【解決手段】複数のパッチアンテナが給電路で接続された複数のフレキシブル基板のうちの1のフレキシブル基板である第1フレキシブル基板と、前記第1フレキシブル基板とは異なる前記フレキシブル基板であり、前記第1フレキシブル基板に並べて配置される第2フレキシブル基板と、前記第1フレキシブル基板に設けられ前記給電路に接続された第1プローブと前記第2フレキシブル基板に設けられ前記給電路に接続された第2プローブとを内周側に含むようにして、前記第1フレキシブル基板と前記第2フレキシブル基板とに取り付けられた導波管とを有する。
前記第1フレキシブル基板と前記第2フレキシブル基板は、互いに線対称の関係となるように配置されており、前記第1プローブと前記第2プローブの形状は、前記線対称の軸を基準として線対称の関係である
請求項3記載のトリプレート型平面アンテナ。
前記複数のフレキシブル基板のうち、前記第1フレキシブル基板及び前記第2フレキシブル基板とは異なる第3フレキシブル基板と前記第3フレキシブル基板とは異なる第4フレキシブル基板とを有し、
前記第1フレキシブル基板、前記第2フレキシブル基板、第3フレキシブル基板、及び前記第4フレキシブル基板は、縦方向に2つ、横方向に2つとなるように並べられており、
前記導波管は、前記第1プローブ、前記第2プローブ、前記第3フレキシブル基板に設けられ前記給電路に接続された第3プローブ、および前記第4フレキシブル基板に設けられ前記給電路に接続された第4プローブ、を内周側に含むように前記第1フレキシブル基板、前記第2フレキシブル基板、第3フレキシブル基板及び前記第4フレキシブル基板に取り付けられる
請求項1記載のトリプレート型平面アンテナ。
【背景技術】
【0002】
10GHz帯以上のマイクロ波帯やミリ波帯において無線伝送が行われる衛星通信、地上通信およびFWA(Fixed Wireless Access System)では、多数のパッチアンテナのアレイからなる平面アンテナが多く採用されている。これらのパッチアンテナに対する給電路は、構造が単純であって低コストで精度よく並列給電の実現が可能であり、しかも、利得および効率が高く確保可能なトリプレート線路として形成される。このような平面アンテナの一例としては、フレキシブル基板を発泡材とアルミ板で挟んだ構造のトリプレート(給電)線路を用いたトリプレート型平面アンテナがあり、偏波専用アンテナと偏波共用アンテナとがある。
【0003】
図5は、偏波専用アンテナとして構成された従来におけるトリプレート型平面アンテナの一例を示す図である。このようなトリプレート型平面アンテナは、グランド板41、発泡シート(誘電体)42−1、フレキシブル基板43、発泡シート42−2およびスロット板44から構成される。フレキシブル基板43には、格子状に配置された矩形のパッチアンテナ43A
1,1〜43A
m,nのアレイに併せて、これらのパッチアンテナに対するトーナメント給電を実現する給電路43Fが回路パターンとして形成される。
スロット板44は、上記パッチアンテナ43A
1,1〜43A
m,nに個別に対応する部位において格子状のスロット開口44S
1,1〜44S
m,nが形成され、これらの部位以外の全面にはプレーンアースパターンが形成される。
【0004】
図6は、
図5に示すトリプレート型平面アンテナのフレキシブル基板43を平面視した場合の図である。このような1枚のフレキシブル基板43上において、上記パッチアンテナ43A
1,1〜43
Am,nで囲まれた所定の部位に、トリプレート線路−導波管変換器(1ポートトリプレート線路−導波管変換器、以下、単に「変換器」という。)43Cが配置される。さらに、フレキシブル基板43上には、上記変換器43Cを構成する導波管43C
WCの側壁から管内に挿入されたプローブ43CPに一端が連なり、かつ既述のトーナメント給電を実現する給電路43Fの母線43FMに他端が連なる幹線路43Bが形成される。プローブ43CPは、図示されない送信機によって出力され、かつ導波管43C
WCの管内を伝搬する基本モードの電磁界として引き渡された送信波を「トリプレート線路の電磁界」に変換する。
【0005】
このようにしてトリプレート型平面アンテナにおいて最終的に合成された給電路の端部(プローブ)と送信機側の信号処理回路とが接続される。
【0006】
図7は、偏波共用アンテナとして構成された従来におけるトリプレート型平面アンテナの一例を示す図である。このようなトリプレート型平面アンテナは、下面側から上面側に向かう順に、グランド板51、発泡シート52、フレキシブル基板53、発泡シート62、スロット板63、発泡シート72、フレキシブル基板73、発泡シート82、スロット板83が重ね合わされて構成される。
フレキシブル基板53には、給電路53Fに接続される複数のパッチアンテナ53A
1,1〜53A
m,nが設けられる。フレキシブル基板53には、格子状に配置された矩形のパッチアンテナ53A
1,1〜53A
m,nのアレイに併せて、これらのパッチアンテナに対するトーナメント給電を実現する給電路53Fが回路パターンとして形成される。
スロット板63は、上記パッチアンテナ53A
1,1〜53A
m,nに個別に対応する部位において、2つの矩形が1組として構成されたスロット開口63S
1,1〜63S
m,nが形成され、これらの部位以外の全面にはプレーンアースパターンが形成される。
【0007】
