【解決手段】 その方法は、用具の位置に対応する位置データが利用できるかどうかを決定することを含む。位置データが利用できる場合、その方法は、用具の位置を提示するために位置データを提供することを含む。位置データが利用できない場合、その方法は、用具の速度及び用具の加速度に基づいて用具の推定位置を決定することと、用具の推定位置に対応する推定位置データを生成することと、用具の位置として推定位置を提示するために推定位置データを提供することを含む。その方法は、加速度計データが利用できるかどうかを決定することを含む。加速度計データが利用できる場合、その方法は、加速度計データを用いて用具の位置を推定することを含む。
【発明を実施するための形態】
【0005】
電磁ナビゲーションシステムを用いて、医療処置中、3D空間内の医療用具の位置を決定する。処置中、医療用具は、信号(例えば、磁界の振幅と位相に基づく電気信号)の生成及び送信を行い、それらの位置の決定を容易にする。いくつかの既存のシステムでは、信号は有線媒体(例えば、ケーブル)を介してシステム部品に送信される。
【0006】
しかし、短距離無線技術の進歩のために、いくつかのシステムは、システム部品に無線的に接続された用具を利用し、信号は、様々な短距離無線プロトコル(Institute of Electrical Engineers(IEEE)802.11g IrDA(赤外線データ)及びEricssonブルートゥース(商標))を介してシステム部品に無線的に送信される。例えば、医療関係者(耳部、鼻部及び咽喉部(ENT)の医師及び心臓内科医)は、カテーテル等のバッテリ駆動の用具を用いて、患者の解剖学的構造に医療処置を実行する。用具の決定位置に基づいて、患者の解剖学的情報が医療関係者に提示(例えば、表示)される。従って、処置の効率及び成功は、用具の位置を連続的に提供することに依存する。
【0007】
本出願は、磁界を用いて、3D空間内の医療用具の位置を計算するシステム、装置及び方法を開示する。各用具は、データ(例えば、磁界を用いた位置データ(これ以降「位置データ」)、速度データ及び加速度データ)を処理デバイスに無線的に送信し、3D空間内に用具の位置をマッピングするように構成される。3D空間内の用具の位置に対応する位置データが、所定の時点又は期間に処理に利用できない(例えば、位置データが処理デバイスにおいて受信されていない、データが不正確である)場合、処理デバイスは既に計算済みのデータを用いて3D空間内の用具の位置を推定する。例えば、処理デバイスは、経時的に異なる位置における用具の速度及び加速度に対応する既に計算済みのデータを用いる。用具の速度及び加速度は、動作中に連続的に計算でき、位置データが処理に利用できない場合、用具の位置を推定するために計算済みのデータを処理に利用できる。処理デバイスは、加速度計データ(つまり、用具における加速度計からの加速度データ)が処理に利用できるかどうかを決定し、既に計算済みのデータに加えて又は代替的に、加速度計データを用いて、3D空間内の用具の位置を推定することもできる。
【0008】
ここで
図1を参照すると、一例の医療システム20の図が示されており、それは、情報52(例えば、チャート、患者の一部の解剖学的モデル及び信号情報)を生成し表示するために使用できる。
図1に示したシステム20及び用具22は、一例にすぎない。用具22等の医療用具は、患者28の心臓26内の電位マッピング等の診断又は治療上の処置に用いられる任意の用具であってもよい。代替的に、用具は、必要な変更を加えて、心臓、肺、又はその他の人体臓器内(例えば、耳部、鼻部、及び咽喉(ENT))等の異なる解剖学的部分の他の治療目的及び/又は診断目的で使用されてもよい。用具は、例えば、プローブ、カテーテル、切断用具、及び吸引デバイスを含んでもよい。
【0009】
操作者30は、非先端区画54及び先端56を含むことができる用具22を患者28の血管系等の患者の解剖学的構造の一部に挿入でき、用具22の先端56を心臓26のチャンバ内に進入させる。制御コンソール24は磁気的位置検出を用いて、心臓26の内側の3D空間内の用具22の位置座標(例えば、先端56の座標)を決定できる。位置座標を決定するために、制御コンソール24の駆動回路34は、コネクタ44を介して磁界発生装置36を駆動し、患者28の解剖学的構造内に磁界を生成できる。
【0010】
磁場発生装置36は、患者28の外部の既知の位置に配置された1つ以上のエミッタコイル(
図1には図示せず)を含み、該コイルは、患者の解剖学的構造の関心部分が入っている既定の作業範囲内に磁場を生成するように構成されている。各エミッタコイルは異なる周波数で駆動され、3D空間内に一定の磁界を出射する。例えば、
