【課題を解決するための手段】
【0029】
より正確には、本発明は窒素吸着により測定されたゼオライト吸着剤の外部表面積が20m
2.g
−1を超える、好ましくは40m
2.g
−1を超える、より好ましくは40m
2.g
−1と200m
2.g
−1との間(限界値を含む)、さらにより好ましくは60m
2.g
−1と200m
2.g
−1との間(限界値を含む)であることを特徴とする、少なくとも1つのFAUゼオライトならびにバリウムおよび/またはカリウムを含む、ゼオライト吸着剤に関する。
【0030】
本発明の他の実施形態によれば、ゼオライト吸着剤は、吸着剤全重量に対して10重量%を超える、好ましくは15重量%を超える、非常に好ましくは20重量%を超える、さらにより好ましくは23重量%を超える、またはさらには33重量%を超える酸化バリウム(BaO)含有量を有する。有利には、バリウム含有量は、吸着剤全重量に対して23重量%と42重量%との間(限界値を含む)、典型的には30重量%と40重量%との間(限界値を含む)である。
【0031】
本発明の他の実施形態によれば、ゼオライト吸着剤は、吸着剤全重量に対して25重量%未満、好ましくは0重量%と20重量%との間(限界値を含む)、さらにより好ましくは0重量%と15重量%との間(限界値を含む)、非常に好ましくは0重量%と10重量%との間(限界値を含む)の酸化カリウムK
2O含有量を有してもよい。
【0032】
本発明の他の実施形態によれば、吸着剤全重量に対して、酸化バリウムBaOおよび酸化カリウムK
2O以外のアルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンの酸化物の全含有量は0重量%と5重量%との間(限界値を含む)である。
【0033】
好ましくは、本発明のゼオライト吸着剤は、通例ゼオライトXといわれるFAUゼオライトに基づく吸着剤である。「ゼオライトX」は、そのSi/Al原子比が1.00と1.50との間(限界値を含む)、好ましくは1.05と1.50との間(限界値を含む)、好ましくは1.05と1.40との間(限界値を含む)、さらにより好ましくは1.10と1.40との間(限界値を含む)であるゼオライトを意味する。
【0034】
ゼオライトXのうちで、2種の下位群が一般的記に認識され、ゼオライトLSXおよびゼオライトMSXであると言われている。ゼオライトLSXは約1に等しいSi/Al原子比を有し、ゼオライトMSXは約1.05と約1.15との間(限界値を含む)のSi/Al原子比を有する。
【0035】
本発明の好ましい実施形態によれば、ゼオライトXは、1.10と1.50との間(限界値を含む)のSi/Al原子比を有する。他の好ましい実施形態によれば、ゼオライトXは約1に等しいSi/Al原子比を有するLSX型のゼオライトである。ゼオライトXが上記で定義されたように、該吸着剤はまた2種以上のゼオライトXの混合物を含むことを想定することもできる。
【0036】
好ましい実施形態によれば、本発明のゼオライト吸着剤に含まれる少なくとも1つのFAUゼオライトは、1.00と1.50との間(限界値を含む)、好ましくは1.05と1.40との間(限界値を含む)、さらにより好ましくは1.10と1.40との間(限界値を含む)のSi/Al原子比を有する。好ましくは少なくとも1つのFAUゼオライトはゼオライトXである。
【0037】
他の好ましい実施形態によれば、本発明のゼオライト吸着剤においてFAU構造以外のゼオライト構造、好ましくはフォージャサイトX構造以外のゼオライト構造はX線回折(頭文字XRDで当業者に公知の)によって検出されない。
【0038】
本発明のさらに他の好ましい実施形態によれば、好ましくはFAUゼオライトがゼオライトXであり、吸着剤の全重量に対して、FAUゼオライトの重量画分が80重量%以上であり、好ましくは非ゼオライト相からなるもので100重量%に補完される。
【0039】
本発明のゼオライト吸着剤は非ゼオライト相(NZP)、すなわち吸着に対して本質的に不活性である非結晶相を含んでもよい。本発明の吸着剤(ゼオライトの重量画分)の結晶化度は、頭文字XRDで当業者に公知のX線回折分析によって測定できる。
【0040】
好ましい実施形態によれば、本発明のゼオライト吸着剤は、規格NF EN196−2に従って900℃で測定した強熱減量が7.7%以下、好ましくは0と7.7%との間(限界値を含む)、好ましくは3.0%と7.7%との間(限界値を含む)、より好ましくは3.5%と6.5%との間(限界値を含む)、有利には4.5%と6%との間(限界値を含む)を有する。
【0041】
本発明のゼオライト吸着剤は高い機械的強度および高い吸着能力を有する。機械的強度は、1.6mm未満の凝集物に適応されるShellシリーズSMS1471−74法によって測定され、通例2MPa以上、典型的には2.1MPa以上である。
【0042】
