特開2018-183243(P2018-183243A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-183243(P2018-183243A)
(43)【公開日】2018年11月22日
(54)【発明の名称】手動利器のロック機構
(51)【国際特許分類】
   B26B 13/16 20060101AFI20181026BHJP
   A01G 3/02 20060101ALI20181026BHJP
【FI】
   B26B13/16
   A01G3/02 501D
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-84986(P2017-84986)
(22)【出願日】2017年4月24日
(11)【特許番号】特許第6157768号(P6157768)
(45)【特許公報発行日】2017年7月5日
(71)【出願人】
【識別番号】500119444
【氏名又は名称】株式会社近正
(74)【代理人】
【識別番号】100194456
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 勇
(72)【発明者】
【氏名】和田祥一
【テーマコード(参考)】
3C065
【Fターム(参考)】
3C065AA02
3C065DA02
3C065FA03
(57)【要約】
【課題】ロック解除時に反対側のグリップに当たらない手動利器のロック機構を提供する。
【解決手段】一対のグリップを閉じたロック状態にする手動利器のロック機構において、一方のグリップ(4)の端に設けられた保持用凹部(8)と、他方のグリップ(5)の端に設けられた係止用凹部(9)と、保持用凹部に着脱可能及び回動可能に設けられ、係止用凹部に係止して一対のグリップを閉じたロック状態にするリング部材(10)と、リング部材を保持用凹部に着脱及び回動可能に入れる弁部(11)とを含み、保持用凹部及び弁部は、リング部材が係止用凹部から外された場合に、他方のグリップから離れた姿勢にリング部材を挟持する。手動利器を使用する際、リング部材をロック状態から外す動作によって、リング部材はグリップに当たらない姿勢に保持用凹部及び弁部によって挟持され、保持される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
常時開放状態に付勢されている一対のグリップを握ることにより対象物を切断又は挟持する手動利器に備えられ、前記一対のグリップを閉じたロック状態にする手動利器のロック機構において、
一方のグリップの端に設けられた保持用凹部と、
他方のグリップの端に設けられた係止用凹部と、
前記保持用凹部に着脱可能及び回動可能に設けられ、前記係止用凹部に係止して前記一対のグリップを閉じたロック状態にするリング部材と、
前記リング部材を前記保持用凹部に着脱可能及び回動可能に入れる弁部と、を含んでおり、
前記保持用凹部及び弁部は、前記リング部材が係止用凹部から外された場合に、前記一対のグリップを閉じても他方のグリップに当たらない、当該他方のグリップから離れた姿勢に前記リング部材を挟持する、ことを特徴とする手動利器のロック機構。
【請求項2】
前記リング部材は、前記保持用凹部に保持される部分の断面が楕円又は1以上の直線部分を有する形になっており、前記保持用凹部及び弁部は、リング部材を遊びの無い状態で、または遊びの有る状態で、前記姿勢に挟持する、請求項1に記載の手動利器のロック機構。
【請求項3】
更に、前記リング部材は、前記係止用凹部から外された場合に、前記一方のグリップの端を挟持して、当該リング部材の姿勢を固定する突出部を、当該リング部材の内周面に有している、請求項2に記載の手動利器のロック機構。
【請求項4】
前記一対のグリップは同一構造物であり、前記リング部材は、前記他方のグリップの係止用凹部に係止する係止部を有している、請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の手動利器のロック機構。
【請求項5】
前記一対のグリップの各々は単一の樹脂成型物で、前記弁部は前記保持用凹部の開放部近傍に、揺動可能な舌片状に形成されている、請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の手動利器のロック機構。
【請求項6】