図1に示す例示の医療システム20では、1つ以上のエミッタコイルは、患者28の胴の下に配置されることができ、それぞれが患者の心臓26が入っている既定の作業範囲内に磁場を生成するように構成されている。
【0011】
図1に示したように、磁界位置センサ38は用具22の先端56に配置される。磁界位置センサ38を用いて3D空間内の受信コイルの位置を決定し、磁界の振幅と位相に基づいて電気信号を生成する。磁界位置センサ38は用具22の先端56に配置されるが、用具は、用具の任意の部分にそれぞれ配置した1つ以上の磁界位置センサを含むこともできる。
【0012】
信号は、用具22における無線通信インタフェースを介して制御コンソール24に無線的に通信され、制御コンソール24内の対応する入出力(I/O)インタフェース42と通信できる。無線通信インタフェース及びI/Oインタフェース42は、例えば、赤外線(IR)、高周波(RF)、ブルートゥース、IEEE 802.11規格ファミリの1つ(例えば、Wi−Fi)、又はHiperLAN規格等の、従来から知られている任意の好適な無線通信規格に従って動作できる。体表面電極46は、フレキシブル基板上に一体化した1つ以上の無線センサノードを含んでいてもよい。1つ以上の無線センサノードは、以降でより詳しく説明するように、ローカルのデジタル信号処理を可能にする無線送受信ユニット(WTRU)、無線リンク、及び小型充電バッテリを含んでいてもよい。
【0013】
I/Oインタフェース42は、用具22、体表面電極46及び位置センサ(図示せず)との制御コンソール24のやり取りを可能にしてもよい。医療システム20のI/Oインタフェース42及び他の部品を介して、体表面電極46から受け取った電気インパルス、及び用具22から受け取った電気信号に基づいて、プロセッサ40は、3D空間内の用具の位置を決定し、表示情報52を生成でき、表示情報52は表示装置50上に示してもよい。表示情報52は表示装置50上に示されるが、音声等、任意の既知の形態で用具22の位置を生成し、提示することもできる。
【0014】
プロセッサ40は1つ以上のプロセッサを含んでいてもよく、信号(例えば、信号パケットに含まれる処理情報)を処理し、位置及び方向座標を含む3D空間内の先端56の位置座標を決定するように構成される。位置データは、3D空間内の点、磁界の強度及びタイムスタンプを含むことができる。プロセッサ40を用いて、位置データ及び加速度計データの利用可能性を決定すること、位置データに基づいて用具22の位置を決定すること、加速度計データ及び既に計算済みのデータ(例えば、速度及び加速度データ)に基づいて用具22の位置を推定すること、(例えば、カルマンフィルタを介して)推定位置データをフィルタ処理すること、及び表示装置50に示すことができる表示情報52を生成すること等、本明細書で説明される3D空間内で用具の位置確認を行う方法の任意の部分を実行できる。
【0015】
これまでに説明した位置検出の方法は、カリフォルニア州、Diamond BarのBiosense Webster Inc.によって製造されたCARTマッピングシステム内で実行され、本明細書で述べられる特許及び特許出願で詳しく説明される。
【0016】
磁界位置センサ38は信号を制御コンソール24に送信し、3D空間内の用具22の位置データ(例えば、先端56の位置座標)を示す。磁界位置センサ38は、1つ以上の小型受信コイルを含んでいてもよく、異なる軸に沿って方向付けした複数の小型コイルを含んでいてもよい。代替的に、磁界位置センサ38は、任意の種類の磁気センサ、又はインピーダンスに基づく又は超音波位置センサ等、他の種類の位置検出器を含んでいてもよい。
図1は単一の位置センサを有する用具22を示しているが、本実施形態は、1つより多くの位置センサを備えた用具を含んでいてもよい。磁気的位置追跡技術は、例えば、米国特許第5,391,199号、第5,443,489号、第6,788,967号、第6,690,963号、第5,558,091号、第6,172,499号、第6,177,792号で説明されており、これらの開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0017】
用具22は、先端56に連結され、かつインピーダンスに基づく位置検出器として機能するように構成された、電極48を含んでもよい。追加的に又は代替的に、電極48は、特定の生理学的性質、例えば、1つ以上の位置における局所表面電位(例えば、心組織の電位)等を測定するように構成されてもよい。電極48は、心臓26の心内膜組織をアブレーションするために、RFエネルギーを印加するように構成され得る。
【0018】