本発明のゼオライト吸着剤は、好ましくは、同時に、マクロ孔、メソ孔、ミクロ孔を含む。「マクロ孔」とは孔の幅が50nmを超える、好ましくは50nmと400nmとの間(限界値を含む)である孔を意味する。「メソ孔」とは、孔の幅が2nmと50nmとの間(限界値を含む)である孔を意味する。「ミクロ孔」とは、孔の幅が2nm未満である孔を意味する。
【0043】
本発明のゼオライト吸着剤のメソ孔は、例えば、US7785563号に記載されているように、透過型電子顕微鏡(TEM)での観察によって容易に特定することができる。
【0044】
他の好ましい実施形態によれば、本発明のゼオライト吸着剤は、水銀圧入ポロシメトリーによって測定したマクロ孔およびメソ孔の合計容積が、有利には0.15cm
3.g
−1と0.50cm
3.g
−1との間、好ましくは0.20cm
3.g
−1と0.40cm
3.g
−1との間、非常に好ましくは0.20cm
3.g
−1と0.35cm
3.g
−1との間によって特徴付けられる。
【0045】
マクロ孔の容積分率は、好ましくはマクロ孔およびメソ孔の全容積の0.2と1との間(限界値含む)、非常に好ましくは0.4と0.8との間(限界値を含む)、さらにより好ましくは0.45と0.65との間(限界値を含む)である。
【0046】
本発明の文脈において、ゼオライト吸着剤はまた、77Kの温度における窒素(N
2)吸着等温線からt−プロット法によって評価したそのミクロ孔容積が、0.180cm
3.g
−1と0.290cm
3.g
−1との間であることが好ましい。ミクロ孔容積の前記測定は、300℃と450℃の間で9時間から16時間の範囲の時間、好ましくは400℃で10時間、真空下(P<6.7×10
−4Pa)で脱気してから計算される。
【0047】
本発明のゼオライト吸着剤は、好ましくは凝集物の形態であり、すなわち、上記したように少なくとも1つのFAUゼオライトの結晶成分(または結晶)からなり、前記結晶成分が0.1μmと20μmとの間(限界値を含む)、好ましくは0.5μmと20μmとの間(限界値を含む)、より好ましくは0.5μmと10μmとの間(限界値を含む)、さらにより好ましくは0.5μmと5μmとの間(限界値を含む)の数平均直径を有する。
【0048】
他の好ましい実施形態によれば、本発明のゼオライト吸着剤は、X型のFAUゼオライトの結晶成分を含み、ゼオライト吸着剤が1.00と2.00との間(限界値を含む)、好ましくは1.00と1.80との間(限界値を含む)、より好ましくは1.15と1.80との間(限界値を含む)、さらにより好ましくは1.15と1.60との間(限界値を含む)のSi/Al原子比を有する。
【0049】
上述したように、本発明のゼオライト吸着剤は、より好ましくは、少なくとも1つの非ゼオライト相(NZP)を含み、NZPは互いに結晶成分の結合を許容にする凝集結合剤として製造法において使用され、場合によって完全にまたは部分的にゼオライト化される前に、すなわち問題になっている分子の吸着のため活性ゼオライトに変換される、すなわちFAU型のゼオライトに転化される。
【0050】
これは本発明のゼオライト吸着剤が好ましくはさらに少なくとも1つの非ゼオライト相(NZP)を含むことを示し、NZPは互いに結晶の結合を確実にするための製造法において使用される凝集結合剤を特に含み、その故、「凝集物」または「ゼオライト凝集物」という用語は、上述したような本発明の「ゼオライト吸着剤」という用語の代わりにときどき使用される。
【0051】
大きな外部表面積を有する結晶成分から製造されるFAUゼオライト吸着剤は、結晶成分が従来の結晶よりも大きい場合を含め、従来の結晶から製造されるFAU型のゼオライト吸着剤と比較して全物質移動が改善した。
【0052】
したがって、本発明は製造工程において使用されるゼオライト粉末のろ過、取扱いおよび凝集を容易にすると同時に、先行技術と比較して特性が改善したゼオライト吸着剤を提供する。
【0053】
本発明は、上記で定義したように前記ゼオライト吸着剤を製造するための方法に関し、前記方法は少なくとも以下の工程:
a)外部表面積が40m
2.g
−1を超える、好ましくは40m
2.g
−1と400m
2.g
−1との間(限界値を含む)、より好ましくは60m
2.g
−1と200m
2.g
−1との間(限界値を含む)であり、数平均直径が0.1μmと20μmとの間(限界値を含む)、好ましくは0.5μmと20μmとの間(限界値を含む)、より好ましくは0.5μmと10μmとの間(限界値を含む)、さらにより好ましくは0.5μmと5μmとの間(限界値を含む)である、少なくとも1つのFAU型ゼオライト結晶が、少なくとも80%のクレイまたはクレイの混合物を含む結合剤(場合によってゼオライト化できる)で、および最大5%の添加剤ならびに凝集物材料を成形させることを許容する水量で凝集する工程、50℃と150℃との間の温度での凝集物の乾燥工程;酸化気体および/または不活性気体、特に酸素、窒素、空気、乾燥空気および/または脱炭酸空気、酸素欠乏空気などの気体を流した状態で、場合によって乾燥および/脱炭酸状態で、150℃を超える温度で、典型的には180℃と800℃との間、好ましくは200℃と650℃との間の温度で、数時間、例えば2時間から6時間処理する乾燥した凝集物の焼成工程、
