【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り コンシューマ・エレクトロニクス・ショー(米国 ネバダ州、ラス ベガス) 展示日 2017年1月5日
【解決手段】電子機器10は、第1筐体部材26の開口26cを第2筐体部材27で塞いだ箱状の本体筐体14を備える。また電子機器10は、電波を送受信するアンテナモジュール12が載置されるアンテナ載置面36cを有し、第1筐体部材26の内面26dに固定される金属製のブラケット36と、ブラケット36に装着され、アンテナ載置面36c上でアンテナモジュール12を保持する樹脂製の保持具38とを備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような電子機器は、さらなる通信スピードの向上等のため、その周波数帯が次第に高周波になってきている。例えばWiGig(Wireless Gigabit)規格は、60GHz帯の無線通信規格であり、短距離高速デジタル無線伝送用として世界的に用いられる規格である。この種のアンテナは、電波の指向性や直進性が強く、アンテナモジュールでの発熱量も大きい。このため、この種のアンテナモジュールは、電波の送受信方向が導体に遮蔽されず、十分な放熱構造を設けた状態で電子機器の筐体内に搭載される必要がある。
【0005】
ところが、この種のアンテナモジュールを上記特許文献1のようにディスプレイ筐体に搭載する場合には、導体であるディスプレイによる電波の遮蔽と、薄いディスプレイ筐体内での放熱構造の構築とが問題となる。すなわち、この種のアンテナモジュールをディスプレイ筐体に搭載する場合は、ディスプレイとアンテナモジュールの間に一定の間隔を確保し、さらに薄くスペースの少ない筐体内に放熱用部品等を設置する必要がある。その結果、電子機器は、例えばディスプレイの周縁部を覆う樹脂製のベゼル部材を幅広に構成せざるを得ず、機器の外観品質が損なわれることになる。
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、アンテナモジュールでの良好な通信品質や放熱性を確保することができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の電子機器は、一方の筐体部材の開口を他方の筐体部材で塞いだ箱状の筐体と、電波を送受信するアンテナモジュールが載置されるアンテナ載置面を有し、前記一方の筐体部材の内面に固定される金属製のブラケットと、前記ブラケットに装着され、前記アンテナ載置面上で前記アンテナモジュールを保持する樹脂製の保持具とを備えることを特徴とする。
【0008】
本開示の電子機器は、前記アンテナ載置面と前記アンテナモジュールとの間に、熱伝導性を持ったシート状部材を設けた構成であってもよい。
【0009】
本開示の電子機器において、前記保持具は、内側に孔部が形成された枠状部材であり、前記アンテナ載置面及び前記アンテナモジュールは、前記孔部の内側に配置された構成であってもよい。
【0010】
本開示の電子機器において、前記筐体は、内部に電子部品を有すると共に、該電子部品は、前記一方の筐体部材の内面に固定されており、前記アンテナモジュールは、前記一方の筐体部材の内面よりも前記他方の筐体部材の内面に近接した位置に配置された構成であってもよい。
【0011】
本開示の電子機器において、前記他方の筐体部材は、少なくとも一部に樹脂製の電波透過部を有し、前記アンテナモジュールは、少なくとも前記アンテナ載置面と対向する面の裏面に電波送受信部を有すると共に、該電波送受信部が前記電波透過部に対向配置された構成であってもよい。
【0012】
本開示の電子機器において、前記アンテナモジュールは、少なくとも前記電波送受信部の周囲に対して180度以上の範囲で電波を送受信可能であり、前記一方の筐体部材は、少なくとも前記アンテナモジュールと重なる位置に樹脂製の電波透過部を有する構成であってもよい。
【0013】
本開示の電子機器は、前記一方の筐体部材の上面にキーボード装置を有する前記筐体と、ディスプレイを有し、前記筐体に対してヒンジを介して開閉可能に連結されたディスプレイ筐体とを備える構成であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、アンテナモジュールでの良好な通信品質や放熱性を確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る電子機器について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1は、本開示に係る電子機器10の斜視図である。
