【実施例】
【0226】
以下に説明する実施例は例示であり、本発明を限定するものではない。
【0227】
(実施例1)
材料および方法
この後に続く実施例に記載の研究に利用する材料および方法を、この後に記載する。
【0228】
腫瘍細胞系およびペプチド
NA−6−Mel、T2、SK−Mel−37およびLNCaP細胞は、American Type Culture Collection(ATCC)(Manassas、VA)から購入した。HLA−A2拘束性ペプチドMAGE−3 p271−279(FLWGPRALV)、インフルエンザマトリックス(IM)p58−66(GILGFVFTL)およびHIV−1 gag p77−85(SLYNTVATL)を使用し、CD8+T細胞応答を分析した。ヘルパーT細胞分極実験において、破傷風トキソイドペプチドTTp30 FNNFTVSFWLRVPKVSASHLEを使用した。すべてのペプチドは、Genemed Synthesis Inc(San Francisco、CA)により合成され、HPLC決定純度は95%を超える。
【0229】
ヒト誘導性CD40をコードする組換えアデノウイルス
ヒトCD40細胞質ドメインは、XhoI隣接5’プライマー(5hCD40X)、5’−atatactcgagaaaaaggtggccaagaagccaacc−3’およびSalI隣接3’プライマー(3hCD40S)、5’−atatagtcgactcactgtctctcctgcactgagatg−3’を使用する、ヒト単球由来DC cDNAから増幅されたPfuIポリメラーゼ(Stratagene、La Jolla、California)であった。PCR断片を、SalI消化pSH1/M−FvFvls−E15にサブクローニングし、配列決定し、pSH1/M−FvFvls−CD40−Eを作製した。誘導性CD40を、次いで、サイトメガロウイルス初期/即時型プロモーターの下でトランス遺伝子を発現する、非複製E1、E3欠失Ad5/f35に基づくベクターにサブクローニングした。iCD40コード配列を、制限消化および配列決定によって確認した。すべてのアデノウイルスの増幅、精製および力価決定は、Viral Vector Core Facility of Baylor College of Medicineにおいて実施した。
【0230】
ウェスタンブロット
全細胞抽出液を、プロテアーゼ阻害カクテル(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO)を含有するRIPA緩衝液を用いて調製し、界面活性剤相溶性タンパク質濃度アッセイ(detergent−compatible protein concentration assay)(Bio−Rad、Hercules、CA)を使用して定量した。10〜15マイクログラムの全タンパク質を、常法に従って12%SDS−PAGEゲルにおいて分離し、タンパク質をニトロセルロース膜(Bio−Rad)に転写した。ブロットを、ヤギ抗CD40(T−20、Santa Cruz Biotechnology、Santa Cruz、CA)およびマウス抗アルファチューブリン(Santa Cruz Biotechnology)Abとハイブリダイズさせ、その後、それぞれロバ抗ヤギおよびヤギ抗マウスIgG−HRP(Santa Cruz Biotechnology)とハイブリダイズさせた。ブロットを、SuperSignal West Dura Stable substrate system(Pierce、Rockford、Illinois)を使用して発光させた。
【0231】
ヒトDCの作製および刺激
健康なドナー由来の末梢血単核球(PBMC)を、Lymphoprep(Nycomed、Oslo、Norway)におけるヘパリン添加血の密度遠心分離により単離した。PBMCをPBSで洗浄し、CellGenix DC培地(Freiburg、Germany)に再懸濁し、培養プレート中で37℃および5%CO
2において2時間接着させた。非接着性細胞を多数回の洗浄により取り除き、接着性単球を単球500U/mlのhIL−4および800U/mlのhGM−CSF(R&D Systems、Minneapolis、MN)の存在下で、5日間培養した。形態分析およびFACS分析により評価されたように、得られた未熟DC(imDC)はMHC−クラスI、IIhiおよび発現CD40lo、CD80lo、CD83lo、CD86loであった。imDCは、CD14negであり、CD3+T細胞、CD19+B細胞のおよびCD16+NK細胞の汚染を3%未満含有した。
【0232】
およそ2×10
6細胞/mlを24ウェルディッシュにおいて培養し、アデノウイルスを10,000ウイルス粒子(vp)/細胞(約160MOI)で、37℃および5%CO
2において90分間形質導入した。形質導入後すぐに、DCを、MPL、FSL−1、Pam3CSK4(InvivoGen、San Diego、CA)、LPS(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO)、AP20187(ARIAD Pharmaceuticals、Cambridge、MAのご好意による贈呈)または10ng/mlのTNF−アルファ、10ng/mlのIL−1β、150ng/mlのIL−6(R&D Systems、Minneapolis、MN)および1マイクログラム/mlのPGE2(Cayman Chemicals、Ann Arbor、MI)を含有する成熟化カクテル(MC)を用いて刺激した。T細胞アッセイにおいて、DCを、アデノウイルス形質導入の前後24時間に50マイクログラム/mlのPSMAまたはMAGE3ペプチドをパルスした。
【0233】
表面マーカーおよびサイトカインの産生
細胞表面染色を、蛍光色素結合体化モノクロナール抗体(BD Biosciences、San Diego、CA)を用いて実施した。細胞を、FACSCalibur血球計算器(BD Biosciences、San Jose、CA)において分析した。サイトカインを、ヒトIL−6およびIL−12p70(BD Biosciences)用の酵素結合免疫吸着アッセイキットを使用して培養上清中で測定した。
【0234】
ヒトSOCS1に関するリアルタイムQ−PCRアッセイ
全RNAを精製し、SuperScript II RTase(Invitrogen、Carlsbad、CA)を使用して、ランダムな六量体を用いて逆転写した。mRNAのレベルを、cDNAを、GeneAmp 5700 Sequence Detection System(Applied Biosystems、Foster City、CA)を使用して、TaqMan PCR分析に供することによって、DCにおいて定量した。フォワードおよびリバースプライマーならびに蛍光発生性TaqMan FAM標識ハイブリダイゼーションプローブを含む、ヒトSOCS1および18S rRNAに特異的なPre−developed配列検出試薬(Applied Biosystems)を、混合物として供給し、1マイクロリットル/20マイクロリットルPCRで使用した。試料は、2連で処理した。個々の試料におけるSOCS1の発現レベルを、同じ試料に由来する18S rRNAのレベルに対して、比較2−デルタ・デルタCT法(Livak KJ、Schmittgen TD. Analysis of relative gene express data using real−time quantitative PCR and the 2(−Delta Delta C(T)) Method. Methods. 2001年;25巻:402〜408頁)を使用して正規化した。
【0235】
DC遊走アッセイ
DCの走化性を、96−Multiwell HTS Fluoroblokプレート(BD Biosciences)において、8マイクロメーターの細孔径を有するポリカーボネートフィルターを通過する遊走によって測定した。100ng/mlのCCL19(R&D Systems)を含有するアッセイ培地(250マイクロリットル)またはアッセイ培地単独(自然発生的遊走に関する対照として)を、下方のチャンバーに投入した。DC(50,000)を、Green−CMFDA cell tracker(Invitrogen)を用いて標識し、刺激はしない、または表示の試薬を用いて48時間刺激し、総容量50マイクロリットルで37℃および5%CO
2において1時間、上方チャンバーに加えた。微細孔膜を通過して遊走した細胞の蛍光を、FLUOstar OPTIMAリーダー(BMG Labtech Inc.、Durham、NC)を使用して測定した。自然発生的に遊走する細胞の平均蛍光を、各条件に関する総遊走細胞数から差し引いた。
【0236】
IFNガンマELISPOTアッセイ
HLA−A2陽性の健康なボランティア由来のDCに、MAGE−3 A2.1ペプチド(271〜279残基;FLWGPRALV)を培養4日目にパルスし、その後Ad−iCD40を形質導入し、5日目にさまざまな刺激剤を用いて刺激した。自己T細胞を、陰性選択(Miltenyi Biotec、Auburn、CA)によりPBMCから精製し、DC:T細胞が1:3で、DCと混合した。細胞を、20U/mlのhIL−2(R&D Systems)および25マイクログラム/mlのMAGE3 A2.1ペプチドと共に完全RPMI中でインキュベートした。T細胞を、7日目に再刺激し、培養14日目にアッセイした。
【0237】
ELISPOTによる定量
平底の96ウェルニトロセルロースプレート(MultiScreen−HA;Millipore、Bedford、MA)を、IFN−ガンマmAb(2μg/ml、1−D1K;Mabtech、Stockholm、Sweden)を用いてコーティングし、4℃において一晩インキュベートした。0.05%のTWEEN20を含有するPBSを用いて洗浄後、プレートを、完全RPMIを用いて、37℃において2時間ブロックした。総量1×10
5の予備感作CD8+Tエフェクター細胞を各ウェルに加え、25マイクログラム/mlのペプチドと一緒に20時間インキュベートした。その後、プレートを、0.05%のTWEEN20を含有するPBSを用いて完全に洗浄し、抗IFN−mAb(0.2μg/ml、7−B6−1−ビオチン;Mabtech)を各ウェルに加えた。37℃において2時間インキュベーション後、プレートを洗浄し、ストレプトアビジン−アルカリホスファターゼ(1μg/ml;Mabtech)を用いて、室温において1時間発色させた。洗浄後、基質(3−アミノ−9−エチル−カルバゾール;Sigma−Aldrich)を加え、5分間インキュベートした。暗いピンク色のスポットを提示するプレート膜をスキャンし、ZellNet Consulting Inc.(Fort Lee、NJ)が分析した。
【0238】
クロム放出アッセイ
抗原認識を、クロム−51(Amersham)を用いて37℃において1時間標識し、3回洗浄した標的細胞を使用して評価した。次いで、標識標的細胞(50マイクロリットル中5000細胞)を、エフェクター:標的細胞の表示の割合で、V底のマイクロウェルプレートにおいて表示の濃度で、エフェクター細胞(100マイクロリットル)に加えた。上清を37℃において6時間インキュベーション後に収穫し、クロム放出を、MicroBeta Triluxカウンター(Perkin−Elmer Inc、Torrance CA)を使用して測定した。LNCaP細胞に関連するアッセイを18時間実施した。比溶解のパーセントを、100×[(実験の放出−自然発生的放出)/(最大放出−自然発生的放出)]として計算した。
【0239】
四量体染色
MAGE−3.A2ペプチド(FLWGPRALV)と会合したHLA−A2四量体を、Baylor College of Medicine Tetramer Core Facility(Houston、TX)から入手した。0.5%のFCSを含有する50μlのPBS中の予備感作CD8+T細胞を、PE標識四量体を用いて氷上において15分間、FITC−CD8mAb(BD Biosciences)の添加前に染色した。、洗浄後、結果をフローサイトメトリによって分析した。
【0240】
ナイーブヘルパーT細胞の分極化
HLA−DR11.5陽性ドナー由来のナイーブCD4+CD45RA+T細胞(FASTYPE HLA−DNA SSPタイピングキット;BioSynthesis、Lewisville、TXを使用して遺伝子型を同定)を、ナイーブCD4+T細胞単離キット(Miltenyi Biotec、Auburn、CA)を使用する陰性選択によって単離した。T細胞を、破傷風トキソイド(5FU/ml)をパルスした自己DCを用いて刺激し、刺激物質とレスポンダーの比が1:10でさまざまな刺激剤を用いて刺激した。7日後、T細胞を、HLA−DR11.5拘束性ヘルパーペプチドのTTp30をパルスした自己DCを用いて再刺激し、アデノベクターAd−iCD40を形質導入した。細胞を、PE−抗−CD4Ab(BD Biosciences)を用いて染色し、固定し、BD Cytofix/Cytopermキット(BD Biosciences)を使用して透過処理し、次いで、hIFN−ガンマmAb(eBioscience、San Diego、CA)を用いて染色し、フローサイトメトリによって分析した。上清を、ヒトTH1/TH2 BD Cytometric Bead Array Flex Set on BD FACSArray Bioanalyzer(BD Biosciences)を使用して分析した。
【0241】
PSMAタンパク質の精製
PSMA(44〜750残基)の細胞外部分のcDNAを含有する、バキュロウイルストランスファーベクター、pAcGP67A(BD Biosciences)は、Dr Pamela J.Bjorkman(Howard Hughes Medical Institute、California Institute of Technology、Pasadena、CA)のご厚意により提供された。PSMAは、疎水性分泌シグナル、Xa因子切断部位およびN末端6×His親和性タグと融合させた。高力価バキュロウイルスは、Baylor College of Medicineのバキュロウイルス/モノクロナール抗体中核施設によって作製された。PSMAタンパク質は、組換えウイルスに感染したHigh5細胞中に産生され、以前に記載されたように(Cisco RM、Abdel−Wahab Z、Dannull Jら、Induction of human dendritic cell maturation using transfection with RNA encoding a dominant positive toll−like receptor 4. J Immunol. 2004年;172巻:7162〜7168頁)、細胞の上清から、Ni−NTAアフィニティカラム(Qiagen、Chatsworth、CA)を使用して精製した。精製後、PSMAタンパク質の約100kDaの単一バンドを、アクリルアミドゲルの銀染色によって検出した。
【0242】
マウス宿主におけるヒトDCの遊走 in vivoのヒトDCの遊走を評価するために、Pyrophorus plagiophalamusクリックビートル由来の赤方偏移(発光ピーク=613nM)ルシフェラーゼ(Promega、Madison、WI)を発現するアデノベクターAd5−CBRを発育させた。ヒトDCに、約50MOIのAd5−CBRおよび160MOIのAd5f35−iCD40を形質導入した。その後、DCを、MCまたは1マイクログラム/mlのLPS(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO)を用いて成熟させた。DC由来のマウス骨髄を13以前に記載のように得、1マイクログラム/mlのLPSを用いて成熟させた。およそ2×10
6のDCを、被照射(250Rad)Balb/cマウス(3匹のマウスの両方の後ろ肢/群、n=6)の左右の後肢足蹠に注射した。マウスに、D−ルシフェリン(約1mg/25g動物)をi.p.注射し、IVIS(商標)100イメージングシステム(Xenogen Corp.、Alameda、CA)を使用して数日にわたって画像化した。発光シグナルを3マウス/群において測定し、膝窩および鼠径のリンパ節(LN)を、DC接種の2日後に取り出した。LNのシグナルを測定し、各群に関してバックグラウンドを差し引いた(n=6)。
【0243】
データ分析
結果を、平均±標準誤差で表した。試料サイズを、パワーが0.8、片側アルファレベルが0.05で決定した。実験群間の差は、スチューデントt検定によって決定した。
【0244】
(実施例2)
iCD40の発現およびDC成熟の誘導
iCD40のシグナル伝達が、ヒトDCの免疫原性機能を増強できるかどうかを調査するために、誘導性ヒトCD40受容体を発現するアデノウイルス、Ad5/f35−ihCD40(Ad−iCD40に対して単純化)を、前記マウスiCD40ベクター13(