フレキシブル基板73には、格子状に配置された矩形のパッチアンテナ73A
1,1〜73A
m,nのアレイに併せて、これらのパッチアンテナに対するトーナメント給電を実現する給電路73Fが回路パターンとして形成される。
スロット板83は、上記パッチアンテナ73A
1,1〜73A
m,nに個別に対応する部位において格子状のスロット開口83S
1,1〜83S
m,nが形成され、これらの部位以外の全面にはプレーンアースパターンが形成される。
【0008】
このようなトリプレート型平面アンテナとしては、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3に記載されたものがある。
また、このような構造のトリプレート型平面アンテナにおけるトリプレート線路は、通常のリジッド基板を用いたマイクロストリップ線路に比べ大幅に線路損失が小さいため、アンテナ面積を大きくしてもアンテナ効率低下が少ないというメリットを持つ。そのため、アンテナ面積を大きくすることにより高利得の平面アンテナが実現できる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、平面アンテナのアンテナ面積を大きくする場合、ボトルネックとなるのは、フレキシブル基板材料の幅である。フレキシブル基板材料は、通常ロール形状で生産されており、そのロールの幅は概ね500mmが最大である。そのため、500mmを大幅に超える幅のフレキシブル基板材料の生産をしようとすると、生産設備を含め大幅な設計変更が必要であるため困難である。
【0011】
また、平面アンテナの給電回路は、例えば
図6に示すように、フレキシブル基板の銅箔がアンテナ給電点である変換器43Cから放射状に伸びており、その銅箔部分の途中で切断することができない。そのため、複数枚のフレキシブル基板を並べて直接接合する加工を行なうことが困難であるため、複数枚を合成して面積を拡大することは難しい。
【0012】
そこで、複数枚のフレキシブル基板を並べて合成する従来方法として、例えば、
図8に示すように、2つのフレキシブル基板を並べ、それぞれを合成したトリプレート型平面アンテナがある。
このようなトリプレート型平面アンテナは、2枚のフレキシブル基板(フレキシブル基板93−1、フレキシブル基板93−2)が並べられて配置される。フレキシブル基板93−1の面上において、複数のパッチアンテナが並べられた領域の外側であって、フレキシブル基板93−2に隣接する辺に対向する辺の近傍には、フレキシブル基板のアンテナ給電点である変換器(トリプレート線路−導波管変換器)93C
aが設けられる。一方、フレキシブル基板93−2の面上において、複数のパッチアンテナが並べられた領域の外側であって、フレキシブル基板93−1に隣接する辺に対向する辺の近傍には、フレキシブル基板のアンテナ給電点である変換器(トリプレート線路−導波管変換器)93C
bが設けられる。そして、これらの変換器93C
a、変換器93C
bは、導波管分配器93−5によって接続される。
【0013】
しかしながら、導波管分配器は、導波管の複数の経路に応じた形状となるように設計し、その設計に合せてアルミ材を形成して、導波管どうしをロウ付けする必要があるため、高コストであり、また、導波管分配器を設けることからアンテナ全体の重量が増加してしまい、また、厚みも増大してしまう問題がある。
そのためトリプレート型平面アンテナにおいて、複数の給電点間を導波管接続することなしに、従来より大きな面積の平面アンテナを実現すること、つまり従来より高利得の平面アンテナを実現することが課題である。
【0014】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、複数の給電点間を導波管接続することなく、高利得のトリプレート型平面アンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した課題を解決するために、本発明は、複数のパッチアンテナが給電路で接続された複数のフレキシブル基板のうちの1のフレキシブル基板である第1フレキシブル基板と、前記第1フレキシブル基板とは異なる前記フレキシブル基板であり、前記第1フレキシブル基板に並べて配置される第2フレキシブル基板と、前記第1フレキシブル基板に設けられ前記給電路に接続された第1プローブと前記第2フレキシブル基板に設けられ前記給電路に接続された第2プローブとを内周側に含むようにして、前記第1フレキシブル基板と前記第2フレキシブル基板とに取り付けられた導波管とを有する。
【0016】
また、本発明は、上述のトリプレート型平面アンテナにおいて、前記第1フレキシブル基板と前記第2フレキシブル基板は、所定の間隔を開けて配置されている。
【0017】
また、本発明は、上述のトリプレート型平面アンテナにおいて、前記第1プローブと前記第2プローブは、互いに対向する位置となるように前記フレキシブル基板の端部近傍に配置される。
【0018】
また、本発明は、上述のトリプレート型平面アンテナにおいて、前記第1フレキシブル基板と前記第2フレキシブル基板は、互いに線対称の関係となるように配置されており、前記第1プローブと前記第2プローブの形状は、前記線対称の軸を基準として線対称の関係である。
【0019】
