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特開2018-18213既存建物の改修方法及び既存建物の費用算出システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-18213(P2018-18213A)
(43)【公開日】2018年2月1日
(54)【発明の名称】既存建物の改修方法及び既存建物の費用算出システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20180105BHJP
   G06Q 10/00 20120101ALI20180105BHJP
   E04G 23/02 20060101ALI20180105BHJP
【FI】
   G06Q50/08
   G06Q10/00 300
   E04G23/02 H
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-146613(P2016-146613)
(22)【出願日】2016年7月26日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ▲1▼:別紙A 公開日:平成28年1月26日 公開内容:資料・ニュースリリース『「フレーム・ヘーベルハウス」の試行販売開始』 ▲2▼:別紙B 会見日:平成28年2月3日(水) 会見場所:ザ・クレストホテル柏 4階ローズルーム(千葉県柏市末広町14−1) 公開内容:スライド資料「フレームヘーベルハウス」 ▲3▼:別紙C 公開日:平成28年3月3日(木) 公開内容:スライド資料「フレームヘーベルハウス」 ▲4▼:別紙D 公開日:平成28年5月31日(火) 公開内容:スライド資料「フレームヘーベルハウス」 ▲5▼:別紙E 公開日:平成28年6月22日(水) 公開内容:スライド資料「フレームヘーベルハウス」
(71)【出願人】
【識別番号】303046244
【氏名又は名称】旭化成ホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(72)【発明者】
【氏名】高石 恒一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 正友
(72)【発明者】
【氏名】添野 一浩
【テーマコード(参考)】
2E176
5L049
【Fターム(参考)】
2E176BB24
2E176BB36
5L049BB55
5L049CC07
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】既存建物を安心して購入することができる既存建物の改修方法及び既存建物の費用算出システムを提供する。
【解決手段】既存建物の改修方法は、既存の建物の内装を解体して建物の構造躯体を露出させる一次改修工程と、一次改修工程によって構造躯体が露出した建物の内装を施工する二次改修工程と、を有し、一次改修工程の終了後かつ二次改修工程の着手前の期間において、一次改修工程によって露出した構造躯体を点検する点検工程と、点検工程の後に構造躯体の修繕が必要な場合に構造躯体を修繕する修繕工程と、点検工程の後に建物の購入希望者に露出した構造躯体を内覧させる内覧工程と、をさらに有する既存建物の改修方法。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既存の建物の内装を解体して前記建物の構造躯体を露出させる一次改修工程と、
前記一次改修工程によって構造躯体が露出した前記建物の内装を施工する二次改修工程と、
を有し、
前記一次改修工程の終了後かつ前記二次改修工程の着手前の期間において、
前記一次改修工程によって露出した構造躯体を点検する点検工程と、
前記点検工程の後に構造躯体の修繕が必要な場合に構造躯体を修繕する修繕工程と、
前記点検工程の後に前記建物の購入希望者に露出した構造躯体を内覧させる内覧工程と、
をさらに有する既存建物の改修方法。
【請求項2】
既存の建物の内装を解体して前記建物の構造躯体を露出させる一次改修の終了後かつ前記一次改修によって構造躯体が露出した前記建物の内装を施工する二次改修の着手前の期間内に、前記一次改修前の前記建物の購入費用と前記一次改修の費用とを少なくとも含む第一費用を算出する第一費用算出部と、
前記二次改修の費用を少なくとも含む第二費用を算出する第二費用算出部と、
前記第一費用を提示する第一費用提示部と、
前記第二費用を提示する第二費用提示部と、
を備える既存建物の費用算出システム。
【請求項3】
前記第一費用を前記二次改修後の前記建物を購入する購入者が前記一次改修を行う改修者に対して支払う契約である第一契約を締結する第一契約締結部と、
前記第二費用を前記購入者が前記改修者に対して支払う契約である第二契約を締結する第二契約締結部と、
を更に備える請求項2に記載の既存建物の費用算出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、既存建物の改修方法及び既存建物の費用算出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中古住宅等の既存建物の供給者・販売業者は、購入希望者に対して物件説明を行うと共に当該物件の実際の建物の状態(立地環境、内部の間取りや設備等)を見せて購入希望に適うかどうかを確認するのが通常であるが、購入希望者は実際の建物の状態を外見から確認するに留まり、建物の内部構造(柱や梁の構造躯体、仕上げ前の下地構造等)の状態まで確認することはできなかった。
昨今、供給者・販売業者側で予め改修をして新築同様の既存建物を供給する場合があるが、内部構造の改修内容や改修工事費用が不透明であり、購入希望者の不安材料になっていた。
【0003】
ここで、建物の価格の自動見積りシステムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−230080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の既存建物の改修方法では、購入者は内部構造の状態、修繕部位や修繕方法を知ることができず、上述したような自動見積りシステムにおいては、新築建物の費用見積りができるものの、構造躯体を確認して既存建物の費用見積りをすることまではできなかった。
【0006】
本発明は、既存建物を安心して購入することができる既存建物の改修方法及び既存建物の費用算出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