図1)に基づき作製した。普通の当業者は、これが、キメラiCD40タンパク質、例えば、iCD40−MyD88または本明細書における他のキメラの例などの形質導入後の、DC成熟を試験するために使用できるアッセイの例であることを認識するであろう。ヒトCD40細胞質のシグナル伝達ドメインを、ミリストイル化ターゲティングドメインおよび2つのタンデムドメイン(ヒトFKBP12(V36)由来、「Fv’」と指定)の下流にクローニングし、これは、二量化剤のAP20187(Clackson T、Yang W、Rozamus LWら Redesigning an FKBP−ligand interface to generate chemical dimerizers with novel specificity. Proc Natl Acad Sci U S A. 1998年;95巻:10437〜10442頁)と結合する。未熟DCは、LPSおよびCD40Lにより誘導される内因性CD40を発現した。Ad−iCD40の形質導入は、区別可能なサイズのiCD40の発現をもたらし、このことは内因性CD40の発現に干渉しなかった。興味深いことに、iCD40の発現は、LPSの刺激によって有意に増強され、「構成的」CMVプロモーターと結合する普遍的転写因子の誘導性のためと思われる。
【0245】
成熟状態は、活性化、免疫原性状態に対する寛容原性からの推移と関連しているので、DCに基づくワクチンの設計に関する問題の1つは、完全に成熟し、活性化したDCを得ることである(Steinman RMら、Annu Rev Immunol. 2003年;21巻:685〜711頁;Hanks BA, ら、Nat Med. 2005年;11巻:130〜137頁;Banchereau J, Steinman RM. Dendritic cells and the control of immunity. Nature. 1998年;392巻:245〜252頁)。マウス変異体Ad−iCD40の発現が、ネズミ骨髄由来DCの成熟を誘導できることが示されている(Hanks BAら、Nat Med.2005年;11巻:130〜137頁)。ヒト化iCD40が、DC中の成熟マーカーの発現に影響を与えるかどうかを決定するために、DCにAd−iCD40を形質導入し、成熟マーカーであるCD40、CD80、CD83およびCD86の発現を評価した。LPSまたはその誘導体のMPLにより仲介されるTLR−4のシグナル伝達は、DC成熟の強力なインデューサーである(Ismaili Jら、J Immunol. 2002年;168巻:926〜932頁;Cisco RMら、J Immunol. 2004年;172巻:7162〜7168頁;De Becker G、Moulin V、Pajak Bら、The adjuvant monophosphoryl lipid A increases the function of antigen−presenting cells. Int Immunol. 2000年;12巻:807〜815頁;Granucci F、Ferrero E、Foti M、Aggujaro D、Vettoretto K、Ricciardi−Castagnoli P. Early events in dendritic cell maturation induced by LPS. Microbes Infect. 1999年;1巻:1079〜1084頁)。内因性CD40のシグナル伝達が、ヒトDCにおいてCD83の発現を特異的に上方制御することも、以前に報告されていた(Megiovanni AM、Sanchez F、Gluckman JC、Rosenzwajg M. Double−stranded RNA stimulation or CD40 ligation of monocyte−derived dendritic cells as models to study their activation and maturation process. Eur Cytokine Netw. 2004年;15巻:126〜134頁)。これらの先の報告と一致して、CD83の発現レベルは、Ad−iCD40の形質導入において上方制御され、CD83の発現は、LPSまたはMPLの追加後にさらに上方制御された。
【0246】
(実施例3)
iCD40のシグナル伝達と、誘導性PRRアダプタータンパク質のライゲーションとの間の相乗効果に関するアッセイ
普通の当業者は、この実施例において提示されるアッセイを改良し、iCD40のシグナル伝達と、誘導性PRRアダプタータンパク質のライゲーションとの間の相乗効果を観察できる。
【0247】
インターロイキン−12(IL−12)は、T細胞およびNK細胞の応答を活性化し、IFN−ガンマの産生を誘導する。インターロイキン−12(IL−12)は、TH1細胞の分化を助け、先天性面系および獲得免疫の間の生体リンクである(Banchereau Jら、Ann N Y Acad Sci. 2003年;987巻:180〜187頁;Puccetti P、Belladonna ML、Grohmann U. Effects of IL−12 and IL−23 on antigen−presenting cells at the interface between innate and adaptive immunity. Crit Rev Immunol. 2002年;22巻:373〜390頁)。したがって、生物学的に活性なIL−12p70ヘテロ二量体の誘導は、最適なDCに基づくワクチンにとって重要であると思われる。それにもかかわらず、PGE2を含む現在のDCワクチン接種プロトコールは、限られたIL−12だけを産生する(Lee AW、Truong T、Bickham Kら、A clinical grade cocktail of cytokines and PGE2 results in uniform maturation of human monocyte−derived dendritic cells: implications for immunotherapy. Vaccine. 2002年;20巻Suppl4:A8〜A22)。IL−12は、p40およびp35鎖からなるヘテロ二量体サイトカインである。すでに、誘導性CD40のシグナル伝達が、マウス骨髄由来DCにおいてIL−12p70のp35サブユニットの発現を促進することが報告されていた(Hanks BAら、Nat Med. 2005年;11巻:130〜137頁)。TLR−4のライゲーションが、p40の発現を促進できることもまた報告されていた(Liu J、Cao S、Herman LM、Ma X. Differential regulation of interleukin (IL)−12 p35 and p40 gene expression and interferon (IFN)−gamma−primed IL−12 production by IFN regulatory factor 1. J Exp Med. 2003年;198巻:1265〜1276頁)。したがって、iCD40−DCを、LPSまたはMPLの存在下で培養し、上清をELISAにより、IL−12p70の産生に関してアッセイした。
【0248】
予想通りに、標準的MCを用いて処理したDCと同様に、iCD40−DCは検出可能なIL−12p70ヘテロ二量体を産生しなかった。PGE2がMCに抑制される場合、DCは、検出可能であるが低レベルのIL−12p70を産生し、PGE2に関する潜在的に有害な役割と一致する。さらに、LPSまたはMPL単独の存在下で12時間培養されたDCもまたIL−12を産生できない(<30pg/ml)。しかし、Ad−iCD40−形質導入DCを、MPLまたはLPSのどちらかの存在下で培養した場合、それらは、非常に高レベルのIL−12p70を産生した(MPLに関して16.4±7.8ng/ml)。IL−12のこのレベルは、PGE2を欠く標準MCにより誘導されたレベルより約25倍高かった。興味深いことに、iCD40とTLR4とのこの相乗効果は、AP20187の添加から部分的に独立しており、基本的なiCD40シグナル伝達が、TLR4のライゲーションと相乗効果を与え得ることを暗示する。IL−12のレベルはウイルス粒子の用量と相関したので、iCD40−DCにおけるIL−12p70の産生は、用量依存性である。
【0249】
CD40のシグナル伝達は、通常は比較的短時間に厳しく制限されているので、(Contin C、Pitard V、Itai T、Nagata S、Moreau JF、Dechanet−Merville J. Membrane−anchored CD40 is processed by the tumor necrosis factor−alpha−converting enzyme. Implications for CD40 signaling. J Biol Chem. 2003年;278巻:32801〜32809頁;Tone M、Tone Y、Fairchild PJ、Wykes M、Waldmann H. Regulation of CD40 function by its isoforms generated through alternative splicing. Proc Natl Acad Sci U S A. 2001年;98巻:1751〜1756頁)、潜在的には獲得免疫にかぎって、iCD40が、TLR−4−刺激DCにおけるIL−12p70の発現の増強だけでなく、延長も誘導できるかどうかを決定した。IL−12発現の動態を評価するために、LPS処理iCD40−DCと、LPSおよびCD40Lにより刺激したDCとを比較した。LPS刺激を除去した場合、IL−12p70の発現が停止される、CD40Lまたは対照ベクター形質導入DCと比較して、iCD40−DCが、刺激後72時間にわたってIL−12p70を産生できることが観察された。これらの結果は、誘導性CD40シグナル伝達により、DCがTLR−4刺激に応答して、増加レベルのIL−12p70を連続的に産生可能になることを示す。
【0250】
最終的に、サイトカインシグナル伝達のサプレッサー(SOCS1)の誘導を評価した。SOCS1は、DC活性化のネガティブフィードバック阻害剤であり、弱毒化できる(Wesemann DR、Dong Y、O’Keefe GM、Nguyen VT、Benveniste EN. Suppressor of cytokine signaling 1 inhibits cytokine induction of CD40 expression in macrophages. J Immunol. 2002年;169巻:2354〜2360頁)LPSおよびサイトカイン刺激に対して応答性である(Evel−Kabler K、Song XT、Aldrich M、Huang XF、Chen SY. SOCS1 restricts dendritic cells’ ability to break self tolerance and induce antitumor immunity by regulating IL−12 production and signaling. J Clin Invest. 2006年;116巻:90〜100頁)。以前に報告されたように、LPSの刺激は、DCにおいてSOCS1の発現を上方制御した(Wesemann DRら、J Immunol. 2002年;169巻:2354〜2360頁)。しかし、LPSの存在下では著しく、iCD40−DCはCD40L刺激DCよりSOCS1の発現レベルが3倍低かった。さらに、iCD40はCD40Lとは異なり、それ自体ではSOCS1を誘導しなかった。これらのデータは、ヒトDCにおいてiCD40がSOCS1誘導を部分的にバイパスでき、IL−12レベルおよびDC成熟マーカーの持続的上昇の観察を部分的に説明できることを示す。
【0251】
IL−12に加えて、IL−6は、細胞生存および制御性T細胞に対する耐性において重要な役割を果たす(Rescigno Mら、J Exp Med. 1998年;188巻:2175〜2180頁;Pasare C、Medzhitov R. Toll pathway−dependent blockade of CD4+CD25+ T cell−mediated suppression by dendritic cells Science. 2003年;299巻:1033〜1036頁)。Ad−iCD40のトランスフェクションにおいて、iCD40−DCを二量化剤およびTLR−4リガンドを用いて刺激した場合、IL−6の発現は有意に増強され、さらに上方制御されたことが観察された。したがって、iCD40のシグナル伝達は、一部の炎症性サイトカインの産生には十分であるが、鍵となるTH1サイトカインのIL−12の産生のためにはさらなるTLRのシグナル伝達が必要である。
【0252】
(実施例4)
抗原特異的TH1の分極化
抗原特異的TH1の分極化アッセイを、本明細書において提示する。普通の当業者は、誘導性PRRおよびPRRアダプタータンパク質の関連において分極化をアッセイするために提示された実施例を改良できる。
【0253】
TLR−4リガンドにより成熟されたiCD40−DCが、CD4+ヘルパーT(TH)細胞を有効に予備刺激するかどうかをさらに調査するために、それらが、CD4+エピトープ特異的T細胞応答をin vitroで増大できるかどうかを決定した。ナイーブCD4+CD45RA+T細胞を、モデル抗原の破傷風トキソイドをパルスした自己Ad−iCD40DCの存在下で、7日間刺激した。7日目に、T細胞を、MHCクラスII拘束性破傷風トキソイドのエピトープ、TTp30を用いて刺激した。IFN−ガンマの産生は、iCD40−DCと同時培養したCD4+T細胞およびMPLまたはMCのどちらかを用いて刺激したiCD40−DCにおいて有意に増加した。IFN−ガンマの産生は、対照ウイルスAd−GFP形質導入DCによって、またはMPLもしくはMC刺激単独によって誘導されなかったので、IFN−ガンマの産生はiCD40特異的であった。さらに、T細胞の分極化を、T細胞の上清中のTH1/TH2サイトカインレベルを、サイトメトリービーズアレイ(cytometric bead array)を使用して評価することによって分析した。IFN−ガンマ、TNF−アルファ、IL−4およびIL−5分泌サイトカインのレベルは、iCD40−DCによって刺激されたヘルパーT細胞において増加し、TH1およびTH2両方の分極化T細胞の拡大を示す。しかし、TH1サイトカインのレベルは、TH2関連サイトカインより有意に高く、TH1細胞の拡大の優勢を示す。対照的に、ナイーブCD4+CD45RA+細胞由来のTT特異的CD4+ヘルパーT細胞の、MC−成熟DCを使用する誘導は、TTエピトープ特異的なTH1の分化において中程度の偏向のみをもたらした。これらの結果はDCにおけるiCD40のシグナル伝達が、おそらくIL−12のより多くの産生のために、DCを、抗原特異的なTH1の分化を有効に誘導可能にすることを示唆する。
【0254】
(実施例5)
腫瘍抗原特異的CTL応答アッセイ
本明細書において、抗原特異的TH1分極化アッセイを提示する。普通の当業者は、誘導性PRRおよびPRRアダプタータンパク質の関連において分極化をアッセイするために提示された実施例を改良できる。
【0255】
iCD40およびMPLが、免疫原性の不十分なメラノーマ自己抗原のMAGE−3に対する細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答を増強できるかどうかを決定した。HLA−A2陽性ドナー由来のiCD40−DCに、クラス−I HLA−A2.1拘束性MAGE3由来免疫優勢ペプチドのFLWGPRALVをパルスし、自己T細胞と同時培養した。一連の刺激後、抗原特異的T細胞の頻度を、IFN−ガンマ特異的ELISPOTアッセイによって評価した。MPLを用いて刺激したiCD40−DCは、MCを用いて刺激したiCD40−DCと比較して、MAGE−3特異的T細胞において50%の増加をもたらし、対照の非形質導入(WT)DCと比較して、抗原特異的T細胞において約5倍の増加をもたらした。
【0256】
iCD40−DCが、抗原特異的様式で腫瘍細胞のCTL仲介死を増強できるかどうかをさらに決定した。HLA−A2陽性の健康なボランティア由来の未熟DCに、Ad−iCD40をトランスフェクトし、MAGE−3タンパク質をパルスし、刺激物質として使用し、in vitroでCTLを作製した。SK−MEL−37細胞(HLA−A2+、MAGE−3+)およびMAGE−3 A2.1ペプチド(HLA−A2+、MAGE−3+)をパルスしたT2細胞を標的として利用した。NA−6−MEL細胞(HLA A2−、MAGE−3+)および無関係なA2.1拘束性インフルエンザマトリックスペプチドをパルスしたT2細胞(HLA−A2+)は陰性対照として機能した。iCD40−DCにより誘導されたCTLは、それらの同種の標的(SK−MEL−37)およびさらにMAGE−3 A2.1ペプチドをパルスしたT2細胞をも有効に認識し、溶解でき、MAGE−3特異的CTLの存在を示す。対照的に、対照標的は、有意に低いレベルで溶解された。MPLまたはMCを用いて処理したiCD40−DCを刺激物質として使用した場合、MPLまたはMC単独で処理した非形質導入DCと比較した溶解活性の改善は連続的に観察された。加えて、MPLを用いて処理したiCD40−DCによる、MAGE−3/HLA−A2特異的四量体陽性CD8+CTLの有意な拡大が観察された。
