特開2018-183877(P2018-183877A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-183877(P2018-183877A)
(43)【公開日】2018年11月22日
(54)【発明の名称】ハードコートフィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/30 20060101AFI20181026BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20181026BHJP
   C09D 133/04 20060101ALI20181026BHJP
   C09D 163/00 20060101ALI20181026BHJP
   C09D 133/14 20060101ALI20181026BHJP
   C08J 7/04 20060101ALI20181026BHJP
【FI】
   B32B27/30 A
   C09D5/00
   C09D133/04
   C09D163/00
   C09D133/14
   C08J7/04 KCEP
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-186822(P2015-186822)
(22)【出願日】2015年9月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126169
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 淳子
(74)【代理人】
【識別番号】100130812
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 淳
(72)【発明者】
【氏名】近藤 圭
(72)【発明者】
【氏名】滝川 慶
(72)【発明者】
【氏名】狩集 翔
【テーマコード(参考)】
4F006
4F100
4J038
【Fターム(参考)】
4F006AA02
4F006AB43
4F006AB55
4F006AB64
4F006BA02
4F006CA05
4F006EA03
4F100AJ06A
4F100AK25B
4F100AK53B
4F100AT00A
4F100BA02
4F100EH46
4F100EJ54
4F100GB41
4F100JA07B
4F100JB14B
4F100JK09B
4F100JK12
4F100JK12B
4F100JL04
4F100JN01
4F100YY00
4J038CG011
4J038CG061
4J038CG121
4J038DB001
4J038DB221
4J038FA111
4J038FA201
4J038FA251
4J038LA06
4J038MA07
4J038NA11
4J038NA12
4J038PA17
4J038PB09
4J038PC08
(57)【要約】
【課題】
本発明は、透明性、カール、硬度などのハードコート適応性に優れ、且つ耐久性(耐光密着性)に優れるハードコートフィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】
基材フィルムの少なくとも片面上にハードコート層を有するハードコートフィルムであって、該ハードコート層が重量平均分子量500以上のエポキシ(メタ)アクリレート系電離放射線硬化型樹脂(成分A)、及び成分A以外の(メタ)アクリレート系電離放射線硬化型樹脂(成分B)を含有し、且つ成分A:成分Bの配合比率(重量部)が30:70〜45:55の範囲にあり、且つ該ハードコート層の膜厚が4〜15μmであることを特徴とするハードコートフィルム。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルムの少なくとも片面上に電離放射線硬化型樹脂を含有するハードコート層を有するハードコートフィルムであって、該電離放射線硬化型樹脂が、重量平均分子量500以上のエポキシ(メタ)アクリレート系樹脂(成分A)、及びエポキシ基を含有しない(メタ)アクリレート系樹脂(成分B)からなり、且つ成分A:成分Bの配合比率(重量部)が30:70〜45:55の範囲にあり、且つ該ハードコート層の膜厚が4〜15μmであることを特徴とするハードコートフィルム。
【請求項2】
前記記載の基材フィルムが、トリアセチルセルロースフィルムであることを特徴とする請求項1に記載のハードコートフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハードコートフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の技術の進歩に伴い、画像表示装置は、従来の陰極管表示装置(CRT)に加え、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)およびエレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)等が開発され、実用化されている。
【0003】
このなかで、LCDは、高視野角化、高精細化、高速応答性、色再現性などに関する技術革新に伴い、LCDを利用するアプリケーションもノート型パーソナルコンピュータ(ノートPC)やモニターからテレビへと変化し普及しつつある。