プロセッサ40は、好適なフロントエンド及びインタフェース回路付きの汎用コンピュータに含まれていてもよく、用具22から信号を受信し、制御コンソール24の他の部品を制御する。プロセッサ40は、ソフトウェアを用いてプログラムされ、本明細書で説明される機能を実行できる。ソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子的形態で制御コンソール24にダウンロードされてもよく、又はそれは、光学的、磁気的、若しくは電子的記録媒体等の持続性有形媒体上に提供されてもよい。代替的に、プロセッサ40の機能の一部又は全ては、専用又はプログラム可能なデジタルハードウェア部品によって実行できる。
【0019】
図1に示す実施例では、制御コンソール24は、ケーブル44を介して体表面電極46に接続されており、体表面電極46のそれぞれは、患者の皮膚に付着するパッチ(例えば、
図1では電極46の周りの円として示される)を使用して患者28に取り付けられている。パッチに加えて又はそれに代替して、体表面電極46はまた、患者28によって着用される、体表面電極46を含む物品を使用して患者上に位置付けられてもよく、着用された物品の位置を示す1つ以上の位置センサ(図示されず)を含んでもよい。例えば、体表面電極46は、患者28によって着用されるように構成されたベストに埋め込まれてもよい。手術中、体表面電極46は、心組織の分極及び脱分極によって生じる電気インパルスを検出し、ケーブル44を介して情報を制御コンソール24に送信することによって、3D空間内の用具(例えば、カテーテル)の位置を提供するのに役立つ。体表面電極46は、磁気位置追跡装置を装備していてもよく、患者28の呼吸サイクルを特定し追跡するのに役立ち得る。
【0020】
追加的に又は代替的に、用具22、体表面電極46及び他のセンサ(図示せず)は、無線インタフェースを介して、制御コンソール24及び互いに通信できる。例えば、開示内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,266,551号は、とりわけ、信号処理装置及び/又は計算装置に物理的に接続されていないワイヤレスカテーテルについて記載しており、これは参照により本明細書に組み込まれる。もっと正確に言えば、送受信機はカテーテルの近位端に取り付けられている。送受信機は、例えばIR送信、RF送信、ブルートゥース送信、又は音響送信等の無線通信方法を使用して、信号処理装置及び/又は計算装置と通信する。
【0021】
診断処置中、プロセッサ40は表示情報52を提示してもよく、情報52を表すデータをメモリ58に記憶してもよい。メモリ58は、ランダムアクセスメモリ又はハードディスクドライブ等、任意の好適な揮発性及び/又は不揮発性メモリを含んでいてもよい。操作者30は、1つ以上の入力デバイス59を使用して表示情報52を操作することができてもよい。代替的に、医療システム20は、操作者30が用具22を操作している間、制御コンソール24を操作する第二操作者を含んでいてもよい。
図1に示す構成は例示的なものであることを理解されたい。医療システム20の任意の好適な構成を使用し、実装することができる。
【0022】
図2は、本明細書で説明される特徴を実行可能な一例の医療システム200の一例の部品を示すブロック図である。
図2に示したように、システム200は、用具202、処理デバイス204及び表示デバイス206を含む。表示デバイス206(例えば、
図1の表示装置50)は、1つ以上のネットワーク(例えば、インターネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)又はワイドエリアネットワーク(WAN))を介して処理デバイス204と有線通信、無線通信又は有線及び無線通信の組み合わせを行ってもよい。表示デバイス206は1つ以上の表示装置を含んでいてもよく、それぞれ経時的な用具の位置及び患者の解剖学的構造のマップ(例えば、患者の心臓のマップ)等の異なる情報を表示するように構成される。
【0023】
図2に示したように、処理デバイス204は、プロセッサ214、メモリ212(例えば、プロセッサ214によって実行される情報及び命令を記憶する)及びストレージ220(例えば、ハードディスク又はリムーバブルメディアドライブ)を含む。処理デバイス204と表示デバイス206は、例えば、
図1に示した例示的な制御コンソール24の一部であってもよい。
【0024】
図2に示したように、用具202はセンサ216を含む。センサ216は、1つ以上のセンサ(例えば、
図1に示した磁界位置センサ38又は
図3に示したセンサ316)を含み、位置信号を提供し、3D空間内の用具202の位置を示してもよい。