また、本発明の一実施形態は、既存の建物の内装を解体して前記建物の構造躯体を露出させる一次改修工程と、前記一次改修工程によって構造躯体が露出した前記建物の内装を施工する二次改修工程と、を有し、前記一次改修工程の終了後かつ前記二次改修工程の着手前の期間において、前記一次改修工程によって露出した構造躯体を点検する点検工程と、前記点検工程の後に構造躯体の修繕が必要な場合に構造躯体を修繕する修繕工程と、前記点検工程の後に前記建物の購入希望者に露出した構造躯体を内覧させる内覧工程と、をさらに有する既存建物の改修方法である。
ここで、点検工程で使用される点検基準や修繕工程で施工される修繕の設計仕様は既存建物が一次改修後の目標とする既存建物の耐用年数(15年、30年、60年等)を確保するために必要な部品、材料、及び施工方法を選択して実施される。
内覧工程は、一時的に既存建物を展示施設として使用する展示工程を含んでいる。
【0008】
本実施形態の既存建物の改修方法によれば、建物の購入希望者は、構造躯体(劣化に対する修繕の状態を含む)を目視確認後に躯体露出状態の建物の購入契約を行うことができるため、購入希望者は建物の構造躯体に耐久性上の問題がないことを確認してから建物を購入することができる。つまり上述した建物の販売契約の流れによれば、購入希望者は、安心して購入することができる。
また、本実施形態の既存建物の改修方法によれば、建物の購入希望者は、建物の間取りと設備とをオーダーメイドすることができるため、購入希望者は、内装解体前の建物の間取りや設備の状況によらず、好みの間取りや設備を有する建物を購入することができる。
また、本実施形態の既存建物の改修方法によれば、購入希望者が建物を安心して購入してくれるため、既存建物の売買の流動性が向上する。このため、改修企業は、既存建物の品質面において信頼性が向上するため、買い取り販売が促進され、中古住宅等の既存建物の買い取り販売が促進され、不良在庫リスクを低減することができる。
【0009】
本発明の一実施形態は、既存の建物の内装を解体して前記建物の構造躯体を露出させる一次改修の終了後かつ前記一次改修によって構造躯体が露出した前記建物の内装を施工する二次改修の着手前の期間内に、前記一次改修前の前記建物の購入費用と前記一次改修の費用とを少なくとも含む第一費用を算出する第一費用算出部と、前記二次改修の費用を少なくとも含む第二費用を算出する第二費用算出部と、前記第一費用を提示する第一費用提示部と、前記第二費用を提示する第二費用提示部と、を備える既存建物の費用算出システムである。
ここで、前記一次改修の費用には、前記一次改修によって露出した構造躯体を点検する点検工程と、前記点検工程の後に構造躯体の修繕が必要な場合に構造躯体を修繕する修繕工程の費用を少なくとも含ませることができる。点検工程で使用される点検基準や修繕工程で施工される修繕の設計仕様は既存建物が一次改修後の目標とする既存建物の耐用年数(例えば、外壁塗装、目地材、屋根やベランダの防水材であれば15年〜30年、構造躯体であれば60年)を確保するために必要な部品、材料、及び施工方法を選択して実施される。
また、費用算出システムは、点検結果、修繕内容等の情報を建物に関する履歴情報として記録する情報取得部と連携し、第一費用算出部は、点検工程の点検結果の情報、修繕工程の修繕仕様、修繕施工の情報を取得して、これに基づく費用算出を行うことができる。
【0010】
本実施形態の既存建物の費用算出システムによれば、構造躯体を露出させた後に、構造躯体を露出させる改修すなわち一次改修の内容に即した見積もり、及び内装施工すなわち二次改修の内容に即した見積りを提示する。したがって、本実施形態の既存建物の費用算出システムによれば、購入希望者は建物を安心して購入することができる。
また、上述した既存建物の費用算出システムによれば、建物の購入希望者は、建物の間取りと設備とをオーダーメイドすることができる。つまり、購入希望者は、内装解体前の建物の間取りや設備の状況によらず、好みの間取りや設備を有する建物を購入することができる。
また、上述した既存建物の費用算出システムによれば、購入希望者が建物を安心して購入してくれるため、既存建物の売買の流動性が向上する。このため、改修企業は、建物の買い取り販売による不良在庫リスクを低減することができる。
【0011】
また、本発明の一実施形態の既存建物の費用算出システムは、前記第一費用を前記二次改修後の前記建物を購入する購入者が前記一次改修を行う改修者に対して支払う契約である第一契約を締結する第一契約締結部と、前記第二費用を前記購入者が前記改修者に対して支払う契約である第二契約を締結する第二契約締結部と、を更に備える。
本実施形態の既存建物の費用算出システムによれば、建物の購入希望者は、構造躯体を目視確認後に躯体露出状態の建物の購入契約の締結情報を記録することができる。このため、購入希望者は建物の構造躯体の点検結果、これに対する修繕の仕様に関する情報に耐久性上の問題がないことを確認してから建物を購入することができる。上述した建物の販売契約の流れによれば、購入希望者は、安心して購入することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、購入希望者は、中古住宅等のような一旦完成し使用された既存建物であっても、外観からは見えない内部構造の品質を、実物を目視確認したうえで、購入するかどうかの決定を行うことができる。
また本発明によれば、既存建物の取得時の費用、一次改修(内部構造の点検、修繕)に係る費用、及び二次改修に係る費用をそれぞれ別々に算出することができるので、耐久性を確保するうえで本来必要な既存建物の内部構造の一次改修費用が確保され、前記一次改修が不十分なまま販売されてしまうことがない。また本発明によれば、購入希望者の総予算を考慮して予算に応じた二次改修の内装工事、設備工事、その他のインフィル設計仕様を提案することができる。したがって本発明によれば、販売価格に対する信頼性が向上する。
また本発明によれば、既存建物の供給者・販売者にとっては、既存建物の品質面において信頼性が向上するため、中古住宅等の買い取り販売が促進され、不良在庫リスクを低減することができる。
すなわち、本発明によれば、購入希望者が既存建物を安心して購入することができる既存建物の改修方法及び既存建物の費用算出システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態の既存建物の改修方法及び既存建物の費用算出システムを使用して販売契約を締結する対象の既存建物の一例を示す図である。
図2】本実施形態の既存建物の改修方法を含む既存建物の販売契約の流れ、既存建物の費用算出システムによる既存建物の販売契約の流れを示す図である。
図3】本実施形態の既存建物の費用算出システムの機能構成の一例を示す図である。