前記樹脂は、ゴム弾性を有している樹脂である、請求項5に記載の手動利器のロック機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、園芸はさみ、剪定はさみ、プライヤー等の手動利器の内、常時開放状態に付勢するスプリングを備え、一対のグリップを握ることにより対象物を切断又は挟持するタイプの手動利器に関する。より詳しくは、未使用時等のために、前記手動利器のグリップを閉じた状態に固定するロック機構に関する。
【背景技術】
【0002】
図9は、手動利器の一例として、はさみ50を示す。はさみ50は、常時開放状態に付勢するスプリング51を備えている。使用者は、一対のグリップ52、53を握ることにより刃54及び55を閉じて対象物を切断する。はさみ1は、未使用時に刃54、55が開放状態となるのを防ぐロック機構56を備えている。ロック機構56は、図10に拡大して示すように、グリップ52の端に開けた開口部57と、当該開口部57に通したリング部材58と、グリップ53に設けた係止部とで構成される。リング部材58をグリップ53の係止部に係止することによって、刃54、55を閉じたロック状態にする。
【0003】
例えば特許文献1には、一方のグリップの端に揺動自在に枢支したフック形状のストッパーを他方のグリップの端に設けた係止部に着脱自在に係止することで刃を閉じた状態にするはさみが開示されている(図3、段落番号[0009])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3067477号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
はさみ50は、グリップ52に開口部57を打ち抜き加工等により設ける工程と、リング部材を通すために開口部57の端を一度開け、その後閉じる工程とが必要である。同様に、特許文献1に記載のはさみでは、一方のグリップに枢軸を用意し、ストッパーを枢動可能に留める処理が必要であり、製造工程が複雑である。また、使用時、リング部材58またはストッパーが他方のグリップに当たる恐れがあり、そのような場合にはリング部材58またはストッパーの姿勢を直し、グリップを握りなおす必要があり、不便である。
【0006】
本発明は、上記従来例の問題を解決するためになされたものであり、簡単な構成で、ロック機構を解除した後、使用時には、リング部材又はストッパーが他方のグリップに当たらない、手動利器のロック機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の手動利器のロック機構は、常時開放状態に付勢されている一対のグリップを握ることにより対象物を切断又は挟持する手動利器に備えられ、前記一対のグリップを閉じたロック状態にする手動利器のロック機構において、一方のグリップの端に設けられた保持用凹部と、他方のグリップの端に設けられた係止用凹部と、前記保持用凹部に着脱可能及び回動可能に設けられ、前記係止用凹部に係止して前記一対のグリップを閉じたロック状態にするリング部材と、前記リング部材を前記保持用凹部に着脱可能及び回動可能に入れる弁部と、を含んでおり、前記保持用凹部及び弁部は、前記リング部材が係止用凹部から外された場合に、前記一対のグリップを閉じても他方のグリップに当たらない、当該他方のグリップから離れた姿勢に前記リング部材を挟持する、ことを特徴とする。
【0008】
前記リング部材は、前記保持用凹部に保持される部分の断面が楕円又は1以上の直線部分を有する形になっており、前記保持用凹部及び弁部は、リング部材を遊びの無い状態で、または遊びの有る状態で、前記姿勢に挟持するのが好ましい。
【0009】
更に、前記リング部材は、前記係止用凹部から外された場合に、前記一方のグリップの端を挟持して、当該リング部材の姿勢を固定する突出部を、当該リング部材の内周面に有しているのが好ましい。
【0010】
前記一対のグリップは同一構造物であり、前記リング部材は、前記他方のグリップの係止用凹部に係止する係止部を有しているのが好ましい。
【0011】
前記一対のグリップの各々は単一の樹脂成型物で、前記弁部は前記保持用凹部の開放部近傍に、揺動可能な舌片状に形成されているのが好ましい。
【0012】
前記樹脂は、ゴム弾性を有している樹脂が好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、弁部を介してリング部材をグリップに取り付けるだけで、手動利器のロック機構が完成する。手動利器を使用する際には、リング部材をロック状態から外す動作によって、リング部材はグリップに当たらない姿勢に保持用凹部及び弁部によって挟持され、保持される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施の形態に係るロック機構を備えた手動利器を示す図。
