【解決手段】第1画像内の一部の領域である重要領域を決定する決定部110と、重要領域に基づいて第1画像を処理して第2画像を生成する画像処理部120と、第2画像を印刷する印刷部130と、を備え、第1画像の濃度に対する第2画像の濃度の比率を示す濃度係数は、重要領域内の画素の方が重要領域外の画素よりも大きく、重要領域外の第1画素の濃度係数は、第1画素よりも重要領域から離れて位置する第2画素の濃度係数よりも大きい。
前記画像処理部は、前記重要領域が前記第1画像の少なくとも1つの境界線に接している場合に、前記第1画像の残りの境界線に隣接する画素の濃度係数を前記第2濃度係数に決定する、
請求項2又は3に記載の印刷装置。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、請求の範囲を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0026】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1について図面を参照しながら具体的に説明する。
【0027】
[印刷装置の構成]
図1は、実施の形態1及び2に係る印刷装置の機能構成を示すブロック図である。
図1において、括弧内の符号は実施の形態2に係る印刷装置に適用される符号を示す。
【0028】
実施の形態1に係る印刷装置100は、原画像10を処理して印刷用画像20を生成し、生成した印刷用画像20を媒体に印刷する。
【0029】
なお、原画像10及び印刷用画像20は、画像又は画像データを意味する。原画像10は、カラー画像及びモノクロ画像のどちらでもよく、文字及び記号を含んでもよい。
【0030】
図1に示すように、印刷装置100は、決定部110と、画像処理部120と、印刷部130と、入力部140と、表示部150と、を備える。以下に、印刷装置100の各構成要素について詳細に説明する。
【0031】
決定部110は、画像内の一部の領域である重要領域を決定する。本実施の形態では、決定部110は、入力部140を介して使用者から入力された情報に基づいて重要領域を決定する。重要領域とは、画像の中で閲覧者の注目を集める要素(以下、注目要素という)の領域を意味する。例えば画像が人物写真である場合、被写体の人物が注目要素である可能性が高い。また、その人物の外周部の景色は、被写体の人物よりも注目度合いは劣るため、注目要素でない可能性が高い。したがって、被写体の人物の領域が重要領域と設定される。また、画像が人物以外の写真又は画像である場合には、画像内の特長的な物体を注目要素と仮定し、その特長的な物体の領域が重要領域と設定されてもよい。
【0032】
画像処理部120は、原画像を処理して印刷用画像を生成する。画像処理部120は、例えば、汎用プロセッサ及びメモリにより実現される。例えば、メモリに格納されたソフトウェアプログラムを汎用プロセッサが実行したときに、その汎用プロセッサが画像処理部120として機能する。また、画像処理部120は、画像処理専用の1以上の電子回路で実現されてもよい。
図1に示すように、画像処理部120は、前処理部121と、色変換部122と、削減部123と、二値化部124と、を備える。
【0033】
前処理部121は、原画像10に前処理を施す。前処理は、レイアウト処理、ラスタライズ処理及びスケーリング処理などを含む。レイアウト処理は、画像の回転、複数の画像の1つの画像への割り付け、及び1つの画像から複数の画像への分割などを含む。ラスタライズ処理は、画像データをラスタデータに変換する。スケーリング処理は、画像の解像度(dpi)を変換する。
【0034】
色変換部122は、前処理後の画像に対して色変換を行う。つまり、色変換部122は、画像のカラーモデルを変換する。具体的には、色変換部122は、RGBカラーモデルの画像をCMYKカラーモデルの画像に変換する。
【0035】
削減部123は、決定部110によって決定された重要領域に基づいて第1画像を処理して第2画像を生成する。すなわち、削減部123は、インクの消費量を削減するための画像処理を行う。具体的には、削減部123は、色変換部122によって色変換された画像(第1画像)の各色の濃度を場所によって異なる比率で減少させて第2画像を生成する。
【0036】
このように削減部123によって生成される第2画像では、第1画像の濃度に対する第2画像の濃度の比率を示す濃度係数が、重要領域内の画素の方が重要領域外の画素よりも大きい。また、重要領域外の第1画素の濃度係数は、第1画素よりも重要領域から離れて位置する第2画素の濃度係数よりも大きい。