【0257】
同様に、LPSおよびiCD40刺激DCがCTL溶解活性を増強できるかどうかを試験するために、前立腺特異的膜抗原(PSMA)に対する耐性を壊すそれらの能力を検査した。健康なHLA−A2+ボランティアから作製したDCに、PSMAタンパク質(Davis MI、Bennett MJ、Thomas LM、Bjorkman PJ. Crystal structure of prostate−specific membrane antigen, a tumor marker and peptidase. Proc Natl Acad Sci U S A. 2005年;102巻:5981〜5986頁)またはMAGE−3をパルスし、AD−iCD40またはAd−Lucを形質導入し、自己T細胞と同時培養した。3ラウンドの刺激後、抗原特異的CTL活性を、クロム放出アッセイにより、LNCaP細胞(HLA−A2+PSMA+)を標的として、およびSK−Mel−37(HLA−A2+PSMA−)をPSMA−パルスDCに対する対照として使用して測定した。同じドナーのDCにMAGE−3をパルスし、LNCaP細胞(MAGE−3−)を陰性対照として使用した場合、SK−Mel−37細胞(MAGE−3+)を標的として使用した。まとめると、これらのデータはiCD40−形質導入DCは、MC処理DCより強力な抗原特異的CTL応答をin vitroで有意に誘導できることを示す。普通の当業者は、このアッセイを改良して、キメラiCD40誘導性PRRアダプタータンパク質を使用して、腫瘍抗原特異的CTL応答を試験できる。
【0258】
(実施例6)
誘導性CD40は、CCR7の発現およびPGE2有さないDCの遊走能力を増強する。
【0259】
抗原特異的TH1の分極化アッセイを本明細書において提示する。普通の当業者は、誘導性PRRおよびPRRアダプタータンパク質の関連において分極化をアッセイするために提示された実施例を改良できる。
【0260】
他の成熟マーカーに加えて、CCR7は、成熟に関してDCにおいて上方制御され、それらの流入領域リンパ節へ向かう遊走に関与する(Cyster JG. Chemokines and cell migration in secondary lymphoid organs. Science. 1999年;286巻:2098〜2102頁)。近年、いくつかの報告により、走化性とは別に、CCR7もまたDCの「細胞構築」、エンドサイトーシスの速度、生存、遊走速度および成熟に影響を与えることが示された(Sanchez−Sanchez N、Riol−Blanco L、Rodriguez−Fernandez JL. The Multiple Personalities of the Chemokine Receptor CCR7 in Dendritic Cells. J Immunol. 2006年;176巻:5153〜5159頁)。共刺激分子およびTH1サイトカインに加えて、iCD40は、ヒトDCにおいてCCR7の発現を特異的に上方制御する。さらに、CCR7の発現は、Ad−iCD40ウイルス用量の増大と相関した。
【0261】
CCR7の発現レベルは、MIP−3ベータCCL19に向かう遊走の増強と相関するので、ヒトiCD40−DCが、MIP−3ベータに向かってin vitroで遊走できるかどうかを、トランスウェルアッセイにおいて決定した。AP20187二量体化薬物を用いて処理したiCD40−DCは、MCにより誘導された遊走レベルに相当する遊走レベルを有する。さらに、iCD40−DCの遊走は、PGE2が例え存在しない場合も、MPLまたはMCの刺激によりさらに増加した。これらのデータは高度に再現可能であり、PGE2がヒトDCのリンパ節ホーミングにとって必須であるという、広く支持されている意見とは対照的に、iCD40がin vitroのCCR7の発現およびDCの遊走を誘導するのに十分であることを示す。
【0262】
ケモカインおよびケモカイン受容体は、1つの種の中および種の間で、配列同一性を高い割合で共有している(De Vries IJ、Krooshoop DJ、Scharenborg NMら、Effective migration of antigen−pulsed dendritic cells to lymph nodes in melanoma patients is determined by their maturation state. Cancer Res. 2003年;63巻:12〜17頁)。この知見に基づいて、in vivoでヒトDCにおいて遊走をモニタリングするための新規な異種移植片モデルを開発した。ヒトDCにiCD40を形質導入し、LPSまたはMCを用いて成熟させ、マウスDCを、LPSを用いて成熟させた。DCにAd5−CBRを同時形質導入したので、生物発光は即時に可視化された。期待通りに、未熟DCは膝窩の流入リンパ節に遊走しなかった。しかし、LPSまたはMCを用いて成熟させたiCD40−DCは、異種の膝窩リンパ節において、接種2日後以内に検出可能であった。LPSを用いて刺激したiCD40−DCの遊走は、非刺激DCより有意に高く(p=0.036)、マウスDCの遊走に相当した。さらに、2日目に、iCD40−DCが鼠径LNにおいて検出され、一方MC刺激DCは検出されず、iCD40−DCの遊走能力はMCを用いて刺激されたDCよりも高いことを示唆した。まとめると、これらの結果は、DCにおけるiCD40のシグナル伝達が、CCR7の発現の調節におい重要な役割を果たし、リンパ節へのDCの遊走にとって十分であることを示している。iCD40−DCの遊走は、細胞をLPSを用いて刺激した場合さらに増強され、CCR7の発現の増強と相関する。普通の当業者は、キメラiCD40誘導性PRRアダプタータンパク質のアッセイのために、このアッセイを改良できる。
【0263】
(実施例7)
iCD40およびPRRを用いた、実施例2から実施例6において提示したアッセイによる観察の要約
樹状細胞の有効性は、多くの変異、特に成熟状態およびリンパ節への効率的な遊走に依存する。癌患者におけるいくつかの臨床試験は、腫瘍特異的抗原に対する獲得免疫を誘導するDCの効力を示した(Nestle FO、Banchereau J、Hart D. Dendritic cells: On the move from bench to bedside. Nat Med. 2001年;7巻:761〜765頁;Schuler G、Schuler−Thurner B、Steinman RM. The use of dendritic cells in cancer immunotherapy. Curr Opin Immunol. 2003年;15巻:138〜147頁;Cranmer LD、Trevor KT、Hersh EM. Clinical applications of dendritic cell vaccination in the treatment of cancer. Cancer Immunol Immunother. 2004年;53巻:275〜306頁)。しかし、臨床応答は一時的であり、DCワクチン設計のさらなる改善を保証する(Ridgway D. The first 1000 dendritic cell vaccines. Cancer Invest. 2003年;21巻:873〜886頁;Dallal RM、Lotze MT. The dendritic cell and human cancer vaccines. Curr Opin Immunol. 2000年;12巻:583〜588頁)。現在のDCに基づくワクチンの制限は、リンパ組織内の一時的活性化状態、CD4+T細胞免疫の誘導の低さおよび流入領域リンパ節への遊走能力の損傷である(Adema GJ、de Vries IJ、Punt CJ、Figdor CG. Migration of dendritic cell based cancer vaccines: in vivo veritas? Curr Opin Immunol. 2005年;17巻:170〜174頁)。LPSへの曝露後24時間未満で、DCは、TH1−分極化サイトカインのIL−12の合成を終了し、さらなる刺激剤に対して不応性になり(Langenkamp A、Messi M、Lanzavecchia A、Sallusto F. Kinetics of dendritic cell activation: impact on priming of TH1, TH2 and nonpolarized T cells. Nat Immunol. 2000年;1巻:311〜316頁)、ヘルパーT細胞およびCTLを活性化するそれらの能力を制限する。他の研究は、皮内投与された成熟DCの5%未満がリンパ節に到達し、非効率的なホーミング
39を示すことを示している。これらの発見は、活性化状態の延長およびDCの遊走能力および/またはリンパ節内の同系のT細胞が関与するDC活性化「ウインドウ」の時間的調整のいずれかの必要性を強調している。
【0264】
in vivoでマウスDC機能を促進する方法を、キメラ誘導性CD40受容体の操作によって開発した(Hanks BAら、Nat Med. 2005年;11巻:130〜137頁)。誘導性CD40の取り組みは、ヒトDCの免疫刺激性機能の増強においても有効であることが観察されている。IL−12p70分泌に関するTLRおよびCD40シグナル伝達の組み合わせの相乗的活性の以前の報告に一致して、iCD40+TLR4シグナル伝達は、高レベルのIL−12分泌、DCの成熟、T細胞刺激機能および遊走能力の拡大を誘導した(Lapointe Rら、Eur J Immunol. 2000年;30巻:3291〜3298頁;Napolitani G、Rinaldi A、Bertoni F、Sallusto F、Lanzavecchia A. Selected Toll−like receptor agonist combinations synergistically trigger a T helper type 1−polarizing program in dendritic cells. Nat Immunol. 2005年;6巻:769〜776頁)。
【0265】
iDCにおけるIL−12p70の分泌の増加および延長は、IL−12シグナル伝達を阻害するSOCS1の産生を最優先に一部起因すると思われる自己免疫寛容を壊すことができることを実証した(Evel−Kabler Kら、J Clin Invest. 2006年;116巻:90〜100頁)。可溶性CD40Lにより刺激された内因性CD40のシグナル伝達は、SOCS1の上方制御をもたらすが、iCD40は、有意なSOCS1導入が無くてもDCを活性化することが決定されている。加えて、iCD40のシグナル伝達は、DCにおいて、CD4+T細胞およびCTLの刺激における効力の増強を示すIL−12p70の高度かつ延長された発現を招く。
【0266】
IL−6は、p38MAPK、ERK1,2 47およびPI3−キナーゼなどの抗アポトーシス経路の活性化による、多くの異なる細胞型の生存に関わっている(Bisping G、Kropff M、Wenning Dら、Targeting receptor kinases by a novel indolinone derivative in multiple myeloma: abrogation of stroma−derived innterleukin−6 secretion and induction of apoptosis in cytogenetically defined subgroups. Blood. 2006年;107巻:2079〜2089頁)。DCにおけるiCD40およびTLR−4のシグナル伝達によるIL−6の発現の誘導を、さらに特定した。この発見は、前記のDCの生存延長を部分的に説明できる(Hanks BAら、Nat Med. 2005年;11巻:130〜137頁)。さらに、IL−6の発現は、CD4+CD25+制御性T細胞の作製を阻害するDCの能力において重要である(Pasare CおよびMedzhitov R.、Science. 2003年;299巻:1033〜1036頁)。この関連において、iCD40−DC−に基づくワクチンは、ターゲッティング抗原に対する末梢寛容を阻害する、負の制御因子を、in vivoで潜在的に抑制できる。
【0267】
癌免疫療法の1つの主要な焦点は癌患者において強力な腫瘍抗原特異的CTL応答を促進するワクチンの設計であった(Rosenberg SA.、Immunity. 1999年;10巻:281〜287頁)。しかし、累積証拠は、CD4+T細胞は、CD8+T細胞の誘導、持続および拡大に寄与するので、CD4+T細胞が、抗腫瘍免疫において重要な役割を果たすこと示唆している(Kalams SA、Walker BD. The critical need for CD4 help in maintaining effective cytotoxic T lymphocyte responses. J Exp Med. 1998年;188巻:2199〜2204頁)。本発明者らの研究は、iCD40−DCがナイーブT細胞を有効に刺激し、免疫応答の両方の腕(すなわち、MAGE−3およびPSMA特異的CTLならびにTT特異的CD4+T細胞)を表す抗原特異的細胞を有効に拡大することを示した。TH1(IFN−ガンマおよびTNF−アルファ)サイトカインが、iCD40−DC刺激CD4+T細胞の環境下で優勢に産生されたことを実証し、TH1細胞の拡大を示す。PGE2(MCの鍵となる成分)は、TH1応答の強力なサプレッサーであるので、T細胞を、MC処理DCを用いて刺激した場合、期待通りに、これらのサイトカインは検出されなかった(Kalinski P、Hilkens CM、Snijders A、Snijdewint FG、Kapsenberg ML. Dendritic cells, obtained from peripheral blood precursors in the presence of PGE2, promote Th2 responses. Adv Exp Med Biol. 1997年;417巻:363〜367頁;Mcllroy A、Caron G、Blanchard Sら、Histamine and prostaglandin E up−regulate the production of Th2−attracting chemokines (CCL17 and CCL22) and down−regulate IFN−gamma−induced CXCL10 production by immature human dendritic cells. Immunology. 2006年;117巻:507〜516頁;Meyer F、Ramanujam KS、Gobert AP、James SP、Wilson KT. Cutting edge: cyclooxygenase−2 activation suppresses Th1 polarization in response to Helicobacter pylori. J Immunol. 2003年;171巻:3913〜3917頁)。
【0268】
近年のマウス研究により、DCの遊走がT細胞の増殖と直接相関することが示された(Martln−Fontecha A、Sebastiani S、Hopken UEら、Regulation of dendritic cell migration to the draining lymph node: impact on T lymphocyte traffic and priming. J Exp Med. 2003年;198巻:615〜621頁)。したがって、遊走の増加は、DCに基づくワクチン
45の有効性を増強するはずである。最新のDCワクチンのプロトコールは、炎症性サイトカインを用いたワクチン注射部位のプレコンディショニングまたはTLRリガンドおよび主にMC成分からなる炎症促進性サイトカインを用いたDCのex vivo刺激を含む(Martln−Fontecha Aら、J Exp Med. 2003年;198巻:615〜621頁;Prins RM、Craft N、Bruhn KWら、The TLR−7 agonist, imiquimod, enhances dendritic cell survival and promotes tumor antigen−specific T cell priming: relation to central nervous system antitumor immunity. J Immunol. 2006年;176巻:157〜164頁)。CCR7およびそのリガンドに対する感作の両方を上方制御することによって、DCの遊走能力を刺激するので、その多数の免疫抑制機能
8〜12にもかかわらず、PGE2は過去数年の間、DC成熟カクテルの不可欠な成分として使用されてきた。PGE2を用いないDCの遊走能力を増強する別の取り組みは、DCに基づくワクチンの改善によって有益であるはずである。
