特開2018-181850(P2018-181850A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-181850(P2018-181850A)
(43)【公開日】2018年11月15日
(54)【発明の名称】可撓性マイクロ電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20181019BHJP
   H01M 6/04 20060101ALI20181019BHJP
【FI】
   H01M2/10 U
   H01M6/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】55
(21)【出願番号】特願2018-79644(P2018-79644)
(22)【出願日】2018年4月18日
(31)【優先権主張番号】62/487,272
(32)【優先日】2017年4月19日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/882,158
(32)【優先日】2018年1月29日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】510294139
【氏名又は名称】ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−フランソワ・オードベール
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック・エイ・フリッチュ
(72)【発明者】
【氏名】ザッカリー・カナー
(72)【発明者】
【氏名】ミルバーン・エベニーザー・ムス
(72)【発明者】
【氏名】レオナルド・パリアーロ
(72)【発明者】
【氏名】ランドール・ビー・ピュー
(72)【発明者】
【氏名】ローレンス・エドワード・ウェインステイン
(72)【発明者】
【氏名】セレーナ・ピーターソン
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・ハワース
【テーマコード(参考)】
5H024
5H040
【Fターム(参考)】
5H024BB08
5H024BB14
5H024CC04
5H024CC07
5H024CC08
5H024CC19
5H024DD01
5H024DD03
5H024DD09
5H024DD11
5H024DD15
5H024EE09
5H024GG01
5H024HH15
5H040AA36
5H040AS18
5H040AT04
5H040AY02
(57)【要約】
【課題】 マイクロ電池を形成するための設計、戦略、及び方法を提供すること。
【解決手段】 いくつかの例では、超音波溶接封止を使用して電池化学物質をマイクロ電池内に密封することができる。いくつかの更なる例では、マイクロ電池は、銅フィルムによって封じ込められ、銅フィルムの少なくとも一部は、無電解めっきによって形成されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物医学的装置であって、
電気活性構成要素と、
電池であって、
アノード電流コレクタと、
カソード電流コレクタと、
弓状の経路に沿って延在するアノードと、
前記弓状の経路に沿って延在する概ね平坦なカソードであって、前記アノードが前記カソードの上方に位置付けられている、カソードと、
前記アノードと前記カソードとの間に位置付けられているセパレータであって、前記セパレータが前記弓状の経路に沿って延在する、セパレータと、
前記アノード、前記カソード、及び前記セパレータを概ね包囲して位置付けられて、前記アノードと前記カソードとの間にイオン伝導性を提供する電解質と、
前記アノード、前記カソード、前記カソード電流コレクタ、前記セパレータ、及び前記電解質を概ね包囲する可撓性包装材料であって、前記アノードコレクタが、前記弓状の経路に沿った第1のベクトルに沿って前記可撓性包装材料を通して延在し、前記カソードコレクタが、前記弓状の経路に沿った第2のベクトルに沿って前記可撓性包装材料を通して延在する、可撓性包装材料と、
前記可撓性包装材料を包囲する封入銅層であって、前記アノードコレクタ又は前記カソードコレクタのうち1つが、前記封入銅によって包囲されておらず、前記銅層の少なくとも一部が、無電解めっきを使用して前記可撓性包装材料に堆積されている、封入銅層と、
ヒドロゲル層であって、前記ヒドロゲル層が水を貯蔵し、前記ヒドロゲル層の前記水が、前記電池内部でカソード層及びセパレータ層に拡散し得る、ヒドロゲル層と、を含む、電池と、
少なくとも前記電気活性構成要素及び前記電池を封入する第1生体適合性封入層と、を含む、生物医学的装置。
【請求項2】
マイクロ電池の製造方法であって、
カソードコレクタを得ることと、
導電性接着剤を使用してカソードを前記カソードコレクタに取り付けることと、
アノードコレクタを得ることと、
アノードを得ることと、
前記カソードコレクタ、前記カソード、前記アノード、前記アノードコレクタ、及びセパレータを積み重ねることであって、前記セパレータが、前記カソードと前記アノードとの間にある、ことと、
前記積層体を、第1及び第2の可撓性プラスチックシートで包囲することと、
前記第1及び第2の可撓性プラスチックシートを第1の超音波溶接部によって互いに溶接することであって、前記第1の超音波溶接部が、2つの側部の第1の部分に沿って前記積層体を包囲し、前記2つの側部の第2の部分が、前記マイクロ電池用の充填ポートを備える、ことと、
電解質を前記充填ポート内部に充填することと、
前記第1及び第2の可撓性プラスチックシートの前記2つの側部の前記第2の部分を溶接することであって、前記第2の部分を溶接することにより前記充填ポートを封止する、ことと、
前記マイクロ電池の一部に沿って銅の無電解めっき層を堆積させることと、
前記カソード及び前記セパレータのうち1つ又は2つ以上に隣接してヒドロゲル層を堆積させることと、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許出願は、2017年4月19日に出願された米国特許仮出願第62/487,272号の利益を主張しているが、これはまた、2014年7月21日に出願された米国仮出願第62/016,851号の利益を主張している、2017年1月13日に出願された米国特許出願第15/326,161号の一部継続出願である。それぞれの内容は本明細書に参照として組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は概して電気化学的電池に関し、より詳細には生体適合性マイクロ電気化学的セルに関する。
【背景技術】
【0003】
近年、医療用装置の数及びその機能が急速に発達し始めている。これらの医療用装置としては、例えば、埋め込み型ペースメーカー、生物学的機能のモニタリング及び/又は検査を行うための電子ピル、活性成分を有する外科用装置、コンタクトレンズ、輸液ポンプ、及び神経刺激装置を挙げることができる。上記医療用装置の多くに対する追加機能及び性能の向上が理論化され、開発されている。しかしながら、理論化される追加機能を実現するには、これらの装置の多くで、これらの装置の寸法及び形状に関する要件、並びに新たな通電部品のエネルギー要件に適合する内蔵型の通電手段が必要とされている。
【0004】
いくつかの医療用装置は、様々な機能を実行し、かつ多くの生体適合性及び/又は埋め込み型装置に組み込まれ得る半導体装置などの電気部品を含み得る。しかしながら、このような半導体部品はエネルギーを必要とするため、通電素子も好ましくはこのような生体適合性装置に含まれ得る。生体適合性装置のトポロジー及び比較的小さな寸法により、様々な機能を定義する環境は困難なものとなり得る。多くの例では、生体適合性装置内の半導体部品を通電するための、安全で、信頼性が高く、小型で、かつ費用効率の高い手段を提供することが重要であり得る。したがって、生体適合性装置内、又は生体適合性装置上への埋め込みのために形成される生体適合性通電素子であって、ミリメートル以下の大きさの通電素子の構造体が、通電素子の機能の向上をもたらす一方で、生体適合性を維持する、生体適合性通電素子の必要性が存在する。
【0005】
装置に給電するために使用されるかかる通電素子の1つは、電池であり得る。生物医学的種類の用途において電池を使用する際に、電池構造体及び設計が、生体適合性の態様に適合することが重要であり得る。したがって、大幅に改善した収容という側面を有し得る生体適合性通電素子で使用するための生体適合性電池を形成する、新規の例に対する必要性が存在する。
【0006】
いくつかのマイクロ電池が開発されており、そのうちのいくつかは、移植可能であるように、又は別の様式で、作動用の電源を必要とする医療装置若しくは他の装置に関連するように設計されている。本明細書の目的において、マイクロ電池は、その比較的小さい寸法によって定義される。詳細には、少なくとも一次元(即ち電池の長さ、幅、又は厚さ)は1ミリメートル(1.0mm)よりも小さい必要があり、また第2の寸法は1センチメートル(1.0cm)よりも小さい必要がある一方、マイクロ電池の容積は0.003cc又は千分の3立方センチメートル未満である必要がある。
【0007】
付加製造によって、電極の巻き取りによって、又は活性物質を所定の位置にピックアンドプレースすることによって、これらの寸法で電池を作製することが可能である。これらの電池を、円筒形状、プリズム形状、又は弓状を含む様々な形状で製造することができる。小型電源に生体適合性材料を使用するとき、電源は、生体適合性である。例えば、亜鉛塩電解質、亜鉛負極、及び二酸化マンガン正極を有する炭素亜鉛電池は、生体適合性であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
生体適合性であり、医療装置及び他の小型装置内で使用することができ、装置が屈曲され、曲げられ、又は別様に取り扱われている間、及びそのような取り扱い後、必要なエネルギーを提供することによって、反復又は連続作動が可能であるマイクロ電源が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、生体適合性通電素子で使用するための、改善された可撓性マイクロ電池及び設計が開示されてきた。眼科用医療装置内で使用されるマイクロ電池は、例えば機械的堅牢性、可撓性の程度、及び生体適合性などの、独特かつ困難な必須要件を有し得る。マイクロ電池を使用するコンタクトレンズは、電池が、長い保存寿命を有し、一定の可撓性を有し、取り扱い後に完全性及び操作性を維持することによって、レンズ品質を所有する必要があり得る。またレンズの製造時からレンズの使用寿命を通じた期間、生体適合性であることも必要であり得る。この期間は、直接又は中間層を介してマイクロ電池をレンズ中の生理食塩水溶液に暴露し、マイクロ電池は、必要な電力をレンズに提供するためのその容量及び能力を維持するのみでなく、電池の構成要素の浸出を防止するよう十分に封止することも必要であり得る。マイクロ電池の寸法は、マイクロ電池の容積に対する表面積の割合が非常に大きい場合があるため、電池構成要素の隔離を特に困難なものとする。
【0010】
マイクロ電池を含むレンズは、生理食塩水包装材溶液で満たされた封止包装体の内部に保管されるため、マイクロ電池は、眼科用レンズ中に何年もの間保管され得る。この保管環境は、眼科用レンズが浸漬されている無菌生理食塩水溶液中に保管されていることと同様である。この標準条件での眼科用レンズ又は他の装置の保管条件及び環境によって、マイクロ電池は、膨潤をもたらし得るマイクロ電池の内部内への包装材料を通した水の進入に起因して破損することなく、所定の環境に耐えるように設計される必要があり得る。マイクロ電池の包装材料は、測定可能なレベルの浸透性を有し得る。したがって、水がマイクロ電池の内部に移動するよう向かわせ得る浸透圧差が生じる場合がある。多くの場合、従来の電池電解質は非水性であり、水分汚染に耐えることができず、又は高濃度の酸性溶液(例えば、塩化亜鉛)、若しくは水酸化カリウムなどの塩基性溶液である。電解質と、マイクロ電池を含むレンズを取り巻く包装溶液との間の浸透圧差を低減するために、低い塩濃度を有する電解質を使用することが解決法である場合がある。
【0011】
生体適合性及び浸透圧に関する別の問題は、電解質のpHである。一般に、水性電池電解質は、生体適合性にすることができない。典型的なアルカリ電池では、水酸化カリウム電解質は、イオン伝導性を高める強アルカリ性である。炭素亜鉛セル又はルクランシェセルにおいて、電解質の酸性pHは、亜鉛表面上の水素ガス生成に強く影響を及ぼし得る。強酸性又は強塩基性の電解質は、生体適合性ではない。多数の典型的な腐食防止剤(水銀など)も、生体適合性ではない。
【0012】
多くのマイクロ電池、特に大量生産されるもの又は生体適合性を必要とするものは、剛性の外面に覆われている。それらの剛性によって、一般にそれらの電池は可撓性装置内で使用されることができない。更に、この剛性の覆いの設計は、剛性を維持するために最小限の厚さを必要とするため、電池の可能な寸法を制限する。
【0013】
導電性トレースを使用する電池は、可撓性トレースと、上部にトレースを支持する可撓性基材との両方を必要とする。そのような可撓性は、酸化電池環境に適合性の材料においては見出されない。むしろ、先行技術の電池は、一般に、製造後に概ね不動であるように構成されている。電池の動きは、接続、外面の封止に悪影響を与える場合があり、また別様に電池の適切な作動に影響を与える。
【0014】
一般的な態様の1つは、電気活性構成要素、生体適合性電池、及び第1の封入層を含む生物医学的装置を含む。第1の封入層は、少なくとも電気活性構成要素及び生体適合性電池を封入している。いくつかの例では、第1の封入層を用いてコンタクトレンズのスカートを規定し得る。スカートは、電気活性レンズの内部構成要素を、ユーザーの眼の表面と相互に作用するヒドロゲルの生体適合性層で取り囲んでいる。いくつかの例では、電解質溶液の性質は、生物医学的装置の生体適合性の改善をもたらす。例えば、電解質溶液の組成は、典型的な電池の組成よりも低い電解質濃度を有し得る。他の例では、電解質の組成は、非限定的な例では涙液の組成などの、生物医学的装置が占有する生物学的環境を模倣し得る。
【0015】
本発明の一態様によれば、生体適合性構成要素を有する電気化学的マイクロ電池が提供され、該電池は、円筒形であってもよく、かつ第1のベクトルに沿って延在するアノードと、第2のベクトルに沿って延在する略平面状のカソードとを備える。第2のベクトルは、該第1のベクトルと略平行であり、カソードは、所定の空間、アノードから離間配設されている。カソードコレクタはカソードと電気的に接触し、かつ第2のベクトルに沿って延在する。一態様では、カソードコレクタは、カソード中に位置付けられている。電気化学的マイクロ電池はまた、電解質を備えてもよく、電解質は、アノード及びカソードの両方を概ね包囲して位置付けられ、所定の空間内に位置付けられてアノードとカソードとの間のイオン伝導性を提供する。
【0016】
一態様では、電気化学的電池は、アノード電流コレクタを更に備えてもよく、アノードとアノード電流コレクタとは、電気的に連絡して結合されている。アノード及びアノード電流コレクタは、第1の積み重ね配置にて第1のベクトルに沿って延在するように位置付けられ、カソードと該カソード電流コレクタとは、電気的に連絡して結合され、第2の積み重ね配置にて第2のベクトルに沿って延在するように位置付けられている。第1の積み重ね配置と第2の積み重ね配置とは、所定の空間によって互いに分離されている。所定の空間内で、第1の積み重ね配置と第2の積み重ね配置との間にセパレータが位置付けられてもよい。
【0017】
包装材料は、アノード、カソード、カソードコレクタ、及び電解質を概ね包囲し得る。アノードの終端部は、第1のベクトルに沿って包装材料を通って延在してもよく、カソードコレクタも、第2のベクトルに沿って包装材料を通って延在してもよい。包装材料は、概ね均一の厚さを有し得る。包装材料は、誂えて作られ、三次元の所望の形状に形成された電気化学的電池セルを収容することができる。包装材料は、前記包装材料を通った水及び酸素の移動を阻止し得る。一態様では、包装材料は、金属酸化物で被覆されたポリマーを含み得る。包装材料の水蒸気透過率は、85〜100%相対湿度及び摂氏20〜40度で測定された際、1g/m2−日未満であり得る。それ故、3立方ミリメートル(3.0mm3)以下の容積を有し、一態様では、体液又は生理食塩水溶液などの人工体液とイオン連絡して位置付けられる生体適合性包装材料により封じ込められた内部空間を有する電気化学的マイクロ電池において、包装材料は、内部空間と体液又は生理食塩水溶液との間の物質移動を抑制するように機能し得る。
【0018】
電気化学的マイクロ電池は、三次元の全てにおいて成形されてもよい。一部の例では、電気化学的マイクロ電池は、平面状の形状、並びに第1のベクトル及び第2のベクトルの両方が弓形である形状、並びに第1のベクトル及び第2のベクトルが互いに同軸である形状を含み得る。
【0019】
電気化学的マイクロ電池はまた、亜鉛で作製されたアノードも含み得る。本発明の一態様では、アノードは亜鉛ワイヤであり得る。本発明のカソードは、二酸化マンガン、導電性添加材料、及びバインダーを含む。カソードコレクタは、チタンなどのワイヤ形状の金属を含んでもよく、カソードに隣接して配置され、又は代替的にカソード中に位置付けられてもよい。カソードコレクタがカソード中に位置付けられる実施形態では、アノードの直径はカソードの厚さと等しくてもよいため、電気化学的セルの厚さは、包装材料の厚さに加えたアノード直径と等しい。
【0020】
マイクロ電池の第1の電気化学的セルは、単一のセルとして作動し、又は第2の電気化学的セルと直列接続され、又は第1の電気化学的セルと並列接続されてもよい。直列の実施形態では、第1の電気化学的セルのアノードは、第2の電気化学的セルのカソードコレクタと電気的に接続され得る。電気化学的セルのアノードは、第2の電気化学的セルのカソードコレクタに溶接されて、機械的に確実な、かつ電気的に連絡する接続を形成してもよい。マイクロ電池セルは、独立して包装されてもよく、又は第1の電気化学的セルの包装材料と第2の電気化学的セルの包装材料とが連結されて、連続包装体を形成してもよい。一態様では、第2の電気化学的セルが該電気化学的セルと直列接続された場合、電気化学的セルのアノードは、該第2の電気化学的セルのカソードコレクタと電気的に接続され、電気化学的セルの包装材料と第2の電気化学的セルの包装材料とが連結されて、連続包装体を形成する。電気化学的セルのアノードが、電気化学的セルのアノードと電気的に連絡しているアノードコレクタを更に含む一態様では、アノードコレクタは、電気化学的セルの外部に延在して、第2の電気化学的セル内に延在し、またアノードコレクタは、第2の電気化学的セルのカソードに電気的に接続され、電気化学的セルの包装材料と第2の電気化学的セルの包装材料とが、連結されて連続包装体を形成する。
【0021】
一態様では、電気化学的電池の容積は、3立方ミリメートル(3.0mm3)以下であり得る。アノードは、第1のベクトルに沿って延在する長さと、その第1のベクトルに直交して延在する幅及び厚さとを有してもよく、幅は厚さよりも大きく、長さ対幅の比は、20:1を超える。カソードは、第2のベクトルに沿って延在する長さと、第2のベクトルに直交して延在する幅及び厚さとを有してもよく、幅はその厚さよりも大きく、長さ対幅の比は、10:1を超える。
【0022】
一態様では、マイクロ電池の内部空間は、酢酸亜鉛などの中性電解質水溶液を含み得る。電解質中の酢酸亜鉛の濃度は、前記電解質の10重量パーセント(10重量%)未満を含み得る。電解質のpHは6〜8であってもよく、包装材料は生理食塩水溶液とイオン連絡して位置付けられ、電解質の浸透圧と生理食塩水溶液の浸透圧との間の差は、1メガパスカル(1MPa)(10気圧(10atm))未満である。アノードは亜鉛を含んでもよく、カソードは二酸化マンガンを含んでもよい。アノード電流コレクタ及びカソード電流コレクタは、それぞれ、チタン、タンタル、白金、又は他の導電性の柔軟な生体適合性材料を含んでもよい。アノードは、亜鉛粉末と、電池の長さに延在する亜鉛箔などの亜鉛物品との両方を含んでもよく、亜鉛粉末は、亜鉛物品と電気的に連絡している。
【0023】
マイクロ電池は、以下の工程を含む方法に従って構成されてもよい。長さ及び厚さを有するカソードを形成する工程であって、長さ対厚さの比は50:1以上である、工程と、カソードを、カソードの長さに延在するカソードコレクタに取り付けて、カソードアセンブリを形成する工程と、長さ及び厚さを有するアノードを形成する工程であって、長さ対厚さの比は50:1以上である、工程と、アノード及びカソードアセンブリの両方の周囲に水性電解質を分配して、カソードとアノードとの間のイオン連絡を可能にする工程と、カソードアセンブリ、電解質及びアノードを熱可塑性包装材料の第1の部分及び第2の部分内に配置する工程。第1の部分及び第2の部分は、カソードアセンブリ及びアノードの末端部分が、マイクロ電池の第1の末端部及び第2の末端部の両方において電池内部から外部へ延在することを可能にする以外は、電解質と、カソードアセンブリの一部分と、アノードの一部分との全部を包んで、電池内部の側部により境界をつけられる電池内部を形成してもよく、包装材料の第1の部分及び第2の部分を電池内部の側部の長さに沿って加熱することにより電池内部を封止し、延在するアノード及びカソードアセンブリの周囲にて包装材料を封止することにより、マイクロ電池の第1の末端部及び第2の末端部において電池内部を封止し、封止されたマイクロ電池の外部の包装材料を除去する。本方法の一態様では、包装材料の第1の部分及び第2の部分は超音波溶接機内に配置されてもよく、超音波溶接機は、包装材料を封止することにより、電池内部の周囲において包装材料の第1の部分及び第2の部分を封止してもよく、封止部において包装材料を1工程で切断する。一態様では、アノードとカソードとの間にセパレータが挿入されてもよい。別の態様では、アノードはアノードコレクタに取り付けられ、アノードコレクタは、マイクロ電池の第1の末端部及び第2の末端部の両方において電池内部から外部に延在するように位置付けられる。
【0024】
本発明のこれら及び他の特徴、利点、及び目的は、以下の明細書、特許請求の範囲、及び添付の図面を参照することにより当業者によって更に理解及び認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】ベクトルL(長さ)に垂直な面に沿った電気化学的電池セルの例示の断面図である。
図2】ベクトルH(高さ)に垂直な面に沿った電気化学的電池セルの例示の断面図である。
図3】本発明の電気化学的電池セルの例示の断面表示である。
図4】包装材料部分が分解されている電気化学的電池セルの例示の斜視図である。
図5A】一実施形態による電気化学的電池セルの包装材料部分の例示の斜視図である。
図5B】別の実施形態による電気化学的電池セルの包装材料部分の例示の斜視図である。