また、本発明は、上述のトリプレート型平面アンテナにおいて、前記複数のフレキシブル基板のうち、前記第1フレキシブル基板及び前記第2フレキシブル基板とは異なる第3フレキシブル基板と前記第3フレキシブル基板とは異なる第4フレキシブル基板とを有し、前記第1フレキシブル基板、前記第2フレキシブル基板、第3フレキシブル基板、及び前記第4フレキシブル基板は、縦方向に2つ、横方向に2つとなるように並べられており、前記導波管は、前記第1プローブ、前記第2プローブ、前記第3フレキシブル基板に設けられ前記給電路に接続された第3プローブ、および前記第4フレキシブル基板に設けられ前記給電路に接続された第4プローブ、を内周側に含むように前記第1フレキシブル基板、前記第2フレキシブル基板、第3フレキシブル基板及び前記第4フレキシブル基板に取り付けられる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、この発明によれば、複数のフレキシブル基板のそれぞれのプローブが並べられ、同じ導波管の内周側に収容されるので、導波管の分配管を用いることなく、複数のフレキシブル基板を並べて配置し合成することができる。これにより、コストアップや、重量アップを抑えて、平面アンテナの幅を拡大することができ、また、平面アンテ全体としての面積を従来に比べて拡大することができ、アンテナとしての利得を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の第1実施形態によるトリプレート型平面アンテナについて図面を参照して説明する。第1実施形態におけるトリプレート型平面アンテナは、上りリンクと下りリンクとで共通の偏波で無線伝送とを形成する偏波専用タイプであるトリプレート型平面アンテナを一例として説明する。
図1は、この発明の一実施形態によるトリプレート型平面アンテナのフレキシブル基板の構成を示す概略構成図である。トリプレート型平面アンテナには、フレキシブル基板4a(例えば第1フレキシブル基板)とフレキシブル基板4b(例えば第2フレキシブル基板)とを含んで構成され、フレキシブル基板4aとフレキシブル基板4bは、並べられて配置される。このフレキシブル基板4aとフレキシブル基板4bの形状は、それぞれ、長尺状の矩形状である。フレキシブル基板4aとフレキシブル基板4bは、それぞれ長手方向において略平行となるように並べられており、対向する辺どうしは、間隔が距離Lであるギャップ13を有するように配置される。またフレキシブル基板4aとフレキシブル基板4bは、線対称の関係となる位置に配置される。
【0023】
ここで、フレキシブル基板4aとフレキシブル基板4bとについて、長手方向は、フレキシブル基板材料の長さ方向に対応しており、短手方向はフレキシブル基板の幅方向に対応している。そのため、フレキシブル基板4aとフレキシブル基板4bとについて、幅方向に2つ並ぶように配置して合成(詳細は後述する)することで、フレキシブル基板材料の幅を変更せずに、幅方向のサイズを拡大し、アンテナ全体としてサイズを拡大することができる。
【0024】
フレキシブル基板4aとフレキシブル基板4bとは、フレキシブル基板4aとフレキシブル基板4bとの間の軸を基準として、互いに線対称の関係となるような形状及びサイズとされ、配置されている。
なお、フレキシブル基板4aとフレキシブル基板4bは、長手方向に沿って平行となるように配置される場合について図示されているが、短手方向に沿って平行となるように配置されていてもよい。
【0025】
フレキシブル基板4aには、矩形のパッチアンテナ6aが略格子状となるように複数配置されており、それぞれのパッチアンテナ6aのアレイに併せて、これらのパッチアンテナ6aに対するトーナメント給電を実現するように各パッチアンテナ6aに接続される給電路5aが回路パターンとして形成される。
フレキシブル基板4bには、矩形のパッチアンテナ6bが略格子状となるように複数配置されており、それぞれのパッチアンテナ6bのアレイに併せて、これらのパッチアンテナ6bに対するトーナメント給電を実現するように各パッチアンテナ6bに接続される給電路5bが回路パターンとして形成される。
フレキシブル基板4aのパッチアンテナ6aとフレキシブル基板4bのパッチアンテナ6b、フレキシブル基板4aの給電路5aとフレキシブル基板4bの給電路5bについても、それぞれ、線対称の関係となるように配置または形成されている。
2ポートトリプレート線路−導波管変換器(以下、単に「変換器」という。)10は、フレキシブル基板4aのプローブとフレキシブル基板4bのプローブとが内周側に収まるようにされつつ、フレキシブル基板4aとフレキシブル基板4bに対して跨がるようにして設けられる。変換器10が配置される位置の周辺を含む領域(符号A)については、
図3を用いて後に説明する。
【0026】
図2は、トリプレート型平面アンテナ100の斜視分解図である。
この図において、トリプレート型平面アンテナ100は、グランド板1、発泡シート2A、フレキシブル基板(フレキシブル基板4aとフレキシブル基板4b)、発泡シート2Bおよびスロット板3が積層され、オフセット板17、ショート板18、第1スペーサ部材22a1,22b1、第2スペーサ部材22a2,22b2、及び導波管フランジ20を含んで構成される。
グランド板1には、その上面側における対応する位置に、プレーンアースに相当するパターンとしてスロット板3が配置される。このグランド板1は、いわゆる地導体として機能するものであり、軽量かつ安価であることから、例えばアルミの板が用いられる。