【0037】
濃度とは、色の濃さを表す値であり、例えばシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)の各々の濃さを表す値である。なお、この削減部123の処理の詳細については
図5〜
図9Cを用いて後述する。
【0038】
二値化部124は、削減部123によって生成された画像(第2画像)を二値化する。つまり、二値化部124は、多階調の画像(多値画像)を二階調の画像(二値画像)に変換する。
【0039】
印刷部130は、二値化部124によって二値化された画像を印刷する。つまり、印刷部130は、二値化された第2画像を印刷する。具体的には、印刷部130は、例えば、インクを用紙に定着させることにより、二値画像に対応する多数のドットを用紙に形成する。
【0040】
入力部140は、使用者から画像の一部の領域の入力を受ける。具体的には、入力部140は、例えばタッチパネル、マウス又はキーボードである。
【0041】
表示部150は、原画像10又は前処理された画像とともに、当該画像内の一部の領域を他の領域と区別して表示する。具体的には、表示部150は、例えば液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイである。また、入力部140及び表示部150は、一体化され、タッチスクリーンとして実現されてもよい。表示部150は、例えば領域の枠線を表示することにより、画像内の一部の領域を他の領域と区別して表示する。また、表示部150は、例えば、領域内と領域外とで色あるいは輝度を変えて、画像内の一部の領域を他の領域と区別して表示してもよい。
【0042】
[印刷装置の処理]
次に、以上のように構成された印刷装置100の処理について説明する。
図2は、実施の形態1に係る印刷装置100の処理の概要を示すフローチャートである。
図3は、実施の形態1における重要領域の決定のためのGUIの一例を示す図である。
【0043】
まず、決定部110は、重要領域を決定する(S110)。例えば、
図3に示すように、決定部110は、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)30を介して使用者から指定された領域34を重要領域と決定する。
図3のGUI30は、領域の形状を決定するためのボタン群31と、領域の指定方法を決定するためのボタン群32と、第1画像33とを含む。ボタン群31では、重要領域の形状として、矩形、楕円形、角丸矩形などを選択することができる。また、ボタン群32では、顔認識、個人認識及び文字認識による自動決定並びに手動決定のいずれかを選択することができる。
【0044】
なお、重要領域は、所定の規則に基づいてあらかじめ定められてもよい。つまり、重要領域は、使用者の入力に関わらず自動的に決定されてもよい。例えば、決定部110は、最初に原画像10の顔認識を行う。ここで、原画像10から顔が認識された場合は、決定部110は、認識された顔周辺の領域を重要領域と決定する。一方、原画像10から顔が認識されない場合、決定部110は、原画像10の文字認識を行う。ここで、原画像10から文字が認識された場合は、決定部110は、文字周辺の領域を重要領域と決定する。
【0045】
図3では、領域の形状として矩形が選択されており、領域の決定方法として手動決定が選択されている。第1画像33内に表示されている枠線によって示された矩形の領域34は、枠線上のフィルハンドル35を用いて領域34の移動及び拡大/縮小が行われる。また、領域34外の画像の輝度は減少されている。
【0046】
また、GUI30は、削減モードのオフ及び複数の削減モード(ECO1、ECO2)のいずれかを設定するためのスライダー36を含む。なお、複数の削減モードに関しては実施の形態2で説明し、本実施の形態では1つの削減モードについてのみ説明する。
【0047】
画像処理部120は、重要領域に基づいて画像を処理する(S120)。最後に、印刷部130は、処理された画像を印刷する(S130)。
【0048】
ここで、ステップS120の画像処理について、
図4を参照しながら具体的に説明する。
図4は、実施の形態1及び2における画像処理を示すフローチャートである。
図4において、括弧内の符号は実施の形態2に適用される符号を示す。
【0049】
前処理部121は、原画像10に前処理を施す(S121)。つまり、前処理部121は、原画像10に対して、レイアウト処理、ラスタライズ処理及びスケーリング処理などを行う。
