特開2018-185170(P2018-185170A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-185170(P2018-185170A)
(43)【公開日】2018年11月22日
(54)【発明の名称】検査冶具の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/073 20060101AFI20181026BHJP
   H01R 43/00 20060101ALI20181026BHJP
   G01R 1/067 20060101ALI20181026BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20181026BHJP
   H01B 5/16 20060101ALI20181026BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20181026BHJP
   H01R 11/01 20060101ALI20181026BHJP
【FI】
   G01R1/073 D
   H01R43/00 H
   G01R1/067 Z
   H01L21/66 B
   H01B5/16
   H01B13/00 501P
   H01R11/01 501F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-85499(P2017-85499)
(22)【出願日】2017年4月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113424
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 信博
(72)【発明者】
【氏名】小木曽 浩二
(72)【発明者】
【氏名】熊倉 博之
【テーマコード(参考)】
2G011
4M106
5E051
5G307
【Fターム(参考)】
2G011AA01
2G011AA16
2G011AB06
2G011AB07
2G011AE03
2G011AE22
2G011AF07
4M106AA01
4M106AA02
4M106DD03
4M106DD09
4M106DD10
5E051CA03
5G307HA02
5G307HB03
5G307HC01
(57)【要約】
【課題】電気特性の検査時に検査対象物を傷つけることがなく、ファインピッチへの対応が可能な検査冶具の製造方法を提供する。
【解決手段】フォトマスク13などを用いて感光性樹脂膜12を露光し、現像して、フレキシブルシート15の厚み方向に貫通する貫通孔を形成し、微量ディスペンサー16を用いて、フレキシブルシート15の貫通孔に導電粒子を含む導電材料17を充填する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブルシートの厚み方向に貫通する貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記フレキシブルシートの貫通孔に導電粒子を含む導電材料を充填する導電粒子充填工程と
を有する検査冶具の製造方法。
【請求項2】
前記貫通孔形成工程では、感光性樹脂膜の露光によるパターンニングにより貫通孔を形成する請求項1記載の検査冶具の製造方法。
【請求項3】
前記導電粒子の平均粒子径が、前記貫通孔の平均径の1/4以下である請求項1又は2記載の検査冶具の製造方法。
【請求項4】
前記感光性樹脂膜が、ポリイミド前駆体を含有し、
前記導電材料が、エポキシ樹脂、又はシリコーン樹脂を含む請求項2又は3記載の検査冶具の製造方法。
【請求項5】
所望のパターンで配列された複数の貫通孔を有するフレキシブルシートと、
前記貫通孔に充填され、導電粒子を含有する導電材料と
を備える検査冶具。
【請求項6】
前記導電粒子の平均粒子径が、前記貫通孔の平均径の1/4以下である請求項5記載の検査冶具。
【請求項7】
前記フレキシブルシートが、ポリイミドを含み、
前記導電材料が、エポキシ樹脂、又はシリコーン樹脂を含む請求項5又は6記載の検査冶具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、ウェハ、チップ、パッケージ等の電子部品の検査冶具の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ウェハレベルでの半導体装置の電気特性評価は、プローブカードを用いて、ウェハの表面や裏面に形成された導電パッドやバンプに、直接プローブを接触させて実施している(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この方法によれば、パッケージ前や三次元実装前の検査が可能となる。
【0004】
しかしながら、ウェハのパッド表面の酸化膜を除去するために、表面に傷を付けてプローブ検査を実施するため、検査合格品を実装した後になって、検査に起因する損傷により不合格品を発生させる場合がある。またパッドサイズが小さくなるにつれて、バンプ形成や実装時の不具合の原因となる検査時の傷の影響が大きくなる。特に近年では、半導体チップのファインピッチ化がますます進行していることから、検査時の傷はますます大きな問題となる。
【0005】
ベアチップやパッケージについては、ラバーコネクターを用いたハンドラーテストが行われている。検査プローブシートとなるラバーコネクターとしては、例えば、磁場配向させた導電性粒子を、エラストマーシートの厚み方向に貫通するよう配置した異方導電性シートが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