【0027】
発泡シート2A、2Bは、フレキシブル基板(フレキシブル基板4a及びフレキシブル基板4b)をその両面(上面側及び下面側)から挟むように配置され、クッション材、断熱材および誘電体として機能する。
発泡シート2A、2Bのオフセット板17に対応する位置には、オフセット板17の外周の形状と同じ形状の開口部1A、3Aがそれぞれ設けられる。それらの開口には、それぞれ、スペーサ部材が挿嵌される。より具体的に、発泡シート2Aの開口部には、第1スペーサ部材22a1と第2スペーサ部材22a2が挿嵌される。この第1スペーサ部材22a1と第2スペーサ部材22a2の厚みは、発泡シート2Aと同じ厚みである。したがって、第1スペーサ部材22a1と第2スペーサ部材22a2を発泡シート2Aに挿嵌しても、発泡シート2Aの第1主面、第2主面(例えば表面、裏面)よりも厚み方向において外側に第1スペーサ部材22a1と第2スペーサ部材22a2とがはみ出ないようになっている。
また、発泡シート2Bの開口部には、第1スペーサ部材22b1と第2スペーサ部材22b2が挿嵌される。この第1スペーサ部材22b1と第2スペーサ部材22b2の厚みは、発泡シート2Bと同じ厚みである。したがって、第1スペーサ部材22b1と第2スペーサ部材22b2を発泡シート2Bに挿嵌しても、発泡シート2Bの1第1主面、第2主面(例えば表面、裏面)よりも厚み方向において外側に第1スペーサ部材22b1と第2スペーサ部材22b2とがはみ出ないようになっている。
【0028】
フレキシブル基板4a、フレキシブル基板4bは、
図1と同様に、同一平面上においてギャップ13を有するように所定の間隔で離間して並べられ、上述のように、一方の主面側(例えば上面側)に発泡シート2B、他方の主面側(例えば下面側)に発泡シート2Aが接するようにして上面側と下面側とから挟まれる。また、フレキシブル基板4a、フレキシブル基板4bには、それぞれ、パッチアンテナ(例えばここではパッチアンテナ6b)、給電路(例えばここでは給電路5b)、プローブ、銅箔パターン等が形成される。
【0029】
スロット板3は、その頂面の内、上記パッチアンテナに個別に対応する部位には格子状のスロット開口7がそれぞれ形成されるとともに、フレキシブル基板4a及びフレキシブル基板4bのそれぞれの銅箔パターンを含むようにした1つの領域に対応する部位に開口部3Aが形成され、これらの部位以外の全面にプレーンアースパターンが形成される。開口部3Aは、オフセット板17、ショート板18、導波管フランジ20等の取り付けが行なわれた際に、オフセット板17の開口部の位置と導波管フランジ20の開口部の位置とが概ね一致するようになっている。すなわち、開口部3Aの形状は、オフセット板17の開口部の形状に対応した形状となっており、トリプレート型平面アンテナ100として組立てられたときに、導波管形状を構成する一部となる。
【0030】
オフセット板17は、内周側に導波管の内周の形状と略同一形状(略矩形状)の開口部が設けられ、外周の形状は、銅箔パターン16a1、16b1、16a2、16b2の外周側をつなぐようにした形状(例えば八角形)となっている。オフセット板17は、例えば、アルミが用いられる。
ショート板18は、外周側がオフセット板17の外周の形状と略同一の形状となっており、オフセット板17の上面側に取り付けられる。ショート板18、オフセット板17には、ねじ孔が設けられており(図示略)、ショート板18の上面側からねじを挿入することで、ショート板18と導波管フランジ20との間に、各部材を挟持するようになっている。このショート板18は、例えばアルミが用いられる。
導波管フランジ20は、他端が図示されない無線機に接続される矩形状の導波管の一端に形成される。この導波管フランジ20は、導波管の一部として形成されていてもよいし、導波管とトリプレート型平面アンテナ100との間に設けられる別の部材として構成されていてもよい。この導波管フランジ20は、例えばアルミが用いられる。また、導波管フランジ20には、複数のガイドピン21が設けられている。このガイドピン21は、グランド板1、発泡シート2A、フレキシブル基板(フレキシブル基板4aとフレキシブル基板4b)、発泡シート2B、スロット板3、オフセット板17、ショート板18、第1スペーサ部材22a1,22b1、第2スペーサ部材22a2,22b2にそれぞれ設けられた複数のガイドピン孔に対応して挿入される。これにより、各部位のそれぞれについて、位置決めすることができる。また、ここでは図示されていないが、ガイドピン21と同様に、各部のガイドピン孔近傍には、ねじ孔が設けられており、ねじが、ショート板18の上面側から各部位のねじ孔に挿通されて導波管フランジ20に対して螺合される。
【0031】
図3は、
図1におけるフレキシブル基板4aの一部とフレキシブル基板4bの一部とを含む領域であって符号Aに示す領域における構成を説明するための拡大図である。
図3(a)は、トリプレート型平面アンテナ100の一部を平面視した場合を表す平面図であり、
図3(b)は、
図3(a)における線A−A’で示す位置の断面であって、導波管フランジ20等が取り付けられた場合を示す断面図である。
図3(a)、
図3(b)において、
図1に対応する部分については同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0032】