図4】本実施形態の既存建物の費用算出システムの動作の一例を示す図である。
図5】本実施形態の提示部に提示される進捗状況情報の一例を示す図である。
図6】本実施形態の躯体露出建物費用算出の具体的な手順の一例を示す図である。
図7】本実施形態の内装施工内容を示す画面の一例を示す図である。
図8】本実施形態の躯体露出状態の建物を屋内側から見た一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施形態]
以下、図を参照して本実施形態による既存建物の改修方法及び既存建物の費用算出システムの実施形態について説明する。なお、以下の説明において既存建物の費用算出システムを単に費用算出システム1とも記載する。まず、費用算出システム1の契約対象である建物BLの種類について図1を参照して説明する。
【0015】
[建物BLの種類]
図1は、本実施形態の費用算出システム1の契約対象の建物BLの一例を示す図である。この一例において建物BLは、鉄骨の柱PL、梁LA、筋交いBR、軽量気泡コンクリートパネルを配置した外壁OW、床FL、屋根RO、サッシSH、鉄骨の階段SS、基礎FD等(以上をスケルトンともいう。)、及び内壁、間仕切り壁下地構造、内装仕上げ、設備等(以上をインフィルともいう。)によって構成される。建物BLの構造躯体BFは、少なくとも柱、梁を含み、筋交い、外壁、床、屋根等をさらに含んでいてもよい。建物BLは、内装や設備(インフィル)を解体・撤去した状態であっても自立可能である。内装や設備を解体・撤去する前の状態の建物BLを、“内装解体前の建物BL0”(不図示)ともいう。内装や設備を解体・撤去した後の状態の建物BLを“躯体露出状態の建物BL1”ともいう。躯体露出状態の建物BL1に対して内装施工を再度行った後の状態の建物BLを“内装施工後の建物BL2”ともいう。
【0016】
躯体露出状態の建物BL1を屋内側から見た一例を図8に示す。
図8は、本実施形態の躯体露出状態の建物BL1(図1とは別形状の建物)を屋内側から見た一例を示す図である。図8に示すように、建物BLは内装や設備が除去された状態であっても自立可能であるため、内装や設備が除去された構造躯体BFの状態にした後、改めて内装施工をすることにより内装や設備を更新することができる。
次に図2を参照して建物BLの販売契約の流れについて説明する。なお、以下の説明において内装や設備の解体・撤去を一次改修RF1と、一次改修RF1後の内装施工を二次改修RF2ともいう。これら一次改修RF1及び二次改修RF2を行う事業者を“改修企業”ともいう。本実施形態において、“改修企業”は、建物BLの購入希望者と販売契約をする販売企業でもある。なお、改修企業と販売企業とは別々の事業者であってもよく、建物BLの販売企業は、外部の事業者に改修工事を依頼し、購入希望者と販売契約してもよい。
【0017】
[建物BLの販売契約の流れ:(その1)一次改修RF1]
図2は、本実施形態の費用算出システム1による建物BLの販売契約の流れを示す図である。図2(A)に示すように、改修企業は内装解体前の建物BL0の所有者であるAさんとの間において、内装解体前の建物BL0をAさんから購入する契約、すなわち売買契約CR1を締結する。この売買契約CR1により、内装解体前の建物BL0の所有者は、Aさんから改修企業に変更される。改修企業は、一次改修RF1において、内装解体前の建物BL0の内装や設備を解体・撤去する。この一次改修RF1の結果、内装解体前の建物BL0は躯体露出状態の建物BL1になる。
【0018】
改修企業は、躯体露出状態の建物BL1について構造躯体BFの点検を行う。具体的には、改修企業は、構造躯体BFの柱や梁について損傷や接合部のボルトの緩み等の不具合がないか点検を行う。さらに外壁の塗装の劣化の状況、屋根の防水シートの劣化状況等の点検を行う。
改修企業は、点検の結果修繕が必要であれば、構造躯体BFの修繕を行う。具体的には、改修企業は、構造躯体BFの柱、梁、外壁の塗装、屋根の防水シート等の修繕を必要に応じて行う。この修繕により、構造躯体BFの耐久性能を向上させることができる。また、改修企業は、点検結果、修繕内容等の情報を建物BL1に関する履歴情報IHとして記録しておく。また、改修企業は、修繕による耐久性能の向上に対応させて、販売する建物BLの構造躯体BFに対して所定の保証期間を新たに設定することができる。
なお“一次改修RF1”には、内装の解体・撤去作業に加えて、構造躯体BFに対する修繕作業が含まれていてもよい。
改修企業は、躯体露出状態の建物BL1の販売費用の見積りを行う。この躯体露出状態の建物BL1の販売費用には、内装解体前の建物BL0の取得費用と、一次改修RF1の費用とが含まれる。また、構造躯体BFに修繕が必要である場合には、躯体露出状態の建物BL1の販売費用には構造躯体BFの修繕費用が含まれる。
【0019】
[建物BLの販売契約の流れ:(その2)建物BLの販売契約]
改修企業は、躯体露出状態の建物BL1の販売契約を行う。具体的には、改修企業は、躯体露出状態の建物BL1の内覧会を実施し、建物BLの購入希望者に構造躯体BFを目視確認する機会を提供する。内覧会に訪れた購入希望者は、構造躯体BFを目視確認後に躯体露出状態の建物BL1の購入契約を行うことができるため安心して購入することができる。
購入希望者が躯体露出状態の建物BL1の購入を検討中の段階において、改修企業は購入希望者と内装施工の内容の打ち合わせを行う。改修企業は、内装施工内容の要望を購入希望者から聞き取り、内装設計とこの内装設計に対応する内装施工についての見積りとを行う。改修企業は、内装設計結果と内装施工の見積り結果とを購入希望者に提示する。購入希望者が内装設計結果と内装施工の見積り結果とに同意した場合には、改修企業は購入希望者との間において躯体露出状態の建物BL1の売買契約CR2と、躯体露出状態の建物BL1に対する内装施工の契約(すなわち、二次改修契約CR3)とを締結する。この二次改修契約CR3の締結により、改修企業は内装施工(すなわち、二次改修RF2)を着手する。内装施工の具体的内容としては、間仕切壁下地、天井下地、断熱材等の内装下地工事、内装建具等の内装造作工事、壁仕上げ材や床仕上げ材等の内装仕上げ工事、配管工事、電気工事、設備機器設置工事等が行われる。上述のように躯体露出状態の建物BL1は、内装や設備が解体・撤去されている。このため改修企業は、オーダーメイドにより購入希望者の好みの間取りと最新仕様の設備とを躯体露出状態の建物BL1に対して施工することができる。
ここで、一次改修RF1の完了から二次改修RF2の着手までの期間を、契約可能期間CAPともいう。契約可能期間CAPとは、売買契約CR2及び二次改修契約CR3を締結することが可能である期間をいう。換言すれば、売買契約CR2及び二次改修契約CR3は、契約可能期間CAP内において締結される。
