である。
図10図5に示した構成の平面図である。
図11図10に示した構成の背面図である。
図12】変形例を示す図であって、ケーブル保持体を取り外したハウジングの後側斜視図である。
図13図12に示した構成の平面図である。
図14図12に示した構成の背面図である。
図15】他の変形例を示す図である。
図16】クロストークの軽減効果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態によるケーブルコネクタについて説明する。尚、ここでは、本発明の好適な実施形態のみを示すが、勿論、これによって本発明を限定しようとするものではない。
【0019】
図1は、本発明によるケーブルコネクタ10を用いた電気コネクタ装置1の斜視図である。電気コネクタ装置1は、ケーブルコネクタ10と相手コネクタ90の組から成る。相手コネクタ90は、例えば、基板3に接続された基板実装型のコネクタであってもよいが、ケーブルコネクタ10と同様に、相手コネクタ90もまたケーブル接続型としてもよい。ケーブルコネクタ10は、基板コネクタ90に対して嵌合、抜去させることができる。
【0020】
ケーブルコネクタ10と基板コネクタ90の嵌合は、それらのシェルを利用してロックすることができる。ケーブルコネクタ10と基板コネクタ90を嵌合させたとき、基板コネクタ90の前面に設けた略矩形の嵌合穴97に、ケーブルコネクタ10のシェルに設けた先細の被嵌合部50aが挿入され、基板コネクタ90のシェル98の天井部及び底板部に設けた被ロック部、例えば、貫通孔99に、ケーブルコネクタ10の先端部50aの上側及び下側から弾性的に突出したロック部、例えば、シェルの穴53から弾性的に突き出たロック突部35が嵌る。この結果、ケーブルコネクタ10と基板コネクタ90の嵌合はロックされる。ロックは、例えば、ケーブルコネクタ10に設けたロック爪操作部13を利用して解除することができる。
【0021】
基板コネクタ90は、主に、絶縁ハウジング92と、一部を露出させた状態で絶縁ハウジング92によって保持された端子96と、更に、絶縁ハウジング92の外周面を覆う導電性のシェル98を有する。
【0022】
絶縁ハウジング92の前面には、コネクタ10の一部を嵌合させることができる嵌合穴97が設けられている。嵌合穴97には更に、コネクタ10のハウジング20によって形成された嵌合凹部28に適合する嵌合凸部97aが設けられている。嵌合凸部97aには、端子96の一端側96aが露出した状態で配列されている。一方、端子96の他端側96bは、基板3に半田付けされている。シェル98の一部98aは、基板3の所定位置に固定され、これによりシェル98はグラウンドに接地される。
【0023】
図2に、ケーブルコネクタ10からフード12(図1参照)を取り除いた斜視図を、図3に、図2に示す状態からシェル30と電気ケーブル4の外被を取り除いた斜視図を、それぞれ示す。
【0024】
ケーブルコネクタ10は、主に、樹脂等の絶縁部材から成るハウジング20と、電気ケーブル4に含まれる複数のツイストペアケーブル5を保持するケーブル保持体60と、端子11を支持する端子支持部材70と、ハウジング20及びケーブル保持体60の外周面を覆う導電性のシェル30と、更に、シェル30の外部を覆う絶縁性のフード12(図1参照)を含む。ケーブル保持体60と端子支持部材70は、ハウジング20に組み込んだ状態で使用されるものであり、ハウジング20とともにハウジングの一部を構成するものであるから、広い意味では、ハウジングであると理解してよい。ツイストペアケーブル5は、ここでは、計4組設けられている。
【0025】
図2によく示されるように、シェル30は、本体シェル31、板状シェル40、及び筒状シェル50を含む。板状シェル40と本体シェル31は、主に、ハウジング本体29等の側部外周面を覆う。板状シェル40は、主に、本体シェル31によって覆われていないハウジング本体29等の側部外周面を覆う。筒状シェル50は、主に、ハウジング本体29から突設させた若干小径の被挿入部25の側部外周面を覆う。