【0269】
これらの研究の結果は、DCにおいてiCD40のシグナル伝達がCCR7の発現を上方制御するだけでなく、in vitroでCCL19に対するそれらの走化性を刺激することを示す。加えて、iCD40を形質導入した未熟DCは、in vitroおよびin vivoの両方で、MC刺激DCと同様に効率的に遊走できた。さらに、iCD40−DCの遊走は、細胞を、TLR−4リガンドを用いて刺激した場合さらに誘導された。CCR7の刺激は、DCの遊走速度を上昇させ、この受容体がDCの移動および運動性を制御できることを示すことが最近示された(Riol−Blanco L、Sanchez−Sanchez N、Torres Aら、The chemokine receptor CCR7 activates in dendritic cells two signaling modules that independently regulate chemotaxis and migratory speed. J Immunol. 2005年;174巻:4070〜4080頁;Palecek SP、Loftus JC、Ginsberg MH、Lauffenburger DA、Horwitz AF. Integrin−ligand−binding properties govern cell migration speed through cell−substratum adhesiveness. Nature. 1997年;385巻:537〜540頁;Yanagawa Y、Onoe K. CCL19 induces rapid dendritic extension of murine dendritic cells. Blood. 2002年;100巻:1948〜1956頁)。CCR7の刺激は、DC58の成熟表現型を増強することが示されている。したがって、DCにiCD40を形質導入することによって、CCR7の発現、DCの遊走および成熟状態は、増強され、PGE2の必要性が取り除かれる。
【0270】
最終的に、DCのiCD40刺激は、標的LNCaP細胞の死を有意に増加できる前立腺特異的抗原、PSMAに対する強力な細胞傷害性T細胞応答を誘導できる(Dudley ME、Wunderlich JR、Yang JCら、Adoptive cell transfer therapy following non−myeloablative but lymphodepleting chemotherapy for the treatment of patients with refractory metastatic melanoma. J Clin Oncol。2005年;23巻:2346〜2357頁;Morgan RA、Dudley ME、Wunderlich JRら、Cancer Regression in Patients After Transfer of Genetically Engineered Lymphocytes. Science. 2006年)。本明細書に引用した他の文献は、「Induced Activation In Dendritic Cells」と題され、発明者としてSpencerらの名が挙げられ、現在米国特許第7,404,950号として発行された、2004年2月18日提出の米国特許出願第10/781,384号に参照された。
【0271】
(実施例8)
誘導性CD40
先天性免疫系は、パターン認識受容体、PRRのいくつかのファミリーを使用して病原体感染または損傷を感知する。PRRの1つのファミリーは、現在哺乳動物中に約11のメンバーを含むToll様受容体(TLR)である。これらは通常、ロイシンリッチモチーフ(LRM)を介して多価リガンドと結合する。リガンドは、細菌、ウイルス、真菌または宿主細胞に由来でき、細胞表面または細胞内小胞(特にTLR3、7、8および9)内のどちらかにおいてTLRと結合できる。それらの細胞質シグナル伝達ドメイン内で、それらは、下流のTIR含有アダプター分子、例えば、MyD88およびTRIF/TICAM−1ならびにアダプターTIRAM/TICAM−2およびMAL/TIRAPと結合する、保存TIR(Toll/IL−1R)ドメインを共有する。さらなるPRRは、NOD様受容体(例えば、NOD1およびNOD2)およびRIG様ヘリカーゼ、RIG−IおよびMda−5を含む。多くのPRRは、フレキシブルLRMを介してリガンドと結合し、タンパク質−タンパク質結合モチーフ、例えば、TIRまたはCARD(カスパーゼ動員ドメイン)ドメインを介して下流のシグナル伝達分子とカップリングする。
【0272】
TLR−4を介した刺激と、共刺激性分子CD40を介したシグナル伝達とを併せると、ヒト単球由来樹状細胞(MoDC)において高レベルの成熟および遊走特性を促進できる。公開および非公開データ
2〜7の両方に基づき、in vitroおよび/またはin vivoのヒトMoDCの活性化状態のこの延長および増強は、獲得免疫療法のための自己腫瘍特異的T細胞の活性化および拡大の両方を促進でき、ワクチン接種のための自己限定ex vivo成熟DCの問題を克服できる。
【0273】
さまざまな取り組みは、さまざまなPRRと、誘導性CD40との組み合わせの使用を評価するために利用できる。これらの取り組みおよびこれらの評価を実施するために使用した実験方法はまた、誘導性CD40と、誘導性PRRアダプタータンパク質、例えば、MyD88およびTRIFとの組み合わせを研究するためにも使用できる。
【0274】
複合体を交換するために、不明なところが多いMoDC成熟カクテル、またはアジュバントならびにCD40シグナル伝達、Toll様受容体4のCID誘導性型(iTLR4と呼ばれる)および他のiTLR(すなわち、TLR3、7、8および9)との組み合わせを開発し、iTLRを、同じポリペプチド鎖内でトランスまたはシスのどちらかでiCD40との相乗効果に関してアッセイする。有効性は、転写因子NFカッパBおよびIRF3/7の誘導ならびにDC系、D2SC/1におけるp38およびJNKのリン酸化に基づく。最も強力な誘導性受容体を、MoDCの効率的な形質導入のために、アデノベクター内にサブクローニングする。
【0275】
樹状細胞(DC)は、獲得免疫の開始および制御において重要な役割を果たす
7、8。「危険なシグナル」の検出において、DCは、遺伝的成熟プログラムを受けることによって、それらの微小環境に生理学的に適応する
6。抗原提示および共刺激性分子を使用して、DCは、ナイーブ抗原特異的Tリンパ球を強力に活性化でき、それらのその後の表現型および機能を制御できる
9。ほとんどの場合、DCによる強固な細胞傷害性Tリンパ球(CTL)免疫の開発は、CD4
+T細胞由来の「ヘルパー」シグナルを必要とする
10。このシグナルは、可溶性サイトカイン、例えばIL−2およびDCの表面CD40受容体のCD40L仲介刺激の両方からなる
11〜13。腫瘍壊死因子受容体(TNFR)スーパーファミリーのメンバー、CD40は、いくつかの抗原提示、共刺激性サイトカインおよび生存促進性遺伝子の上方制御をもたらすDC内でさまざまな経路を誘発し、CD40は、集約的にDCがCTLの活性化を誘導できるようにする
14、15。
【0276】
抗原提示細胞(APC)としてのDCの抜群の役割を得、それらを、さまざまな悪性腫瘍の治療のためのワクチン接種プロトコールにおける天然のアジュバントとして活用できる
16、17。通常、適用は、いくつかの方法のうちの1つ、例えば、未熟DCへの非分画腫瘍溶解物のパルス、MHC溶出ペプチド、腫瘍由来熱ショックタンパク質(HSP)、腫瘍関連抗原(TAA(ペプチドまたはタンパク質))あるいはDCへの巨大腫瘍のmRNAまたはTAAをコードするmRNAのトランスフェクト(18、19において再考される)による、白血球除去、GM−CSFおよびIL−4中の培養における分化ならびに未熟単球(またはCD34
+前駆体細胞)−由来DC(MoDC)への腫瘍抗原の投入を介した末梢血単球の収穫を含む。次いで、抗原投入DCを、炎症性サイトカイン(例えば、TNFアルファ、IL1ベータ、IL6およびPGE
2)または他のアジュバント(例えば、LPS、CpGオリゴヌクレオチド)を用いて、通常通りex vivoで成熟させ、患者に注射した。個々の場合において、DCの免疫刺激特性は、多くの変異、特にリンパ節への遊走能力および完全な成熟状態に依存する。しかし、DC免疫療法を用いた最近の臨床試験における成功が限定されていることは、DCに基づく免疫療法が、抗癌治療のより従来型のモダリティと平行して治療の宝庫に含まれる場合、現在のプロトコールを改良する必要を示唆している
20、21。
【0277】
DCに基づくワクチンの2つの鍵となる制限は、成熟DCの寿命の短さおよびリンパ組織内でのそれらの一時的活性化状態である。リポ多糖類(LPS)への曝露後24時間未満で、DCは、T
H1−分極化サイトカインのIL−12の合成を終了し、さらなる刺激剤に対して不応性になり
22、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)を活性化するそれらの能力を制限する。他の研究は、流入領域リンパ節(LN)内の抗原パルスDCの生存は、それらの送達後48時間だけに制限され、主として抗原特異的CTLによる排除によるものであることを示す
23。これらの発見は、DCの活性化状態および寿命の延長および/またはLN内の同系のT細胞が関与するDC活性化「ウインドウ」の時間的調整のいずれかの方法の改良の必要性を強調している。したがって、DCの活性化および生存の増強は、腫瘍に対する免疫の促進に重要であると思われる。
【0278】
DCの生存は、少なくとも部分的には、1種または複数種の保存Toll様受容体(TLR)およびT細胞発現共刺激性分子(例えば、CD40LおよびTRANCE)を介して作用する病原体由来分子により制御され、抗アポトーシス活性に関してBcl−2およびBcl−x
Lに部分的に依存する
3、24〜27。TLR−、CD40−またはBcl−2に仲介されるDCの長寿は十分立証されているが、恒常性フィードバック機構は、腫瘍ワクチンプロトコールにおけるDCの長寿を拡大するTLR−リガンドまたはBcl−2ファミリーのメンバーの有用性を制限すると思われる。これらは、受容体の脱感作または下方制御
4、28、29、IRAK−M
30およびSOCS−1
5のようなTLR/IL−1Rに対する負のレギュレーターの発現ならびにBim
31などのアポトーシス促進性分子の誘導を含み、TLRシグナルによる抗アポトーシス分子の中和をもたらす。
【0279】
操作のための魅力的な標的は、TNFファミリー受容体、CD40である。DCが末梢のいたるところで遭遇する炎症促進性サイトカインまたは病原体関連分子とは異なり、DC発現CD40受容体は、その同質リガンド、CD40Lを介して、LN副皮質内でCD4
+ヘルパーT細胞により関与される
12、13、37。最近の研究は、CD40の刺激が、DCを「交差提示」抗原可能にし
38、末梢T細胞寛容性を克服し
39、CD40の刺激に基づく治療研究を促進することをさらに示した。戦略は、CD40特異的モノクロナール抗体(mAb)または三量体CD40L
40の全身送達を含み、CD40刺激の利用、抗原投入DCに基づくワクチン
41および遺伝子改変CD40リガンド(CD40L)発現DCの投与
42を含んだ。大きな潜在力にもかかわらず、B細胞、マクロファージおよび内皮細胞を含むさまざまな他の細胞型によるCD40のユビキタスな発現を含む、CD40のいくつかの特性はその治療的開発を制限し
14、CD40刺激剤の全身投与による副作用の可能性を増加する。さらに、いくつかの機序は、マトリックスメタロプロテアーゼ酵素によるCD40L誘導性切断
29、選択的にスプライシングされたCD40アイソフォームによるネガティブフィードバックの分解
28およびCD40のCD40L仲介エンドサイトーシスを含む、その細胞外ドメインをターゲティングすることによってCD40の表面発現を制御する。
【0280】
したがって、DCターゲット化の機能性を提供することによりリンパ組織内のDCの刺激促進状態を拡大するための、CD40シグナル伝達経路に基づくDCの活性化系、時間的制御およびCD40制御機構に対する耐性が開発されている。この操作された組換え受容体は、リガンド結合ドメインと融合されたCD40の細胞質ドメインおよび膜ターゲティング配列を含む(
図2)。脂質透過性二量体化薬物の腹腔内投与は、CD40依存性シグナル伝達カスケードの強力な誘導をもたらし、他の活性化モダリティと比較して、in vivoの規定された抗原および腫瘍の両方に対して免疫原性が非常に改善された
4。それ故、キメラCD40を、誘導性CD40(iCD40)と名付けた。マウス中のiCD40活性化DCの高度な有用性は、内因性CD40シグナル伝達を安定化させる方法が、DCワクチンの効力を増強させるであろうことを示唆した。
【0281】
TLRはさまざまなウイルスおよび細菌由来分子と結合し、これらは標的細胞、例えばT細胞、マクロファージおよび樹状細胞の活性化を誘発する。10種ほどの哺乳動物のTLRの大部分が、誘導性PRRアダプタータンパク質である、NFカッパBの活性化をもたらすMyD88により開始されるシグナル伝達を利用するが、TLR3は、その代わりに、IRF3およびI型インターフェロンの誘導をもたらす誘導性PRRアダプターTRIFに頼る。一緒になって、これらのシグナル伝達経路は相乗効果を与えて、高レベルのTh1サイトカイン、IL−12を産生できる
43。興味深いことに、TLR−4は、強力なマイトジェン、LPSまたは誘導体の結合後に両方の経路を利用できる。共刺激分子CD40を介したシグナル伝達と併せたTLR−4を介した刺激は、ヒトMoDCにおいて高レベルの成熟および遊走特性を促進できる。
【0282】
細胞膜を通過するシグナルを生み出す多くの細胞表面受容体のように、TLRはホモもしくはヘテロ二量体化またはオリゴマー化によってすべて活性化されると思われる。TLR−4のホモ二量体化およびTLR2およびTLR1ならびにTLR6のヘテロ二量体化仲介活性化の報告がすでにある
44〜48。さらに、最近の記事で、Ian Wilsonおよび同僚は、TLR−3を結晶化し、細胞外ドメイン内の二量体化領域を特定し、dsRNAの結合後のホモ二量体として、二量体化領域がシグナル伝達することを示唆した
49。したがって、TLR、特にTLR−4の化学的に誘導された二量体化は、それらの誘導をもたらすと思われる。
【0283】
ex vivoで成熟した、単球由来「増強」ヒトDCの開発に関する考察。公開
4および非公開の研究は、in vivoでDC機能を増強する2つの強力な方法、最適化された構成的Akt(Myr
F−ΔAkt)の異所性発現およびin vivoのキメラ誘導性CD40の操作を示唆している。この作業を完全にするために、Si−Yi Chen(Baylor College of Medicine、Houston、Texas)は、DCにおいてSOCS−1レベルを低下させることが、有効性をさらに増強可能にすることを示している
5。iCD40、Myr
F−ΔAktおよびSOCS−1の取り組みに関する、マウスにおける有意に支持するデータは蓄積されているが、ヒトMoDCは、ネズミ骨髄由来DCと同一ではない。特に、最も一般的に使用されるヒトDCワクチンのプロトコールは、TNF−アルファ、IL−1−ベータ、IL−6およびPGE
2を含有する「ゴールドスタンダード」炎症促進性成熟カクテルを用いた治療に先立って、単球由来MoDCの分化に関与する。PGE
2は、CCR7の上方制御およびリンパ節由来ケモカイン、CCL19およびCCL21に対する走化性反応の増加に必要であると思われるが
50、51、PGE
2は、生理活性IL12p70の産生の抑制によって、DCシグナル伝達を損なうこともあり得る
52。IL12の抑制はin vivoで永続性であるとは考えにくいが、DCワクチンのゆっくりと積み上げられている成功率を得
7、上に要約したどの方法が、遊走能力に干渉せずに、ヒトMoDCにおけるPGE
2仲介IL12抑制を最もよく克服できるかを、臨床応用前に決定することが重要であると思われる。
【0284】
DCに基づくワクチンにおける臨床成功は中程度であるが
7、20、非常に低い副作用および申し分の無い特異性および感受性がこのモダリティを魅力的にしている。抗原特異的T細胞との相互作用が延長されるように思われるので、これらの増強されたDCは、DCワクチンの臨床転帰を改善すると思われる。増強された抗原発現DCの開発は、悪性腫瘍の治療に対する潜在的適用性を有するだけでなく、多くの病原体などの治療にも適用可能なはずである。さらに、この高度に影響を与える取り組みは、腫瘍抗原を特定した、多数の研究室による先行する試みを補完するはずである。
【0285】
一次DCにおけるiCD40の機能性の特徴付けおよびiCD40発現DCに基づく前立腺癌ワクチンの開発。新鮮に単離されたDCの多くの特徴を保有する、ネズミD2SC/1細胞におけるiCD40の機能性の実証後(