図6】外側包装材料の封止方法を示す、超音波溶接固定具内に配設された本発明の電気化学的電池セルの例示の断面図である。
図7】弓形形状の直列の2つのセルを示す、成形された電池包装体の例示の断面図である。
図8】弓形形状の直列の2つのセルを示し、セルがどのように電気的に接続されているかを強調している、成形された電池包装体の例示の断面図である。
図9図8に示した成形電池包装体の2つのセル間の電気的接続の例示の拡大断面である。
図10】弓形形状の直列の2つのセルと、セル包装材料を封止するためのレーザー溶接ビームとを示す、電気化学的電池セルの例示の分解図である。
図11A】例示的な例において本発明の調製に使用される基材の例示の斜視図である。
図11B】例示的な例に記載される本発明のカソード及びカソードコレクタアセンブリの暫定形態の例示の斜視図である。
図11C】例示的な例に記載される本発明のカソード及びカソードコレクタアセンブリの例示の斜視図である。
図11D】例示的な例に記載される、基材内にて調製されるときの本発明の例示の斜視図である。
図12A】マイクロ電池セルにおける貯水機能の例を図示する。
図12B】マイクロ電池セルにおける貯水機能の例を図示する。
図12C】マイクロ電池セルにおける貯水機能の例を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
改善された生体適合性を有する可撓性マイクロ電池を形成する方法が、本願において開示される。以下の各項において、様々な実施例の詳細な説明が記載される。実施例の説明は、単なる例示的な実施形態に過ぎず、当業者には、様々な修正及び変更が明白であり得る。したがって、例示的な実施形態は、本出願の範囲を制限するものではない。いくつかの実施例では、こうした生体適合性電池は、生物の身体内で、又はこれに近接して使用するために設計され得る。
【0027】
用語集
本説明及び以下の特許請求の範囲において、以下の定義が適用される様々な用語が使用され得る。
【0028】
本明細書で使用するとき、「アノード」は、電流が有極電気装置に流れ込む電極を指す。電流の方向は、典型的に、電子流の方向とは逆である。換言すれば、電子は、例えば、アノードから電気回路に流入する。
【0029】
本明細書で使用するとき、電池は、適切に互いに接続されて所望の電圧又は電流を供給する単一の電気化学セル又は多数の電気化学セルからなる電気化学電源を指す。このセルは、一次(非充電式)又は二次(充電式)セルであってもよい。
【0030】
本明細書で使用するとき、「結合剤」は、機械的変形に対する弾性応答を呈することができ、他の通電素子部品と化学的に適合するポリマーを指す。例えば、結合剤として、電気活性材料、電解質、ポリマーなどを挙げることができる。いくつかの例では、結合剤は、粒子及び/又は粒子+液体を共に接着性のまとまりで保持する物質を指してもよい。
【0031】
本明細書で使用するとき、「生体適合性」は、特定の用途において適切な宿主応答で機能する材料又はデバイスを指す。例えば、生体適合性デバイスは、生体系に毒性又は有害な影響を及ぼさない。
【0032】
本明細書で使用するとき、「カソード」は、電極を指し、この電極を通って電流が有極電気装置から流出する。電流の方向は、典型的に、電子流の方向とは逆である。したがって、電子流は有極電気装置のカソードに流入し、例えば、接続された電気回路から流出する。
【0033】
本明細書で使用するとき、「被覆(コーティング)」は、材料の薄型堆積物(薄い形態での材料の付着)を指す。いくつかの用途では、この用語は、堆積物が形成される基板の表面を実質的に被覆する、薄型堆積物を指す。他のより特定の用途では、この用語は、表面のより小さい領域内にある小さい薄型堆積物を説明するために使用されてよい。
【0034】
本明細書で使用するとき、「電極」は、エネルギー源内の活物質を指し得る。例えば、電極は、アノード及びカソードの一方又は両方を含んでもよい。
【0035】
本明細書で使用するとき、「通電された」は、電流を供給することができるか、又は内部に蓄積された電気的エネルギーを有することができる状態を指す。
【0036】
本明細書で使用するとき、「エネルギー」は、ある物理系が仕事をする能力のことを指す。通電素子の多くの用途は、電気的作用を実行できる能力に関連するものであってよい。
【0037】
本明細書で使用するとき、「エネルギー源」又は「通電素子」又は「通電デバイス」は、エネルギーを供給できるか、論理的デバイス又は電気的デバイスを通電された状態にすることができる、任意のデバイス又は層を指す。通電素子は、電池を含み得る。電池は、アルカリ型セル化学物質で形成されてもよく、水性アルカリ性、水性酸性若しくは水性塩電解質化学物質又は非水性化学物質、融解塩化学物質若しくは固体化学物質を含む固体電池又は湿電池であってもよい。電池は、乾電池(固定化した電解質)又は湿電池(自由な液体電解質)型であってもよい。
【0038】
本明細書で使用するとき、「充填剤」は、酸性電解質又はアルカリ性電解質のいずれとも反応しない、1つ又は2つ以上の通電素子用セパレータを指す。一般的に、充填剤は、実質的に水不溶性の材料を含んでもよい(例えばカーボンブラック;炭じん;黒鉛;シリコン、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、チタン、鉄、亜鉛、及びスズのものなどの金属酸化物及び水酸化物;カルシウム及びマグネシウムのものなどの金属炭酸塩;雲母、モンモリロナイト、カオリナイト、アタパルジャイト及びタルクなどの無機塩類;ポルトランドセメントなどの合成及び天然ゼオライト;ケイ酸カルシウムなどの沈降金属ケイ酸塩;中空若しくは中実ポリマー、又はガラスの微小球、フレーク及び繊維など)。
【0039】
本明細書で使用するとき、「機能化」は、例えば、通電、起動、又は制御などの機能を、層又は装置が実行できるようにすることを指す。
【0040】
本明細書で使用するとき、「成形型」は、未硬化配合物(アンキュア・フォーミュレーション)から三次元の物体を形成するために使用され得る、剛性又は半剛性の物体を指す。いくつかの例示的な成形型は、互いに対向する場合、三次元の物体の構造を画定する2つの成形型部分を含む。
【0041】
本明細書で使用するとき、「電力」は、単位時間当たりに行われる仕事、又は移送されるエネルギーを指す。
【0042】
本明細書で使用するとき、「再充電可能」又は「再通電可能」は、仕事をするためのより高い能力を有する状態へと復元される能力を指す。多くの使用は、特定の再度確立された期間、特定の率で、電流を流す能力で復元できることに関連し得る。
【0043】
本明細書で使用するとき、「再通電」又は「再充電」は、仕事をするためのより高い能力を有する状態へと復元することを指す。多くの場合、特定の再開された時間、特定の率で電流を流すことができる状態に装置を復元することに関連して用いられ得る。
【0044】
本明細書で使用するとき、「離型させる」(「成形型から離型させる」と言われることもある)は、三次元の物体が成形型から完全に分離した状態、又は穏やかな振動によって取り外すことができるように、ほんの軽く成形型に取り付けられている状態、のいずれかであることを意味する。
【0045】
本明細書で使用するとき、「積層された」は、少なくとも2成分層を、層のうちの1層の1つの面の少なくとも一部分が、第2の層の第1の面と接触するように、互いに近接して配置することを意味する。いくつかの実施例では、接着のためであれ、又は他の機能のためであれ、コーティングが2つの層の間に存在してよく、これらの層はそのコーティングを通じて互いに接触している。
【0046】
本明細書で使用するとき、「トレース」は、回路部品を接続できる通電素子部品を指す。例えば、回路トレースは、基板がプリント回路基板である場合、銅又は金を含むことができ、典型的には、フレックス回路内の銅、金、又は印刷された膜であり得る。特殊な種類のトレースは、電流コレクタである。電流コレクタは、電気化学的適合性を有するトレースであり、この電気化学的適合性により電流コレクタは、電気化学セルのカソード又はアノードとの間に電子が伝達される際に用いるのに好適なものとなる。
【0047】
本開示による電池を組み立てて構成する方法には他の例が存在する場合があり、そのうちのいくつかを以下の項に記載することができる。しかしながら、これら実施例の多くに関して、独自のものとして説明することができる、電池の選択されたパラメータ及び特徴が存在する。以下の項では、いくつかの特徴及びパラメータに焦点が当てられる。
【0048】
図1及び図2を参照すると、一実施形態による例示の電気化学的電池セル100の2つの異なる断面図が示されている。図1は、ベクトルL(長さ)に垂直な面に沿った断面図であり、図2は、ベクトルH(高さ)に垂直な面に沿った断面図である。
【0049】
電気化学的電池セルは、円筒形アノード110を備え、アノード110は、電気化学的電池セルの長さに沿って延在し、負極として機能する。より詳細には、アノード110は、図2に示す長さベクトルLに平行なベクトルに沿って延在する。この実施形態では、アノード110は略円筒形の形状であり、断面が円形である。アノード110の直径は十分小さく、そのアスペクト比(長さ対幅の比)はアノード110の可撓性を可能にするよう十分大きい。直径は、任意の電流コレクタの不在に適合するよう十分大きいサイズを有してもよい。電気化学的電池セルが放電するとき、アノードからの反応材料が電気化学的に反応し、溶液中に入ってもよい。アノード反応材料がアノードから離れるにつれて、アノードの表面に窪みができ又は該表面は別様に変化し得、直径の全体的な低下が認識され得る。残りのアノード材料は連続した状態のまま留まって、その長さ全体にわたってアノード電流コレクタとして作用することが可能な状態のままであり得、したがってアノードから電子を電気化学的電池セルの外部に伝導することが可能である。
【0050】
下記に再度、より詳細に記載し得るように、いくつかの例においてアノード110は、この実施形態では、外面の第1の包装材料部分140及び第2の包装材料部分150に隣接して、電気化学的電池セルの片側に位置付けられている。第1の包装材料部分140及び第2の包装材料部分150は、互いに関連して配設されて、セル内部160を形成している。包装材料部分は、それ自体に結合し又は別様に封止され得る材料から製造されている。包装材料部分の材料はまた可撓性であり、セル内部160内に位置する全構成要素を封入することが可能であり得る。
【0051】
いくつかの例において、電気化学的電池セルはカソード120を更に備え、カソード120も、電気化学的電池セルの長さに沿って延在し、正極として機能する。より詳細には、カソード120は、図2に示す長さベクトルLに平行なベクトルに沿って延在する。この実施形態では、カソード120は略平面状であり、断面が矩形である。カソードは、カソード電流コレクタ130と電気的に接触して位置付けられてもよく、この実施形態では、カソード電流コレクタ130上に取り付けられてもよい。電流コレクタ130上にカソード120を被覆するこの配置により、電気化学的電池セル100が捻られ、屈曲され、又は別様に歪まされる間、首尾一貫した状態のままである可撓性カソード構造が提供される。電気化学的電池セルが電気化学的に放電するとき、カソード120からの反応材料が電気化学的に反応してもよく、拡張する可能性がある。カソードは、適切な多孔性を有して作製され、また任意のそのような拡張に適合する適切な成分から作製されることによって、そのような拡張に適合するよう設計されてもよい。そのような適合により、カソード120はカソード電流コレクタ130との接着を維持し、また別様に首尾一貫した状態のままであることが可能であり得る。
【0052】
カソード120及びカソード電流コレクタ130は、第2の包装材料部分150上に位置付けかつ支持され、セル内部160内でアノード110に対向した位置にあるよう示されている。図1及び図2に示すアノード110及びカソード120のサイズは必ずしも等尺ではないが、アノードとカソードとの相対的な位置は、所定の空間170により隙間が空いている。セル内部内の所定の空間の寸法は、アノードとカソードとが電池の短絡の原因となるであろう直接接続をしないことを確実にするために重要であり得る。この寸法はまた、電気化学的電池セルの速度能力に直接関係する、有効なイオン電荷拡散を妨げるほど大きくすることはできない。代替的な実施形態では、透過性膜電池セパレータを使用してもよいが、本実施形態のセル構造は、追加される製造の複雑さと、そのような構成要素の追加の費用との必要性を除去する。
【0053】
カソード120とアノード110とは電解質180を介してイオン連絡し、電解質180は、アノード及びカソードの両方が電解質材料とイオン連絡できるように位置付けられ得る。電解質180によりアノード110とカソード120との間の電荷の流れが可能となり得る。電解質180は、柔軟であり、セル内部160内で移動することが可能である一方、アノード110とカソード120との間のイオン拡散を提供するというその任務を実行する限り、液体、ゲル、又は半固体であってもよい。
【0054】
電気化学的電池セル100により生成された電子は、アノードコレクタタブ190を介してセルから伝導されてもよい。このアノードコレクタタブ190は、アノード110の末端部に付着されて、アノード110と電気的に連絡し得る。アノードコレクタタブ190は、アノード110及びカソード120の両方が、セル内部160の外面と、第1の包装材料部分140及び第2の包装材料部分150の両方とに電気的に連絡した状態で、セル内部160が適切に封止され得るように、アノード110の適切な延在の形状を提供する。図1及び図2のアノードコレクタタブ190の位置は、アノード110と第1の包装材料部分140との間に示されている。理解し得るように、この位置付けは、電気化学的電池セル100に高さ又は突き出しを加える場合があり、この寸法の増大を避けるために、代替的な位置が好ましい場合がある。アノードコレクタタブ190は、装置内でアノードコレクタタブ190が接続し得るものに関連して成形されている。この形状は、アノードタブと装置との間の電気的に確実な接続を形成するように、当業者によって選択されてもよい。
【0055】
図1及び図2の実施形態に示さないが、アノードコレクタタブ190及びカソード電流コレクタ130の両方は、アノード110及びカソード120のそれぞれの末端部を越えて延在してもよい。これらのアノードコレクタタブ190及びカソード電流コレクタ130の延在部分により、セル内部160のより効率的な封止が可能となる。第1の包装材料部分140及び第2の包装材料部分150は、両方とも互いに対して封止されて、セル内部160を外部又は電気化学的電池セル100から封止し、封止された第1の包装材料部分140及び第2の包装材料部分150の外部に延在するアノードコレクタタブ190及びカソード電流コレクタ130の周囲において封止され得る。したがって、アノードコレクタタブ190は、電気化学的電池セル100の外部負接点となり、カソード電流コレクタ130は、電気化学的電池セルの外部正接点となる。
【0056】
作動中、負荷(図示せず)がアノードコレクタタブ190及びカソード電流コレクタ130の両方に電気的に接続されて回路を形成した際、アノード110はアノードコレクタタブ190を介して電子を外部負接点に放出する一方、同時にイオンを電解質180中に放出する。カソード120は、外部正接点及びカソード電流コレクタ130を介して回路から流れる電子を受容し、電気化学的電池セルの化学ポテンシャルを平衡にするよう電気化学的に反応する。電気化学的電池セル100のこの配置は、捻られる間、屈曲される間、又は別様に取り扱われる間に有効に作動し得る。
【0057】
図1及び図2に示す電気化学的電池セル100は、図3に示す同一のセルと直列に、電気的かつ機械的に結合され得る。図3では、第1の電気化学的電池セル200と、その対応する負の末端部分201とが示されている。第1の電気化学的電池セル200は、アノード210、カソード220及びアノードコレクタタブ290を所有している。図3には、第2の電気化学的電池セル300と、その正の末端部分301も示されている。第2の電気化学的電池セルも、アノード310、カソード320及びカソード電流コレクタ330を有している。図3に示すように、第1の電気化学的電池セル200のアノードコレクタタブ290は、接続点399において、第2の電気化学的電池セル300のカソード電流コレクタ330に接続されている。この機械的かつ電気的な結合配置は、直列の2つの電気化学的電池セルを有する多セル電池を形成して、個々の各セルの2倍の実効電圧を提供する。代替的な結合配置を用いて、2つ又はそれ以上のセルを使用して、平行な及び他の多セル電池を形成してもよい。
【0058】
それぞれの包装材料部分240と340、及び250と350が連結されて、連続的な外面を形成して示される、又は単一の包装材料部分として製造されてもよい。しかしながら、より詳細に説明し得るように、それぞれのセル内部260及び360は、分離されることが好ましい。図4では、直列の2つの電池400の代替的な図が示されている。第1の電気化学的電池セル401は、第2の電気化学的電池セル402に電気的かつ機械的に結合されている。第1の電気化学的電池セル401及び第2の電気化学的電池セル402の両方は、それぞれのアノード410及び411と、それぞれのカソード420及び421とを有している。各カソードは、カソード電流コレクタに関連しかつ電気的に結合され、第1の電気化学的電池セルのカソード420は、第1の電気化学的電池セルのカソード電流コレクタ430に関連し、第2の電気化学的電池セルのカソード421は、同様に第2の電気化学的電池セルのカソード電流コレクタ(図示せず)に関連している。第2の電気化学的電池セルのアノード411は、第2の電気化学的電池セルのアノードコレクタタブ490に電気的かつ機械的に関連し、第2の電気化学的電池セルのアノードコレクタタブ490はまた、接続点499において第1の電気化学的電池セルのカソード電流コレクタ430に電気的かつ機械的に関連している。
【0059】
直列の2つの電気化学的セルは、カソード側が第1の包装材料部分440により包囲され、第1の包装材料部分440は、直列の2つのセルの長さに延在するが、第1の末端部403において終結して、第2の電気化学的電池セルのカソード電流コレクタが第1の包装材料部分から突出することを可能にしている。第2の末端部404において、第1の包装材料部分は同様に終結して、第1の電気化学的電池セルのアノードコレクタタブ491が第2の末端部を越えて延在することを可能にしている。第2の包装材料部分450は、長さ及び幅が第1の包装材料部分440と同様であり、直列の2つの電池のアノード側に隣接して位置付けられ、セル内部460は、第2の電気化学的電池セルのカソード電流コレクタ及び第1の電気化学的電池セルのアノードコレクタタブの両方が包装材料部分を越えて延在して、外部負荷(図示せず)とのそれらの電気的連絡を可能にすることができる方法で、第1の包装材料部分440と第2の包装材料部分とを接着剤で又は溶接によって関連させることにより封止され得る。
【0060】
セル内部460を、各電気化学的電池セルに関連した個々のセル内部に分離することが好ましい可能性がある。このことは、接続点499に隣接して仕切りを提供することにより行うことができる。図5Aを参照すると、この実施形態のセル内部分離を提供するのに使用され得る包装材料部分500が示されている。包装材料部分500は、包装材料部分上の分離地点520において包装材料部分に付着され得る仕切り510を含む。仕切り510は、直列の2つの電気化学的電池セルの間のダムとして機能して、セル間のイオン伝導及び対流を防止するように構成されてもよい。仕切り510は、包装材料部分にレーザー溶接された後、包装材料部分500がレーザー溶接又は代替的な接続方法によって第2の包装材料部分に対して封止された際、再度レーザー溶接されてもよい。代替的な実施形態では、仕切りは、超音波溶接、又は熱溶接方法などの代替的な連結方法によって付着されてもよい。
【0061】
図5Bでは、セル内部の分離を提供する代替的な実施形態が示されている。包装材部分550は、包装材料部分上の分離地点570における仕切り560を含む。仕切り560は、接着剤によって、より好ましくはUV硬化性接着剤によって包装材料部分及び第2の包装材料部分に固定されてもよい。第1の包装材料部分及び第2の包装材料部分は、それらの周辺部において互いに対して封止され、仕切り560は、両方の包装材料部分に接着剤で固定されて、セル内部の分離を提供してもよい。
【0062】
図6では、電気化学的電池セル600の代替的な実施形態の断面図が示されている。この実施形態では、電気化学的電池セル600は、円筒形の形状の、電気化学的電池セルのカソード電流コレクタ630を所有し、このカソード電流コレクタ630は、電気化学的電池セルのカソード620と第1の包装材料部分との間に位置付けられて示されている。図示しないが、電気化学的電池セルのカソード電流コレクタは、代替的に完全にカソード620中に又は部分的にカソード620中に配設されてもよい。アノード610は、カソード620から所定の距離670においてセル内部660内に位置している。セル内部は電解質(図示せず)で満たされて、アノードとカソード電極との間の必要なイオン伝導性を提供する。
【0063】
第1の包装材料部分640と第2の包装材料部分650との両方の、それらの周辺部に沿った連結の方法は、図6を用いて記載することができる。電気化学的電池セル600は、超音波溶接固定具内に配置されてもよく、超音波溶接固定具は、電気化学的電池セル600の一部分を包囲して、断面にて典型的に示されている。超音波溶接固定具は、超音波溶接ホーン691及び超音波溶接アンビル692の両方を含む。電気化学的電池セル600を固定具内に配置し、溶接部を所望する位置において超音波溶接ホーン691を第1の包装材料部分640と接触させる。この方法実施形態では、溶接部は、電気化学的電池セル601のアノード側と、電気化学的電池セル602のカソード側との両方に所望される。固定具によって電気化学的電池セルに制御圧力を適用し、第1の包装材料部分640と第2の包装材料部分650とを接合する。超音波ホーンを、材料に適した周波数で所望の振幅にて、第1の包装材料部分及び第2の包装材料部分を溶接するのに必要な所定時間、振動させる。制御圧力を所定の第2の時間維持して、包装材料部分を融合させることができる。
【0064】
従来技術によるプラスチックの超音波溶接は、連結される品目の平面に大部分が直交する超音波ホーンの運動を用いて行い(図2に示したベクトルHに沿った側部封止に関して)、このことは好ましくない幅広い連結部をもたらし得る。いくつかの例において、超音波ホーンの運動が大部分、側部封止と同じ面内にある場合(線状側部封止の場合、図2に示したベクトルLに沿って延在する面)、比較的より細い封止が達成され得る。ホーンの運動のベクトルは、封止される包装体の縁と同じ面内にある。非線状の側部継ぎ目(例えば、弓形の側部継ぎ目)の場合、側部継ぎ目に対するホーンの運動は、側部継ぎ目に沿って異なる位置で変わり得るが、溶接される包装材料と同じ面内に留まり得る。
【0065】