図3(a)において、フレキシブル基板4aの給電路5aとフレキシブル基板4bの給電路5bは、同一直線上に沿うようにして配置され、それぞれ、対向する位置に向かうように配置されている。給電路5aの端部には、プローブ5a1が設けられる。このプローブ5a1は、略短冊状に形成され、その長手方向がフレキシブル基板4aの端部のうちギャップ13構成する端部と平行方向に沿うように配置され、給電路5aに接続される。ここでは、一例として、プローブ5a1は、その長手方向における略中央の位置において、フレキシブル基板4aの短手方向に延びるように配置された給電路5aに対して互いに直交するようにして接続されている。プローブ5a1の端部から給電路5aまでの距離はL2であり、プローブ5a1の給電路5aに接続される側部(長手方向における一辺)と、この側部に対向する銅箔パターンまでの距離はL1である。そして、L1とL2とを合せた長さL(=L1+L2)は、λ/4であることが好ましい。
【0033】
フレキシブル基板4bは、フレキシブル基板4aに対し、直線Bに示す軸を基準として線対称の関係となるようにして、給電路5bとプローブ5b1が配置される。直線Bは、フレキシブル基板4aとフレキシブル基板4bとの間にある仮想的な直線である。すなわち、フレキシブル基板4bにおけるプローブ5b1については、プローブ5a1と略同一の形状で形成されており、フレキシブル基板4aのギャップ13に向かう端部からプローブ5a1までの距離と、フレキシブル基板4bのギャップ13に向かう端部からプローブ5b1までの距離とが同一となるような位置に配置されており、プローブ5b1の上端部及び下端部は、プローブ5a1の上端部及び下端部との位置がそれぞれ一致するような配置となっている。プローブ5a1とプローブ5b1は、長手方向において平行となる位置であり、お互いに対向する位置となるように配置されている。また、プローブ5b1は、その長手方向における略中央の位置において、フレキシブル基板4bの短手方向に延びるように配置された給電路5bに対して互いに直交するようにして接続されている。
プローブ5a1、プローブ5b1は、それぞれ、T型のアンテナとして機能するように、先端部が給電路(5aまたは5b)に対してT字状に分岐している。このプローブ5a1、プローブ5b1は、T型ではなく、L型、または3つ以上に分岐していてもよい。このように、プローブ5a1、プローブ5b1の形状をL型、3つ以上に分岐する形状に構成した場合には、T型の形状にした場合と同様に、直線Bに示す軸を基準として線対称の関係となるように構成される。
【0034】
そして、フレキシブル基板4aとフレキシブル基板4bの長手方向に沿う軸であってフレキシブル基板4aとフレキシブル基板4bとの間の位置にある軸Bを基準とした場合には、フレキシブル基板4a及びフレキシブル基板4b、プローブ5a1及びプローブ5b1、給電路5a及び給電路5bが線対称の関係となるように配置されている。これにより、矩形状の導波管と2つのトリプレート線路との間における位相が逆相の信号の引き渡しが、プローブ5a1とプローブ5b1とに対して並行して実現される。また、フレキシブル基板4aとフレキシブル基板4bとで線対称となるように構成されているため、フレキシブル基板4aとフレキシブル基板4bとの間において、お互いに位相差や引き渡される信号強度の誤差を低減することができる。
【0035】
変換器10は、フレキシブル基板4a及びフレキシブル基板4bの面上において、これらフレキシブル基板に設けられた各パッチアンテナで囲まれるような所定の部位に配置される。この変換器10は、導波管と、プローブ5a1及びプローブ5b1との間において、電磁波と電気エネルギーとの変換を行なうことで、導波管とプローブとを接続する。このプローブ5a1、プローブ5b1は、同一の導波管の側壁から管内に挿入されるようにして配置されており、導波管からの電磁界を電気エネルギーに変換して給電路5a、給電路5bに伝達する。すなわち、変換器10は、2つのポート(プローブ5a1、プローブ5b1)を収容する。このように、変換器10が2つのポートを収容することで、フレキシブル基板4aとフレキシブル基板4bとを1つの平面アンテナとして合成することができる。
【0036】
また、フレキシブル基板4aにおいて、ギャップ13に向かう端部近傍には、給電路5aを一方側と他方側から挟むように、銅箔パターン16a1と銅箔パターン16a2が配置される。フレキシブル基板4bにおいて、ギャップ13に向かう端部近傍には、給電路5bを一方側と他方側から挟むように、銅箔パターン16b1と銅箔パターン16b2が配置される。これら銅箔パターン16a1、16a2、16b1、16b2は、給電路5a及び給電路5bには接しない形状であって、フレキシブル基板4a、フレキシブル基板4bに接続される導波管の接続面に対応した形状となるように構成される。
この銅箔パターン16a1、16a2、16b1、16b2は、電気的な特性としては寄与しないが、設けておくことで、導波管とフレキシブル基板4a、フレキシブル基板4bとの接触面において破損しないように補強することができる。また、銅箔パターンとして形成するため、フレキシブル基板4a、フレキシブル基板4bに、給電路5a、給電路5bのパターンを形成する工程と同じ工程で形成することができる。
【0037】