図2に示したように、システム200は更なるセンサ210を含んでいてもよい。更なるセンサ210は、
図1に示した表面電極46等の、用具202とは別個の1つ以上のセンサを含み、3D空間内の用具202の位置を示す位置情報を提供できる。
【0025】
図2に示したように、処理デバイス204はプロセッサ214を含み、1つ以上のプロセッサを含んでいてもよい。プロセッサ214は、電磁信号を処理し、電磁信号を経時的に記録し、電磁信号をフィルタ処理し、電磁信号情報の生成及び組み合わせを行い、表示用の情報を提供し、表示デバイス206に情報を表示するために表示デバイス206を制御することができる。プロセッサ214はマッピング情報の生成及び補間を行い、表示デバイス206に心臓のマップを表示できる。プロセッサ214は、1つ以上のセンサ(例えば、1つ以上の更なるセンサ210及び1つ以上の用具センサ216)から獲得した位置情報を処理し、用具202(例えば、用具の先端部)の位置及び方向座標を決定できる。
【0026】
プロセッサ214は、メモリ212と通信を行い、本明細書で説明される3D空間内で用具の位置確認を行う方法の任意の部分を実行するために使用できる。例えば、プロセッサ214は、センサ216を介して獲得した信号に基づいて速度及び加速度データを計算し、速度及び加速度データに基づいて位置データを推定できる。加えて、プロセッサ214は、用具202の位置に対応する用具202で獲得した位置データが処理に利用できるかどうかを決定してもよい。位置データが利用できる場合、プロセッサ214は、用具202の位置を表示するために位置データを提供する。位置データが利用できない場合、プロセッサ214は、用具202の計算済みの速度及び加速度に基づいて、用具202の推定位置に対応する位置データを推定し、推定位置に従って用具202の位置を表示するために推定位置データを(表示プロセッサ又は表示デバイス206に)提供する。プロセッサ214は表示デバイス206を駆動し、用具202の位置を表示してもよい。
【0027】
いくつかの実施形態において、用具202は、
図2には破線で示されている加速度計208を含み、用具202の加速度を経時的に検出できる。いくつかの実施形態において、用具202は、
図2に破線で同様に示されているプロセッサ218を含んでいてもよい。
【0028】
プロセッサ218を用いて、プロセッサ214によって実行される1つ以上の機能を実行できる。例えば、プロセッサ218を用いて、センサ216を介して獲得した信号に基づいて、用具202の速度及び加速度データを計算できる。計算済みの速度及び加速度データは、その後、処理デバイス204に送信できる。処理デバイス204は、その後、用具202においてプロセッサ218によって計算された速度及び加速度データに基づいて推定位置を決定できる。プロセッサ218を用いて、計算済みの速度及び加速度データに基づいて、用具202の推定位置に対応する推定位置データを生成し、推定位置データを処理デバイス204に送信できる。速度及び加速度データと推定位置データは、複数の短距離無線通信プロトコルのいずれかを用いて、用具202からプロセッサ214に送信できる。
【0029】
図2に示した加速度計208、プロセッサ218、センサ216及び更なるセンサ210は、処理デバイス204と有線又は無線通信してもよい。表示デバイス206も、処理デバイス204と有線又は無線通信してもよい。
【0030】
図3は、本明細書で説明される実施形態と共に用いる一例の無線用具300を示す図である。
図3に示したように、用具300は、加速度計208とプロセッサ218を含む。無線用具300は、ハンドル部302とプローブ部304を含む。プローブ部304は、先端306と、プローブ部304の異なる位置に配置されるセンサ316を含む。
図3に示したように、加速度計208とプロセッサ218は、無線用具300のハンドル部302に配置される。
図3に示した用具300のサイズ及び形状は、例示的なものにすぎない。加えて、
図3に示した各部品(例えば、センサ216、加速度計208及びプロセッサ218)の位置も例示的なものである。
【0031】
ハンドル部302は、3D空間内で用具を操作するために医療関係者が保持するように構成される。プローブ部304は、医療処置中、患者に挿入するように構成される。
図3に示したように、ハンドル部302はプローブ部304に取り付けられる。センサ316は、例えば、用具300の位置を決定するために用いられ、コイル(図示せず)及び抵抗器(図示せず)を含み、用具300から離れたプロセッサ(例えば、
図2のプロセッサ214)に信号(例えば、電圧)を送信できる。