過剰な包装材料は、例えば、レーザー切断、超音波切断、ツール−ダイデゲーティング、又はウォータージェット切断)によって、溶接部の外部における包装材料部分が除去されるように、末端部693及び694において機械的に切り取られてもよい。代替的に、超音波溶接時間を延長して、包装材料部分を封止している間に、封止された末端部693及び694を切断してもよい。包装材料部分を周辺部に沿って溶接することにより電気化学的電池セルを封止したら、第2の制御圧力を除去し、超音波溶接ホーンを後退させる。この連結プロセスによって、多数の電気化学的電池セルが連続的に封止され得る。
【0066】
この電気化学的電池セル構成は線状、平面状構造に限定されず、様々な実施形態に従って多数の形状及びサイズにて構成することができる。この電気化学的電池セルの構成要素と、包装材料とを使用して、電気化学的電池セルをその所望の形状に成形することができる。
【0067】
図7では、弓形形状の電気化学的電池セル1000が示されている。この実施形態では、2つの電気化学的電池セルは直列に接続されている。第1の電気化学的電池セル1001は、接続点1099において、第2の電気化学的電池セル1002に電気的及び機械的の両方で結合されている。第1の電気化学的電池セル及び第2の電気化学的電池セルの両方は、第1の包装材料部分1040上に置かれて示されている。図示しないが、第2の包装材料部分は、第1の包装材料部分に関連して、電気化学的電池セルのために連続的な外側包装材料を外面に形成している。
【0068】
第1の電気化学的電池セル1001は、アノード1010及びカソード1020を備える。カソードは、第1の電気化学的電池セルのカソード電流コレクタ1030と電気的に連絡して位置付けられている。第2の電気化学的電池セル1002は、同様にアノード1011及びカソード1021を備える。カソード1021は、第2の電気化学的電池セルのカソード電流コレクタ1031に隣接しかつ電気的に連絡して位置付けられている。アノード1010及び1011の両方は、関連したアノードコレクタタブを所有し、この関連したアノードコレクタタブは、アノード末端部に電気的及び機械的の両方で接続されて電子を伝導する。
【0069】
接続点1099において、第1の電気化学的電池セルのアノードコレクタタブ1090と第2の電気化学的電池セルのカソード電流コレクタ1031との間の電気的かつ機械的接続が示されている。この接続は、第1の電気化学的電池セル及び第2の電気化学的電池セルの両方の間に電気が流れることができるように、また、電気化学的電池セル1000が所望の形状に固定されるよう一定の強度を提供するように、溶接され又は代替的に作製され得る。
【0070】
電気化学的電池セル内のこれらの各構成要素は、平行な弓形の路又はベクトルに沿って延在する。例えば、アノード1010及びアノード1011は弓形ベクトルに沿って延在し、その長さは、ほぼ電気化学的電池セル1000の長さである。カソード1020及びカソード1021は、アノードベクトルに平行に延在する別個の弓形ベクトルに沿って延在する。電気化学的電池セル1000は、図示した平面状のC形状にて構成されてもよく、又は弓形形状は円錐台形のような非平面状であってもよく、若しくはコンタクトレンズの本体におけるような球状セグメントの周囲に延在するよう成形されてもよい。この形状は、構成要素の剛性によって、又は代替的に、電気化学的電池セル内に含まれるが電気化学的反応の活性構成要素ではない構造部分を含ませることによって、維持されてもよい。例えば、ダイカットチタン箔をセル内部内の第1の包装材料部分と第2の包装材料部分との間に配置してもよい。箔構造部分は、電気化学的電池セルの不活性容積を有意に増大させないが、電気化学的電池セルの所望の形状を維持するよう機能するであろう。
【0071】
図8では、電気化学的電池セルの代替的な実施形態1100の上面断面図が示されている。この実施形態では、電気化学的電池セル1100は、円筒形の形状の、電気化学的電池セルのカソード電流コレクタ1130及び1131を所有し、カソード電流コレクタ1130及び1131は、電気化学的電池セルのカソード1120及び1121と包装材料部分(図示せず)との間に位置付けられて示されている。図示しないが、電気化学的電池セルのカソード電流コレクタは、代替的にカソード1120及び1121中に又は部分的にカソード1120及び1121中に配設されてもよい。ワイヤ形状のアノードと組み合わせたワイヤ形状のカソード電流コレクタは構造的剛性を提供し、このことは、任意の不活性構造部分の必要性を除去する。電気化学的電池セル1100を構成する2つの電気化学的電池セル1101及び1102は、接続点1199において電気的かつ機械的に接続されている。
【0072】
ワイヤ形状の第1の電気化学的電池セルのアノード1110と、第2の電気化学的電池セルのカソード電流コレクタ1131とは、図9に示すように、超音波溶接部によって連結されてもよい。典型的に示す超音波溶接固定具1198が、2つのワイヤ形状の構成要素を溶接して機械的に接続された連結部1197を形成するよう機能する間、圧縮力は第1の電気化学的電池セルのアノード1110と第2の電気化学的電池セルのカソード電流コレクタ1131とを一緒に保つ。代替的に、別の連結技術の抵抗溶接を用いて連結部1197を形成して、電気的に連絡しかつ機械的に堅固な連結部を形成してもよい。電気化学的電池セルの封じ込めに有用な、別の連結方法は、レーザービーム溶接である。
【0073】
図10では、既に形成されている、機械的に接続された連結部1197と、第1の電気化学的電池セル及び第2の電気化学的電池セルのセル内部を分離するよう形成された仕切り1196とを用いて組み立てられた電気化学的電池セル1100が示されている。等しいサイズの第1の包装材料部分1140及び第2の包装材料部分1141は、それらの周辺部が整合されて配置され、圧縮されて、包装材料部分の周辺部全体に沿って加圧周辺部を形成する。このことは固定具内で行うことができ、該固定具は、同時に、又は移動冶具若しくは固定具を用いて連続的に、加圧周辺部を形成する。周辺部が圧縮されている間、レーザー溶接ビームを電気化学的電池セルに沿って通過させることができ(ベクトルW1194で示す方向に)、レーザー溶接ビームが通過した圧縮周辺部は、融解した後、再固化する間に連結することによって溶接される。レーザーは毎秒、多数の加熱パルスを発射して、別個の重なる点溶接部を形成し、該溶接部は、包装材料部分の周辺部に沿って継ぎ目を形成する。セル内部、電池構成要素及び電解質の局所加熱を生じさせないように、適切なレーザー波長が選択される。ポリプロピレン包装材料の場合、800nmのレーザー光が好ましい。
【0074】
図8の電気化学的電池セル1 100の別の実施形態は、代替的なアノード構造を用いて記載することができる。この実施形態では、電気化学的電池セル1100を構成する2つの電気化学的電池セル1101及び1102は、共通の構成要素を共有することによって電気的かつ機械的に接続されている。アノード1110及び1111は、それぞれ、導電性のアノード電流コレクタを更に含む。次いで、活性アノード材料が、アノード電流コレクタとの物理的接触を維持すると共に電気的に連絡するように、各アノード電流コレクタ上に又は該コレクタに隣接して配設される。このようなアノード電流コレクタの使用により、隣接して接続されたセル内でアノード電流コレクタをカソードコレクタとして使用することが可能となる。例えば、第1の電気化学的電池セル1101の電気化学的電池セルアノード電流コレクタ(図示せず)は、第2の電気化学的電池セル内に延在して、第2の電気化学的電池セルのカソード電流コレクタ1131として使用されてもよい。この共通のセル構成要素を使用することにより、第1の電気化学的電池セル1101と第2の電気化学的電池セル1102とは、任意の溶接部又は連結部の必要性を有することなく、電気的かつ機械的に接続される。
【実施例】
【0075】
本明細書に記載した組成物及びプロセス、並びにそれらの作製及び使用方法を、以下の実施例にて説明する。
【0076】
(実施例1)
基材の調製
ポリカーボネートブラックをいくつかの区分に切断した。第1のスロット及び第2のスロット2010、2011(それぞれ約8.26ミリメートル長×0.2ミリメートル深さ×0.998ミリメートル幅(0.325インチ長×0.008インチ深さ×0.0393インチ幅))を、図11Aに示すようにブロック2000の表面からフライス削りした。次に溝2020(0.18mm幅〜0.25mm幅(0.007インチ幅〜0.01インチ幅)を、第1のスロット及び第2のスロット2010及び2011の中間で切り取り、2つの大きなスロットを一直線に接続した。完成した各スロットは、セルの保持に使用する。
【0077】
カソードの調製
10重量%のカーボンブラック(例えば、Soltex(Houston,Texas)製のACE Black AB100、83〜85重量%の微粉電解二酸化マンガン(例えば、Tronox(Stamford,Connecticut))、及び残部(5〜7重量%)のPTFE(例えば、PTFEの水中60重量%分散物、Dupont Polymers(Wilmington,Delaware)からTE3859として入手可能−これは、バッチ中60.6%固体、5.7%湿潤剤を有する)の組成物を用いてカソードシートを調製した。このシートは、カーボンブラック及び二酸化マンガンを混合容器内で組み合わせ、Thinky(Laguna Hills,California)製のThinkyミキサーModel Number ARM−310内にて1,000RPMで3分間混合することにより調製した。次いで、1グラムの二酸化マンガン当たりほぼ1.05グラムの脱イオン水を混合容器に加え、これを再度1,000RPMで3分間混合した。次いで、PTFEを加え、ミキサー内にて200RPMで混合してPTFEを分散させ、次いで1,500RPMで混合してPTFEを小繊維化させ、粘性塊を形成した。
【0078】
次いで、得られた粘性塊を、材料の剛性が増大し、形成可能となるほど粘度が増大するまで混錬した。耐熱ポリマー外側層、内側アルミニウム箔コア、及び熱融着性ポリマー内側層(例えば、Ultra Flex Corporation(Brooklyn,New York)製の包装材料。この包装材料は、片側の0.025mm(0.001インチ)ポリエチレン熱融着性層、他方の側の48ゲージ(0.013mm(0.0005インチ))PETフィルム、及びそれら2つの間の0.00803mm(0.000316インチ)アルミニウム箔層からなる)からなる電池包装材料積層体の部分を切り取り、耐熱層が外側になるように縦方向に半分に折り畳んだ。粘性塊の部分をちぎり取り、縦方向に折り畳んだ包装材料の内部に配置した。宝石商ミルを使用して、この粘性塊をロールで圧延し、この材料を周期的に該材料上に折り畳んで、小繊維化及び結合を向上させ、時々、材料を定位置にて包装材料に対して90度回転させて、縁からこぼれることを回避した。この方法でカソードミックスからほぼ150マイクロメートルの厚さのシートを調製した。このシートを包装材料から除去し、秤量皿(weigh boat)上に配置し、室温で数時間風乾した。最終的に、シートを60℃で数時間〜一晩乾燥した。
【0079】
電解質の配合
電解質を、最初に、脱イオン水中の1.9M NH4C1及び0.63M CaCl2の混合物を使用して調製した。
【0080】
次いで、ゲル状電解質を以下のように調製した。一定量の電解質を、撹拌子を含むビーカーに加えた。このビーカーを覆って蒸発を防ぎ、沸騰するまでホットプレート上で加熱撹拌した。次いで、脱イオン水を加えて、秤量により測定された、蒸発した水を置き換えた。十分な寒天をビーカーに加えて、97重量%の電解質、及び3重量%の寒天を含む混合物を生成した。寒天を有する電解質を、寒天が溶解するまでホットプレート上で撹拌した後、脱イオン水を加えて、蒸発した水を置き換えた。次いで、混合物を撹拌し、室温に冷却させ、柔らかい、濁ったゲルを形成した。
【0081】
アノード
市販の純粋な亜鉛ワイヤ(例えば、California Fine Wire(Grover Beach,California)製の(0.15mm(0.006インチ)純粋亜鉛99.95%ワイヤ)を得た。
【0082】
カソード−電流コレクタアセンブリの手順
ほぼ150μιη厚のカソード材料部分から、刃を使用して、ほぼ7mm長のカソード材料の細長片を切り取った。次いで、これらの細長片から約3mm幅まで(しかし、少なくとも600μιη幅)のより細い細長片を切り取った。短い長さ(ほぼ2cm〜10cm)の0.051mm(0.002インチ)直径のチタンワイヤ(例えば、0.050mm 99.8%純度、Goodfellow(Coraopolis,Pennsylvania)製のハードテンパーチタンワイヤ)をロールから切断し、それらの末端部をエポキシの小さな点を用いてプラスチック秤量皿に取り付け、エポキシを硬化させた。カソードのアセンブリを図11Bに示す。カソード細長片2040を、一端2051にて接着されたワイヤ2050の下に配置し、ワイヤを細長片上でぴんと張って保持した。ワイヤをぴんと張って保持しながら、導電性糊コーティング(例えば、高分子バインダー及び片状黒鉛、例えば、Timcal(Westlake,Ohio)製のTIMCAL E−LB 1020を含んで調製)。導電性コーティングがワイヤ2050をカソードシート2040の表面に保持するのに十分乾燥した後、ぴんと張って保持したワイヤの末端部を解放した。コーティングを数時間空気中で乾燥させた後、刃を使用してワイヤをアセンブリの一端2051から切り離し、ワイヤの他端を切り取ってより短い長さにし、カソード細長片2040を400〜800μιηの幅に切った−図11C参照。
【0083】
セルアセンブリの手順
カソード−電流コレクタアセンブリを、導電性コーティング/糊を使用して、図11Dに示すようにプラスチック基材2000内に接着した。カソード−電流コレクタアセンブリ2030を、ワイヤを下向きにして定位置にセットして、後のカソード細長片2040の湿潤を可能にした。カソード−電流コレクタアセンブリ2030を、最初に、スロット2010の末端部2012に取り付け、次いで、カソード−電流コレクタアセンブリ2030をスロットの壁から離れるように曲げ、壁に沿って更なる導電性糊を適用し、カソード−電流コレクタアセンブリ2030をスロットの壁に対して押圧した。後に挿入される亜鉛ワイヤ2060とカソードとの間のクリアランスを妨げるであろう過剰のカソード材料が存在した場合、該過剰の材料を除去した。およそ1.5センチメートルの亜鉛ワイヤの長さを切り取り、真っ直ぐにした。それらをスロット2010内に配置し、セルの開放端から外部に延在させ、少量のエポキシを適用して、ワイヤを定位置に保持した。次いで、エポキシをスロットのチャネル開口全体に適用し、エポキシが硬化するまでポリイミドテープ(例えば、Kapton Brand)をスロットの開口上に配置した。エポキシが硬化した時点で、ポリイミドテープを除去した。次いで、電解質を適用してスロットを覆い、カソードに染み込ませた。次いで、吸収性ペーパーワイプを使用して、カソード中に吸収されたものを除いて、スロットとスロットを包囲する基材の範囲とから全ての電解質を除去した。次いで、ゲル状電解質を加えてスロットを満たした。一片のポリイミド接着剤テープ(例えば、Kapton Brand)を、末端部を含むスロットの頂部上に配置した。このテープは、通常、2つのセルが垂直方向にて定位置にある状態で、末端部間に延在するであろう。
【0084】
次いで、二液エポキシを使用して、ポリイミドテープの頂部上を覆い、また、ワイヤがスロットを退出するブロックの末端部も覆った。エポキシが硬化したら、ポリカーボネート基材が固定された。次いで、顎部がぎざぎざでないワニ口クリップを使用して、セルから出ているワイヤ(チタン及び亜鉛)を掴み、セルを短絡させないよう注意した。クリップ間にインシュレータを配置して、それらの接触を防止した。エポキシがゲル化した後であるが、該エポキシが完全に硬化する前に、インシュレータを除去した。通常の電池試験器具を使用してセルを試験した。
【0085】
表1は、実施例1に記載したように調製した電気化学的電池セルの性能及び概要である。
【0086】
【表1】
【0087】
(実施例2)
亜鉛粉末アノード
亜鉛を結着粉末として使用してアノードを調製した。PTFE(TE3859分散物から)をバインダーとして使用し、アセチレンブラック(AB100%)を導電性フィラーとして使用して、5重量%アセチレンブラック、5重量%PTFE、及び90重量%亜鉛の組成を有する亜鉛粉末(例えば、Umicore(Belgium)製のEEF等級)を調製した。プラスチックスパチュラを使用して、20グラムの亜鉛を1.11グラムのアセチレンブラックと手動で混合して、視覚的に均質な混合物を形成した。次いで、この混合物を、Thinky ARM−310ミキサーを使用して、9グラムの脱イオン水と1000RPMで3分間混合した。次いで、1.85グラムの60% PTFE(TE3859)分散物を混合物に加え、これを200RPMで3分間混合して分散させ、次いで1000RPMで3分間混合して小繊維化させて、粘性塊を形成した。次いで、この粘性塊を混錬し、電池包装材料(Ultra Flex Corporation(Brooklyn,New York)製)の間で圧延した。包装材料は、片側の0.025mm(0.001インチ)ポリエチレン熱融着性層、他方の側の48ゲージの(0.013mm(0.0005インチ))PETフィルム、及びそれら2つの間の0.00803mm(0.000316インチ)アルミニウム箔層からなる)の部分の間で圧延した。カソードシート調製と同様に、この積層体の部分を切り取り、耐熱層が外側になるように縦方向に半分に折り畳んだ。粘性塊の部分をちぎり取り、縦方向に折り畳んだ包装材料の内部に配置した。宝石商ミルを使用して、この粘性塊をロールで圧延し、この材料を周期的に該材料上に折り畳んで、小繊維化及び結合を向上させ、時々、材料を定位置にて包装材料に対して90度回転させて、縁からこぼれることを回避した。この方法でカソードミックスからほぼ150マイクロメートルの厚さのシートを調製した。このシートを包装材料から除去し、秤量皿(weigh boat)上に配置し、室温で数時間風乾した。最終的に、シートを60℃で数時間〜一晩乾燥した。
【0088】
およそ300マイクロメートル幅×150マイクロメートル厚さ×7〜8mm長のアノード材料の細長片を切り取り、次いで導電性糊(Timcal E−LB 1020)を(カソードにおいて使用して行ったように)使用して50マイクロメートルのチタンワイヤ電流コレクタ(例えば、Goodfellow(Coraopolis Pennsylvania)製)に取り付けた。
【0089】
10重量%アセチレンブラック(AB 100)、5重量%PTFE(TE3859分散物から)、及び85%微粉MnO2(Tronox)からなるカソードシートを、実施例1に記載したように調製した。このシートから、ほぼ10mm幅×150μιη厚さの材料の細長片を切り取った。チタン箔の部分を切り取り、透明テープを、裸の箔のおよそ7mm幅の細長片を残して適用した。次いで、この箔に導電性糊を塗布し、糊が未だ湿潤している間にカソードシートの細長片を押圧した。60℃でほぼ2時間〜一晩乾燥した後、箔を炉から除去し、細長片に切断して、実験ホルダ内に挿入し、取り付けられたカソードと共にこれらの細長片は、対向電極として機能した。実験サンプルホルダは、擬参照電極として使用した一枚の亜鉛箔を有し、50μチタンワイヤに取り付けられた結着亜鉛シートは作用電極として機能し、カソードシートが取り付けられたチタン箔は、対向電極であった。3つの全電極は、共に、脱イオン水電解質中の1.9M NH4C1及び0.63M CaCl2を収容するガラスバイアル内にあった。3つのサンプルに関して、作用電極に適用された5、10、及び100μAのパルスを有する30秒間の交流開回路期間と、その後の30秒間の開回路期間とからなる試験を行った。開始時と100μAパルスの終了時の電圧降下から決定した各電極の内部抵抗を抵抗の平均として取得した。3つのサンプルは、101、183、及び145Ωの抵抗を有した。
【0090】
(実施例3)
封止されたマイクロ電池構造
セル構成要素の形成:
この実施例で組み立てたマイクロ電池のセル構成要素を、寸法及び他の物理的特性により表2に更に記載する。
【0091】
【表2】
【0092】
カソードシートの調製:
カソードは、以下のように調製する。最初に、Waringワーキングブレンダーを使用して乾燥粉末を混合する。MnO2(Tronox微粉)とBP2000カーボンブラック(Cabot)とを500g:20.83gの比(24:1)で混合する。
【0093】
粉末をブレンドしたら、次いでそれらをPTFEと共に湿潤ブレンドに変換する。ブレンド全体の組成は、24.27%乾燥粉末(上述した)、66.50%脱イオン水、4.86%Triton X−100溶液、及び4.37%溶液(DISP30、60重量%PTFE)である。次いで、ブフナー漏斗を使用して湿潤ブレンドを真空下で濾過する。
【0094】
固体塊を調製した後、宝石商プレス、パスタローラー、又は同様物を使用して繰り返し圧延して、PTFE鎖を更に小繊維化させる。最後を除いた各圧延工程後、固体塊を再構成して、次の工程用に準備する。
【0095】
生地を自立型シートに変換するために、誂えの電動ローラー構成を使用する。材料をローラーに多数回送り込み、その度に材料をそれ自体上に折り畳み、ロール間の間隙を、間隙が0.12mmとなるまで低減する。その後、材料を風乾させる。
【0096】
カソードが自立型シートの形態となった後、次いでこのシートを接着剤(Henkelにより販売されているEB−012、又はImerysにより販売されているE−LB 1020など)を使用して電流コレクタに取り付ける。チタン箔電流コレクタを、例えば、沸騰している10重量%シュウ酸溶液中に10分間浸漬することにより粗面化してもよい。粗面化後、チタン箔を除去し、脱イオン水で濯ぎ、徹底的に乾燥させる。
【0097】
Epilog FiberMark 50Wパルスイットリウムファイバーレーザーを使用して、チタン箔(10マイクロメートル厚)を400μιη幅の細長片に切断する。カソード材料の細長片を所望の幅に切断し、片側をEB−012で被覆する。カソード材料の被覆側を、切断したチタン上に押圧する。その後、レーザーを使用してチタン及びカソードを個々の自立型構成要素に切断する。
【0098】
6重量%CMC(GA07 Walocel)でゲル化した、残部水を有する25重量%酢酸亜鉛、0.2重量%酢酸アンモニウムからなる電解質ゲルを調製する。
【0099】
所望であれば、カソード細長片をセパレータに積層してもよい。これを達成するために、チタン上のカソード細長片に電解質ゲット(get)を被覆し、カソードよりも僅かに幅広い一枚のセパレータ(Dreamweaver International(Greer,South Carolina)から入手可能な25μm厚Dreamweaver Silver(商標))をゲル状電解質の上部に配置する。カソード及びセパレータを2枚のFEP(フッ素化エチレンプロピレン)フィルムの間に配置し、次いでスタック全体を5cm(2インチ)厚の真鍮シム部分間に配置する。次いで、カソードとセパレータが機械的に互いに結合するように、スタックをApache AL−13Pラミネート機に通す。