【0026】
本体シェル31は、一枚の金属板を打ち抜き、折り曲げ加工することによって形成されている。全体として略コの字状の断面を有し、主に、基部36と、この基部36の前方に延びる弾性片33と、基部36の後方に延びる電気ケーブル4のカシメ部36aを備える。基部36と弾性片33は、基部36の後端部において、断面視略U字状の折り返し部として形成された支持部32を介して弾性接続されている。弾性片33は、基板コネクタ90との嵌合側に自由端を有し、更に、この自由端に、基板コネクタ90とのロックに用いるロック突部35が設けられている。
【0027】
図4に、図3の状態からケーブル保持体60(60a、60b)を取り外した状態を、取り外されたケーブル保持体60a、60bとともに後側斜視図で示し、また、図5に、図3の状態からケーブル保持体60a、60bを取り外した状態を前側斜視図で示す。
【0028】
ハウジング20は、ハウジング本体29と、ハウジング本体29から基板コネクタ90(図1参照)との嵌合側に突設された被挿入部25を含む。被挿入部25は、基板コネクタ90の嵌合穴97(図1参照)に挿入される部分であって、内部には、基板コネクタ90の嵌合凸部97aが挿入される嵌合凹部28が形成されている。
【0029】
ハウジング本体29は、厚肉の基部21と、基部21の後方、即ち、被挿入部25とは反対側に延設された対向する2枚の板状の側壁26を含む。これらの側壁26の間に形成された空間26fには、対を成す端子支持部材70a、70bと、同様に対を成すケーブル保持体60a、60bが設置される。ハウジング本体29は、端子支持部材70a、70bやケーブル保持体60によって補完されることにより略直方形状を成す。
【0030】
対を成すケーブル保持体60a、60bは、互いに同じ大きさ及び形状を有するのが好ましい。同様に、対を成す端子支持部材70a、70bも、互いに同じ大きさ及び形状を有するのが好ましい。同じ大きさ及び形状とすることにより、部品管理が容易となり、製造工程も簡易化される。
【0031】
ケーブル保持体60a、60bはそれぞれ、略直方形状の本体67と、この本体67からハウジング20に対するケーブル保持体60の取付け方向「γ」に沿って延びる片持ち梁状のアーム部61を含む。アーム部61は、自由端とは反対側の一端側において、本体67と連結されている。アーム部61は板厚方向に弾性変位可能に設けられている。本体67には、ケーブル5が挿通される複数の貫通孔63がケーブル5の長さ方向「α」に沿って設けられている。これらの貫通孔63を利用して、ケーブル保持体60にツイストペアケーブル5の一端側が取り付けられる。取り付けられたツイストペアケーブルの一端側は、本体67の後面67f側から前面67側eの近傍に至る。貫通孔63の内径は、ケーブル5の外径とほぼ同じか若しくは若干小さく設定されている。これにより、ケーブル5の外周面と貫通孔63の内周面とが引っ掛かり、貫通孔63からのケーブル5の不用意な抜けを防止できる。
【0032】
本体67の左右それぞれの側面67c、67dに、ハウジング20の側壁26に設けた係止穴26a(図3乃至図図5参照)に係止される係止突部62が設けられている。また、アーム部61の自由端付近には、端子支持部材70a、70bの立設部75a、75bに設けた係止突部83(図4乃至図6参照)に係止される係止突部61aが設けられている。これらケーブル保持体60a、60bの係止突部62とハウジング20側の係止穴26a、及び、ケーブル保持体60a、60bの係止突部61aと端子支持部材70a、70bの係止突部83は、ハウジング20に対するケーブル保持体60の取付け方向「γ」に沿って設けられている。これらの係止手段を利用して、ケーブル保持体60をハウジング20に係止させることができる。このように本実施形態では、ケーブル保持体60a、60bの係止突部62とハウジング20側の係止穴26aとの係止、及び、ケーブル保持体60a、60bの係止突部61aと端子支持部材70a、70bの係止突部83との係止により、ケーブル保持体60は、ハウジング20及び端子支持部材70に対してそれぞれ別々の箇所で係止されることとなり、ハウジング20、端子支持部材70、ケーブル保持体60の間の固定を強化できる。立設部75a、75bの左右それぞれの側面には、ハウジング本体29の側壁26の内面に設けた溝を利用して係止される係止突部81が設けられている。