【0004】
LCDには、通常、液晶セルの両側に偏光板が配置された液晶パネルが用いられている。液晶パネル表面には、一般に、偏光板への傷付き防止のため、ハードコート処理が行われており、透明性の高い基材フィルムにハードコート処理を行ったハードコートフィルムを貼り合わせる方法等が多く用いられる。
【0005】
前記ハードコートフィルムはLCDの視認側最表面に位置するため、高い硬度性を要求されるが、ハードコート層の硬度を高めるにつれハードコート層に用いられる樹脂の硬化収縮が強くなるため、ハードコートフィルムがハードコート層側に反り、カールが強くなってしまう。ハードコートフィルムのカールは加工時に断紙やシワの原因となりやすく、そのため高い硬度を有するハードコートフィルムは作業性が悪いものであった。
【0006】
係る問題を解決するため無機微粒子を添加し、ハードコート層の硬度の向上とハードコートフィルムのカールを低減する方法が提案されている。(特許文献1)しかし、無機微粒子を添加すると、無機微粒子による凝集の発生や、ハードコート層の透明性の低下といった問題点があった。
【0007】
そのため無機微粒子を用いずに硬化収縮によるカールを抑制するために、分子鎖が長く、分子内に凝集力の弱いソフトセグメントを有するために硬化収縮の少ないウレタンアクリレート樹脂をハードコート層に含有させ、カールを改善する方法が提案されている。(特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2013−108009号公報
【特許文献2】特開2013−224345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、ハードコート層にウレタンアクリレート樹脂を用いたハードコートフィルムは、耐光密着性などの耐久性に劣るため、満足できる品質のハードコートフィルムは得られていなかった。
【0010】
そこで本発明は、透明性、カール、硬度などのハードコート適応性に優れ、且つ耐久性(耐光密着性)に優れるハードコートフィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によると、以下の方法により課題が解決できることを見出した。
(1)基材フィルムの少なくとも片面上に電離放射線硬化型樹脂を含有するハードコート層を有するハードコートフィルムであって、該電離放射線硬化型樹脂が、重量平均分子量500以上のエポキシ(メタ)アクリレート系樹脂(成分A)、及びエポキシ基を含有しない(メタ)アクリレート系樹脂(成分B)からなり、且つ成分A:成分Bの配合比率(重量部)が30:70〜45:55の範囲にあり、且つ該ハードコート層の膜厚が4〜15μmであることを特徴とするハードコートフィルム。
(2)前記記載の基材フィルムが、トリアセチルセルロースフィルムであることを特徴とする(1)記載のハードコートフィルム。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、透明性、カール、硬度などのハードコート適正に優れ、且つ耐久性(耐光密着性)に優れるハードコートフィルムを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明において、基材フィルムとは特に制限はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリイミド、ポリプロピレン、アクリル系樹脂、ポリスチレン、セルロースアセテート、ポリ塩化ビニルのフィルムないしシート等が挙げられる。これらの中でトリアセチルセルロースフィルムは、複屈折が少なく、透明性、屈折率、分散等の光学特性、さらには耐衝撃性、耐熱性、耐久性等の諸物性に優れており、基材フィルムとしてより好ましい。
【0014】
本発明の基材フィルムは、特にその厚みは制限されるものでないが、40μm〜200μmのものが好ましく、40〜100μmがさらに好ましく、40μm〜80μmがより好ましい。
【0015】
基材フィルムの厚みが40〜200μmの範囲にあれば、基材フィルムの剛性が通常使用されうる範囲を満たすため、本発明で期待されるカールや硬度を持つハードコートフィルムを得ることができ、またLCD等の薄膜が要求される場合にも、通常40μmの基材フィルムであれば要求を満足出来得るものである。
【0016】
本発明のハードコート層に使用する樹脂は、電子線または紫外線等を照射することによって硬化する透明な電離放射線硬化型樹脂であって、重量平均分子量500以上のエポキシ(メタ)アクリレート系樹脂を少なくとも含有していることを特徴とする。
【0017】
本発明の重量平均分子量を測定する方法は、GPC法(ゲル浸透クロマトグラフィー)などの既知の方法を用いることによって得ることができる。GPC法を用いる場合には、標準物質にポリスチレン又はポリメタクリル酸メチル、ポリエチレングリコールなどを用いて測定を行うことができる。
【0018】
重量平均分子量500以上の電離放射線硬化型樹脂は、分子内に高分子からなる鎖状構造を多く有するため、硬化による収縮が低く、ハードコート層形成によるカールを抑制することができる。分子量が500未満であると、分子内に鎖状構造が少なく、硬化収縮の緩和が不十分である。重量平均分子量の上限は特に制限されるものではないが、5000以下であることが好ましい。重量平均分子量が5000を超えると、樹脂の粘度が高くなり過ぎ、ハードコート層形成時のハンドリング性が悪化する。