【0100】
アノードは、レーザー又は超音波切断などの技術を用いてあるサイズに切断された一枚の亜鉛箔からなる。場合により、切断する前に、導電性接着剤を使用して亜鉛を一枚の粗面化されたチタン箔に接着してもよく、この粗面化チタン箔は、アノード用の電流コレクタとして機能する。使用する糊は、Atom Adhesives AA−Carb 61などの炭素充填熱硬化性樹脂であってもよい。熱硬化性樹脂を使用する場合、熱硬化性樹脂は亜鉛又はチタンのいずれかに適用される。Creative Materials(Ayer,Massachusetts)107〜25などの熱可塑性樹脂ペースト、インク又はコーティングを亜鉛細長片及びチタン部分の片面に適用すること、並びに次に熱及び圧力を適用して2つを互いに連結することも可能である。
【0101】
いくつかの場合、電流コレクタを共有する直列の2つのセルを有することが望ましく、該電流コレクタは、第1のセルのためにアノード電流コレクタとして機能し、第2のセルのためにカソード電流コレクタとして機能する。この場合、アノードは、上述したように、電流コレクタの一部に取り付けられる一方、カソードは電流コレクタの他方の側に取り付けられ、裸の電流コレクタがいずれの末端部でもフィードスルーできるようにする。
【0102】
被覆フィルム
被覆包装材料フィルムは、高分子材料よりも高いバリアを有するフィルムに隣接した高分子フィルムを指し、前記より高いバリアのフィルムは、高分子フィルム上に形成され、又は隣接する層上に存在する。セラミックフィルムは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、アルミ金、チタンなどであってもよく、このフィルムはCVD、スパッタリング、プラズマ蒸着、ゾル−ゲルなどによって形成されてもよい。場合により、被覆フィルムは、初期のより高いバリアのフィルム上に堆積された、ポリマーと、より高いバリアのフィルムとの交互層を含んでもよい。使用される包装材料フィルムの好ましい例は、Ceramis CPP−004(CelPlast(Toronto Canada))であり、これは酸化ケイ素バリア層で被覆されたポリプロピレンである。
【0103】
セルの包装
一般に、セルは通常、包装されたセルの上部及び下部を形成する被覆又は非被覆の2枚のポリマーフィルムの間に封止される。セル製造における第1の工程は、カソードコレクタが包装体上の定位置に存在するように、カソード及びカソードコレクタを包装体上に横たえる。セル構成要素が移動して短絡を生じないように、又は封止プロセスを妨害しないように、封止中、セル構成要素を機械的に定位置に保持することが有益である。例えば、3M 80スプレー接着剤又はKrylon Easy−Tackなどの低粘着性の感圧性フィルムを使用して、セル構成要素を包装材料フィルムの1つに取り付けることが可能である。ある種類の機械的クランプを使用して、封止プロセス中にセル構成要素を定位置に保持することも想定し得る。カソード及びコレクタが定位置に配置されたら、カソードを電解質で湿潤させる。カソードは、場合により、切断される前にセパレータに積層されてもよく、そうでない場合、一枚のセパレータを湿潤カソードの上部に機械的に配置し、必要であればより多くの電解質を適用する。
【0104】
この時点で、アノード、(及び場合によりアノードコレクタ;この組み合わせをアノードアセンブリと称することができる)が次いでセルに加えられる。カソードが上述したようにセパレータに積層されない場合、カソードの脇にアノードアセンブリが配置され、セパレータによってカソードから分離されて、電気的短絡を防止し得る。代替的に、カソードがセパレータに堆積されても又はされなくても、アノードアセンブリがカソード及びセパレータの上部に配置され得る。いずれの場合でも、セパレータはカソードよりも幅広いことが好ましく(又は、カソードがセパレータに堆積される場合、カソードと幅が等しい)、またアノードアセンブリがカソードよりも細いことが好ましい。アノード、カソード及びセパレータが定位置に配置されたら、セルは包装材料の上部層を用いて一緒に封止される準備が整っている。
【0105】
セル包装体は、「フィードスルー」及び「側部」の2種類の封止部を有する。フィードスルーは、セルのより短い軸線上に位置すると共に、側部は、セルのより長い軸線上に位置する(前記軸線は線状、弓形、又はいくつかの他の形状であってもよい)。フィードスルーと側部との機能的相違は、側部が気密封止部としてのみ機能する必要がある一方、フィードスルーは、気密封止部として機能すると共に、電気端子(1つ又は複数)がそれらを通って延在することを可能にする必要があることである。セルのより短い軸線が非常に小さい(例えば、1.5mm幅未満であるが、概ね300マイクロメートル幅を超える)場合、側部は、容認できない内部容積損失を防ぐために、フィードスルーよりもはるかに細くなくてはならない。一般に、側部は、より短いセル軸線の長さに応じて、20μιη幅〜200μιη幅であり得る。同時に、フィードスルーが電流コレクタを周回する必要がある場合であっても、フィードスルーの厚さに材料を加えて(乾燥フィルム、コーティング又は接着剤など)該フィードスルーが気密であることを確実にすることが可能である。セルのより長い軸線上のフィードスルー封止部の位置に起因して、フィードスルー封止部がより長い長さを占めることは容認でき、該より長い軸線は、概ね少なくとも4mm長である。
【0106】
継ぎ目に対する電極の位置付けは、そのような小さい構成要素に対処する際に重要である。一般に、側部継ぎ目及び電極の位置は、電池の幅の5%以内であり得る。例えば、1mm幅の電池電極及び側部継ぎ目の場合、位置は約±0.05mm未満の公差を有するであろう。電池の長さに関しては、フィードスルー、フィードスルー接着剤、及びフィードスルー封止機構を通る端子の裸の部分の位置の公差は、ほぼ25%の公差を有し得る。例えば、1mm幅の封止部の場合、この位置付けは±0.25mm以内であり得る。裸の端子(カソード材料で被覆されていないカソードコレクタ、及びアノードにより覆われていないアノードコレクタ)の幅は、フィードスルー継ぎ目の長さに延在してもよいことに留意されたい。
【0107】
かくして、側部及びフィードスルーのために異なる封止方法が必要である。側部の封止に関しては、超音波溶接が好ましい。従来技術によるプラスチックの超音波溶接は、封止部のベクトルに大部分が直交する超音波ホーンの運動を用いて行い、このことは好ましくない幅広い連結部をもたらす。超音波ホーンの振動運動が主に包装材料と同じ面内にある場合、比較的細い封止部が達成され得る。
【0108】
代替的に、レーザー溶接は、40μιη未満の封止幅を生成するのに使用されている。
【0109】
側部継ぎ目を溶接した後、包装材料フィルムを側部の周囲において切断して、電池包装体を切り離す必要がある。いくつかの場合、側部継ぎ目を同時に溶接及び切断することが可能である。例えば、振動の方向が包装材料の面とほぼ平行な場合、超音波溶接を使用して、50μιη未満の封止幅を有するプラスチックフィルムを同時に封止及び切断することが可能である。側部封止部の場合、封止の方向によって形成されるベクトルは、電池包装体の長さに沿っている。しかしながら、特定の場合、第1の工程で側部継ぎ目を封止し、次いで別の工程を用いて包装材料フィルムから包装されたセルを除去することが好ましい可能性がある。この第2の工程は、ウォータージェット切断、超音波切断、レーザー切断、ツール−ダイデゲーティングなどを使用してもよい。
【0110】
フィードスルーの場合、包装材料を通って延在する電流コレクタの周囲において包装体を完全に閉鎖する必要がある。活物質はフィードスルー範囲内に延在しないため、この範囲内において包装材料に相当の厚さを加えることが可能である。例えば、25マイクロメートルの包装材を有する250マイクロメートル厚のセルの場合、ほぼ200マイクロメートルの材料をフィードスルー範囲に加えて、封止を向上させることができる。
【0111】
第1の選択肢は、熱融着の前に、電流コレクタ及び/又は包装材料にDow Hypod、Mitsui Chemipearl、Aquaseal X 2088、又はJoncrylなどのポリマーラテックスを被覆することである。別の選択肢は、Fastelにより製造されているものなどの乾燥ポリマーフィルムを封止範囲に加えることである。熱融着性ポリマーも分散物として包装材料の内側表面に適用することができる(例えば、スクリーン印刷によって)。更なる別の選択肢は、Asphalt,Conseal 1400(Fujifilm Hunt)、若しくはHenkel PM040などの粘着性フィルムをフィードスルー範囲内において包装材料及び/若しくは電流コレクタに適用して熱融着性を向上させ、又は、二液接着剤、熱硬化(heat-cured)接着剤、若しくはUV硬化接着剤などの硬化可能な熱硬化性接着剤をフィードスルー範囲内に適用することである。いくつかの実施形態の場合、側部を溶接している間、フィードスルーの接着剤を切り開く必要があり得、このことは、超音波溶接によって達成されてもよく、この超音波溶接は、溶接部範囲から汚染物質を除去することが知られている。これは、フィードスルー封止部が、いかなる間隙も有することなくセルの端子の周囲を封止する必要があるためである。
【0112】
いくつかの場合、上述した感圧性接着剤の前に、フィードスルー接着剤(ポリマーラテックス、ヒートシールフィルム、粘着性フィルム、又は熱硬化性接着剤)が適用されてもよく、またいくつかの場合、ヒートシール接着剤の特性に応じて、感圧性接着剤の後に適用されてもよい。硬化性接着剤を使用する場合、ヒートシール接着剤が定位置に配置されたら、固定具を使用して、超音波溶接又はレーザー溶接などの技術を用いてセルの側部を封止して、側部封止部から電解質を実質的に排除した後、定位置の接着剤を硬化させてフィードスルーを形成してもよい。
【0113】
(実施例4)
セルの内部又は外部への水の進入を低減するために、セルとその周囲のものとの間の浸透圧差を低減し得る。浸透圧は、Morse等式、P=ΣinMnRTを用いて近似することができ、式中、Pは浸透圧であり、Tは絶対温度であり、Rは理想気体定数であり、Mnは、混合物のn番目の構成要素の1リットル当たりのモル濃度であり、inは、混合物のn番目の構成要素の溶解後に得られる、式単位当たりのイオン数である。2つの溶液間の浸透圧の差は、上記に定義したPの差として表すことができる。好ましくは、この差は2.5メガパスカル(25気圧)未満であってもよく、又は1.1メガパスカル(11気圧)未満がより好ましい。
【0114】
本発明者らは、25重量%酢酸亜鉛と、0.2重量%酢酸アンモニウムと、脱イオン水を含む残部とからなる電解質溶液(「原液」と称する)を調製した。本発明者らはまた、6.25%酢酸亜鉛溶液(原液から1:3比)及び1.8%酢酸亜鉛溶液(原液から1:13比)と称され得る2つの希釈電解質溶液を生成した。電池が接して保管される溶液は、脱イオン水を含む残部を有する、0.824重量%塩化ナトリウム、0.893重量%)ホウ酸、0.23重量%ホウ酸ナトリウム、及び0.01重量%エチレンジアミン四酢酸ナトリウム(EDTA)の組成を有する生理食塩水溶液であり、これを以後、「包装材溶液」と称してもよい。0.822重量%塩化ナトリウム、1.463重量%ホウ酸、及び0.011重量%ホウ酸ナトリウムを含む追加の電解質を作製した。これを以後、「修正包装材溶液」と称してもよい。Morse等式を使用して計算した包装材溶液に対する浸透圧を、下記の表4に示す。
【0115】
異なる溶液に関する試験結果
セルを調製して、様々な電解質の性能を確立した。各セルは、厚紙を裏材として使用して剛性を提供し、包装材料は、片側の0.025mm(0.001インチ)ポリエチレン熱融着性層、他方の側の48ゲージ(0.013mm(0.0005インチ))PETフィルム、及びそれら2つの間の0.00803mm(0.000316インチ)アルミニウム箔層からなっていた(Ultra Flex Corporation(Brooklyn,New York))。電池の熱融着を可能にするために、乾燥熱融着性ポリマーフィルム(Fastel Adhesives & Substrate Products)の部分を使用し、セル内にて一枚の9mm×1mmの切り取り部の窓を有して、電池構成要素を保持した。Epilog Fibermarkレーザーを使用して、0.075mm厚の亜鉛からアノード切り取り、該アノードは、0.25マイクロメートル幅の細長片からなっていた。85重量%MnO2、10重量%カーボンブラック、及び5重量%PTFEの組成を有するカソードを前述したように調製した。このカソードを、上述したように、切断したチタン部分に積層した。これらの試験において、カソードは400μιη±5%幅×130μιη±5%厚さ×8.5mm±0.5mm長であった。アノード及びカソードを、それらが互いに物理的に接触しないように、乾燥熱融着性フィルム内の窓内に配置した。
【0116】
電解質を湿潤カソードに加えてセルを満たした。上記の電解質を1.8〜5重量%Walocel GA07(Dow Chemical Company)と混合することにより調製したゲル状電解質を加えて乾燥フィルム内の窓を満たし、包装材料フィルムがセルの両面にある状態で、熱融着を用いてセルを包装した。VMP3(Bio−Logic)を使用してセルを試験し、試験プロトコルは、0.9Vのカットオフ電圧への20μAの定電流放電であった。内部抵抗は、電池の放電前、3秒間継続する初期20μAパルスから得られた電圧降下として測定した。
【0117】
電気化学的データに加えて、ガス発生データを得て、様々な電解質における予測保存寿命を半定量的に確立した。ガス発生は、Epilog Fibermarkレーザーを使用して0.075mm厚の亜鉛を0.13mm幅の細長片に切断し、これをガス発生速度を得るために設計されたガラス製品に加えることにより獲得した。このガラス製品は、亜鉛細長片と接触している電解質溶液で満たされた容量フラスコからなる。このフラスコを、蝋被覆ガラス栓で封止する。目盛部が容量フラスコの首に取り付けられ、開口部が雰囲気に暴露された状態で容量フラスコの首に対して開放され、水素ガスが発生すると、水素ガスは蝋充填部の下に集まり、電解質を目盛部の中へ押し上げ、異なる時刻における目盛部内の電解質の位置を測定することによってガス発生速度を決定可能にする。フラスコの広い部分は、45℃に保たれた加熱浴内に保持し、ガス発生速度を目盛部内の電解質の上昇に基づき決定した。亜鉛の腐食は、炭素亜鉛電池の保存寿命に影響を与える主要因子の1つであるため、亜鉛腐食が保存寿命を制限する主な要因であると仮定すれば、ガス発生速度は保存寿命の代用物であると解釈し得る。データを下記の表3にまとめる。カソードは容量を制限する電極であるため、データは、400μιη×8mm×130μιηのカソードサイズに容量分析的に正規化されている。各データ点は、試験した10個のセルの平均である。注目すべきことに、酢酸亜鉛を含む溶液の場合、濃度が低下するとpHが上昇し、ガス発生速度は低下し、相当の容量が維持される。更に、ガス発生は、亜鉛が存在しない場合であっても、包装材溶液及び修正包装材溶液中で低い。
【0118】
【表3】
【0119】
例示的な構成要素の組成物
非常に様々な組成物を電気化学的電池セルにおいて使用することができる。電気化学的適合性に関して、また電気化学的セルの最終用途に関して、任意の組み合わせの構成要素が選択されるであろう。例えば、生体適合性が必要な場合、構成要素はそのように選択されるであろう。
【0120】
規制当局による医療用装置の認可には、装置又は材料の安全を確保するために生体適合性アセスメントが行われる必要がある。それ故、生体適合性区分は、ISO 10993、「Biological Evaluation of Medical Devices」及び日本厚生労働省(japan Ministry of Health,Labour and Welfare)(MHLW)「Testing Methods to Evaluate Biological Safety of Medical Devices」Notice from the Office Medical Devicesを含む特定のガイドラインに従って試験することにより得られる。装置の生体適合性の試験は、装置が直接又その材料(materia])成分の放出を介して(i)局所及び全身の有害作用を生じない、(ii)発癌性ではない、又は(iii)生殖及び発育の有害作用を生じないことを示すことを目的としている。いくつかの材料は、既刊文献及び商業界において化学的かつ物理的によく特徴付けられており、安全使用の長い歴史を有している。そのような材料は、生体適合性であると考慮されるため好ましい場合がある。医療装置電池にて使用される材料は、接触、例えば、事故又は電池の不適切な封止に起因する電池からの漏洩によって、ヒトの眼に影響を与える恐れがある。生体適合性材料の使用によって、漏洩している又は浸出した材料が眼又は他のヒト組織と接触した場合に、そのような合併症が生じる任意の危険性が最小限となる。
【0121】
アノードは、電気化学的電池反応で酸化される電極構成要素である。一実施形態において、アノードは、連続するワイヤ又は細い円筒の形態の活性構成要素として亜鉛を含む。この亜鉛は、腐食又は電池内の望ましくない他の副反応を促進する、概ね当業者により理解される不純物を含まないという点において、電池等級であることが好ましい。亜鉛は、保存寿命を増大させるために、ビスマス、インジウム、カルシウム又はアルミニウムなどの合金と合金化され得る。少量の鉛も有効な亜鉛合金材料として示されている。非生体適合性と考えられているが、鉛は亜鉛粒子境界内に留まり、電解質に溶解しない。それ故、そのような添加された鉛は、生体適合性の問題を生じない可能性がある。アノードワイヤはまた、アノードから流れる電子を収集し、該電子を電気化学的電池セルの外部に輸送するよう機能する。この二重の役割を達成するために、好ましくは過剰なアノードが電池に加えられて、アノードが連続した状態のままであることを確実にする。亜鉛粉末は、実施例2に示したように、代替的なアノード材料として使用してもよい。
【0122】
カソードは、電気化学的電池反応で還元される電極構成要素であり、電気化学的電池セルが負荷を有する回路内に配置された際、カソードは回路から電子を誘引する。好ましいカソード材料は二酸化マンガンであり、二酸化マンガンは導電体添加物及びバインダーと共に混合されてカソードミックスを形成し得る。カソードミックス中に出来る限り多くの二酸化マンガンを含んで、電気化学的電池セルの容量を最大限にし、またカソードの必要なサイズを低減することが好ましい場合がある。電気化学的電池セル内のカソードの量は、アノードと、アノードの活性量とに対して決定される。各アノード及びカソードのモル量は、セル反応が所望の持続時間を達成し得るように決定される。カソードの形態は、一実施形態では平面状であるが、代替的な実施形態では円筒形であってもよい。円筒形のカソードは、形成されている間、押し出し成形され又は別様に成形され得る。
【0123】
導電体は、カソード粒子の間と、カソード電流コレクタから及びカソード電流コレクタへ電子が流れることを可能にするよう使用される。過剰な導電体を加えることに利益が殆ど存在しないため、導電体の量は、この任務を達成する最小量であることが好ましい。適した導電体は、黒鉛、膨張黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、及び当業者により既知の他の導電体である。アセチレンブラックは、カソードミックスに所望のレベルの電解質吸収性を提供するため、本発明ではアセチレンブラックを使用することが好ましい。
【0124】
バインダーがカソードミックス中に使用されて、電気化学的電池セル寿命全体を通じて、カソードに構造を提供する。この構造を提供するバインダーの能力は、電解質又は二酸化マンガンの拡張によって変更することができない。好ましいバインダーとしては、カソードミックスの混合中に小繊維化し得る微粒子Teflon(登録商標)(PTFE)エマルションが挙げられる。
【0125】
カソードミックスは、カソードコレクタと電気的に連絡し、カソードコレクタの目的は、電子をカソードへ及びカソードからの両方で電気的に連絡させ、また、電気化学的電池セルに構造を提供することである。チタンワイヤは十分に導電し、また小さい直径で必要な剛性を有するため、カソードコレクタに好ましい構造体である。チタンメッシュ、チタンリボン、拡張メッシュ、編組ワイヤは全て、代替的なカソードコレクタ材料である。
【0126】
電解質は、反応性電極材料との適合性に対して選択される。亜鉛アノード及び二酸化マンガンカソードの場合、ルクランシェ電解質、又は塩化アンモニウムNH4C1溶液、塩化亜鉛ZnCl、酢酸亜鉛及びこれらの混合物が一実施形態である。希釈溶液の場合、塩化亜鉛の溶解挙動に起因して、酢酸亜鉛、及び場合により酢酸アンモニウムなどの他の酢酸塩を含む酢酸塩電解質が好ましい。塩化ナトリウムNaClなどの生理食塩水、塩化マグネシウムMgCl2及び塩化カリウムKCl溶液を、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸及びエチレンジアミン四酢酸ナトリウムなどの添加物と共に代替的に使用してもよい。ゲル状電解質の場合、カルボキシメチルセルロース、寒天、又は代替的なゲル化剤を使用してもよい。ゲル化剤は電解質の粘度を増大させ、それにより電解質はセル内の該電解質が有用である位置、即ちアノードとカソードとの間に留まる。
【0127】
ゲル状電解質は電気化学的電池セルのセル内部全体に位置してもよく、最も好ましくは、互いに対して所定の距離に配設されているアノードとカソードとの間に位置する。この所定の距離は、当業者により計算され得るが、アノードとカソードとが互いに接触することを原因とする短絡回路を防止するのに必要な公差を可能にしてもよい。電極間にセパレータ又は他の物理的バリアが存在しないため、この実施形態では実際的な距離が必要である。ゲル状電解質の粘度は、電極の移動を妨げるように機能し、またゲル状電解質の電極間の配置によって、イオン連絡を可能にし、かつ電極の互いに向かう移動を防止するように機能する。ゲル状電解質はまた、電極の周囲に物理的バリアを提供することによって、生体適合性を向上させることができる。電極から移動する粒子はゲル状電解質中に捉えられ、電気化学的電池セルから離れて移動し又は他の電極に向かって移動することが防止される。別の実施形態では、薄いバリアがアノードとカソードとの間に配置されて、相互的な接触を防止してもよい。薄いバリアは、セパレータ材料、又はイオン電導性かつ電子絶縁性の材料から作製されてもよい。
【0128】
アノードタブは、該アノードタブがアノードから形成された電子を電気化学的電池セルの負端子に電気的に輸送できるように、アノードに機械的に接続されてもよい。この目的のために亜鉛ワイヤの延在部を使用することは、腐食する、又は別様に生体適合性に影響を与える可能性がある。したがって、任意の包装材料を通ってアノードを延在させて必要な外部電子コンジットを提供するためには、チタン又は他の耐腐食性導電性材料が適切である。