【0033】
本体67の底面67bには、端子支持部材70a、70bの主面72(72a、72b)から突出させた立上部(11b)が後に挿入される挿通孔64が設けられている。挿通孔64は、ツイストペアケーブル5が挿通される貫通孔63と連絡しており、ハウジング20へのケーブル保持体60a、60bの取付け時に、貫通孔63に挿通されたツイストペアケーブル5の絶縁性の被覆5a(図4参照)を、立上部11bに設けた切断用の溝11kによって切断できるようになっている。この結果、内部の芯線5b(図4参照)が溝に挟み込まれて、ケーブル5と端子11は電気的に導通される。
【0034】
本体67の底面67bには、また、端子支持部材70a、70bに設けた切欠76a、76bに嵌る突部66a、66bが設けられている。突部66a、66bは、ハウジング20に対するケーブル保持体60a、60bの取付け側の面、即ち、底面67bに、ハウジング20に対するケーブル保持体60a、60bの取付け方向「γ」、即ち、アーム部61と同方向に立設されている。
【0035】
図6に、端子支持部材70a、70bを、端子11とともに斜視図で示し、図7に、図6に示した構成の側面図を示す。更に、図8に、端子支持部材70によって支持された端子11の配列状態を斜視図で示し、図9に、図8に示した構成の側面図を示す。
【0036】
ケーブルコネクタ10には、複数の、ここではIEEE802.3に基づくカテゴリー6aに対応可能となるよう、例えば、5個の端子11A乃至11Eが設けられている。これらの端子11A乃至11Eには、端子間方向「β」において互いに離間して配置された2組の信号端子のペア(11B、11D)(11C、11E)と、端子間方向「β」においてこれら2組の信号端子のペア(11B、11D)(11C、11E)のうちの一方の信号端子のペア(11B、11D)と他方の信号端子のペア(11C、11E)との間に配置されたグラウンド端子11Aと、が含まれる。クロストーク等を低減させる観点からは、端子11A乃至11E同士は、同じ端子間距離だけ離間して配置されているのが好ましい。更に、一方の信号端子のペア(11B、11D)は、端子間方向「β」においてグラウンド端子11Aに近い側に配置された信号端子11Bと、端子間方向「β」においてグラウンド端子11Aから遠い側に配置された信号端子11Dを含む。また、他方の信号端子のペア(11C、11E)は、端子間方向「β」においてグラウンド端子11Aに近い側に配置された信号端子11Cと、端子間方向「β」においてグラウンド端子11Aから遠い側に配置された信号端子11Eを含む。
【0037】
端子11A乃至11Eは、それぞれ、一枚の金属を打ち抜き、折り曲げることによって形成され、相手端子(図1の端子「96」)と接触させる先端側11fに設けた接触部11dと、ハウジング20に圧入、係止させるための係止部11aと、端子支持部材70によって支持される支持部11gと、ケーブル5(図4等参照)が接続されるケーブル接続部(11b、11c)を含む。
【0038】
接触部11dは、相手端子と接触させる部分であって、例えば、端子の先端11f付近に設けた接点を含む。但し、接触部11dは、接点に限らず、相手端子と接触させる部分を広く含む。
【0039】
支持部11gは、端子支持部材70によって支持される部分であって、端子支持部材70と一体成形されているが、端子支持部材70に圧入するタイプのものであってもよい。支持部11gは、略「S」字状を成す曲部として形成されていてもよく、例えば、端子支持部材70の立設部75a、75bによって支持することもできる。