なお、改修企業は、売買契約CR2が締結されるまでの間、躯体露出状態の建物BL1を宣伝や集客の為の展示施設として利用してもよい。この場合、一部の部屋の内装を解体せずに残存させて、購入希望者等との打ち合わせ室として利用してもよい。また、階段の手摺等、内覧時に安全上残存させたほうが好ましい内装は、解体しなくてもよい。
【0020】
[建物BLの販売契約の流れ:(その3)二次改修RF2]
改修企業は、躯体露出状態の建物BL1に対して二次改修RF2(すなわち内装施工)を行う。この二次改修RF2の結果、躯体露出状態の建物BL1は、内装施工後の建物BL2になる。改修企業は、二次改修RF2が完了した後、内装施工後の建物BL2を購入希望者(この一例ではBさん)に引き渡す。この引き渡しによって一連の販売契約の流れが終了する。なお、二次改修RF2が完了する前であっても、売買契約CR2が完了し、支払い完了していれば、躯体露出状態の建物BL1を購入希望者のBさんに引き渡してもよい。
【0021】
[建物BLの販売契約の流れ:まとめ]
従来、既存建物の構造躯体を確認できず、構造躯体の修繕が必要な場合に生じる費用も不明瞭なため、購入者は安心して既存建物を購入することができないことがあった。この場合には建物BLの買い取り販売を行う場合に不良在庫を抱えるリスクが生じることがあった。
【0022】
一方、本実施形態の既存建物の改修方法によれば、既存の建物の内装を解体して建物の構造躯体BFを露出させる(一次改修工程)。また、二次改修RF2において、一次改修工程の終了後かつ一次改修工程によって構造躯体BFが露出した建物の内装を施工する(二次改修工程)。また、一次改修工程の終了後の期間、かつ二次改修工程の着手前の期間(例えば、契約可能期間CAP)内において、一次改修によって露出した構造躯体BFを点検する(点検工程)。また、点検工程の後に構造躯体BFの修繕が必要な場合に構造躯体BFを修繕する(修繕工程)。また、点検工程の後に建物の購入希望者に露出した構造躯体BFを内覧させる(内覧工程)。内覧工程は、一時的に既存建物を展示施設として使用する展示工程を含んでいる。
【0023】
上述した既存建物の改修方法によれば、建物BLの購入希望者は、内覧工程において構造躯体BFを目視確認した後に躯体露出状態の建物BL1の購入契約を行う。このため、購入希望者は建物BLの構造躯体BFに耐久性上の問題がないことを確認してから建物BLを購入することができる。つまり上述した建物BLの販売契約の流れによれば、購入希望者は、安心して購入することができる。
また、上述した既存建物の改修方法によれば、改修企業は購入希望者による内覧に先立って構造躯体BFの点検及び必要な場合の修繕を行う。このため、改修企業は建物BLについて、構造躯体BFの耐久性上の問題の有無を確認し、仮に構造躯体BFの耐久性上の問題が存在すれば当該耐久性上の問題を修繕した上で購入希望者の内覧に供することができる。したがって、改修企業は建物BLについて構造躯体BFの状態に対して妥当な期間の耐久性保証を付することができる。このため、既存建物の改修方法によれば、購入希望者は、建物BLを安心して購入することができる。
また、上述した既存建物の改修方法によれば、建物BLの購入希望者は、建物BLの間取りと設備とをオーダーメイドすることができる。つまり、購入希望者は、内装解体前の建物BL0の間取りや設備の状況によらず、好みの間取りや設備を有する建物BLを購入することができる。
また、上述した既存建物の改修方法によれば、購入希望者が建物BLを安心して購入してくれるため、既存建物BLの売買の流動性が向上する。このため、改修企業は、建物BLの買い取り販売による不良在庫リスクを低減することができる。
【0024】
[建物BLの販売契約の流れ(変形例)]
なお、契約可能期間CAPにおける販売契約の流れは図2(B)に示すように変形することもできる。すなわち、販売契約の流れにおいて、売買契約CR2と二次改修契約CR3とは契約締結時期が互いにずれていてもよい。具体的にはこの変形例において、内覧の後に売買契約CR2が行われ、売買契約CR2の後に内装設計や内装見積りがなされて二次改修契約CR3が行われる。このような手順であっても、購入希望者は建物BLの構造躯体BFに耐久性上の耐久性上の問題がないことを確認してから建物BLを購入することができる。
また、この変形例において躯体露出状態の建物BL1の引き渡しは売買契約CR2の締結の後、二次改修契約CR3の前に行われる。つまり、この変形例において内装設計や二次改修契約CR3は、躯体露出状態の建物BL1の所有者が購入希望者であるBさんに変更された後に締結される。このような手順であっても、購入希望者は、内装解体前の建物BL0の間取りや設備の状況によらず、好みの間取りや設備を有する建物BLを購入することができる。
なお、この変形例において売買契約CR2は、二次改修契約CR3の予約がされていてもよい。具体的には、売買契約CR2の契約内容には、売買契約CR2の契約者である改修企業と購入希望者との間において二次改修RF2の着手前に二次改修契約CR3を締結する旨が含まれていてもよい。このような予約を行うことにより、一つの改修企業が一次改修RF1と二次改修RF2を実施することになり、二次改修RF2の際に、一次改修RF1における修繕内容等の履歴情報を容易に活用することができる。
【0025】
次にこの建物BLの販売契約の流れを実現する費用算出システム1について説明する。まず、図3を参照して費用算出システム1の機能構成について説明する。
【0026】
[費用算出システム1の機能構成]
図3は、本実施形態の費用算出システム1の機能構成の一例を示す図である。
この費用算出システム1は、例えば、パーソナルコンピュータやタブレットなどの機器であり、改修企業と購入希望者との間の契約に関する費用を算出し、契約の締結処理を行う。費用算出システム1は、演算部100と、取得部200と、提示部300と、記憶部400とを備える。
【0027】
記憶部400は、例えば不揮発性の記憶装置を備えている。記憶部400には演算部100に利用される各種の情報が記憶されている。
取得部200は、キーボード、タッチパネルなどの入力装置又は他の装置が送信する情報を受信する受信装置を備えており、これら入力装置又は受信装置によって各種の情報を取得する。
演算部100は、CPU(Central Processing Unit;中央演算処理装置)を備えており、取得部200が取得する情報や記憶部400に記憶されている情報に基づいて演算を行い、演算結果を提示部300に出力する。