b)場合により、工程a)において得られた凝集物をアルカリ塩基性溶液と接触させることによるいくつかのまたはすべての結合剤のゼオライト化工程、
c)バリウムイオンおよび/またはカリウムイオンの溶液と接触させることによる工程a)および/または工程b)からの凝集物のカチオン交換工程、
d)カリウムイオンの溶液と接触させることによる工程c)からの凝集物の任意の別のカチオン交換工程、
e)50℃と150℃の間の温度での、工程c)または工程d)において得られた凝集物の洗浄および乾燥工程、
f)酸化気体および/または不活性気体、特に酸素、窒素、空気、乾燥空気および/または脱炭酸空気、酸素欠乏空気などの気体を流した状態での工程e)において得られた凝集物の活性化により、場合によって乾燥および/脱炭酸状態で、100℃と400℃との間、好ましくは200℃と300℃との間の温度で、所望の水分含有量および強熱減量に応じて決められる時間で、典型的には1時間から6時間処理する、本発明のゼオライト吸着剤を得る工程、
を含む。
【0054】
好ましい実施態様によれば、前記少なくとも1つのFAUゼオライトは、1.00と1.50との間(限界値を含む)、好ましくは1.05と1.40との間(限界値を含む)、さらにより好ましくは1.10と1.40との間(限界値を含む)のSi/Al原子比を有する。上述したように、前記少なくとも1つのFAUゼオライトは好ましくはゼオライトXである。
【0055】
上述したように、上記の方法の工程a)において用いられる結晶成分の外部表面積は、300℃と450℃との間の温度で9時間から16時間の範囲の時間、好ましくは400℃で10時間、真空下(P<6.7×10
−4Pa)で脱気してから、77Kの温度で窒素吸着等温線からt−プロット法によって計算される。
【0056】
工程a)において用いられる大きな外部表面積を有するFAUゼオライトの結晶成分は当業者に公知の種々の方法、例えばInayatらによって記述された合成法に従って得ることができる(Angew.Chem.Int.Ed.,2012,
51,1962−1965)。
【0057】
種付けによりおよび/またはSiO
2/Al
2O
3比、ナトリウム含有量および合成混合物のアルカリ度などの合成操作条件の調整により、あるいはFAUゼオライト結晶の後処理については従来方法に従って、前記結晶成分を製造することも可能である。
【0058】
後処理は、例えば、D.Verboekend,G.Vile andJ.Perez−Ramirezらが,In Adv.Funct.Mater.,22,(2012),p916−928)で記載したように、通例すでに形成されたゼオライトのネットワークから、1つまたは複数の酸処理のいずれかによって原子を取り除くことからなり、この後処理がその固体を脱アルミニウム化し、次いでソーダで1回または複数回洗浄して形成されたアルミナ残渣を除去するか、あるいは例えば特許公開WO2013/106816に記載されているように、1つの酸処理の作用および1つの構造形成剤の作用を組み合わせて処理することによって酸処理効果を改善する。
【0059】
これらのゼオライトの直接的な合成法(即ち、後処理以外の合成法)には、通例1つ以上の構造形成剤すなわち犠牲的な鋳型が含まれる。
【0060】
使用され得る犠牲的な鋳型は、当業者に公知のいずれのタイプのものであってもよく、特に特許出願WO2007/043731に記載されているものであってもよい。好ましい実施形態によれば、犠牲的な鋳型は有利にはオルガノシランから選択され、より好ましくは、[3-(トリメトキシリル)プロピル]オクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、[3−(トリメトキシリル)プロピル]ヘキサデシルジメチルアンモニウムクロリド、[3−(トリメトキシリル)プロピル]ドデシルジメチルアンモニウムクロリド、[3−(トリメトキシリル)プロピル]オクチルアンモニウムクロリド、N−[3−(トリメトキシリル)プロピル]アニリン、3−[2−(2−アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリメトキシシラン、N−[3−(トリメトキシリル)プロピル]−N
’−(4−ビニルベンジル)エチレンジアミン、トリエトキシ−3−(2−イミダゾリン−1−イル)プロピルシラン、1−[3−(トリメトキシリル)プロピル]尿素、N−[3−(トリメトキシリル)プロピル]エチレンジアミン、[3−(ジエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン、3−(トリメトキシリル)プロピルメタクリレート、[2−(シクロヘキセニル)エチル]トリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、(3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3−メルカプトプロピル)トリメトキシシラン、(3−クロロプロピル)トリメトキシシランおよびあらゆる比でのこれらの2種以上の混合物から選択される。