【0040】
支持部11gと接触部11dは、端子11A乃至11E同士の間で、端子間方向「β」と直交する端子11A乃至11Eの長さ方向「α」(ケーブル5の長さ方向「α」に対応する)において同じ長さを有し、且つ、端子間方向「β」と長さ方向「α」の双方と直交する高さ方向「γ」(上述した取付け方向「γ」に相当)において同じ高さに位置付けられているのが好ましい。また、支持部11gと接触部11dと同様に、立設部75a、75bについても、端子11A乃至11E同士の間で、高さ方向「γ」において同じ高さに位置付けられ、また、高さ方向「γ」において同じ長さを有するのが好ましい。これにより、クロストークをより有効に防止することができる。また、この場合、グラウンド端子11Aを、信号端子として使用することもできるため、この装置を、IEEEのカテゴリー6の規格品としてだけでなく、例えば、カテゴリー5の規格品として使用することもできる。
【0041】
ケーブル接続部は、平坦部11cと立上部11bを含む。平坦部11cは、例えば、上面視略三角形状であってもよく、端子間方向「β」と長さ方向「α」とを有する端子支持部材70(70a、70b)の主面72(72a、72b)の一部、更に言えば、平坦部11c付近を支持している端子支持部材70(70a、70b)の主たる面の一部を形成するものとなっている。端子11A乃至11E毎に平坦部11cが設けられており、グラウンド端子11Aは、グラウンド用平坦部11Acを含み、信号端子11B乃至11Eはそれぞれ、信号用平坦部11Bc乃至11Ecを含む。
【0042】
立上部11bは、端子支持部材70から露出させた状態で、端子支持部材70の主面72から、高さ方向「γ」において、ケーブルの接続側に向って立ち上げられている。
【0043】
端子11A乃至11Eの端子間方向「β」における間隔を変更するため、立上部11Ab乃至11Ebと、支持部11Ag乃至11Egとの間に、端子間距離変換部11Ae乃至11Eeを設けてもよい(図8参照)。これらの端子間距離変換部11Ae乃至11Eeを設けることにより、端子間方向「β」において、立上部11Ab乃至11Eb同士の間の距離を、先端11Af乃至11Ef間の距離に比べて大きくすることができ、圧接作業を行い易くすることができる。これらの端子間距離変換部11Ae乃至11Eeは、クロストークの低減にも重要な役割を果たす。
【0044】
端子11A乃至11Eは、端子支持部材70a、70bによって、片持ち梁状に支持される。端子11A乃至11Eは、それぞれの支持部11Ag乃至Egにおいて、一体成形によって製造時に組み込まれることにより端子支持部材に支持されてもよいし、圧入等を利用して端子支持部材70a、70bに後方からまたは上方から組み込まれることによりそこに支持されてもよい。本例では一体成形されたものとして説明を行う。組込み後も、端子11の一部は外部に露出されている。例えば、端子11A乃至11Eの前方、即ち、ハウジング20の基部21側に延出させた、端子11A乃至11Eの先端11Af乃至11Ef付近や、端子11の後方、即ち、ツイストペアケーブル5が圧接される立上部11Ab乃至Eb等は外部に露出されている。端子11A乃至11Eの先端Af乃至11Ef側は、高さ方向「γ」に沿って弾性変位可能である。
【0045】
端子支持部材70a、70bはそれぞれ、主面72a、72bを形成する板状の本体77a、77bを有する。本体77a、77bのそれぞれの上面には立設部75a、75bが、本体77a、77bの左右側面には外方に突出したロック突起71aが、本体77a、77bの後縁には内部に向って切り欠かれた平面視U字状の切欠76a、76bが、それぞれ設けられている。
【0046】
組立ての際は、対を成す端子支持部材70a、70bを、高さ方向「γ」において、それらの平らな底面78a、78bにて突き合せる。これらの突合せ面は、平らな面とされており、このような面とすることにより、より安定した状態で突き合せることができる。