【0019】
本発明には、その様な中でもエポキシ(メタ)アクリレート系樹脂を用いることが好ましい。エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂は、反応性が高く架橋構造の形成に優れるため、硬化後に優れた耐久性を有することができる。その様なエポキシ(メタ)アクリレート樹脂は特に制限されるものでないが、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する物が好ましく、分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を持つ物がさらに好ましい。分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を持つことにより、電離放射線等によるハードコート層の形成において、さらに3次元的な架橋構造を構築しやすい。その様なものしては、アラキード9201N(荒川化学工業(株)製)、モデピクス401(荒川化学工業(株)製)、ユニディックV5500(DIC(株)製)、エポキシエステルM−600A(共栄社(株)製)等を用いることができる。
【0020】
本発明においては、さらにエポキシ基を含まない(メタ)アクリレート系樹脂を用いることができる。その様な樹脂としては、エポキシ(メタ)アクリレート系電離放射線硬化型樹脂と同様の操作にて簡便に取り扱うことができる電離放射線硬化型樹脂が好ましく、そのような物としては透明フィルム基材との良好な密着性を得るために分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する紫外線硬化可能な多官能アクリレートからなるものがさらに好ましい。その様な樹脂の具体例としては、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のポリオールポリアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジアクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルのジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルのジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0021】
本発明においては、ハードコート層中に、成分(A):エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂と成分(B):エポキシ基を含まない(メタ)アクリレート樹脂の配合比率が、成分(A):成分(B)=30:70〜45:55の範囲にあることが好ましい。エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂の配合率が30重量部未満であると分子内の鎖状構造の存在比率が低く、硬化による収縮の低減効果が小さい為カールの改善が低く、45重量部を超えると分子内の鎖状構造の存在比率が高くなり過ぎ、架橋点が減少するため表面硬度が劣り易くなる。
【0022】
本発明において、ハードコート層の厚さは、4.0μmから15.0μmの範囲であることが好適である。塗膜厚さが4.0μm未満では本発明に必要な表面硬度が得られ難くなる。また、塗膜厚さが15.0μm超の場合は硬化収縮が強くなり過ぎカールが大きくなり、製造工程などで取扱い性が低下しやすく好ましくない。なお、ハードコート層の厚さは、マイクロメーターで実測することにより測定可能である。
【0023】
本発明において、ハードコート層は、前記樹脂の他に、必要に応じてレベリング剤、重合開始剤、消泡剤、滑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、重合禁止剤、湿潤分散剤、レオロジーコントロール剤、酸化防止剤、防汚剤、帯電防止剤、導電剤、無機材料、その他の添加剤等を、本発明の効果を阻害しない範囲で配合することができ、これらを適当な溶媒に溶解、分散したハードコート塗料を基材フィルム上に塗工、乾燥、硬化して形成される。
【0024】
本発明に用いることができる溶媒としては、配合される前記樹脂の溶解性に応じて適宜選択でき、少なくとも固形分(樹脂、重合開始剤、その他添加剤)を均一に溶解あるいは分散できる溶媒であればよい。そのような溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、n−ヘプタンなどの芳香族系溶剤、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂肪族系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、乳酸メチル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール系等のアルコール系溶剤等の公知の有機溶剤を単独或いは適宜数種類組み合わせて使用することもできる。
【0025】