特許文献2に記載された検査プローブシートは、ゴム弾性エラストマー樹脂中に導電性粒子を磁場配向させる際に面内方向に導電性粒子が連結してしまうため、ファインピッチへの対応が困難である。また、耐久性を向上させる目的で周囲を取り囲むようにフレームが付いているものの、フレーム内側のエラストマー樹脂は熱膨張により伸縮しやすい物質であるため、耐久性の低下の問題や、接点ズレに(位置ズレ)よる検査不具合の原因となる。特に、ヒートサイクル試験などにおける位置ズレは致命的であり、今後のさらなるファインピッチ化においては、対応が困難となる。
【0007】
また、一般にエラストマー樹脂中に導電性物質を配置するラバーコネクターは、ファインピッチとなるコネクターの製造は困難であり、例えば、200μmP以下レベルの検査用コネクターは製造困難な状況にある。このため、組立て後のパッケージに対して検査を実施しているのが実情であり、結果として歩留まりが極端に悪化し、価格を低減できない要因ともなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−042008号公報
【特許文献2】特開2006−024580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本技術は、前述した課題を解決するものであり、電気特性の検査時に検査対象物を傷つけることがなく、ファインピッチへの対応が可能な検査冶具の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本技術の発明者らは、鋭意検討を行った結果、フレキシブルシートの厚み方向に貫通孔を形成し、貫通孔に導電粒子を含む導電材料を充填することにより、電気特性の検査時に検査対象物を傷つけることがなく、ファインピッチへの対応が可能な検査冶具を製造可能であることを見出した。
【0011】
すなわち、本技術に係る検査冶具の製造方法は、フレキシブルシートの厚み方向に貫通する貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、前記フレキシブルシートの貫通孔に導電粒子を含む導電材料を充填する導電粒子充填工程とを有する。
【0012】
また、本技術に係る検査冶具は、所望のパターンで配列された複数の貫通孔を有するフレキシブルシートと、前記貫通孔に充填され、導電粒子を含有する導電材料とを備える。
【発明の効果】
【0013】
本技術によれば、フレキシブルシートの貫通孔に導電粒子を含む導電材料を充填することにより、電気特性の検査時に検査対象物を傷つけることがなく、ファインピッチへの対応が可能な検査冶具を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、検査冶具の製造方法の一例を模式的に示す断面図であり、図1(A)は。樹脂塗布工程を示し、図1(B)は、露光工程を示し、図1(C)は、現像工程を示し、図1(D)は、導電粒子充填工程を示し、図1(E)は、乾燥工程を示し、図1(F)は、ベース材剥離工程を示す。
図2図2は、検査冶具の構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本技術の実施の形態について、下記順序にて詳細に説明する。
1.検査冶具の製造方法
2.検査冶具
【0016】
<1.検査冶具の製造方法>
本技術に係る検査冶具の製造方法は、フレキシブルシートの厚み方向に貫通する貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、フレキシブルシートの貫通孔に導電粒子を含む導電性樹脂を充填する導電粒子充填工程とを有する。これにより、電気特性の検査時に検査対象物を傷つけることがなく、ファインピッチへの対応が可能な検査冶具を製造することができる。
【0017】
図1は、検査冶具の製造方法の一例を模式的に示す断面図であり、図1(A)は。樹脂塗布工程を示し、図1(B)は、露光工程を示し、図1(C)は、現像工程を示し、図1(D)は、導電粒子充填工程を示し、図1(E)は、乾燥工程を示し、図1(F)は、ベース材剥離工程を示す。以下、図1を参照して、貫通孔形成工程及び導電粒子充填工程について説明する。
【0018】
[貫通孔形成工程]
先ず、図1(A)に示すように、ベース材11上に感光性樹脂組成物を塗布し、フレキシブルシートとなる感光性樹脂膜12を形成する。
【0019】
ベース材11は、耐熱性、耐薬品性に優れるものであればよく、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET:polyethylene terephthalate)を用いることができる。また、ベース材11は、検査冶具使用時には不要となるため、剥離処理がなされていることが好ましい。
【0020】
感光性樹脂膜12は、パターン加工後も絶縁材料として用いられる、いわゆる永久レジスト膜であり、耐熱性の観点からポリイミド前駆体を含有することが好ましい。
【0021】
次に、図1(B)に示すように、フォトマスク13などを用いて感光性樹脂膜12を露光し、現像して、貫通孔が配列されたパターンを形成し、図1(C)に示すように、貫通孔が形成されたフレキシブルシート15を作製する。
【0022】
貫通孔は、検査対象物のパッドやバンプの形状に合わせてパターン形成され、貫通孔の口径は、1〜100μmであることが好ましく、貫通孔間の距離は、10〜100μmであることが好ましい。
【0023】