【0047】
対の端子支持部材70a、70bが互いに突き合わされたとき、端子支持部材70a、70bによって支持された端子11は、それらの接点11d間に、被接触物、例えば、基板コネクタ90(図1参照)の嵌合凸部97aが挿入されるギャップ「G」(図7参照)を形成する。ギャップ「G」は、対を成す端子支持部材70の突き合せ方向に沿う高さ方向「γ」に沿って形成される。
【0048】
ケーブル保持体60に保持されたケーブル5の先端(末端)から露出した芯線の一部等が隣接する端子と短絡しないよう、端子支持部材70a、70bに立設部75a、75bから延設された延設部74を設けるのが好ましい。延設部74は、端子支持部材70a、77bのそれぞれの上面内において、立設部75a、75bから立上部11bの側に向って延設され、端子11の配線部11gの少なくとも一部を覆う。尚、延設部74の先端には、ケーブル保持部60との衝突を防止するためテーパー74aが形成されているのが好ましい。
【0049】
図8図9に加えて、図10図11を参照して、ケーブルコネクタ10における端子配置について説明する。図10は、図5に示した構成の平面図、図11は、図5に示した構成の背面図である。
【0050】
グラウンド端子11Aのグラウンド立上部11Abの少なくとも一部は、高さ方向「γ」と直交し且つ端子支持部材70の主面72a、72bに対して平行に拡がる少なくとも一つの面内、例えば、図8図9図11に示した面73(73a、73b)内において、図10に示すように、端子間方向「β」において信号立上部11Bbと信号立上部11Cbとの間に位置する第1仮想部分「a1」と長さ方向「α」において信号立上部11Bbと信号立上部11Cbとの間に位置する第2仮想部分「a2」との交差域「a」の範囲内に位置付けられている。
【0051】
端子をこのように配置することにより、グラウンド立上部11Abと信号立上部11Bb乃至11Ebとが、高さ方向が同じ面内にて相対することとなり、この結果、一方の信号端子のペア(11B、11D)に含まれる信号立上部11Bb、11Dbと、他方の信号端子のペア(11C、11E)に含まれる信号立上部11Cb、11Ebと、の間に生じるノイズ(クロストークの発生)を、それらの間に設けたグラウンド立上部11Abによって効果的に減少又は消滅させることができる。
すなわち、信号立上部11Bbと信号立上部11Cbとの間、信号立上部11Bbと信号立上部11Ebとの間、信号立上部11Dbと信号立上部11Cbとの間および信号立上部11Dbと信号立上部11Ebとの間に発生する電気力線を、グラウンド立上部11Abに効率的に結合させることができ、クロストークを効果的に減少又は消滅させることができる。
尚、高さ方向「γ」におけるグラウンド立上部11Abの「全ての部分」が、高さ方向「γ」と直交し且つ主面72a、72bに対して平行に拡がる「全ての」面内において、交差域「a」の範囲内に位置付けられている必要はない。また、少なくとも一つの面内において、グラウンド立上部11Abの「全ての部分」が、交差域「a」の範囲内に位置付けられている必要はない。高さ方向「γ」におけるグラウンド立上部11Abの少なくとも一部が、少なくとも一つの面内において、交差域「a」の範囲内に位置付けられていればよい。そのような場合であっても、電気力線を、グラウンド立上部11Abに効率的に結合させることができるからである。
【0052】