図2】手動利器のロック機構部分の拡大図。
図3】手動利器のロック機構部分の拡大図。
図4】(a)はリング部材の正面図、(b)は(a)に示すA−A’線断面図、(c)は平面図、(d)は底面図。
図5】(a)は図4(a)に示したリング部材の背面図、(b)は側面図。
図6】(a)(b)は手動利器の一例であるはさみの組み立て手順を示す。
図7】手動利器の一例であるはさみの組み立て手順を示す。
図8】リング部材の変形例について示す図。
図9】従来のロック機構を備えた手動利器の一例を示す。
図10】ロック機構部分の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のロック機構を備えた手動利器は、園芸はさみ、剪定はさみ、プライヤー等の手動利器の内、常時開放状態に付勢されている一対のグリップを握ることにより対象物を切断又は挟持するタイプのものをいう。ロック機構は、一方のグリップの端に設けられた保持用凹部と、他方のグリップの端に設けられた係止用凹部と、保持用凹部に着脱可能及び回動可能に設けられ、係止用凹部に係止して前記一対のグリップを閉じたロック状態にするリング部材と、リング部材を保持用凹部に着脱可能及び回動可能に入れる弁部と、を含んでいる。保持用凹部及び弁部は、リング部材を係止用凹部から外す動作に伴って、一対のグリップを閉じても他方のグリップに当たらない、他方のグリップから離れた姿勢、具体的には、外されたときの姿勢、その姿勢から重力の作用により戻ったとしても、他方のグリップから離れた姿勢、または、その姿勢以上に係止用凹部から離れた姿勢となるようにリング部材を挟持し、保持することを特徴とする。
以下、本発明のロック機構を備えた手動利器として、はさみを例にとって説明する。
【0016】
図1は、はさみ1の正面図を示す。はさみ1は、刃2、3を開閉する1対のグリップ4、5と、グリップ4、5を常時開放状態に付勢するスプリング6と、グリップ4、5を閉じた状態に保持するロック機構7とを備える。
【0017】
ロック機構7は、一方のグリップ4の端に設けられた保持用凹部8と、他方のグリップ5の端に設けられた係止用凹部9と、保持用凹部8に着脱可能及び回動可能に取り付けられたリング部材10(図4を参照)とを備える。グリップ4、5は、同一構造で単一の樹脂成型物で、保持用凹部8の開放部近傍には、揺動可能な舌片状の弁部11を有している。弁部11をグリップ4に一体形成することによって、部品数を少なくすることができ、故障率も少なくすることができる。
【0018】
図2は、図1で示したロック機構7の部分拡大図を示す。グリップ4の保持用凹部8と、グリップ5の係止用凹部9とは、同じ形状で、それぞれ開放部近傍に、弁部11、12を有している。弁部11を通って保持用凹部8に収められたリング部材10は、保持用凹部8及び弁部11によって挟持され、図示するように、他方のグリップ5から離れた姿勢、即ち、一対のグリップ4、5を閉じた場合にグリップ4にリング部材10の先端13が当たらない姿勢(ロック解除姿勢)に保持される。より詳しくは、図中点線で示すように、リング部材10の保持用凹部8に保持される部分14の断面は、楕円状になっており、弁部11の舌片状の先が部分14の頂部15の位置、又はこれより僅かに下の位置に当接するように設計されている。リング部材10は、矢印16方向に回動可能で、遊びを有した状態で、保持用凹部8及び弁部11に挟持され、保持されている。なお、保持用凹部8及び弁部11によって区画される空間形状を、リング部材10がロック解除姿勢にあるときによりきつく保持するように形成し、遊びの無い状態にすることもできる。
【0019】
図3は、ロック機構7により、グリップ4、5を閉じたロック状態を示す。ロック状態は、リング部材10を他方の係止用凹部9に係止することによって実現する。図中点線で示すように、リング部材10の先端部13の断面は、係止部として係止用凹部9に嵌る部分を有している(図4(b)を参照)。グリップ5はグリップ4と同一構造物故、係止用凹部9には弁部11と同じ形状の弁部12が存在する。弁部12は、先端部13が係止用凹部9に係止することを妨げないだけでなく、先端部13に接し、当該先端部13の位置を安定させるように機能する。保持用凹部8の弁部11は、リング部材10の保持される部分14の頂部15を押さえており、リング部材10を係止用凹部9から外す際に、リング部材10が図2に示した姿勢となるように促す。
【0020】
