(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-182401(P2018-182401A)
(43)【公開日】2018年11月15日
(54)【発明の名称】スピーカ機能付きポール
(51)【国際特許分類】
H04R 1/02 20060101AFI20181019BHJP
E04H 12/00 20060101ALI20181019BHJP
H04R 7/04 20060101ALI20181019BHJP
【FI】
H04R1/02 103Z
E04H12/00 C
H04R7/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-74864(P2017-74864)
(22)【出願日】2017年4月5日
(71)【出願人】
【識別番号】517119534
【氏名又は名称】合同会社環境技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】506302077
【氏名又は名称】小林 彌
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(72)【発明者】
【氏名】小林 彌
(72)【発明者】
【氏名】山口 弘志
【テーマコード(参考)】
5D016
【Fターム(参考)】
5D016AA01
(57)【要約】
【課題】スピーカ装置が邪魔にならず、防水性、耐候性及び耐久性に優れ、小音量でも聞き取り易い高音質な音声を発生させることができるスピーカ機能付きポールを提供する。
【解決手段】中空のポール本体11の内周面11aに振動を発生するアクチュエータ15が固定されている。これにより、アクチュエータ15の振動がポール本体11に伝播し、ポール本体11を介して周囲の空気を振動させて、聞き取り易い高音質な音声を発生させることができる。また、振動を発生するアクチュエータ15は、ポール本体11の内部に設けられているので、聴者に近い位置に設置されても邪魔にならない。これにより、音量を下げて騒音等の問題を回避することができる。また、アクチュエータ15がポール本体11の内部に設けられていることにより、アクチュエータ15やそれに付属する電子部品等について防水性が確保され、優れた耐候性及び耐久性が得られる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空のポールの内周面に振動を発生するアクチュエータが固定されていることを特徴とするスピーカ機能付きポール。
【請求項2】
前記アクチュエータは、振動板と前記振動板を加振する振動発生部とを有し、前記振動板が前記内周面に固定されていることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ機能付きポール。
【請求項3】
前記振動発生部は、前記振動板の一方の主面側に固定されて前記振動板の板厚方向に振動し、
前記振動板は、前記一方の主面の反対側となる他方の主面が前記内周面または前記内周面に設けられた取付部に直接またはクッション材を介して当接するよう固定されていることを特徴とする請求項2に記載のスピーカ機能付きポール。
【請求項4】
前記アクチュエータは、複数設けられ、それぞれの前記アクチュエータから異なる振動が発せられることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載のスピーカ機能付きポール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、街路灯や看板等に用いられるポールに関し、特に、電気信号を音声に変換して周囲に発することが可能なスピーカ機能を有するポールに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、地面等に立設されたポールの上に、音声を発するスピーカが設置されることがある。例えば、特許文献1には、防災行政無線を受信して拡声放送する屋外自立型放送拡声装置において、地上に立てられたポールに音声信号を拡声放送するスピーカが取り付けられることが示されている。スピーカの形式としては、コーン状振動板が直接空気に接しているコーン形や、振動板がホーンを通じて空気に接するホーン形等が知られている。このようにポールに設置されるスピーカは、商店街やレジャー施設、学校、駅等におけるアナウンスや音楽放送等に広く利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−46612号公報(第4頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のようにポール等に取り付けられる従来技術のスピーカは、音質が悪く、ノイズが多くて、聞き取り難いという問題点があった。特に、屋外に設置されるスピーカでは、水に弱いコーン等の振動体が防止ケース等によって覆われていることも多く、その場合、音質は更に低下し、音声が聞き取り難くなる。
【0005】
そして、従来、聞き取り難さを補うためにスピーカの音量が高められる例が見受けられた。その場合、例えば、近隣の店舗や住宅等の内部にまで不快な騒音が伝播するという問題も起こり得る。特に、ポールの上にスピーカが設置される場合、地上付近では音声を聞き取り難く、スピーカと略同じ高さにある近隣の住宅等の2階部分において大きな騒音を感じる場合もある。
【0006】