【0050】
色変換部122は、前処理された画像に対して色変換を行う(S122)。例えば、色変換部122は、前処理されたRGBカラーモデルの画像をCMYKカラーモデルの画像に変換する。
【0051】
画像処理部120は、削減モードがオンであるか否かを判定する(S123)。ここで、削減モードがオンである場合(S123のYes)、削減部123は、重要領域に基づいて各画素の濃度係数を決定する(S124)。この濃度係数は、色変換された画像(第1画像)の濃度に対する、削減部123による処理結果の画像(第2画像)の濃度の比率を示す。濃度係数の決定の詳細については
図5〜
図9Cを用いて後述する。
【0052】
削減部123は、決定された濃度係数に基づいて第1画像の濃度を変換して第2画像を生成する(S125)。つまり、削減部123は、第1画像の濃度を減少させて第2画像を生成する。具体的には、削減部123は、第1画像の各画素の濃度値に、当該画素に対応する画素の濃度係数を乗算することにより、第2画像の各画素の濃度値を算出する。
【0053】
最後に、二値化部124は、第2画像を二値化する(S126)。ここでは、二値化方法は、特に限定されない。例えば、平均ディザリング、無作為ディザリング、濃度パターンディザリング、配列ディザリング及び誤差拡散ディザリングのうちのいずれかが二値化に用いられてもよい。
【0054】
次に、ステップS124の濃度係数の決定処理について、
図5〜
図9Cを参照しながら具体的に説明する。
図5は、実施の形態1における濃度係数の決定処理を示すフローチャートである。
図6A〜
図6Cは、実施の形態1おける濃度係数の決定の一例を示す図である。
図6A〜
図6C及び以降の同様の図面において、行列状に配置された複数の矩形領域は画素を表し、画素内の値は濃度係数を表す。
【0055】
まず、削減部123は、重要領域内の画素の濃度係数を予め定められた第1濃度係数に決定する(S1241)。例えば
図6Aに示すように、削減部123は、重要領域41内の各画素の濃度係数を「0.8」に決定する。
【0056】
削減部123は、重要領域外の画素であって画像の境界部に位置する各画素の濃度係数を、第1濃度係数よりも小さい予め定められた第2濃度係数に決定する(S1242)。例えば
図6Bに示すように、削減部123は、重要領域41外の画像の境界部に位置する画素42の濃度係数を「0.2」に決定する。
【0057】
削減部123は、第1濃度係数と第2濃度係数とを用いて補間を行うことにより重要領域外の他の画素の濃度係数を決定する(S1243)。例えば
図6Cに示すように、削減部123は、第1濃度係数「0.8」と第2濃度係数「0.2」とを用いて補間を行うことにより、重要領域41外の他の画素43の濃度係数を「0.5(=0.2+(0.8−0.2)/2)」と決定し、重要領域41外の他の画素44の濃度係数を「0.35(=0.2+(0.5−0.2)/2)」と決定する。
【0058】
以上のように決定された重要領域外の第1画素(例えば画素43、44)の濃度係数(例えば0.5)は、第1画素よりも重要領域から離れて位置する第2画素(例えば画素42)の濃度係数(例えば0.2)よりも大きい。
【0059】
ここで決定される濃度係数の他の一例について
図7A〜
図7Cを参照しながら具体的に説明する。
図7A〜
図7Cは、実施の形態1おける濃度係数の決定の他の一例を示す図である。
【0060】
図7A〜
図7Cの例では、重要領域51が画像の1つの境界線52Aに接している。このような場合、削減部123は、
図7Aに示すように重要領域51内の画素の濃度係数を第1濃度係数(「0.8」)に決定した後に、
図7Bに示すように画像の残りの境界線52B〜52Dに隣接する画素の濃度係数を第2濃度係数(「0.2」)に決定する。そして、削減部123は、
図7Cに示すように、第1濃度係数と第2濃度係数とを用いて補間を行うことにより重要領域外の他の画素の濃度係数を決定する。
【0061】
また、決定される濃度係数の他の一例について
図8A〜
図8Cを参照しながら具体的に説明する。
図8A〜
図8Cは、実施の形態1おける濃度係数の決定の他の一例を示す図である。
【0062】
図8A〜
図8Cの例では、重要領域61が画像の2つの境界線62A、62Bに接している。このような場合、削減部123は、
図8Aに示すように重要領域61内の画素の濃度係数を第1濃度係数(「0.8」)に決定した後に、