提示部300は、ディスプレイ、プリンタ、スピーカーなどの出力装置又は情報を他の装置に送信する送信装置を備えており、これら出力装置又は送信装置によって各種の情報を提示する。
【0028】
具体的には、取得部200は、進捗状況情報取得部210と、建物購入費用取得部220と、一次改修費用取得部230と、第一契約操作取得部240と、内装設計情報取得部250と、第二契約操作取得部260と、履歴情報取得部270とを備えている。
進捗状況情報取得部210は、建物BLの改修作業及び契約の進捗状況を示す進捗状況情報IPを取得する。進捗状況情報IPは、内装解体前の建物BL0の購入、一次改修RF1、内装施工の契約、内装施工(二次改修RF2)、引き渡しのそれぞれの段階における進捗状況を、例えば“未着手”“着手”“完了”の3段階によって示す。また、進捗状況情報IPは、例えば構造躯体BFの修繕が不要である場合には当該作業を“不要”として示す。
【0029】
建物購入費用取得部220は、内装解体前の建物BL0の購入費用の情報を取得する。この一例では、改修企業の担当者は、費用算出システム1のキーボードやタッチパネルによって内装解体前の建物BL0の購入費用を入力する。この場合、建物購入費用取得部220は、キーボードやタッチパネルによって入力される購入費用の情報を取得する。
【0030】
一次改修費用取得部230は、一次改修RF1の費用、すなわち一次改修費用RC1の情報を取得する。この一例では、改修企業の担当者は、費用算出システム1のキーボードやタッチパネルによって一次改修RF1の費用を入力する。この場合、一次改修費用取得部230は、キーボードやタッチパネルによって入力される一次改修RF1の費用の情報を取得する。
【0031】
第一契約操作取得部240は、改修企業の担当者が行う第一契約CT1を締結する操作の情報を取得する。ここで第一契約CT1とは、上述した売買契約CR2である。より詳細には第一契約CT1とは、購入希望者が一次改修RF1を行う改修企業に対して第一費用C1を支払う契約である。また、第一費用C1とは、一次改修RF1前の建物の購入費用と一次改修RF1の費用とを少なくとも含む費用である。つまり、第一契約操作取得部240は、売買契約CR2を締結する操作の情報を取得する。
【0032】
内装設計情報取得部250は、改修企業による内装設計(つまり二次改修RF2)の内容を示す内装設計情報IDを取得する。この内装設計情報IDとは、内装施工費用のうち内装材料費用と内装工事費用とを算出するための情報である。内装設計情報IDには、内装施工に使用する材料の種類、材料の単価、材料の分量、内装工事の工数、工数あたりの作業単価等が含まれている。
【0033】
第二契約操作取得部260は、改修企業の担当者が行う第二契約CT2を締結する操作の情報を取得する。ここで第二契約CT2とは、上述した二次改修契約CR3である。より詳細には第二契約CT2とは、購入者が改修者に対して第二費用C2を支払う契約である。また第二費用C2とは、二次改修RF2の費用を少なくとも含む費用である。つまり、第二契約操作取得部260は、二次改修契約CR3を締結する操作の情報を取得する。
【0034】
履歴情報取得部270は、改修企業による構造躯体BFの点検結果や修繕内容等を示す情報を取得する。
【0035】
演算部100は、状況判定部110と、第一費用算出部120と、第一契約締結部130と、内装施工内容判定部140と、第二費用算出部150と、第二契約締結部160と、記憶制御部170とをその機能部として備える。
【0036】
状況判定部110は、進捗状況情報取得部210が取得する進捗状況情報IPに基づいて契約可能期間CAP内であるか否かを判定する。具体的には、進捗状況情報IPが、一次改修RF1の完了後、二次改修RF2の着手前であることを示す場合には、状況判定部110は契約可能期間CAP内であると判定する。また、進捗状況情報IPが、一次改修RF1の完了前、又は二次改修RF2の着手後であることを示す場合には、状況判定部110は契約可能期間CAP内でないと判定する。
状況判定部110は、判定結果を第一契約締結部130と、第二契約締結部160と、契約可否提示部310とに供給する。
【0037】
なお、状況判定部110は、既に契約が締結されている場合には、当該契約について契約可能期間CAP内でないと判定してもよい。具体的には、進捗状況情報IPが、一次改修RF1の完了後、二次改修RF2の着手前であることを示す場合であっても、既に第一契約CT1(すなわち売買契約CR2)が締結された後である場合には、売買契約CR2の契約可能期間CAP内でないと判定してもよい。また、進捗状況情報IPが、一次改修RF1の完了後、二次改修RF2の着手前であることを示す場合であっても、既に第二契約CT2(すなわち二次改修契約CR3)が締結された後である場合には、二次改修契約CR3の契約可能期間CAP内でないと判定してもよい。
【0038】
第一契約締結部130は、契約可能期間CAP内である場合に、第一契約CT1を締結する。具体的には、第一契約締結部130は、現在が契約可能期間CAP内であるか否かを判定する。第一契約締結部130は、現在が契約可能期間CAP内であると判定した場合には、第一契約操作取得部240が取得する第一契約操作に基づいて、第一契約CT1、すなわち躯体露出状態の建物BL1の売買契約CR2の締結の情報を記録する。第一契約締結部130は、締結した第一契約CT1の内容を第一契約内容提示部330に出力する。
【0039】
換言すれば、第一契約締結部130は、既存の建物の内装を解体して建物の構造躯体BFを露出させる一次改修RF1の終了後の期間かつ一次改修RF1によって構造躯体BFが露出した建物の内装を施工する二次改修RF2の着手前の期間である契約可能期間CAP内に、一次改修RF1前の建物の購入費用と一次改修RF1の費用とを少なくとも含む第一費用C1を二次改修RF2後の建物を購入する購入者が一次改修RF1を行う改修者に対して支払う契約である第一契約CT1を締結する。
【0040】
なお、第一契約締結部130は、契約可能期間CAPのうち、一次改修RF1によって露出した構造躯体BFの点検作業後かつ二次改修RF2の着手前の期間内に第一契約CT1を締結してもよい。
【0041】
また、第一契約締結部130は、契約可能期間CAP内であるか否かを状況判定部110の判定結果に基づいて判定してもよい。具体的には、第一契約締結部130は、状況判定部110が契約可能期間CAP内であると判定した場合に、第一契約CT1の締結を可能にする。
【0042】