本発明のハードコート層の塗工方法については、特に限定はないが、グラビア塗工、マイクログラビア塗工、ファウンテンバー塗工、スライドダイ塗工、スロットダイ塗工、スクリーン印刷法、スプレーコート法等の公知の塗工方式で塗設した後、通常50〜120℃程度の温度で乾燥し、溶媒が除去される。
【0026】
基材フィルム上に塗工し、溶媒を除去されたハードコート塗料を硬化させる方法としては、電子線又は紫外線などの電離放射線を照射させる方法を用いることができる。その照射条件などは、使用する電離放射線硬化型樹脂、その他添加する各種薬品にあわせて適宜調整すればよい。なお、硬化反応時に窒素ガス雰囲気下など、酸素濃度を低下させ実施することができる。
【0027】
本発明においてカールとは、前記樹脂を硬化しハードコート層を形成させるときの硬化によって、該樹脂の分子が収縮することによって発生する、ハードコート層側に基材フィルムごと反る現象である。通常、カールが強いと加工時に断紙やシワの原因となり、作業性が悪化する。
【0028】
本発明のカールの測定は、該ハードコートフィルムのA4判サイズ(210×297mm)を温度20℃及び相対湿度60%環境下にてハードコート面を上向きにして水平な平版上に静置した際に、水平面から測定される四隅の浮き上がりの平均値を測定し、判断することができる。該カール値が25mm以下であれば、作業性は良好であり、25mmよりも高いものであると、作業性が悪化すると判断できる。
【0029】
本発明のハードコートフィルムは、JIS S 6006で規定される硬度試験方法において、荷重を4.9N/試験用鉛筆3H硬度を用いた時に、キズが発生しない鉛筆硬度3Hを持つものである。鉛筆硬度が3Hよりも低い場合、LCDなどの表面に用いられる場合に引っ掻きなどによるキズが発生しやすく、ハードコートフィルムに通常求められる十分な硬度を有していない。
【0030】
本発明のハードコートフィルムは、JIS―K7136で規定される方法で、全光線透過率91.5%以上、およびヘイズ値0.5%以下のものを使用できる。ハードコートフィルムがこれらの範囲を満たさないものであると、LCDなどに用いる場合に十分な透明性を有しておらず好ましくない。
【0031】
本発明のハードコートフィルムは、高温高湿の促進環境下で照度500W/m2・100時間照射した後に、JIS-K5600−5−6に準じた密着性試験で、ハードコート層の剥がれがないことが重要である。本発明における高温高湿の促進環境下とは、一般に常温常湿(温度25℃湿度45%)よりも高い状態のことをいい、一般により高い温湿度にするほど促進下に置かれる。その様な促進条件化としては、通常温度40℃以上100℃以下、湿度50%以上100%未満が用いられる。照射ランプとしては、紫外線カーボンアークランプ、サンシャインカーボンアーク、キセノンアークランプ、紫外線蛍光灯光源などを用いることができる。特に紫外線カーボンアークランプは、紫外部(388nm波長付近)に強いエネルギーを発生するため、耐紫外線耐久性(耐太陽光暴露性)を試験するのに好ましい。
【0032】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0033】
[実施例1]
<塗料調整>
エポキシアクリレート樹脂38重量部(商品名:ユニディックV5500、DIC(株)社製、重量平均分子量:1020)とジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート樹脂62重量部(商品名:ライトアクリレートDPE―6A、共栄社化学(株)社製)、光重合開始剤(商品名:イルガキュア184、BASF(株)社製)を5重量部、フッ素系表面調整剤(商品名;メガファックF−563、DIC(株)製)を0.44重量部、シロキサン系表面調整剤(商品名;BYK−UV3510、ビックケミー(株)製)を0.06重量部混合してなる塗料を、酢酸エチル/エチルセロソルブ=83/17重量部を混合撹拌した溶媒に溶解させ、固形分濃度40重量部%となるように調整し混合撹拌したハードコート層形成用塗料を作製した。
【0034】
<ハードコート層の形成>
上記方法にて得られたハードコート層形成用塗料を、厚さ40μmのトリアセチルセルロースフィルム(以下、TAC40と略)(商品名:KC4UAW、コニカミノルタ(株)製)にバーコータを用いて塗布し、80℃の乾燥炉で1分間乾燥し、乾燥後の塗工厚が6μmとなるようハードコート層を形成した。これを塗布面より60mmの高さにセットしたUV照射装置を用い、大気雰囲気下でUV照射量を200mJ/cmにて硬化させてハードコートフィルムを作製した。
【0035】
[実施例2]
実施例1のエポキシアクリレート樹脂30重量部、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート樹脂70重量部とした以外は、実施例1と同様にハードコートフィルムを作製した。
【0036】
[実施例3]
実施例1のエポキシアクリレート樹脂45重量部、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート樹脂55重量部とした以外は、実施例1と同様にハードコートフィルムを作製した。
【0037】
[実施例4]
実施例1のハードコート層の厚みが、4μmであること以外は実施例1と同様にハードコートフィルムを作成した。
【0038】
[実施例5]
実施例1のハードコート層の厚みが、10μmであること以外は実施例1と同様にハードコートフィルムを作成した。
【0039】
[実施例6]