4および非掲載)、一次骨髄由来DC(BMDC)におけるiCD40の機能性を、iCD40発現アデノウイルスを利用することにより試験した。Ad−iCD40−GFPと名付けた、ヘルパー依存性、ΔE1、ΔE3−の5型アデノウイルスベクターを、CMV初期/即時型プロモーター/エンハンサーの調節下で、iCD40およびEGFPの両方を発現するように操作した。Ad−iCD40−GFPの形質導入に成功し、精製BMDCにおいてAd−iCD40−GFPはiCD40トランス遺伝子およびEGFPマーカーを発現した。B7.2(CD86)のiCD40誘導性上方制御を測定しながら、Ad−iCD40−GFPを力価決定することにより、最大の薬剤仲介iCD40活性化はおよそ100moiで起こり、より高いウイルス力価で漸近的に停滞状態が始まることが示された(データ非掲載)。効果は中程度であったが、AP20187は、iCD40発現BMDCにおいて100moiでMHCクラスIK
b、B7.2ならびに内因性CD40の表面発現を誘導したが、非形質導入DCにおいては誘導しなかった。その後、BMDCについてのAd−iCD40−GFPの効果を、T
H1分極化サイトカイン、IL−12のDCにおける発現を評価するための細胞内サイトカイン染色を使用して、調査した。これらの発見は、空のアデノウイルスベクターが、このサイトカインの低レベルの産生を刺激することによって、バックグラウンドの蛍光読み取りに寄与できるという多数の先の報告を確認した
53。これらの実験は、iCD40トランス遺伝子が、CIDが存在しなくてもこれらの力価で有意なレベルの基底シグナル伝達を発生できることを、さらに明らかにした。しかし、これらのiCD40発現DCのAP20187への曝露は、何とか再生可能な方法でこれらの累積効果を克服し、IL−12
+DCのパーセントをさらに増加させた。興味深いことに、LPSおよびCD40Lを用いたIL−12p70/p40合成の刺激は、8時間でピークに達し、その後減少したが、IL−12
+DCのパーセントは、少なくともAd−iCD40−GFP形質導入後24時間まで増加し続けた。Langenkampらによる以前の研究は、DCのLPS処理の延長は、サイトカイン産生に関するそれらの能力を使い果たすことを実証している
54。これらの結果は、LPSの危険なシグナルに対抗するAd−iCD40−GFPベクターが、BMDCによるより耐久性のあるIL−12応答の促進および維持を可能にすることを暗示する。
【0286】
DC活性化状態に加えて、DCの長寿が、T細胞依存性免疫の発生に影響を与える別の重要な変異である。事実、DCのCTL仲介死は、宿主を自己免疫疾患から保護しながら、免疫応答を調節する有意な機序と考えられる
55、56。他の研究は、DCのCD40刺激は、抗アポトーシスタンパク質のbcl−X
LおよびグランザイムB阻害剤のSpi−6の上方制御を含むさまざまな機序により、それらの生存を延長する
57、58。DCの生存に関する、CD40Lと比較したiCD40の効果を、in vitroの血清飢餓培養アッセイにおいて比べた。生体染色色素(ヨウ化プロピジウム(PI))陽性細胞集団を、フローサイトメトリによって分析することによって、BMDCを発現するiCD40が、CD40Lを用いて処理した非形質導入DCと比較して、これらの条件下でより長い長寿を示すことが発見された。Ad−GFP−形質導入DCは、これらの条件下で生存の改善に反映できなかったのでこの効果はiCD40依存性であった。この研究は、未処理BMDCと比較して、iCD40BMDCのAP20187二量体化薬物への曝露が、この生存効果をさらに増強することをさらに示した。さらに、Ad−iCD40形質導入DCをCFSE染色し、足蹠に注射した場合、in vitroで刺激されたiCD40DCまたはLPS/CD40L処理DCに対して、AP20187のi.p.注射後にDC数の有意な増加が膝窩リンパ節において発見された。
【0287】
一次BMDCにおけるiCD40の周知のAd依存性成熟シグナルおよび基底シグナル伝達効果にもかかわらず、AP20187の存在下でDC活性化の増強が検出された。全体として、このデータは、薬剤に対する応答のために設計された誘導性CD40受容体が、CD40L刺激のより一時的な効果および抗CD40抗体の潜在的により複合的な効果と比較して、活性化の持続状態で一次DCを維持できることを示唆する。このデータは、内因性CD40を標的とする刺激剤に対する短期DC調節のみを記載する初期発見と一致する。
【0288】
抗腫瘍DNAワクチンのための強力なアジュバントとしてのiCD40活性化スイッチ機能。
【0289】
以前の研究は、DCが、T細胞に応答するDNAワクチンの加工および提示において重要な役割を果たすことを実証している
59。iCD40DCに基づくワクチンのin vivoの抗腫瘍有効性および腫瘍の免疫学的監視におけるiCD40発現DCのin situの役割を研究した。治療的腫瘍モデルを確立するために、C57BL/6マウスにEG.7−OVA胸腺腫瘍系を皮下に接種し、腫瘍体積がおよそ0.5cm
3に達するまで進行させた。これらの腫瘍支持マウスに、SIINFEKLパルスwtまたはiCD40BMDCのどちらかをワクチン接種した。wtBMDCのワクチン接種、未処理もしくはLPSおよびCD40Lを含む培養においての刺激またはin vivoでの抗CD40mAbの使用のいずれもが、全体の腫瘍成長速度を遅くできなかった。しかし、BMDCワクチンのin vivoの薬剤仲介iCD40活性化は、腫瘍サイズの持続的縮小をもたらした。さらに、in vivoの活性化iCD40発現BMDCワクチンに対する応答速度は、すべての他のワクチン接種条件(70%対30%)の下で、野生型BMDCに対する応答速度より有意に速かった。腫瘍支持マウスにおける腫瘍抗原特異的T細胞応答の誘発を確認するために、本発明者らは、H−2K
bOVA
257−264四量対分析を、末梢血CD8
+T細胞について実施した。この分析は、in vivoの活性化iCD40BMDCをワクチン接種したマウスにおいて排他的な、K
bOVA
257−264特異的CD8
+T細胞の拡大した集団の存在を検証した。
【0290】
皮下腫瘍モデルは、腫瘍サイズの概算のために便利なツールを提供するが、それらの有用性は、通常、ある程度左右対称な非同所性腫瘍に限られる。さらに転移の定量は安楽死を必要とし、単一の測定に限られる。この主力の取り組みについての改善として、Caribbean click beetles(Pyrophorus plagiophthalamus)由来の赤方偏移ルシフェラーゼを安定して発現するように腫瘍細胞を発達させた。基質のD−ルシフェリンの投与後の、マウスにおける画像化が、冷却CCDカメラ(IVIS(商標)Imaging System、Xenogen Corp.)または標準的キャリパーのどちらかによって容易に検出されることを確認する。さらに、赤方偏移(約613nM発光)ルシフェラーゼレポーターは、表面遠隔転移のより線形の定量を可能にするはずである。
【0291】
CID誘導性TLR(iTLR)の発達:亜局在性および利用したシグナル伝達経路に基づくTLRのいくつかのサブグループがある。リガンド結合細胞外ドメインの通常の細胞内局在に関わらず、シグナル伝達ドメインは細胞質であり、ホモ二量体化が通常のシグナル伝達機序である場合、すべての場合において適切にシグナル伝達するはずである。iCD40に類似して、TLR細胞質シグナル伝達ドメインを、2つの二量体化の化学インデューサー(CID)結合ドメイン(CBD)、FKBP12
V36の5’側または3’側のサブクローニングのための隣接するXhoIおよびSalI制限部位にPCR増幅した
1。キメラCBD−TLRを、細胞膜に、ミリストイル化ターゲティングモチーフを使用して局在化した(
図3)。
【0292】
TLRの初期試験は、発現ベクターとNFカッパB応答性SEAP(分泌型アルカリホスファターゼ)レポータープラスミドとを併せたJurkat−TAgまたは293細胞への同時トランスフェクションを含んだ
66。興味深いことに、予備データは、iTLR7およびiTLR8だけがJurkat−TAg細胞において機能し、CBDおよびTLRの相対的な位置に関わらずiTLR3、4および9は機能しなかったことを示唆した。細胞のパネルにおけるさらなるトランスフェクションは、このことが、これらのキメラの構築物の生理学的組織特異的シグナル伝達の差または他の特異体質を反映するかどうかを決定する必要があるだろう。
【0293】
普通の当業者は、以下の方法において、TLRではなくアダプタータンパク質の使用のために実施可能な改良を認識するであろう。
【0294】
誘導性TLRの開発:誘導性キメラTLRは、DCの活性化において、病原体由来(または合成)アジュバントの必要性を回避するために開発できる。初めに、キメラiTLR3,4,7,8および9を、CID−結合ドメインのTLR5’(上流)または3’(下流)の細胞質シグナル伝達ドメインをクローニングすることによって開発した(
図3)。Jurkat−TAG細胞における最初のスクリーニングは、iTLR8(およびより少ない程度にiTLR7)が、NFカッパBの最も大きな誘導を誘発することを明らかにした。しかし、さまざまなTLRの相対的強度は、組織特異的パラメーターであってよい。このことに対処するために、これらの構築物を、多重発現プラスミドの標的細胞への一過性トランスフェクションに基づくNFカッパB SEAPレポーター系を使用して、NFカッパBの活性化に関して、DC細胞系のD2SC/1において試験できる。2DSC/1細胞は、未熟DC表現型および活性化シグナルに従った成熟能力の両方を保有する不死化DC系の稀なサブセットを表す
67。NFカッパBの誘導はTLRの唯一の機能ではないので、IRF3/7の導入はIRFと結合するインターフェロン(IFN)刺激性応答要素(ISRE)−SEAPレポータープラスミドを使用してスクリーニングでき、レポーター活性を誘導する。ISRE−SEAPを開発するために、ISRE−luc(Stratagene)由来のISRE含有プロモーターは、構成的レポータープラスミドpSH1/kSEAP中のSRアルファプロモーターを交換できる。TLRシグナル伝達の二次誘導として、JNKおよびp38のリン酸化を、リン酸化特異的抗体を使用してウェスタンブロットによりモニターする。
【0295】
さまざまな異なるTLRが、IRFおよびNFカッパBを差次的に誘導でき、DCの活性化およびIL−12の産生において相乗効果を与えることができ
43、誘導性TLRの初期試験は、iTLRの同時トランスフェクションにより2つ同時にコンビナトリアル試験を続けることができる。通常のホモ二量体かおよびより予測不可能なヘテロ二量体化の両方が起こりうるが、この取り組みは、TLRの異なるクラスの間の相乗効果を明らかにするはずである。TLR対の相乗的活性化は、DCに免疫刺激能力の増強をもたらすはずである。相乗効果が検出できる場合、誘導性複合TLR(icTLR)と呼ばれる2つのタンデムな異なる(または同一の)TLRからなる新規な一連の構築物を試験する(
図4)。この場合、上記の細胞質XhoI−SalI−隣接TLRシグナル伝達ドメインを、CBDの上流および下流でさまざまな配置で組み合わせる。最終的に2つの最も強力な構築物を、CD40の細胞質ドメインを含有するように改良し、CIDにより活性化されることがすでに実証さている(
図5)。
【0296】
DCのトランスフェクションは問題があり得るが、エレクトロポレーションの改善された方法が、Viewegおよび同僚によって最近記載された
68。彼らの取り組みでは、エレクトロポレーション後の生存が、(300V、150mF(Gene Pulser II:Bio−Rad))高カリウムイオンのViaSpan緩衝液(Barr Laboratories)中にDC(4×10
7/ml)を再懸濁することによって増強される。加えて、トランスフェクションの有効性が未だ低い場合、本発明者らのpSH1シリーズの発現ベクターを増幅するためにSV40ラージT抗原を含有する、すべてがSV40複製起点を含有する発現ベクターpRSV−TAgを同時トランスフェクトする。
【0297】
一体化された活性化遺伝子icTLR/CD40を発現するアデノベクターの開発:D2SC/1は、前臨床試験のための有用な細胞モデルであるが、臨床適用の前に、一次マウスおよびヒトDCにおいて免疫制御遺伝子を次にアッセイするつもりである。一次細胞への有効な遺伝子輸送を容易にするために、最も強力な構築物(複数可)に、アデノウイルスシャトルベクター、pShuttle−XまたはpDNR−CMVをサブクローニングし、それぞれ、Ad5ベクター、pAdeno−X(BD)またはAdXLP(BD)に転写した。高力価ウイルスの調製を実施する。すでに開発されたAd5/f35−iCD40を用いて達成されているように、このベクターを、ヒトおよびマウスの両方のDCにおいて試験する。Ad5/f35偽型アデノベクターは、形質導入の有効性をヒトDCにおいて少し改善するが、「純粋な」Ad5に包まれるアデノベクターは、ネズミDCのさらなる形質導入を可能にするために使用できる。
【0298】
ヒトの研究のために、MoDCを、GM−CSFおよびIL−4において接着性末梢血DC前駆体の標準的インキュベーションにより、調製する。未熟DCに、開発されたicTLR/CD40ベクターおよび対照ベクター(例えば、Ad5/f35−iCD40およびAd5/f35−EGFP)を形質導入する。成熟および活性のための標準的MoDCアッセイを本明細書に記載し、成熟および活性のための標準的MoDCアッセイは、例えば、成熟マーカー(例えば、CD40、CD80、CD86、HLAクラスIおよびII、CCR7)、IL−12の産生、抗原特異的T細胞の遊走および活性化のフローサイトメトリ分析をさらに含む。
【0299】
CD40およびTLRシグナル伝達ドメインをタンデムに配置することが、単離ドメインにより活性化されるシグナル伝達経路に干渉し得る事象において、構築物は、別の戦略、例えば、バイシストロニック発現カセットの使用またはデルタE1デルタE3アデノベクターのE3領域へのクローニングなどを使用して、ウイルスベクターにおいて同時発現できる。さらに、キメラ受容体は、内因性タンパク質と同一にシグナル伝達できない。特定のPRRまたはPRRアダプターは骨髄DCの活性化にとって最も強力なTLRであると考えられるが、CID活性化受容体に転換した場合、代替物はよりよく機能できる。さらに、さまざまな誘導性PRRおよびPRRアダプターと、構成的Akt、M
F−デルタAktまたはsiRNA SOCS−1との間の相乗効果は、より強力であることが発見され得る。これらの場合、免疫制御遺伝子のさまざまな組み合わせは、マルチシストロニックなアデノベクターにおいて組み合わせることができる。
【0300】
CID誘導性アダプターをアッセイするさらなる方法
当業者は、以下の方法において、TLRではなくアダプタータンパク質の使用のために実施可能な改良を認識するであろう。
【0301】
獲得免疫の制御においてDCが果たす極めて重要な役割のために、DC活性を下方制御する多くの恒常性機序がある。それにもかかわらず、増大した活性化が、腫瘍由来またはウイルス由来の寛容原性機序を克服するために必要であり得る。これらの恒常性機序を回避するいくつかの方法を、本明細書おいて考察する。誘導性CD40は、免疫学的シナプスとの関連でin vivoで活性化でき、その細胞外ドメインを欠いており、このドメインを標的とするいくつかのネガティブフィードバック機序を回避する。「最適化された」構成的に活性なAkt、M
F−デルタAktは、切断型Akt1対立遺伝子の脂質ラフトターゲティングに基づく。siRNA技術を用いた阻害剤SOCS−1の減少は、toll−受容体シグナル伝達およびI型インターフェロン産生を増加させる。したがって、3つすべての方法は、MoDCを増強する能力を有する。
【0302】
MoDCの調製:増強DC(eDC)の最適化に基づく実験の大部分に関して、単球由来DCは分化し、Blood Bankまたは健康なボランティアから得た末梢血単核細胞から濃縮された。簡潔に言うと、DC前駆体を、浮遊密度技術(Histopaque:Sigma−Aldrich)によって単離し、その後接着(および半接着)細胞を無血清X−VIVO15DC培地(Cambrex Bio Science)において、サイトカインGM−CSF(800U/ml)およびIL−4(500U/ml)(R&DSystems、Minneapolis、MN)の存在下で5日間培養した。培養5日後、未熟DCを、iCD40を発現するアデノベクター(すなわち、Ad5/f35−iCD40)、構成的Akt(Ad5/f35−MF−deltaAkt)、shRNA SOCS1(Ad5−shSOCS1)またはAd5−iTLR/CD40を10,000ウイルス粒子(vp)/細胞(注:Ad5ベクターは、20,000vpで加え、形質導入の効率の若干の減少を部分的に補うことができる)の存在下でさらに24時間インキュベートする。試料のサブセットにおいて、さらなるTLR4リガンドモノホスホリルリピドA(MPL;1mg/ml)または二量体化薬物AP20817(100nM;iCD40−DCのみ)を、完全な成熟のために加えるものとする。
【0303】