図8Bに示すように画像の残りの境界線62C、62Dに隣接する画素の濃度係数を第2濃度係数(「0.2」)に決定する。そして、削減部123は、
図8Cに示すように、第1濃度係数と第2濃度係数とを用いて補間を行うことにより重要領域外の他の画素の濃度係数を決定する。
【0063】
さらに、決定される濃度係数の他の一例について
図9A〜
図9Cを参照しながら具体的に説明する。
図9A〜
図9Cは、実施の形態1おける濃度係数の決定の他の一例を示す図である。
【0064】
図9A〜
図9Cの例では、重要領域71が画像の3つの境界線72A〜72Cに接している。このような場合、削減部123は、
図9Aに示すように重要領域71内の画素の濃度係数を第1濃度係数(「0.8」)に決定した後に、
図9Bに示すように画像の残りの境界線72Dに隣接する画素の濃度係数を第2濃度係数(「0.2」)に決定する。そして、削減部123は、
図9Cに示すように、第1濃度係数と第2濃度係数とを用いて補間を行うことにより重要領域外の他の画素の濃度係数を決定する。
【0065】
[効果]
以上のように、本実施の形態に係る印刷装置100によれば、重要領域内の画素の濃度係数を重要領域外の画素の濃度係数よりも大きくすることができる。したがって、重要領域の濃度の低下を抑制しつつ、画像全体として濃度を低減することができる。その結果、重要領域の画質の低下を抑制しつつ画像全体におけるインクの消費量を削減することができる。さらに、重要領域外の第1画素の濃度係数を第1画素よりも重要領域から離れて位置する第2画素の濃度係数よりも大きくすることができる。したがって、重要領域内の画像と重要領域外の画像との間における画質の急激な変化を抑制することができるので、画質の低下を抑制しつつインクの消費量を削減することができる。
【0066】
また、本実施の形態に係る印刷装置100によれば、重要領域内の画素の第1濃度係数と、画像の境界部に位置する画素の第2濃度係数とを用いて補間を行うことにより、他の画素の濃度係数を決定することができる。したがって、重要領域から画像の境界部に向かって濃度係数を徐々に減少させることができ、画像内における画質の急激な変化を抑制することができる。
【0067】
また、本実施の形態に係る印刷装置100によれば、重要領域が第1画像の少なくとも1つの境界線に接している場合に、重要領域が接している第1画像の境界線に隣接する画素の濃度係数を第2濃度係数に決定せずに、補間により濃度係数を決定することができる。したがって、重要領域内の画像と重要領域が接している第1画像の境界線近傍の画像との間における画質の急激な変化を抑制することができるので、画質の低下を抑制しつつインクの消費量を削減することができる。
【0068】
また、本実施の形態に係る印刷装置100によれば、表示された領域を重要領域に決定することができる。したがって、使用者は重要領域を確認することができ、使用者が画質の低下を抑制したい領域を重要領域に決定することができる。
【0069】
ここで、本実施の形態に係る印刷装置100による効果について画像を参照しながら説明する。
図10Aは、実施の形態1おける原画像の一例を示す図である。
図10Bは、実施の形態1における印刷用画像の一例を示す図である。
図10Cは、比較例における印刷用画像の一例を示す図である。
【0070】
図10Bでは、画像の中央領域(顔領域)が重要領域に決定されている。
図10Cでは、重要領域に関わらず、画像内の全ての画素の濃度を一定の濃度係数で低減することにより、
図10Bと同一のインクの消費量の削減率を実現している。
【0071】
図10Bでは、顔領域の画質の低下が抑制されており、画像全体としての画質が
図10Cよりも向上している。また、
図10Bでは、顔領域から境界部に向けて徐々に濃度が低下しており、インクの消費量の低減による画像内における画質の急激な変化もないことがわかる。
【0072】
(実施の形態1の変形例)
上記実施の形態1では、1つの重要領域について説明したが、画像には複数の重要領域が含まれてもよい。この場合には、上記実施の形態1と濃度係数の決定処理が異なる。以下に、上記実施の形態1と異なる点を中心に実施の形態1の変形例について説明する。
【0073】
[印刷装置の処理]
印刷装置100の処理の概要は、実施の形態1と同一であるので図示及び説明を省略し、本変形例に特有の濃度係数の決定処理について
図11を参照しながら具体的に説明する。
図11は、実施の形態1の変形例における濃度係数の決定処理を示すフローチャートである。
図12A〜