【0061】
上記の犠牲的な鋳型のうちで、[3-(トリメトキシリル)プロピル]オクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、またはTPOACが最も特に好ましい。
【0062】
より高分子量の犠牲的な鋳型、例えばPPDA(ポリマーのポリジアリルジメチルアンモニウム)、PVB(ポリビニルブチラル)およびメソ孔の直径を増加させる分野で公知の他のオリゴマー化合物も使用することができる。
【0063】
本発明の方法の好ましい実施形態によれば、工程a)は、上記したように、除去される犠牲的な鋳型の存在下で製造される、大きな外部表面積を有する少なくとも1つのFAUゼオライトの結晶成分の凝集を含む。
【0064】
前記除去は、当業者に公知の方法、例えば焼成によって行うことができ、これに限定されない。犠牲的な鋳型を含むゼオライトの結晶成分の焼成は、酸化気体および/または不活性気体、特に酸素、窒素、空気、乾燥空気および/または脱炭酸空気、酸素欠乏空気などの気体を流した状態で、場合によって乾燥および/脱炭酸状態で、150℃を超える温度で、典型的には180℃と800℃との間、好ましくは200℃と650℃との間の温度で、数時間、例えば2時間から6時間との間で行うことができる。気体の性質、温度上昇勾配、連続的な温度の定常状態およびこれらの期間は犠牲的な鋳型の性質に応じて変化する。
【0065】
任意の犠牲的な鋳型を除去する別工程は、本発明の凝集物ゼオライト材料を製造する工程中いつでも行うことができる。それ故、前記犠牲的な鋳型の除去は、有利にも工程a)の凝集の前のゼオライトの結晶成分の焼成によって行うことができるか、あるいは工程a)中の凝集の焼成と同時に行うことができる。
【0066】
工程a)における凝集が、異なる方法で得られた大きな外部表面積を有する数種のゼオライト凝集物を含む場合には、これも本発明の特許請求の範囲内になる。
【0067】
FAU型ゼオライトは、通例ソーダ媒体(Naカチオン)において合成される。こうして得られたFAUゼオライトの結晶成分は主に、または排他的にナトリウムカチオンを含む。しかしながら、任意の犠牲的な鋳型の前後に、Na形態での合成の間に、一以上のカチオン交換をした結晶成分を使用する工程が、工程a)の適用前に行われる場合には、工程a)の適用は本発明の範囲内になる。この場合においては、工程c)および任意のイオン交換の工程d)は、結果的に不要となる。
【0068】
工程a)において使用したFAUゼオライトの結晶成分および本発明の凝集物におけるFAUゼオライトの結晶成分のサイズは走査型電子顕微鏡(SEM)での観察によって測定される。上述したように、好ましくは結晶成分の平均直径が0.1μmと20μmとの間(限界値を含む)、好ましくは0.5μmと20μmとの間(限界値を含む)、より好ましくは0.5μmと10μmとの間(限界値を含む)、さらにより好ましくは0.5μmと5μmとの間(限界値を含む)である。このSEM観察によって、また例えば、残渣結合剤(ゼオライト化工程中に変換されない)または凝集物中に任意の他の非晶相を含む非ゼオライト相の存在を確認することができる。
【0069】
本発明において、「数平均直径」あるいは「サイズ」という用語はゼオライトの結晶成分に対して特に使用される。これらの量を測定する方法は以下の明細書において後に説明される。
【0070】
凝集および成形(工程a)は、当業者に公知の全ての技術、例えば、押し出し、小型化、造粒板上での凝集、造粒ドラム、噴霧などの技術によって行うことができる。
【0071】
使用される凝集結合剤(後の定義を参照)とゼオライトとの比は、典型的には先行技術の比であり、すなわち95重量部から80重量部のゼオライトに対して5重量部と20重量部の結合剤である。
【0072】
工程a)から生じた凝集物がビーズ、押し出し物などの形態または別の形態であるにせよ、通例、該凝集物は数平均直径または長さ(凝集物が球形でない場合には、最大の直径)が0.2mmと2mmとの間(限界値を含む)、特に0.2mmと0.8mmとの間(限界値を含む)、好ましくは0.4mmと0.65mmの間(限界値を含む)を有する。
【0073】
工程a)の終点において、最も微細な凝集物は、サイクロンおよび/または篩にかけることにより除去することができ、ならびに/または、例えば押し出し物の場合には篩にかけるかまたは破砕することによって大き過ぎる凝集物を除去することができる。
【0074】
本発明の凝集物ゼオライト材料に含まれる結合剤は、好ましくはクレイまたはクレイの混合物を含む。これらのクレイは、好ましくは、カオリン、カオリナイト、ナクライト、ジッカイト、ハロイサイト、アタパルジャイト、セピオライト、モンモリロナイト、ベントナイト、イライトおよびメタカオリン、ならびにあらゆる比でのこれらの2種以上の混合物から選択される。
【0075】