MoDCの成熟状態の決定:CD25、CD40、CD80、CD83、CD86、HLAクラスIおよびクラスII、CCR7などを含む多くの表面タンパク質(「マーカー」)を、MoDC活性化の間に誘導する。予備試験により、iCD40シグナル伝達単独で、MoDCに関してCD83およびCCR7の上方制御に十分であることが実証された(非掲載)。さらなるTLR4シグナル伝達(MPL経由)は、全成熟マーカーの相加的(または相乗的)活性化をもたらす。したがって、固定vp数で、4種のウイルスベクターすべてによる、単独またはMPLと組み合わせた成熟マーカーの誘導(フローサイトメトリにより決定)を評価した。これらの実験および以下の実験において、IL−1a、IL−6、TNFアルファおよびPGE
2を含む先の「ゴールドスタンダード」成熟カクテル(MC)による成熟は、陽性対照として作用し、未処理(mock)の未熟DCは、陰性対照として機能する。細胞表面マーカーの表現型分析に加えて、IL−12および他のT
H1分極化サイトカイン(例えば、IL−23、TNFアルファ)の産生もまた、最適な抗腫瘍免疫にとって重要である。iCD40は、IL−12の産生にとって十分ではないが、MPLとiCD40との組み合わせは、IL−12の強力な相乗的産生をもたらす。したがって、上記のように刺激したDCの培養上清を、形質導入および成熟の24時間および48時間後に収穫する。IL−12 p70のレベル、IL−12/IL−23p40二量体およびTNFアルファの濃度を、比色サンドイッチELISAアッセイ(BD Biosciences)によって決定した。あるいは、多数のさらなるサイトカイン(例えば、IL−1、IL−6、IFNアルファなど)を同時にアッセイするために、BDにより開発されたマルチプレックスビーズを使用できる。
【0304】
遊走能力の決定:LNの遊走にとって有能な、ネズミ骨髄由来DC(BMDC)とは異なり、この極めて重要な機能において、未熟MoDCが欠けている。通常、PGE
2がCCR7および遊走能力の上方制御に使用されるが、PGE
2の有用性は、CD40シグナル伝達およびIL−12の産生の下方制御およびIL−10の上方制御を含む、潜在的悪影響によって抑えられている
50、52、69。さらに、PGE
2の存在下でさえ、LNに対する遊走は中程度であり、注射した細胞のおよそ1〜2%である
70。CCR7の発現は、リンパ節への遊走にとって必須条件であると思われるが、LN由来CCR7ケモカイン、CCL19およびCCL21に対する走化性反応は、リンパ節への遊走のより直接的尺度であると思われる。したがって、CCL19/MIP3bへの遊走は、改良された2チャンバーアッセイにおいて比較できる。
【0305】
予備実験は、iCD40のシグナル伝達は、PGE
2が不在であっても遊走能力にとって十分であるという驚くべき結果を実証している。このアッセイにおいて、MoDCにAd5/f35−ihCD40を形質導入し、蛍光染料Green−CMFDA(Molecular Probes)を用いて標識した。細胞を、2チャンバー8mmアッセイプレートの上方チャンバーに配置し、下方チャンバーにおける全蛍光を定量し、PGE
2仲介刺激と比較した。同様に、iCD40−TLR−、iCD40−およびAkt−のMoDCならびにSOCS1−欠損MoDCのin vitroの遊走能力を、個別に、およびTLR4リガンドと組み合わせて、または組み合わせないで比較できる。
【0306】
遊走能力のための第2の直接アッセイとして、in vivoの遊走を、eDCを、非骨髄機能廃絶的に放射線照射した免疫不全SCIDマウスの下肢に注射することによって比較できる。最小の放射(約250Rad)は、異種細胞に対するナチュラルキラー(NK)細胞の活性を抑制するために必要である。種の違いに関わらず、ヒトMoDCは、ネズミケモカインに応答し、流入領域LNに遊走する
71。遊走に成功したMoDCを可視化するために、細胞を蛍光染料のGreen−CMFDAセルトラッカーを用いて標識し、フローサイトメトリにより定量する。第2に、アデノベクター仲介「増強」に加えて、MoDCに、アデノベクター、Ad5/f35−CBRを形質導入し赤方偏移(励起ピーク510nm)click beetles(Pyrophorus plagiophthalamus)ルシフェラーゼ(Promega)を発現する。CBRルシフェラーゼ対立遺伝子の使用は、流入領域膝窩LN内、およびより離れた膜遠位部位の両方において、生物発光DCをより容易に検出させるはずである(本発明者らのIVIS(登録商標)Imaging System(Xenogen Corp、Alameda、CA)を使用)。
【0307】
自己T細胞の活性化および分極化:成熟および遊走に加えて、T
H1−偏向抗原特異的免疫応答のin vivoの活性化能力は、固形腫瘍に対するDCワクチン接種の必須条件である。したがって、ヘルパーTおよび細胞傷害性機能の両方を刺激するeDCの能力が評価可能である。初めに、同種異系CD4
+T細胞の増殖の刺激をアッセイできる。増強されたDCは、上記の条件を使用して成熟し、活性化され、放射線照射(3000rad)され、同種異系の磁気ビーズにより精製された(Miltenyi Biotec、Auburn、CA)CD4
+T細胞と1:10で培養さる。[
3H]−チミジンと共に16時間インキュベーション後、4日後に増殖を評価した。これらの研究を補完するために、さまざまな標準またはeDCによるT
H1の分極化(IL−4およびIFNガンマに対するELISpotアッセイにより決定)能力を決定できる。DCの成熟状態をより具体的にアッセイするために、ナイーブCTL機能を刺激する能力を、HLA−A2拘束性四量体分析およびCTLアッセイを使用して決定する(注:いくつかのHLA−A2担体は、近年遺伝子型が同定されている)。HLA−A2拘束性抗原の、一方は強く、一方は弱い2種の異なるカクテルを提示するさまざまなeDCによる、健康なドナーの自己T細胞の活性化を比較する。CTLアッセイは、標準またはeDCを用いて上記のように刺激されたT細胞の抗原比溶解活性に基づくものである。これらの4種のT細胞アッセイは、釣り合った増強されたDCの前臨床分析と共にさまざまな取り組みの機能分析を提供するはずである。
【0308】
本実施例において参照した、および/またはさらなる技術支援を提供する引用文献
【0309】
【数1】
【0310】
【数2】
【0311】
【数3】
【0312】
【数4】
【0313】
【数5】
【0314】
【数6】
(実施例9)
発現構築物および試験
TLR3、4、7、8および9は、単球由来DCにおいてTh1サイトカイン、IL−12を誘発することが知られている異なるサブファミリー由来のTLRを提示するので、まず、TLR3、4、7、8および9を、誘導性キメラタンパク質を構築するために選択した。さらに、TLR4は、異種細胞外ドメインを介したキメラTLR4対立遺伝子の架橋後、シグナル伝達を誘発することが示されている。個々の(TIRを含む)細胞質ドメインをPCR増幅し、2つの(2)FKBP12(V36)(F
vおよびF
v’(ゆらぎ(wobbled)))遺伝子に隣接して(5’および3’)配置し、これらはc−Src由来のミリストイル化−ターゲティング配列を使用して細胞膜に結合した。第3のFKBP遺伝子を有するキメラタンパク質は、オリゴマー化の改善のために開発されている。
【0315】
加えて、誘導性PRRアダプターMyD88およびTRIFのキメラ型は、これらの細胞質タンパク質と、2つの(2)FKBPとの融合によって作製されている。最終的に、細胞質のPRR、NOD2およびRIG−I由来のタンデムCARDドメインは、タンデムFKBPに融合される。これらの構築物およびレポーターアッセイを以下に記載する。
【0316】
構築物:
(i)誘導性iTLR:TLR3、4、7、8および9をMoDCに由来するcDNAからPCR増幅した。PCRプライマーを、XhoIおよびSalI制限部位に隣接させ、それぞれ、pSH1/M−F
v’−F
vls−EのXhoIおよびSalI部位にタンデムFKBPの5’および3’にクローニング可能にした
1、2。使用したプライマーは、(a)5TLR3cX(5’−cgatcactcgagggctggaggatatctttttattgg−3’)および3TLR3cS(5’−tgatcggtcgacatgtacagagtttttggatccaagtg−3’)であり、pSH1/M−TLR3−F
v’−F
vls−EおよびpSH1/M−F
v’−F
vls−TLR3−Eを得た;(b)5TLR4cX(5’−cgatcactcgagtataagttctattttcacctgatgcttc−3’)および3TLR4cS(5’−tgatcggtcgacgatagatgttgcttcctgccaattg−3’)でありpSH1/M−TLR4−F
v’−F
vls−EおよびpSH1/M−F
v’−F
vls−TLR4−Eを得た;(c)5TLR7cS(5’−cgatcagtcgacgatgtgtggtatatttaccatttctg−3’)および3TLR7cS(5’−tgatcggtcgacgaccgtttccttgaacacctgac−3’)であり、pSH1/M−TLR7−F
v’−F
vls−EおよびpSH1/M−F
v’−F
vls−TLR7−Eを得た;(d)5TLR8cX(5’−cgatcactcgaggatgtttggtttatatataatgtgtg−3’)および3TLR8cS(5’−tcggtcgacgtattgcttaatggaatcgacatac−3’)であり、pSH1/M−TLR8−F
v’−F
vls−EおよびpSH1/M−F
v’−F
vls−TLR8−Eを得た;(e)5TLR9cX(5’−cgatcactcgaggacctctggtactgcttccacc−3’)および3TLR9cS(5’−tgatctgtcgacttcggccgtgggtccctggc−3’)であり、pSH1/M−TLR9−F
v’−F
vls−EおよびpSH1/M−F
v’−F
vls−TLR9−Eを得た。すべてのインサートはシークエンシングにより確認し、3’ヘマグルチニン(hemagluttinin)(HA)エピトープ(E)に対する適切なサイズに関してはウェスタンブロットにより確認した。M、c−Src由来のミリストイル化−ターゲティング配列(1〜14残基)。pSH1、発現ベクター。加えて、第3のXhoI/SalI−連結F
v’ドメインを、pSH1/M−F
v’−F
vls−TLR4−EおよびpSH1/M−F
v’−F
vls−TLR8−EのXhoI部位に加え、それぞれ、pSH1/M−F
v’2−F
vls−TLR4−EおよびpSH1/M−F
v’2−F
vls−TLR8−Eを得、オリゴマー化を改善した。
【0317】
生理学的TLR4シグナル伝達を忠実に反映するために、完全長2.5−kb TLR4を、TLR4 cDNA(Medzhitov labから)から、それぞれ、SacIIおよびXhoI結合プライマーの5hTLR4(5’−aatctaccgcggccaccatgatgtctgcctcgcgcctg−3’)および3hTLR4(5’−tcagttctcgaggatagatgttgcttcctgccaattg−3’)を使用してPCR増幅した。2546−bpのPCR産物を、pCR−Blunt−TOPOにサブクローニングし、シークエンシングした。配列検証済インサートを、SacII/XhoI消化し、SacII/XhoI消化(および「CIPped」)pSH1/M−F
v’−F
vls−Eにサブクローニングし、pSH1/hTLR4−F
v’−F
vls−Eを得た。さらなるF
v’を、XhoI部位に付加しpSH1/hTLR4−F
v’2−F
vls−Eを得た。
【0318】
(ii)誘導性複合体iTLR4−CD40:191−bpのXhoI−SalI−連結ヒトCD40細胞質ドメインを、プライマーhCD405X(5’−atatactcgagaaaaaggtggccaagaagccaacc−3’)およびhCD403Sns(5’−acatagtcgacctgtctctcctgcactgagatg−3’)を用いてPCR増幅し、pSH1/hTLR4−F
v’−F
vls−EおよびpSH1/hTLR4−F
v’2−F
vls−EのSalI部位にサブクローニングし、pSH1/hTLR4−F
v’−F
vls−CD40−EおよびpSH1/hTLR4−F
v’2−F
vls−CD40−Eを得た。
【0319】
(iii)誘導性iNOD2:約800−bpのPRR NOD2(タンデムCARDドメイン含有)のアミノ末端を、XhoI/SalI−連結プライマー5NOD2X(5’−atagcactcgagatgggggaagagggtggttcag−3’)および3NOD2Sb(5’−cttcatgtcgacgacctccaggacattctctgtg−3’)を用いてPCR増幅し、pSH1/M−F
v’−F
vls−EのXhoIおよびSalI部位にサブクローニングし、pSH1/M−NOD2−F
v’−F
vls−EおよびpSH1/M−F
v’−F
vls−NOD2−E=F
v’NOD2を得た。
【0320】
(iv)誘導性iRIG−I:約650bpのRNAヘリカーゼRIG−I(タンデムCARDドメイン含有)のアミノ末端を、XhoI/SalI−連結プライマー5RIGX(5’−atagcactcgagaccaccgagcagcgacgcag−3’)および3RIGS(5’−cttcatgtcgacaatctgtatgtcagaagtttccatc−3’)を用いてPCR増幅し、pSH1/M−F
v’−F
vls−EのXhoIおよびSalI部位にサブクローニングし、pSH1/M−RIGI−F
v’−F
vls−EおよびpSH1/M−F
v’−F
vls−RIGI−E=F
v’RIG−Iを得た。
【0321】
(v)誘導性iMyD88:ヒトTIR含有誘導性PRRアダプターMyD88(約900−bp)を、293cDNAからXhoI/SalI−連結プライマー5MyD88S(5’−acatcaactcgagatggctgcaggaggtcccgg−3’)および3MyD88S(5’−actcatagtcgaccagggacaaggccttggcaag−3’)を使用してPCR増幅し、pSH1/M−F
v’−F
vls−EのXhoIおよびSalI部位にサブクローニングし、それぞれ、pSH1/M−MyD88−F
v’−F
vls−EおよびpSH1/M−F
v’−F
vls−MyD88−Eを得た。
【0322】
(vi)誘導性iTRIF:ヒトTIR含有誘導性PRRアダプターTRIF2(約2150−bp)を、293のcDNAからXhoI/SalI−連結プライマー5TRIFX(5’−acatcaactcgagatggcctgcacaggcccatcac−3’)および3TRIFS(5’−actcatagtcgacttctgcctcctgcgtcttgtcc−3’)を使用してPCR増幅し、SalI消化pSH1/M−F
v’−F
vls−Eにサブクローニングし、pSH1/M−F
v’−F
vls−TRIF−Eを得た。
【0323】
(vii)IFNb−SEAP:最小IFNb
lプロモーターを、ヒトゲノムDNAからプライマー5IFNbMl(5’−aactagacgcgtactactaaaatgtaaatgacataggaaaac−3’)および3IFNbH(5’−gacttgaagcttaacacgaacagtgtcgcctactac−3’)を使用してPCR増幅した。MluI−HindIII消化断片を、プロモーターレスSEAPレポータープラスミドにサブクローニングした。
【0324】
特定の構築物は、Fyn由来ミリストイル化配列およびTIRAPのPIP2膜ターゲティングドメインを使用して、細胞膜脂質ラフトを特異的に標的化した。(5) 分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP)アッセイ:レポーターアッセイを、ヒトJurkat−TAg(T細胞)または293(腎臓胚上皮)細胞またはネズミRAW264.7(マクロファージ)細胞において実施した。対数増殖期のJurkat−TAg細胞(10
7)を、2mgの発現プラスミドおよび2mgのレポータープラスミドNF−kB−SEAP
3またはIFNb−TA−SEAPを用いて、エレクトロポレートした(950mF、250V)(上を参照されたい)。対数期の293またはRAW264.7細胞(約2×10
5細胞/35−mmディッシュ)に、6mlのFuGENE−6を成長培地においてトランスフェクトした。24時間後、形質転換細胞を、CIDを用いて刺激した。さらに20時間後、上清を、前記のようにSEAP活性に関してアッセイした
3。
【0325】
組織培養:Jurkat−TAgおよびRAW264.7細胞を、RPMI1640培地、10%ウシ胎児血清(FBS)、10mMのHEPES(pH7.l4)、ペニシリン(100U/ml)およびストレプトマイシン(100mg/ml)において成長させた。293細胞は、ダルベッコ変法イーグル培地、10%FBSおよびpen−strepにおいて成長させた。
【0326】
ウェスタンブロット分析:タンパク質の発現を、一般的なヘマグルチニン(HA)エピトープ(E)タグに対する抗体を使用して、ウェスタンブロットにより決定した。
【0327】
結果