第二契約締結部160は、契約可能期間CAP内である場合に、第二契約CT2を締結する。具体的には、第二契約締結部160は、現在が契約可能期間CAP内であるか否かを判定する。第二契約締結部160は、現在が契約可能期間CAP内であると判定した場合には、第二契約操作取得部260が取得する第二契約操作に基づいて、第二契約CT2、すなわち躯体露出状態の建物BL1の二次改修契約CR3の締結の情報を記録する。第二契約締結部160は、締結した第二契約CT2の内容を第二契約内容提示部360に出力する。
【0043】
換言すれば、第二契約締結部160は、契約可能期間CAP内に、二次改修RF2の費用を少なくとも含む第二費用C2を購入者が改修者に対して支払う契約である第二契約CT2を締結する。
【0044】
なお、第二契約締結部160は、契約可能期間CAP内であるか否かを状況判定部110の判定結果に基づいて判定してもよい。具体的には、第二契約締結部160は、状況判定部110が契約可能期間CAP内であると判定した場合に、第二契約CT2の締結を可能にする。
【0045】
第一費用算出部120は、躯体露出状態の建物BL1の費用つまり第一費用C1を算出する。上述したように躯体露出状態の建物BL1の費用とは、一次改修RF1前の建物の購入費用と一次改修RF1の費用とを少なくとも含む費用である。第一費用算出部120は、建物購入費用取得部220から一次改修RF1前の建物の購入費用を取得する。また第一費用算出部120は、一次改修費用取得部230から一次改修RF1の費用を取得する。第一費用算出部120は、建物購入費用取得部220から取得した一次改修RF1前の建物の購入費用と、一次改修費用取得部230から取得した一次改修RF1の費用との合計を躯体露出状態の建物BL1の費用として算出する。第一費用算出部120は、算出した躯体露出状態の建物BL1の費用を第一費用提示部320に供給する。
【0046】
なお、第一費用算出部120は、一次改修費用取得部230から取得した一次改修RF1の費用との合計に、必要な諸経費等を加算した額を躯体露出状態の建物BL1の費用として算出してもよい。
また、第一費用算出部120は、一次改修RF1前の建物の間取りや築年数に関して入力された情報に基づいて、一次改修RF1前の建物の購入費用を算出してもよい。また、第一費用算出部120は、一次改修RF1の改修内容(例えば、内装の解体範囲や構造躯体の修繕内容等)に関して入力された情報に基づいて、一次改修RF1の費用を算出してもよい。また、第一費用算出部120は、算出した一次改修RF1前の建物の購入費用と、算出した一次改修RF1の費用とを加算することにより、躯体露出状態の建物BL1の費用を算出してもよい。
【0047】
内装施工内容判定部140は、内装設計情報取得部250が取得する内装設計情報に基づいて内装の施工内容、つまり二次改修RF2の内容を判定する。内装施工内容判定部140は、判定した二次改修RF2の内容を内装施工内容提示部340に供給する。
第二費用算出部150は、内装施工内容判定部140が判定した二次改修RF2の内容に基づいて、二次改修RF2の費用を算出する。上述したように二次改修RF2の費用には、内装材料費用と内装工事費用とが含まれる。第二費用算出部150は、内装施工内容判定部140が判定した二次改修RF2の内容に基づいて、内装材料費用と内装工事費用とをそれぞれ算出し、算出した内装材料費用と内装工事費用との合計を二次改修RF2の費用として算出する。第二費用算出部150は、算出した二次改修RF2の費用を第二費用提示部350に供給する。
【0048】
記憶制御部170は、記憶部400への情報の書き込みと、記憶部400からの情報の読み出しとを制御する。
具体的には、記憶制御部170は、履歴情報取得部270が取得する情報を履歴情報IHとして記憶部400に記憶させる。記憶制御部170は、履歴情報取得部270が取得した情報を、記憶部400に履歴情報IHとして記憶させる。上述したように、履歴情報取得部270が取得する情報には、改修企業による構造躯体BFの点検結果や修繕内容等を示す情報が含まれる。つまり、記憶制御部170は、構造躯体BFの点検結果や修繕内容等を示す情報を、記憶部400に履歴情報IHとして記憶させる。
また、記憶制御部170は、取得部200の各部が取得した情報を、記憶部400に履歴情報IHとして記憶させてもよい。例えば、進捗状況情報取得部210が進捗状況情報IPを取得した場合には、記憶制御部170は、進捗状況情報取得部210が取得した進捗状況情報IPを記憶部400に履歴情報IHとして記憶させてもよい。
また、記憶制御部170は、記憶部400に記憶されている履歴情報IHを読み出して、読み出した履歴情報IHを提示部300に供給する。
【0049】
提示部300は、契約可否提示部310と、第一費用提示部320と、第一契約内容提示部330と、内装施工内容提示部340と、第二費用提示部350と、第二契約内容提示部360と、履歴情報提示部370とを備える。
契約可否提示部310は、状況判定部110が判定した契約可否を提示する。
第一費用提示部320は、第一費用算出部120が算出した躯体露出状態の建物BL1の費用(第一費用)を提示する。
第一契約内容提示部330は、第一契約締結部130が締結した第一契約CT1の内容を提示する。
内装施工内容提示部340は、内装施工内容判定部140が判定した内装の施工内容を提示する。
第二費用提示部350は、第二費用算出部150が算出した二次改修RF2の費用(第二費用)を提示する。
第二契約内容提示部360は、第二契約締結部160が締結した第二契約CT2の内容を提示する。
履歴情報提示部370は、記憶制御部170が記憶部400から読み出した履歴情報IHの内容を提示する。
上述した演算部100、取得部200及び提示部300の具体的な動作について、図4から図7を参照して説明する。
【0050】
[費用算出システム1の動作]
図4は、本実施形態の費用算出システム1の動作の一例を示す図である。
状況判定部110は、進捗状況情報取得部210から進捗状況情報IPを取得する(ステップS10)。この進捗状況情報IPの一例について図5を参照して説明する。
【0051】
図5は、本実施形態の提示部300に提示される進捗状況情報IPの一例を示す図である。この一例においては、提示部300がタブレットのディスプレイである場合について説明する。提示部300には、進捗状況画面P1が表示される。この進捗状況画面P1は、各作業の進捗状況が“未着手”“着手”“完了”の3段階によって示される。進捗状況画面P1には、建物購入情報画面P10と、一次改修情報画面P20と、内装施工契約情報画面P30と、内装施工(二次改修)情報画面P40と、引き渡し情報画面P50とが含まれる。
【0052】
建物購入情報画面P10には、購入建物決定画面P11と、建物売買契約画面P12とが含まれる。