図12Dは、実施の形態1の変形例おける濃度係数の決定の一例を示す図である。なお、
図11において、
図5と実質的に同一の処理については同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0074】
削減部123は、重要領域が複数存在するか否かを判定する(S2241)。ここで、重要領域が1つしか存在しない場合(S2241のNo)、ステップS1241〜ステップS1243が実行され、処理を終了する。一方、重要領域が複数存在する場合(S2241のYes)、削減部123は、複数の重要領域のうち、未選択の重要領域を選択する(S2242)。
【0075】
削減部123は、選択された重要領域内の画素の濃度係数を予め定められた第1濃度係数に仮決定する(S2243)。続いて、削減部123は、選択された重要領域外の画素であって画像の境界部に位置する画素の濃度係数を、第1濃度係数よりも小さい予め定められた第2濃度係数に仮決定する(S2244)。そして、削減部123は、仮決定された第1濃度係数と第2濃度係数とを用いて補間を行うことにより、選択された重要領域外の他の画素の濃度係数を仮決定する(S2245)。
【0076】
削減部123は、全ての重要領域が選択されたか否かを判定する(S2246)。いずれかの重要領域が選択されていない場合(S2246のNo)、ステップS2242に戻る。これにより、削減部123は、複数の重要領域の各々について、ステップS2243〜ステップS2245の処理を実行することができる。つまり、削減部123は、複数の重要領域の各々について、画像内の各画素の濃度係数を仮決定することができる。
【0077】
例えば、
図12Aにおいて重要領域81Aが選択された場合、
図12Bに示すように、重要領域81A内の画素の濃度係数が「0.8」に仮決定され、境界部の画素の濃度係数が「0.2」に仮決定され、他の画素の濃度係数が補間により仮決定される。また、重要領域81Bが選択された場合には、
図12Cに示すように各画素の濃度係数が仮決定される。
【0078】
全ての重要領域が選択された場合(S2246のYes)、削減部123は、複数の重要領域内の画素の濃度係数を予め定められた第1濃度係数に決定する(S2247)。例えば
図12Dに示すように、削減部123は、複数の重要領域81A、81B内の各画素の濃度係数を「0.8」に決定する。
【0079】
削減部123は、複数の重要領域外の画素であって画像の境界部に位置する画素の濃度係数を、第1濃度係数よりも小さい予め定められた第2濃度係数に決定する(S2248)。例えば
図12Dに示すように、削減部123は、境界部に位置する画素の濃度係数を「0.2」に決定する。
【0080】
削減部123は、複数の重要領域外の他の各画素の濃度係数を、当該画素の仮決定された複数の濃度係数に基づいて決定する(S2249)。例えば
図12Dに示すように、削減部123は、複数の重要領域81A、81B外の他の画素の各々について、仮決定された複数の濃度係数の平均値を当該画素の濃度係数と決定する。具体的には、削減部123は、例えば画素82の濃度係数を、重要領域81Aについて仮決定された画素82の濃度係数「0.56」と、重要領域81Bについて仮決定された画素82の濃度係数「0.32」との平均値「0.44」に決定する。
【0081】
[効果]
以上のように、本変形例に係る印刷装置100によれば、画像内に複数の重要領域が存在する場合にも、重要領域から境界部に向かって濃度係数を徐々に減少させることができ、画像内における画質の急激な変化を抑制することができる。
【0082】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2では、印刷装置が複数の削減モードを有する点が上記実施の形態1と異なる。以下に、本実施の形態について実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
【0083】
[印刷装置の構成]
実施の形態2に係る印刷装置200は、第1濃度係数及び第2濃度係数のセットがそれぞれ対応付けられた複数の削減モードを有する。
図1に示すように、印刷装置200は、決定部210と、画像処理部220と、印刷部130と、入力部240と、表示部250と、を備える。
【0084】
決定部210は、実施の形態1と同様に重要領域を決定する。さらに、本実施の形態に係る決定部210は、第1画像のインクの消費量に対する第2画像のインクの消費量の削減率が予め定められた目標削減率以上であるか否かを判定する。ここで、インクの消費量の削減率が目標削減率未満である場合、決定部210は、重要領域を修正する。例えば、決定部210は、重要領域を縮小する。