実施例1で調整した塗料を、厚さ40μmのトリアセチルセルロースフィルム(商品名:KC4UAW、コニカミノルタ(株)製)の代わりに、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(以下、TAC80)(商品名:KC8UAW、コニカミノルタ(株)製)に、ハードコート層の厚みを15μmとなるよう塗工した以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作成した。
【0040】
[実施例7]
実施例1で調整した塗料を、厚さ40μmのトリアセチルセルロースフィルム(商品名:KC4UAW、コニカミノルタ(株)製)の代わりに厚さ38μmのポリエチレンテレフタラートフィルム(以下、PET)(商品名:A4300、東洋紡(株)製)に塗工した以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作成した。
【0041】
[比較例1]
実施例1のエポキシアクリレート樹脂を、エポキシアクリレート樹脂(商品名:Miramer PE230、東洋ケミカルズ(株)社製、重量平均分子量:420)とした以外は実施例1と同様に作製した。
【0042】
[比較例2]
実施例1のエポキシアクリレート樹脂28重量部、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート樹脂72重量部とした以外は、実施例1と同様にハードコートフィルムを作製した。
【0043】
[比較例3]
実施例1のエポキシアクリレート樹脂50重量部、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート樹脂50重量部とした以外は、実施例1と同様にハードコートフィルムを作製した。
【0044】
[比較例4]
実施例1のハードコート層の厚みが、3μmであること以外は実施例1と同様にハードコートフィルムを作成した。
【0045】
[比較例5]
実施例1のハードコート層の厚みが、11μmであること以外は実施例1と同様にハードコートフィルムを作成した。
【0046】
[比較例6]
実施例1のエポキシアクリレート樹脂(商品名:ユニディックV5500)とジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート樹脂(商品名:ライトアクリレートDPE―6A、共栄社化学(株)社製)の代わりに、ウレタンアクリレート(DIC−17−806 DIC(株)製)を100重量部とした以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作成した。
【0047】
上記実施例及び比較例で得られたハードコートフィルムについて各評価は下記の方法で実施した。その結果は纏めて表1に示した。
【0048】
<カール高さの測定>
各ハードコートフィルムをA4サイズにカットし、温度20℃、相対湿度60%環境下にてハードコート面を上向きにして水平な平版上に静置した際の、水平面からの四隅の浮き上がりを測定し、その4点の平均値をカール高さとした。
【0049】
<鉛筆硬度の評価>
JIS−K5600−5−4に基づき、新東科学(株)製「HEIDON14」を用い、ハードコート層の鉛筆硬度測定を実施した。
【0050】
<全光線透過率、及びヘイズの評価>
JIS−K7136に基づき、村上色彩技術研究所製ヘイズメーター「HM150」を用いてハードコート層の全光線透過率、及びヘイズの測定を実施した。
【0051】
<耐光密着の評価>
各ハードコートフィルムに対して、スガ試験(株)紫外線オートフェードメーター「U48AU」(紫外線カーボンアークランプ)を用いて、試験条件を照射照度500W/m、温度43度、湿度50%とし、照射時間が100時間の時点で、JIS−K5600−5−6に基づき、ハードコート層の密着性をクロスカット法で実施した。
◎:クロスカット法での密着性が100%
○:クロスカット法での密着性が99%
△:クロスカット法での密着性が95%以上99%未満
×:クロスカット法での密着性が95%未満
【0052】
<干渉縞(虹彩状色彩)の評価>
実施例及び比較例で得られたハードコートフィルムを10cm×15cmの面積に切り出し、試料フィルムを作製した。この試料フィルムのハードコート層とは反対面に、黒色光沢テープを貼り合わせ、ハードコート面を上面にして、3波長形昼白色蛍光灯(ナショナル パルック、F.L 15EX−N 15W)を光源として、斜め上方より反射光を目視で観察した。
○:干渉縞が見られない。
△:干渉縞がわずかにみられるが、実用上問題のないレベル。
×:干渉縞が非常に目立つ。
【0053】
【表1】
【0054】
表1より、実施例1〜7に記載されるハードコートフィルムは、カール、硬度、透明性などのハードコート適正に優れ且つ、含有されるエポキシアクリレート樹脂は耐光密着性に優れているため、期待される効果を満たす発明が得られる。一方、分子量500未満のエポキシアクリレート樹脂を用いた比較例1は、カール低減効果が弱く、本発明のハードコート適正に適さない。またハードコート層中のエポキシアクリレート樹脂の分子量や存在バランスによっては、本発明で期待されるハードコート適正を得られず(比較例1〜3)、そのハードコート層膜厚(比較例4、5)においても、本発明のハードコート適正に影響することが示される。