図3に示したセンサ316の数は一例である。本実施形態は、1つのセンサを含む任意の数の用具位置に配置された任意の数のセンサを有する用具を含む。
【0032】
加速度計208、プロセッサ218及びセンサ316は、
図2に示した処理デバイス204等の用具300から離れた処理デバイスと有線又は無線通信してもよい。
【0033】
図4は、3D空間内で用具の位置確認を行う一例の方法400を示すフロー図である。ブロック402に示したように、方法400は、3D空間内の用具(例えば,用具202)の経時的な位置に対応する位置データを獲得することを含む。位置データは、用具に配置した1つ以上のセンサ(例えば、
図1に示した磁界位置センサ38、又は
図2に示したセンサ216)を用いて用具において獲得できる。位置データは、例えば、3D空間内の位置(例えば、点、座標)、磁気データの強度、データが獲得された時刻(例えば、タイムスタンプ)、及び3D空間内の用具の経時的な位置を示す任意の他の情報を含む。
【0034】
図4に示したように、方法400は、ブロック404において用具の速度及び加速度を計算することと、ブロック406において用具の位置を推定することを含む。速度及び加速度は、用具において又は用具から遠隔的に計算できる。加えて、用具の位置は、用具において又は用具から遠隔的に推定できる。
【0035】
例えば、一実施形態において、用具において獲得した位置データは、用具から送信され、用具の速度及び加速度は、受信した位置データを用いて用具から遠隔的に(例えば、プロセッサ214を介して)計算できる。その後、用具の位置は、用具から遠隔的に(例えば、プロセッサ214を介して)計算済みの速度及び加速度から推定できる。別の実施形態において、用具の速度及び加速度は、獲得した位置データを用いて用具において(例えば、プロセッサ218を介して)計算できる。その後、計算済みの速度及び加速度は用具から送信され、用具の位置は、用具から遠隔的に(例えば、プロセッサ214を介して)、用具において計算した計算済みの速度及び加速度から推定できる。更に別の実施形態において、用具の速度及び加速度は用具において計算され、用具の位置は用具において推定できる。その後、用具の推定位置は、用具から遠隔的に提供し、表示できる。
【0036】
一例の実施形態において、用具の速度は、位置の変化及び時間の変化を用いて計算される。例えば、「x」はブロック402から獲得された用具の事前に獲得済みの位置であると仮定する。第一速度V
1は、式1を用いて計算できる。
V
1=(x
3−x
2)/dt (式1)
【0037】
第二速度V
2は、式2を用いて計算できる。
V
2=(x
2−x
1)/dt (式2)
ここで、「x
1」、「x
2」及び「x
3」は、ブロック402で獲得した位置データに基づいて、異なる時刻における用具の既に獲得済みの位置であり、dtは、用具の2つの位置が獲得されたときの間の時間の変化である。
【0038】
その後、加速度は、用具の2つの既に獲得済みの速度(例えば、V
1とV
2)を用いて(例えば、プロセッサ218又は214を介して)計算できる。例えば、用具の加速度「a」は、式3を用いて計算できる。
a=(V
2−V
1)/dt (式3)
【0039】
その後、ブロック406において、用具の計算済みの速度及び加速度を用いて用具の位置を推定できる。例えば、用具の推定位置は、式4のように、前の位置、計算済みの速度及び計算済みの加速度の合計を用いて計算できる。
x=x
0+V
0t+a
0((t
*t)/2) (式4)
【0040】
速度及び加速度を計算し、位置を推定するために用いられる上で説明した式は、一例として用いられているにすぎない。
【0041】
磁界を介して獲得した位置データは、経時的に連続的に獲得され、異なる時刻における用具の複数の位置に対応する位置データが獲得される。用具の速度及び加速度も、経時的な位置に対して連続的に計算される。ブロック406に示したように、推定位置データは、連続的に計算した速度及び加速度に基づいて決定される。例えば、ブロック402〜406を等しい間隔(例えば、5ミリ秒間隔)で繰り返し、経時的に異なる位置における用具の位置を連続的に推定できる。各ブロック402〜406は、共に(つまり、同じ等間隔で)繰り返しても、互いに別個に独立に(つまり、異なる間隔で)繰り返してもよい。ブロック402〜406は、等しくない間隔で繰り返しても、事象の発生時又は要求に応じて実行してもよい。
【0042】