【0129】
電気化学的電池セルは、包装材料内に封入されてセル構成要素を封入し、保存寿命を向上させ、セルの内外へのイオン、酸素、及び水移動を制限し、また生体適合性を確実にしてもよい。包装材料は不活性であり、電池の性能に役割を有さないため、該材料の厚さ及び量を最小限にすることが好ましい。包装材料を必ず貫通し、包装材料から突出する端子電極の封止を可能にすると共に、電気化学的電池セル全体の周囲の連続外面に容易に形成される材料のような、不活性であり、セル反応を妨害しない材料も好ましい。包装材料はまた、高速製造プロセスによって容易に形成及び封止されることが好ましい。包装材材料の着色も望ましい場合があり、この必須要件は、包装材材料選択の情報を提供することができる。
【0130】
ポリプロピレンは、熱、超音波及びレーザー溶接を含む多様なプロセスによって容易に溶接可能であり得るという点で、包装材料として好ましい場合がある。加えて、ポリプロピレンは、接着剤で結合可能であり得、多様な厚さ及び密度で入手可能である。加えて、ポリプロピレンは、好ましい電解質組成物に不浸透性であり得、生体適合性に寄与し得る。ポリウレタン、ポリビニルピロリドン、シリコーンエラストマー、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ−(p−フェニレンテレフタルアミド)、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリオレフィン類、ポリエステル類、ポリアクリレート類(ポリメタクリレート類を含む)などの代替的な生体適合性ポリマー。
【0131】
電池外面、又は包装材料の外側表面はまた、被覆されて電池を更に生体適合性にすることができる。適した生体適合性コーティングとしては、ホスホリルコリン、及びパラレンCなどのポリ−パラ−キシリレン類が挙げられ得る。
【0132】
包装材料として使用される被覆フィルムは、電池の物理的完全性を維持するよう機能するのに加えて、少なくとも2つのバリア機能の役割を果たし得る。フィルムは、塩イオンの移動を防止して、電池が液体で包囲された場合、電解質イオンの損失を防ぎ得る。フィルムはまた、水輸送を遅延させて、電池の膨潤を防止し得る。使用前に電池が封止包装体内に封入される場合、酸素輸送の防止は重大な必要性ではないが、当業者は、水分輸送を遅延させるのに使用されるものと同じ種類のコーティングが、実質的に酸素輸送も遅延させることを認識することができる。
【0133】
包装材料産業界では、材料又は装置の透水性は通常、一定温度に維持する間、バリアフィルムの片側を所定の相対湿度に供する一方、例えば乾燥ガスをパージすることにより他方の側を乾燥した状態に保つことによって測定され、制御された相対湿度を有する側から乾燥側に横切る水の測定は、水蒸気透過率(WVTR)によって表され、単位は、所定の温度及び相対湿度における質量/面積時間である。例えば、単位は、摂氏温度及び相対湿度におけるg/m2−日として表されてもよい。
【0134】
好ましい実施形態の場合、包装材料のWVTRは、1g/m2−日未満、又はより好ましくは0.1g/m2−日未満、又は尚より好ましくは0.02g/m2−日未満であってもよく、このWVTRは、85〜100%相対湿度及び20℃〜40℃で測定される。そのような試験を行うための機器は、例えばMOCON Inc.(Minneapolis,MN)から入手可能である。
【0135】
しかしながら、従来のWVTR測定は、バリアフィルムに垂直な、即ち、どのようなバリアコーティングが存在し得る場合でも、バリアフィルムを通った水分輸送のみを測定できることが留意され得る。しかしながら、封止された包装体を仮定すれば、水分は継ぎ目を通って、即ちバリアフィルムの面に平行に輸送されることが可能である。このことは、包装体の継ぎ目が特に細く、例えば100マイクロメートル幅未満の場合に特に関係する場合がある。それ故、コーティングではなく、ポリマーフィルム自体のバリア特性が側部継ぎ目の輸送挙動を支配し、このことは、特に、例えば0.5cm2以下の表面積を有する包装体を有する、非常に小さい電池において、電池の内外への水分輸送全体に対する重要な寄与となり得る。したがって、ポリマーのWVTRは、25マイクロメートルの厚さ、温度20℃〜40℃、及び相対湿度85〜100%で10g/m2−日未満、又はより好ましくは5g/m2−日未満であることが好ましい。
【0136】
包装材料の封止方法としては、記載した超音波及びレーザービーム溶接が挙げられる。代替的な封止方法としては、熱溶接、及び生体適合性接着剤の使用が挙げられる。
【0137】
付加的な電解質の配合
いくつかの例において、マイクロ電池のガス発生の改善は、より高純度の化学物質(筆者らの電解質配合では、98%純酢酸亜鉛を99.99%純酢酸亜鉛に置換)を使用することによって得ることができる。更なる改良が、塩化亜鉛を酢酸亜鉛系電解質に追加することによって得ることができ、電池容量を更に著しく向上させ得る。いくつかの例において、これは、塩化亜鉛が電解質に組み込まれているとき、放電生成物における水の利用の増加及び/又は含水量の低減が原因となり得る。
【0138】
ポリマー包装体の機械的一体性
いくつかの例において、乾燥ポリマーフィルム接着剤は、簡便な製造を、再現可能で機械的に強固な結合にもたらし得る。いくつかの例において、更なる改善は、ポリエステル芯の両側にあるポリプロピレン又は変性ポリプロピレンからなる熱融着性テープを使用することによって得ることができる。そのような材料を、乾燥熱融着性ポリマーフィルムの代わりに適用することができる。いくつかの例において、リチウムイオン電池の端子をポリプロピレン熱融着性包装材料に接着するのに使用されるテープは、Targrayから入手可能なものを使用してもよい。このテープは、電流コレクタとポリプロピレンフィルム包装材料との間で再現可能で強固な機械的結合を提供し得る。
【0139】
代替的な乾燥熱融着性テープの例として、リチウムイオン電池端子をポリプロピレン包装材料への接着を目的とするテープを挙げることができる。このテープは、MTIから得ることができる。代表的な熱融着性テープのそれぞれについて、端子を熱融着する前に包装体の側部を、テープを使用して超音波封止することが可能であり得、その結果セルの側部を、熱融着性テープを有する領域に含めて一緒に接合した。
【0140】
熱融着性テープと包装材料フィルムとの間の結合は、電極接点に使用されるチタンのエッチングの条件を調節することによって改善され得る。いくつかの例において、10重量パーセントのシュウ酸溶液のボイル液に10分間浸漬してチタンをエッチングすることが、有用であり得る。いくつかの他の例において、2つの追加のエッチング用プロトコル−フッ化水素酸系エッチング、及び過酸化水素系エッチングのプロトコルは、チタンのポリプロピレンに対する接着性強化をもたらし得る。いくつかの例において、結合の改善は、破裂試験によって判定され得る。(片側にエッチングされたチタン一片を有して、そのチタンの両側に上記熱融着性テープが、チタンとプラスチック包装材料との間に位置付けられている状態の熱融着されたポリプロピレン包装体の上に重りを置いた)。
【0141】
いくつかの例において、チタン箔は、イソプロパノールで表面を拭き取ることによって清浄することができる。その結果得られる清浄な箔は、次に穿孔した基板上の一連のプラスチックロッドの上に配置され得る。箔は、フッ化水素酸35g/L 40重量%、硫酸ナトリウム23.6g/L、及び濃縮された硝酸350g/L、残部に水を含有する酢洗い液に浸漬され得る。続いて、チタンを水道水ですすいでもよい。次に、エッチングされたチタンを、リン酸三ナトリウム53g/L、フッ化カリウム21g/L、及び40%フッ化水素酸32g/L溶液からなるリン酸塩化成浴(phosphate conversion bath)に例えば約2分間置いてもよい。次にチタンをすすぎ、65℃に保たれた水浴において脱イオン水を充填された容器内に15分など一定時間置いてもよい。次にチタンを浴から取り出し、使用する前に乾燥炉内で乾燥させてもよい。
【0142】
いくつかの例において、過酸化水素系エッチングは、修正されたRAEエッチングiを使用して実行され得る。エッチング用配合の化学組成は、変更されてもよい。例えば、その場合エッチング溶液は、水酸化ナトリウム2重量%、過酸化水素1重量%、2重量%、又は3重量%、残部の脱イオン水で形成され得る。続けて、次に溶液を60℃で維持された水浴内のビーカーに保持してもよい。チタン箔を次に清浄するためにイソプロパノールで拭き取ってもよく、次に穿孔した基板上の一連のプラスチックロッド上にラッキングしてもよい。箔を次に溶液の1つで5〜20分間エッチングし、次に取り出し、脱イオン水ですすいでもよい。清浄した箔を次に炉内で乾燥させてもよい。
【0143】
優れた結合条件は、酢酸亜鉛約6.25%、酢酸アンモニウム0.5%、及び硫酸インジウムとして添加された10ppm In3+を含む電解質溶液に、1個の亜鉛箔に接触して1.55Vで清浄済み/エッチング済みチタン箔のサンプルを保持することによって実行される電気化学的試験によって観察され得る。)記載されたように過酸化水素1%でエッチングされたチタンは、エッチングされていないチタンより大幅に少ない電流を引き込み得ることが留意され得る。このことは、おそらく過酸化水素エッチング中にチタン表面での酸化物層の形成に起因し得、陽極酸化と呼ばれることがある。
【0144】
いくつかの例において、チタン電流コレクタが熱融着された領域内でチタン電流コレクタを修正することができ、結果的に熱融着の機械的一体性の改善をもたらす。いくつかの例において、この改善は、電池を通してヒートシールテープの積み重ねを可能にし、電池を増強し得る。いくつかの例において、電極の末端に孔を開けることによる修正の結果は、金属の突き道具(poking tool)を使用して、手動でカソード端子付近の包装したセルを圧迫することによって試験することができる。いくつかの例において、質的に改善された強度は、穿孔していないチタンカソード電流コレクタを有するものに比べ2種類の穿孔したカソードチタン電流コレクタを有するセルで観察され得る。穿孔していない電流コレクタを有するセルは、圧迫時に電解質を漏出させたが、穿孔した電流コレクタを有するセルは、無傷だった。このことは、電池セル包装体の機械的一体性が穿孔によって強化され得、保存寿命の増大につながり得ることを意味し得る。
【0145】
充填方法及び封止方法
前述したように、超音波溶接を使用して電解質を側部封止から除去する場合がある。更に留意されるのは、同様の結果を達成するために、適切な固定具を用いたレーザー溶接を使用する可能性であった。いくつかの構成では、しかしながら、超音波溶接を使用して湿電池(電解質が存在するセル)を封止することは、問題のある恐れがある。セルを完全に封止することができない場合がある。おそらくこのことは、特に端子の周りの封止部に損傷を与える恐れのある局所的な圧力変動を生じる小さな囲まれた空間内での、ホーンからの超音波エネルギーと電解質との相互作用に起因し得る。
【0146】
いくつかの例において、改善は、1段階溶接から2段階溶接に変更することによって達成され得る。そのような例において、末端部にヒートシール、及び外周で超音波シールを使用して乾電池用にセル外周の大部分を溶接した場合、セルを充填して、次にセル外周の残りの小さな開放部分を超音波で封止した。次いでセルをゲート除去してもよい。リード線は、熱融着による過剰なプラスチック流動を小さなナイフを使用して除去されてよい。
【0147】
位置合わせにおいて構成要素を保持するための接着剤の使用
いくつかの例において、構成要素を、後続の工程で位置合わせから動かないように一時的に所定の位置に保持することは、有用であり得る。機械的圧締めは、解決策であり得るが、複数の場所の把持を必要とし、各工程で特殊な固定を必要とする点で問題を有し得る。いくつかの例において、解決策は、構成要素を所定の位置に保持するために3M 75などの感圧性接着剤の使用を伴い得る。いくつかの例において、0.5重量%カルボキシメチルセルロースナトリウム(Walocel 2000 GA 07,Dow)の混合物の使用は、カソード、セパレータ、及びアノードの積み重ね時に、電解質の伝導を可能にしたまま互いに揃うように支援し得る。
【0148】
いくつかの例において、解決策は、層間に非伝導感圧性接着剤(3M 75)の非常に小さい点を使用することを含み得る。接着剤は、必要に応じてテンプレート又は型板の使用と共に、はけ塗り又はエアゾールとしてスプレーなど(例えば、予め配合されたエアゾール缶の使用又は従来のエアブラシの使用)任意の数の従来の方法によって塗布され得る。
【0149】
無電解めっきによる包装体バリア強度及び機械的強度の向上
いくつかの例において、電池包装体における細い側部継ぎ目は、水分及びガス種のセルの内外との輸送を可能にする不良なバリア特性を有する領域を生じる恐れがある。ラミネートで放送された従来の電池(「パウチセル」)は、全ての側部ではるかに広い継ぎ目を有し得る。例えば、パウチセルの側部封止は、マイクロ電池の全幅より大きい場合がある(側部あたり2〜4mm、対マイクロ電池の場合〜1mm幅を下回る)。幅広い継ぎ目は、小さなマイクロ電池に組み込むことができない場合があるが、幅を起因とする水分及びガスの有効なバリアとして機能し得る。したがって、代替的な解決策が、非常に細い継ぎ目によるバリア強度に必要である。
【0150】
いくつかの例において、解決策は、無電解めっきを使用したコンフォーマルバリア層によるマイクロ電池のオーバーコーティングを伴い得る。コンフォーマル密閉バアリアコーティングを生成することができる技術の範囲が存在し得る。小型炭素亜鉛電池のオーバーコーティングは、しかしながら、特別な課題が存在し得る。包装体の不完全なバリア特性と組み合わせた電池電解質内の水分の存在は、電池の表面への包装材料を通した水分の継続的流動が存在し得ることを意味し得る。この流動は、表面を汚染するように働く恐れがある。更に、不完全な包装材料は、水分の流出を可能にする恐れがある。更に、いかなるコーティング方法でも可能な温度を制限し得るプラスチック包装材料の融点(ポリプロピレンの場合ほぼ160℃)によって、制限が課せられ得る。
【0151】
堆積用に清浄表面を必要とするスパッタ堆積及び熱蒸着などの真空技術はまた、表面への水分の継続的流動に起因してマイクロ電池のオーバーコーティングにとって粗悪になる場合がある。また、原子層堆積は、同じ理由で適さない場合がある。ゾル−ゲルコーティング及び化学蒸着などの他の技術は、電池を損傷する恐れのある温度への暴露を必要とする場合がある。
【0152】
いくつかの例では、バリア有効性及び機械的強度を改善するための望ましい解決策は、共形バリアコーティングを生成する技術として無電解めっきを伴う場合がある。無電解めっきは、従来の技術であり、導電又は非導電コーティング上に共形金属層を堆積させ得る。無電解めっき浴は、ニッケル、銅、及びスズなどの金属をプラスチック表面上に堆積させるために開発された。無電解めっき金属は、次いで無電解めっき又は電気めっきを使用してニッケル、銅、スズ、金、銀、カドミウム、及びロジウムを含む多種多様の金属で更にめっきされてもよい。場合によっては、コスト、腐食、及び/又は機械的懸念のために、2層以上の電気めっき層を組み込んだ層状構造を使用することが望ましい場合がある。
【0153】
コーティングは、適宜厚くしてもよく、バリアとして作用することに加えて電池を機械的に増強することができる。この機械的増強は、セルの側部から水素を押し出して、亜鉛腐食中の水素ガス発生による膨隆を低減又は除去し得る。めっきによる電池端子間の短絡の発生を回避するために、めっきプロセス中に非導電材料を使用して端子の一方又は両方をマスクすることが必要な場合がある。
【0154】
いくつかの例では、層は、無電解めっきで形成されてもよく、ここで無電解めっき及び/又は電気めっきを、それらの上におおよそ25マイクロメートル(1ミル)の共形の銅コーティングを作るために使用することができる。めっき中、プレーターズテープを使用してこれらの電池の端子両方をマスクし、めっき加工中の電池の短絡を回避することができる。
【0155】
次にテープを端子から取り除いてもよく、その後電池を相対湿度50%で室温にてエージングしてもよい。比較を行うために銅めっきされていない類似のセルを同じ条件下でエージングした。開回路電圧を測定させ、また100ミリ秒間に20μAのパルスを3回通過させて抵抗を確立させて、セルを断続的に監視した。セルは、抵抗が20kΩを超えたときに、未使用のセルの場合5kΩを下回るのと比較して失敗したと見なされ得る。無電解めっきセルは、比較の非めっきセルよりも寿命において著しい改善を示し得る。
【0156】
アノード強化:
いくつかの実施例では、マイクロ電池セルを封止する際にアノードが屈曲することがあり、腐食につながることが観察され得る。これを改善するために、いくつかの実施例では、アノードは、従来のエポキシ(JB−Weldプラスチック接着剤)を使用してチタン箔に接着することによって強化され得る。
【0157】
貯水機能
可撓性マイクロ電池化学物質のいくつかの例では、水性電解質は、電池の電気化学的活動で消費される水を含み得る。水が消費されると、電池は乾燥する恐れがある。図12Aを参照すると、例示の電池の断面図が図示されている。例示の電池は、構造において説明されてきたものと同様の多様性を有し得る。電池は、カソード接触部1290、及びアノード接触部1230、アノード1220、セパレータ1280、カソード1210、並びに第1の可撓性層1240及び第2の可撓性層1250を有し得る。加えて、貯水機能1295が存在し得る。いくつかの例では、ヒドロゲル材料の堆積1295は、図示されるようにカソード接触部上に、又は例としてカソード若しくはセパレータに隣接した領域内に、など電池構造体の様々な部分の上に形成され得る。ヒドロゲルは、電解質への暴露に際し膨張し、動作中にカソードが乾燥するとカソード上に通され得る水の貯蔵を有効に生成し得る。いくつかの例では、ヒドロゲルは、単一の層として堆積され得、他の例では、ヒドロゲルは、電池セルの寸法に著しく追加しないように膨張を許容するデューティサイクルを有するように印刷され得る。図12Bを参照すると、トップダウン図は、カソード接触部1290、アノード接触部1230、並びにヒドロゲル堆積1295の線形の例を示す。図12Cを参照すると、ヒドロゲル堆積は、マイクロ電池の様々な領域に印刷されたヒドロゲルの円形の領域として図示され得る。いくつかの例では、ヒドロゲルモノマーは、必要に応じてオプションのマスキング層と共に電池形成部上にスプレーコーティングされ得る。他の例では、Optomec多軸プリンターなどの付加的製造装置は、電池構成要素上にヒドロゲル形成部を印刷し得る。電解質の充填工程中に、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの配合に基づいた量で膨張することになる。いくつかの例では、水が、ヒドロゲル領域からカソード領域及びセパレータ領域に拡散すると、空隙は、電池内で発生したガスのための余地を与えて、空間を充填し得る。
【0158】
生体適合性通電素子を有する例示的な生物医学的装置の構成
本発明の通電素子である電池を組み込むことができる生物医学的装置の例は、焦点を調節する電気活性のコンタクトレンズであり得る。図1Aを参照すると、このようなコンタクトレンズのインサートの一例が、コンタクトレンズのインサート100として図示され得る。このコンタクトレンズのインサート100には、制御電圧に応答して焦点特性の変化を調整することができる電気活性素子120が存在し得る。こうした制御用電圧信号を提供し、かつ、外部制御信号の環境感知を制御するなどの他の機能も同様に提供する回路105は、生体適合性電池素子110によって給電されることができる。図1Aに図示されるように、電池素子110は、複数の主要部品(この場合3個の部品)として見出すことができ、既に述べた電池化学素子の種々の構成を含んでいてよい。電池素子110は、相互接続領域114の下に図示され得る部品を結合するための、様々な相互接続特徴部を有し得る。電池素子110は、それ自体の基板115を有していてよい回路素子105に接続されてよく、基板115上には相互接続特徴部125が位置していてよい。回路105(集積回路の形態であってもよい)を、基板115及びその相互接続特徴部125に電気的及び物理的に接続してもよい。
【0159】
図1Bを参照すると、コンタクトレンズ150の断面のレリーフ図は、コンタクトレンズのインサート100及び論じられているその構成要素とを含み得る。コンタクトレンズのインサート100は、コンタクトレンズヒドロゲル155のスカート内に封入され得、このスカートはインサート100を封入し、かつコンタクトレンズ150とユーザーの目との快適な境界面を提供してよい。
【0160】
超小型電池の電気的要件
設計の際に考慮すべき別の分野は、電池によって提供され得る、装置の電気的要件に関する場合がある。適切な電池は、医療用装置の電源として機能するために、システムが非接続モード又は外部給電されていないモードで動作しているときの全ての電気的要件を満たす必要があり得る。接続されない又は外部給電されない生物医学的装置の新興分野は、例えば、視力矯正コンタクトレンズ、健康状態監視装置、ピルカメラ、及び新型装置を含むことができる。集積回路(IC)技術における近年の進歩により、非常に低い電流レベル(例えば、ピコアンペアの待機電流及びマイクロアンペアの動作電流)での有意義な電気的操作が可能となり得る。IC技術は、微小装置を可能にすることもできる。
【0161】
生物医学的用途用の超小型電池は、多くの困難な要件を同時に満たすことが要求される場合がある。例えば、超小型電池は、組み込まれている電気回路に適した動作電圧を供給する能力を有することが要求される場合がある。この動作電圧は、ICプロセス「ノード」、回路から別の装置への出力電圧、及び特定の消費電流目標値(これは、所望の装置寿命にも関連する場合がある)などのいくつかの要因の影響を受け得る。
【0162】
ICプロセスに関して、ノードは、トランジスタにおける「いわゆる」チャネルなどの、トランジスタの最小機能部寸法によって差別化され得る。この物理的特徴部は、他のIC製造パラメータ(ゲート酸化膜厚など)と共に、所与のプロセスノードに製造された電界効果トランジスタ(FET)の、得られる「ターンオン」時定格標準、又は「閾値」電圧と関連付けることができる。例えば、最小特徴寸法が0.5マイクロメートルのノードでは、FETのターンオン電圧は5.0Vであることが通常であり得る。しかしながら、90nmの最小特徴寸法では、FETは、1.2、1.8、及び2.5Vでターンオンし得る。IC製造工場は、ある特定の電圧範囲での使用に特徴付けられ、定格を定められた、例えばインバーターやフリップフロップのようなデジタルブロックの標準的なセルを供給し得る。設計者は、デジタル素子の密度、アナログ/デジタル混合信号素子、リーク電流、配線層、及び高圧FETのような特殊素子のアベイラビリティといったいくつかの要因に基づいて、ICプロセスノードを選択する。超小型電池から電力を引き出すことができる電気部品のこうしたパラメータに関する側面を前提として、超小型電池の電源を、特に利用可能な電圧及び電流の点で、選択したプロセスノード及びIC設計の要件に一致させることが重要となり得る。