購入建物決定画面P11には、改修企業が買い取り販売対象、つまり改修対象の建物BLの決定作業状況が示される。例えば、購入建物決定画面P11には、改修企業が改修対象の建物BLを決定した場合には“完了”が示される。
建物売買契約画面P12には、改修対象の建物BLについて、売買契約CR1の作業の進捗状況が示される。例えば、購入建物決定画面P11には、改修企業が改修対象の建物BLの所有者であるAさんとの間において売買契約CR1を締結した場合には“完了”が示される。
【0053】
一次改修情報画面P20には、内装解体画面P21と、躯体点検画面P22と、躯体修繕画面P23と、躯体見積り画面P24とが含まれる。
内装解体画面P21には、改修企業による内装解体前の建物BL0の内装を解体・撤去の作業状況が示される。例えば、内装解体画面P21には、内装解体前の建物BL0の内装の解体・撤去が完了した場合には“完了”が示される。
躯体点検画面P22には、改修企業による躯体露出状態の建物BL1の点検作業状況が示される。例えば、躯体点検画面P22には、躯体露出状態の建物BL1の点検作業が完了した場合には“完了”が示される。
躯体修繕画面P23には、改修企業による躯体露出状態の建物BL1の構造躯体BFの修繕状況が示される。例えば、躯体修繕画面P23には、構造躯体BFの修繕作業が完了した場合には“完了”が示される。なお、上述した躯体露出状態の建物BL1の点検作業の結果、構造躯体BFの修繕が不要と判定されている場合には、躯体修繕画面P23には“不要”が示される。
以下、内装施工契約情報画面P30に含まれる各画面(内覧画面P31、内装設計画面P32、内装見積り画面P33、躯体売買契約画面P34及び内装施工契約画面P35)についても上述の各画面と同様であるため、その説明を省略する。
また、内装施工(二次改修)情報画面P40に含まれる内装施工画面P41、及び引き渡し情報画面P50に含まれる引き渡し画面P51についても上述の各画面と同様であるため、その説明を省略する。
【0054】
図4に戻り、状況判定部110は、ステップS10において取得した進捗状況情報IPに基づいて、作業の進捗状況を判定する(ステップS20)。状況判定部110は、進捗状況情報IPが建物購入段階であることを示す場合、処理をステップS100に進める。ここで、建物購入段階とは、購入建物決定画面P11に示す購入建物決定作業が完了しておらず、かつ建物売買契約画面P12に示す建物売買契約が完了していない段階である。
また、状況判定部110は、進捗状況情報IPが内装施工(二次改修RF2)段階であることを示す場合、処理をステップS400に進める。ここで、内装施工(二次改修RF2)段階とは、内装施工契約画面P35に示す内装施工契約が完了しており、かつ内装施工画面P41に示す内装施工が完了していない段階である。
また、状況判定部110は、進捗状況情報IPが引き渡し段階であることを示す場合、処理をステップS500に進める。ここで、引き渡し段階とは、引き渡し画面P51に示す引き渡しが着手されている段階である。
これらステップS100、ステップS400及びステップS500における各処理の説明は省略する。
【0055】
状況判定部110は、進捗状況情報IPが躯体販売契約段階であることを示す場合、処理をステップS200に進める。ここで、躯体販売契約段階とは、躯体点検画面P22に示す躯体の点検が完了し必要であれば修繕を完了させた後、かつ躯体露出状態の建物BL1の売買契約CR1が完了していない段階である。
第一費用算出部120は、躯体露出状態の建物BL1の費用(すなわち第一費用C1)を算出する(ステップS210)。躯体露出建物費用算出の具体的な手順について図6を参照して説明する。
【0056】
図6は、本実施形態の躯体露出建物費用算出の具体的な手順の一例を示す図である。提示部300には、躯体情報画面P2が表示される。この躯体情報画面P2には、費用入力画面P210が含まれる。費用入力画面P210には、建物購入費用画面P211と、一次改修費用画面P212とが含まれる。一次改修費用画面P212には、内装解体費用画面P213と、躯体修繕費用画面P214とが含まれる。
建物購入費用画面P211とは、内装解体前の建物BL0の購入費用の入力画面である。改修企業の担当者が建物購入費用画面P211に内装解体前の建物BL0の購入費用を入力すると、建物購入費用取得部220は入力された購入費用を取得する。
内装解体費用画面P213とは、内装解体前の建物BL0の内装及び設備の解体・撤去費用の入力画面である。改修企業の担当者が内装解体費用画面P213に内装及び設備の解体・撤去費用を入力すると、一次改修費用取得部230は入力された解体・撤去費用を取得する。
躯体修繕費用画面P214とは、構造躯体BFの修繕が必要である場合の修繕費用の入力画面である。改修企業の担当者が躯体修繕費用画面P214に修繕費用を入力すると、一次改修費用取得部230は入力された修繕費用を取得する。
第一費用算出部120は、建物購入費用取得部220が取得した建物BL0の購入費用、一次改修費用取得部230が取得した解体・撤去費用及び修繕費用を取得する。第一費用算出部120は、取得した建物BL0の購入費用、解体・撤去費用及び修繕費用の合計を一次改修RF1の費用として算出する。第一費用算出部120は、算出した一次改修RF1の費用を第一費用提示部320に供給する。
【0057】
図4に戻り、第一費用提示部320は、図6に示す躯体露出建物費用提示画面P220の建物購入費用画面P211に、第一費用算出部120から供給された躯体露出状態の建物BL1の費用(躯体露出建物費用)を提示する(ステップS220)。
【0058】
第一契約締結部130は、図6に示す第一契約画面P230の第一契約締結画面P231を介して取得される第一契約操作の情報を取得し、契約を締結した情報を記録する(ステップS230)。また、第一契約締結部130は、第一契約内容提示部330に第一契約内容を供給する。この第一契約内容には、一次改修RF1の費用明細や改修内容の明細が含まれる。
第一契約内容提示部330は、第一契約締結部130から供給される第一契約内容を提示する(S240)。
【0059】
状況判定部110は、進捗状況情報IPが内装施工契約段階であることを示す場合、処理をステップS300に進める。ここで、内装施工契約段階とは、図5の内覧画面P31に示す内覧が着手された後、かつ内装施工契約画面P35に示す内装施工契約が完了していない段階である。
内装設計情報取得部250は、内装設計情報IDを取得する(ステップS310)。
内装施工内容判定部140は、内装設計情報取得部250から供給される内装設計情報IDに基づいて、内装施工内容を判定する(ステップS320)。内装施工内容判定部140は、内装施工内容を内装施工内容提示部340に供給する。内装施工内容提示部340は、内装施工内容を示す画面を表示する。この内装施工内容を示す画面の一例について図7を参照して説明する。