図10に示すように、グラウンド立上部11Abは、一方の信号端子のペア(11B、11D)に含まれる信号立上部11Bbの中心と、他方の信号端子のペア(11C、11E)に含まれる信号立上部11Cbの中心と、を結ぶ直線「k」上、換言すれば、信号立上部11Bbの中心と信号立上部11Cbの中心の最短距離を形成する直線「k」上に配置するのが好ましい。ノイズはこのような位置で最も生じやすいため、この位置にグラウンド立上部11Abを配置することによって、より一層効果的にノイズを減少させることができる。但し、この位置に限らず、グラウンド立上部11Abは、上述の交差域「a」の範囲内に位置付けられればよい。ノイズは、直線「k」上のみならず、信号端子のペア間に存在する空間に3次元的に及ぶためである。なお、ここでは直線「k」を信号立上部11Bbの中心と信号立上部11Cbの中心の最短距離を形成する線として表現したが、これに限らず、例えば、一方の信号端子のペア(11B、11D)に含まれる信号立上部(11Bb、11Db)と他方の信号端子のペア(11C、11E)に含まれる信号立上部(11Cb、11Eb)との最短距離を形成する直線として捉えることも可能である。
【0053】
更に、一方の信号端子のペア(11B、11D)に含まれる信号立上部11Bbと、他方の信号端子のペア(11C、11E)に含まれる信号立上部11Cbと、を可能な限り引き離すため、長さ方向「α」において、信号立上部11Bbと信号立上部11Cbのうちのいずれか一方を、グラウンド立上部11Abよりも相手端子との接触側に近い側又は相手端子との接触側から遠い側に位置付け、これに対応して、他方を、グラウンド立上部11Abよりも相手端子との接触側から遠い側又は相手端子との接触側に近い側に位置付けてもよい。例えば、図10等に示した例では、信号立上部11Bbを、長さ方向「α」において、グラウンド立上部11Abよりも相手端子との接触側に近い側に位置付け、これに対応して、信号立上部11Cbを、グラウンド立上部11Abよりも相手端子との接触側から遠い側に位置付けている。
但し、必ずしもこのように位置付ける必要はなく、装置サイズの観点から、信号立上部11Bbと信号立上部11Cbを、長さ方向「α」において同じ位置に位置付けてもよい。例えば、信号立上部11Bbと信号立上部11Cbを、グラウンド立上部11Abと同じ位置に位置付けてもよい。
【0054】
同様に、一方の信号端子のペア(11B、11D)に含まれる信号立上部11Dbと、他方の信号端子のペア(11C、11E)に含まれる信号立上部11Ebと、を可能な限り引き離すため、長さ方向「α」において、信号立上部11Dbと信号立上部11Ebのうちのいずれか一方を、グラウンド立上部11Abよりも相手端子との接触側に近い側又は相手端子との接触側から遠い側に位置付け、これに対応して、他方を、グラウンド立上部11Abよりも相手端子との接触側から遠い側又は相手端子との接触側に近い側に位置付けてもよい。
但し、必ずしもこのように位置付ける必要はなく、装置サイズの観点から、信号立上部11Dbと信号立上部11Ebを、長さ方向「α」において同じ位置に位置付けてもよい。例えば、図10等に示した例では、信号立上部11Dbと信号立上部11Ebを、長さ方向「α」において、グラウンド立上部11Abと同じ位置に位置付けている。
【0055】
ノイズの低減と装置の小型化の双方を考慮した場合、図10等に示すように、グラウンド立上部11Ab、信号立上部11Bb、及び信号立上部11Dbは、信号立上部11Bbを頂点とする二等辺三角形を形成するのが好ましく、また、グラウンド立上部11Ab、信号立上部11Cb、及び信号立上部11Ebは、信号立上部11Cbを頂点とする二等辺三角形を形成するのが好ましい。更にこの場合、頂点を形成する信号立上部11Bbと信号立上部11Cbは、長さ方向「α」において、図10等に示すように、グラウンド立上部11Abに対して反対側に位置付けられているのが好ましい。
【0056】
図12乃至図14に、変形例を示す。図12は、図5等に相当する図であって、図3の状態からケーブル保持体60a、60bを取り外した状態を後側斜視図で示したもの、図13は、図12に示した構成の平面図、図14は、図12に示した構成の背面図である。図1等に示した実施形態では、グラウンド立上部11Abは、実質的に、端子間方向「β」に延びていたが、この図に示すように、長さ方向「α」に延びてもよい。長さ方向「α」に延びる場合であっても、図1等を参照して説明したコネクタと同様に、グラウンド立上部15の少なくとも一部が、高さ方向「γ」と直交し且つ端子支持部材70の主面72a、72bに対して平行に拡がる少なくとも一つの面内において、端子間方向「β」において信号立上部11Bbと信号立上部11Cbとの間に位置する第1仮想部分「a1」と長さ方向「α」において信号立上部11Bbと信号立上部11Cbとの間に位置する第2仮想部分「a2」との交差域「a」の範囲内に位置付けられている場合には、ノイズを効果的に減少させることができる。