図4のブロック408に示したように、ブロック402から獲得した位置データ(例えば、用具の位置に対応する直前に獲得した位置データ)が、処理(例えば、プロセッサ214又は218による処理)に利用できるかどうかの決定が行われる。つまり、磁界を介して獲得した位置データが利用できるかどうかについての決定が行われる。位置データが利用できることが決定された場合、ブロック410における提示用に位置データが(例えば、表示装置、表示プロセッサ、スピーカに)提供され、位置データによって示された位置に用具の位置が提示される(例えば、視覚的に表示されるか、聴覚的に、又は情報を提示する任意の他の既知の方法で提示される)。用具の位置がブロック410において提供された後、その方法はブロック402に戻る。
【0043】
位置データは、様々な理由で利用できないと決定される可能性もある。例えば、位置信号(磁界位置センサ38からの信号)を受け取らなかった場合、位置信号が情報を獲得するのに十分強くない場合、又は位置データが不正確に決定された場合、位置データは利用できない可能性がある。
【0044】
位置データがブロック408において利用できないと決定された場合、用具の位置の推定が実行される。ブロック412に示したように、加速度計データが処理に(例えば、プロセッサ214又は218によって)利用できるかどうかについての決定が行われる。加速度計データは、様々な理由で利用できない可能性がある。例えば、用具が加速度計を備えていない場合、情報及び加速度計データを獲得するのに十分強い信号を受信しなかった場合、又は加速度計データが不正確であることが決定された場合、加速度計データは利用できない可能性がある。
【0045】
ブロック414に示したように、加速度計データが利用できないことが決定された場合、ブロック404において計算したデータ(例えば、1つ以上の計算済みの加速度)及びブロック406において決定された推定位置データが(例えば、用具から若しくはメモリ212又はストレージ220から)獲得される。ブロック418において、相対的な速度及び加速度から推定された用具の位置(つまり、現在の推定に対して1つ以上の速度及び加速度が計算された時刻)を用いて、用具の位置(例えば、現在の位置)を推定する。つまり、
図4に示した例では、用具の推定位置データは、位置データがブロック408において利用できるかどうかを決定する前に、ブロック404における用具の計算済みの速度及び加速度に基づいて、ブロック406において経時的に(例えば、等しい間隔で)連続的に生成される。
【0046】
別の例では、用具の推定位置データは、位置データが利用できないことが決定された場合に生成される。この例では、414において計算済みの速度及び加速度が獲得され、その後、相対的な速度及び加速度を用いて推定位置データが生成される。
【0047】
加速度計データが利用できることが決定された場合、加速度計データはブロック416で獲得され、加速度計から獲得した加速度計データの相対的な加速度を用いて、ブロック418において用具の位置を推定する。
【0048】
ブロック404で実行した1つ以上の前の速度計算、及び1つ以上の前の加速度計算、又は加速度計データを用いて、用具の位置を推定できる。例えば、より最近(例えば、直前に)獲得した速度データ、加速度データ及び加速度計データを用いて、用具の位置を推定する。例えば、より最近のデータが正確ではない、計算に誤差を含む、又は処理できない可能性がある(例えば、データを含む信号が十分強くない又は信号を受信していない)ため、より最近獲得したデータに加えて又はその代わりに、より最近獲得したデータの前の他のデータを用いてもよい。
【0049】
ブロック420に示したように、ブロック418で獲得した相対的な速度及び加速度にフィルタを適用し、用具の位置を推定することもできる。一例の実施形態では、カルマンフィルタが用いられる。例えば、式5を用いて、用具の位置を推定できる。
Pk=P(k−1)+dtV(k−1)+1/2
*adt^2 (式5)
ここで、相対的な時刻「Pk」における用具の位置は、前の相対的な時刻「k−1」における位置、相対的な時刻における速度「V(k−1)」、及び用具の加速度の時間的な変化「adt」に基づく。
【0050】
ブロック422に示したように、用具の推定位置に対応する推定位置データが提示用に(例えば、表示装置、表示プロセッサ、スピーカに)提供され、位置データによって示された位置に用具の位置が提示される(例えば、視覚的に表示されるか、聴覚的に又は情報を提示する任意の他の既知の方法で提示される)。用具の推定位置をブロック422で提供した後、その方法はブロック402に戻る。
【0051】