キメラiTLR4は、PIP2膜ターゲティングモチーフにより、2倍活性される。構築物は、2つのリガンド結合ドメインをコードする。しかし、残りのiTLRは、レポーターアッセイにおいて観察されるように、293、RAWまたはD2SC1細胞においてCIDにより強いレベルで誘導されない。このことが、iTLRの多様な膜ターゲティングの必要条件の原因であると思われる。したがって、本発明者らは、細胞膜に対するターゲティングを必要としない細胞質PRRである、誘導性Nod2およびRIG−1を開発した。iNod2は293細胞において二量体化薬物により2倍に活性化されたが、RAW264.7細胞においてはこのような効果は観察されない。CIDの漸増濃度の添加により、RAW細胞においてiNod2活性は減少する。さらに、iNod2およびiCD40一緒の効果は、NFカッパB活性化について293細胞において相加的である(
図7)。iRIG−1は、2.5倍に活性化される(
図8)。TLRのシグナル伝達下流の一次メディエーターである、完全長誘導性PRRアダプター分子のMyD88およびTRIFの誘導型は、スクリーニング過程に存在する。
【0328】
本実施例において参照した、およびさらなる技術支援を提供する引用文献
【0329】
【数7】
(実施例10)
iRIG−I、iCD40およびiNOD2をトランスフェクトされた細胞におけるNFカッパB活性の薬物依存性誘導
293細胞に、1マイクログラムのNFカッパB−SEAPレポーター構築物+1マイクログラムの誘導性PRR構築物を、Fugene6トランスフェクション試薬を使用してトランスフェクトした。トランスフェクションは6ウェルプレートにおいて、1×10
6細胞/ウェルまたはトランスフェクションで実施した。
【0330】
Jurkat TAg細胞に、2マイクログラムのNFカッパB−SEAPレポーター構築物および3マイクログラムの誘導性PRR構築物を、950マイクロFおよび0.25kVでエレクトロポレーションを使用してトランスフェクトした。この細胞に、10×10
6細胞/トランスフェクションでトランスフェクトした。
【0331】
24時間後、細胞を、96ウェルプレートに、2種の異なる濃度のAP20187(100nMおよび1000nM)で播種した。37℃、5%CO
2において、さらにインキュベーション24時間後、上清を回収し、SEAP基質、リン酸4−メチルウンベリフェリル(MUP)と一緒のインキュベーションによりSEAP活性に関して分析した。蛍光を、励起355nmおよび発光460nmにおいて、FLUOstar Optimaプレートリーダー(BMG Labtech)を使用して決定した。
【0332】
iNOD2および組み合わせ実験に関して、トランスフェクションを、全DNAに対して「空」発現ベクター、pSH1/S−Fv’−Fvls−Eを使用して正規化した。
【0333】
図11〜14は、NFカッパB活性およびSEAPレポーターカウントの薬物依存性誘導を示すグラフである。各グラフは、別々の個別の実験の代表である。
【0334】
グラフにおける明確さのために、いくつかのベクターを図のために新たに命名した。
Fv’RIG−I=pSH1−Fv’Fvls−RIG−I=pSH1/M−Fv’−Fvls−RIG−I
Fv’NOD2=pSH1−Fv’Fvls−NOD2=pSH1/M−Fv’−Fvls−NOD2−E
Fv’2NOD2=pSH1−Fv’2Fvls−NOD2
Fv’NOD2+=pSH1−Fv’Fvls−NOD2(Nunez NOD2配列と同じ)
Fv’CD40=pSH1−Fv’Fvls−CD40
(実施例11)
誘導性MyD88および複合体MyD88−CD40は、293細胞においてNFカッパBを活性化する。
【0335】
構築物のセットを、TIRドメインを欠いたMyD88の切断型を含む、誘導性受容体を発現するように設計した。293細胞に、NFカッパBレポーターを同時トランスフェクトし、SEAPレポーターアッセイを、基本的にSpencer, D.M.、Wandless, T.J.、Schreiber, S.L.およびCrabtree, G.R. Controlling signal transduction with synthetic ligands. Science262巻、1019〜1024頁(1993年)に記載のように実施した。独自に設計したベクターは、pBJ5−M−MyD88L−Fv’Fvls−Eであった。pShuttleX−M−MyD88L−Fv’Fvlsを使用して、アデノウイルスを作製した。これらのベクターの両方を、SEAPアッセイにおいて試験した。24時間後、AP20187を加え、さらに20時間後、細胞上清をSEAP活性に関して試験した。これらのキメラ構築物および活性化に関するグラフを、
図16および17に提供する。結果を
図18に示す。
【0336】
構築物:
対照:NFカッパBレポーターだけをトランスフェクトした
TLR4on:pShuttleX−CD4/TLR4−L3−E:CD4/TLR4L3−Eは、マウスCD4の細胞外ドメインとタンデムでヒトTLR4の膜貫通ドメインおよび細胞質ドメイン(Medzhitov R、 Preston−Hurlburt P、Janeway CA Jr、A human homologue of the Drosophila Toll protein signals activation of adaptive immunity. Nature. 1997年7月24日;388巻(6640号):394〜7頁に記載のように)続いて3つの6アミノ酸リンカーおよびHAエピトープを含有するTLR4の構成型である。
【0337】
iMyD88:M−MyD88L−Fv’Fvls−E含有
iCD40:M−Fv’−Fvls−CD40−E含有
iCD40T:M−Fv’−Fv’−Fvls−CD40−E含有−iCD40Tは追加のFv’を含有する(バリンにゆらぎを有するFKBP)
iMyD88:CD40:M−MyD88L−CD40−Fv’Fvls−E含有
iMyD88:CD40T:M−MyD88LCD40−Fv’Fv’Fvls−E含有−iMyD88:CD40と比較して追加のFv’を含有する。
【0338】
(実施例12)
誘導性CD40−MyD88、CD40−RIG−1およびCD40:NOD2
以下の構築物を設計し、NFカッパBレポーター系においてアッセイした。293細胞に、NFカッパBレポーターおよび構築物の1つを同時トランスフェクトした。24時間後、AP20187を加え、さらに3時間(
図19)または22時間(
図20)後、細胞上清を、SEAP活性に関して試験した。トランスフェクション約20〜24時間後、細胞を、二量体化薬物のAP20187を用いて処理した。二量体化薬物を用いた処理後約20〜24時間、細胞を、SEAP基質のリン酸4−メチルウンベリフェリル(MUP)を用いて処理した。一晩のインキュベーション後(16〜22時間の範囲)、SEAPカウントを、FLUOStar OPTIMA機において記録した。
【0339】
MyD88LFv’FvlsCD40:pBJ5骨格およびMyD88Lから上流のミリストイル化配列で作製された。
【0340】
Fv’FvlsCD40MyD88L:pBJ5骨格およびFv’から上流のミリストイル化配列で作製された。
【0341】
MyD88LCD40Fv’Fvls:2つのベクター骨格(pBJ5)およびMyD88Lから上流のミリストイル化配列で作製された。
【0342】
CD40Fv’FvlsMyD88L:pBJ5骨格およびCD40から上流のミリストイル化配列で作製された。
【0343】
Fv’2FvlsCD40stMyD88L:CD40の後ろの終止配列が、MyD88Lを翻訳から保護する構築物。iCD40Tとも呼ばれる。
【0344】
Fv’2Fvlsは、gtcgag配列で隔てられたFv’の2コピーを含む。
【0345】
MyD88LFv’Fvls
Fv’FvlsMyD88L:pBJ5骨格およびFv’から上流のミリストイル化配列で作製された。
【0346】
Fv’FvlsCD40:pBJ5およびpShuttleXにおいて利用可能
CD40Fv’Fvls:pBJ5骨格およびCD40から上流のミリストイル化配列で利用可能
MFv’Fvls:pBJ5骨格およびMで示されるミリストイル化配列で利用可能
Fv’’FvlsNOD2:pBJ5−Sn−Fv’Fvls−NOD2−Eミリストイル化配列を有さないpBJ5骨格および、2つのFKBP続けてNOD2の2つのCARDドメインおよびHAエピトープを含有。
【0347】
Fv’FvlsRIG−1:pBJ5−Sn−Fv’Fvls−RIG−I−Eミリストイル化配列を有さないpBJ5骨格および、2つのFKBP続けてRIG−Iの2つのCARDドメインおよびHAエピトープを含有。
【0348】
アデノウイルス産生のために使用したpShuttleX型に関する構築マップの例を、
図30、31および32に提示する。普通の当業者は、これらの構築物の改良方法に気が付き、本明細書に記載した方法および組成物に使用した他の構築物を作製する。
【0349】
(実施例13)
293T細胞のMyD88Lアデノウイルストランスフェクションはタンパク質発現をもたらす。
【0350】
以下のpShuttleX構築物は、アデノウイルス産生のために構築された。
【0351】
pShuttleX−MyD88L−Fv’Fvls−E
pShuttleX−MyD88LCD40−Fv’Fvls−E
pShuttleX−CD4/TLR4−L3−E
L3は、DNA配列:GGAGGCGGAGGCAGCGGAGGTGGCGGTTCCGGAGGCGGAGGTTCT
タンパク質配列:GlyGlyGlyGlySerGlyGlyGlyGlySerGlyGlyGlyGlySer
を有する3つの6アミノ酸のリンカーを示し、
EはHAエピトープである。
【0352】
組換えアデノウイルスを、普通の当業者に公知の方法を使用して、および基本的にHe, T.C., S. Zhouら、(1998年) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95巻(5号):2509〜14頁に記載のように得た。
【0353】
個々のアデノウイルス アッセイのために、いくつかのウイルスプラーク由来の粗生成物を、ウェスタンブロッティングにより、タンパク質の発現に関してアッセイした。ウイルス粒子を、Vector Core at Baylor College of Medicine (world wide web address of http://vector.bcm.tmc.edu/)により供給された細胞ペレットから、凍結解凍ペレットにより3回放出した。293T細胞を、1×10
6細胞/ウェルで6ウェルプレートに播種した。培養24時間後、細胞を、抗生物質を含む無血清DMEM培地を用いて2回洗浄し、続いて25マイクロリットルまたは100マイクロリットルのウイルス溶解物を、500マイクロリットルの無血清培地中の細胞単層に加えた。2時間後、2.5mlの血清補給DMEMを、6ウェルプレートの各ウェルに加えた。
【0354】
24〜48時間後、細胞を収穫し、1×PBSを用いて2回洗浄し、RIPA溶解緩衝液に再懸濁した(100マイクロモルのPMSF含有)(例えば、MilliporeまたはThermo Scientificから入手可能)。細胞を、10分ごとに混合しながら、氷上で30分間インキュベートし、続いて、10,000gで4℃において15分間回転させた。上清を、SDS Laemmli緩衝液+ベータ−メルカプトエタノールと1:2の割合で混合し、100℃において10分間インキュベートし、SDSゲルに投入し、HAエピトープに対する抗体を使用してニトロセルロース膜においてプローブした。結果を、
図21および22に示す。残存細胞溶解物は、今後の使用のために−80℃において保存した。細胞に、個別に各ウイルス、viz.、Ad5−iMyD88およびAd5−TLRonを別々に形質導入した。
【0355】
(実施例14)
MyD88L−アデノウイルス形質導入細胞におけるIL−12p70の発現
骨髄由来樹状細胞(BMDCs)を、抗生物質を含む無血清RPMI培地を用いて2回洗浄後、0.25×10
6細胞/ウェルで、48ウェルプレートに播種した。細胞に、125マイクロリットルの無血清培地中6マイクロリットルの粗ウイルス溶解物を、形質導入した。2時間後、375マイクロリットルの血清補給RPMIを、48ウェルプレートの各ウェルに加えた。48時間後、上清を収穫し、マウスIL−12p70 ELISAキット(BD OptEIA(BD BioSciences、New Jersey)を使用して分析した。2連のアッセイを、100nMのAP21087を添加して、または添加しないでのいずれかで、各試料関して実施した。CD40−Lは、CD40のリガンド、CD40受容体に結合するTNFファミリーメンバーである。LPSリポ多糖類である。結果を
図23に示す。アッセイの反復の結果を
図24に示す。粗アデノウイルス溶解物を、6.2マイクロリットル/25万細胞で加えた。
図25は、より多くのウイルス溶解物、12.5マイクロリットル/25万細胞を使用し、BMDCを感染させた、追加のアッセイの結果を示す。
【0356】
(実施例15)
誘導性iRIG−1、iNOD2およびiTRIFの活性
pBJ5−Fv’Fvls−RIG−1およびpBJ5−Fv’Fvls−CD40のそれぞれ1マイクログラムを、1マイクログラムのNFカッパB−SEAPレポーターと共に、293細胞にトランスフェクトし、細胞を、漸増用量の二量体化薬物AP20187による処理についてのレポーター活性に関して分析した。pBJ5−RIG−1−Fv’Fvls構築物もまた試験した。結果を、
図26に示す。結果は、iRIG−IおよびiCD40両方の構築物を293細胞にトランスフェクトした場合、NFカッパBレポーターアッセイにおいて見られる相加効果により実証されるように、iRIG−IはiCD40と共に潜在的に十分作用できることを示す。
【0357】
1マイクログラムのpBJ5−Fv’Fvls−RIG−1を、1マイクログラムのIFNベータ−SEAPレポーターと共に293細胞にトランスフェクトし、細胞を、二量体化薬物AP20187の半対数希釈液(half−log dilution)を用いた処理についてのレポーター活性に関して分析した。同時に、iTRIF(pBJ5−Fv’Fvls−TRIF)構築物もまた、漸増量で、293細胞へトランスフェクトすることによって試験した。pBJ5−M−Fv’Fvls−TRIF−Eは、pBJ5骨格およびミリストイル化配列、2つのFKBP、完全長TRIFおよびHAエピトープで作製された。結果を
図27および28に示す。結果は、iTRIFは、293細胞において、NFカッパBを構成的に活性化し、より高い程度で、IFNベータレポーターを活性化することを実証している。
【0358】
同様のアッセイを、
図29に示すように、iNOD2を使用して実施した。結果は、iNOD2がNFカッパBを、薬物依存性の様式で活性化することを示す。NFカッパBのこの活性化は、第3のFKBPドメインのiNOD2(iNOD2Turbo)への付加において増加する。pBJ5−Sn−Fv’Fv’Fvls−NOD2−Eは、pBJ5骨格で作製され、ミリストイル化配列、3つのFKBP、NOD2の2つのCARDドメインおよびHAエピトープを含有する。
【0359】
(実施例16)
MyD88L−アデノウイルス形質導入ヒト単球由来樹状細胞におけるIL−12p70の発現
未熟ヒト単球由来樹状細胞(moDC)を、抗生物質を含む無血清RPMI培地を用いて2回洗浄後、0.25×10
6細胞/ウェルで、48ウェルプレートに播種した。細胞に、さまざまな感染の多重度(MOI)のアデノウイルスAD5−iMyD88.CD40を形質導入し、100nMの二量体化薬物AP20187を用いて刺激した。使用したウイルスは、実施例13および14に使用したウイルス溶解物の最適化型であった。48時間後、上清を収穫し、IL12p70ELISAアッセイにおいてアッセイした。
図33は、この力価決定の結果を表す。
【0360】
未熟ヒトmoDCを、抗生物質を含む無血清RPMI培地を用いて2回洗浄後、0.25×10
6細胞/ウェルで、48ウェルプレートに播種した。次いで、細胞に、Ad5f35−iCD40(10,000VP/細胞)、Ad5−iMyD88.CD40(100MOI)、Ad5.iMyD88(100MOI)またはAd5−TLR4on(100MOI)のいずれかを形質導入し、示した1マイクログラム/ミリリットルLPSおよび
図34に示した100nMの二量体化薬物AP20187を用いて刺激した。48時間後、上清を収穫し、IL12p70 ELISAアッセイにおいてアッセイした。
【0361】
Ad5f35−iCD40を、pShuttleX−ihCD40(M−Fv’−Fvls−hCD40;pShuttleX−M−Fv’−Fvls−hCD40としても公知)を使用して作製した。
図33および34に示したように、MyD88は、本明細書においてMyD88Lとして示した型と同じMyD88の切断型である。Ad5.iMyD88として示したアデノウイルスを、pShuttleX−MyD88L−Fv’Fvls−Eを使用して作製した。Ad5−iMyD88.Cd40として示したアデノウイルスを、pShuttleX−MyD88LCD40−Fv’Fvls−Eを使用して作製した。Ad5−TLR4Onとして示したアデノウイルスは、pShuttleX−CD4/TLR4−L3−Eを使用して作製した。
【0362】