図1に示すように、電子機器10は、無線通信用のアンテナとなるアンテナモジュール12を搭載した本体筐体14と、ディスプレイ筐体16とを備える。
【0018】
以下、
図1に示すように、ディスプレイ筐体16に設けられたディスプレイ18をユーザが視認している状態を基準とし、手前側を前、奥側を後と呼び、本体筐体14の幅方向で左方を左、右方を右と呼び、本体筐体14の厚み方向で上方を上、下方を下と呼んで説明する。
【0019】
本体筐体14は、上面にキーボード装置22及びタッチパッド24が設けられ、内部にアンテナモジュール12が設けられている。
【0020】
本体筐体14は、上側の第1筐体部材26と下側の第2筐体部材27とで扁平箱状に形成されている。第1筐体部材26は、本体筐体14の上面を形成する上板26aと、上板26aの四周縁部から垂下された4枚の側板26bとを有し、上面が蓋され、下面が開口した形状である。第2筐体部材27は、本体筐体14の下面を形成する板状部材であり、第1筐体部材26の下面側の開口26c(
図2参照)を塞ぐカバー部材となる。キーボード装置22及びタッチパッド24は、第1筐体部材26の上板26aに設けられた開口を通して本体筐体14の上面に露出されている。
【0021】
ディスプレイ筐体16は、本体筐体14よりも薄い扁平箱状に構成され、その内面にディスプレイ18が配設されている。ディスプレイ筐体16は、その下端部がヒンジ28を介して本体筐体14の後端部と開閉可能に連結されている。ディスプレイ筐体16は、ヒンジ28を通過した図示しないケーブルにより本体筐体14と電気的に接続されている。
【0022】
本開示の電子機器10は、本体筐体14にディスプレイ筐体16を重ねた0度位置から、ディスプレイ筐体16を本体筐体14から平行するまで開いた180度位置まで開閉可能なクラムシェル型構造である。電子機器10は、ディスプレイ筐体16を本体筐体14の下面側まで反転させた360度位置まで開閉可能な構造であってもよい。
【0023】
図2は、本開示の本体筐体14の内部構造の構成例を模式的に示す図であり、第2筐体部材27を取り外した第1筐体部材26を下面側から見た図である。
【0024】
図2に示すように、本体筐体14は、その内部に各種電子部品、例えば基板30、CPU(中央演算装置)31、冷却ファン32、ヒートパイプ33、HDD(ハードディスク)装置34及びバッテリ装置35を収納している。これら電子部品は、第1筐体部材26の内面26dに取付固定されている。
【0025】
当該電子機器10は、図示しないメモリ装置の増設等のメンテナンス作業のために、ユーザが第1筐体部材26から第2筐体部材27を取り外すことを想定している。そこで、電子機器10では、本体筐体14の内部に搭載される基板30等の電子部品が第1筐体部材26の内面26dに固定されている。これにより本体筐体14は、第1筐体部材26と第2筐体部材27との間に配線等が亘らない構造となっている。第2筐体部材27は、例えば所定のねじや係合構造を用いて第1筐体部材26に着脱される。
【0026】
アンテナモジュール12は、本体筐体14内で後端部略中央に配置されている。アンテナモジュール12は、例えばWiGig規格に準拠した仕様であり、例えば60GHz帯の無線通信における電波の送受信を行うものである。
【0027】
図3は、本開示のアンテナモジュール12の取付構造を示す分解斜視図である。
図4は、本開示のアンテナモジュール12の取付構造を示す斜視図である。
図5は、
図4に示すアンテナモジュール12を裏側から見た状態を示す斜視図である。
図6は、
図4に示すアンテナモジュール12の平面図である。
【0028】
図2〜
図6に示すように、アンテナモジュール12は、ブラケット36及び保持具38を介して第1筐体部材26の内面26dに取付固定されている。
【0029】
ブラケット36は、金属製の板金部品である。ブラケット36は、アルミニウムや銅のような熱伝導率の高い金属で形成されている。ブラケット36は、取付部36aと、ブリッジ部36bと、アンテナ載置面36cと、一対の装着孔36d,36dとを有する。
【0030】
取付部36aは、第1筐体部材26の内面26dに取付固定される平板である。例えば取付部36aは、雌ねじ39aを有し、内面26dから突出したボス39の頂面に当接配置される(
図3参照)。取付部36aは、貫通孔36eを有する。貫通孔36eには、雌ねじ39aに締結されるねじ40(
図6参照)のねじ部が挿通される。
【0031】