本明細書に記載される機能及び方法はいずれも、汎用コンピュータ、プロセッサ、又はプロセッサコアにおいて実施されることができる。好適なプロセッサとしては、例として、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、従来型プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと関連する1つ又は2つ以上のマイクロプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、書替え可能ゲートアレイ(FPGA)回路、任意のその他の種類の集積回路(IC)、及び/又は状態機械が挙げられる。このようなプロセッサは、処理されたハードウェア記述言語(HDL)命令及びネットリスト等その他の中間データ(このような命令は、コンピュータ可読媒体に記憶することが可能である)の結果を用いて製造プロセスを構成することにより、製造することが可能である。このような処理の結果はマスクワークであり得、このマスクワークをその後半導体製造プロセスにおいて用いて、本開示の特徴を実装するプロセッサを製造する。
【0052】
本明細書に記載される機能及び方法はいずれも、持続性コンピュータ可読記憶媒体に組み込まれるコンピュータプログラム、ソフトウェア、又はファームウェアにおいて実装されて、汎用コンピュータ又はプロセッサによって実行されることができる。持続性コンピュータ可読記憶媒体の例としては、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、レジスタ、キャッシュメモリ、半導体メモリデバイス、磁気媒体、例えば内蔵ハードディスク及びリムーバブルディスク、磁気光学媒体、並びに光学媒体、例えば、CD−ROMディスク及びデジタル多用途ディスク(DVD)が挙げられる。
【0053】
本明細書の開示に基づいて多くの変更例が可能であることを理解されたい。特徴及び要素が特定の組み合わせで上記に説明されているが、各特徴又は要素は、他の特徴及び要素を用いずに単独で、又は他の特徴及び要素を用いて若しくは用いずに他の特徴及び要素との様々な組み合わせで使用されてもよい。
【0054】
〔実施の態様〕
(1) 3次元(3D)空間内で用具の位置確認を行う方法であって、
前記用具の位置に対応する位置データが利用できるかどうかを決定することと、
前記位置データが利用できる場合、前記用具の位置を提示するために前記位置データを提供することと、
前記位置データが利用できない場合、
前記用具の速度及び前記用具の加速度に基づいて、前記用具の推定位置を決定することと、
前記用具の推定位置に対応する推定位置データを生成することと、
前記用具の位置として前記推定位置を提示するために、前記推定位置データを提供することと、を備える方法。
(2) 更に、
前記用具の位置の指示を受け取ることと、
前記用具の位置の前記指示を生成することと、を備える、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記位置データが利用できない場合、
前記用具の加速度を示す加速度計データが利用できるかどうかを決定し、
前記加速度計データが利用できる場合、前記加速度計データに基づいて前記用具の推定位置を決定する、実施態様1に記載の方法。
(4) 更に、
経時的に複数の位置に対して前記用具の速度及び前記用具の加速度を計算することと、
前記用具の加速度を示す加速度計データが利用できるかどうかを決定することと、
前記加速度計データが利用できない場合、前記用具の1つ以上の前の速度計算及び1つ以上の前の加速度計算を用いて、前記用具の推定位置を決定することと、を備える、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記1つ以上の前の速度計算は、位置の変化及び時間の変化に基づいて前記用具の速度を計算することを備え、
前記1つ以上の前の加速度計算は、前記速度の変化及び時間の変化に基づいて、前記加速度を計算することを備える、実施態様4に記載の方法。
【0055】
(6) 前記用具の推定位置は、前記用具から遠隔的に決定される、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記用具の推定位置は、前記用具において遠隔的に決定される、実施態様1に記載の方法。
(8) 前記位置データが利用できない場合、
フィルタ処理済みの推定位置データを提供するために、カルマンフィルタを介して前記推定位置データをフィルタ処理し、
前記用具の推定位置を提示するために、前記フィルタ処理済みの推定位置データを提供する、実施態様1に記載の方法。
(9) 3次元(3D)空間内で用具の位置確認を行う電磁ナビゲーションシステムであって、
データを記憶するように構成されるメモリと、
前記メモリと通信を行うプロセッサと、を備え、前記プロセッサは、