任意のゼオライト化の工程b)の場合には、工程a)において使用される凝集結合剤は少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、より特に少なくとも96重量%の少なくとも1つのゼオライト化可能なクレイを含み、およびベントナイト、アタパルジャイト、およびその他などの他の無機結合剤を含むこともできる。「ゼオライト化可能なクレイ」とは、ゼオライト材料に変換することができる1つのクレイまたはクレイの混合物を意味し、アルカリ塩基性溶液の作用による場合が殆どである。ゼオライト化可能なクレイは通例、カオリン、カオリナイト、ナクライト、ジッカイト、ハロイサイト、および/またはメタカオリンの種類に属する。カオリンが好ましく、最もよく使用される。
【0076】
工程a)において任意で使用される添加剤には、当業者に公知の任意の形のシリカ源が含まれてもよく、ゼオライトの合成に特化すると、例えば、コロイド状シリカ、珪藻土、パーライト、燃料灰、砂または固体シリカのいかなる他の形態であってもよい。
【0077】
工程a)において、FAUゼオライトの結晶成分および結合剤以外に、例えば、凝集を促進させることを意図した、または形成された凝集物の硬度を改善させることを意図した、例えばリグニン、デンプン、カルボキシメチルセルロースなど別の添加剤、および当業者に公知の別の添加剤を加えることができる。
【0078】
工程a)に含まれる焼成については、気体の性質、温度上昇勾配、連続的な温度の定常状態とこれらのそれぞれの期間は、除去されるべき犠牲的な鋳型の性質に応じて、および凝集工程a)において使用される結合剤の性質に応じて変化する。
【0079】
特に凝集結合剤が1つ以上のゼオライト化可能クレイを含む場合には、それを焼成することによって、ゼオライト化可能クレイ、典型的にはカオリンをメタカオリンに変換することができ、これは次にゼオライト工程(工程b)においてゼオライトに変換することができる。この原理は、D.W.Breckの著書“Zeolite Molecular Sieves”、John WileyおよびSon,New York(1973)314〜315頁で提示されている。
【0080】
凝集結合剤のゼオライト化は当業者に現在周知の任意の方法によって行われ、そして、例えば、アルカリ塩基性溶液中に、通例、水溶液、例えば水酸化ナトリウム水溶液および/または水酸化カリウム水溶液中に、工程a)から生じる生成物を浸漬させることによって行うことができる。
【0081】
一般則として、ゼオライト化に対するアルカリ溶液の濃度は好ましくは0.5Mと5Mとの間である。ゼオライト化は好ましくは室温を超える温度で、典型的には80℃から100℃の温度で、例えば室温(即ち、約20℃)とゼオライト化に対するアルカリ溶液の沸点との間の高温で行われる。ゼオライト化工程の期間は通例、十数分と数時間との間、好ましくは約1時間と8時間との間である。
【0082】
カチオン交換c)およびd)の工程は、当業者に公知の従来方法によって行われ、そして、工程a)から生じた凝集物を、すなわち、吸着剤全重量に対して好ましくは10重量%を超える、好ましくは15重量%を超える、非常に好ましくは20重量%を超える、さらにより好ましくは23重量%を超える、またはさらに33重量%を超える、酸化バリウムとして表示される高含有量のバリウムを迅速に得るために、室温と100℃との間の温度、好ましくは80℃と100℃との間の温度で、水溶液中でバリウム塩および/またはカリウム塩、例えば塩化バリウム(BaCl
2)および/または塩化カリウム(KCl)と接触させることによる場合が殆どである。
【0083】
有利には、酸化バリウムとして表示されるバリウム含有量は、吸着剤全重量に対して23重量%と42重量%との間(限界値を含む)、典型的には30重量%と40重量%との間(限界値を含む)である。交換したいゼオライトのカチオンに対して大過剰のバリウムイオンで、典型的には10から12のオーダーの過剰量で作業するのが好ましく、有利には連続的交換を行う。
【0084】
カリウムとの任意の交換(工程d)は、バリウムとの交換(工程c)の前および/または後に行うことができる。上述したように、工程a)において、バリウムイオンもしくはカリウムイオンまたはバリウムイオンおよびカリウムイオンをすでに含むFAUゼオライトの結晶成分(当初のFAU型ゼオライトに存在するカチオンの、典型的には、ナトリウムカチオンの予備交換)を、工程a)前に、バリウムイオンもしくはカリウムイオンまたはバリウムイオンおよびカリウムイオンで凝集することもまた可能であり、ならびに工程c)および/または工程d)を省略する(または省略しない)ことも可能である。
【0085】
驚くべきことに、出願人は、ゼオライト結晶成分の構造が比較的崩れ易いため難しいであろうカチオン交換の工程が、前記ゼオライト結晶成分の外部表面積およびミクロ孔容積(いったん交換された吸着剤の重量に対する)という本質的な特性に影響を与えないことを観察した。
【0086】
1回または複数回のカチオン交換の工程後、洗浄を行い、通例は、また好ましくは水で洗浄し、次いでこうして得られた凝集物を乾燥する。