ブリッジ部36bは、取付部36aとアンテナ載置面36c及び装着孔36dとの間を繋ぐ板部である。ブリッジ部36bは、取付部36a、アンテナ載置面36c及び装着孔36dよりも上方となる位置に配置されている。ブリッジ部36bは、内面26dと平行に設置される平板である。ブリッジ部36bは省略されてもよい。
【0032】
アンテナ載置面36cは、アンテナモジュール12が載置される平面である。本開示の場合、アンテナモジュール12は、熱伝導シート42を介してアンテナ載置面36c上に載置される。アンテナ載置面36cは、取付部36a、ブリッジ部36b及び装着孔36dよりも下方に張り出した位置に配置されている。アンテナ載置面36cは、内面26dに対して上下方向に傾斜した平板36fに形成された面である。
【0033】
熱伝導シート42は、高い熱伝導率を有するシート状部材である。熱伝導シート42は、アンテナモジュール12とアンテナ載置面36cとの間を密着させ、アンテナモジュール12からアンテナ載置面36cへの良好な熱伝達を確保するための部品である。熱伝導シート42は、例えば高い熱伝導率を持ったゴムシート(サーマルラバーシート)で形成されている。
【0034】
一対の装着孔36d,36dは、アンテナ載置面36cを左右に跨いで設けられている。各装着孔36dは、それぞれアンテナ載置面36cと平行な平板36gに形成された貫通孔である。各装着孔36dの軸線方向は、アンテナ載置面36cの垂直方向と平行している。
【0035】
ブラケット36は、ブリッジ部36bと取付部36aとの間に上下方向に屈曲したクランク形状部36hを有し、ブリッジ部36bと装着孔36d(平板36g)との間に上下前後方向に捻じれたクランク形状部36iを有する。また、アンテナ載置面36cが形成された平板36fは、各装着孔36dが形成された平板36gよりも下方に張り出している。これにより、ブラケット36はアンテナ載置面36cを取付部36aに対して傾いた姿勢で、且つ最も下方となる位置に配置している。また、ブラケット36はその長手方向(左右方向)に対して上下方向に屈曲した形状であるため、薄板で構成されつつも十分な強度と剛性を有する。
【0036】
保持具38は、電波透過性を持った樹脂製の枠状部材である。保持具38は、孔部38aと、一対の爪部38b,38bと、側壁部38cと、一対の側壁部38d,38dと、一対の嵌合ピン38e,38eとを有する。
【0037】
孔部38aは、枠状部材である保持具38の内側開口である。孔部38aには、上側からアンテナ載置面36cが挿入され、下側から熱伝導シート42及びアンテナモジュール12が挿入される。つまりアンテナモジュール12は、孔部38a内で熱伝導シート42を介してアンテナ載置面36c上に載置される。
【0038】
一対の爪部38b,38bは、孔部38aを左右に挟んで互いに対向配置されている。各爪部38bは、孔部38a内に挿入配置されたアンテナモジュール12の左右縁部にそれぞれ係合するフックである。各爪部38bは、樹脂製の幅狭板の先端に設けられることで弾性変位する。これにより各爪部38bは、容易にアンテナモジュール12に係合可能である。
【0039】
側壁部38cは、孔部38aの前壁である。一対の側壁部38d,38dは、側壁部38cと対向配置されるものであり、孔部38aの後壁である。各側壁部38dは一体構造でもよい。本開示の各側壁部38dは左右に離間して一対設けられる。このため、側壁部38d,38d間には、指や工具を挿入してアンテナモジュール12を着脱させるための隙間が形成されている。これら側壁部38c,38dは、爪部38b,38b間とアンテナ載置面36cとの間で上下左右保持されたアンテナモジュール12を前後方向に保持する部分である。
【0040】
一対の嵌合ピン38e,38eは、それぞれブラケット36の一対の装着孔36d,36dに嵌合可能である。保持具38は、各嵌合ピン38eが設けられた左右の枠部材の下面がブラケット36の平板38gに当接配置される。この際、各嵌合ピン38eは、各装着孔36dに嵌合される。これにより、保持具38はブラケット36に取付固定される。
【0041】
当該電子機器10では、ブラケット36に固定した保持具38に熱伝導シート42及びアンテナモジュール12を保持させることで、アンテナモジュール12がブラケット36に装着される。すなわちアンテナモジュール12は、下面がアンテナ載置面36cで支持され、上面が爪部38bで支持されることで、ブラケット36と保持具38によって保持される。この際、アンテナモジュール12は、熱伝導シート42を介してアンテナ載置面36c上に密着する。このため、アンテナモジュール12の発熱は、アンテナ載置面36cから金属製のブラケット36全体へと円滑に放熱される。つまりブラケット36は、アンテナモジュール12の取付具としての機能と、放熱具としての機能を兼ねる。