前記用具の位置に対応する位置データが利用できるかどうかを決定し、
前記位置データが利用できる場合、前記用具の位置を提示するために前記位置データを提供し、
前記位置データが利用できない場合、
前記用具の速度及び前記用具の加速度に基づいて、前記用具の推定位置を決定し、
前記用具の推定位置に対応する推定位置データを生成し、
前記用具の位置として前記推定位置を提示するために、前記推定位置データを提供するように構成されている、システム。
(10) 前記プロセッサは更に、
経時的に前記用具の複数の位置を示す電気信号を受け取り、
前記電気信号に基づいて前記位置データを生成するように構成されている、実施態様9に記載の電磁ナビゲーションシステム。
【0056】
(11) 前記位置データが利用できない場合、前記プロセッサは更に、前記用具の加速度を示す加速度計データが利用できるかどうかを決定するように構成され、
前記加速度計データが利用できる場合、前記プロセッサは更に、前記用具の速度及び前記加速度計データに基づいて、前記用具の推定位置を決定するように構成されている、実施態様9に記載の電磁ナビゲーションシステム。
(12) 前記用具の速度と加速度が、複数の位置のそれぞれに対して経時的に計算され、
前記プロセッサは更に、前記用具の加速度を示す加速度計データが利用できるかどうかを決定するように構成され、
前記加速度計データが利用できない場合、前記プロセッサは更に、前記用具の1つ以上の前の速度計算及び1つ以上の前の加速度計算を用いることによって、前記用具の推定位置を決定するように構成されている、実施態様9に記載の電磁ナビゲーションシステム。
(13) 前記1つ以上の前の速度計算は、位置の変化及び時間の変化に基づいて、前記用具の速度を計算することを備え、
前記1つ以上の前の加速度計算は、前記速度の変化及び時間の変化に基づいて、前記加速度を計算することを備える、実施態様12に記載の電磁ナビゲーションシステム。
(14) 前記位置データが利用できない場合、
フィルタ処理済みの推定位置データを提供するために、カルマンフィルタを介して前記推定位置データをフィルタ処理し、
前記用具の推定位置を提示するために、前記フィルタ処理済みの推定位置データを提供する、実施態様9に記載の電磁ナビゲーションシステム。
(15) 実行時に、3次元(3D)空間内で用具の位置確認を行う方法をコンピュータに実行させる命令を有する持続性コンピュータ可読媒体であって、前記方法は、
前記用具の位置に対応する位置データが利用できるかどうかを決定することと、
前記位置データが利用できる場合、前記用具の位置を提示するために前記位置データを提供することと、
前記位置データが利用できない場合、
前記用具の速度及び前記用具の加速度に基づいて、前記用具の推定位置に対応する推定位置データを決定することと、
前記用具の推定位置を提示するために、前記推定位置データを提供することと、を備える、媒体。
【0057】
(16) 前記方法は更に、
前記用具の位置を示す電気信号を受け取ることと、
前記電気信号に基づいて前記位置データを生成することと、を備える、実施態様15に記載の持続性コンピュータ可読媒体。
(17) 前記位置データが利用できない場合、前記方法は更に、
前記用具の加速度を示す加速度計データが利用できるかどうかを決定することと、
前記加速度計データが利用できる場合、前記用具の速度及び前記加速度計データに基づいて、前記用具の推定位置を決定することと、を備える、実施態様15に記載の持続性コンピュータ可読媒体。
(18) 前記方法は更に、
経時的に複数の位置に対して、前記用具の速度及び加速度を計算することと、
前記用具の加速度を示す加速度計データが利用できるかどうかを決定することと、を備え、
前記加速度計データが利用できない場合、前記用具の推定位置を決定することは更に、1つ以上の前の位置における前記用具の1つ以上の前の速度及び加速度計算を用いて、前記用具の現在の推定位置を決定することを備える、実施態様15に記載の持続性コンピュータ可読媒体。
(19) 前記方法は更に、
位置の変化及び時間の変化に基づいて前記用具の速度を計算することと、
前記速度の変化及び時間の変化に基づいて前記加速度を計算することと、を備える、実施態様18に記載の持続性コンピュータ可読媒体。
(20) 前記方法は更に、
前記位置データが利用できない場合、
フィルタ処理済みの推定位置データを提供するために、カルマンフィルタを介して前記推定位置データをフィルタ処理することと、
前記用具の推定位置を提示するために、前記フィルタ処理済みの推定位置データを提供することと、を備える、実施態様15に記載の持続性コンピュータ可読媒体。