【0163】
いくつかの例では、超小型電池により給電される電気回路は、他の装置に接続されてもよい。非限定的な例において、超小型電池により給電される電気回路は、作動装置又は変換器に接続されてもよい。こうした装置としては、用途に応じて、発光ダイオード(LED)、センサ、微小電気機械システム(MEMS)ポンプ、又は多くの他のこのような装置を挙げることができる。いくつかの例では、このような接続される装置は、一般的なICプロセスノードよりも高い動作電圧を必要とし得る。例えば、可変焦点レンズは、起動するために35Vを必要とし得る。したがって、電池が提供する動作電圧は、そのようなシステムを設計する上での重要な考慮事項となり得る。この種の考慮事項のいくつかの例では、1Vの電池から35Vを生成するレンズ駆動装置の効率は、2Vの電池で動作する場合に得られるであろう効率と比べて明らかに低い。ダイ寸法などの更なる要件も、超小型電池の作動パラメータを考慮すると、著しく異なる場合がある。
【0164】
個々の電池セルは、一般的に、開回路電圧、負荷時電圧、及びカットオフ電圧が規定され得る。開回路電圧は、負荷抵抗が無限大の状態の電池セルによって生成される電位である。負荷時電圧は、適切かつ通常の規定負荷インピーダンスがセル端子間に加えられた状態でセルによって生成される電位である。カットオフ電圧は、典型的には、ほとんどの電池が放電された状態となる電圧である。カットオフ電圧は、有害な影響(過剰なガスの発生など)を回避するために、それ以下になると電池が放電できない電圧、又は放電度合いを表すことができる。カットオフ電圧は、典型的には、電池自体だけでなく、電池が接続されている回路(例えば、電子回路の最小動作電圧)の影響を受け得る。1つの実施例では、アルカリ電池は、1.6Vの開回路電圧、1.0〜1.5Vの範囲の負荷時電圧、及び1.0Vのカットオフ電圧を有し得る。所与の超小型電池セル設計の電圧は、採用するセル化学物質の他の要因により異なる場合がある。したがって、異なるセル化学物質は、異なるセル電圧を有してよい。
【0165】
セルを直列に接続して電圧を増加させてもよいが、この組み合わせは、サイズ、内部抵抗、及び電池複雑さに対する代償を伴う場合がある。またセルを並列構成で結合して、抵抗を減少させて容量を増加させてもよいが、このような組み合わせは、サイズと貯蔵寿命の代償となり場合がある。
【0166】
電池容量は、電池が一定期間の間電流を供給する、又は仕事を行う能力であってよい。電池容量は、典型的には、ピコアンペア時間などの単位で指定することができる。1ピコアンペアの電流を1時間供給することができる電池は、1ピコアンペア時間の容量を有する。容量は、典型的には、電池装置内の反応物質の質量(したがって体積)を増加させることによって増加させられ得る。しかしながら、生物医学的装置は利用可能な体積に対して著しく制約される場合があることが理解され得る。電池容量はまた、電極及び電解質材料並びに電極の物理設計、電極間に配置された任意のセパレータ材料の性質及び寸法、並びにアノード、カソード活性物質、導電助剤及び電解質の相対比率などの他の要因の影響も受け得る。
【0167】
電池が接続される回路の要件に応じて、電池は、ある値の範囲にわたる電流を流入させることを要求される場合がある。実際に使用する前の保管中、約ピコアンペア〜ナノアンペア程度のリーク電流が、回路、相互接続部、及び絶縁体を通って流れる場合がある。回路は、アクティブ動作中、センサをサンプリングする、タイマーを動作させる、及びそのような低消費電力機能を実行するために、零入力電流を消費し得る。零入力電流消費は、ナノアンペアからミリアンペア程度であり得る。回路はまた、例えば、フラッシュ・メモリに書き込む又は無線周波数(RF)で通信する場合に、より大きなピーク電流を要求してもよい。このピーク電流は、数十ミリアンペア以上に及んでもよい。超小型電池装置の抵抗及びインピーダンスもまた、設計考慮事項にとって重要であり得る。
【0168】
有効寿命は、典型的には、電池が保管に耐え、かつ依然として有用な作動パラメータを維持することができる期間を指す。有効寿命は、いくつかの理由から、生物医学的装置にとって特に重要であり得る。電子素子は、例えば、電子コンタクトレンズが導入される場合のように、無動力の装置に取って代わる可能性がある。こうした既存の市場空間における製品は、消費者、サプライチェーン、及びその他の要件に起因して、確立された有効寿命要件(例えば、3年)を有している場合がある。そのような規格は新しい製品のために変更されないということが、典型的には望ましい場合がある。有効寿命要件はまた、超小型電池を有する装置の流通方法、在庫管理方法、及び使用方法に従って設定されてもよい。したがって、生物医学的装置用超小型電池は、例えば年数で表すことができる具体的な有効寿命要件を有していてもよい。
【0169】
いくつかの実施例では、三次元の生体適合性通電素子は再充電可能であってよい。例えば、三次元表面上には、更に誘導コイルが製造されていてもよい。次いで、誘導コイルは、無線周波数(「RF」)フォブで通電されてもよい。誘導コイルは、三次元の生体適合性通電素子に接続されて、RFが誘導コイルに印加されると通電素子が再充電されてよい。別の例では、太陽電池もまた三次元表面上に製造され、三次元の生体適合性通電素子に接続されてよい。太陽電池が光、つまり光子に曝露されると、電子を生じさせて、通電素子を再充電する。
【0170】
いくつかの例では、電池は、電気システムに電気的エネルギーを供給する働きをしてもよい。こうした例では、電池は、電気システムの回路に電気的に接続されてよい。回路と電池との間の接続は、相互接続に分類され得る。こうした相互接続は、いくつかの要因により、生物医学超小型電池にとってますます困難になり得る。いくつかの例では、電動式生物医学的装置は非常に小さいので、相互接続のための面積及び容積がほとんどない場合がある。寸法及び面積の制約は、相互接続部の電気抵抗及び信頼性に影響を与え得る。
【0171】
その他の点において、電池は、高温で沸騰し得る液体電解質を収容していてもよい。この制約は、例えば、溶融するために比較的高温(250℃)を必要とし得るはんだ相互接続を用いたいという要望と、直接的に相克する。しかしながらいくつかの例では、電解質を含む電池化学物質と、はんだベースの相互接続を形成するために使用する熱源とは、互いに空間的に隔てられてもよい。新たに登場した生物医学的装置の場合、寸法が小さいことから、熱伝導を低減するために電解質とはんだ接合部とを十分な距離だけ隔てることが不可能であり得る。
【0172】
モジュール化された電池構成要素
いくつかの例では、モジュール化された電池構成要素は、本発明のいくつかの態様及び実施例に従って形成され得る。こうした実施例では、モジュール化された電池アセンブリは、生物医学的装置の他の部品とは別個の構成要素であってよい。眼科用コンタクトレンズ装置の実施例では、かかる設計は、媒体インサートの残りの部分から分離された、モジュール化された電池を有してもよい。モジュール化された電池構成要素を形成することによる利点は数多く存在し得る。例えば、コンタクトレンズの実施例では、モジュール化された電池構成要素は、別個の非一体的なプロセスで形成され、それにより、三次元に形成された剛性光学樹脂部品を処理する必要性が軽減され得る。加えて、複数の供給メーカーをよりフレキシブルに選択することができ、この複数の供給メーカーは、生物医学的装置内部の他の部品の製造とより平行したやり方で、作業を行うことが可能である。更に、モジュール化された電池構成要素の製造を、三次元(3D)形状に成形される装置の特徴と切り離すことができる。例えば、最終的に三次元形態である必要がある用途では、モジュール化された電池システムは、平坦に、又はおおよそ二次元的(2D)全体像で製造された後、適切な三次元形状に成形されてもよい。いくつかの例では、電池は、屈曲させなくても三次元形状を乱さない程度に小さくすることができる。いくつかの他の例では、複数の小さな電池の連結は、三次元形状の空間に適合し得る。モジュール化された電池構成要素は、残りの生物医学的装置とは独立に試験することができ、また、電池構成要素は組み立て前に選別される場合があるので、ロスが生じる場合がある。得られたモジュール化された電池構成要素は、上に電池構成要素を形成することができる適切な剛性領域を有さない様々な媒体インサート構造体内で使用することができ、更なる実施例では、モジュール化された電池構成要素の使用は、普通であれば用いることができる製造技術(例えば、ウェブベースの技術(ロールツーロール処理)、シートベースの技術(シートツーシート処理)、プリント処理、リソグラフィ処理、及び「スキージ」処理など)とは異なる選択肢の活用を促進することができる。モジュール化された電池のいくつかの実施例では、かかる装置は個別に収容されるという側面を有するので、生物医学的装置の構造全体に追加材料が加えられることになり得る。そうした影響は、利用可能な空間パラメータが溶液の最小の厚さ及び容積を必要とする場合に、モジュール化電池溶液の使用に制約を課する場合がある。
【0173】
電池素子のセパレータ
本発明に記載される種類の電池は、アノード及びアノード電流コレクタ部分を、カソード及びカソード電流コレクタ部分から物理的かつ電気的に分離するセパレータ材料を使用してもよい。セパレータは、水及び溶解した電解質成分に対して透過性である膜であってもよいが、それは、典型的には、非導電性であってもよい。無数の市販のセパレータ材料が当業者に既知であり得るが、本発明の新規な形状因子は、セパレータの選択、加工、及び取り扱いに固有の制約を提示し得る。
【0174】
本発明の設計は超薄型の輪郭を有し得るので、選択肢は、一般に入手可能な最も薄いセパレータ材料に限定され得る。例えば、厚さ約25μmのセパレータが望ましい場合がある。有利であり得るいくつかの実施例は、厚さ約12μmであり得る。条件を満たす多くの市販のセパレータが存在し得、例えば、Celgard(Charlotte,NC)製のセパレータのような、ミクロフィブリル化された微多孔性のポリエチレン単層及び/又はポリプロピレン−ポリエチレン−ポリプロピレン(PP/PE/PP)3層セパレータ膜が挙げられる。セパレータ材料の望ましい実施例は、厚さ12μmのCelgard M824 PP/PE/PP3層膜であり得る。本発明の実施例に有用なセパレータ材料の代替実施例としては、再生セルロース(例えばセロファン)を含むセパレータ膜を挙げることができる。
【0175】
PP/PE/PP3層セパレータ膜は、そのポリオレフィンの特性により、有利な厚さ及び機械的特性を有し得るが、本発明の実施例において有用とするためには克服する必要があり得るいくつかの不利な点も有し得る。PP/PE/PP3層セパレータ材料のロール又はシートは、本明細書に記載される電池に適用可能なマイクロメートルレベルの公差に悪影響を与える可能性のある、多数の皺又は他の形態のエラーを有する場合がある。更に、ポリオレフィンセパレータは、本発明の設計に含ませるためには超精密な公差で切断される必要があり得るので、個々の電流コレクタを厳しい公差で望ましい形状に形成するための例示的な方法としてレーザー切断を行う必要があり得る。こうしたセパレータのポリオレフィンの特性により、マイクロ素子の製造に有用なある種の切断用レーザーはレーザー波長(例えば355nm)を使用する場合があるが、この波長ではポリオレフィンは切断できない。ポリオレフィンは、レーザーエネルギーを認め得るほどに吸収しないので、切断不可能である。最後に、ポリオレフィンセパレータは、本明細書に記載される電池で使用される水性電解質に対して本質的に湿潤性でない場合がある。
【0176】
しかし、ポリオレフィン系の膜に固有のこうした制限を克服するための方法が存在し得る。微多孔性セパレータ膜に高精度の切断用レーザー処理を施して、膜片をアークセグメント又は他の有利なセパレータ設計に切断するために、膜は平坦で皺のない状態である必要があり得る。こうした2つの条件を満たさない場合、入射レーザーエネルギーの焦点を合わせることができないか、あるいは別様に入射レーザーエネルギーが散乱してしまうため、切断ビームが妨げられ、それによりセパレータ膜を完全に切断することはできない。加えて、膜が平坦で皺のない状態でない場合、セパレータ膜の形状精度及び幾何公差を十分に得ることができない。現在の実施例のセパレータの許容公差は、例えば、特性長さ及び/又は半径に対して+0マイクロメートル及び−20マイクロメートルであってよい。+0マイクロメートル及び−10マイクロメートルといったより厳しい公差、更には+0マイクロメートル及び−5マイクロメートルの公差に関する利点が存在し得る。セパレータストック材料は、適切な低揮発性液体を有するフロートガラス製のキャリアにこの材料を一時的に積層することにより、平坦で皺のない状態にすることができる。セパレータ膜の脆弱性、及びセパレータ膜を接着剤層から剥離することが要求される場合がある加工時間に起因して、低揮発性液体は仮接着剤より有利であり得る。更に、いくつかの実施例では、液体を使用してフロートガラス上に平坦で皺のないセパレータ膜を得ることは、接着剤を使用するよりもはるかに容易であることが認められている。セパレータ膜は、積層する前に、粒子を含まないものとしてもよい。これは、表面に接着したあらゆる粒子を除去するために、セパレータ膜を超音波洗浄することにより達成することができる。いくつかの実施例では、セパレータ膜の取り扱いは、ラミナーフローフード又は少なくともクラス10,000のクリーンルームのような好適な低粒子環境内で行われてもよい。更に、フロートガラス基板は、適切な溶媒、超音波洗浄、及び/又はきれいなルームワイプで拭き取ることによって、粒子を含まないものとしてもよい。
【0177】
微多孔性ポリオレフィンセパレータ膜をフロートガラスキャリアに積層する機械的な目的で、多種多様な低揮発性液体を使用することができるが、別個のセパレータ形状の後続レーザー切断を容易にするために、該液体には具体的な要件が課せられる場合がある。要件のうちの1つは、液体が、セパレータ材料の孔に染み込むほど十分に低い表面張力を有し、それを目視検査で確認することができることであり得る。いくつかの実施例では、セパレータ材料は、液体が材料のミクロ細孔を充填すると、白色から半透明の外観に変化する。セパレータの調製及び切断作業にさらされる恐れがある作業者にとって無害で「安全」であり得る液体を選択することが望ましくあり得る。加工の時間スケール(1日程度)の間に相当量の蒸発が生じないように、蒸気圧が十分に低くあり得る液体を選択することが望ましくあり得る。最後に、いくつかの実施例では、液体は、レーザー切断作業を促進することができる好都合な紫外線吸収剤を溶解するだけの十分な溶媒和力を有していてもよい。一実施例では、アボベンゾン紫外線吸収剤の12%(w/w)ベンジルベンゾエート溶液は上記要件を満たすことができ、かつ、高精度及び高い耐性で迅速に、切断用レーザービームの通過回数が過剰になることなく、ポリオレフィンセパレータのレーザー切断を促進するのに役立ち得る。いくつかの実施例では、セパレータは、8W 355nmナノ秒ダイオード励起固体レーザーで、このアプローチを用いて切断されてもよく、その場合レーザーの設定は、低電力損失(例えば3パーセント電力)、1〜10mm/秒の適度な速度、及びレーザービームの通過は1〜3回だけとすることができる。この紫外線吸収性油状組成物は、効果的な積層及び切断加工助剤であることが証明されているが、当業者であれば他の油性製剤を想定することができ、これを制限なく使用することができる。
【0178】
いくつかの実施例では、セパレータは、フロートガラスに固定された状態で切断されてもよい。フロートガラスに固定した状態でセパレータをレーザー切断することの利点の1つは、半導体ダイがシリコンウェハ上に密に配列され得るのと同様に、非常に高い数密度のセパレータを1枚のセパレータストックシートから切断することができることである。かかるアプローチは、半導体プロセスに固有の大量生産による生産コストの削減及び並列処理の利点をもたらすことができる。更に、セパレータ膜のスクラップが生じる可能性が最小となる。セパレータが切断されたら、混和性溶媒を用いる一連の抽出工程により、油性液体である加工助剤を除去してよく、最後の抽出は、いくつかの実施例では、イソプロピルアルコールなどの高揮発性溶媒を用いて行われてもよい。個々のセパレータは、抽出が終わると、任意の好適な低粒子環境内で無期限に保管されてもよい。
【0179】
前述したように、ポリオレフィンセパレータ膜は、本質的に疎水性であり得、本発明の電池内で使用する水溶性界面活性剤に対して湿潤性を有する状態にする必要があり得る。セパレータ膜を湿潤性にするアプローチの1つは、酸素プラズマ処理であり得る。例えば、セパレータを、酸素100%のプラズマ中で、様々な電力設定及び酸素流量にて、1〜5分間処理してもよい。このアプローチは、湿潤性を一時的に改善することができるが、プラズマ表面改質は一過性の効果をもたらすことが既知であり得、この効果は、電解質溶液で確実に湿潤するのに十分なだけ長く続かない場合がある。セパレータ膜の湿潤性を改善するための別のアプローチは、膜に好適な界面活性剤を組み込むことによって表面を処理することであってよい。場合によっては、界面活性剤は親水性ポリマーコーティングと共に使用してもよく、該コーティングはセパレータ膜の孔内部に留まる。
【0180】
酸化プラズマ処理によって付与された親水性をより永続的にするための別のアプローチは、好適な親水性オルガノシランで引き続き処理することであってよい。このように、酸素プラズマを用いて、微多孔性セパレータの全表面面積全体に官能基を付与しかつ活性化することができる。次に、プラズマ処理された表面にオルガノシランを共有結合させてもよい及び/又は非共有的に付着させてもよい。オルガノシランを用いる例では、微多孔性セパレータの固有多孔性を認め得るほどに変化させることはできず、単層で表面を被覆することも可能であり、かつ望ましくあり得る。ポリマーコーティングと共に界面活性剤を組み込む従来技術の方法は、膜に塗布されるコーティングの実際の量を厳密に制御する必要があり得、したがってプロセス変動を受ける可能性がある。極端な実施例では、セパレータの孔がブロックされ、それにより電気化学セルの動作中にセパレータの有用性に悪影響が及ぶ可能性がある。本開示で有用な例示的なオルガノシランは、(3−アミノプロピル)トリエトキシシランであり得る。親水性オルガノシランは当業者に既知であり、制限なく使用することができる。
【0181】
セパレータ膜を水性電解質にして湿潤性にするための更に別の方法は、好適な界面活性剤を電解質製剤に組み込むことであり得る。セパレータ膜を湿潤性にするための界面活性剤を選択する際の考慮事項の1つは、界面活性剤が、例えば、セルの電気インピーダンスを上昇させることにより、電気化学セル内の1つ又は複数の電極の活性に与える可能性がある影響であり得る。場合によっては、界面活性剤は、特に水性電解質中のアノードが亜鉛の場合に、有利な防食性を有し得る。亜鉛は、水とゆっくり反応して水素ガスを放散させることで知られる材料の例であり得、これは望ましくない場合がある。該反応の速度を有利なレベルまで制限する多くの界面活性剤が、当業者には既知であり得る。他の事例では、界面活性剤は亜鉛電極表面と強く相互作用するので、電池性能を阻害する場合がある。したがって、セルの電気化学的性能に悪影響を及ぼすことなくセパレータの湿潤性を確実に得ることができるように、界面活性剤の適切な種類及び充填レベルを選択する際には、多くの注意を払う必要があり得る。場合によっては、セパレータ膜に湿潤性を付与するために存在するものもあれば、亜鉛アノードに対する防食性を促進するために存在するものもるといったように、複数の界面活性剤を使用してもよい。一実施例として、セパレータ膜に親水化処理が施され、セパレータ膜を湿潤性にするのに十分な量の界面活性剤又は複数の界面活性剤が電解質配合物に添加される。
【0182】
別個のセパレータを管状超小型電池内に、管アセンブリの1又は両側の一部内に直接配置することによって統合してもよい。
【0183】
重合した電池素子の架橋セパレータ
一部の電池設計では、(前項で説明した)個々のセパレータの使用は、非限定的な例として、コスト、材料の入手可能性、材質、又は一部の材料選択肢に関する加工の複雑性といった様々な理由から、不可能な場合がある。
【0184】
均一で機械的に頑丈な現場成形セパレータを得る方法は、UV硬化性ヒドロゲル配合物を使用することであり得る。多くの水透過性ヒドロゲル配合物が、種々の業界(例えば、コンタクトレンズ業界)において既知であり得る。コンタクトレンズ業界において一般的なヒドロゲルの例は、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)架橋ゲル、又は単にpHEMAであり得る。本発明の多くの用途に関し、pHEMAは、ルクランシェ及び亜鉛炭素電池で使用するのに多くの魅力的な特性を有する場合がある。pHEMAは、典型的には、約0.7MPa(約100psi)以上の弾性率を維持しながら、水和状態において約30〜40パーセントの含水量を維持することができる。更に、当業者は、追加の親水性モノマー(例えばメタクリル酸)又はポリマー(例えばポリビニルピロリドン)成分を組み込むことによって、架橋ヒドロゲルの弾性率及び含水量特性を調整することができる。このようにして、ヒドロゲルの含水量、又は、より詳細には、イオン透過性を、配合によって調整することができる。
【0185】
特に有利な点として、いくつかの実施例では、注型可能及び重合可能なドロゲル配合物は、加工を容易にするために、1つ又は複数の希釈剤を含有していてよい。希釈剤は、注型可能な混合物をキャビティ内にスキージした後、揮発性溶媒成分を除去するのに十分な乾燥時間が可能となり得るように、揮発性であるように選択することができる。乾燥後、選択した光開始剤(CGI 819など)に適した波長(420nmの青色/UV光など)の化学線に暴露することによって、バルク光重合を開始してもよい。揮発性希釈剤は、重合性材料の均一層をキャビティ内に注型成形するのを容易にするように、望ましい塗布時の粘度をもたらすのに役立ち得る。揮発性希釈剤はまた、特に強い極性のモノマーを配合物に組み込む場合に、有益な表面張力低減効果をもたらすことができる。キャビティ内への重合性材料の均一層の注型成形を達成するために重要であり得る別の態様は、塗布時の粘度であり得る。一般的な低モル質量の反応性モノマーは典型的に、粘度があまり高くなく、典型的にはわずか数センチポアズであり得る。注型可能かつ重合可能なセパレータ材料の粘度を有利に制御する目的で、重合性材料と適合性があることで知られている高モル質量のポリマー成分を選択して、配合物に組み込んでもよい。例示の配合物に組み込むのに適し得る高モル質量のポリマーの例としては、ポリビニルピロリドン及びポリエチレンオキシドを挙げることができる。
【0186】