図4図5は、リング部材10の構成を示す。図4(a)はリング部材10の正面図、(b)は(a)に示すA−A’線断面図、(c)は平面図、(d)は底面図を示す。図5(a)はリング部材10の背面図、(c)は側面図を示す。リング部材10の保持用凹部8で保持される部分14の断面は、楕円形を採用しているが、保持用凹部8及び弁部11で挟持することによって、グリップ5から離れた姿勢に保持できるという条件を満たす限りにおいて、多角形、円の一部を直線で切り取った形状等の1以上の直線部分を有する断面形状を採用してもよい。
【0021】
リング部材10は、その内周面に突出部17を有しており、ロック解除時に突出部17によってグリップ4の端を挟持して、リング部材10の姿勢を固定することができる。当該突出部17を設けることによって、リング部材10の姿勢保持力を高めることができる。
【0022】
リング部材10のリング部分の形状は、前方後円墳型又は矩形形状となっているが、これに限定されない。例えば、リング部分の形状を円形にして、ユーザーが小指を差し込んではさみ1をしっかりと保持できるようにしてもよい。この用途を考慮する場合、リング部材10は、グリップ4、5に比べて柔らかく伸縮性のあるゴム樹脂を採用するのが好ましい。
【0023】
図6図7は、はさみ1の組み立て工程を示す。図6(a)に示すように、グリップ4は、グリップ5と同一構造の樹脂成型品で、金型に熱可塑性樹脂を流し込んで製造する。はさみ1の刃2の茎の部分18は、グリップ4の形成時又は形成後に差し込む。グリップ4の形成時に前記茎の部分18を予め金型に差し込んでおくことで、穴19の中に樹脂が入り込み、グリップ4への取り付け強度を高めることができる。
【0024】
図6(b)に示すように、刃2の取り付けられたグリップ4の保持用凹部8にリング部材10を取り付ける。揺動可能な舌片状の弁部11は、特別な工具、及び、追加部品を用いずに、リング部材10を保持用凹部8へ着脱可能にする。リング部材10の部分14は、図示する姿勢の時に最も幅W1(上下幅)が狭く、取り付け易くなっている。取り付け後、例えば図2の姿勢の時には、断面が楕円故、見かけの幅(上下幅)が大きくなっているためリング部材10は外れ難い。弁部11は保持用凹部8の内向きに突出しており、かつ、弁部11の幅W2は、幅W1よりも小さい。このため、弁部11は、取り付けたリング部材10が保持用凹部8から外れないように逆止する機能を有している。弁部11は、リング部材10を保持用凹部8に取り付け易く、外れ難くする。但し、完全な逆止弁となっていないので、必要な時には、リング部材10の交換が可能になっている。また、弁部11は、弁としての機能以外に、保持用凹部8と共にリング部材10を予め定めた姿勢にするように機能する。図7に示すように、グリップ4とグリップ5とを、刃2、3の枢軸20、21で連結することによって、図1に示すはさみ1が完成する。
【0025】
上記構成のはさみ1は、1種類の金型で同形状の左右のグリップ4、5作ることができ、部品数が少なく、製造コストを抑えやすい利点がある。また、同一形状に作ったグリップ4、5は、その凹部が無駄になること無く、一方は、リング部材10の保持用凹部8として機能し、他方はリング部材10の係止用凹部9として機能する。
【0026】
図8は、リング部材10の保持用凹部8で保持される部分14の断面が、1以上の直線部分を有する形状の場合を示す図である。本図は、断面が、円の一部を直線で切り取った形状の場合を示す。図8(a)は、本変形例に係るグリップ30の保持用凹部31及び弁部32がリング部材33を、図示しない他方のグリップから離れた姿勢に挟持し、保持している状態を示す。図示するように、本変形例においては、リング部材33の保持用凹部31に保持される部分34の断面及び保持用凹部32に直線部分35、36を設けたことによって、リング部材33をより安定的に、即ち遊びの少ない又は無い状態で所望の姿勢に保持することができる。図8(b)は、リング部材33を図示しない他方のグリップの係止用凹部に係止せた、ロック状態を示す。保持用凹部31の弁部32は、リング部材33の保持される部分34の頂部37を押さえており、リング部材33を図示しない他方のグリップの係止用凹部から外す際に、リング部材33が図8(a)に示した姿勢となるように促す。
【0027】
本発明は、上記実施形態に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、グリップ4、5は金型で製造する他に、3Dプリンター等の3D造形技術を用いて製造してもよい。この場合においても、左右のグリップは同一構造物を利用できるので、部品数を少なくすることができるという利点がある。舌片状の弁部11は、保持用凹部8の開口部分に複数、例えば向き合う位置に2つ設けることもできる。