【0087】
乾燥に続く活性化は、従来通り、当業者に公知の方法、例えば、通例、100℃と400℃との間、好ましくは200℃と300℃との間の温度で、所望の水分含有量および強熱減量に応じて決められる時間で、典型的には1時間から6時間行われる。
【0088】
本発明はまた、文献に記載された吸着剤を有利に置き換えることができる吸着剤として、バリウムまたはバリウムおよびカリウムを含むFAU型ゼオライトの従来の結晶に基づく上述したゼオライト吸着剤の使用に関するものであって、その内容は、それぞれ、上述したように、酸化バリウムの含有量または酸化バリウムおよび酸化カリウムの含有量で表されるか、またはバリウムまたはバリウムおよびカリウムを含むFAU型ゼオライトの従来の結晶に基づくかであり、ならびに特に以下に挙げたゼオライト吸着剤の使用である。
・C8芳香族異性体分画の分離および特にキシレンの分離
・ニトロトルエン、ジエチルトルエン、トルエンジアミンおよびその他などの置換トルエンの異性体の分離
・クレゾールの分離
・糖などの多価アルコールの分離
【0089】
本発明は特に、パラーキシレンの吸着のための基剤として、典型的には20m
2.g
−1を超える、好ましくは40m
2.g
−1を超える、より好ましくは40m
2.g
−1と200m
2.g
−1との間(限界値を含む)、さらにより好ましくは60m
2.g
−1と200m
2.g
−1との間(限界値を含む)の窒素吸着によって特徴付けられる、大きな表面積を有する、バリウムおよび/またはカリウムを含むゼオライト吸着剤を使用して、液相工程のみならず気相工程においても用いられる、8個の炭素原子を有する芳香族異性体の分画からパラーキシレンを分離する方法に関する。
【0090】
したがって、分取吸着液体クロマトグラフィー(バッチ工程で)によって、有利には疑似移動床で、すなわち、疑似向流もしくは疑似並流で、より具体的には疑似向流で、連続的に、所望の生成物(パラーキシレン)を分離することが可能である。
【0091】
疑似向流型の工業的吸着装置の操作条件は、通例、以下の通りである。
・床数:6から30;
・ゾーン数:各々張込点および抜出点との間に位置する少なくとも4個の作業ゾーン;
・100℃と250℃との間、好ましくは150℃と190℃との間である、温度;
・工程温度でのキシレンの沸点圧力と3MPaとの間である、工業的装置の圧力;
・0.7と2.5との間、例えば独立型吸着装置では0.9と1.8との間、および結晶装置と結合した吸着装置では0.7と1.4との間である、張込速度に対する脱着速度の比;
・2.5と12との間、好ましくは3.5と6との間である再循環率。
【0092】
この主題について、特許US2985589、US5284992およびUS5629467の教示を参照することができる。
【0093】
疑似並流を伴う工業的吸着の操作条件は、通例、0.8と7との間である再循環率は別として、一般的に疑似向流で操作する条件と同様である。この態様に関しては、特許US4402832およびUS4498991を参照することができる。
【0094】
脱着溶媒は当業者の公知のいかなる脱着剤でもよく、脱着溶媒の沸点がトルエンなどの原料の沸点より低くても、脱着剤の沸点がパラ-ジエチルベンゼン(PDEB)などの原料の沸点よりも高くてもよい。C8芳香族分画に含まれるパラーキシレンの吸着に対する本発明の吸着剤の選択性は、900℃で測定した、これらの強熱減量が、好ましくは7.7%以下、好ましくは0と7.7%との間(限界値を含む)、非常に好ましくは3.0%と7.7%との間(限界値を含む)、より好ましくは3.5%と6.5%との間(限界値を含む)、さらにより好ましくは4.5%と6%との間(限界値を含む)である場合に最適である。
【0095】
本発明の凝集したゼオライト吸着剤は、先行技術で公知の従来からのゼオライト吸着剤の特性、特に機械的特性およびミクロ孔性を同時に備え、全物質移動の特性が従来の結晶に基づくゼオライト吸着剤と比べ最大化されている。
【0096】
さらに、本発明の大きな外部表面積を有するFAUゼオライトである凝集したゼオライト吸着剤を製造する方法は、実施するのに簡便であり、迅速且つ経済的であるので最小限の工程で簡便に工業化される。
【0097】
以下の実施例は本発明の目的を例示し、解説する目的でのみ提供され、本発明の種々の実施形態をなんら制限する意図はない。
【0098】
以下の実施例において、凝集物の物理的性質は当業者に公知の方法で評価され、その中で主要なものを以下にあげる。
【0099】
特性評価のための技術
粒子の粒度分布:
工程a)で使用されるFAU型ゼオライトの分子(即ち、結晶)および凝集物中に含まれるゼオライトXの分子(即ち、結晶)の数平均直径は走査型電子顕微鏡(SEM)を用いる観察によって評価する。
【0100】
サンプル中のゼオライトの粒子(即ち、結晶)のサイズを推定するために、少なくとも5000倍の拡大で一組の画像を撮影する。次いで、例えば発行元のLoGraMiからのSmile View ソフトウエアなどの専用ソフトウエアを使用して少なくとも200個の粒子の直径を測定する。精度は3%のオーダーである。