フレキシブルシート15は、可撓性及び絶縁性を有し、熱膨張係数が低く、耐熱性が高いことが好ましい。フレキシブルシート15としては、耐熱性の観点からポリイミドを含むことが好ましい。
【0024】
フレキシブルシート15の厚みは、薄過ぎると耐久性が劣るため、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは20μm以上である。また、フレキシブルシート15の厚みは、厚過ぎると貫通孔の形成が困難となるため、好ましくは500μm以下、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。
【0025】
このように感光性樹脂膜の露光によるパターンニングにより貫通孔を形成することにより、高解像度の所望のパターンを形成することができる。
【0026】
[導電粒子充填工程]
次に、図1(D)、(E)に示すように、微量ディスペンサー16を用いて、フレキシブルシート15の貫通孔に導電粒子を含む導電材料17を充填し、乾燥させる。
【0027】
導電材料17は、乾燥後にある程度の剛性を有し、変形しにくいものであることが好ましく、エポキシ樹脂、又はシリコーン樹脂を含むことが好ましい。これにより、熱硬化や紫外線硬化により、ある程度の剛性を付与することができ、検査時においてプローブピンを何度も押し当てることができる。
【0028】
フレキシブルシート15に平面視で配置される導電材料17の位置は、特定の形状を有して規則性を持っていることが好ましく、格子状、千鳥状等の規則的な配列とすることが好ましい。格子状としては、斜方格子、六方格子、正方格子、矩形格子、平行体格子等が挙げられる。また、フィルムの長手方向に対して所定の配列形状で規則性を持っていてもよい。
【0029】
導電粒子は、異方性導電フィルムで使用される一般的なものを用いることができる。例えば、ニッケル、コバルト、鉄などの金属粒子、樹脂コア粒子や無機コア粒子の表面に導電性金属がメッキされた粒子を用いることができる。また、導電性金属メッキとしては、Ni/Auメッキ、Ni/Pdメッキ、Ni/Pd/Auメッキなどが挙げられる。これら中でも、検査対象へのダメージ軽減やシートの耐久性の観点から、樹脂コア粒子の表面に導電性金属がメッキされた粒子を用いることが好ましい。
【0030】
また、導電粒子の平均粒子径は、貫通孔の平均径の1/4以下であることが好ましい。これにより、貫通孔に導電粒子を高充填させることができ、抵抗値を低下させることができる。導電粒子の平均粒子径は、小さいほど微小なパッドやバンプに対応することができるため、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。
【0031】
検査冶具の使用時には、図1(F)に示すように、ベース材11をフレキシブルシート15から剥離し、フレキシブルシート15の一方の面をウェハ、チップ、パッケージ等の電子部品に貼り付け、導電材料17と電子部品の電極と接触させ、フレキシブルシート15の他方の面から導電材料17にプローブを押し当て、電気特性を検査する。
【0032】
このような検査冶具の製造方法によれば、電気特性の検査時に検査対象物を傷つけることがなく、ファインピッチへの対応が可能な検査冶具を得ることができる。
【0033】
<2.検査冶具>
図2は、検査冶具の構成例を示す断面図である。図2に示すように、検査冶具は、所望のパターンで配列された複数の貫通孔を有するフレキシブルシート21と、貫通孔に充填され、導電粒子を含有する導電材料22とを備える。このような検査冶具は、例えば前述した検査冶具の製造方法により得ることができる。
【0034】
フレキシブルシート21は、前述のフレキシブルシート15と同様、可撓性及び絶縁性を有し、熱膨張係数が低く、耐熱性が高いことが好ましい。フレキシブルシート21としては、耐熱性の観点からポリイミドを含むことが好ましい。また、フレキシブルシート21の厚みは、薄過ぎると耐久性が劣るため、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは20μm以上である。また、フレキシブルシート21の厚みは、厚過ぎると貫通孔の形成が困難となるため、好ましくは500μm以下、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。
【0035】
導電材料22は、前述の導電材料17と同様、ある程度の剛性を有し、変形しにくいものであることが好ましく、エポキシ樹脂、又はシリコーン樹脂を含むことが好ましい。これにより、熱硬化や紫外線硬化により、ある程度の剛性を付与することができ、検査時においてプローブピンを何度も押し当てることができる。
【0036】
貫通孔に充填された導電材料22は、フレキシブルシート21の厚み方向に導通しており、フレキシブルシート21の少なくとも一方の面から突出していてもよい。
【0037】
導電粒子は、前述の導電粒子と同様、異方性導電フィルムで使用される一般的なものを用いることができる。また、導電粒子の平均粒子径は、貫通孔の平均径の1/4以下であることが好ましい。これにより、貫通孔に導電粒子を高充填させることができ、抵抗値を低下させることができる。
【0038】
このような検査冶具によれば、電気特性の検査時に半導体ウェハのパッドやバンプを傷つけることがなく、ファインピッチ化に対応することができる。
【符号の説明】
【0039】
11 ベース材、12 感光性樹脂膜、13 フォトマスク、14 微量ディスペンサー、15 フレキシブルシート、16 微量ディスペンサー、17 導電材料、21 フレキシブルシート、22 導電材料
図1
図2