【0060】
図7は、本実施形態の内装施工内容を示す画面の一例を示す図である。提示部300には、内装施工情報画面P3が表示される。この内装施工情報画面P3には、内装施工内容画面P310が含まれる。
内装施工内容画面P310には、内装施工内容判定部140が判定した内装施工内容が表示される。
【0061】
図3に戻り、第二費用算出部150は、内装施工内容判定部140の判定結果に基づいて、二次改修費用RC2、すなわち内装施工費用を算出する。この第二費用算出部150による内装施工費用の算出結果は、第二費用提示部350によって、図7に示す内装施工費用画面P320の内装材料費用画面P321及び内装工事費用画面P322に表示される。
【0062】
第二契約締結部160は、図7に示す第二契約画面P330の第二契約締結画面P331を介して取得される第二契約操作の情報を取得し、契約を締結した情報を記録する(ステップS340)。また、第二契約締結部160は、第二契約内容提示部360に第二契約内容を供給する。この第二契約内容には、二次改修RF2の費用明細や改修内容の明細、すなわち内装施工内容が含まれる。
第二契約内容提示部360、第二契約締結部160から供給される第二契約内容を提示する(ステップS350)。
【0063】
演算部100は、契約処理の終了判定を行う(ステップS30)。具体的には、演算部100は、処理を継続すると判定した場合(ステップS30;NO)には処理をステップS10に戻し、処理を終了すると判定した場合(ステップS30;YES)には一連の契約処理を終了する。
【0064】
[費用算出システム1のまとめ]
本実施形態の費用算出システム1によれば、建物BLの購入希望者は、構造躯体BFを目視確認後に躯体露出状態の建物BL1の購入契約を行う。このため、購入希望者は建物BLの構造躯体BFに耐久性上の問題がないことを確認してから建物BLを購入することができる。つまり上述した建物BLの販売契約の流れによれば、購入希望者は、安心して購入することができる。
また、上述した費用算出システム1によれば、建物BLの購入希望者は、建物BLの間取りと設備とをオーダーメイドすることができる。つまり、購入希望者は、内装解体前の建物BL0の間取りや設備の状況によらず、好みの間取りや設備を有する建物BLを購入することができる。
また、上述した費用算出システム1によれば、内装解体前の建物BL0の間取りや設備の状況によらずに購入希望者が建物BLを購入してくれるため、既存建物BLの売買の流動性が向上する。このため、改修企業は、建物BLの買い取り販売による不良在庫リスクを低減することができる。
また、上述した費用算出システム1によれば、構造躯体BFの状態によっては修繕が必要な場合に、第一契約CT1の前に修繕費用を見込んだ費用を算出することができる。このため、既存建物の費用算出システムによれば、構造躯体BFの点検作業前に第一契約CT1を締結する場合に比べて、第一契約CT1における費用見積り精度を向上させることができる。
また、上述した費用算出システム1によれば、契約可能期間CAPを判定した結果に基づいて契約締結を行うことができる。
このため、費用算出システム1によれば、本来は契約を想定していない期間において誤って契約してしまうことを抑止することができる。
また、複数の物件があるような場合にその状態、すなわち、スケルトンの一次改修契約が必要な物件かどうか、インフィルの二次改修契約が必要な物件かどうか、各物件について判定し、その物件を状態ごとに集約することができる。
【0065】
以上、本発明の実施形態及びその変形を説明したが、これらの実施形態及びその変形は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態及びその変形は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0066】
なお、上述の各装置は内部にコンピュータを有している。そして、上述した各装置の各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0067】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0068】
1…費用算出システム、100…演算部、110…状況判定部、120…第一費用算出部、130…第一契約締結部、140…内装施工内容判定部、150…第二費用算出部、160…第二契約締結部、170…記憶制御部、200…取得部、210…進捗状況情報取得部、220…建物購入費用取得部、230…一次改修費用取得部、240…第一契約操作取得部、250…内装設計情報取得部、260…第二契約操作取得部、270…履歴情報取得部、300…提示部、310…契約可否提示部、320…第一費用提示部、330…第一契約内容提示部、340…内装施工内容提示部、350…第二費用提示部、360…第二契約内容提示部、370…履歴情報提示部、400…記憶部、
BL…建物、BL0…内装解体前の建物、BL1…躯体露出状態の建物、BL2…内装施工後の建物、BF…構造躯体、RF1…一次改修、RF2…二次改修、CAP…契約可能期間、C1…第一費用、C2…第二費用、PC…建物購入費用、RC1…一次改修費用、RC2…二次改修費用、CT1…第一契約、CT2…第二契約、CR1…売買契約、CR2…売買契約、CR3…二次改修契約、
IP…進捗状況情報、ID…内装設計情報、
P1…進捗状況画面、P10…建物購入情報画面、P11…購入建物決定画面、P12…建物売買契約画面、P20…一次改修情報画面、P21…内装解体画面、P22…躯体点検画面、P23…躯体修繕画面、P24…躯体見積り画面、P30…内装施工契約情報画面、P31…内覧画面、P32…内装設計画面、P33…内装見積り画面、P34…躯体売買契約画面、P35…内装施工契約画面、P40…内装施工(二次改修)情報画面、P41…内装施工画面、P50…引き渡し情報画面、P51…引き渡し画面、P2…躯体情報画面、P210…費用入力画面、P211…建物購入費用画面、P212…一次改修費用画面、P213…内装解体費用画面、P214…躯体修繕費用画面、P220…躯体露出建物費用提示画面、P221…躯体露出建物費用画面、P230…第一契約画面、P231…第一契約締結画面、P3…内装施工情報画面、P310…内装施工内容画面、P320…内装施工費用画面、P321…内装材料費用画面、P322…内装工事費用画面、P330…第二契約画面、P331…第二契約締結画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8