いくつかの実施例では、注型可能かつ重合可能なセパレータは、前述したように、設計されたキャビティに好都合に塗布することができる。代替実施例では、重合時にキャビティが存在しなくてもよい。代わりに、注型可能かつ重合可能なセパレータ配合物を電極含有基板(例えば、パターニングして亜鉛めっきを施した黄銅)にコーティングした後、続いてフォトマスクを使用して化学線に暴露して、標的領域内のセパレータ材料を選択的に重合させてもよい。次に、適切なリンス溶媒に暴露することにより、未反応のセパレータ材料を除去することができる。こうした実施例では、セパレータ材料は、フォトパターニング可能なセパレータとして設計され得る。
【0187】
多成分セパレータ配合物
本発明の実施例により有用であるセパレータは、その機能にとって重要であり得る、多くの特性を有し得る。いくつかの実施例において、セパレータは望ましくは、セパレータの両側の層が互いに物理的に接触しないように、物理的な障壁を生成するような様式で形成され得る。したがって層は、様々な理由により薄層が望ましい一方で、空隙又はギャップのない層が必要であるため、均一な厚さという重要な特性を有し得る。これに加えて、薄層は、イオンが自由に流れることができるように高い透過性を有するのが望ましくあり得る。更に、セパレータは、セパレータの機械的特性を最適化するのに最適な水のとりこみを必要とする。したがって、配合物は、架橋成分、親水性ポリマー成分、及び溶媒成分を含有し得る。
【0188】
架橋剤は、2つ以上の重合可能二重結合を有するモノマーであり得る。好適な架橋剤は、2つ以上の重合可能官能基を化合物であり得る。好適な親水性架橋剤の例としては、2つ以上の重合可能官能基、並びに親水性官能基(例えば、ポリエーテル、アミド、又はヒドロキシル基)を有する化合物を含み得る。具体的な実施例としては、TEGDMA(テトラエチレングリコールジメタクリレート)、TrEGDMA(トリエチレングリコールジメタクリレート)、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、エチレンジアミンジメタクリルアミド、グリセロール、ジメタクリレート、及びこれらの組み合わせが挙げられ得る。
【0189】
いくつかの実施例において使用され得る架橋剤の量は、例えば、反応混合物内の反応性構成成分100グラム当たり、約0.000415〜約0.0156モルの範囲であり得る。使用される親水性架橋剤の量は一般的に、約0〜約2重量%、及び例えば、約0.5〜約2重量%であり得る。反応性混合物の粘度を増加させることができ、及び/又は遅反応性親水性モノマーとの水素結合の度合いを増加させることができる、親水性ポリマー成分(例えば、高分子量親水性ポリマー)が望ましい場合がある。
【0190】
高分子量親水性ポリマーは、改善された湿潤性をもたらし、いくつかの実施例では、本発明のセパレータに対する湿潤性を改善することができる。非限定的な実施例において、高分子量親水性ポリマーは、水素結合受容体であると考えられ、これは水生環境において水と水素結合し、よって効果的により親水性となる。水の非存在下では、反応混合物中への親水性ポリマーの取り込みが促進され得る。具体的に挙げられた高分子量親水性ポリマー以外にも、あらゆる高分子量ポリマーが本発明において有用であり得るものと考えられるが、ただし、そのポリマーが例示的なシリコーンヒドロゲル配合物に添加されるとき、親水性ポリマーは(a)反応性混合物から実質的に相分離されず、かつ(b)結果として生じる硬化したポリマーに湿潤性を付与する。
【0191】
いくつかの実施例において、高分子量親水性ポリマーが、処理温度において、希釈剤中に溶解可能であり得る。水、又はイソプロピルアルコール(IPA)などの水溶性希釈剤を使用する製造プロセスは、プロセスが単純で低コストであることから、望ましい実施例であり得る。これらの実施例において、処理温度において水溶性である、高分子量親水性ポリマーもまた、望ましい実施例であり得る。
【0192】
高分子量親水性ポリマーの例としては、ポリアミド、ポリラクトン、ポリイミド、ポリラクタム、並びに、例えばPVP及びそのコポリマー、あるいは、比較的に少ないモル量のHEMAのようなヒドロキシル官能性のモノマーと共にDMAを共重合してからその得られたコポリマーのヒドロキシル基をラジカルな重合性の基を含む材料と共に反応させることにより官能性化されているDMAのような、官能性化したポリアミド、ポリラクトン、ポリイミド、ポリラクタムを挙げることができるが、これらに限定されない。高分子量親水性ポリマーとしては、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリ−N−ビニル−2−ピペリドン、ポリ−N−ビニル−2−カプロラクタム、ポリ−N−ビニル−3−メチル−2−カプロラクタム、ポリ−N−ビニル−3−メチル−2−ピペリドン、ポリ−N−ビニル−4−メチル−2−ピペリドン、ポリ−N−ビニル−4−メチル−2−カプロラクタム、ポリ−N−ビニル−3−エチル−2−ピロリドン、及びポリ−N−ビニル−4,5−ジメチル−2−ピロリドン、ポリビニルイミダゾール、ポリ−N−−N−ジメチルアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキシド、ポリ−2−エチルオキサゾリン、ヘパリンポリサッカリド、ポリサッカリド、これらの混合物及びコポリマー(ブロック又はランダム状、分枝状、多数鎖状、くし形状、又は星形状を含む)を挙げることができるがこれらに限定されない。ポリ−N−ビニルピロリドン(PVP)が特に望ましい例であり得、その場合、PVPは、内部浸透性の網状構造を形成するためにヒドロゲル組成物に添加されており、この網状構造は低い表面摩擦性及び低い脱水速度を示す。
【0193】
当該技術分野において一般的に既知であり得る追加の成分及び添加剤を含むこともできる。添加剤としては、紫外線吸収性化合物、CGI 819などの光開始剤、反応性着色剤、抗菌性化合物、顔料、光発色剤、剥離剤、及びこれらの組み合わせなどを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0194】
こうした種類のセパレータに関連する方法はまた、CGI 819を受容することと、次にPVP、HEMA、EGDMA、及びIPAと混合することと、次に熱源又は光子への暴露によって、得られた混合物を硬化することと、を含み得る。いくつかの実施例では、光子への暴露は、光子のエネルギーが、電磁スペクトルの紫外部において生じる波長と一致する場合に実施してもよい。重合反応において一般的に実施される他の重合開始方法は、本発明の範囲内である。
【0195】
相互接続
相互接続により、外部回路と接続された電池との間を電流が流れることができてもよい。そのような相互接続は、電池の内部環境及び外部環境と接続することができ、これら環境の間の境界又は封止部を越えることができる。こうした相互接続は、外部回路との接続を形成し、電池封止部を通過した後、電池内の電流コレクタと接続するトレースと見なすことができる。そのため、こうした相互接続はいくつかの要件を有し得る。電池外部において、相互接続は、典型的なプリント回路トレースに類似していてもよい。トレースは他のトレースとはんだ付けされるか、ないしは別の方法で接続されてよい。電池が、集積回路を含む回路基板とは別の物理的要素である例では、電池相互接続により外部回路との接続が可能となってもよい。この接続は、はんだ付け、導電性テープ、導電性インク若しくは導電性エポキシ、又は他の手段で形成されてもよい。相互接続トレースは、電池外部の環境に耐える(例えば、酸素の存在下で腐食しない)必要があり得る。
【0196】
相互接続部は電池封止部を貫通するので、相互接続が封止部と共存し、かつ封止を可能にすることが非常に重要であり得る。封止部と電池パッケージとの間で必要となり得る接着に加えて、封止部と相互接続部との間の接着が必要となり得る。電池内部の電解質及び他の材料の存在下では、封止完全性が維持される必要があり得る。相互接続部は、典型的には金属性であり、電池パッケージングの破損点として知られている場合がある。電位及び/又は電流の流れにより、電解質が相互接続部に沿って「クリープ」する傾向が増大する場合がある。したがって、相互接続は、封止完全性を維持するように設計する必要があり得る。
【0197】
電池内部において、相互接続は、電流コレクタと相互作用してもよく、又は電流コレクタを実際に形成してもよい。この点で、相互接続は、本明細書に記載する電流コレクタの要件を満たす必要があり得、又は、かかる電流コレクタと電気的接続を形成する必要があり得る。
【0198】
相互接続部及び電流コレクタの候補となる1つの分類は、金属箔である。そのような金属箔は、25マイクロメートル以下の厚さで利用可能であり、この厚さにより金属箔は、非常に薄型の電池に適したものとなる。そのような箔はまた、低表面粗さ及び低汚染の状態で得ることができ、これら2つの要素は電池性能にとって重要であり得る。箔としては、亜鉛、ニッケル、黄銅、銅、チタン、他の金属、及び種々の合金を挙げることができる。
【0199】
電流コレクタ及び電極
電流コレクタ及び電極設計の多くは、側壁への金属膜の堆積によって、又は電流コレクタ及び電極を形成するための基材として金属線を使用することによって形成されると想定される。これらの例は、例示された。それにもかかわらず、管電池形式において他の電流コレクタ又は電極設計を用いるいくつかの設計が存在する場合がある。
【0200】
亜鉛炭素電池及びルクランシェ電池のいくつかの実施例では、カソード電流コレクタは、焼結した炭素棒であってよい。この種の材料は、本発明の薄型電気化学セルの技術的障害に直面する場合がある。いくつかの実施例では、印刷されたカーボンインクが、薄型電気化学セルにおいて、焼結した炭素棒の代わりにカソード電流コレクタで使用される場合があり、こうした実施例では、得られる電気化学セルに有意な損害を与えることなく、得られる装置を形成することができる。典型的には、上記カーボンインクは、ポリマー膜、又は場合によっては金属箔を含む場合があるパッケージング材に、直接適用することができる。パッケージング膜が金属箔であり得る実施例では、カーボンインクは、下にある金属箔を、電解質による化学的な劣化及び/又は腐食から保護する必要があり得る。更に、こうした実施例では、カーボンインク電流コレクタは、電気化学セルの内側から電気化学セルの外側まで電気を伝導する必要があり得るので、カーボンインクの周り又は全体の封止を必要とする。
【0201】
カーボンインクはまた、厚さが有限の比較的薄い(例えば、10〜20μmの)層で塗布されてもよい。パッケージ内部の総厚さがわずか約100〜150μmであり得る薄型電気化学セル設計では、カーボンインク層の厚さは電気化学セルの総内容積のかなりの割合を占め、それによりセルの電気的性能にマイナスの影響を与える場合がある。更に、電池全体、特に電流コレクタが薄いということは、電流コレクタの断面積が小さいことを意味し得る。トレースの抵抗は、トレースの長さと共に増大し、断面積と共に低減するので、電流コレクタの厚さと抵抗との間には直接トレードオフであってもよい。カーボンインクのバルク抵抗率は、薄型電池の抵抗要件を満たすには不十分であり得る。銀又は他の導電性金属を充填したインクはまた、抵抗及び/又は厚さを低下させると考えられるが、新規な電解質との不適合性といった新たな課題をもたらし得る。こうした要因を考慮すると、いくつかの実施例では、薄い金属箔を電流コレクタとして使用することによって、又は薄い金属膜を下にあるポリマーパッケージング層に適用して電流コレクタとして機能させることによって、本発明の高効率で高性能の薄型電気化学セルを実現するのが望ましくあり得る。そのような金属箔の固有抵抗は有意に低くあり得るので、印刷されたカーボンインクよりもはるかに薄い厚さで、電気的抵抗に関する要件を満たすのが可能となる。
【0202】
いくつかの例では、管形態のうちの1つ又は2つ以上を、電極及び電流コレクタに対する基板として、又は電流コレクタそれ自体として用いてもよい。いくつかの例では、管形態の金属の表面に堆積物を形成してもよい。例えば、金属管部片は、スパッタリングされた電流コレクタ金属又は金属積層物に対する基板として機能してもよい。カソード電流コレクタとして有用な金属積層体の実施例は、Ti−W(チタン−タングステン)接着層及びTi(チタン)導体層であり得る。アノード電流コレクタとして有用な例示的な金属積層体は、Ti−W接着層、Au(金)導体層、及びIn(インジウム)蒸着層であり得る。PVD層の厚さは、合計で500nm未満であってよい。金属の多層を用いる場合、電気化学的特性及びバリア特性は電池と適合している必要があり得る。例えば、導電体の厚い層を成長させるために、シード層の上に銅を電気めっきしてもよい。銅の上に追加の層をめっきしてもよい。しかしながら、銅は、特に亜鉛の存在下において、特定の電解質と電気化学的に不適合であり得る。したがって、電池内の層として銅を使用する場合、電池電解質から銅を十分に隔離する必要があり得る。あるいは、銅を除外してもよく、又は他の金属で置き換えてもよい。
【0203】
多くの材料から作られた導線はまた、電流コレクタ及び/又は電極のための基材を形成するために使用されてもよい。いくつかの例では、金属導体は、ガラス又はセラミックなどの絶縁材を貫通して絶縁された電気的な電流コレクタ接触を提供してもよい。いくつかの例では、導線は、チタンで作製されてもよい。他の例では、アルミニウム、タングステン、銅、金、銀、プラチナが挙げられるがこれらに限定されない他のベース金属は、使用されてもよく、また適用された表面膜を有してもよい。
【0204】
カソード混合物及び堆積物
本発明の概念と一致し得る多数のカソード化学物質混合物が存在し得る。いくつかの実施例では、電池のカソードを形成するために用いられる化学配合物を表す用語であり得るカソード混合物は、ペースト、ゲル、懸濁液、又はスラリーとして適用されてもよく、かつ、二酸化マンガンなどの遷移金属酸化物、例えば、カーボンブラック又は黒鉛のような導電性粉末の形態であり得るある種の形態の導電性添加剤、及びポリビニルピロリドン(PVP)又は他の何らかの結合剤添加物などの水溶性ポリマーを含み得る。いくつかの実施例では、結合剤、電解質塩、腐食防止剤、水又は他の溶媒、界面活性剤、レオロジー変性剤、及び導電性ポリマーなどの他の導電性添加剤のうちの1つ又は2つ以上の他の成分が含まれてもよい。カソード混合物は、配合されて適切に混合されると、セパレータ及び/又はカソード電流コレクタの所望部分の上に分配することができるか、あるいは同様のやり方でスキージによりスクリーン又はステンシルに通すことができる、望ましいレオロジーを有することができる。いくつかの実施例では、カソード混合物は、後のセル組み立て工程で使用する前に乾燥させてもよいが、他の実施例では、カソードは、電解質成分の一部又は全てを含んでいてもよく、選択した含水量まで部分的に乾燥させるだけであってもよい。
【0205】
遷移金属酸化物は、例えば、二酸化マンガンであってよい。カソード混合物で用いることができる二酸化マンガンは、例えば、電解二酸化マンガン(EMD)であり得、その理由は、この種の二酸化マンガンから得られる比エネルギーが、天然二酸化マンガン(NMD)又は化学二酸化マンガン(CMD)などの他の形態と比べて有利に付加的であることによる。更に、本発明の電池で有用なEMDは、堆積可能又は印刷可能なカソード混合物ペースト/スラリーをもたらすことができる粒径及び粒径分布を有する必要があり得る。具体的には、EMDを処理して、電池の内寸、セパレータ厚さ、分注チップの直径、ステンシル開口部寸法、又はスクリーンメッシュ寸法などの他の特徴に対して大きいと考えられ得る、著しく大きな粒子成分を除去してもよい。また、粒径の最適化を用いて、電池性能(例えば、内部インピーダンス及び放電能)を改善してもよい。
【0206】
ミル粉砕は、粉砕、研削、切断、振動、又は他のプロセスによる、ある平均粒径からより小さい平均粒径への固体材料の縮小である。ミル粉砕はまた、有用な材料が埋め込まれていてよいマトリックス材料から有用な材料を取り除くため、及び鉱物を濃縮するために使用され得る。ミル粉砕機は、研削、粉砕、又は切断により、固体材料をより小さな片に破砕する装置である。ミル粉砕のための手段は複数存在し、該手段で処理される多様な材料が存在し得る。そのようなミル粉砕手段としては、他のミル粉砕の代替手段の中でも、ボールミル、ビーズミル、乳鉢と乳棒、ローラプレス、及びジェットミルを挙げることができる。ミル粉砕の一例は、ジェットミル粉砕であり得る。ミル粉砕の後、固体の状態(例えば、粒径、粒径配列、及び粒子形状)が変化する。凝集体をミル粉砕する工程はまた、凝集体から混入物又は水分を除去又は分離して、移送又は構造物充填に先立って「乾燥充填物」を作製するために用いられてもよい。一部の機器は、粒径が最小粒径及び最大粒径の両方によって限定された粒子の混合物に固体材料を分類するために、種々の技術を組み合わせることができる。かかる加工は、「分級」又は「分類」と呼ばれる場合がある。
【0207】
ミル粉砕は、カソード混合物成分の粒径分布を均一にするための、カソード混合物の製造の一態様であり得る。カソード混合物中の均一な粒径は、カソードの粘度、レオロジー、電気伝導性、及び他の特性を補助することができる。ミル粉砕は、カソード混合物成分の凝集、つまり塊集を制御することによって、こうした特性を補助することができる。凝集(カソード混合物の場合には炭素同素体及び遷移金属酸化物であり得る、異種の要素のクラスタリング)は、図11に示すように所望のカソードキャビティ内にボイドが残ることにより、充填プロセスに悪影響を与える場合がある。
【0208】
また、濾過は、凝集した又は望ましくない粒子を除去するための、別の重要な工程であり得る。望ましくない粒子としては、大き過ぎる粒子、混入物、又は調製プロセスにおいて明示的に理由が与えられない他の粒子を挙げることができる。濾過は、濾紙濾過、真空濾過、クロマトグラフィー、精密濾過、及び他の濾過手段といった手段によって達成され得る。
【0209】
いくつかの実施例では、EMDは、7マイクロメートルの平均粒径を有していてよく、大径粒子の含有量は、最大約70マイクロメートルまでの粒子を含み得る。代替実施例では、大径粒子の含有量を一定の閾値未満(例えば、25マイクロメートル以下)に限定するために、EMDをふるいにかけ、更に粉砕し、ないしは別の方法で分離又は処理してもよい。
【0210】
カソードはまた、酸化銀、塩化銀、又はオキシ水酸化ニッケルを含んでもよい。かかる材料は、二酸化マンガンと比べて、容量を増大させ、かつ放電時の負荷時電圧の低下を少なくすることができ、これらは共に電池において望ましい特性である。こうしたカソードベースの電池は、業界及び文献に見られる現行例を有し得る。二酸化銀カソードを用いる新規な超小型電池は、生体適合性電解質(例えば、水酸化カリウムの代わりに塩化亜鉛及び/又は塩化アンモニウムを含むもの)を含んでいてよい。
【0211】
カソード混合物のいくつかの例は、ポリマー結合剤を含んでいてもよい。結合剤は、カソード混合物においていくつかの機能を果たすことができる。結合剤の主要機能は、EMD粒子と炭素粒子との間に、粒子間の十分な電気的ネットワークを作り出すことであり得る。結合剤の2つ目の機能は、カソード電流コレクタに対する機械的接着及び電気的接触を促進することであり得る。結合剤の3つ目の機能は、好都合に分配及び/又はステンシリング/スクリーニングするために、カソード混合物のレオロジー特性に影響を与えることであり得る。更に、結合剤の4つ目の機能は、カソード内への電解質の吸い上げ及び分布を向上させることであり得る。
【0212】
結合剤ポリマーの選択並びに使用する量は、本発明の電気化学セルにおけるカソードの機能にとって有益であってよい。使用する電解質に結合剤ポリマーが可溶性であり過ぎる場合には、結合剤の主要機能(即ち、電気的導通)は、セルが機能しなくなる程度まで大幅な影響を受け得る。これに対して、使用する電解質に結合剤ポリマーが不溶性であり過ぎる場合には、EMDの一部は電解質からイオン的に絶縁され得、その結果、容量低下、開回路電圧の低下、及び/又は内部抵抗の上昇など、セル性能が衰える。
【0213】
結合剤は、疎水性であってよく、また親水性であってもよい。本発明にとって有用な結合剤ポリマーの例は、中でも、PVP、ポリイソブチレン(PIB)、Kraton Polymers製のもののようなスチレン末端ブロックを含むゴムトリブロックコポリマー、スチレン−ブタジエンラテックスブロックコポリマー、ポリアクリル酸、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ化炭素固形物、ポルトランドセメントを含むセメントを含む。
【0214】
溶媒は、カソード混合物の1つの構成要素であり得る。溶媒は、カソード混合物を湿潤させるのに有用であり得、それにより混合物の粒子分布を助けることができる。溶媒の一例はトルエンであり得る。界面活性剤もまた、カソード混合物の湿潤(したがって分布)に有用であり得る。界面活性剤の一例は、Dow Chemical Companyから入手可能なTriton(商標)QS−44などの洗剤であり得る。Triton(商標)QS−44は、カソード混合物中の凝集成分の分離を助けて、カソード混合物成分のより均一な分布を可能にすることができる。
【0215】
導電性炭素は、典型的には、カソードの作製に使用され得る。炭素は、多くの同素体、又は異なる構造修飾を形成することができる。異なる炭素同素体は、電気伝導率の変動を可能にする異なる物理特性を有する。例えば、カーボンブラックの「弾力性」は、電流コレクタへのカソード混合物の貼着を助けることができる。しかしながら、必要となるエネルギー量が比較的小さい通電素子では、こうした電気伝導率の変動は、他の特性の中でも特に、密度、粒径、熱伝導率、及び相対的統一性などの他の有利な特性と比べて、あまり重要ではない場合がある。炭素同素体の例としては、ダイヤモンド、黒鉛、グラフェン、比結晶質炭素(非公式にはカーボンブラックと呼ばれる)、バックミンスターフラーレン、ガラス状炭素(ガラス質炭素とも呼ばれる)、カーボンエアロゲル、及び電気を通すことができる他の可能な形態の炭素が挙げられる。炭素同素体の一例は黒鉛であり得る。
【0216】
いくつかの例では、カソードを管壁又はワイヤ形態カソードコレクタ上に堆積させてもよい。管壁及びワイヤは、いくつかの例では金属製であってもよく、その上にカソード化学物質、例えば、二酸化マンガンが電着されてもよい。他の例では、電解二酸化マンガンのコーティングは、カソード電流コレクタ上に形成され得る。
【0217】
アノード及びアノード腐食防止剤
本発明の管電池に対するアノードは、例えば、亜鉛を含んでもよい。従来の亜鉛炭素電池では、亜鉛アノードは物理的に缶の形状をとることができ、その中に電気化学セルの内容物を収容することができる。本発明の電池では、亜鉛缶は一例であり得るが、超小型電池設計を実現するために望ましい形状を提供することができる、他の物理的形状の亜鉛が存在する場合がある。
【0218】