また、この銅箔パターン16a1において、一端側は給電路5aの近傍まで延びるように形成され、他端側は、フレキシブル基板4aにおけるギャップ13に向かう端部まで延びるように形成され、これにより、略L字状に形成される。また銅箔パターン16a1は、一端側近傍にねじ孔14a1が設けられ、他端側近傍にねじ孔14a2が設けられ、中央側にはガイドピン孔15a1が設けられる。
【0038】
ねじ孔14a1は、ギャップ13に対向する銅箔パターン16a1の端部から一定距離を離れた位置に設けられる。これにより、ねじ孔14a1の全周において銅箔パターン16a1が存在するように設けることができるので、ねじ孔14a1の近傍においてもフレキシブル基板4aの強度を高めることができ、フレキシブル基板4aにねじ孔14a1が設けられていたとしても、また、オフセット板17や導波管フランジ20等で挟持される場合であっても、フレキシブル基板4aが破損してしまうことを低減させることができる。
ねじ孔14a2は、給電路5aに端部から一定距離を離れた位置に設けられる。
【0039】
ガイドピン孔15a1は、ガイドピンが挿通される。このガイドピンは、例えば
図2に示すように導波管フランジ20から延びるように設けられており、トリプレート型平面アンテナ100として組立てられたときに、このガイドピン孔15a1に挿通される。
また、ねじ孔14a2、ガイドピン孔15a1においても、ねじ孔14a1と同様に、その孔の外周側の全周において銅箔パターン16a1が存在するように設けられているため、孔による強度低下を防止することができる。
【0040】
銅箔パターン16a2は、給電路5aの長手方向に沿った軸を基準として線対称の関係となるような形状で形成される。また、銅箔パターン16b1、銅箔パターン16b2は、直線Bを基準として銅箔パターン16a1、銅箔パターン16a2と線対称の関係となるような形状で形成される。そのため、銅箔パターン16a2、銅箔パターン16b1、銅箔パターン16b2においては、銅箔パターン16a1と同様に2つのねじ孔と1つのガイドピン孔が設けられる。
【0041】
図3(b)において、変換器10の構成要素の内、導波管12は、以下の要素から構成される。
導波管フランジ20は、導波管に連結され、導波管フランジ20の開口部は、その導波管の管内に連なっており、この開口部がグランド板1の該当する部位(プローブ5a1とプローブ5b1とを内周側に収容する位置)に接触する状態で配置される。
グランド板1の上面(導波管フランジ20が接触する面とは反対側の主面)には、発泡シート2Aが重ねて配置され、発泡シート2Aには、フレキシブル基板4aとフレキシブル基板4bが重ねて配置され、フレキシブル基板4aとフレキシブル基板4bには、発泡シート2B、スロット板3が重ねて配置される。
【0042】
ここで、
図3には図示されていないが、第1スペーサ部材22a1,22b1、第2スペーサ部材22a2,22b2が設けられる。第1スペーサ部材22a1,22b1は、銅箔パターン16a1と銅箔パターン16b1の形状に対応する領域であって、かつ、銅箔パターン16a1と銅箔パターン16b1との間のギャップ13に相当する位置において連なるように形成される。この第1スペーサ部材22a1は、発泡シート2Aの貫通部の貫通口に挿嵌され、グランド板1とフレキシブル基板4とに挟まれるようにして設けられる。第1スペーサ部材22b1は、発泡シート2Bの貫通部の貫通口に挿嵌され、フレキシブル基板4とスロット板3とに挟まれるようにして設けられる。
第2スペーサ部材22a2,22b2は、銅箔パターン16a2と銅箔パターン16b2の形状に対応する領域であって、かつ、銅箔パターン16a1と銅箔パターン16b1との間のギャップ13に相当する位置において連なるように形成される。この第2スペーサ部材22a2は、発泡シート2Aの貫通部の貫通口に挿嵌され、グランド板1とフレキシブル基板4とに挟まれるようにして設けられる。この第2スペーサ部材22b2は、発泡シート2Bの貫通部の貫通口に挿嵌され、フレキシブル基板4とスロット板3とに挟まれるようにして設けられる。
この第1スペーサ部材22a1,22b1と第2スペーサ部材22a2,22b2としては、例えばアルミが用いられる。このようにすることで、第1スペーサ部材22a1,22b1と第2スペーサ部材22a2,22b2との間において、プローブ5a1が導波管12内に挿入されるとともに、プローブ5b1が導波管12内に挿入される。このようにして、2つのフレキシブル基板4a、フレキシブル基板4bであっても、同じ導波管から給電を受けることができる。また、プローブ5a1とプローブ5b1は、線対称の関係となるように配置されており、また、プローブ5a1とプローブ5b1が線対称の関係となる軸を基準として線対称となるように導波管も配置されるため、導波管から給電を受けるエネルギーとしては、ほぼ同一のエネルギーがプローブ5a1とプローブ5b1とに供給される。
【0043】
オフセット板17は、スロット板3の開口部と略同一の形状の開口部を有し、このスロット板3の開口部に対応する位置にオフセット板17の開口部が配置されるように、スロット板3に重ねられる。これにより、導波管フランジ20の開口部の内周側がオフセット板17の開口部まで連なるように形成されることで、導波管の管内がオフセット板17まで延長される。
【0044】