【0085】
第1画像のインクの消費量に対する第2画像のインクの消費量の削減率とは、第1画像の印刷によるインクの消費量(以下、第1消費量という)に対するインクの削減量の比率である。インクの削減量は、第1消費量から、第2画像の印刷によるインクの消費量(以下、第2消費量という)を減算して得られる。第1消費量及び第2消費量は、それぞれ、第1画像及び第2画像に基づいて推定される。
【0086】
画像処理部220は、原画像を処理して印刷用画像を生成する。画像処理部120は、例えば、汎用プロセッサ及びメモリにより実現される。例えば、メモリに格納されたソフトウェアプログラムを汎用プロセッサが実行したときに、その汎用プロセッサが画像処理部220として機能する。また、画像処理部220は、画像処理専用の1以上の電子回路で実現されてもよい。
図1に示すように、画像処理部220は、前処理部121と、色変換部122と、削減部223と、二値化部124と、を備える。
【0087】
削減部223は、複数の削減モードのうちの現在の削減モードに対応する第1濃度係数及び第2濃度係数のセットを用いて、重要領域内及び重要領域外の画素の濃度係数を決定する。つまり、削減部223は、第2画像の生成に用いる第1濃度係数及び第2濃度係数を削減モードに応じて変更する。
【0088】
入力部240は、使用者から画像の一部の領域の入力を受ける。また、入力部240は、インクの消費量の削減率が目標削減率未満であると判定された場合に、使用者から領域の修正の入力を受ける。
【0089】
表示部250は、原画像10又は前処理された画像とともに、当該画像内の一部の領域を他の領域と区別して表示する。また、表示部250は、インクの消費量の削減率が目標削減率未満であると判定された場合に、領域の修正を促すメッセージを表示してもよい。また、表示部250は、インクの消費量の削減率が目標削減率未満であると判定された場合に、領域と他の領域との区別表示をキャンセルしてもよい。
【0090】
[印刷装置の処理]
次に、以上のように構成された印刷装置200の処理について説明する。
図13は、実施の形態2に係る印刷装置200の処理の概要を示すフローチャートである。
【0091】
まず、決定部210は、重要領域及び削減モードを決定する(S310)。例えば、
図3に示すように、決定部210は、GUI30を介して使用者から指定された領域34を重要領域と決定し、使用者から指定された削減モード(ECO1又はECO2)を決定する。
【0092】
画像処理部220は、重要領域に基づいて画像を処理する(S320)。そして、決定部210は、処理された画像におけるインクの消費量の削減率を推定し(S330)、インクの消費量の削減率が目標削減率以上であるか否かを判定する(S340)。
【0093】
本実施の形態では、目標削減率は、削減モードに対応付けられている。したがって、決定部210は、決定された削減モードに対応する目標削減率を用いて、インクの消費量の削減率の判定を行う。
【0094】
ここで、インクの消費量の削減率が目標削減率未満である場合(S340のNo)、決定部210は、重要領域を再決定する(S310)。つまり、決定部210は、重要領域を修正する。例えば、インクの消費量の削減率が目標削減率未満である場合に、表示部250は、使用者に重要領域の修正を促すメッセージを表示する。これにより、表示されている領域が使用者によって修正され、その結果、重要領域が修正される。
【0095】
一方、インクの消費量の削減率が目標削減率以上である場合(S340のYes)、印刷部130は、処理された画像を印刷する(S130)。
【0096】
なお、ステップS320の画像処理については、
図4に示すように濃度係数の決定処理(S324)を除いて実施の形態1と実質的に同一であるので、濃度係数の決定処理についてのみ
図14及び
図15を参照しながら具体的に説明する。
【0097】
図14は、実施の形態2における濃度係数の決定処理を示すフローチャートである。
図15は、実施の形態2における削減モード情報の一例を示す図である。なお、
図14において、
図5と実質的に同一の処理については、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0098】