【0101】
ゼオライト吸着剤の化学分析―Si/Al比および交換率:
上述の工程a)から工程f)の終点で得られた最終生成物の元素分析は当業者に公知の種々の分析技術によって行うことができる。これらの技術のうちで、規格NF EN ISO 12677:2011で記述したように、例えばBruker社製のTiger S8である波長分散型分光器(WDXRF:波長分散蛍光X線)上の蛍光X線による化学分析の技術を挙げることができる。
【0102】
蛍光X線はサンプルの元素組成を決めるための、X線の範囲における原子の光ルミネセンスを利用する非破壊スペクトル技術である。通常、X線のビームによるまたは電子衝撃による原子の励起は、原子が基底状態に戻ってから特別の放射線を放出する。蛍光X線スペクトルには、元素の化学結合に殆ど依存しないという利点があり、これは定量的にも定性的にも正確な測定を提供することになる。従来、各々の酸化物を焼成した後には、測定の不確実性が0.4重量%未満である。
【0103】
これらの元素化学分析により、凝集物中に使用されるゼオライトのSi/Al原子比および上述した工程a)から工程f)の終点で得られた最終生成物のSi/Al原子比を検証することができ、ならびに工程c)および任意の工程d)において記載されるイオン交換の質を検証することができる。本発明の明細書において、Si/Al原子比の測定の不確実性は±5%である。
【0104】
イオン交換の質は、交換後の凝集したゼオライト中に残る酸化ナトリウム、Na
2Oのモル数に関連する。より具体的には、バリウムイオンによる交換の程度は、(BaO+Na
2O)を合わせたモル数に対する、酸化バリウム、BaOのモル数の比を評価することにより推定される。同じように、バリウムイオンおよび/またはカリウムイオンによる交換の程度は、(BaO+K
2O+Na
2O)を合わせたモル数に対する、酸化バリウム+酸化カリウム(BaO+K
2O)を合わせたモル数の比を評価することにより推定される。異なる酸化物の含有量は、無水ゼオライト吸着剤の総重量に対して重量%で与えられることを注記しなければならない。
【0105】
ゼオライト吸着剤の粒度分布
工程a)の凝集および成形の終点で得られるゼオライト吸着剤の数平均直径は、規格ISO 13322−2:2006に従って、カメラのレンズ前にサンプルを通過させることができるコンベアベルトを用いる画像撮影によって、凝集剤サンプルの粒度分布を分析することにより決定される。
【0106】
次いで、数平均直径は、規格ISO 9276−2:2001を適用することにより粒度分布から計算される。本明細書において、用語「数平均直径」あるいは「サイズ」は、凝集したゼオライトについて使用される。精度は、本発明の凝集物のサイズの範囲について0.01mmのオーダーである。
【0107】
ゼオライト吸着剤の機械的強度
本発明に記載されているゼオライト吸着剤の床の破砕強度は、Vinci Technologies社から販売されている「BCS Tester」装置と組み合わせた「Shell Method Series SMS1471−74(Determination of Bulk Crushing Strength of Catalysts.Compression−Sieve Method)」によって特性評価される。この方法は、当初3mmから6mmの触媒の特性評価を意図しており、特に破砕中に生じた微粉物を分離することができる425μmの篩の使用に基づいている。425μmの篩の使用は、1.6mmを超える直径の粒子についてはなお適切であるが、特性評価したい凝集物の粒度分布にしたがって適応されなければならない。
【0108】
通例、ビーズまたは押し出し物の形態である本発明の凝集物は、通例、数平均直径または長さ(即ち、凝集物が球形でない場合には、最大の直径)が、0.2mmと2mmとの間(限界値を含む)、特に0.2mmと0.8mmとの間(限界値を含む)、好ましくは0.4mmと0.65mmとの間(限界値を含む)を有する。従って、規格Shell method SMS1471−74で言われた425μmの篩に代わり、100μmの篩が使用される。
【0109】
測定プロトコルは以下の通りである。前もって適切な篩(100μm)で篩分けし、事前にオーブン中で250℃(規格Shell method SMS1471−74で言われた300℃の代わり)で少なくとも2時間乾燥した、凝集吸着剤のサンプル20cm
3を、既知の内部セクションの金属シリンダー内に入れる。吸着剤の凝集物上でピストンによって発揮された力がより分散されるために5cm
3の鋼球の床を介して、該ピストンによってこのサンプルに段階的に力を加える(厳密に1.6mm未満の直径を有する球形の粒子について直径2mmの鋼球を使用する)。異なる加圧段階で得られた微粉物は篩(100μmの適切な篩)によって分離され、秤量される。
【0110】