【0028】
上記実施形態では、グリップ4に熱可塑性樹脂を用いるが、同一構造物が製造可能で、リング部材10との間で姿勢保持に必要な摩擦係数が得られるものであれば、熱可塑性のものに限定されない。例えば、グリップ4は、合成ゴム、熱可塑性エラストマー(TPE)及び熱硬化性樹脂系エラストマー(ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム)等のゴム弾性を有する工業用材料を用いることができる。グリップ4にゴム弾性を有する樹脂を用いることにより、好ましいグリップ力が得られる。また、リング部材10と弁部11との接面を凸凹にして摩擦係数を高くするのが好ましい。この場合、ロック解除時のリング部材10の姿勢保持力を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明のロック機構は、はさみに限らず、常時開放状態に付勢されている一対のグリップを握ることにより対象物を切断又は挟持するタイプの手動利器、それに類する工具に用いることができる。
【符号の説明】
【0030】
1 はさみ
2、3 刃
4、5、30 グリップ
6 スプリング
7 ロック機構
8、31 保持用凹部
9 係止用凹部
10、33 リング部材
11、12、32 弁部
13 係止部
14、34 保持用凹部に保持される部分
17 突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2017年5月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
図9は、手動利器の一例として、はさみ50を示す。はさみ50は、常時開放状態に付勢するスプリング51を備えている。使用者は、一対のグリップ52、53を握ることにより刃54及び55を閉じて対象物を切断する。はさみ50は、未使用時に刃54、55が開放状態となるのを防ぐロック機構56を備えている。ロック機構56は、図10に拡大して示すように、グリップ52の端に開けた開口部57と、当該開口部57に通したリング部材58と、グリップ53に設けた係止部とで構成される。リング部材58をグリップ53の係止部に係止することによって、刃54、55を閉じたロック状態にする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
図2は、図1で示したロック機構7の部分拡大図を示す。グリップ4の保持用凹部8と、グリップ5の係止用凹部9とは、同じ形状で、それぞれ開放部近傍に、弁部11、12を有している。弁部11を通って保持用凹部8に収められたリング部材10は、保持用凹部8及び弁部11によって挟持され、図示するように、他方のグリップ5から離れた姿勢、即ち、一対のグリップ4、5を閉じた場合にグリップにリング部材10の先端13が当たらない姿勢(ロック解除姿勢)に保持される。より詳しくは、図中点線で示すように、リング部材10の保持用凹部8に保持される部分14の断面は、楕円状になっており、弁部11の舌片状の先が部分14の頂部15の位置、又はこれより僅かに下の位置に当接するように設計されている。リング部材10は、矢印16方向に回動可能で、遊びを有した状態で、保持用凹部8及び弁部11に挟持され、保持されている。なお、保持用凹部8及び弁部11によって区画される空間形状を、リング部材10がロック解除姿勢にあるときによりきつく保持するように形成し、遊びの無い状態にすることもできる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
図8は、リング部材10の保持用凹部8で保持される部分14の断面が、1以上の直線部分を有する形状の場合を示す図である。本図は、断面が、円の一部を直線で切り取った形状の場合を示す。図8(a)は、本変形例に係るグリップ30の保持用凹部31及び弁部32がリング部材33を、図示しない他方のグリップから離れた姿勢に挟持し、保持している状態を示す。図示するように、本変形例においては、リング部材33の保持用凹部31に保持される部分34の断面及び保持用凹部31に直線部分35、36を設けたことによって、リング部材33をより安定的に、即ち遊びの少ない又は無い状態で所望の姿勢に保持することができる。図8(b)は、リング部材33を図示しない他方のグリップの係止用凹部に係止せた、ロック状態を示す。保持用凹部31の弁部32は、リング部材33の保持される部分34の頂部37を押さえており、リング部材33を図示しない他方のグリップの係止用凹部から外す際に、リング部材33が図8(a)に示した姿勢となるように促す。