【0057】
図15に、他の変形例を示す。この変形例では、信号立上部11Bbと信号立上部11Cbとが、長さ方向「α」において同じ位置に位置付けられており、この結果、第2の仮想部分「a2」は、線状となっており、第1の仮想部分「a1」と第2の仮想部分(仮想線)が交差する交差域「a」もまた、線状となっている。このような場合であっても、グラウンド立上部15Aを、交差域(線域)の範囲内に位置付けることにより、ノイズを減少させることができる。但し、この変形例に示すように、信号立上部11Bbと信号立上部11Cbが、長さ方向「α」において同じ位置に位置付けられている場合には、ノイズの防止効果を高めるため、グラウンド立上部15Aは、長さ方向「α」において、第2の仮想部分「a2」を超えて、例えば、図示のように、相手端子との接触側から遠い側に延在させるのが好ましい。
【0058】
図16を参照して、本実施形態によって得られるクロストークの軽減効果を説明する。この図は、従来一般のコネクタ構成、更に言えば、特許文献1等に開示されているような立上部を設けていない構成と、本実施形態の図1等に示した構成と、図13等に示した変形例1による構成のそれぞれによって得られる挿入損失をシミュレーションし、これらのシミュレーション結果を、IEEE802.3に基づくカテゴリー6aにおける挿入損失の規格値と比較して示したグラフである。横軸は、周波数(GHz)を、縦軸は、挿入損失(dB)を、それぞれ示す。シミュレーションには、ANSYS社製の「ANSYS HFSS」を用いた。条件として、ケーブルコネクタ10のハウジング部分、即ち、ハウジング20、ケーブル保持体60、及び端子支持部材70と、基板コネクタ90の絶縁ハウジング92には、PBT(ポリプチレンテレフタレート)を用いると仮定した。この図からも明らかなように、従来一般のコネクタ構成も規格値をクリアするものではあるが、本構成によれば、更にその値が改善していることが明らかである。このように、本発明によれば、ケーブル接続用の立上部を有したケーブルコネクタにおいて、伝送特性が良好で、且つ、結線作業を簡単に行うことができるケーブルコネクタが提供される。
【0059】
尚、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、本実施形態では、代表的な、4組のツイストペアケーブルに使用されるコンタクトを例に挙げて説明したが、コネクタに使用される芯線の数は、LANケーブルの規格によって異なるものであり、本実施形態に示された技術思想を応用して、4組以外のツイストペアケーブルに使用されるコネクタも、容易に開発することができるだろう。このように、本発明は、他の及び異なる実施形態で構成することもでき、そしてその多数の細部は、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに、種々の明らかな観点において変更することができる。従って、図面及び説明は、例示に過ぎず、これに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0060】
1 電気コネクタ装置
10 ケーブルコネクタ
11A グラウンド端子
11B〜11E 信号端子
11b 立上部
11d 接触部
11g 支持部
11k 溝
a 交差域
a1 第1仮想部分
a2 第2仮想部分
20 ハウジング
60 ケーブル保持体
70 端子支持部材
90 基板コネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16