ショート板18は、オフセット板17の上面(スロット板3に接する面とは反対側の主面)に配置され、複数のねじ19によってオフセット板17に取り付けられる。また、ショート板18には、ガイドピン孔が設けられており、ガイドピンがショート板18、オフセット板17、スロット板3、発泡シート2B、スペーサ部材(第1スペーサ部材、第2スペーサ部材)、フレキシブル基板(フレキシブル基板4a、フレキシブル基板4b)、発泡シート2Aを貫通して導波管フランジ20に到達するようにして取り付けられる。
【0045】
ここで、グランド板1、スペーサ部材(第1スペーサ部材、第2スペーサ部材)、フレキシブル基板(フレキシブル基板4a、フレキシブル基板4b)、スロット板3、オフセット板17、ショート板18には、ねじ19が挿通し、ねじ19の側壁に安定に接触する寸法および形状の(内壁を有する)孔が予め設けられている。
【0046】
ねじ19は、導波管フランジ20に形成されたねじ孔に螺合することにより、その導波管フランジ20とショート板18との間に、グランド板1、スペーサ部材(第1スペーサ部材、第2スペーサ部材)、フレキシブル基板(フレキシブル基板4a、フレキシブル基板4b)、スロット板3およびオフセット板17を挟持する。
【0047】
上述のように構成されることで、導波管12は、導波管フランジ20の内周側、グランド板1の開口部の内周側の側面、第1スペーサ部材及び第2スペーサ部材の内周側の側面、オフセット板17の内周側の側面、ショート板18の導波管に向かう面のうちオフセット板17の内周側の側面の内部側に該当する領域、が一体として導波管の内周側を構成する。すなわち、導波管フランジ20に対して送信機側に接続される導波管がショート板18側に対して導波路として延長されている。このようにして導波管12は、プローブ5a1とプローブ5b1とを内周側に含むようにして、フレキシブル基板4aとフレキシブル基板4bとに対して、グランド板1、発泡シート2A、を介して取り付けられる。
【0048】
変換器10は、プローブ5a1とプローブ5b1との2つのポートを内周側に含むように収容しており、導波管からの電磁界を電気エネルギーに変換して給電路5a、給電路5bのそれぞれに伝達する。ここでは、変換器10は、プローブ5a1がフレキシブル基板4aに設けられ、プローブ5b1がフレキシブル基板4bに設けられているため、異なる複数のフレキシブル基板であっても、それぞれのフレキシブル基板のプローブを収容することで、別のフレキシブル基板において1つの変換器10を共有することで、全体として1つのトリプレート型平面アンテナを構成することができる。これにより、1つのフレキシブル基板のサイズ(例えば幅方向にサイズ)を変更することなく、従来のフレキシブル基板を利用し、トリプレート型平面アンテナの全体としてのサイズを拡大することができる。
【0049】
本実施形態では、
図3に示すとおり、変換器10を用い、その変換器10の中央でフレキシブル基板(4a、4b)の間にギャップ13を設けることにより、
図1のようにトリプレート型平面アンテナ100の幅方向における中央の線を基準としてフレキシブル基板2枚を合成することができる。
【0050】
このように、本実施形態におけるトリプレート型平面アンテナにおいて、例えば、幅が500mmであるフレキシブル基板を用いる場合、給電点間を導波管によって接続することなく2枚のフレキシブル基板を並べて配置し、変換器(2ポートトリプレート線路−導波管変換器)を用いて合成することができるので、導波管分配器等を用いる必要がなくなり、従来からの大幅なコストアップ、重量アップをすることなく、平面アンテナの幅を従来の500mmから2倍の1000mmまで拡大することができる。つまり従来の約2倍の面積の平面アンテナを実現でき、利得を約3dB増大することができる。
【0051】
次に、第2実施形態について説明する。
図1から
図3の第1実施形態では、偏波専用タイプのトリプレート型平面アンテナ100について説明したが、第2実施形態では、上層、下層それぞれ別々の2個の2ポートトリプレート線路−導波管変換器を用いて、それぞれ2枚のフレキシブル基板をアンテナ中央付近で接続し合成する場合について説明する。
図4は、第2実施形態におけるトリプレート型平面アンテナ150の斜視分解図である。第2実施形態におけるトリプレート型平面アンテナ150は、上りリンクと下りリンクとで互いに直交する偏波で形成する偏波共用タイプであるトリプレート型平面アンテナ150である場合について説明する。この図において、
図2に対応する部分について同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0052】
第1の偏波に対応するアンテナを形成するフレキシブル基板(4a1、4b1)は、第2の偏波に対応するアンテナを形成するフレキシブル基板(4a2、4b2)に対してスロット板32、発泡シート2A,2Cを挟むようにして重ねて配置される。
フレキシブル基板4a1、フレキシブル基板4b1は、第1実施形態におけるフレキシブル基板4a、フレキシブル基板4bと機能的には同等であるが、フレキシブル基板4a2、フレキシブル基板4b2と重ねられた場合における、フレキシブル基板4a2とフレキシブル基板4b2の変換器102に対応する領域については切り欠きが設けられており、これら切り欠きが対向するように設けられていることで、1つの開口部4c1を形成している。
【0053】