また、従来技術のスピーカでは、地上付近における音質を向上させるためにスピーカの設置高さを下げることも考えられるが、その場合、スピーカが邪魔になり、通行人等がスピーカに接触する恐れもある。また、屋外に設置されるスピーカでは、スピーカやそれに付属する電子部品等について、風雨や日射に耐え得る十分な防水性、耐候性、耐久性が確保された設置が求められる。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、スピーカ装置が邪魔にならず、防水性、耐候性及び耐久性に優れ、小音量でも聞き取り易い高音質な音声を発生させることができるスピーカ機能付きポールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のスピーカ機能付きポールは、中空のポールの内周面に振動を発生するアクチュエータが固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のスピーカ機能付きポールによれば、中空のポールの内周面に振動を発生するアクチュエータが固定されている。これにより、アクチュエータの振動がポールに伝播し、ポールを介して周囲の空気を振動させて、聞き取り易い高音質な音声を発生させることができる。特に、ポールの外周面近傍から自然波に近い平面波状の空気振動が発生するので、干渉によるノイズが少なく小音量でも遠くまで到達する明瞭な音波が得られる。
【0010】
また、振動を発生するアクチュエータは、ポールの内部に設けられているので、聴者に近い位置に設置されても邪魔にならない。これにより、音量を下げて騒音等の問題を回避することができる。また、アクチュエータがポールの内部に設けられていることにより、アクチュエータやそれに付属する電子部品等について防水性が確保され、優れた耐候性及び耐久性が得られる。
【0011】
また、アクチュエータは、振動板とその振動板を加振する振動発生部とを有し、振動板がポールの内周面に固定されていても良い。これにより、振動発生部の振動が振動板を介してポールの内周面に効率良く伝播され、ポールからの高音質な音声が得られる。
【0012】
また、振動発生部は、振動板の一方の主面側に固定されて振動板の板厚方向に振動し、振動板は、一方の主面の反対側となる他方の主面が内周面または内周面に設けられた取付部に直接またはクッション材を介して当接するよう固定されていても良い。これにより、アクチュエータによる振動が効率良くポールに伝播される。
【0013】
また、アクチュエータは、複数設けられ、それぞれのアクチュエータから異なる振動が発せられても良い。これにより、立体的で臨場感のある音響効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係るスピーカ機能付きポールを用いた街路灯装置の正面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るスピーカ機能付きポールのアクチュエータ付近を示す部分断面斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るスピーカ機能付きポールに用いられるアクチュエータの(A)正面図、(B)側面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るスピーカ機能付きポールのアクチュエータ付近を示す横断面図である。
【
図5】本発明の他の実施形態に係るスピーカ機能付きポールのアクチュエータ付近を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係るスピーカ機能付きポールを図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るスピーカ機能付きポールであるポール10を用いた街路灯装置1の正面図である。
【0016】
図1に示すように、街路灯装置1は、地面Gに立設されたポール10と、ポール10の上部に取り付けられた照明装置21と、撮像装置22と、を有する。街路灯装置1は、例えば、商店街やレジャー施設、公園、歩道、学校、駅、駐車場等に設置されるものであり、各種アナウンスや音楽放送等に利用される他、防犯その他の目的で周囲の状況を撮影するために利用される。
【0017】
ポール10のポール本体11は、例えば、鋼管等の金属管から構成される中空の柱である。ポール本体11の内部には、ポール10にスピーカ機能を発揮させるためのアクチュエータ15が設けられている。アクチュエータ15は、例えば、聴者である歩行者Pの頭部付近の高さに配設されている。これにより、歩行者Pに対して聞き取り易く音声を発することができ、従来技術のスピーカよりも音量を下げて近隣への不快な騒音を抑制することができる。
【0018】
照明装置21は、例えば、LED照明装置等である。撮像装置22は、街路灯装置1の周囲を撮影するものであり、例えば、撮影した画像を送信可能な通信機能を備え、且つ、通信機能によって遠隔操作が可能であっても良い。
【0019】
街路灯装置1は、音声を発生させるための図示しない制御装置、照明装置21や撮像装置22を制御するための図示しない制御装置やセンサ類、電源装置等を備えている。それらの装置は、ポール本体11の内部に収納されていても良い。また、街路灯装置1は、太陽光発電装置や風力発電装置等、その他の図示しない装置を備えていても良く、それらの装置がポール10に取り付けられていても良い。
【0020】