【0042】
また、ブラケット36に装着されたアンテナモジュール12は、アンテナ載置面36cに対向する装着面12a以外の周囲が電波透過性を持った樹脂製の保持具38によって囲まれている。このため、装着面12a側以外の各方向に電波を送受信可能である。特に、アンテナモジュール12は、装着面12aの裏面に電波送受信部12bを有する。電波送受信部12bは、例えばアンテナモジュール12において実際に電波を送受信するアンテナパターンである。電波送受信部12bは、少なくともその周囲に対して180度以上の広範囲に電波を送受信可能である。なお、本開示のアンテナモジュール12は、装着面12aにもアンテナパターンを有するが、このアンテナパターンは導体であるアンテナ載置面36cによって略遮蔽されている。
【0043】
図7Aは、本開示の電子機器10の後端部及びその周辺部を拡大して模式的に示した側面断面図である。
図7Bは、
図7Aに示す電子機器10のディスプレイ筐体16の角度を変更した状態での側面断面図である。なお、
図7Aは、本体筐体14とディスプレイ筐体16との間を90度の角度位置に設定した状態を示し、
図7Bは、本体筐体14とディスプレイ筐体16との間を150度の角度位置に設定した状態を示している。
【0044】
図7A及び
図7Bに示すように、アンテナモジュール12は、本体筐体14内で後端部に配置されている。アンテナモジュール12は、第1筐体部材26の内面26dに固定されたブラケット36に取付固定されることで、電波送受信部12bが後斜め下を臨んだ姿勢で設置されている。またアンテナモジュール12は、ブラケット36で最も下方に配置されたアンテナ載置面36cに装着されている。このため、アンテナモジュール12は、電波送受信部12bが第1筐体部材26の内面26dよりも第2筐体部材27の内面27aに近接した位置に配置されている。つまり、アンテナモジュール12は第1筐体部材26の開口26cの開口縁部に近接した位置に配置されている。これにより、アンテナモジュール12は少なくとも下面にある電波送受信部12bが、内面26dに固定された基板30等の各種電子部品の下面と同一又はそれよりも下方に張り出した位置に配置されている。その結果、アンテナモジュール12の電波送受信部12bからの電波が基板30等の電子部品に遮蔽されることが抑制されている。
【0045】
当該電子機器10において、第2筐体部材27は、大部分がアルミニウムやマグネシウム等で形成された金属製の板状部材である。そこで、第2筐体部材27は、アンテナモジュール12に対向する位置、具体的には後端部におけるアンテナモジュール12と重なる位置に電波透過性を持った電波透過部44を有する。電波透過部44は、第2筐体部材27の金属板部に接合された樹脂製の板状部材である。これにより、アンテナモジュール12は、電波送受信部12bの後縁部から前縁部に亘って電波透過部44を通過する角度範囲に電波を送受信可能である。つまり電波送受信部12bは、
図7中に1点鎖線で示す電波R1から電波透過部44を介して電波R2に亘る角度範囲で良好に電波を送受信可能である。
図7A及び
図7Bでは、アンテナモジュール12の電波送受信部12bが電波透過部44と平行するように対向配置されているが、両者は平行に対向されず、ある程度の傾きを持って対向していてもよい。
【0046】
また第1筐体部材26は、大部分がアルミニウムやマグネシウム等で形成された金属製の板状部材である。第1筐体部材26は、上板26aのアンテナモジュール12に対向する位置、具体的には上板26aの後端部におけるアンテナモジュール12と重なる位置に電波透過性を持った電波透過部45を有する。電波透過部45は、第1筐体部材26の金属板部に接合された樹脂製の板状部材である。これにより、アンテナモジュール12は、アンテナ載置面36cから位置ずれした電波送受信部12bの後縁部から電波透過部45を通過する角度範囲で電波を送受信可能である。つまり電波送受信部12bは、
図7中に1点鎖線で示す電波R3及びその周辺で電波を良好に送受信可能である。
【0047】
上記した通り、本開示のアンテナモジュール12は、WiGig規格に準拠した高周波帯を扱う無線通信に対応しており、電波が指向性及び直進性を有する。そして、当該電子機器10の後方には、例えばアンテナモジュール12を経由して無線接続される拡張装置(WiGigドック)48が配置される。
【0048】
しかしながら電子機器10の使用時には、本体筐体14の後方にディスプレイ筐体16が配置される(
図7A及び