(実施例17)
樹状細胞の非ウイルス性形質転換
Fv’Fvls配列に作動可能に連結したiMyD88−CD40配列、例えばpShuttleX−MyD88LCD40−Fv’Fvls−Eインサートを含むプラスミドベクターを構築する。プラスミド構築物は、MyD88lCD40−Fv’Fvls−E配列に作動可能に連結した以下の制御要素:プロモーター、開始コドン、終止コドン、ポリアデニル化シグナルをさらに含む。ベクターは、エンハンサー配列をさらに含むことができる。MyD88L、CD40およびFvFvls配列を、最適化コドンを含む、当分野において公知の合成技術を使用して改良できる。
【0363】
未熟ヒト単球由来樹状細胞(MoDC)を、抗生物質を含む無血清RPMI培地を用いて2回洗浄後、0.25×10
6細胞/ウェルで48ウェルプレートに播種した。細胞に、普通の当業者に公知の任意の適切な方法、例えば、AMAXAキットを使用したヌクレオフェクション(nucleofection)、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム、DEAE−デキストラン、超音波処理、リポソーム仲介トランスフェクション、受容体仲介トランスフェクションまたは微粒子銃照射(microprojectile bombardment)を使用して形質導入した
DNAワクチンは、例えば、2008年11月6日公開の米国特許公開第20080274140号において論じられている。Fv’Fvls配列に作動可能に連結したiMyD88−CD40配列をDNAワクチンベクターに挿入し、これらは、例えば、宿主組織においてiMyD88−Cd40Fv’Fvlsキメラタンパク質の発現にとって必要な制御要素を含む。これらの制御要素は、限定するものではないが、プロモーター、開始コドン、終止コドン、ポリアデニル化シグナルおよびエンハンサーを含み、キメラタンパク質をコードするコドンは最適化できる。
【0364】
(実施例18)
マウス腫瘍モデルを使用した、in vivoのMyD88CD40形質転換樹状細胞の評価
骨髄樹状細胞を、本明細書の実施例において提示したアデノウイルスベクターを使用して形質導入した。これらの形質導入BMDCを、EG.7−OVAモデルにおいて、それらの腫瘍成長の阻害能力に関して試験した。EG.7−OVA細胞(5×10
5細胞/100ml)を、C57BL/6雌マウスの右わき腹に接種した。全群のBMDCに、50マイクログラム/mlのオボアルブミンタンパク質をパルスし、上記のように活性化した。腫瘍細胞摂取のおよそ7日後、BMDCを解凍し、マウスの後肢足蹠に皮下注射した。
【0365】
腫瘍成長を、全群のマウスにおいて週に2回モニターした。全群のランダム選択のマウス由来の末梢血を四量体染色およびin vivoのCTLアッセイによって分析した。表1は実験計画を表し、これは、非形質導入樹状細胞(第1群および第2群)、対照アデノウイルスベクターを形質導入した樹状細胞(第3群)、ベクターをコードするCD40細胞質を形質導入した樹状細胞(第4群)、切断型MyD88ベクターを形質導入した樹状細胞(第5群および第6群)およびキメラCD40−切断型MyD88ベクターを形質導入した樹状細胞(第7群および第8群)を含む。細胞を、AP−1903、LPSまたはCD40リガンドを用いて、表示のように刺激した。
【0366】
【表1】
腫瘍接種マウスのワクチン接種前に、形質導入樹状細胞のIL−12p70レベルをin vitroで測定した。IL−12p70レベルは、
図35に提示する。
図36は、形質導入マウスにおいて観察された腫瘍成長阻害のチャートを示す。MyD88を形質導入し、AP1903で処理した樹状細胞の接種は、1/6の治癒率をもたらし、一方、AP1903を用いない、MyD88−CD40形質導入樹状細胞の接種は、4/6の治癒率をもたらし、二量体独立性の効果の可能性を示した。アスタリスクは、Luc+LPS+APと、iCD40MyD88+LPS+/−AP1903との比較を示す。
図36は、代表的なワクチン接種マウスの写真をさらに提供する。
【0367】
図37は、iMyD88−CD40形質導入樹状細胞を用いて処理したマウスにおける、Ag特異的CD8+T細胞の誘導頻度増強の分析を提示する。7日目にワクチン接種した10日後に、処理マウス由来の末梢骨髄細胞を収穫した。PBMCを、抗mCD8−FITCおよびH2−K
b−SIINFEKL−四量体−PEを用いて染色し、フローサイトメトリにより分析した。
【0368】
図38は、iMyD88−CD40−形質導入樹状細胞処理後のマウスにおいて誘導された、Ag特異的CD8+T細胞およびCD4+T
H1細胞の頻度増強を提示する。全実験群の3匹のマウスをワクチン接種18日後に犠牲にした。3匹のマウス/群の脾細胞を一緒に「プール」し、IFN−ガンマELISPOTアッセイにより分析した。Millipore MultiScreen−HAプレートを、10マイクログラム/mlの抗マウスIFN−ガンマAN18抗体(Mabtech AB、Inc.、Nacka、Sweden)を用いてコーティングした。脾細胞を加え、完全ELISpot培地(RPMI、10%FBS、ペニシリン、ストレプトマイシン)中で、5%CO
2中37℃において20時間培養した。脾細胞を、2マイクログラム/mlのOT−1(SIINFEKL)、OT−2(ISQAVHAAHAEINEAGR)またはTRP−2ペプチド(対照の非標的化ペプチド)と共にインキュベートした。洗浄後、マウスIFN−ガンマ(R4−6A2、Mabtech AB)に対するビオチン化モノクロナール二次抗体を、1マイクログラム/mlの濃度でウェルに適用し、続いて,ストレプトアビジン−アルカリホスファターゼ複合体(Vector Laboratories、Ltd.、Burlingame、CA)と共にインキュベートした。その後、プレートをアルカリホスファターゼ基質、3−アミノ−9エチルカルバゾール(Sigma−Aldrich,Inc.、St.Louis、MO)を用いて発色させた。ウェル中のスポットの数を、ZellNet Consulting,Inc.および自動ELISPOTリーダーシステム(Carl Zeiss,Inc、Thornwood NY)により点数化した。
【0369】
図39は、in vivoの細胞傷害性リンパ球アッセイの概略図および結果を提示する。DCワクチン接種の18日後、in vivoのCTLアッセイを実施した。同系ナイーブ脾細胞を、in vivoの標的細胞として使用した。同系ナイーブ脾細胞を、CTL培地中6マイクロモルのCFSE(CFSE
hi細胞)または0.6マイクロモルのCFSE(CFSE
lo細胞)のどちらかと共に、37℃において10分間のインキュベーションによって標識した。CFSE
hi細胞に、OT−1 SIINFEKLペプチドをパルスし、CFSE
lo細胞を、対照TRP2ペプチドと共にインキュベートした。4×10
6のCFSE
hi+4×10
6のCFSE
lo細胞の混合物を、尾静脈を介して静脈注射した。in vivoのインキュベーション16時間後、脾細胞を回収し、単一細胞懸濁液を、CFSE−標識細胞の検出および定量に関して分析した。
図40は、接種マウスにおいてiMyD88−CD40−形質導入樹状細胞により誘導されたCTL活性の増強を提示するチャートである。
図41は、iMyD88−CD40形質導入樹状細胞により誘導されたin vivoのCTL活性の増強を示す、選択試料に関する未加工のCTLヒストグラムを示す。
【0370】
図42は、形質導入細胞をワクチン接種したマウスにおいて、T
H2細胞を産生するIL−4に関する細胞内染色の結果を提示する。マウスの脾細胞(3匹のマウスからプールした細胞)を、2マイクログラム/mlのOT−2ペプチドを用いて再構成した。細胞を、10マイクログラム/mlのブレフェルジンAと共に6時間インキュベートし、分泌を抑制した。その後、細胞を固定し、透過処理し、抗mIL−4−APCおよび抗mCD4−FITCを用いた細胞内染色により分析した。
【0371】
iCD40−MyD88配列を含むアデノウイルスベクターを、マウスモデルにおいて腫瘍細胞を阻害するその能力に関して、再度評価した。第1の実験において、薬物依存性腫瘍成長阻害を、誘導性CD40−切断型MyD88ベクターを用いて改良された樹状細胞(Ad−iCD40.MyD88)の接種後測定した。C57BL/6マウス由来の骨髄由来樹状細胞に、10マイクログラム/mのオボアルブミンをパルスし、アデノウイルス構築物、Ad5−iCD40.MyD88、Ad5−iMyD88またはAd5−Luc(対照)の20,000ウイルス粒子/細胞(VP/c)を形質導入した。細胞を2マイクログラム/mlのCD40L、200ng/mlのLPSまたは50nMのAP1903二量化剤のいずれかを用いて活性化した。5×10
5のE.G7−OVA胸腺腫細胞を、C57BL/6マウス(N=6/群)の背中に接種した。腫瘍が直径約5mmに達した時(接種後8日目)、マウスを、2×10
6のBMDCの皮下注射により処理した。翌日、細胞ワクチン接種後、マウスを、5mg/kgのAP1903の腹腔内注射により処理した。腫瘍成長を、週に2回モニターした。結果を
図43Aに示す。実験の別のセットにおいて、上記のようにE.G7−OVA腫瘍を確立させた。マウス(N=6/群)を、2×10
6のBMDC(オボアルブミン添加)を用いて処理し、20,000または1,250VP/cのどちらかのAd5−iCD40.MyD88を形質導入した。AP1903群のBMDCを、50nMのAP1903を用いてin vitroで処理した。翌日、細胞ワクチン接種後、AP1903群のマウスを、5mg/kgのAP1903の腹腔内注射により処理した。結果を
図43Bに示す。
図43Cは、冷凍保存前の、さまざまなワクチン細胞を一晩培養した後に産生された相対的IL−12p70レベルを表す。IL−12p70はELISAアッセイによりアッセイした。
【0372】
改良された骨髄樹状細胞により免疫化されたマウス由来の血液を、四量体染色を使用して、腫瘍特異的T細胞の頻度および機能に関して分析した。
図44Aは、マウス(N=3〜5)を、皮下にBMDCを用いて免疫化し、オボアルブミンをパルスし、
図43に記載のように活性化した実験の結果を示す。ワクチン接種の1週間後、末梢血単核細胞(PBMC)を、抗mCD8−FITCおよびSIINFEKL−H2−K
b−PEを用いて染色し、フローサイトメトリにより分析した。
図44Bは、上記のようにBMDCをワクチン接種されたマウスにおいて実施したin vivoのCTLアッセイの結果を示す。BMDCによる免疫化の2週間後、同系C57BL/6マウス由来の脾細胞に、TRP−2対照ペプチドのSVYDFFVWLまたは標的ペプチドのSINFEKL標的のどちらかをパルスし、in vivo標的として使用した。脾細胞の半数を、6マイクロモルのCFSE(CFSE
hi細胞)または0.6マイクロモルのCFSE(CFSE
lo細胞)を用いて標識した。CFSE
hi細胞に、OT−1(SIINFEKL)ペプチドをパルスし、CFSE
lo細胞を、対照TRP−2(SVYDFFVWL)ペプチドと共にインキュベートした。4×10
6のCFSE
hi+4×10
6のCFSE
lo細胞の混合物を、尾静脈を介して静脈注射した。翌日、脾細胞を回収し、単一細胞懸濁液を、CFSE−標識細胞の検出および定量に関して分析した。
図44Cおよび44Dは、IFN−ガンマアッセイの結果を示す。
図43に記載のように処理したE.G7−OVA支持マウス由来の末梢血単核細胞(PBMC)を、1マイクログラム/mlのSIINFEKLペプチド(OT−1)、ISQAVHAAHAEINEAGR(OT−2)およびTRP−2(無関係なH2−K
b拘束性)ペプチドを用いてIFN−ガンマELISpotアッセイにおいて分析した。IFN−ガンマ産生リンパ球の数を、3連のウェルにおいて評価した。3匹のマウス/群由来の細胞をプールし、3連のウェルにおいてIFN−ガンマELISpotにより分析した。アッセイは2回実施した。
【0373】
図45は、この実施例に示されたように処理されたマウス由来の脾細胞を使用して実施したナチュラルキラー細胞アッセイの結果を提示する。マウス(3匹/群)から得た脾細胞を、エフェクター(E)として使用した。Yac−1細胞を、
51Crを用いて標識し、標的(T)として使用した。EL−4細胞系を、無関係な対照として使用した。
【0374】
図46は、抗原特異的細胞傷害性リンパ球の検出に関するアッセイの結果を提示する。マウス(3匹/群)から得た脾細胞を、エフェクターとして使用した。EG.7−Ova細胞を、
51Crを用いて標識し、標的(T)として使用した。EL−4細胞系を、無関係な対照として使用した。
【0375】
図47は、誘導性CD40−切断型MyD88(iCD40.MyDD)アデノウイルスベクターを形質導入した人細胞の活性化の結果を提示する。3つの異なるHLA−A2+ドナー由来の樹状細胞(培養5日目)を、プラスチック接着法により精製し、10,000VP/細胞のAd5−iCD40.MyD88、Ad5−iMyD88またはAd5−Lucを形質導入した。細胞を、100nMのAP1903または0.5マイクログラム/mlのCD40Lおよび250ng/mlのLPSまたはTNF−アルファ、IL−1ベータ、IL−6およびプロスタグランジンE2(PGE
2)を含有する標準成熟カクテル(MC)を用いて活性化した。自己CD8+T細胞を、マイクロビーズを使用して陰性選択により精製し、10マイクログラム/mlのHLA−A2拘束性FLWGPRALV MAGE−3ペプチドを1:5(DC:T)の割合でパルスしたDCと、7日間同時培養した。DCによる刺激の第2ラウンドの5日後(7日目)、T細胞を、標準的IFN−ガンマELISpotアッセイにおいてアッセイした。細胞に、1マイクログラム/mlのMAGE−3または無関係のHLA−A2拘束性PSMAペプチド(PSMA−P2)をパルスした。実験は3連に実施した。
【0376】
図48および49は、細胞遊走アッセイの結果である。
mBMDCに、10,000VP/細胞のAd5.ルイシフェラーゼまたはAd5.iMyD88.CD40を、Gene Jammer(Stratagene、San Diego、California)の存在下で形質導入し、100nMのAP1903(AP)またはLPS(1マイクログラム/ml)により48時間刺激した。CCR7の発現を、CD11c+樹状細胞の表面において、PerCP.Cy5.5結合体化抗体を使用する細胞内染色により分析した。
図48は、個別に提示された各アッセイの実験結果を示し、
図49は、同じグラフにおける結果を提供する。
【0377】
(実施例19)
具体的な核酸配列およびアミノ酸配列の例。
【0378】
【化2】
【0379】
【化3】
【0380】
【化4】
【0381】
【化5】
【0382】
【化6】
【0383】
【化7】
本明細書において参照した個々の特許、特許出願、刊行物および文献の全体は、参照によって組み込まれる。上記の特許、特許出願、刊行物および文献の引用は、前述のいずれもが関連のある先行技術であることの承認ではなく、これらの広報または文献の内容または日付に関していかなる承認をも構成するものではない。
【0384】
本発明の基本的態様から逸脱することなく、改良が可能である。本発明は、1つまたは複数の具体的実施形態の参照により、実質的に詳細に記載されているが、普通の当業者は、本出願において具体的に開示される実施形態に対する変更が実施可能であることを認識すると思われ、さらにこれらの改良および改善は、本発明の範囲および精神の範囲内である。
【0385】
本明細書に例示的に記載された発明は、本明細書に具体的に開示されない任意の要素(複数可)の不在下でも、適切に実践可能である。したがって、例えば、本明細書のいかなる場合においても、「含む」、「から本質的になる」および「からなる」という用語のいずれも、他の2つの用語のどれとも交換可能である。採用されている用語および表現は、説明の用語として使用し、限定するものではなく、このような用語および表現の使用は、示されたまたは記載された特徴の任意の均等物またはそれらの一部を排除するものではなく、特許請求した本発明の精神の範囲内でさまざまな改良が可能である。1つの要素か、または複数の要素のどちらかを記載していることが文脈上明らかでない限り、「1つの(a)」または「1つの(an)」という用語は、それが修飾する1つまたは複数の要素を指す(例えば、「1つの試薬(a reagent)」は1つまたは複数の試薬を意味することができる)。本明細書において使用する「約」という用語は、基本的なパラメーターの10%以内の値を指し(すなわち、プラスマイナス10%)、一連の値の先頭にある「約」という用語の使用は、個々の値を修飾する(すなわち、「約1、2および3」は約1、約2および約3)。例えば、「約100グラム」の重量は、90グラムから110グラムの間の重量を含むことができる。したがって、本発明は、代表的実施形態および任意選択の特徴により具体的に開示されているが、本明細書に開示の概念の、改良および変更は、当業者により再分類可能であると理解するべきであり、このような改良および変更は本発明の範囲内であると考えられる。
【0386】
本発明の実施形態は、以下に続く特許請求の範囲において説明する。