なお、街路灯装置1は、本発明の実施形態に係るポール10を利用する装置の一例を示すものであり、ポール10の用途は街路灯等に限定されるものではない。ポール10は、街路灯等の他に、例えば、標識用のポール、各種看板用のポール、信号機用の支柱、電力線や電気通信線用の支柱、各種構造体の支柱、その他の用途に利用されても良い。また、ポール10は、屋外利用に限定されるものではなく、屋内に設置、利用されても良い。
【0021】
図2は、ポール10のアクチュエータ15付近を示す部分断面斜視図である。
図2に示すように、ポール10のポール本体11は、略角管状に形成されており、その内部には、振動を発生するアクチュエータ15が取り付けられている。アクチュエータ15は、ポール本体11の内部に設けられているので、聴者である歩行者P(
図1参照)に近い位置に設置されても邪魔にならない。これにより、前述のとおり、音量を下げて騒音等の問題を回避することができる。
【0022】
また、アクチュエータ15やそれに付属する図示しない電子部品等がポール本体11の内部に設けられていることにより、アクチュエータ15等について防水性が確保され、優れた耐候性及び耐久性が得られる。
【0023】
また、アクチュエータ15は、ポール本体11の内部の複数箇所に設けられても良い。例えば、本実施形態では、アクチュエータ15が2つ設けられ、ポール本体11の内周面11aの対向する位置にそれぞれ固定されている。このようにアクチュエータ15が複数設けられる場合、それぞれのアクチュエータ15から異なる振動が発せられても良い。これにより、立体的で臨場感のある音響効果が得られる。
【0024】
図3(A)は、ポール10に用いられるアクチュエータ15の正面図であり、
図3(B)は、アクチュエータ15の側面図である。
図3(A)及び(B)に示すように、アクチュエータ15は、振動を発生する振動発生部16と、振動発生部16によって加振される振動板17と、を有する。
【0025】
振動発生部16は、電気信号を受けて音波を発生させるための振動を起こすものである。振動発生部16は、振動板17の一方の主面に固定されて振動板17の板厚方向に振動する。振動発生部16の駆動方式としては、例えば、動電型、静電型、圧電型、リボン型、イオン型等の各種方式を採用し得る。
【0026】
振動板17は、略矩形板状の部材であり、前述のとおり、振動板17の一方の主面には、振動発生部16が振動伝達可能に固定されている。振動板17は、振動発生部16をポール10(
図2参照)に取り付けるための支持部材としての機能と、振動発生部16の振動をポール10に伝達する機能と、を有する。
【0027】
振動板17の、振動発生部16が取り付けられている一方の主面に対して反対側となる他方の主面は、アクチュエータ15をポール10に取り付けるための取付面17aとなる。取付面17aは、略平面状に形成されている。また、振動板17には、アクチュエータ15をポール10に固定するための取付孔18が形成されている。取付孔18には、ねじ等の図示しない締結部材が挿通される。
【0028】
なお、アクチュエータ15には、ガラスコーティング等が施され、振動発生部16等は、ガラスコーティング等によって覆われていても良い。これにより、アクチュエータ15の耐水性、耐久性が更に高められる。
【0029】
図4は、ポール10のアクチュエータ15付近を示す横断面図である。
図4に示すように、アクチュエータ15は、振動板17の取付面17aが、ポール本体11の内周面11aに直接または図示しないクッション材等を介して当接するように固定されている。
【0030】
振動板17とポール本体11は、図示しないねじ等の締結部材によって固定されていても良いし、接着剤等によって固定されていても良い。アクチュエータ15の振動板17が、ポール本体11の内周面11a固定されていることにより、振動発生部16の振動が振動板17を介してポール本体11の内周面11aに効率良く伝播され、ポール本体11から高音質な音声が得られる。
【0031】
即ち、ポール本体11が音声を発生させるために空気を振動させる振動体として機能し、アクチュエータ15の振動がポール本体11を介して周囲の空気を振動させて、聞き取り易い高音質な音声を発生させることができる。特に、本実施形態では、ポール本体11の外周面近傍から自然波に近い平面波状の空気振動が発生するので、干渉によるノイズが少なく小音量でも遠くまで到達する明瞭な音波が得られる。
【0032】
図5は、本発明の他の実施形態に係るスピーカ機能付きポールであるポール110のアクチュエータ15付近を示す横断面図である。なお、既に説明した実施形態と同一若しくは同様の作用、効果を奏する構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0033】
図5に示すように、ポール本体111は、横断面略円形状、即ち略円管状に形成されている。ポール本体111が略円管状に形成された場合、アクチュエータ15は、ポール本体111の内部に形成された取付部12に固定されても良い。取付部12は、略平板状の形態をなし、例えば、溶接等によってポール本体111の内周面111aに固定されている。これにより、アクチュエータ15の振動を効率的にポール本体111に伝達することができ、ポール本体111から高音質で明瞭な音声を発生させることができる。なお、ポール本体111の形状としては、略円柱状等の他にも種々の形態を採用し得る。
【0034】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 街路灯装置
10、110 ポール
11、111 ポール本体
11a、111a 内周面
12 取付部
15 アクチュエータ
16 振動発生部
17 振動板
17a 取付面
21 照明装置
22 撮像装置