図7B参照)。そこで、
図7A及び
図7Bに示すように、電子機器10は、ディスプレイ筐体16の下端部にも電波透過部49,50を有する。電波透過部49,50は、電波透過性を持った樹脂製の部材である。電波透過部49は、ディスプレイ筐体16の背板52の下端部に接合されている。電波透過部50は、ディスプレイ18の下側に配置され、ディスプレイ18のベゼル部材53と接合されている。
【0049】
従って、例えばアンテナモジュール12の電波送受信部12bと拡張装置48との間を無線接続する電波R1は、各電波透過部44,49,50を良好に透過する。その結果、当該電子機器10は、拡張装置48との間で良好な無線通信品質を得ることができる。
【0050】
以上のように、本開示の電子機器10は、第1筐体部材26の開口26cを第2筐体部材27で塞いだ箱状の本体筐体14を備える。また電子機器10は、電波を送受信するアンテナモジュール12が載置されるアンテナ載置面36cを有し、第1筐体部材26の内面26dに固定される金属製のブラケット36と、ブラケット36に装着され、アンテナ載置面36c上でアンテナモジュール12を保持する樹脂製の保持具38とを備える。
【0051】
このように、当該電子機器10は、本体筐体14内に金属製のブラケット36を介してアンテナモジュール12を設置している。このため、アンテナモジュール12は、その発熱が金属製のブラケット36を介して拡散し、効率的に放熱される。また、アンテナモジュール12はブラケット36のアンテナ載置面36cに載置された状態で樹脂製の保持具38によって保持される。このため、アンテナモジュール12はブラケット36によって通信品質が大きく阻害されることはない。その結果、電子機器10は、良好な通信品質を確保できる。
【0052】
保持具38は、内側に孔部38aが形成された枠状部材である。そして、アンテナ載置面36c及びアンテナモジュール12は、孔部38aの内側に配置されている。このため、アンテナモジュール12はアンテナ載置面36c上で確実に位置決め保持される。しかもアンテナモジュール12はアンテナ載置面36c側の装着面12a以外の周囲に導体が配置されないため、良好な通信品質が得られる。
【0053】
本体筐体14は、内部に基板30等の電子部品を有すると共に、基板30等の電子部品は第1筐体部材26の内面26dに固定されている。そして、アンテナモジュール12は、第1筐体部材26の内面26dよりも第2筐体部材27の内面27aに近接した位置に配置されている。これにより、アンテナモジュール12は本体筐体14内で内面26dに固定された基板30等の他の電子部品の間に埋もれることがない。その結果、電子機器10は、一層良好な通信品質を確保できる。しかもブラケット36は他の電子部品である基板30等と共に第1筐体部材26の内面26dに固定されている。このため、筐体部材26,27間に亘る配線を削減又はなくすことができ、ユーザは円滑に且つ容易に第2筐体部材27を第1筐体部材26に対して着脱できる。その結果、電子機器10は、メンテナンス性や拡張機能が制限されることもない。
【0054】
当該電子機器10は、第1筐体部材26の上面にキーボード装置22を有する本体筐体14と、ディスプレイ18を有し、本体筐体14に対してヒンジ28を介して開閉可能に連結されたディスプレイ筐体16とを備える。これにより、電子機器10は、ディスプレイ筐体16内にアンテナモジュール12が設置されない。このため、ディスプレイ筐体16のベゼル部材53を可及的に幅狭に構成することができ、外観品質が向上する。
【0055】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0056】
上記では、ノート型PCの電子機器10を例示したが、本発明は他の電子機器、例えばタブレット型パーソナルコンピュータ、スマートフォン等に適用してもよい。また、アンテナモジュール12は、WiGig規格以外の規格に対応した仕様でもよい。
【0057】
上記では、アンテナモジュール12はブラケット36を介して第1筐体部材26に固定するものとした。しかしながら、例えば電子機器10が、基板30等の電子部品を第2筐体部材27の内面27aに固定した構成の場合には、アンテナモジュール12は、ブラケット36を介して第2筐体部材27の内面27aに固定されると共に、その内面27aに近接した位置に配置されるとよい。
【0058】
上記では、アンテナモジュール12を第2筐体部材27の内面27aに近接配置した構成を例示した。しかしながら、アンテナモジュール12は第2筐体部材27の内面27aよりも第1筐体部材26の内面26dに近接配置されてもよい。