床の破砕強度は、篩を通過する微粉物の累積量がサンプルの0.5重量%に増加する、メガパスカル(MPa)の圧力で決定される。この値は、吸着剤の床に加えられる力の関数として得られる微細粉の重量をグラフ上にプロットし、累積微細粉の0.5重量%を補間することによって得られる。床における機械的破砕強度は、典型的には数100kPaと数10MPaとの間であり、通例は0.3MPaと3.2MPaとの間である。従来、その精度は0.1MPa未満である。
【0111】
ゼオライト吸着剤の非ゼオライト相
ゼオライト化後の非ゼオライト相NZP、例えばゼオライト化しない残余結合剤または任意の他の非晶質相の割合は、以下の方程式:
NZP=100−Σ(ZP)
によって計算され、ここでZPは本発明の意味においてゼオライトX画分の総量を表す。
【0112】
ゼオライトX画分の量(結晶化度)は頭文字XRDによる当業者に公知のX線回折分析で測定される。この分析はBruker社製の装置で行われ、そしてゼオライトX画分の量は、Bruker社からのTOPASソフトウエアを使用して評価される。
【0113】
ミクロ孔および外部表面積:
凝集物の結晶化度はまた、そのミクロ孔容積を測定し、適切な参照物(同一のカチオン処理または理論的ゼオライトの条件下の100%結晶ゼオライト)のミクロ孔容積と比較することによって評価される。このミクロ孔容積は、液化温度における、窒素などの気体の吸着等温線の測定から決定される。
【0114】
吸着に先立って、ゼオライト吸着剤は300℃と450℃との間、9時間と16時間との間の時間、真空下(P<6.7×10
−4Pa)で脱気する。次いで、77Kでの窒素吸着等温線の測定は、0.002と1との間のP/P
0相対比率圧で少なくとも35箇所の測定の点を採って、MicromeriticsからのASAP 2020M型装置で行われる。
【0115】
ミクロ孔容積および外部表面積は、規格ISO 15901−3:2007を適用して、t−プロット法によって得られた吸着等温線から、Harkins−Jura方程式で統計的な厚さtを計算して決定される。ミクロ孔容積および外部表面積は、それぞれ、原点座標および線形回帰の傾きから、0.45nmと0.7nmとの間のtプロットの点の線形回帰によって得られる。評価されるミクロ孔容積は、吸着剤の1g当たり液体吸着物のcm
3で表される。外部表面積は、吸着剤の1g当たりのm
2で表される。
【0116】
マクロ孔およびメソ孔の全容積:
マクロ孔およびメソ孔の全容積は、水銀圧入ポロシメトリーによって測定された。水銀圧入技術は、ゼオライト粒状材料の3.6nm超の直径を有する細孔に含まれる粒内細孔容積を特性評価しおよび粒子密度を測定するのに使用される。MicromeriticsからのAutopore(R)9500型の水銀ポロシメーターは、50nm超の細孔直径を有するマクロ孔および3.6nmと50nmとの間のメソ孔に含まれる細孔容積分布を分析するのに使用される。マクロ孔の容積画分は、マクロ孔に含まれる細孔容積をマクロ孔およびメソ孔の総容積で割ることによって計算される。
【0117】
装置の操作マニュアルに記載されている実験方法は、吸着剤のサンプル(強熱減量の既知の)を事前に秤量し、ポロシメーターのセルの中に入れ、次いで事前脱気(少なくとも10分間、30μmHgの排気圧力)後、所与の圧力(0.0036MPa)でセルを水銀で充填し、それから400MPaまで段階的に加圧して、サンプルの細孔ネットワークに水銀を徐々に侵入させることからなる。
【0118】
適用した圧力と細孔の直径との間の関係は、円筒状細胞を仮定して、水銀と細孔壁との間の接触角が140°および水銀の表面張力が485ダイン/cmで決まる。
【0119】
ゼオライト吸着剤の強熱減量
強熱減量は、規格NF EN 196−2(April、2006)に記載されている手順に従い、900℃±25℃の温度で空気中でのサンプルの焼成により、酸化雰囲気下において決定される。測定の標準偏差は、0.1%未満である。
【0120】
ブレークスルーによる液相吸着の特性評価:
多孔質固体の分子の液相吸着を特性評価するために使用される技術は、Ruthvenによる「Principles of Adsorption and Adsorption Processes(John Wiley & Sons,(1984)、Chapters 8 and 9)」に記載されている、所謂、ブレークスルー技術であり、吸着性成分の増加注入に対する応答の研究としての「ブレークスルー曲線」の技術を定義している。
【0121】
ブレークスルー曲線の平均排出時間(最初の瞬間)の分析は、吸着された量の情報を提供し、そして選択性、すなわち、2つの吸着性成分との間の分離係数の評価が可能になる。トレーサーとして使用される非吸着成分の注入は、非選択的容量を推定するのに推奨される。ブレークスルー曲線の分散(第2の瞬間)の分析により、理想的に攪拌されている仮想の反応器の有限数によるカラムの表現(理論段数)に基づき、理論段相当高さを評価することが可能となり、これは系の軸方向分散のおよび物質移動に対する抵抗の直接的な測定である。