フレキシブル基板4a2、フレキシブル基板4b2は、第1実施形態におけるフレキシブル基板4a、フレキシブル基板4bと機能的には同等であるが、フレキシブル基板4a1、フレキシブル基板4b1と重ねられた場合における、フレキシブル基板4a1とフレキシブル基板4b1の変換器101に対応する領域については切り欠きが設けられており、これら切り欠きが対向するように設けられていることで、1つの開口部4c2を形成している。
【0054】
スロット板31は、第1実施形態におけるスロット板3に対して更に開口部31Bが設けられている。この開口部31Bは、ギャップ13が設けられる軸(例えば
図3(a)の軸B)上であって開口部31Aには重ならない位置に設けられる。例えば、開口部31Bは、ギャップ13が設けられる軸(例えば
図3(a)の軸B)において長手方向における中心の位置において、当該軸に直交する軸を基準として開口部31Aに対してお互いに線対称となるように配置される。
また、スロット板32は、上述のスロット板31と同様に、開口部32Aに加えて、開口部32Bが設けられている。また、スロット板32は、スロット板31のスロット開口7に対応する位置にスロット開口32Cが設けられている。このスロット開口32Cは、スロット開口7をフレキシブル基板の長手方向に沿う方向に2つ並ぶように分割された領域となっている。
また、グランド板11は、第1実施形態におけるグランド板1に対応する開口部11Aに対して更に開口部11Bが設けられている。この開口部11Bは、ギャップ13が設けられる軸(例えば
図3(a)の軸B)上であって開口部11Aには重ならない位置に設けられる。例えば、開口部11Bは、ギャップ13が設けられる軸(例えば
図3(a)の軸B)において長手方向における中心の位置において、当該軸に直交する軸を基準として開口部11Aに対してお互いに線対称となるように配置される。
【0055】
これにより、フレキシブル基板4a1のプローブとフレキシブル基板4b1のプローブとが導波管の内周側に含まれるようにして、スロット板31の開口部31Aに対応する位置において、ショート板18と導波管フランジ20とによって、オフセット板17、スロット板31、第1スペーサ部材22b1、第2スペーサ部材b2、フレキシブル基板4a1、フレキシブル基板4b1、第1スペーサ部材22a1、第2スペーサ部材a2、スロット板32、内部スペーサ部材23a、グランド板11が挟持されるように、ねじ(図示せず)によって取り付けられる。
また、同様に、フレキシブル基板4a2のプローブとフレキシブル基板4b2のプローブとが導波管の内周側に含まれるようにして、スロット板32の開口部32Bに対応する位置において、ショート板18と導波管フランジ20とによって、オフセット板17、スロット板31、内部スペーサ部材23b、スロット板32、第1スペーサ部材22c1、第2スペーサ部材22c2、フレキシブル基板4a2、フレキシブル基板4b2、第1スペーサ部材22d1、第2スペーサ部材22d2、グランド板11が挟持されるように、ねじ(図示せず)によって取り付けられる。
【0056】
これにより、第2実施形態においては、偏波共用タイプであるトリプレート型平面アンテナ150においても、従来と同じ幅のフレキシブル基板を用いたとしても、トリプレート型平面アンテナ150全体として幅方向のサイズを拡大することができ、給電点間を導波管接続することなく、高利得のトリプレート型平面アンテナを提供することができる。
【0057】
次に、第3実施形態について説明する。第1実施形態、第2実施形態において、1つの導波管の内周側に2つのプローブを収容する場合について説明したが、第3実施形態においては、4つのプローブを導波管の内周側に収容するようにしてもよい。この場合、第1から第4のフレキシブル基板を同一平面上に縦方向2列、横方向2列となるようにし、かつ、お互いのフレキシブル基板の間にギャップを有するように配置する。そして、導波管は、第1フレキシブル基板に設けられた第1プローブ、第2フレキシブル基板に設けられた第2プローブ、第3フレキシブル基板に設けられ前記給電路に接続された第3プローブ、第4フレキシブル基板に設けられ給電路に接続された第4プローブ、の4つのプローブを内周側に含むようにして、第1フレキシブル基板、第2フレキシブル基板、第3フレキシブル基板、第4フレキシブル基板の4つのフレキシブル基板に跨がるように取り付けられる。
【0058】
これにより、縦方向(長さ方向)及び横方向(幅方向)の両方について1つのフレキシブル基板のサイズを拡大しない場合であっても、トリプレート型平面アンテナ全体としての面積を拡大することができ、複数の給電点間を導波管接続することなく、高利得のトリプレート型平面アンテナを得ることができる。
【0059】
以上説明した実施形態において、同一平面上に並べられたフレキシブル基板どうしについて、ギャップを設けるようにして配置するようにしたので、フレキシブル基板どうしについて少なくとも一部が重なった状態で導波管が取り付けられることを防止することができる。これにより、複数枚のフレキシブル基板を平面上に並べるようにしても、異なるフレキシブル基板におけるそれぞれのプローブについて、高さ方向に対する配置誤差がなくなるため、配置誤差に基づくアンテナの利得が低下してしまうことを防止することができる。
【0060】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。