まず、削減部223は、現在の削減モード(決定された削減モード)に対応する第1濃度係数及び第2濃度係数のセットを取得する(S3241)。例えば、削減部223は、記憶部(図示せず)に格納された削減モード情報を参照して、現在の削減モードに対応する第1濃度係数及び第2濃度係数のセットを取得する。
【0099】
削減モード情報は、複数の削減モードと、第1濃度係数及び第2濃度係数のセットとを対応付ける。例えば、
図15に示すように、削減モード情報は、削減モード、第1濃度係数、第2濃度係数及び目標削減率の項目を含むテーブルである。
図15では、削減モード「ECO1」に対して、第1濃度係数「0.8」、第2濃度係数「0.2」、及び、目標削減率「50%」が対応付けられており、削減モード「ECO2」に対して、第1濃度係数「1.0」、第2濃度係数「0.6」、及び、目標削減率「20%」が対応付けられている。
【0100】
削減部223は、取得された第1濃度係数及び第2濃度係数のセットを用いて、重要領域内及び重要領域外の各画素の濃度係数を決定する(S1241〜S1243)。
【0101】
[効果]
以上のように、本実施の形態に係る印刷装置200によれば、削減モードに対応する第1濃度係数及び第2濃度係数のセットを用いて、濃度係数を決定することができる。したがって、削減モードによって第1濃度係数及び第2濃度係数のセットを使い分けることができる。つまり、削減モードが適切に設定されることにより、使用者あるいは原画像に適応した第1濃度係数及び第2濃度係数のセットを用いることができる。
【0102】
また、本実施の形態に係る印刷装置200によれば、インクの消費量の削減率が目標削減率未満である場合に重要領域を修正することができる。したがって、重要領域が適切でないためにインクの消費量を十分に削減できない場合に、重要領域を修正してインクの消費量を削減することができる。
【0103】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。本実施の形態では、上記実施の形態1に係る印刷装置に含まれるいくつかの機能が印刷装置に接続された情報端末に含まれる。以下に、本実施の形態について実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
【0104】
図16は、実施の形態3に係る印刷システムの構成を示すブロック図である。
図16において、
図1と実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0105】
本実施の形態に係る印刷システムは、情報端末300Aと印刷装置300Bとを備える。
【0106】
情報端末300Aは、例えば、タブレットコンピュータ、スマートフォン又はパーソナルコンピュータである。情報端末300Aは、通信ネットワークを介して印刷装置300Bに接続されている。
【0107】
情報端末300Aは、
図16に示すように、決定部110と、画像処理部120と、入力部140と、表示部150と、を備える。情報端末300Aは、原画像10を処理して印刷用画像20を印刷装置300Bに送信する。
【0108】
印刷装置300Bは、
図16に示すように、印刷部130を備える。印刷装置300Bは、情報端末300Aから受信した印刷用画像20を媒体に印刷する。
【0109】
以上のように、本実施の形態に係る印刷システムによれば、実施の形態1と同様の効果を、情報端末300A及び印刷装置300Bを用いて実現することができる。
【0110】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4について説明する。本実施の形態では、上記実施の形態3と同様に、上記実施の形態1に係る印刷装置に含まれるいくつかの機能が印刷装置に接続された情報端末に含まれる。なお、上記実施の形態3とは、決定部及び画像処理部の配置が異なる。以下に、本実施の形態について実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
【0111】
図17は、実施の形態4に係る印刷システムの構成を示すブロック図である。
図17において、
図1と実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0112】
本実施の形態に係る印刷システムは、情報端末400Aと印刷装置400Bとを備える。
【0113】
情報端末400Aは、
図17に示すように、入力部140と、表示部150と、を備える。情報端末400Aは、入力部140を介して使用者から入力された重要領域の情報を印刷装置400Bに送信する。