亜鉛の電気めっきは、例えば、金属部品の保護コーティング又は美観用コーティングなどの多くの産業における用途におけるプロセスタイプである。いくつかの実施例では、電気めっき亜鉛は、本発明の電池に有用な薄型の共形アノードを形成するために使用することができる。更に、電気めっき亜鉛は、設計意図に応じて多くの異なる構成でパターン化される場合がある。電気めっき亜鉛をパターニングするための容易な手段は、フォトマスク又は物理的なマスクを用いた加工であり得る。フォトマスクにおける場合では、フォトレジストが導電性基板に塗布されてもよく、引き続いてこの基板上に亜鉛をめっきすることができる。次に、フォトマスクを用いてフォトレジストに所望のめっきパターンを投影し、それによってフォトレジストの選択領域を硬化させることができる。次に、適切な溶媒及び清掃技術を用いて、未硬化のフォトレジストを除去することができる。こうして、導電材料のパターン領域を得、このパターン領域上に亜鉛電気めっき処理を施すことができる。この方法は、めっきされる亜鉛の形状又は設計に利益をもたらすことができるが、この技法は、セルパッケージ構造体全体に対して拘束性を有し得る、入手可能なフォトパターニング可能な材料を使用することを必要とし得る。したがって、本開示の超小型薄型電池のいくつかの設計を実現するために、亜鉛をパターニングするための新しい新規な方法が必要とされ得る。
【0219】
亜鉛用マスクを配置した後に、1つ又は2つ以上の金属材料の電気めっきを行ってもよい。いくつかの実施例では、亜鉛を、黄銅などの電気化学的に適合性のあるアノード電流コレクタ箔上に直接電気めっきしてもよい。アノード側のパッケージングがポリマー膜又は多層ポリマー膜を含み、該膜の上にシードメタライゼーション(seed metallization)が適用されている代替設計例では、亜鉛、及び/又は亜鉛を堆積させるために使用するめっき溶液が、下にあるシードメタライゼーションと化学的に適合性がない場合がある。適合性の欠落は、膜の亀裂、腐食、及び/又はセル電解質と接触した際のH発生の悪化として顕在化し得る。そのような場合、シード金属に追加の金属を塗布して、システムの全体的な化学的適合性の改善に影響を与えてもよい。電気化学セル構造体において特に有用性を見出すことができる金属の1種は、インジウムであり得る。インジウムは、電池グレードの亜鉛において合金化剤として広く使用することができ、その主な役割は、電解質の存在下で亜鉛に防食性をもたらすことである。いくつかの実施例では、インジウムは、Ti−W及びAuなどの様々なシードメタライゼーション上に首尾良く堆積させることができる。上記シードメタライゼーション層上に得られる1〜3μmのインジウム膜は、低応力であり、接着性であり得る。このようにして、アノード側のパッケージング膜、及びインジウム最上層を有する取り付けられた電流コレクタは、応従可能で耐久性があってもよい。いくつかの実施例では、インジウム処理の施された表面上に亜鉛を堆積させることが可能であり得るが、得られる堆積物は非常に不均一で小塊を有する場合がある。この影響は、低電流密度設定、例えば、215アンペア毎平方メートル(20アンペア毎平方フィート(ASF))で起こり得る。顕微鏡で見ると、下にある滑らかなインジウム堆積物上に亜鉛の小塊が形成されているのを観察することができる。ある種の電気化学セル設計において、亜鉛アノード層のための垂直空間許容度は、最大で約5〜10マイクロメートル厚さであり得るが、いくつかの実施例では、亜鉛めっきに低電流密度を用いる場合があり、その結果生じる小塊の成長は、アノードの最大垂直厚さよりも高くなる可能性がある。亜鉛小塊の成長は、インジウムの過電圧が高いことと、インジウムの酸化物層の存在が組み合わさることにより生じる可能性がある。
【0220】
いくつかの実施例では、より高い電流密度でのDCめっきにより、インジウム表面上の比較的大きな亜鉛小塊成長パターンを克服する場合がある。例えば、1076アンペア毎平方メートル(100 ASF)めっき条件によって、小塊亜鉛が生じ得るが、亜鉛小塊の寸法は、215アンペア毎平方メートル(20 ASF)めっき条件と比べて著しく縮小され得る。更に、小塊の数は、1076アンペア毎平方メートル(100 ASF)めっき条件下で非常に多くなり得る。得られる亜鉛膜は、最終的には、約5〜10マイクロメートルの垂直空間許容度を満たしながらも、小塊成長の残存特徴を若干有する、ほぼ均一な層へと融合することができる。
【0221】
電気化学セルにおけるインジウムの追加利益は、亜鉛を含有する水性電気化学セルで起こるゆっくりとしたプロセスであり得る、Hの減少であり得る。インジウムは、アノード電流コレクタのうちの1つ又は2つ以上に、共めっき合金化成分としてアノード自体に、又は電気めっき亜鉛上の表面コーティングとして、有利に塗布され得る。後者のケースでは、インジウム表面コーティングは、三塩化インジウム又は酢酸インジウムなどの電解質添加剤を通じてその場で塗布されるのが望ましくあり得る。そのような添加剤が低濃度で電解質に添加され得る場合、インジウムは、露出している亜鉛表面、並びに露出しているアノード電流コレクタの一部に、自然発生的にめっきされ得る。
【0222】
市販の一次電池で一般に使用されている亜鉛及び類似のアノードは、典型的には、シート、ロッド、及びペーストの形態で入手できる。小形生体適合性電池のアノードは、同様な形態のもの(例えば薄箔)であってもよく、又は前述したようにめっきされてもよい。このアノードの特性は、例えば、加工及びめっきプロセスに起因する汚染物質又は表面仕上げが異なるため、既存の電池の特性と著しく異なり得る。したがって、電極及び電解質は、容量、インピーダンス、及び有効寿命要件を満たす特別な設計を必要とし得る。例えば、電極性能を最適化するために、特別なめっきプロセスパラメータ、めっき浴組成、表面処理、及び電解質組成が必要であり得る。
【0223】
電池の生体適合性の側面
本発明による電池は、安全性及び生体適合性に関する重要な態様を有し得る。いくつかの例では、生物医学的装置は、典型的な使用例で求められるシナリオ以上の要件を満たす必要があり得る。いくつかの例では、設計的態様は、ストレスを与える事象に関連して考察され得る。例えば、電子コンタクトレンズの安全性は、レンズの挿入又は取り外しの際にユーザーがレンズを破壊した場合を考慮する必要があり得る。別の例では、設計的側面は、ユーザーの目に異物が当たる可能性を考慮してもよい。設計のパラメータ及び制約を生じさせ得ると考えられるストレスの多い状況の更なる例は、非限定的な例では、水中環境又は高地環境のような厳しい環境においてユーザーがレンズを装着する可能性に関する場合がある。
【0224】
このような装置の安全性は、装置が形成される材料、装置を製造するときに用いられる材料の数量、及び装置を周囲の身体上又は身体内環境から分離するために適用されるパッケージングの影響を受ける場合がある。一例において、ペースメーカーは、電池を含む場合があり、かつ長期間にわたってユーザーの体内に埋め込まれる可能性がある、典型的な種類の生物医学的装置であり得る。いくつかの例では、かかるペースメーカーは、典型的には、溶接されたチタン気密容器で、又は他の例では、複数の封入層でパッケージ化される場合がある。新たに出現した電動式生物医学的装置は、パッケージング(特に電池パッケージング)に関する新たな課題を提示し得る。こうした新たな装置は、既存の生物医学的装置よりもかなり小さい場合があり、例えば、電子コンタクトレンズ又はピルカメラは、ペースメーカーよりも大幅に小さい場合がある。そのような例では、パッケージングのために利用可能な体積及び面積は、大幅に減少する可能性がある。限定された容積の利点は、材料及び化学物質の量を、本質的にユーザーへの暴露の可能性を安全限界値よりも低く制限するほど、大変少なくすることができることである。
【0225】
管ベースのアプローチは、特に密封封止を含む場合、生体適合性を高める手段をもたらす場合がある。各管構成要素は、材料の出入りに対する著しいバリアをもたらす場合がある。更に、本明細書で述べてきたように密封封止プロセスの多くを用いて、優れた生体適合性を有する電池を形成することができる。
【0226】
コンタクトレンズスカート
いくつかの実施例では、生物医学的装置内に封入層を形成し得る、好ましい封入材料は、シリコーン含有成分を含み得る。一実施例では、この封入層は、コンタクトレンズのレンズスカートを形成し得る。「シリコーン含有成分」とは、モノマー、マクロマー、又はプレポリマー中に少なくとも1つの[−Si−O−]単位を含有するものである。好ましくは、総Si及び結合Oは、シリコーン含有成分中に、そのシリコーン含有成分の総分子量の約20重量%超、より好ましくは30重量%超の量で存在する。有用なシリコーン含有成分は、好ましくは、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニル、N−ビニルラクタム、N−ビニルアミド、及びスチリル官能基などの重合性官能基が含まれる。
【0227】
いくつかの実施例では、インサート封入層とも呼ばれる、インサートを包囲する眼用レンズスカートが、標準ヒドロゲル眼用レンズ配合物から構成され得る。数々のインサート材料に対して許容可能な適合を提供することができる特徴を有した例示的な材料としては、Narafilconファミリー(Narafilcon A及びNarafilcon Bを含む)、及びEtafilconファミリー(Etafilcon Aを含む)が挙げられ得る。本明細書の技術と一致する材料の性質に関して、より技術的に包括的な説明が以下に続く。当業者は、記述された材料以外の他の材料もまた、封止及び封入されるインサートの許容可能なエンクロージャ又は部分的なエンクロージャを形成することができ、本請求項の範囲と一致しかつ本請求項の範囲内に含まれると見なされるべきであることを認識する場合がある。
【0228】
好適なシリコーン含有成分は、式Iの化合物を含み、
【0229】
【化1】
式中、
R1は、独立して、一価の反応基、一価のアルキル基、又は一価のアリール基、更に、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロゲン、又はこれらの組み合わせから成る官能基を含み得る前述のもののいずれか;及び、更に、アルキル、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバメート、ハロゲン又はそれらの組み合わせから選択される官能基を含み得る1〜100個のSi−O繰り返し単位を含む一価のシロキサン鎖、から選択され、
b=0〜500であり、bが0以外のとき、bは表示値と同等のモードを有する分布であると理解され、
少なくとも1つのR1は、一価の反応基を含み、いくつかの実施例では、1〜3個のR1が、一価の反応基を含む。
【0230】
本明細書で使用するとき、「一価の反応性基」は、フリーラジカル及び/又はカチオン重合を受ける場合がある基である。フリーラジカル反応性基の非限定的な例としては、(メタ)アクリレート、スチリル、ビニル、ビニルエーテル、C1〜6アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、C1〜6アルキル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルラクタム、N−ビニルアミド、C2〜12アルケニル、C2〜12アルケニルフェニル、C2〜12アルケニルナフチル、C2〜6アルケニルフェニル、C1〜6アルキル、O−ビニルカルバメート及びO−ビニルカーボネートが挙げられる。カチオン反応性基の非限定的な例としては、ビニルエーテル又はエポキシド基、及びこれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、フリーラジカル反応性基は、(メタ)アクリレート、アクリルオキシ、(メタ)アクリルアミド、及びこれらの混合物を含む。
【0231】
好適な一価アルキル基及びアリール基としては、置換及び非置換のメチル、エチル、プロピル、ブチル、2−ヒドロキシプロピル、プロポキシプロピル、ポリエチレンオキシプロピル、これらの組み合わせなどの非置換の一価C1〜C16アルキル基、C6〜C14アリール基が挙げられる。
【0232】
1つの実施例では、bはゼロであり、1つのR1は一価の反応基であり、少なくとも3つのR1は、1〜16個の炭素原子を有する一価のアルキル基から選択され、他の実施例においては、1〜6個の炭素原子を有する一価のアルキル基から選択される。この実施形態のシリコーン成分の非限定例としては、2−メチル−、2−ヒドロキシ−3−[3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキザニル]プロポキシ]プロピルエステル(「SiGMA」)、
2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルオキシプロピル−トリ(トリメチルシロキシ)シラン、
3−メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(「TRIS」)、
3−メタクリルオキシプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、及び
3−メタクリルオキシプロピルペンタメチルジシロキサンが挙げられる。
【0233】
別の実施例では、bは、2〜20、3〜15であり、又はいくつかの実施例では3〜10であり、少なくとも1個の末端R1が一価の反応性基を含み、残りのR1は、1〜16個の炭素原子を有する一価のアルキル基から選択され、又は別の実施形態では1〜6個の炭素原子を有する一価のアルキル基から選択される。更に別の一実施形態では、bが3〜15であり、1つの末端R1が一価の反応性基を含み、もう一方の末端R1が1〜6の炭素原子を有する一価のアルキル基を含み、残余のR1が1〜3個の炭素原子を有する一価のアルキル基を含む。本実施形態のシリコーン成分の非限定例としては、(モノ−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピル)−プロピルエーテル末端ポリジメチルシロキサン(400〜1000MW))(「OH−mPDMS」)、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン(800〜1000MW)、(「mPDMS」)が挙げられる。
【0234】
別の実施例では、bは5〜400又は10〜300であり、両方の末端R1は一価の反応基を含み、残りのR1は独立して、炭素原子間にエーテル結合を有し、更にハロゲンを含み得る、1〜18個の炭素原子を有する一価のアルキル基から選択される。
【0235】
シリコーンヒドロゲルレンズが望ましい1つの実施例では、本発明のレンズは、ポリマーがそれから作製される反応性モノマー成分の総重量に基づいて、少なくとも約20、好ましくは約20〜70重量%のシリコーン含有成分を含む反応性混合物から作製され得る。
【0236】
他の実施形態では、1〜4個のR1は、下式のビニルカーボネート又はビニルカルバメートを含む。
【0237】
【化2】
式中、Yは、O−、S−、又はNH−を示し、
Rは、水素又はメチルを示し、dは、1、2、3又は4であり、qは、0又は1である。
【0238】
シリコーン含有ビニルカーボネート又はビニルカルバメートモノマーとしては、具体的には、1,3−ビス[4−(ビニルオキシカルボニルオキシ)ブタ−1−イル]テトラメチル−ジシロキサン;3−(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル−[トリス(トリメチルシロキシ)シラン];3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバメート;3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート;トリメチルシリルエチルビニルカーボネート;トリメチルシリルメチルビニルカーボネート、及び以下が挙げられる。
【0239】
【化3】
約200未満の弾性率を有する生物医学的装置が所望される場合、1個のR1のみが一価反応性基を含むものとし、残りのR1基のうちの2個以下は、一価シロキサン基を含み得る。
【0240】
別の種類のシリコーン含有成分としては、次式のポリウレタンマクロマーが挙げられる。
式IV〜VI
G)aE1、
E(A)aE1又は
E(G)aE1、
式中、
Dは6〜30個の炭素原子を有するアルキルジラジカル、アルキルシクロアルキルジラジカル、シクロアルキルジラジカル、アリールジラジカル、又はアルキルアリールジラジカルを示し、
Gは、1〜40個の炭素原子を有するアルキルジラジカル、シクロアルキルジラジカル、アルキルシクロアルキルジラジカル、アリールジラジカル、又はアルキルアリールジラジカルを示し、これは、主鎖中にエーテル、チオ、又はアミン結合を含有し得、
は、ウレタン又はウレイド結合を示し、
aは少なくとも1であり、
Aは、次式の二価の重合ラジカルを示す。
【0241】
【化4】
R11は、独立して、炭素原子間にエーテル結合が含まれていてもよい、1〜10個の炭素原子を有するアルキル又はフッ素置換アルキル基を示し、yは、少なくとも1であり、pは、400〜10,000の部分重量を提供し、E及びE1は各々独立して、下式によって表される重合性不飽和有機基を示す。
【0242】
【化5】
式中、R12は、水素又はメチルであり、R13は水素、炭素原子1〜6個を有するアルキルラジカル、又は−CO−Y−R15ラジカルであり、Yは−O−、Y−S−又は−NH−であり、R14は炭素原子1〜12個を有する二価のラジカルであり、Xは、−CO−又は−OCO−を示し、Zは、−O−又は−NH−を示し、Arは、6〜30個の炭素原子を有する芳香族ラジカルを示し、wは、0〜6であり、xは、0又は1であり、yは、0又は1であり、zは、0又は1である。
【0243】
1つの好ましいシリコーン含有成分は、次式で表されるポリウレタンマクロマーである。
【0244】
【化6】
式中、R16は、イソホロンジイソシアネートのジラジカルなどイソシアネート基除去後のジイソシアネートのジラジカルである。別の好適なシリコーン含有マクロマーは、フルオロエーテル、ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン、イソホロンジイソシアネート、及びイソシアネートエチルメタクリレートの反応によって形成される、式X(式中、x+yは10〜30の範囲の数である)の化合物である。
【0245】
【化7】
【0246】
本発明で使用するのに好適な他のシリコーン含有成分には、ポリシロキサン、ポリアルキレンエーテル、ジイソシアネート、ポリフッ化炭化水素、ポリフッ化エーテル及びポリサッカライド基を含有するマクロマー;末端ジフルオロ置換炭素原子に結合した水素原子を有する、極性フッ素化グラフト又は側基を有するポリシロキサン;エーテル及びシロキサニル結合を含む親水性シロキサニルメタクリレート;並びに、ポリエーテル及びポリシロキサニル基を含む架橋性モノマーが挙げられる。いくつかの実施例において、ポリマー主鎖は、双極性イオンが組み込まれている。これらの双極性イオンは、材料が溶媒中に存在するときに、ポリマー鎖に沿って両極の電荷を呈し得る。双極性イオンの存在は、重合した材料の湿潤性を改善し得る。いくつかの実施例では、上記のポリシロキサンのいずれかが、本発明の封入層として使用されてもよい。
【0247】
生体適合性電池は、例えば、ペースメーカー及びマイクロエネルギーハーベスタなどの埋め込み型電子装置、生物学的機能のモニタリング及び/又は検査を行うための電子ピル、活性成分を備える外科用装置、眼科用装置、マイクロサイズのポンプ、除細動器、ステントなどの生体適合性装置内で使用されてもよい。
【0248】
具体的な実施例は、生体適合性電池で使用するためのカソード混合物のサンプル実施形態を説明するために記載されている。これらの実施例は、上記の例示のためであり、いかなる方式でも特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。したがって、本説明は、当業者には明らかであり得る全ての実施例を含むことを意図する。
【0249】
〔実施の態様〕
(1) 生物医学的装置であって、
電気活性構成要素と、
電池であって、
アノード電流コレクタと、
カソード電流コレクタと、
弓状の経路に沿って延在するアノードと、
前記弓状の経路に沿って延在する概ね平坦なカソードであって、前記アノードが前記カソードの上方に位置付けられている、カソードと、
前記アノードと前記カソードとの間に位置付けられているセパレータであって、前記セパレータが前記弓状の経路に沿って延在する、セパレータと、
前記アノード、前記カソード、及び前記セパレータを概ね包囲して位置付けられて、前記アノードと前記カソードとの間にイオン伝導性を提供する電解質と、
前記アノード、前記カソード、前記カソード電流コレクタ、前記セパレータ、及び前記電解質を概ね包囲する可撓性包装材料であって、前記アノードコレクタが、前記弓状の経路に沿った第1のベクトルに沿って前記可撓性包装材料を通して延在し、前記カソードコレクタが、前記弓状の経路に沿った第2のベクトルに沿って前記可撓性包装材料を通して延在する、可撓性包装材料と、
前記可撓性包装材料を包囲する封入銅層であって、前記アノードコレクタ又は前記カソードコレクタのうち1つが、前記封入銅によって包囲されておらず、前記銅層の少なくとも一部が、無電解めっきを使用して前記可撓性包装材料に堆積されている、封入銅層と、
ヒドロゲル層であって、前記ヒドロゲル層が水を貯蔵し、前記ヒドロゲル層の前記水が、前記電池内部でカソード層及びセパレータ層に拡散し得る、ヒドロゲル層と、を含む、電池と、
少なくとも前記電気活性構成要素及び前記電池を封入する第1生体適合性封入層と、を含む、生物医学的装置。
(2) マイクロ電池の製造方法であって、
カソードコレクタを得ることと、
導電性接着剤を使用してカソードを前記カソードコレクタに取り付けることと、
アノードコレクタを得ることと、
アノードを得ることと、
前記カソードコレクタ、前記カソード、前記アノード、前記アノードコレクタ、及びセパレータを積み重ねることであって、前記セパレータが、前記カソードと前記アノードとの間にある、ことと、
前記積層体を、第1及び第2の可撓性プラスチックシートで包囲することと、
前記第1及び第2の可撓性プラスチックシートを第1の超音波溶接部によって互いに溶接することであって、前記第1の超音波溶接部が、2つの側部の第1の部分に沿って前記積層体を包囲し、前記2つの側部の第2の部分が、前記マイクロ電池用の充填ポートを備える、ことと、
電解質を前記充填ポート内部に充填することと、
前記第1及び第2の可撓性プラスチックシートの前記2つの側部の前記第2の部分を溶接することであって、前記第2の部分を溶接することにより前記充填ポートを封止する、ことと、
前記マイクロ電池の一部に沿って銅の無電解めっき層を堆積させることと、
前記カソード及び前記セパレータのうち1つ又は2つ以上に隣接してヒドロゲル層を堆積させることと、を含む方法。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図12A
図12B
図12C
【外国語明細書】
2018181850000001.pdf