【0114】
印刷装置400Bは、決定部210と、画像処理部120と、印刷部130と、を備える。印刷装置400Bは、情報端末400Aから受信した重要領域の情報に基づいて原画像10を処理して印刷用画像20を生成し媒体に印刷する。
【0115】
以上のように、本実施の形態に係る印刷システムによれば、実施の形態1と同様の効果を、情報端末400A及び印刷装置400Bを用いて実現することができる。
【0116】
(実施の形態5)
次に、実施の形態5について説明する。本実施の形態では、印刷装置が読取部を備える点が上記実施の形態1と異なる。以下に、本実施の形態について実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
【0117】
図18は、実施の形態5に係る印刷装置500の機能構成を示すブロック図である。
図18において、
図1と実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0118】
実施の形態5に係る印刷装置500は、決定部110と、画像処理部120と、印刷部130と、入力部140と、表示部150と、読取部510と、を備える。
【0119】
読取部510は、例えばイメージスキャナーであり、媒体に形成された画像を読み取り、原画像データを生成する。
【0120】
以上のように、本実施の形態に係る印刷装置500によれば、読取部510を備えることができ、いわゆる複合機において実施の形態1と同様の効果を実現することができる。
【0121】
(他の実施の形態)
以上、本発明の1つ又は複数の態様に係る印刷装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の1つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0122】
例えば、上記実施の形態2と上記実施の形態3〜5のいずれかとが組み合わされてもよい。つまり、上記実施の形態2におけるいくつかの機能は、情報端末に含まれてもよい。
【0123】
なお、上記各実施の形態において、重要領域内の複数の画素において濃度係数は一定であったが、これに限らない。例えば、重要領域内において、画素と重要領域の中心との距離が増加するほど当該画素の濃度係数が減少してもよい。
【0124】
なお、上記各実施の形態では、画素単位で濃度係数が決定されていたが、画素の集合(ブロック)単位で濃度係数が決定されてもよい。
【0125】
なお、上記各実施の形態では、重要領域内の画素及び境界部の画素の濃度係数が決定された後に他の画素の濃度係数が補間されていたが、濃度係数の決定方法はこれに限らない。例えば、重要領域からの距離に比例して各画素の濃度係数が決定されてもよい。つまり、画素と重要領域との距離が増加するほど当該画素の濃度係数が減少するように濃度係数が決定されてもよい。
【0126】
なお、上記各実施の形態では、
図3に示すように、GUI30においてフィルハンドル35を用いて領域の移動及び拡大/縮小が行われていたが、領域の入力方法はこれに限らない。例えば、
図19に示すように、スライダーによって領域の境界線の位置が入力されてもよい。
【0127】
図19は、他の実施の形態における重要領域の決定のためのGUIの一例を示す図である。GUI90では、第1画像91とともに、領域92が他の領域と区別されて表示されている。GUI90は、スライダー93A、93B、94A、94Bを含む。スライダー93A、93Bは、水平方向にスライド可能であり、領域92の垂直境界線の位置を入力する。また、スライダー94A、94Bは、垂直方向にスライド可能であり、領域92の水平境界線の位置を入力する。これらのスライダー93A、93B、94A、94Bを移動させることにより、領域92の移動及び拡大/縮小が行われる。
【0128】
なお、上記各実施の形態では、入力部を介して使用者が重要領域の入力を行っていたが、必ずしも使用者の入力は必要ではない。例えば、使用者の入力なしに、顔認識、個人認識、物体認識又は文字認識などを用いて自動的に抽出された領域が重要領域として決定されてもよい。
【0129】
なお、上記各実施の形態では、原画像に対して前処理及び色変換が行われていたが、これらの処理は必ずしも必要ではない。例えば、原画像が、前処理済み、かつ、色変換済みの画像である場合は、前処理及び色変換が省略される。この場合は、画像処理部は、前処理部及び色変換部を含まなくてもよい。また、画像処理部は、二値化部を含まなくてもよい。